保護中: イギリスへの原発輸出ー現地住民の声

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エネルギー基本計画見直し議論の現状

2017年8月より、「エネルギー基本計画」見直しの議論が始まっています。
経済産業省の審議会「基本政策分科会」で主に議論され、並行して新たに設置された「エネルギー情勢懇談会」で2050年を見据えた議論を行い(2018年3月中にとりまとめとのこと)、その議論結果も参考にしながら、4月以降エネルギー基本計画見直しについてまとめるとされています。

今月26日に開催予定の基本政策分科会では原子力・火力がテーマとされます。審議会の中では、「日本は資源が乏しい」「2030年の原子力割合20~22%をどう達成するか」と考えるメンバーが多く、世論や世界情勢との乖離を感じざるをえません。

審議会での議論は、「資源が乏しい日本」というように、いまだに中央集権型エネルギー構造がベースとなっており、脱原発・脱化石燃料に向かう世界の動きや、震災後の「地域分散型」エネルギーシステムにむかう各地での変化を無視したものです。
この間にも地域での再エネ活用や・地域づくり、そしてパリ協定を受けて再エネやサステナビリティを重視する方向へと、企業も大きく方向転換しようとしています。

エネルギー基本計画改訂に市民の声を(12月8日作成のスライド)
           
FoE Japanは、eシフト・グリーン連合などのネットワークを通じて、エネルギー基本計画を「原発ゼロに」と呼びかける署名をスタートすべく準備中です。また、年明けには政府交渉や院内集会を予定しています(詳細が決まり次第ご案内します)。

(吉田明子)

・基本政策分科会 資料等
(8月9日、11月28日、12月26日(予定))
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/
・エネルギー情勢懇談会 資料等
(8月30日、9月29日、11月13日、12月8日)
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/studygroup/#ene_situation/

▼「どうする?これからの日本のエネルギー」ウェブサイト
http://ene-rev.org/
*解説リーフレット「どうする?これからの日本のエネルギー」は7万部以上を配布しています。引き続き各地の勉強会やイベントで活用いただければ幸いです。  

原発を退けた人々の力(2)韓国慶尚北道ヨンドク郡~地域民主主義そのものを問いかけ、やりとげた


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韓国の東海岸に位置する盈徳(ヨンドク)郡(慶尚北道)。人口4万5,000人ほど。美しい海とズワイガニの産地として知られ、カニが郡のシンボルマークとしてあちらこちらに目につく。

ここでは、3回にわたり放射性廃棄物の処分場の候補地となり、さらに原発建設の計画がもちあがった。ふるさとを守るために歯を食いしばって前に進み、地域の分断を乗り切り、「地域の運命は、住民自らが決める」ことを重視し、最後には住民投票で原発反対の住民の意思を示すことに成功した人々のたたかいについて話をきいた。以下、聴き取りの内容をまとめた。

処分場反対で、つまはじきに

「最初の2回の処分場建設計画のときには、地域全体がまとまって反対しました。しかし、2005年の3回目の処分場計画の時は、そうではありませんでした」と、元ヨンドク核発電所誘致住民投票推進委員会のキム・オクナムさん。行政が「ヨンドクの発展のきっかけのため」と誘致に積極的になり、反対運動は行政と対立したのだ。「地域の発展を邪魔するのか」と白い目でみられた。反対をした人たちは地域の親睦団体からもつまはじきにされ、仕事もこなくなり、生活すら厳しくなった。精神的にもぼろぼろになってしまった。組織も崩れ去ってしまった。
このときは、キョンジュ、ポハン、ヨンドク、グンサンの4つの候補地で住民投票を行い、最終的には最も誘致賛成が多かったキョンジュに決まった。反対派が勝ったともいえる。しかし、それはあまりに苦いものだった。

今度は原発建設構想がやってきた

写真 2017-11-25 16 21 48そして、2011年、今度は原発建設の構想が持ち上がった。この計画は、予定地の敷地の399人の同意だけで決めてしまったため、「郡民全体の意見をきくべきではないか?」と郡議会に陳情を行った。これには保守派・原発推進派が圧倒的多数を占める議会も、「民主主義の手続きが足りなかった」ということで、特別委員会を設置し、全体の意見を調べる必要があるということになった。地域全体でも8割が朴槿恵(パク・クネ)大統領支持ということで、住民投票にかけたとしても賛成派がかつのではないかと思われた。
キム・オクナムさんたちには迷いがあった。前回の処分場誘致のとき反対した人たちは、生活が崩壊し、組織も崩壊し、深い傷を負っていた。果たして住民投票をする実務、力量があるのか。資金があるのか。
それでも、結論としては、外からの力を借りながら、なんとかやりとげるしかないということになった。全国の脱原発運動に取り組む団体の力をかりることになった。

地域民主主義そのものを問いかける

しかし、いざ、住民投票をやるとなると、国も道も郡も、この住民投票は「違法」だと言い出した。「原発建設は国家事務であり、住民投票の対象ではない」というのだ。住民が自ら、自分たちの意思を示すことを、政府は恐れたのだろう。

住民投票の実施は、「中央が決めることに地域は従うのか? 地域の重要なことは地域住民自身が参加して決めるべきではないか?」という地域の民主主義そのものの問いかけとなっていった。キムさんたちは、「地域の重要なことを地域の住民自身が決めていく。そのための意見表明の場である」ことを強調し、賛成・反対の違いによって後で感情的な対立を生むことがないよう、投票のプロセスが公平であるよう、細心の注意を払った。これは切実な問題だった。
政府や韓水原の宣伝はものすごかったという。「ヨンドク史上、ここまで全国に報道されたことは初めてでした」とキムさん。地域全体が、原発賛否をめぐる、双方のプラカードで埋め尽くされた。韓水原などは投票不参加の勧誘に取り組んだ。

1万人が原発誘致に反対票を投じた

選挙人名簿もなく、資金もなく、媒体もなく、反対運動はボロボロだったし、さまざまな葛藤があったが、キムさんたちは、やりとげた。とにかく住民たちは自分たちの意思をあらわしたかったのだ。
2015年11月13日住民投票の結果が出た。1万1201人が投票。うち原発誘致反対が91.7%。誘致賛成は7.7%。
政府側は投票率は32.5%とした。今回の住民投票は、住民投票法に基づくものではなかったが、住民投票法上、有権者数の3分の1以上が投票しなければ、無効となり、開票もされないため、投票率が3分の1を超えるかどうかが注目された。選挙管理委員会の協力が得られなかったキムさんたちには選挙人名簿がなかったため、有権者数の正確な数はだれもわからなかったが、前回の住民投票の有権者から不在者を除いた数を母数とすると、投票率は33%をはるかに超えるとした。

とにかく彼らはやりとげた

住民が自らの地域の運命を自分たちで決める。私たちがやった住民投票の本質はそこだ。もう一度、同じことをしろと言われてもできないだろう」とキム・オクナムさんは言う。

「私は、自分のふるさとが100年後も続くことを願っている。ムン・ジェイン政権になって、脱原発方針に舵を切ったことは歓迎したい。地方自治のあり方もよい方向に変わるだろう。私たちの住民投票が、ムン・ジェインを生み出した民主主義の力に貢献したと思っている。もう一度、同じような住民投票がすぐに必要になるとは思わないが、そのときは、その時代の人たちががんばることになるだろう」
「一方で、原発に反対するのならば、それでは地域のどういう未来を描くのか、それを具体的に示していかなければならないだろう。それがまだできていないことには忸怩たるものを感じている」

牧師さんで、先立つ処分場計画には賛成だったペク・ウンヘさん。福島原発事故を契機に考え方を変え、住民投票推進委員会の共同委員長となった。

福島原発事故は、原発の危険性、核の恐ろしさを考えさせるきっかけとなった。私は考えを変えた。反対運動をすることは、国家と対決することでもあり、自分の人生を厳しいところにおく選択になる。キムさんとは友達だが考え方は違う。しかし大同小異で、大きい目的を達成するために、手を携えていくことは重要だった」。

この住民投票では、本当にいろいろな葛藤もあった。この保守の地域で、政府に反旗を翻すことは人生をかけることでもあった。

しかし、分断を乗り越え、前をむき、希望と民主主義の力を信じて、彼らはやりとげたのだった。その勇気と意思の力に、心から敬意を表したい。(満田夏花)

《関連記事》原発を退けた人々の力 :韓国江原道・三陟(サムチョク)~「普通の女性たち」が立ち上がったわけとは
韓国ムン・ジェイン大統領のもとでの脱原発の道のり~新古里5・6号機の公論化プロセスで問われたものは?~

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▲ヨンドクの市場

原発を退けた人々の力(1):韓国江原道・三陟(サムチョク)~「普通の女性たち」が立ち上がったわけとは

IMG_0908三陟(サムチョク)市は韓国江原道南部に位置する。人口は約7万人。美しい海水浴場と石灰岩の洞窟が有名な観光地でもある。

サムチョク市では、前市長が強引にすすめようとした原発誘致に、市民が粘り強い反対運動を展開した。ついには反原発で住民投票を公約にかかげた新しい市長を当選させるに至ったが、この市長が住民投票をやろうとしたが中央の意を受けた選挙管理委員会にはばまれた。それならばと市民が主導して住民投票を実施し、ついには誘致反対を勝ち取った。11月24日、サムチョク市を訪問。この驚異の運動を成功させたコアメンバーの人たちに話をきくことができた。(写真:サムチョク核発電所反対闘争委員会およびサムチョク女子高同窓会のメンバーからの聴き取り風景)

サムチョク市は30年間で核に関するたたかいが3回あったという。
1992年から99年にかけての原発誘致に対する反対運動、2003年から2005年にかけての核廃棄物処分場への反対運動、そして2010年からはじまった再度の原発誘致への反対運動。
「私たちは最初の2回のたたかいに勝利しました」とサムチョク核発電所反対闘争委員会のメンバーで市議でもあるイ・グァンウさんは胸をはる。「そして3回目についても、苦しい局面を乗り越えながらほとんど勝利しました。来月発表される第8次電力基本計画では、サムチョクは原発候補地からはずれるでしょう。それが最終的な勝利です」。

以下3度目の原発誘致への反対運動の概要を、イ・グァンウさんからの聴き取りおよび各種資料をもとにまとめる。

強引に原発誘致を進めた前市長

サムチョク市では、李明博(イ・ミョンバク)政権によるバックアップのもと、2010年からキム・デス前市長が強引に原発誘致を進めようとした。市議会とは「住民投票にかける」という約束をしたが、これは無視。

誘致賛成派は「空がみえないほど」のプラカードを設置し、誘致賛成の署名を集め、2011年3月9日に発表。なんと市の96.6%もの人たちが誘致に賛成しているとしたが、これは信ぴょう性に乏しいものであったという。そしてその2日後に福島第一原発事故が起こった。

サムチョク市の市民やカトリック関係者、教職員組合などが中心となり、「サムチョク核発電所反対闘争委員会」が結成された。キャンドル集会など、さまざまなアクションを展開。一貫して建設に反対。市長に対して、原発の是非を問う住民投票を要求し続けた。原発建設予定地となったサムチョク市クンドク面の住民たちも立ち上がり、「クンドク核発電反対闘争委員会」を組織。2012年1月には、地元の名門校のサムチョク女子高の同窓会も、原発建設反対を決議。運動に合流した。

市長リコール運動に失敗。が、2年後の市長選で圧勝

彼らは一度は韓水原による住民説明会の阻止に成功。さらに市長が住民投票要求を無視し続けると、2012年6月から市長のリコール運動に取り組むこととした。1,500人ものボランティアが参加し、リコールの住民投票に必要な署名は1か月という短期間で集めることができた。この勢いに乗って、勝つと思いきや、10月31日の投票日当日、自治体の末端職員やチンピラたちが投票所の前で投票にきた市民を威嚇。所定の投票率である34%を達成することができず、開票に至らなかった。こうして市長のリコールは失敗した。

しかし、これにもめげずに、彼らは2年後の市長選挙にかけた。水曜日にはミサ、キャンドル集会を継続。一人デモやスタンディング、人々に伝える運動に取り組んだ。そして2014年、「原発の賛否を問う住民投票の実施」を公約をかかげたキム・ヤンホ市長が圧勝。

原発は国家が決めるものなのか?

キム市長は公約通り、議会に住民投票を提案。8月末に住民投票議案が通過した。ところが、中央の意をうけた選挙管理委員会が「原発は国家事務だから、住民投票の対象ではない」と拒否。

ならば、住民がやるしかないと、住民投票管理委員会が組織された。2014年10月9日、有権者の68%が投票し、うち85%もの人たちが原発誘致に反対の意思表示を行った。

一方、市長は、住民投票を行おうとしたことが職権濫用にあたるとして起訴された。しかし、のちに無罪とされる。「投票による意見集約は住民意思の確認手段」とされたのだ。

普通の女性たちが立ち上がったわけ
「地域の未来の問題だと思っていましたが、国家とのたたかいでもありました」

この驚異的な運動の中で、何度も何度もつらい局面があった。リーダーたちの中にはいやがらせや脅迫によって、病気になってしまった人もいたという。

「涙がでるほどうれしかっこと」の一つが、地元の名門校のサムチョク女子高同窓会が、「原発反対に力を注ぎます」と決定し、いままで運動に縁のなかったきわめて普通の女性たちが運動に合流した。のちに「核アングリー・マム」と呼ばれ、脱原発派のキム・ヤンホ市長の誕生にも大きな力となる。

当時、この決定を行ったのが同窓会の第10期会長キム・スクチャさん。

「高校の同窓会で、よく原発反対という政治的な問題に踏み込めましたね」ときいてみた。

「私は、これを政治的な問題とは思わなかったんです。私たち自身の問題、地域の問題だと。じっとしていたら原発が入ってきてしまう。となりのウルチンでは原発が導入されても、地域はさびれるし、農産物も売れなくなった。地域の豊かな富がなくなってしまった。おまけに放射能の問題もある。地域のため、子どもたちのために、反対を決めました」とスクチャさん。

「ところが、反対運動をやってから知りました。これは国家との闘いなのだと」。

「“笑いながらやっていこう。しぶといやつが最後に勝つんだ”。つらくなるたびに、私たちはこのように励ましあいました」と、サムチョク核発電所反対闘争委員会の共同代表のキム・オクリンさん。「そしてこの言葉は本当のことでした」

「核アングリー・マム」たちは、笑顔が素敵な、世話好きのおばさまがただった。

(満田夏花)

関連記事:原発を退けた人々の力(2)韓国慶尚北道ヨンドク郡~地域民主主義そのものを問いかけ、やりとげた

韓国ムン・ジェイン大統領のもとでの脱原発の道のり~新古里5・6号機の公論化プロセスで問われたものは?~

👉 報告会「脱原発する国、原発にしがみつく国~韓国、イギリス現地調査報告会(1月9日@表参道)」

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▲サムチョク女性髙の同窓会のみなさまとともに

「原発反対決起大会24周年」と書かれたバナー

▲原発予定地となっていたサムチョク市のクンドク面河川敷にかかげられた原発反対のバナー

サムチョク市クンドク面「原発白紙記念碑」の前で

▲原発白紙記念碑の前で、クンドク原発反対闘争委員会のジュ・ヘスクさんとともに。記念碑自体は、第一回目の原発誘致を退けたときのもの。ジュ・ヘスクさんは、クンドクの美しい自然を愛し、一貫して原発に反対してきた。

 

 

 

 

気候資金や拡大する損失や被害への対策で進展みられず(COP閉幕レポート2)

ボンで開催されフィジーが議長国を務めた国連気候変動枠組条約会合は、残念ながら期待された成果を出すことなく閉幕しました。

cropped-38181814401_69c43ccd05_oCOP23は、気候変動の影響を受けている島嶼国フィジーが議長国を務めるということで、気候変動の影響をすでに大きく受けている途上国や貧困層の人々への支援(「損失と被害」)や気候資金について、進展があることが期待されていました。

今年、巨大ハリケーンにより人道的危機に直面したバハマやキューバなどから会議冒頭、支援の強化を求める強い声が相次ぎましたが、この会議で損失と被害を議論することに反対する米国を中心に、先進国の反対によって今会議での大きな進展は見られず、リスク移転のための保険制度整備情報サイト立ち上げと来年春の専門家フォーラムの開催を決定するに留まりました。

2018年に合意される予定のパリ協定のルールブック交渉(パリ協定を実施するためのルールブック)については、成果の鍵とみられた来年に向けた交渉文書の要素書き出しで進展がみられ、今後の交渉の基礎となる最初の一連の文書が出されました。国別貢献(NDC)の定義や透明性枠組みでの報告の範囲、先進国途上国の差異化など根本的な論点について歩み寄りはなく、見出しと小見出しに全ての国の交渉上の立場が反映されています。

COP17以降の6年間の停滞の時期を経て、このCOP中に、国際(炭素)市場メカニズムについての交渉が予想以上のスピードで進み、次回4・5月に開催される補助機関会合までに交渉文書のたたき台が用意されることが見込まれています。この交渉はロシアや東欧圏に大量に蓄えられている京都議定書下の過去の排出量枠、CDMのオフセットルールの移植、熱帯雨林/REDD+(途上国の森林減少・劣化に由来する排出の削減)、国際民間空港機関(ICAO)のもとでの新しいグローバルオフセットスキームとの連携可能性など、かなり懸念の大きい要素が含まれています。

COP22と23の議長国であるモロッコとフィジーは、促進的対話(タラノア対話と改称)のデザインを作成。この促進的対話のデザインは最終日に承認され、2018年を通じ実施され、COP24での対話を経て2020年以降の各国の野心の引き上げを促進することが意図されています。しかし承認されたデザインでは、2020年以降のアクション、それも緩和のみに焦点がおかれ、途上国への資金支援や、公平性については含まれていません。

一方で途上国は初日に、タラノア対話とは別に2020年までの行動の検証を議題として提案していました。これは京都議定書第二約束期間に関するドーハ合意の批准、2020年までの先進国の排出目標含む野心の引き上げ(カンクン目標)、先進国による2020年までに年間1000億円の気候資金目標の進捗などを交渉内で検証していくことを提案したもので、決定文書に採択されました。背景には、先進国の過去のコミットメントや2020年以降のパリ協定下での責任に不信を持つ途上国の強い結束があり、この議論を受け、EUは来年末までに京都議定書の第二約束期間(ドーハ合意)を批准すると表明しています。

今回の会議では、農業に関する交渉でひとつ前向きな結果が出ました。農民が適応やレジリエンス(強靭性)を高めるための具体的な行動や支援事業について議論する場が設けられることが決まり、さらにローカルコミュニティと先住民族プラットフォーム、ジェンダーアクションについても市民社会含め一定の成果と見られています。

アメリカの交渉団は、あきらかに交渉を妨害する形で存在感を発揮していました。オーストラリアの支持のもと、とくに資金のスケールアップ、損失と被害についての交渉をブロックし、パリ会議前同様、パリルールブックの交渉のもとで歴史的責任をないがしろにし、事実上途上国への責任転嫁となる発言を繰り返し行っています。多くの先進国はアメリカの陰に隠れつつも先進国として交渉をブロックしていました。また、アメリカは化石燃料と原発を推進するサイドイベントを開催。市民団体やユースが非暴力で阻止する様子(歌を歌ってサイドイベントを妨害)がソーシャルメディアを通じて世界に流れました。

気候資金についても大きな進展は見られませんでした。パリ協定9条5項のもとでの先進国による気候資金に関する事前の情報提供に関しては、途上国が事前に気候変動対策を計画する上で重要な要素となってきます。現在京都議定書下にある適応基金の将来についても、解決を来年度に先送りを狙う先進国の思惑により2018年に交渉が持ち越され、パリ協定のもとに引き継がれることが京都議定書締約国会議(CMP)決定に盛り込まれましたが、パリ協定締約国会議(CMA)のもとでの決定がこれから必要になってきます。先進国、とくにEUは、国際炭素市場メカニズムを推進し、適応基金と引き換えに市場メカニズムの交渉を進展させるよう求めていると言われています(適応基金の原資がクリーン開発メカニズムの一部収益を基にしているため)。

次回、COP24は2018年12月にポーランドで開催され、来秋のIPCCによる1.5℃目標シナリオの特別報告を受けての2020年、2030年の野心引き上げ(つまりタラノア対話と2020年までのアクション検証)、パリルールブックの採択、そして気候資金が注目されます。気候資金に関する閣僚級対話および国連事務局による公式の隔年評価報告も2018年に行われます。損失と被害に関してはCOP25で報告がまとめられ、現状のサポートメカニズムが評価・見直しされる予定です。なお、COP25はブラジルが開催国として名乗りを上げましたが、ラテンアメリカ諸国のコンセンサスが得られるまで決定は持ち越しとなっています。

また、パリ協定のルールブック作りに関する追加会合が2018年10月に行われる可能性が高いものの、開催の最終的な有無は来年5月の補助機関会合で正式に決定されることになっています。

(小野寺・深草)

気候変動影響を受ける人々の声は国際社会に届いたか(COP閉幕レポート1)

11月6日から18日まで、ドイツ・ボンにて気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)が開催されました。

気候変動の影響を受けやすい島嶼国・フィジーが今回の議長国であったこともあり、FoE Japanは気候変動による損失と被害に対する支援がどれくらい議論されるかなどについて注目してきましたが、残念ながら気候変動による損失と被害についての交渉には、あまり大きな成果が出ませんでした。

FoEグループはこれまでも、先進国や一部の裕福な人々による気候変動への歴史的責任と、一方で多くの被害は貧しい人々や途上国に集中している不公正さを訴え、気候正義を求めてきました。またCOP期間中にもかかわらず、日本の国際協力銀行は住民から強い反対の声も上がっていたインドネシア・チレボン石炭火力発電所への貸付を実行。これについては、アジア諸国の市民社会からも大きな非難の声が上がり、ボンでは緊急アクションが行われました。

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また、FoE JapanはアジアのFoEグループなどと協力して、COP一週目にアジアの気候変動影響に関するレポートの発表や関連するイベントを行いました。

太平洋諸島では海面が上昇し、多くの人々が移住を迫られている。フラッキングを行う企業が干ばつの影響を受ける地域に入り込んでいる。ハリケーンは国全体を機能不全に陥らせ、そして気候変動移民を含む人々の自由な移動を阻止するための壁やフェンスが建てられている—

これらはFoEインターナショナルの「気候変動の影響を受ける人々」のワークショップで聞いた、話の一部です。

世界の人口の60%が集中するアジア太平洋地域は、気候変動の影響を最も影響を受けやすい人々の地域でもあり、ワークショップの初めには、FoEアジア太平洋による新たなレポートの発表も行いました。このレポートは、スリランカ、フィリピン、パプアニューギニアの3つの国のケーススタディを取り上げ、気候変動が引き起こす移住への懸念が高まる中、政府や政府機関がこの問題に早急に対応するよう訴える内容になっています。

ワークショップには、四人のスピーカーが登壇。

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左からステラ-マリア、マリナ、ヘマンサ(ファシリテーター)、カティア、ジョイ

FoEオーストラリア/ブリスベンの気候最前線グループ(Climate Frontlines Collective)のメンバーでパプアニューギニア出身のステラ-マリア・ロビンソンは、「ママの骨」と題した演劇のビデオの一部を上映。海面上昇が原因で母国を離れて新しい国へと移動する人々の現実を扱った演劇です。母国に根付いた文化や伝統、スピリチュアリティは移動のプロセスの中で失われていきます。

ロビンソンは、「オーストラリアは良い隣人ではない。彼らは移民の面倒を見ないし、自国の富の蓄積のためにしか行動しない。この状況を変えるために私たちは共に行動しなければならない。今、行動しなければならない。すぐに手遅れになり、地球という家がなくなるだろう。」と話を締めくくりました。

南アフリカのカルー地域のコイサン族の族長、ジョイ・ダーリングは、コミュニティーの「雨乞い人」。カルーは干ばつの土地という意味だそう。2017年6月、彼は部族を率いて、伝統的な雨の踊りのセレモニーに参加したましたが「雨は降らず、私たちは全ての家畜を失い、植物を植えることもできなくなった。これは、私がコミュニティーを破壊させてしまったことを意味する」と話しました。

コイサン族の干ばつで破壊されたエリアでは、現在、企業がフラッキングを行おうとしています。カルー環境正義運動にも参加しているダーリングは、「私たちは、フラッキングに反対し、私たちの大切な土地を破壊する活動にお金を与えないよう、世界銀行に求めている。お金はコミュニティーを分断し、人々の要求を満たすことはない。」と訴えます。

プエルトリコは、9月の2週間の間にイルマとマリアという2つのハリケーンに襲われ、深刻な状況が続いています。ハリケーン・イルマは電力供給を破壊し、ハリケーン・マリアは水インフラに影響を及ぼしました。「私たちのコミュニティーでは電気も水もなくなり、食料も不足してから60日間が経過した。」カティア・アヴィレス・ヴァスケスは、プエルトリコの小さなコミュニティーとともに25年間活動している彼女が話す姿は、多くの人の感情に訴えました。

ハリケーンによりプエルトリコのインフラ設備の多くが失われ、プエルトリコ政府は深刻な状況にある人々を支援せず、自分たちのために使っていると彼女は指摘します。16人しか死者が出ていないというのは政府のプロパガンダであると指摘し、「私たちの政府は実際には900以上の死体を燃やし、さらに100以上が死体安置所で燃やされるのを待っている。」と話しました。

マリナ・ソフィア・フレヴォトマスは、難民が壁に直面しており、食糧危機、戦争、海面上昇などの自国の過酷な現実から逃げるための自由な移動ができなくなっているという状況を指摘。

「壁を築いているのは、まさしくその移住の原因をつくっている人々である」彼女は、先進国が利益を求めて起こす行動こそが、移住の原因をつくっており、その不正義を訴えました。彼女は、「難民」はいつかは自国に帰るという希望をもって新しい場所に移動している一方で、気候変動移民は、精神面でも自らの場所を追い出され、もう自国には戻れない状況になります。多くの人々が、多くの人が想像できないような状況に置かれています。多くはヨーロッパに向かう途中で命を落とし、中にはヨーロッパとの境界に到達することすらできない人々もいます。この境界の警備には莫大な費用がかけられ、移民たちが到達した時には彼らは歓迎されない状態にあります。

「移民とは恐れるべき存在で、彼らの入国は止めなければいけないという恐れの物語を作り上げた。先進国にはこの不当な行為をやめるという責任がある」「壁は解決策ではない。気候正義は、壁がないという意味である。」

世界中で特に貧しい国や地域の人々が、気候変動の影響を受けています。国連気候変動交渉のもとでは、ワルシャワ国際メカニズムという気候変動の損失と被害を扱う会議の下に、「人々の移動」に関する特別委員会が設けられました。

しかしこのメカニズムには、十分な資源が与えられていません。気候変動による損害を認めてしまうと、気候危機をおこした過失と責任の追及につながる可能性があるために、汚染の原因をつくっている先進国が強い反対をしているからです。

これらの国々は、排出を迅速に削減したり、実際に被害を受けている人々を助けるために必要な資源を供給したりするなどの、歴史的な責任を負うための取り組みを、ほとんどしていないのが現状です。

気候変動の影響を受ける人々の人権、安全と尊厳は、保障され、尊重されなければなりません。
豊かな国々の政府は、一刻も早く排出を削減し、再生可能エネルギー中心で民主的なシステムに移行し、これまで気候変動を起こしてきた任をとらなくてはいけません。

ワークショップのレポートの詳細はこちら(英語)ワークショップのレポートの詳細はこちら(英語)

多国籍企業と人権に関する条約、「交渉段階」へ

先月、国連人権委員会で多国籍企業と人権に関する条約の第三回会合が開催されました。
その結果について、FoEインターナショナルも参加する「グローバルキャンペーン」による声明が発表されています。

プレスリリース
多国籍企業と人権に関する条約、「交渉段階」へ (原文はこちら

ジュネーブ、2017年11月1日 ― グローバルキャンペーン(注1)は、今回の会議が、多国籍企業と人権に関する条約作成について、アメリカとEUからの抵抗があったものの、重大な交渉に向けて大きく動いた成功の1週間だったと歓迎した。

2017年10月23日から27日までの国連の政府間ワーキンググループ(注2)の第3回会議の間、100以上の国と、200以上の社会運動や労働組合、市民社会団体の代表者らが、ジュネーブの国連本部に集まった。20以上の国やEU議会の議員(注3)、そして700以上の市民社会団体が、この交渉への強い支援の姿勢を示した。

多国籍企業と人権に関する条約の作成を課された国連のワーキンググループは、10月27日に第3回の会議を終える予定だった。その日、「この条約は、成立に反対した国を拘束しないものとする」という2014年の決議26/9への反対票を投じ、3年間プロセスに参加してこなかったアメリカ合衆国からの代表が、予想外にも重要な会合に参加し、ワーキンググループはこのプロセスを進めるうえで国連人権理事会から新しい委託を得る必要があるだろうと提言した。しかし、人権理事会の事務局は、ワーキンググループに新しい決議は必要なく、条約が交渉に入るまで作業を進めていく、ということを確認した。

ワーキンググループの議長報告者、エクアドル政府常駐国連代表・ギローム・ロング大使の最終勧告では、2018年に開かれる第4回ワーキンググループに向けた交渉プロセスのロードマップと、その先の会議について確認された。

報告書の草案と結論は全会一致で承認され、最終的な承認を得るために2018年3月に国連人権理事会へ提出される予定だ。さらに、エクアドルがこの第3回会議で提案した条約にむけたエレメント・ペーパーは2月末まで更なるコメントを受けつけた状態にし、その時までに、2015年と2016年の会議の成果も踏まえて、2018年の第4回ワーキンググループにむけた条約の草案を発展させるための基礎を作ることで合意した。

「これは、条約作成にむけたプロセスを支持するものたちにとって一つの勝利である。特にEUなど、いくつかのグループからの妨害に打ち勝つために、社会運動やNGO、多国籍企業の人権侵害の被害を受けたコミュニティからの政治的圧力は必要不可欠であった。」と、ビア・カンペシーナのリン・デービスは述べた。

トランスナショナル・インスティチュートの研究者ゴンザロ・ベロンは、「多国籍企業での人権侵害を防ぐために昨今とられている対策は、十分なものではない。多国籍企業が、幅広い投資者の保護メカニズムや国際法の抜け穴から恩恵を受けている一方で、多国籍企業の活動によって生命や生計手段、土地を奪われた人々は、しばしば、繰り返し正義を否定されている。」と述べている。

また、FoEインターナショナルを代表して、カメルーン出身のアポラン・コアーニュ・ズーペは、次のように述べている。「企業の自主規制は不十分だ。ホンジュラスのベルタ・カセレスをはじめとして今週国連で提起された多くの他の事件において、多国籍企業の行為に対し人権保護を訴える者が殺されている。法的拘束力のある条約にむけたこのプロセスは、緊急に必要とされている。これは、多国籍企業の活動によって被害を受けたコミュニティが、政府や国連に訴えているメッセージである。」

最近の3つの会議の間に示されたように、グローバルキャンペーンは、被害を受けたコミュニティや社会運動の経験に基づいた提案をもって、このプロセスへ貢献するよう全力を尽くしている。ワールドマーチオブウーマン・フィリピンの、マリー・アン・マナハンは、「グローバルキャンペーンが示した多国籍企業とそのサプライチェーンの人権に関する条約への提案(注4)は、条約草案にむけた国家間の交渉を進めるうえで非常に重要な文章だ。」とコメントした。

注釈
(注1) このプレスリリースは、人々の主権を主張し、企業の権力を打ち壊すこと、そして企業が刑罰を免れている状態を止めるためのグローバルキャンペーンによるものである。このグローバルキャンペーンは、200以上の社会運動と、特にアフリカやアジア、ラテンアメリカでの土地収奪・鉱山採掘・労働搾取や環境破壊に抵抗し、影響を受けたコミュニティのネットワークである。
> ウェブサイト

(注2)多国籍企業や他の企業と人権に関する自由政府間ワーキンググループ(OEIGWG)は、2014年6月の人権理事会によって承認された決議26/9の結果として生まれたものである。
>国連人権高等弁務官事務所の関連ページ

(注3)多国籍企業と人権に関する国連の条約締結にむけた議会間でのイニシアチブの署名国リストはこちら < http://bindingtreaty.org/ >

(注4) こちらのサイトから提案書にアクセスできます
連絡先
Sol Trumbo Vila(英語、スペイン語)
soltrumbovila@tni.org
+31 610172065

韓国ムン・ジェイン大統領のもとでの脱原発の道のり~新古里5・6号機の公論化プロセスで問われたものは?~

IMG_0857韓国環境運動連合(KFEM、FoE韓国)の事務所を訪問。ムン・ジェイン大統領のもとでの脱原発政策、特に新古里5・6号機の公論化プロセスについてお話しをうかがった。KFEMは公害被害者救済運動からはじまった韓国を代表する環境団体であり、各地に52か所の地域事務所をもつ。お話ししてくれたのは、メディアに脱原発の論客としてよく登場するというヤンイ・ウォニョンさん(エネルギー部門長)とアン・ジェフンさん(脱原発チーム長)。国際担当のキム・ヘリンさんも同席し、脱原発や反戦をテーマに活動されているキン・ポンニョさんが通訳をしてくださった。(写真上:KFEMの事務所の入っている建物の外観。)

ムン・ジェイン大統領の脱原発公約の内容

韓国には稼働中の原発が24基、建設中のものが4基、計画中のものが6基あり、全発電量の30%を原発が占める。こんな原発大国韓国において、ムン・ジェイン大統領は選挙公約として、脱原発を進めるため、①建設中の原発の建設中断、②計画中の原発の白紙撤回、③設計寿命の延長はしない、④脱原発ロードマップを作成する--などの公約を掲げた。これに従えば、現在建設中の新古里5・6号機は建設中断となるはずであった。

国民の圧倒的な支持で当選したムン・ジェイン大統領は、2017年6月19日、寿命を迎えた古里1号機の停止式典で、脱原発宣言を行ったが、建設中の新古里5・6号機については、「公論化プロセスにより、結論を出す」と公約よりも後退したものであった。

建設30%の新古里5・6号機が公論化プロセスへ

新古里5・6号機は、すでに建設が30%進んでおり、建設を中止するにはもっとも議論をよぶものであった。事実、地元の住民も、建設作業で雇用されていたり、補償金が支払われたりしており、今から中止することに関して抵抗が強かった。地元の造船所も不況であったため、建設中断は、雇用の問題と絡め認識されてしまったという。

IMG_0862「ムン・ジェイン大統領が、住民への補償問題を先に解決してから、公論化プロセスに進んでいたら、話は違っていたかもしれません」とアン・ジェフンさん。

公論化プロセスが発表されたとき、脱原発運動をしている人たちの中でも意見が分かれた。「建設中の原発の建設中断という約束を守るべき」という意見もあったが、「市民たちが参加するプロセスを否定することは難しい」とほとんどの団体は公論化プロセスを尊重するという態度をとった。高い支持率をほこるムン・ジェイン大統領に反対することは分裂を生む、という考えもあった。

建設再開が過半数、しかし原発縮小も過半数

公論化プロセスは、今年7月から3カ月行われた。日本でも2012月夏にエネルギーをめぐる「国民的議論」で行われた討論型世論調査と類似の形式をとった。公論化委員会が形成され、建設の賛否の双方の意見を資料集に記述。2万人の一次世論調査が行われ、回答者の中から、地域・性別・年齢などを考慮されて471人の市民参加団が選出された。(しかし、あとからの発表では、建設賛成派の方が多かったという。)この人たちが、事前学習を行い、総合討論会に参加し、最終アンケート調査に回答した。

結果は、建設中止が40.5%、建設再開が59.5%。(女性では建設中止が52.7%、再開が47.3%、男性では中止が33.7%、再開が66.3%)。

一方、原発を縮小すべきという意見は53.2%を占め、拡大すべき9.7%、維持すべき35.5%を大きく上回った。

建設が再開されることにより、古里5・6号機が運転を開始し廃炉になるまで、最長で2080年代までかかることになるという。

合意された「原発をやめていく」というという方向性

「あまりに長すぎます」とアン・ジェフンさん。

「これで脱原発と言えるのか…。公論化プロセスでは、原発の安全性や事故が起こった時の住民被害よりも、仕事がなくなる、とか、電力需給の問題に焦点があたってしまいました。住民にとっては直接的な雇用の問題と原発建設の問題を切り離すことができなかったのは残念です」

「原発に利害をもつ勢力の力がつよく、マスコミへの影響も強かったのが現実でした」とKFEMのエネルギー部門長のヤンイ・ウォニョンさん。

「原発をやめていくという方向性については多くの人たちが合意したものの、急激な変化については不安があったのでしょう。エネルギー供給を現在数パーセントにすぎない再生可能エネルギーで代替していくことも“現実的でない”と思われてしまった感があります。」

30km圏内に380万人~安全性は論点にならなかったのか?

実は、韓国の原発は人口密集地の近くに立地する。原発30km内の人口は世界1位。なかでも古里原発は30km圏内の人口が380万人にのぼる。釜山、ウルサン、キョンジュなど原発が集中する東南地域には、およそ60の活断層があるという指摘もある。こうした危険性は、公論化プロセスに影響を与えなかったのだろうか?

「もちろん、大きな論点でした。しかし、北朝鮮の核ミサイルや戦争の脅威に比べると、小さく感じられてしまったのかもしれません。原発事故が現実に起こるという実感が薄いのかもしれません」とヤンイ・ウォニョンさん。

「地震が起こるたびに、世論はダイナミックに変化します。キョンジュでの地震のあとには、原発反対が70~80%にまで跳ね上がりました。今は建設再開が強い状況です。

私たちとしては、これからは、原発の危険性に関する問題を提起するだけでなく、原発をやめても十分に電力はまかなえること、そうした代替案への希望を提起していくことが必要とされています」

一方で、ムン・ジェイン大統領は、「原発輸出については継続する」とも発言している。韓国の原発企業は、UAEでの原発事業の受注に加え、英国やサウジアラビアなどへの原発輸出を模索している。「当然反対です。国内での脱原発を目指すのに、原発輸出を継続するのは矛盾しています」とヤンイ・ウォニョンさん。東芝の失敗は、原発ビジネスのリスクを認識させなかったのか?という筆者の問いに対して、アン・ジェフンさんは、「むしろ、東芝が競争力を失ったことで、自分たちが競争力をもつ、と言っている」と苦笑した。

脱原発をいかに進めるか、廃炉をいかに早めるか、再生可能エネルギーをどのように促進していくか、日本の原子力規制委員会にあたる原子力安全委員会をどのように機能させるか、原発輸出に関する議論をどう進めるのか…。悩みはつきないが、それでも脱原発に舵をきったムン・ジェイン大統領の政策を、しっかりと支え、公約を守らせ、後戻りさせないという決意が感じられるお話しだった。

(満田夏花)

原発を退けた人々の力(2)韓国慶尚北道ヨンドク郡~地域民主主義そのものを問いかけ、やりとげた

原発を退けた人々の力(1):韓国江原道・三陟(サムチョク)~「普通の女性たち」が立ち上がったわけとは

  • ヤンイ・ウォニョンさん(KFEMエネルギー部門長)

IMG_0890新古里原発5・6号機の公論化の議論を通じて、原発を減らすべきだというのが大多数の総意であることは確認できた。

しかし、建設中である原発を続けようというのは、現実的な電力供給に関して懸念があったせいだと思う。私たちは原発の危険性に関して提起を行うのみならず、原発を減らしても十分に電力の需給バランスをとることが可能だという希望と対案を積極的に提起していくことが大事だと考えている。

  • アン・ジェフンさん(KFEM 脱原発チーム長)

Image-1ムンジェイン政府が脱原発政策を推進してエネルギー転換のきっかけをつくったことは画期的だ。

しかし、脱原発が実現するのは(このままでは)あまりにも遠い先であるので、心配であることも事実だ。

脱原発へ向かうスピードを速めて、24基の原発をどれほど早く閉鎖できるかが、われわれに問われている。たとえば、再生可能エネルギーを増やしたり、エネルギー効率を高めたり、省エネを実現したりして、脱原発を早期に実現できることを示していく必要がある。

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ストップ石炭!パリ協定に逆行し石炭融資を続ける日本に厳しい国際社会の目

ードイツ、ボン

石炭火力はパリ協定の1.5度目標と矛盾するー石炭火力プロジェクトに反対する市民グループが、現地時間9日朝、COP会場でアクションを行った。屋外で行われたアクションでは、インドネシアやタイ、フィリピン、アメリカなどの国から市民団体が集まり、日本の公的融資や民間企業が関わる事業によって生じている環境破壊や人権侵害、気候変動への影響についてスピーチを行い、日本の石炭火力推進政策を非難した。日本は世界でもっとも公的資金を使って石炭火力事業を支援している国として、国際的に批判を浴びている。

パリ協定を批准してからも日本の石炭支援は止まらない。2017年4月、日本の国際協力銀行(JBIC)は、インドネシアのチレボン石炭火力発電所の拡張案件に対する融資を決定。しかし、同案件は地元住民の反対の声も大きく、事業の合法性をめぐる裁判では住民側が勝訴した。FoEインドネシア(WALHI)事務局長のヤヤ・ハダヤティは「インドネシア国内法の遵守、人権尊重、そしてJBICの環境ガイドライン遵守の観点から、JBICは貸付を行うべきでない。」と訴えた。また「地元住民の生活や人権を守るため、日本は”公正”な解決策で途上国に貢献すべき」とも話した。

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COPに参加している政府代表団は、パリ協定のルール作りや気候変動への行動を会議場で語る一方、先進国の企業や銀行、政府は未だに温室効果ガスを大量に排出する石炭火力発電に巨額の投融資を続けている。イギリスやフランス、カナダなど少なくない数の先進国が脱石炭を約束する中、日本は逆を行く格好だ。

COP会場内で同時に行われたアクションでは、参加者は日本が関与する石炭関連プロジェクトの写真を掲げ、先進国に対して一刻も早く石炭火力から脱却するよう訴えた。さらに先進国に対して汚いエネルギーで支援するのではなく“公正でクリーンな解決策”で途上国を支援するよう求める声も上がった。

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プレスリリース

2017年11月9日
原文(英語)

地球の気温上昇を1.5度未満に抑えるため、日本は石炭への投資を止めて!

11月9日(木)、世界中の市民社会組織(CSOs)がボンで開催中の第23回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)の会場で抗議アクションを決行し、気候に破壊的な影響をもたらす石炭関連事業に世界各国で投資を続けている日本への注意喚起を行ないました。石炭は大きな汚染源であり、2015年12月のパリ協定で各国が合意した野心的な目標、つまり、地球の平均気温上昇を1.5度未満に抑えるという目標に合致しません。市民社会組織は、気候変動対策において日本が責任ある役割を果たし、人びとや気候に優しい再生可能エネルギーへ資金の流れを転換するよう訴えました。

日本は主要7カ国(G7)のなかで唯一、電力会社が政府の支援を受けながら、国内外での新規の石炭火力発電所の建設を予定しています。しかし、2015年にG7諸国は、今世紀末までに世界経済の脱炭素化を図ると宣言しました。この達成には、CO2排出量の厳しい削減を要し、2050年までに各国のエネルギーセクターの抜本的な転換も行われなくてはなりません。

こうした状況にもかかわらず、『Global Coal Exit List(脱石炭リスト)』(ドイツの環境NGOウルゲバルト(Urgewald)がCOP23期間中に発表する世界の石炭関連事業に関連する企業の包括的データベース)に掲載された大半の日本企業は、22社のうち16社が石炭火力の拡張計画を有しているなど、依然として石炭関連事業を拡大する傾向にあります。FoE Japan気候変動・エネルギー担当の深草亜悠美は、「世界中の人びとがすでに気候変動の恐ろしい影響を経験しています。こうした気候変動を引き起こしてきた歴史的な責任があるにもかかわらず、日本政府はクリーンでない汚染源となるエネルギー事業への資金提供をむしろ続けています。日本政府は破壊を引き起こす方針を転換し、クリーンなエネルギーを届け、気候変動へのさらなる影響の回避に貢献する再生可能エネルギーへの資金提供に切り替えることができます。」と述べました。

(脱石炭リストによれば)特筆すべき日本企業は世界26位の石炭火力発電事業者である丸紅で、アジアおよびアフリカの9カ国で新規石炭火力発電所の建設を計画するなど、石炭関連事業を進めるトップ企業の一つとなっています。

国際協力銀行(JBIC)は、インドネシア西ジャワ州で丸紅が関与するチレボン石炭火力発電事業・拡張計画(1000 MW)への融資契約を締結し、大きな議論を巻き起こしています。地元コミュニティーは生計手段の喪失や健康への影響を懸念し、2016年12月、同拡張計画の環境許認可の取り消しを求めて、地元政府を行政裁判所に訴えました。そして、2017年4月19日に出された地方行政裁判所の判決で、地元の空間計画への不遵守を理由に同拡張計画への許認可の取り消しが宣言されました。それにもかかわらず、JBICはこの1、2週間のうちに同拡張計画への融資の支払いを行なう姿勢を見せています。インドネシア環境フォーラム(WALHI:ワルヒ)のヌル・ヒダヤティは、「JBICは、すぐにも予定されている新たな訴訟の最終判決が出されるまで、同チレボン拡張計画への融資支払いを行なうべきではありません。JBICは、地域住民の権利、現地国の司法判断、そして、JBIC自身の環境ガイドラインを尊重すべきです。」と述べました。

FoE Japan深草は、生計手段の喪失や健康への影響を懸念する地域住民、および、事業の違法性の観点から、インドネシアのチレボン石炭火力・拡張計画にJBICが貸付を行なうべきではないという主張に同調しました。「地域住民の訴えに応じて裁判所が先に出した判決で元々の環境許認可が取り消されたにもかかわらず、新しい許認可がすでに発行されています。しかし、地域住民は彼らの将来のため、新しい許認可の有効性を問う新たな訴訟を起こし、闘い続ける準備ができています。私たちは、日本政府がコミュニティーや環境を破壊するいかなる石炭火力発電事業への資金提供も行わぬよう求めます。また、人びとのことをしっかりと考えた持続可能なエネルギー事業を支援するよう求めます。」

JBICはまた、アジアやアフリカで石炭火力発電事業を推進する企業のみに資金提供しているわけではなく、炭鉱事業に対しても融資を投じています。その中には、地元コミュニティーが反対をしているインドネシア北カリマンタン州の炭鉱事業も含まれます。インドネシアの鉱山問題に取り組む「鉱山に関する提言ネットワーク」(JATAM:ジャタム)事務局長のメラ・ジョハンシャは、「日本は石炭や私たちの気候を燃やすだけでなく、森林や集水域も荒廃させ、インドネシアのコミュニティーを気候変動の影響に対してより脆弱な立場に追いやっています。」と述べました。森林保護はCO2吸収源としてだけでなく、多くの事象のなかでも、かんばつや鉄砲水のような気候変動の影響に対する適応策として促進されなくてはなりません。

「世界に広がる共同運動である『リクレイム・パワー』は政府に対し、新たなクリーンでない汚染源となるエネルギー事業を中止し、化石燃料への補助金を止めるよう要求しています。このなかには、チレボン石炭火力計画のようなアジアの石炭関連事業への日本の資金提供も含まれます。」とリクレイム・パワーの共同ファシリテーターかつ債務と開発に関するアジア民衆運動(APMDD)のコーディネーターであるリディー・ナックピルは述べました。「人びと、そして、コミュニティーのために、汚染源となる石炭関連事業に対する資金が、民主的かつ貧困層のための再生可能なクリーンエネルギーへと迅速かつ直ちに転換するための支援に使われる必要があります。」と彼女は付け加えました。

スーパーマーケット温度調査、報告をもとにイオンと面談しました

FoE Japan、気候ネットワークなど7団体は、2017年夏、スーパーマーケットの「冷えすぎ」と省エネの関係に着目し、首都圏のスーパーマーケット100店舗以上をまわり、生鮮食品売場等の温度を測定、9月に調査結果をまとめました。

supermaeket_cover首都圏店舗100軒調査 報告と提言
「冷えすぎ改善で省エネと快適な買い物環境を」(2017年9月15日)

その後、調査で訪問したスーパーマーケットチェーン各社に連絡し、調査報告をもとに面談を依頼したところ、イオン株式会社から、快諾をいただき、10月26日(木)に海浜幕張(千葉県千葉市)の本社を訪問しました。

●対応してくれた方
イオン株式会社 グループ環境・社会貢献部 金丸治子さん、奥田勝文さん

●主なやり取り

1.顧客から「寒い」という声があった場合どう対応されていますか。
→寒いも暑いもある。可能な限り対応するが、品質管理をキープしつつどこまでできるかということになる。現状については調べてみたい。

2.ショーケースについて、扉付きショーケースなどの導入は検討されていますか。
→効果が高いものから順次、導入を推進している。
新規出店の店舗については、導入されている。基本的には最新の設備が入っていて省エネ効果も良い。既存店舗は順次。
扉付きも最初は営業的視点では抵抗があったが、実際にはそれほど支障がないようで、省エネ効果もある。

3.フロン(冷媒)対策について、2020年にHCFC22が生産全面禁止となりますが、今後どのような対策をお考えでしょうか。
→HCFCR22を使用している冷蔵ショーケースが結構ある。以前はフロン規制がなく、HCFC22の省エネ効果が高かったため。
機器の入れ替えには、天井や壁をはがすなども含めてコストもかかるため、特に既存店ではハードルが高い。
しかし、イオンは2011年に「自然冷媒宣言」を出しているため、簡単ではないが進めていきたい。

4.省エネ・エネルギー対策全体について、今後の目標などがあれば教えてください。
→2020年に、店舗でのエネルギー消費量を、原単位で50%削減(2010年比)という目標をかかげている。現状27~28%削減できているが、これから先については、設備更新だけでもできないところがあるので、どうしようかと考えていた。
この調査について社内でも共有し、参考としたい。

●意見交換を終えて

まず、10社程度に連絡をしたところ、意見交換について快諾いただいたのは10月現在イオン株式会社のみでした。多忙の中時間をとってくださったことに感謝します。

また、今回の調査結果について、社内で共有してくださるというのは嬉しいことです。その中での議論をへて、具体的な対策につながっていくのか、またお聞きできればと思います。

一方、店舗での空調の温度設定をどうしているのか、夏と冬で変えているのか、など実務的な対応については、各チェーンなどに確認する必要がありそうです。
今後、他のチェーンに対しても、調査結果をもとにした質問を送るなど、さらなる実態把握や事業者との意見交換をしていけたらと考えています。

また、冬の温度がどうなっているか、可能な範囲で冬季の測定も考えています。

(FoE Japan 吉田 明子)

<調査実施・報告書発行団体>
国際環境 NGO FoE Japan 、 NPO 法人気候ネットワーク、 NPO 法人世田谷みんなのエネルギー、足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ、環境まちづくり NPO エコメッセ、NPO 法人川崎フューチャー・ネットワーク、 NPO 法人まちだ自然エネルギー協議会