9月3日 南極セミナーの報告

こんにちは。 インターンシップで来ている草深です。

私は、9月3日に「かけがえのない南極の海を守ろう!南極海洋保護区をめぐる国際的議論は今」のセミナーに参加してきました。

このセミナーのスピーカーは、国際NGOネットワーク「南極・南極海連合」(ASOC)事務局長のクレア・クリスチャン氏、生物学者/国際NGOネットワーク「南極・南極海連合」(ASOC)アドバイザーのボブ・ジュール氏、国際環境NGO FoE Japan代表理事のランダル・ヘルテンさんでした。

そもそもASOC/南極・南極海連合とは、南極大陸とそれを取り巻く南極海の保護活動を専門に行う唯一の非政府組織(NGO)として1978年に設立されました。

ASOCは、南極の生態系が陸上・海洋と共に、確実に保護され、手つかずで存続するよう努めていて、重要な環境保護目標の推進をしています。また、南極の環境問題専門家を世界各地で活動家として雇用し、南極圏において存在感を示す国々との緊密な協力を実現しています。さらに、一般市民への啓発のためにこのASOCウェブサイトや、ブログ、プレスリリース、キャンペーン支援などを活用しています。近年では、南極海に広大な海洋保護区ネットワークを構築することに注力しているといいます。

本セミナーでは主に、生命の宝庫であった南極海が今、気候変動や水産資源の乱獲、ツーリスト増大や外来種の持ち込みなどの原因により多くの危機に直面しつつあるという件を扱ったものでした。セミナーでは地球上の生物多様性を守るためにはMPA(海洋保護区)は無くてはならないという事を強く訴えていました。

では、MPA(海洋保護区)があるとなにがいいのでしょうか。まず、海洋保護区は海の生態系の保全やその地域の環境の保護を進めることが出来ます。今、漁業で乱獲されたり、生態系や生息環境の破壊等により絶滅が危惧されている海洋生物が存在します。海洋保護区は、そのような海洋生物や環境を自然保護区という明確な区域によって法律またはその他の効果的な手法により管理することができます。また、大規模な生態系を残せること、海洋性の生物たちの生きる場所を残せるなどのメリットもあります。さらに、海洋保護区を作ることにより漁業にもプラスになるといいます。しかし、まだ海洋保護区は南極海の10%しかないとのことなのでこれから海洋保護区を増やしていくことが南極を守る事、海洋生物を守ることに繋がります。

最後に、日本政府・日本人に求めることについてお話されていました。

昔日本は100万トンものオキアミをとっていたそうで、実は日本と南極は深く関わりがあると言います。そのため日本が果たす役割は重要です。日本人に求めることとして、MPAの保全の支持とサポート、市民の関心が大事ということです。南極を守っていくためにも私達一人一人が少しでもこの問題について関心を持ち、MPAを支持することが大切だと思いました。また、この問題の最大の悪影響は気候変動なため、どうしたら気候変動を止められるかを考えていくことも南極を守るために大切なことです。

今回参加して思ったのは、この問題を解決するのには海洋保護区を広めていき支持することが一番良い解決策だと感じました。しかし、全部の地域で海洋保護区を作れるわけでもないため、その部分が今後の課題だとも感じました。また、この問題は他人事ではなく昔から南極と関わりのあった日本人こそ取り組むべき問題だと思うのでたくさんのひとが今の南極の現状を知ることが重要だと思います。

★参考文献  環境省  <海との付き合い方> https://www.env.go.jp/nature/biodic/kaiyo-hozen/viewpoint/viewpoint05.html

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台風被害のボランティア@君津市の報告

9月16日(月)FoE Japanスタッフ篠原、矢野とサポーターの土川さん3人で、千葉県君津市のボランティア作業に参加してきました。前日から大雨予報からボランティア活動の中止を告知する地方公共団体が多く、当日もボランティアに行くかどうかギリギリまで躊躇しました。かろうじて、君津市は午前中だけ受付けと記載があり、もしボランティアが無理でも支援物資だけ届けようと、君津市に向かいました。

君津市ボランティアセンターに事務所に保管していたmobiyaランプ(太陽光パネル付きランタン:携帯充電機能あり)を10台もっていったところ、支援物資として喜んで受け取っていただきました。  

ボランティアセンターで手続きをすると、神奈川、埼玉から来た事に驚かれ、感謝されました。でも、車でアクアラインを渡れば僅か1時間半、時間、距離以上に普段の生活の場と被災地との意識の違いがある事を感じました。

君津市は、海岸近い町の中心地は、電気も水道も復旧し、コンビニやスーパー、レストランが普段通りに営業しています。ところが、君津市の4分の3を占める地域には、被災から8日たった今も通電はなく、水道も止まっている地域もあり、5キロほど山に向かうと信号も動いていません。

君津市の全体図

ミッションは市の中心部から離れた地域の集落の各戸をまわり、「ボランティアセンターの開設」の案内チラシを配り、話を聞いてくる役目でした。今日の溢れる情報社会において、電気を失う事で普段簡単に出来る事が全く出来なくてしまう現実がありました。昔ならば口伝て拡散する情報も希薄な人間関係からなかなか伝わらず、逆の情報収集も出来ない事から打開するお手伝いでした。

私たち3名は、君津市の女性1名とチームを組み、清和地区を担当しました。まず避難所になっている清和公民館で情報をもらいました。避難しているのは1家族だけですが、自衛隊のお風呂提供、支援物資(ブルーシート・食料・水など)、保健師の常駐など、清和地区の拠点となっています。清和地区は2つのエリアに分かれており、公民館に遠い三島エリアが、支援場所まで来られていない可能性があり、心配であるとの情報をもらいました。

君津市の南端にある集落から順番に一軒一軒家を訪ねていき、3時間ほどかけて4人で60軒を訪ねることができました。

道沿いには、倒木や折れた枝があちこちにあり、看板が折れ曲がっているところ、電線に飛来物や倒木がひっかかっているところ、電柱が傾いているところ、家の屋根やビニールハウスの破損など、被害の復旧作業はまだまだこれから、と感じました。

訪ねた集落は、ほとんどが農家。水道も電気もまだ復旧していないところがほとんどで、それ以外にも大きな被害受けていて、すごく困っていらっしゃるのですが、それでも、発電機を借りてきて井戸水をくみ上げていたり、ソーラーパネルで電気を自給していたり、屋根は雨が降る前に自分で直したという人がいたり、近所で助け合っている様子もうかがえました。そこに住む方たちの逞しさと昔ながらの近所付き合いの確かさ、それと、道中にすれ違った全国から応援に来ている電気工事関係のたくさんの車に救われた気持ちになりました。

今回訪れた君津市はボランティアセンターが立ち上がったばかりのところでした。必ずしも日頃からボランティアに接しているわけではない方たちがボランティアセンターを運営するのは大変そうです。こういうときに、大勢のボランティアを仕切ることのできる人材が必要だと感じました。平時に、マニュアルに沿った訓練をするだけでなく、仕切り屋さんを養成することも訓練の一つ、と感じました。

(土川、矢野、篠原)

台風15号の被災地 千葉県鋸南町を訪問しました

 

旧佐久間小学校の被害

*台風15号の被害に会われた方々にお見舞い申し上げます。

9/15に事務局長満田とともに千葉県鋸南町に災害支援に行ってまいりました。

昔、祖父母が鴨川市に住んでいたこともあり房総は馴染みの深いところ、お世話になったところであり、なにかできることをしたいと行ってきました。支援になっているかわかりませんが自分のためにやらせていただきました。ネットでは知ることのできない現地の人の心の一端を知り、インフラの様子を知り、今後の意識の向け方に役立てればと思います。

○町の様子
鋸南町役場は通電しておりdocomo系は通信ができました。ここにくることができれば充電や通信はできそうです。地元の方によるとここまで充電をしにくるのは面倒なので停電はとても不便とおっしゃってました。 家屋の半分くらいは瓦が飛ぶなどなんらかの被害を受けていた印象です。ブルーシートでカバーしていた家屋は約10~20%くらいの印象。いかに強風であったかが想像できました。 ビニールハウスはほぼ全滅ではないでしょうか。ガラスのハウスは一見大丈夫そうに見えるので被害はわかりませんが、知り合いの案内で訪問したカーネーションを栽培しているところでは天井のガラスが半分以上落ちて、中のカーネーションにばらまかれていた状態でした。我々も含めて10人くらいで破片をひとつひとつ拾う作業をしました。200坪以上あったと思うので、大変な規模で、あと何週間かかるのでしょうか。

ハウスで割れたガラスを拾う

道の電柱は傾いているものが多数あり、電線で引っ張られて傾くのか、電柱が強風で傾くのかよくわかりませんでしたが、補修する必要がありそうです。看板も半分から折れてそのままになっていたりして、2次災害のための安全確保は自分でやる必要があります。

○物資
事前に情報を集めて物資を用意し、屋根や壁の補修用にブルーシート、ロープ、土嚢袋、ガムテと防災食をお渡ししました。水は受入れされず持ち帰りしました。

物資置き場のスタッフによると、現時点では物資は足りているとのこと。あえて言えば食品と言っていましたが、カップめんのような即席食品は十分ですとのこと。

鋸南小学校の物資置き場

ボランティアでご一緒させていただいた方は野菜類はあるので肉を親戚に届けたとのこと。 必要な物資は刻々と変わると思うので、行かれる方は最新情報を入手する必要があります。 シュナイダーエレクトリック社より支給いただいたバッテリーと太陽光パネル付きランプを持ってきました。太陽光で充電でき、スマホを充電したり夜はランプとして使用できます。物資スタッフの方にお見せして、ニーズがあるか聞きましたが、停電のところは良いと思うがわからないとのこと。スタッフの方が使ってみるとのことでお渡ししてきました。

○労働活動
1箇所目、ボランティアセンターで受付をして、近くの廃校になっていた旧佐久間小学校でごみ拾いや災害ごみの分別をしました。木造三角屋根の素敵な校舎であったと想像できましたが、屋根の大半は飛ばされており、内部もガラスや破片でいっぱいでした。廃校ですが自衛隊の訓練の宿泊にも活用できていたのに、地元の方は、良い校舎なのにお金がないから解体しかないだろうとおっしゃっていました。  校舎からの破片を拾ったり受け入れた災害ごみのうち、分け切れていないものを分別する活動をしてきました。腰を痛めていたので今回の活動では重いものを運ぶ活動はできませんでした。 佐久間小学校の校庭は、災害がれきの集積場になっていて、軽トラなどでひっきりなしに捨てに来る方がいます。瓦、壁板、木、鉄トタン板、プラその他に分かれていて、きっちり分別していました。がれきが少なく、校庭の広さに余裕があるので混乱もありませんでした。津波や浸水被害であったり、首都圏や地方の大都市クラスではこんな秩序だった片付けはできそうにありません。

旧佐久間小学校のがれき置き場

2箇所目、上で書いたように同僚の知り合いのつてで、カーネーション栽培ハウスで割れたガラスの片付けをしました。まだ中途半端に引っかかっているハウスのガラスを全部落として片付けしないと次の収穫ができないようでした。それだけの深刻な被害でも、明るく我々に接してくださった農家さんにたいした言葉をかけられませんでした。

○災害/支援情報
自治体だけでこの状況を乗り切るのは厳しいでしょう。今回は特に初動の遅さが指摘されました。やはり、国が「災害対応省」とかつくって、情報発信とか災害対応のシステムづくりとか、サポートすべきではないかと感じました。刻々と変わる中人や物のニーズ把握やマッチングなどの重要性を感じました。情報収集がもっと早ければ状況は変わっていたかもしれません。

練馬の保養団体の方、辺野古問題に取り組んでいる方など、市民運動やっている方々もいらしていました。心強かったです!

被害に会われた方々が早く普段の生活にもどれますよう願っています。

(田渕透)

日本にもあった違法伐採!! 波紋拡がる宮崎県の盗伐事件(2)

第一回 宮崎市瓜生野ツブロケ谷(その2)

 前回に続き、宮崎県盗伐被害者の会会長の海老原裕美さんが被害当事者となった盗伐事件について、2017年3月にようやく被害届が受理された後の顛末について紹介します。

宮崎県初の盗伐事件にかかる実況検分
 まずは前回説明を割愛した部分を含めて経緯をおさらいします。2016年8月に海老原さんは盗伐被害に遭い、警察に通報した後、2016年11月に宮崎北警察署は海老原さんの被害地の境界や被害状況を確認する実況検分を行いました。林地の所有者であり自身で植林もされた海老原明美さんによれば約200本の立木があったそうですが、警察の検分結果は39本。検分に立ち会った海老原さんは「あまりにも本数が少なすぎる」と感じ、担当警察官に確認したところ、本数は切り株が目視で確認できたものに限られる、との回答でした。警察の実況検分は1日では終わらず、12月にも行われました。
 また同担当警察官によれば、このような盗伐現場の実況検分は、宮崎県でははじめてのことだったようです。海老原さん家族が被害に遭ったことを機に、彼の取り組みによって盗伐問題が公に取り扱われることとなり、宮崎県に蔓延する盗伐問題解決に向けた大きな大きな一歩だったことが伺えます。

警察の本格的捜査が実現、しかし結果は「不起訴処分」
 その後、警察は本格的に捜査に乗り出しました。宮崎北警察署の刑事第一課のK警部補が海老原さんに話した内容によると県警2名、宮崎北警察署5名、応援10名、合計17名体制で捜査をしたそうです。2017年7月19日には、警察は家宅捜査を実施。対象は11ヶ所で約400点を押収したそうです。
 そして前回も触れましたが、2017年10月、有印私文書偽造、同行使、森林法違反(森林窃盗)の容疑で岩村進、松本喜代美、他1名の計3名の容疑者が逮捕され、2017年12月19日には第一回公判が行われました。
 事態は全容解明に向けて好転しているかのように見えたものの、2017年12月28日付けで海老原さんに宮崎地方検察庁から届いた通知では、2017年3月に宮崎警察が受理した海老原さんの被害に関して「不起訴処分とした」との結果でした。

・・・? では岩村進、松本喜代美は一体何の罪で有罪判決を受けたのでしょうか?

 実は瓜生野ツブロケ谷では大規模な伐採(皆伐)が行われ、盗伐被害者は海老原さんのみならず、大勢の地権者が巻き込まれていたのです。

瓜生野ツブロケ谷の盗伐事件の全体像
 今回の盗伐事件のそもそものきっかけは、被害地における地権者の一人が伐採仲介業(いわゆる山林のブローカー)を営む岩村進に山林の売却について相談を持ちかけたことでした。岩村はその地権者の周辺の林地をまとめて伐採することを企画し、岩村の妻や松本喜代美と協力し、一帯の地権者を調べ、他の伐採仲介業者のYとともに買い付けの範囲を決め、山林の買い付け交渉を進めたようです。
 その範囲は大きく東側と西側に分かれ、面積はそれぞれ1.83(ha)と2.93(ha)、地権者数は4名と18名でした。海老原さんは東側の4名のうちの1人に該当します。
 岩村・松本らが山林の買い付けを進める上で、地権者の中には県外在住の方やすでに亡くなっている方が多いことが判明し、対象地におけるすべての山林の買い付け交渉が困難であると認識した彼らは、東側、西側ともに一部の山林の伐採届けを偽造したのです。
 さらにその後の手続きも実に巧妙に複雑になっていて、偽造した伐採届けに記載した届出人の伐採業者I社は実際には伐採をせず、他の伐採仲介業者Tに転売され、そのTを介して伐採業者S社によって最終的に伐採されたのでした。

 つまり、彼らの手口は、伐採対象地のすべての伐採届けを偽造するのではなくて、一部の山林買い付けにおいては、(買い付け価格の妥当性はさておき)合法的な行政手続きによって正式な伐採届け&適合通知書を入手し、それを根拠に周辺の山林を不当に伐採(盗伐)してしまうというものです。その違法性を問われた際は「境界がわからなかった」、「間違えた。故意ではない」など、いわゆる“誤伐”として言い逃れをするのです。
 今回の件で実際に伐採をしたS社について、海老原さんによると、岩村は「S社社長が今回の盗伐について裏で絵を描いた」と供述したそうですが、S社は警察から森林窃盗の嫌疑をかけられたものの、結果的には「お咎めなし」でした。

 本事件に関して、海老原さんのみならず宮崎市でも「伐採届を偽造して提出した」として、届け出に関わった岩村・松本を含む業者らが関与をした4件について2017年10月5日、有印私文書偽造・同行使容疑で刑事告訴しました*1。この4件とは前述した東側に該当するもので、そのうちの1件、海老原さん事案は不起訴でした。また宮崎市では2017年12月14日に追加で4件の刑事告訴をしています*2。追加の4件は前述の西側に該当するものです。東側の4件が起訴されたことを受け、市が2015年11月~2016年2月の間に提出した伐採届について調査をしたところ、この4件の偽造が明るみになったようです。2件は所有者が亡くなっており、残り2件は所有者の同意を得ていないことが確認されました。つまり宮崎市は合計8件の盗伐事件を告発したのでした。
 しかしながら宮崎地方検察庁が起訴したのは3件のみ*3。公判において他の5件は言及されず、岩村・松本に対して「常習性がない」との表現が適用されました。これは事実とまったく異なる表現、認識であり、宮崎地検の対応や判断についても、海老原さんは大きな疑念を抱いています。

盗伐も宮崎県では“誤伐”に
 海老原さんによると、宮崎県においてこの“誤伐”が明るみになった際は、盗伐業者が巧みに示談に持ち込み、とても安価な示談金で手打ちになってしまうケースがほとんどのようです。
 宮崎県盗伐被害者の会会員で延岡市の被害者は、被害届を出そうと延岡警察に約1年半、幾度となく粘り強く熱心に相談を持ちかけたところ、S警部補からその被害者に直接電話があり1時間くらいをかけて「(直接伐採をした)M社が100万円を出すから示談にしなさい」とのやや恫喝まがいの説得を受けたそうです。実はこの被害者は、盗伐被害を受けるのが5回目だったとのこと。1回目は父親所有の林地が被害に。2回目は母親名義の林地。そして当事者所有の林地でも3回に渡る盗伐。さすがに業を煮やして被害届を出すに至ったそうです。
 また同じく会員の川越静子さんの事例では、静子さんの息子さんが盗伐業者の伐採行為を現行犯で発見し、警察に通報したにも関わらず、駆けつけた高岡警察署の警察官は盗伐業者を逮捕するどころか、その場で通報者に対して示談を勧め、示談書への指印を要求したのだそうです。
 次回、川越静子さんの事例を詳しく紹介します。

 本稿では推定無罪の原則に基づき、有罪判決を受けていない容疑者については、原則としてイニシャル標記としていますが、本稿で触れた仲介業者のYやT、素材生産業者のS社、その他、素材生産業者のS社、M社、K社、A社など、被害者の会会員の調べで確実に盗伐に関与している業者が判っています。中には業者自ら「俺が伐った。盗伐だった」といった証言をした事例もあります。驚くことにこれらすべての事業者は宮崎県造林素材生産事業協同組合連合会(宮崎県素連)によって合法木材供給事業者として認定されています。
 実は、被害者の会会員の中に、息子さんが警察官の方がいて、その方によると息子さんは「警察では誰も誤伐だとは思っていない。警察官で知らないやつはいない」という見解を示しているそうです。
 海老原さんは、盗伐に関与したすべての者が有罪判決を受けるべきだと主張しています。

不起訴処分を不当として検察審査会への申立
 その後、海老原さんは自身の林地の盗伐被害について、宮崎地方検察庁(担当はK検事)が不起訴処分としたことを不当とし、2019年2月5日、宮崎検察審査会へ審査申立を行いました。
 その結果、令和元年(2019年)7月11日、有印私文書偽造、同行使、森林法違反被疑事件として「不起訴処分は不当である」と議決されました。この議決により検察官に対して再考と再捜査が要請されました。今後の検察による再捜査の行方が大変注目されるところです。

宮崎県の盗伐被害者の特徴
 政府等から公に発表されている資料やその他報道等において、誤伐(盗伐)は地籍調査*4が済んでいないところで発生しやすいとされています。しかしながら、海老原さんの被害を含め、宮崎県盗伐被害者の会会員の被害事例において、そのほとんどが地籍調査が済んでいる林地でした*5。宮崎県の盗伐実態は、他県における一般論では説明しきれないほど深刻です。
 また、宮崎県被害者の会会員の事例を類型化してみると、そのほとんどが以下に該当します。(1)高齢の独り暮らしの女性(宮崎市外)、(2)家族は宮崎市内、または県外在住、(3)聴覚障害や知的障害など何らかの障害を持つ、または家族にそうした者がいる*6。いわゆる社会的弱者を狙った極めて卑劣な行為です。そして前回も触れましたが、こうした行為が過去10年間において宮崎市内で少なくとも836件も起こっているのです。
 こうした行為が長きに渡り見過ごされ、隠蔽されてきた宮崎県の森林・林業界の実態。これが森林・林業界だけのことなのか、それとも県下の警察を含む行政機関、検察・裁判所といった司法機関、そして宮崎県選出の国会議員を筆頭とする県・市町村議会議員といった立法機関のすべてに及ぶものなのか、まだその実態は明らかになっていません。さらに宮崎県に限ったことなのか否か、、、判断できる材料はまだまだ不十分です。
 いずれにしても、この状況は違法伐採が問題になっていて、汚職・腐敗が蔓延しているような途上国のものに匹敵します。この国は本当に先進国なのか、疑いたくなります。

 海老原さんの被害から実態が明るみになった宮崎県の盗伐問題。今後もしっかり注視していきます。(三柴 淳一)

第一回 宮崎市瓜生野ツブロケ谷(その1)

*1 宮崎日日新聞2017年10月6日紙面
*2 毎日新聞 2018年2月9日
https://mainichi.jp/articles/20180209/k00/00e/040/214000c?_ga=2.2839344.1073703159.1567670225-1507165860.1567670225
*3 宮崎日日新聞2019年7月23日紙面
*4 多くの地域で地籍調査が行われておらず、平成26年度末時点における山村部の地籍調査進捗率は44%
http://www.chiseki.go.jp/plan/sansonkyoukai/index.html
*5 海老原さんの林地は昭和60年9月3日に地籍調査済み
*6 【横田一の現場直撃】被害者が語る森林盗伐の現場/辺野古違法な赤土投入20190108
https://www.youtube.com/watch?v=kqdmp_AorLo

8月23日フェアウッド研究部会セミナー報告

初めまして、インターンの國兼です。

 

23日に行われた、フェアウッド研究部会のマルミミゾウについての講演会に参加してきました。

講師はWCS・自然環境保全研究員、NPO法人アフリカ日本協議会・理事の西原智昭さん。西原さんは、コンゴ共和国などアフリカ中央部の熱帯林地域で野生生物の研究調査や熱帯林保全に携わってこられた方で、今回は、マルミミゾウの棲む森で起こっている熱帯林や野生生物の保全の実態および先住民族の現状とその課題、エボラ出血熱の状況、そして日本との関わりについて講演をしていただきました。メインのテーマであったマルミミゾウは、ここ10年で62%も減少していて、その一番の原因となっているのは、象牙目的の密猟だそうです。

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この問題には日本も関わっていて、マルミミゾウの象牙というのは、印鑑、三味線などの日本の伝統工芸品に使われている素材で、高度経済成長期時代にコンゴ共和国からマルミミゾウの象牙を一番多く輸入していたのは日本であったそうです。現在でも日本の象牙管理制度は不十分で、マルミミゾウの保全と日本の文化(伝統芸能)。この二つをどちらも守るためには早急に対応をする必要があると感じました。

また、マルミミゾウは多種の果物を食べ、大量の糞を森の広範囲でします。つまり、さまざまな種子を森中に運ぶ役割を担っており、マルミミゾウの減少は森林の減少に直結するのです。

さらにコンゴ共和国では、木材資源確保のための森林伐採も行われ、森林の減少が進んでいます。そしてこの森林の減少が、間接的にエボラウイルスの感染に繋がっているそうです。エボラウイルスの感染経路としていま挙げられているのは、フルーツバットという現地では食用として食べられているコウモリによる感染です。フルーツバットはエボラウイルスの抗体をもっていて、このウイルスに感染している個体を人間が食べてしまうと、人間はウイルスに対する抗体をもっていないため、症状がでてしまうのです。

なぜフルーツバットによるウイルス感染の増加と森林減少が関係しているのか、それはまだ仮説の段階ではあるそうですが、森林の減少に伴い、それまで森の全域に生息していたフルーツバットは残された森に集中し、逆に現地住民の生活区域が広がったことで、フルーツバットと遭遇する確率が高くなってしまったことが原因であると述べられていました。

現在これらの地域では、マルミミゾウや森林だけではなく、現地に住む先住民族も存続の危機に晒されているそうです。このピグミーと呼ばれるアフリカ熱帯林地域の狩猟採集民族は、狩猟能力、危険な毒ヘビ、ハチ、アリなどを遠くからでも一瞬で見つける能力、また森を歩く能力が非常に長けていて、私たち現代人が持っていない、あるいは失ってしまった能力をもった、貴重な民族であるとおっしゃっていました。ですが、森林の消失、政府による定住化政策、貨幣経済の浸透、先進国型教育の導入と強制、主にこの四つの要因により、民族の存続危機に陥ってしまっているそうです。このままこの要因を解消できず、ピグミーが持っている能力、知識、伝統を失い、継承されることがなくなってしまえば、環境の保全や研究どころではなくなると西原さんは強く訴えていました。

この講演会は、いままで自分が知らなかった多くの知識を得ることができる機会になりました。全体を通して自分が特に重要であると考えたのは、環境を保全するということはただ単に森林だけ、生物だけを保全すればいいということではなく、一つの問題はそれ以外の他の要素とも深く関わっているという考え方でした。この考え方を、さまざまな活動で役立てていきたいと感じました。

 

ICRP「大規模原子力事故後の放射線防護」勧告草案に意見を出そう!(締め切り:10/25)

>締め切りが10月25日に延期になりました!
>FoE Japanでもコメントを出しました!

ICRPの「大規模原子力事故における人々および環境の放射線防護」草案が公開され、ウェブ上でパブコメにかかっています。
草案全文およびパブコメはこちらから(英語)>http://www.icrp.org/consultations.asp

上記のサイトを開き、「submit comment」という緑のボタンを押し、名前、E-mail、団体名およびコメントを書いて、「Submit」ボタンを押してください。コメントはあらかじめ下書きを書き、コピーペーストするのがおすすめです。PDFファイルも添付できます。日本語でも出せます。

ICRP勧告案の主要部分の日本語訳
>その他の部分の日本語訳(市民団体による仮訳)は、市民科学研のページからダウンロードできます。
今回のとりまとめにあたったICRPタスクグループの甲斐座長による説明資料
ICRP勧告は人々を被ばくから守ったか?~東電福島原発事故の経験から~

ICRPが新しい勧告を出すと、日本を含め多くの国で放射線防護関係の法令の見直しが行われます。しかし、多くの人がパブコメを行われていることすら知らないのではないでしょうか? 

FoE Japanも参加する原子力市民委員会が、①日本語版を作成すること②日本において公聴会を開催すること③締め切りを延長することーを要請したところ、8/20付で回答がきました。①については主要部分を翻訳する、②についてはすでに類似のもの(福島ダイアログなど)を開催しちるという回答でした。③については、その後、締め切りが10/25まで延長されました。

さて、ICRPの勧告草案の中では、「参考レベル」という言葉が何度もでてきます。これはとてもわかりづらい言葉ですが、「暫定的な目標値」という言い換えが最も近いでしょう。この「参考レベル」以上の被ばくをしているの人たち(図のグレーの部分)を対象に、放射線防護の対策をとっていき、参考レベル以下にしていく。ある程度その対策が進んで、参考レベル以上の人たちの人数がすくなくなれば、参考レベルもまた下げていくというものです。(下図)。

ICRP Pub.111 「原子力事故または放射線緊急事態後の長期汚染地域に居住する人々の防護に対する委員会勧告の適用」
http://www.icrp.org/publication.asp?id=ICRP+Publication+111

現行のICRPのPub111は「(現存被ばく状況の)参考レベルは、1~20mSvの下方部分から選択すべきである。過去の経験は、長期の事故後の状況における最適化プロセスを拘束するために用いられる代表的な値は1mSv/年であることを示している」としています。
「現存被ばく状況」とは、原発事故直後の混乱がおさまったあとの、回復期を意味します

今回の改定草案では、以下のようにしています(パラ80)。

「緊急対応時の後の長期汚染地域に居住する人々については、委員会は、長期に続く現存被ばく状況では、実際に人々がうける被ばくの状況やリスクへの耐久性(tolerability)を考慮して、1-20 mSvのバンドまたはそれ以下で参照レベルを選択することを推奨する。一般に、年間1 mSvのオーダーまで被ばくを段階的に被ばくを減らすため、年間10 mSvを超える必要はないであろう。
Publication 111(ICRP、2009b)で、委員会は1–20-mSv帯域の下部の参照レベルの選択を推奨した。選択された参照レベルが一般に10 mSvを超える必要がないであろうという今回の推奨事項は、この立場を明確にするものである。」

つまり、参考レベルの記述のみをみると、現行の勧告と同じことを言っていると解釈できます。

「参考レベル」というわかりづらい概念を設定し、被ばくの「上限」や「基準」を定めず、結果的に高い被ばくでも許容してしまうの? ということ自体も問われるべきでしょう。「上限」とか「基準」を定めても、事故が起こればそれを簡単に超えてしまう。対策もそうそうとれない。とろうとしても膨大な社会的なコスト、影響が発生する。そうすれば、原子力産業が存続できない、ということなのではないでしょうか。

しかし、日本政府はこのICRPの勧告すら守りませんでした。2011年4月に年20mSvを基準に計画的避難区域などを設定しましたが、その後、避難区域解除のいくつかの条件のうち、放射線に関するものは年20mSvを下回ることとしました。つまり、避難・帰還の基準を20mSvで高止まりさせてしまい、「1~20mSvの下方から参考レベルを選び、それを順次下げていく」というICRPの勧告は採用されなかったのです。

一方で、今回の改定草案では、現行の勧告の「緊急時被ばく状況」と「現存被ばく状況」を、「緊急時対応(早期/中間期)」、「回復プロセス」(長期)に分けなおしていることにも注意が必要です(下図)。

ICRP緊急時、回復期

(出典:ICRP「大規模原子力事故における人々および環境の放射線防護」草案 p.10)

「緊急時」を長くとれば、より長い期間、緊急時を理由にして、より高い参考レベルを採用し、政府が、避難などの防護策をとらずにすませることを可能としているのではないか、気になるところです。

いずれにしても、ICRPの勧告はとても抽象的であり、政府には都合のよい解釈を許すものとなっています。

その他、以下のような問題点もあります。

  • 被ばくを、個人のライフスタイル、個人の行動によるものとし、結果的に「被ばく」を個人の責任に帰しているのではないか。
  • 避難区域や避難勧告の設定や土地利用のゾーニングなど、「場の管理」の重要性を軽視している。
  • 避難による健康被害や死亡については触れているが、避難できないことによる葛藤や被ばくリスク、避難者に対する賠償や支援が適切に行われないことによる避難者の窮乏についてはふれられていない。避難の有用性を、「緊急時」の早期に限っているようにも読める。
  • 住民が被ばくを避ける選択を行う権利についてふれていない。

東電福島原発事故を描写している付属書Bについても、多くの問題があります。たとえば、以下のような重要な事実がふれられていません。

  • 避難区域外からも多くの人たちが避難を強いられたのにもかかわらず、2011年12月までは区域外からの避難者に対する賠償はなく、2011年11月に決まった中間指針でも、とても少額であった。その後、避難者に対する住宅提供も次々に落ち切りになり、区域外避難者の困窮、社会的・経済的な圧迫につながった。
  • 避難・被ばく防護の政策、避難区域の再編、避難解除の基準に関して、人々の意見が反映されなかった。例えば、避難解除について、説明会は開かれ、多くの住民が「解除は時期尚早」と意見をいっても、これらの声は無視されてしまった。
  • 避難者・居住者・帰還者を等しく支援するという「子ども・被災者支援法」が満足に実施されなかったが、それについても記載がない。
  • 福島県県民健康調査において、見出された甲状腺がんについて、「事故後の放射線被曝の結果である可能性は低い」とのみ記載し、「甲状腺がんが多く発生している」こと(検討委員会も認めている)、多くのもれがあることなど、重要な事実を記載していない。

みなさまも、ぜひチェックしてみてください。

▼改定の中心となったICRP TG93座長甲斐倫明氏によるプレゼン資料
https://drive.google.com/file/d/12k7NDfkE47iKHGy8XXYyl_G-4O2ctvf_/view

▼満田プレゼン資料

本件に関して、ぜひ日本からも声をあげていきましょう。
FoE Japanでも引き続き発信をしていきます。     (満田 夏花)

日本にもあった違法伐採!! 波紋拡がる宮崎県の盗伐事件

 

盗伐被害地(記事とは別の被害地)。土地の境界標があってもお構いなし!(宮崎盗伐被害者の会提供)

第一回 宮崎市瓜生野ツブロケ谷

 2019年7月12日、新聞各紙の地方版紙面において、宮崎県国富町の山林における森林法違反(森林窃盗)、いわゆる“盗伐”の疑いで日向市の素材生産業者「黒木林産」社長、黒木達也容疑者が7月11日に逮捕されたことが報じられました。記事によれば宮崎県内で同容疑での逮捕は2例目で、伐採業者の逮捕は初めてのことです。
 その1例目の事例とは、2017年10月5日、有印私文書偽造、および同行使、森林法違反(森林窃盗)の容疑で岩村進、松本喜代美、他1名の計3名の容疑者が逮捕され(10月26日に再逮捕)、2018年3月20日、岩村進、松本喜代美被告がそれぞれ懲役2年6ヶ月(執行猶予5年)と懲役2年6ヶ月(執行猶予4年)の有罪判決が下された事例のことです。

 今回は、この事例の被害当事者であり、宮崎県盗伐被害者の会会長の海老原裕美さんの事件を紹介します。

被害者 海老原明美さんの事件

 海老原さんが被害にあった山林の所在は「宮崎市大字瓜生野字ツブロケ谷4689-2」。県道26号宮崎須木線から「エコクリーンプラザみやざき」へ向かう主要道路に面した林地で面積は0.21(ha)。この山は、海老原さんが生まれた記念にご両親が作った山で、母親の明美さんもとても愛着のある山だったそうです。

私の山がない!
 その山の異変に気付いたのは2016年8月。現在は千葉県千葉市に在住している海老原さん家族がお盆の墓参りに帰省し、たまたま林地を通りかかった際に「私の山がない」ことに気付きました。裕美さんは「何かの間違いだろう」と思いつつも、明美さんが「間違いない。ここに私たちの山があった」と言うので、翌日法務局にて地籍図を入手し確認したところ、そこは皆伐された海老原明美さん所有の山林だったのです。
 明美さんは、後日放映されたTV番組の取材*1で被害に遭ったことについて「(伐採され)本当にくやしかった。泣き寝入りだけはしたくない。犯人がいるのだから逮捕してほしい。ただそれだけ」と悔しさをにじませて話しています。

犯人探し
 それから海老原さんは宮崎市役所や宮崎北警察署に被害の相談に行きましたが、まったく取り合ってもらえませんでした。「一体誰が伐採したのか」。海老原さんはその犯人探しを独自ではじめました。まずは宮崎市役所へ「伐採及び伐採後の造林の届出書(いわゆる伐採届)」に関する情報開示請求。驚くことにその開示された文書には15年前に亡くなった父親の海老原政勝さんの署名と捺印がありました。これは明らかに有印私文書偽造、同行使の罪に問われる行為です。犯罪です。
 さらに森林法に規定された手続きとして各市町村に提出された伐採届は、それが受理された後「伐採及び伐採後の造林の計画の適合通知書」が「伐採後の造林に係る権原を有する者」、つまりは山林所有者届出者に対して送付されることになっており、宮崎市役所は、なんと既に亡くなっている海老原政勝さん宛てに3回も送付していました。当然宛名はこの世にいない人ゆえ、市役所に返送され、その後適合通知書の事務処理未処理状態になっていたことが、その後の宮崎市とのやりとりの中で明らかになりました。この適合通知書が戻ってきたことを受け、伐採届の記載内容についてより慎重に検証、例えば海老原政勝さんの住民票との照合などをしていれば、海老原さんの林地の盗伐は未然に防げた可能性もあります。明らかに行政の不手際だったと言えます。
 海老原さんはその後も宮崎市役所や宮崎北警察署に対して、盗伐や有印私文書偽造という犯罪行為について「捜査してほしい」と繰り返し相談を続けたものの、両者とも書類の偽装を確かめようともしませんでした。

 こうした状況を受け、海老原さんは各報道機関に訴えかけ、盗伐被害とそれに対する行政機関等の対応の実態を世に知らしめるべく動きました。宮崎日日新聞や旬刊宮崎といった宮崎の地方紙のみならず、全国紙の地方版でも取り上げてくれました。さらには宮崎市議会議員の伊豆康久氏*2の協力を取り付け、平成28年第6回定例会(2016年12月6日)から継続して「盗伐問題」についての宮崎市の対応を追及してもらいました*3

被害届の受理
 翌2017年3月、宮崎北警察署は海老原さんの「示談には応じない。そして犯人に対する厳しい処罰を希望する」という強い意思を確認した上で、ようやく海老原さんからの被害届を受理しました。

 その後、2017年4月にMRT(宮崎放送)の撮影が宮崎市役所に入った際、宮崎市森林水産課課長が海老原さんの「既に亡くなっている人物の名前が記載されているのに、その文書を市が受理したのはおかしいですよね。この届出は有効ですか、無効ですか」との問いに「それを確認できていないのはまずかった。(伐採届は)体をなしていない」と回答し、海老原さんの最初の相談から8ヶ月、ようやく宮崎市は書類の不備を認めたのでした。

被害者の会、設立
 この間、海老原さんは大勢の盗伐被害者の方々とともに動いてきました。海老原さんが被害に遭った2016年8月頃よりも2年も前に被害に遭った方など、近隣にも大勢の被害者がいたのです。「泣き寝入りは絶対にしない」。盗伐の原因追及と責任の明確化、および行政、警察、業界団体に対して然るべき対応を求めていくべく、海老原さんは被害者の方々とともに宮崎県盗伐被害者の会を立ち上げ、2017年9月29日、宮崎県庁記者クラブにて同会設立総会を開催しました。十数家族の参加で船出した会は、現在88家族が参加する会に拡大しています。声をあげる家族が少しずつ増えてきているということのあらわれです。

 なお、前出の前宮崎市議、現宮崎盗伐被害者の会事務局長の伊豆さんが、宮崎市議会平成29年第4回定例会で「過去十年間で宮崎盗伐被害者の会で把握している9つの盗伐業者や個人から何通の伐採届が出されているのか」と宮崎市に回答を求めたところ、836件だったことが判明しました。これらの多くが「盗伐」の可能性が高いと考られます。
 被害者の会が把握している被害者家族は会員家族以外に85家族あります。会員家族とあわせれば被害家族は173家族です。さらに驚くことに、ある県内企業の社長によると、その社長自身の山林も過去3回も盗伐被害に遭っており、「盗伐被害者数は少なくとも1,000家族以上はいる」と海老原さんに話したそうです。

 宮崎の盗伐問題の根はとても深く、まだまだ明らかにしなければならないことはたくさんありますが、被害を受けたにも関わらず無念にも泣き寝入りをせざるを得なかった被害者の方々の無念を晴らすためにも、海老原さんの活動は続きます。

 次回は、宮崎北警察に受理された海老原さんの被害届のその後、そして被害地の瓜生野ツブロケ谷で起こった大規模な盗伐の全容について紹介します。

*1:MRT宮崎放送特別報道番組「私の森が消えた ~森林盗伐問題を追う」(2017年5月31日午後1時55分放映)
*2:現在、元宮崎市議会議員の伊豆康久氏は宮崎盗伐被害者の会事務局長。
*3:伊豆元宮崎市議の質問は、平成28年第6回定例会(第3号)から平成31年第1回定例会(第3号)まで継続的に行われた。

(三柴 淳一)

「オリンピック、どう思う?」 避難者の声をききました。~優先すべきことは何?

東京オリンピックまであと1年となりました。「復興五輪」とも呼ばれていますが、原発事故の避難者の方々はどのように感じているのでしょうか? これについて、海外のメディアから問い合わせがあり、福島から東京に避難している方々の「声」を集めました。いろいろ考えさせられる内容であったため、ご本人たちの了解を得られたものについて、FoE Japanのブログでも紹介させていただきます。
避難者の方からすると、「もっと優先すべきことがあるのではないか」というご意見が多かったようです。福島県在住の方、近隣の方、避難された方のご意見を今後集めていきたいと思います。
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オリンピックについては私個人としては実は複雑です(^_^;)
オリンピック自体にはなんの偏見も無いのですが東京に誘致する際の安倍総理の発言やオリンピック開催が決まってから避難している事自体が変!って感じになり地元へ帰れるのに帰らない!って目で見られるように持って行かれた感が半端ない気がしました。
避難者を切り捨て嘘で塗り固めたオリンピックには正直怒りさえ覚えます。復興オリンピックみたいなイメージですが全くその復興のふの字もない空っぽのオリンピックにしか見えていません。
無理矢理住宅を追い出して全世界に日本の再生をアピールするよりも避難者や弱者にも優しいオリンピックであって欲しかったかな
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わたしの人生においてオリンピックには、そもそも興味がありませんでした。 応援したい人はいつも身近な存在の人です。
一時の為に莫大な予算を掛けて、会場や宿泊施設を作り終わったら破壊するというのは無駄でしかないと思います。
そんなことをするならば、福島の子供達の為に国が保養施設を作って、クラス単位で毎年決まった日数を過ごすようにして欲しいです。
家族でいつでも使える保養施設を作って欲しいと思います。
原発は国策で作られたのですから、安全神話を信じてそれを容認していた私達にも問題はあったと思いますが、個人では経済的にも時間的にも精神的にも負担がありすぎるので、国の援助がほしいです。
民間でもやっていますが、それは抽選であり行きたくても行けない人がたくさんいると思います。
そして年々保養をやってくれている団体が減ってきていると聞いています。
福島はアンダーコントロールと総理大臣がいいましたが、まだ福島は汚染されていますし、福島第一原発は事故当時のままに何も解決してないでしょう。今も放射能を撒き散らしているでしょう。汚染マップにある通り放射能汚染は福島だけにとどまってないでしょう。
(それでもできるだけ遠くホットスポットを避けて今よりも汚染されてない場所へ大切な人と離れることなく、多くの人が避難してほしいと願っています。)
国に放射能汚染を認めてほしいです。 今も危ないのだと。 みんな気をつけて生活してほしいと。 絶えず真実を公表して国も出来ることをすると。
そして、避難したい人には避難するためのバックアップをするシステムを作ってほしいです。
できたら、コミニュティを壊すことなく地区ごとに避難できたらいいです。 新しい町をどこかに作ってほしいです。
過疎化が進んだ地域はいたるところにあるのですから、不可能な事ではないと思います。
たった数日の熱狂のためより、たくさんの人が安心して幸せに暮らせるような、そういうことに税金を使ってほしいと思います。
しかし、もうオリンピックの予算はつけられて、箱物も作られてもう完成したのでしょうか。 オリンピックはどうして既存の施設を使わないのでしょうか?
あるものを使えばいいだけではないですか? 日本は格差が広がり、また消費税の増税が決まっており、どんどん生きづらくなっていると思います。
弱者を作らない政策を、穏やかな日々を。 そう。ただ一時期の熱狂より、穏やかな日々を望んでいます。 子どもを社会全体が守るように。
子どもが世の中を冷めた目で見るようなことがないように。 子どもがこの世はいいところだと思い、未来を信じられるような世の中になってほしいです。
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東京オリンピックの時は、まだ、3歳なので、東京オリンピックが、決まりますようにと、お祈りして、決まった時の感動🥺一人夜中に、拍手👏良かった!
でも、安倍晋三さんの原発は、コントロールされている発言は、無責任な言動!
それでも、オリンピックに向けて多くの人が、頑張ってあと一年になるのは、素晴らしいなぁと若い選挙を応援したいです📣。
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日本全国的には勇気付けられると思うけど、新しく建てている国立競技場の姿を見ると、未だに仮設住宅暮らしの人とか自宅がないも同然の人にすべきことの方が重要性と早急性は高いんじゃないかな、とは思ってます。

オリンピック成功のため、都合の悪い避難者は排除されたと思っている、勇気付けられる事など一つもない。自主避難者現状を世界に知って欲しいし私達への仕打ちを非難して欲しい。
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選挙応援のスピーチで、福島県にまで足を伸ばした安倍総理が言った。「福島県の復興がない限り、日本の明日はありません。」 本当か?
私はこう思います。その「復興」をかかげる陰に、どれだけの犠牲者が出たことか、悲惨な毎日を今も送っていることか、真実をよく見てほしい。全体主義のために、母子家庭の暮らしや社会的弱者を踏みつけながら、オリンピックに沸く国に、本当の復興はまだ訪れません。
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福島県県民健康調査委員会 甲状腺がん多発と被ばくとの因果関係で紛糾

写真上:「県民健康調査」検討委員会開催風景

7月8日、福島県「県民健康調査」検討委員会が開催され、その中で、甲状腺検査2巡目の結果、甲状腺がんやその疑いとされた71人について、「被ばくとの関連は認められない」とする甲状腺検査評価部会(部会長は鈴木元氏)の「まとめ」が報告されました。
NHKなどの報道では、「概ね了承」とされていますが、これは事実ではありません。甲状腺がんの発生率が地域がん登録で把握されている甲状腺がんの有病率に比べて「数十倍高い」としているのにもかかわらず、また、明らかに地域差がみられるにもかかわらず、それに関する評価が行われていないことに、「納得できない」「腑に落ちない」とする成井委員・富田委員らの強い発言もあり、委員会は紛糾しました。

「数十倍高い」

甲状腺検査評価部会まとめは、こちらです。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/336455.pdf
「先行検査における甲状腺がん発見率は、わが国の地域がん登録で把握されている甲状腺がんの罹患統計などから推計される有病率に比べて、数十倍高かった。本格検査(検査 2回目)における甲状腺がん発見率は、先行検査よりもやや低いものの、依然として数十倍高かった」とし、甲状腺がんの多発については認めています。 (←報道には乗らないのですが、結構重要なポイントではないかと思います)

また、地域別の悪性ないし悪性疑いの発見率については、「単純に比較した場合に、避難区域等13市町村、中通り、浜通り、会津地方の順に高かった」としています。

しかし、性・検査時年齢、検査実施年などのさまざまな要因が上記の地域差に影響を及ぼしているとし、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)で公表された年齢別・市町村別の内部被ばくを考慮した推計甲状腺吸収線量を用いて試算した結果、「線量の増加に応じて発見率が上昇するといった一貫した関係は認められない」として、放射線被ばくとの間の関連は見られない、としています。ちなみにこの分析は、実数データが付されていないため、外部専門家が検証できない状況となっています。また、県民健康調査で集計からもれている11人については分析の対象とされていません。

「4地域の間で明らかな差」

これに対して、成井委員(ハートフルハート未来を育む会理事長、福島県臨床心理士会推薦)は以下のように反論。
・(実際に執刀した)鈴木眞一教授は、過剰診断ではないと言っている。
・避難区域等13市町村、中通り、浜通り、会津、という地域区分は、当初の線量からしても妥当ではないか。この4地域の間で甲状腺がんの発見率に相当の差が生じている。確かに検査間隔や検査年度などのいろいろな要因が入ってくるが、それを排除した分析をやるべき。それなくして「因果関係がない」とは言えない。
・先行検査(1巡目)では、地域ごとに明確に差がでなかったのに、本格調査(2巡目)では、明確な差がでた。それはなぜなのか、検討してくださいと鈴木元先生にはお願いしてきた。地域区分をやめてUNSCEARのデータを使ったということだが、先行検査の手法は地域差の分析であった。なぜ同じ手法を継続しないのか

以下委員の主たる発言です。
鈴木元部会長:4地域比較ができない理由は、同じ年度に測った年度で違う線量を比較して解析しているため
成井委員:UNSCEARだって同じ。自治体の中でも様々な線量が含まれている。推定値に過ぎない。
鈴木元部会長:UNSCEARの線量評価の一番の問題は食べ物からのものを一律にしている点。今回使っているのはそれを差し引いたもの。
高野委員:先ほどの成井委員の発言で、鈴木眞一先生は「過剰診断でない」とはおっしゃっているというが、過剰診断は病理で発見できるものではないので、鈴木眞一氏は過剰診断の定義をご存知ないということ。(満田注:その時点での甲状腺がんが一生涯どのような挙動をするのか、手術時点ではわからない、一生涯、健康に影響を及ぼさないがんである可能性もあるはず、という意味だとおもいます・・・)
富田委員:因果関係がないという結論になるのは、腑に落ちない。「(甲状腺がんが)数十倍高い」「避難区域13市町村、中通り、浜通り、会津地方の順に高い」ということからは、事故との関係があるという結論になりそうだ。他の要因があるにしろ、「事故との関係がない」と言い切ることは強引。
稲葉委員:たいへん低い被ばく線量の中で分析をしている(だから統計的に有意な結果を得られにくい)、ということを明確にすべき。
春日委員:低い被ばく線量の中で分析をしていること、あくまで第2回目の検査を対象としたものであることを明確にする文章とすべき。
清水一雄委員:「関連はみとめられない」と言い切るのは早い。

星座長は、「座長預かりにしてくれないか」とまとめようとしましたが、春日委員がそれに反対。結論としては、座長が修文案を示し、委員がそれを確認する、というようなことになりました。

そのあとの記者会見で、成井委員は「座長あずかりにしたつもりはない」、富田委員は、「少数意見として意見を併記させていただくことになるかもしれない」と述べました。
「なぜ、ここまで急ぐのか」という記者の質問に対して、星座長は、「自分の任期中に結論を出したい」との一点張りでした。

UNSCEARの線量との関係の分析などについては、以下の資料にあります。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/336454.pdf
FFTVでこれに関し、OurPlanet-TVの白石草さんに解説してもらいました。
https://www.youtube.com/watch?v=C0EuWCpHSUs

本件に関しては、「あじさいの会」のメンバーや当事者が、福島県庁に要望書を提出しています。
甲状腺がん患者が福島県へ要望書?県民の意見の反映求め
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2406

甲状腺がん・疑い、218人に

今回は3巡目検査、4巡目検査の状況について報告がありました。
<3巡目>
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/336451.pdf
2次検査対象者 1,490 人のうち 1,081 人(72.6%)が受診した段階です。
悪性・悪性うたがい:24人(うち、手術実施は18人。すべて乳頭がん)
男9:女15
腫瘍の大きさは 5.6mm から 33.0mm
24人の前回検査の結果は、A判定が16人、B判定が5人
<4巡目>
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/336452.pdf
一次検査は対象者の35.4%、二次検査は対象者の52.6%が受診した段階です。
悪性・悪性うたがい:5人(うち、手術実施は1人、乳頭がん)
男2、女2
前回A判定は4人、B判定が1人。

これにより、1~4巡目および25歳節目検診の検査の悪性・悪性疑いは218人(うち良性1人)となりました。
全体像をみる上で以下のまとめが便利です。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/336460.pdf

甲状腺検査のお知らせ文

甲状腺検査のお知らせに記載すべきメリット・デメリットに関しても議論となりました。 資料はこちら。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/336456.pdf
ご覧の通り、メリット、デメリットについてがっつりかかれ、デメリットについては、それに対する取り組みが書かれています。
それでも、前回の甲状腺評価部会のときの文案からは少しやわらげられているかもしれません。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/330654.pdf
このときは、デメリットの最初の項目に以下のように書かれていました。
「将来的に症状やがんによる死亡を引き起こさないがんを診断してしまう可能性があります。
若い方の甲状腺がんは、一般的に重症になることが少ないとされています。自覚症状等で発見される前に、超音波検査によって、甲状腺がんを発見することにより、がんによる死亡率を低減できるかどうかは、これまで科学的に明らかにされていません。」

この件についても、委員からさまざまな意見が出されました。たとえば、ある委員からは、国際的にも甲状腺の一斉検査を行うべきでないことになっていることを明記すべきと発言。星座長もそうすべきと言っていました。
以下の富田委員の意見が、ことの本質を表しているのではないかと思いました。

富田委員:このお知らせをみて、「(デメリットが大きいから)やはり検査を受けるのをやめておこう」となり、そのあとで甲状腺がんになり、「あのとき検査を受けておけば」ということになり、福島県が訴えられるような場合があるかもしれない。自己責任と言ってしまってよいのか。 もし自己責任ということであれば、その旨明記すべきではないか。

こころの健康度などについて

平成29年度の「こころの健康度・生活習慣に関する調査」の結果が報告されました。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/336444.pdf
p.13にある、気分の落ち込みや不安に関して支援が必要な人の割合など、心の健康に関する状況は改善しているようですが、県内にくらべ県外の人たち(避難者など)の要支援割合が高いという結果になっています。
心の健康は、生活の基盤の安定性と密接な関係にあるでしょうから、避難者への相次ぐ支援の打ち切りをしておいて、心の健康だけを支援(?)しようというのは、問題だと思いました。
ちなみに、p.17の放射線の健康影響の認識については、放射線のもたらす長期的な影響(後年影響)に関する認識についてきいています。
「可能性は高い」「可能性は非常に高い」とする人の割合は事故当初の平成23年から減少しているものの、平成26年以降は一定割合(32~33%)を保っているとのこと。福島県や国による放射能安全PRは、それほど功をそうしていないのかもしれません。(満田夏花)

G20大阪サミット- 気候危機への緊急性に欠けた幕切れ

先週28、29日に大阪でG20サミットが開催されました。気候変動問題も主要議題の一つでしたが、残念ながら前進はなく、むしろ後退したと言っても過言ではありません。

FoE Japanを含む環境団体は、28日、議長国である日本の安倍首相に対し、脱石炭を求めるアクションを大阪市内で敢行。安倍首相に似せたマスクを被ったメンバーが、石炭に依存する姿を演じました。

またサミット開催を前にアジア各国でも日本に対し石炭火力や化石燃料プロジェクトからの撤退を求めるアクションが相次いで行われました。

日本国内でも、現在、石炭火力発電所の建設計画が進められている横須賀や神戸で住民と環境団体による脱石炭アクションが行われました。

フィリピンでのアクション

今回のG20首脳宣言では、アメリカを除く各国が国別貢献(NDCs、各国が定める気候変動対策)を維持またはアップデートすることが確認されました。しかし各国が定めるNDCではパリ協定の1.5℃目標どころか、2℃目標も達成できないことはすでに明白であり、各国のNDC強化に対するより強いコミットメントが求められていたなか、そこまで踏み込んだ文言が盛り込まれなかったことは非常に残念な結果と言わざるを得ません。

さらに米国のパリ協定離脱が、「米国の労働者と納税者に対し不利になる」という理由の下、首脳宣言の中で、改めて確認されました。温室効果ガスの大量排出国であり、歴史的責任の大きい米国がパリ協定から脱退し、気候変動政策を遅らせることは、すでに気候変動の影響を受ける多くの途上国にも大きな影響が生じかねません。

また再生可能エネルギーへの言及がほとんどなく、二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)などを強調している点も問題です。

さらにG20諸国は2009年から化石燃料補助金の撤廃をかかげてきましたが、今回の首脳宣言でも「化石燃料補助金を中期的に合理化し、段階的に廃止する共同のコミットメントを再確認する」という文言にとどまりました。

日々深刻になる気候変動の影響に立ち向かい、これ以上の危機を食い止めるためには、一刻もはやい脱炭素化が必要です。また日本の石炭火力発電所の輸出は気候変動を悪化させるだけでなく、発電所建設現場での人権侵害や土地収奪、住民の生計手段の喪失にも繋がっています

FoE Japanでは今後もアクションや提言を通じ、脱石炭や海外支援のあり方の改善を求めていきます。

(深草亜悠美)