コロナ危機をどう乗り越えるか 〜システムチェンジに向けた連帯を〜

先月末、FoE ドイツの呼びかけで、このコロナ危機について意見交換や情報交換をする機会がありました。

ヨーロッパだけでなく、アフリカやラテンアメリカ、米国、アジアから40人近くのFoEのメンバーが集まって、「このコロナ危機をどう捉えるか」という話から始まり、途上国や先進国で起きていることの共有、そして、私たち市民が持続可能な社会のために目指すべき経済復興対策はどのようなものかという問題提起がありました。

話の中で出たのは、

・コロナ危機は、今まで見えないふりをしてきた気候変動による甚大な被害、生物多様性の損失、所得格差の拡大などの延長線上にあるもの。コロナ危機は、これらの社会問題・環境問題の原因である今の社会の仕組みが、限界であることを教えてくれている。

・コロナ危機の中で、不安定な雇用や家庭内暴力等に苦しむ人々、社会のセーフティーネットから溢れてしまう人々の存在など、社会の脆弱性が顕在化し、人々がこれらに気がつくようになった。その中で、お互いを気遣いあう人々が増えてきていたり、人間活動の低下による自然の回復を目にして自然との関係を見直そうという議論が盛んになってきたりしていることも事実である。

・南アフリカ(途上国で起きていること):多くの人々が電気など、基本的なニーズへのアクセスが困難な状況。すでに気候変動等の影響を被っている人ほどコロナ危機対策の網の目からこぼれ落ちている。今の状況は、もはや気候危機が起きたようなもの。

・米国(先進国で起きていること):政府から化石燃料産業や航空産業など、気候変動を加速させるような産業へ多くの補助金が渡されている。

 

会の後半は、今後、この危機を乗り越え、私たち市民で持続可能な社会をつくるための経済復興対策はどのようなものであるべきかという話になりました。話の中で出てきたのは、まずは経済の目的を考え直すこと、つまり人々や地球の健康の価値を見直すことが必要であるという話になりました。

そして、人々や地球の健康を大切にする経済の条件として、税の公平性の実現、公共サービスの提供、地産地消とフェアトレードの推奨、協同組合などを中心とした経済活動の拡大、利益追求の名の下に自然や人権を搾取するような企業に対する、拘束力のあるルールの確保、といった案が出ました。

 

また、全体を通してのキーワードは、”Just Recovery”という言葉。

”Just Recovery”とは、この危機による経済的打撃から回復する方法として、環境破壊や所得の格差を広げてしまうような過去の社会・経済の仕組みを繰り返すのではなく、社会的公正・環境に配慮しながら、回復しようという考え方です。

具体的には、気候変動の原因となる化石燃料ではなく、再生可能エネルギー普及をはじめとした脱炭素社会構築のための補助金や仕組みづくり、また、脱炭素社会に向けた仕事を増やし、すべての人々が人間らしい仕事と生活ができるような雇用支援をしていくことで、これ以上の自然破壊を止め、人々の公平性を実現していこうという考え方です。

例えば、政府からのお金が化石燃料産業などを維持するために使われてしまったら、短期的に求められる必要な緊急対策や、長期的な視野が求められる脱炭素社会のための技術や雇用の保護に十分なお金が行き届来ません。

 

繰り返しになりますが、私たちは今、気候変動、生物多様性の損失、所得格差の拡大、ジェンダーの不平等など、社会的問題と環境問題が複雑に絡み合った世界にいます。これらの問題を後回しにし、その悪影響が顕在化したのが、今回の危機と言えます。

だからこそ、私たちは個々の問題に個別に対処するのではなく、コロナ危機の影響を最も受けている人々の声を聞きながら今まで複数の危機に立ち向かってきた人同士で連帯し、すべての人が尊厳を持って生きることができる経済・社会を目指す必要があります。

cop_0586

持続可能な社会とはどのような社会なのか、そして政府の打ち出す政策が持続可能な社会につながるものなのかを私たち市民がしっかり確認し、政府に訴えていくことが求められているように感じます。

(高橋英恵)

 

参考:

Friends of the Earth international, 2020/5/6 “Solidarity with peoples affected by coronavirus crisis – Friends of the Earth International”

https://youtu.be/DDrGl1rxtzg

 

Friends of the Earth international, 2020/4/15 ”COVID-19 crisis is a wake up call for system change”

https://www.foei.org/news/covid-19-coronavirus-crisis-system-change

 

Friends of the Earth Europe 2020/4/20 “Coronavirus: Choices lie ahead for how we build back our broken economies”

http://foeeurope.org/coronavirus-choices-lie-ahead-070420

 

Friends of the Earth APAC, 2020/4/26 “COVID-19: An Opportunity for System Change”

https://foeasiapacific.org/2020/04/26/covid-19-an-opportunity-for-system-change/

 

Friends of the Earth US, 2020/4/15 “New Report: Big Oil’s Money Pit to Reap Stimulus Billions”

https://foe.org/news/new-report-big-oils-money-pit-to-reap-stimulus-billions/

台湾の23の環境NGOが、汚染水の放出に反対し、意見書提出

情報更新:2020年5月14日
その後2団体が加わり、23団体になりました。

緑色公民行動連盟、地球公民基金、台湾環境保護連盟、など、台湾の23の環境NGOが、福島第一原発のサイトでたまり続ける汚染水の海洋放出に反対し、経済産業省に意見を提出しました。

意見書では、「ロンドン条約」が放射性廃棄物の海洋投棄を禁じていることを挙げ、「国際条約の理念に反する」としています。また、「放射能の汚染を国境を超えて拡散させることになり、福島近海の漁業や、近隣諸国の自然環境、人々の健康を危険にさらすことになり、台湾の人々にとっては大変憂慮する事態である」とし、「日本政府が各方面の反対の意見を聞いて他の方法をとること」を提案しています。

経済産業省は、現在、汚染水の処分について一般からの意見募集を行っており、台湾の環境団体の意見書は、それにこたえるものです。>経産省の意見公募についてはこちら


台湾のNGOから日本国経済産業省への意見書
経済産業省 御中
福島第一原発に溜まっている汚染水を海洋に直接投棄する予定であることを、貴殿が公表した情報で知りました。

福島第一原子力発電所の事故から 9 年が経ちましたが、東アジアの運命共同体である台湾は、政府も民間も事故については遺憾に思い、また注目してきました。私たちは日本の人々の生活復興支援に力添えするとともに台湾における原発政策を反省し、同じような事故がおこらないように努めたいと思っています。

原発の安全神話はすでに過去のものとなっています。事故による影響は甚大であり、元通りにすることは困難であり、日本の人々はその被害を受け続けています。私たちも日本政府が原発災害後の対処に努めていることは理解しています。しかし注意を喚起しておきたいのは、1990 年代に採択された「ロンドン条約」が放射性廃棄物の海洋投棄を禁じていることは国際的な共通認識だということです。しかるに日本政府は放射性物質を含んだ 119 万立方メートルの汚染水を太平洋に投棄しようとしています。これは国際条約の理念に反することであり、放射能の汚染を国境を超えて拡散させることになり、福島近海の漁業や、近隣諸国の自然環境、人々の健康を危険にさらすことになり、台湾の人々にとっては大変憂慮する事態なのです。

私たちは、日本政府が各方面の反対の意見を聞いて他の方法を採ることを重ねて建議します。放射能汚染水の海洋投棄は最悪の選択であり、それは日本にとって無益なだけでなく、禍を近隣に押し付けることにもなりま す。貴殿が意見を聴取しているいま、私たちは台湾の民間団体の立場から共同の声明を公表することにしました。日本政府が台湾からの意見を重視してくださることを願って。

1. 綠色公民行動聯盟 Gr een Citizens’ Action Alliance
2. 地球公民基金會 Citizen of the Earth
3. 台灣環境保護聯盟 Taiwan Environmental Protection Union
4. 桃園在地聯盟 Taoyuan Local Union
5. 北海岸反核行動聯盟 North Coast Anti Nuclear Action Alliance
6. 屏東縣好好婦女權益發展協會 Juridical Association for the Development of Women’s Rights in
Pingtung
7. 綠色和平 Greenpeace
8. 永社 Taiwan Forever Association
9. 環境法律人協會 Environmental Jurists Association
10. 彰化縣環境保護聯盟 Changhua Environmental Protection Union
11. 媽媽監督核電廠聯盟 Mom Loves Taiwan Association
12. 蠻野心足生態協會 Wild at Heart Legal Defense Association
13. 宜蘭人文基金會 Yilan Charlei Chen Foundation
14. 350 台灣 350 Taiwan
15. 台灣人權促進會 Taiwan Association for Human Rights
16. 台灣環境資訊協會 Taiwan Environmental Information Association
17. 生態關懷者協會 Taiwan Ecological Stewardship Association
18. 主婦聯盟環境保護基金會 Homemakers United Foundation
19. 荒野保護協會 The Society of Wilderness
20. 看守台灣協會 Taiwan Watch Institute
21. 台灣非核亞洲論壇 No Nukes Asia Forum Taiwan
22. 人 本 文 教 基金 會 Humanistic Education Foundation
23. 台 灣 基督 長 老 教 會 The Presbyterian Church in Taiwan

 


関連報道

環團赴日台交流協會陳情 反對福島核污水入海https://www.cna.com.tw/news/aipl/202005130072.aspx
ほか多数

台湾_汚染水反対

 

デジタルストライキに参加して

こんにちは。インターンの鷹啄です。

コロナの影響で様々な活動が停止となってしまい、モヤモヤしている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

しかし、誘惑の予定がないこんな時だからこそオンラインセミナーに沢山参加できたり、自分の生活について考え直したり、いつもとは違うことができて楽しいなと個人的には思います。

 

さて、4月24日にFridays For Futureが開催したオンラインストライキですが、皆さんも参加しましたか?ツイッターで「#気候も危機」というハッシュタグが無事トレンド入りしたのを見たときはとても嬉しかったです。インスタグラムでもタグを追うと、大学で見かけたことのある人の投稿があったり、仲間がこんな身近にいたんだなぁと、新しい発見もありました。

#気候も危機

他の参加者からは、「プラカードの画像を投稿してくれた友達が15人もいた!」「友達が私の投稿をシェアしてくれた!」など、嬉しい報告がありました。

まだまだ気候変動に対して危機感を持つ人は多くありませんが、確実に増えてきているのではないでしょうか?

気候変動も人々の命を脅かす大問題。

コロナ渦でもこのことを忘れずに活動を続けていきましょう!

 

みなさんも健康にはお気をつけくださいね。

#STAYHOMEの今こそ。見直そう!おうちの電気

いよいよ、2020年度が始まりました。
新しい環境での生活を始められた方も多いかもしれません。
そして誰にとっても、これまでにない状況での新年度となっていると思います。

2016年4月の電力小売全面自由化から丸4年がたちました。

おうちの電気、あなたはもう切り替えましたか?

そういえば、まだだった・・という方も多いかもしれませんが、今からでも遅くありません。4年経って、具体的に選べる電力会社も増えてきた今、そして家にいる時間が長くなっている今、ぜひ行動に移しませんか?

●どうやって切り替える?

実際に、申込み手続き自体はとても簡単です。各社のウェブサイトから必要事項を入力するだけ。(現在の請求書の「お客様番号・地点番号」の情報が必要です)

それよりも「どの電力会社にするか」決めるほうが大変かもしれません。

そこで今日は、自然エネルギーを重視する電力会社の選び方について書いてみます。
環境NGOなどで2015年に始めた「パワーシフト・キャンペーン」(FoE Japanが事務局をやっています)では、自然エネルギーを重視する電力会社を紹介し、選ぶ人を増やすことを目指しています。こちらにそってご紹介します。
http://power-shift.org/

1)お住まいの地域で選べる電力会社をチェック。

お住まいの地域に本社のある電力会社があれば、ぜひ候補に入れましょう。
今居住地だけでなく、出身の地域や思い入れのある地域の電力会社もよいでしょう。また、生協の組合員の方は、生協の電気もチェック。

2)気になる電力会社のウェブサイトをチェック。

電源構成、どこから電気を調達しているのか、どんな会社なのか。各社ウェブサイトに加え、パワーシフトのウェブサイト上の紹介記事(http://power-shift.org/choice/)をぜひ読んでいただきたいです。社長の思いや苦労していること、目指す方向など、各社ウェブサイトに載っていないことも掲載しています。

3)一番応援したいと思うところに決める

調べてみると、自然エネルギー重視の電力会社といっても各社方向性がそれぞれだとおわかりいただけるかと思います。また、パワーシフトで紹介している会社がすべて完璧というわけではなく、むしろ「目標に向けて前進中」です。

ポイントは、大手電力や大手新電力よりも少しでもベターで、共感できる電力会社を選ぶこと。応援したいと思うポイントやエピソードを見つけるつもりで、選んでみてください。

なお、パワーシフトの紹介電力会社が少ないエリアもあると思います。紹介以外の会社も含めて、少しでもベターを見つけてください。
●よくある疑問!工事は必要なの?

なお、物理的な電気の流れはこれまでと変わりません。電線の管理運営は、引き続き大手電力会社が担います。小売電力会社は、事務的な手続きの窓口なのです。

しかし、小売電力会社によって、どこから電気を調達するのか、電気料金をどう使われるのかが違ってきます。

●お金の流れを変えよう!

電気を選ぶことは、未来を選ぶこと。投票と同じくらい効力があります。
電気代というお金の行き先を実際に変えることができるからです。

電力市場全体で約15兆円、そのうち約7.5兆円が家庭部門です。2016年以前はすべて大手電力会社に行っていたこのお金の流れを、私たち自身が決めることができるのです。切り替えたみなさんの感想は「気分がすっきりした」「再エネにつながる安心感がある」などなど。物理的な電気は同じでも、お金の流れで違うのです。

ちなみに・・パワーシフトで2019年9月から呼びかけている「みんなの電気代積み上げ」、ようやく1200万円まできました!
ですが、まだまだ足りません!!
みなさんの登録と口コミ、改めてお願いいたします!!!
http://power-shift.org/100m/

●#STAYHOME期間の特別キャンペーン(ひとまず5月10日まで)

パワーシフト相談受付

みなさんの電力選びを、できるだけサポートします!
疑問・疑問にどんどんお答えしたいと思います。info@power-shift.org へのメール

もしくは、パワーシフトのツイッター、FB、Instagramに「質問受付」の投稿がありますので、何か迷ったらぜひお気軽に問合せください。こんなことができるんじゃない、という提案も大歓迎です!

5/1 FoE カフェ「パワーシフト入門」もよろしければご覧ください。
https://www.facebook.com/FoEJapan/videos/537056840337114/

2020年は、3.11から10年目の年でもあります。
おうちの電気も見直して、心を新たに。

連休中もどうか健康に気を付けて、おうち時間をお過ごしください。
(吉田明子)

疑問だらけの東電・処理汚染水放出「素案」

3月24日、東電がALPS処理汚染水の放出に関する「素案」を発表した。
「一度に大量に放出せず、年間トリチウム放出量は、廃止措置に要する30~40年の期間を有効に活用する」とし、水蒸気放出・海洋放出のそれぞれのフローを示している。また、タンクの72%の水で基準超えしているトリチウム以外の放射性核種については、「二次処理を行う」としている。
この「素案」、以下のように数々の疑問が呈されているのにもかかわらず、経産省はこれをそのまま自らのウェブサイトに掲載し、現在行っている意見募集の基礎資料の一つとしている。

何が残留しているのか

東電によれば、トリチウムについては、タンク水に約860兆ベクレル残留している。(建屋の中には保守的に見て1,209兆ベクレル残留していると見積もっている。)
トリチウム以外に、セシウム137、134、ストロンチウム90、コバルト60、アンチモン125、ルテニウム106、ヨウ素129なども残留し、告示濃度比総和(注)の分布は以下の通り。

注)告示濃度比総和とは、それぞれの核種の濃度を告示濃度(排出濃度基準)で割ったものを足し合わせたもの。全体として排出基準の何倍になっているかを示す。排出する際は1を下回っていなければならない。

文書名東電への質問200423(解説付き).pdf

告示濃度比総和は、最大14442.15倍とのことだ(2018年10月1日付東電資料では約2万倍となっていた)。つまり、これらの核種で全体としてみたとき基準の最大14000倍以上となっているということを意味する。この数字は東電の説明資料からは省かれている。(ちなみに、2018年10月1日東電資料には書かれていた)

告示濃度比で最大なのはストロンチウム90。化学的性質がカルシウムに似ているので骨に蓄積することが知られている。

残留核種の総量は不明

問題なのは、東電はそれぞれの核種が、総量でどのくらい残留しているのか示していないことだ。タンクごとに核種濃度がわかれば、簡単に計算できるはずなのに、それをしない理由は何なのか。放出する水がどのようなものであるのかは、もっとも重要な情報である。

二次処理するからいいじゃないかということなのかもしれない。しかしそれでは、二次処理後はどの程度の量になるのか。二次処理した上で、その総量を示すべきだと思うのだが、それすら明言していない。

また、少なくとも二次処理せず放出する28%の水については、含まれている放射性核種、その総量、その他の汚染物質について開示すべきではないか。
また、排出する水の総量も不明である。もちろん、トリチウムの排出量、濃度をどうとるかによって変わってくるが、いくつかの代表的なケースごとに示すべきではないか。

「二次処理」の性能試験は?

それでは、「二次処理」によってどのくらい放射性物質を除去できるのか。
東電は、「素案」の中で、「2020年度、高濃度のもの(告示濃度限度比100倍以上)を約2,000m3程度処理し、二次処理の性能を確認する」としている。

リスク管理という観点からは、高濃度の水を優先的に二次処理することは理解できる。
しかし、目的が「二次処理の性能を確認」するためであれば、より低濃度の水も含め、1~100倍のものも含め、処理対象のそれぞれの濃度のバンドから抽出し、二次処理の性能を確認するべきではないか。

問題の多い海洋拡散シミュレーション

東電の「素案」には、海洋放出した際の拡散シミュレーションについても記載されている。

東電処理水200324_ページ_21

東電によれば、「2014年の実気象に対して、放出量を仮定して連続的に放出した場合のシミュレーション結果を一例として提示したもの」とのことである。
年間放出量ごとにトリチウム1ベクレル/ℓ以上となる海域が示されている。

しかし、このシミュレーションには数々の疑問が呈されている。

まず、影響範囲を1Bq/ℓ以上としている理由が不明だ。東電の「素案」p.22の図によれば、原発近傍ですら、核実験や原発事故の影響を受けていない期間の海水の濃度は0.5Bq/ℓ程度にみえる。影響範囲というのであれば、もう少しきめ細かく、0.5Bq/ℓ以上から何段階かに分けて示すべきではないだろうか。

東電処理水200324_ページ_23

また、鉛直方向にも30層にわけてシミュレーションを行ったとのことだが、示されているのは一番上の層だけ。「鉛直方向には均一に分布」しているとして、この30層のシミュレーションは開示していない。しかし、いくら何でも「鉛直方向に均一に分布」というのは不自然ではないだろうか。

原子力市民委員会委員、大沼淳一氏(元愛知県環境調査センター主任研究員)は以下のように指摘している。

「そもそも拡散シミュレーションをする場合には、初期条件と環境条件を明らかにしてからしか作業することが出来ないが、それが明らかにされていない。日間、月間、年間を含めた干満、沿岸流、海底地形、流入河川水、年によって変動する黒潮の蛇行などである。放出される汚染水の水量、放出速度、放流水深、放流口の形状、水温、密度なども必須の入力項目である。シミュレーション結果は、これらの変数を変化させて、そのケース毎に拡散図が示されるべきである」

「素案では、解像度が水平方向は1㎞メッシュ、鉛直方向は水深に対して30層(深さ1㎞まで)とされている。すなわち1km四方で深さ「水深/30」mの箱(水深30mなら100万立米、1000mなら3000万立米)を積み上げて計算していることになるが、いかにも箱が大きすぎる。最初の箱に汚染水を放出して均等にかき回される保証はどこにもない。汚染水の放出速度にもよるが、せめて10mx10m(30層)の箱を積み上げるべきである」

つまり前提条件が不明確な上に、おおざっぱすぎる、ということだ。

ちなみに、「何年間放出すると仮定したのか」という質問に対して、東電は、「1年間の連続放出をした場合、例えば、22 兆ベクレルを一定の放出率で1年間継続して放出する場合、開始から1年以内に放出と拡散とのバランスがとれて、その後は、任意の点における濃度が準定常状態(濃度がある一定の変動範囲内に収まること)となります。従いまして、「何年間」という仮定はしておりません。」と回答している。

前述の大沼氏は、以下のように指摘する。

「素案で示したのは、長期間放出を続けて、準定常状態になった時の汚染分布図」だと回答している。コンピューター上で、数百回(1年間なら約700潮汐)の潮汐を繰り返させた結果であろう。漁民や市民が懸念しているのは、こうした平均値ではない。1日に2回起きる潮汐でも大きさが異なる。大潮と小潮では干満差が全く違う。黒潮の蛇行も季節変化や年変化が大きい。風の影響、降水量の影響なども大きく、沿岸流の方向は逆転することも頻繁に起きている。こうした環境要因の変動ごとに、放出される汚染水塊がどのように拡散するかが知りたいのである。」

東電によれば、このシミュレーションは、電力中央研究所が実施し、米国Rudgers 大学により開発された領域海洋モデル「ROMS:Regional Ocean Modeling System」に、トレーサー計算できるように改良を加えたプログラムを利用しているとのことである。また、シミュレーションの適用にあたっては、Cs-137 の実測データによりモデルの検証を行っているということだ。>参考文献

その他、モニタリングなどに関しても数々の疑問があるが、それらはまた後日述べたい。

(満田夏花)

※FoE Japanでは、「原発ゼロの会」のご協力をえて、東電の「素案」に関して、現在までに3回東電に対して質問書を提出しています。質問への回答は以下をご参照ください。(すべてPDF)

東電回答(2020年4月1日)
東電回答(2020年4月8日)
東電回答(2020年4月29日)

「よりよい海を取り戻したい。海洋放出は反対」…福島の漁業者が訴え

福島第一原発のサイトでタンク内にためられているALPS処理汚染水--。
政府小委員会は、「水蒸気放出」「海洋放出」が現実的とし、「海洋放出」の方が利点が大きいとする報告書をだしました。
FoE Japanでは、2020年3月、小名浜や新地町の漁業者のインタビューを行いましたが、より多くの人たちに漁業者の直接の声をきいていただきたいということで、小名浜から底曳網漁協の理事である柳内さんをお迎えし、永田町の議員会館で、経済産業省・東電・国会議員がいる前で「お話しをきく会」を開催しました。新型コロナの影響を考慮し、一般の方々には、オンラインで参加していただきました。
柳内さんは処理汚染水を海に流すことは、福島の漁業に大きな打撃を与えるとして、放出反対の意見を述べました。

柳内さん(議員会館にて)
(議員会館にて、福島の漁業の状況や処理汚染水を放出に関する懸念を述べる柳内さん)

以下、柳内さんのお話の概要です。>録画映像はこちらから。

・現在、ほとんどの魚種が出荷制限解除になっているが、なかなか震災前の水揚げが回復していない
・ALPS小委員会の報告書が、海洋放出を推奨しているともとれる内容でたいへん危惧している
たとえ浄化して海洋放出が実施されたとしても水産業にとって大きな打撃となる。海外の輸出禁止措置の解除もむずかしくなる
・漁業の先が見通せず、投資意欲も減退している
・投資をしたとしても売り上げが回復しなければ借金のみが残ってしまう
事故前のトリチウムの放出量は年間2.2兆ベクレル、これが東電の「素案」では少なくとも年間22兆ベクレルのトリチウムが、数十年かけて放出されてしまう
・(2018年の)公聴会でいろいろな人が意見を述べたが、多くの人が陸上での保管継続をすべきと発言。しかし、それができないと。できない理由として(敷地外に持ち出すことについて)法律がネックになっているということであったが、たとえば中間貯蔵施設についても新たな法律をつくって対応していた。今回の水の件も同様に対応できるはず。
・事故前の漁業に戻すには、競争力を取り戻さなければならない。福島の海をよりよい海にしていく必要がある。さもないと私たちは復興できない。

また、今回、経済産業省が、「地元をはじめ、幅広い関係者の意見をきく」としていることについては、以下のように指摘。

「関係者の意見をきく、というが、すでに公聴会のときに(海洋放出反対の)意見は言っている。意見をきいて、それをどう反映するかが問題だ」

柳内さんのお話のあと、東電・経済産業省との質疑を行いました。

東電が発表している処理汚染水の「処分素案」に関して、東電は以下のように説明。

・年間の放出量が事故前の福島第一原発の管理目標値22兆ベクレルであるとすると、放出完了までに20~30年かかる。
・排出する水の総量(m3/日)は示すことができない。
・現在、タンクにたまっている水には、トリチウム以外に、セシウム-137、セシウム-134、ストロンチウム-90、コバルト-60、アンチモン-125、ルテニウム-106、ヨウ素-129などの放射性核種が残留している。
・トリチウム以外の核種の告示濃度比総和(各核種の濃度を、その核種の排出濃度基準で割り足し合わせたもの)の最高値は14442.15倍となっている(2018年10月の発表資料では約2万倍)。この中でもっとも告示濃度比総和が高いものはストロンチウム90

東電は、タンク水の二次処理を行い、トリチウム以外の放射性物質の濃度を基準以下に下げると言っていますが、どの程度下げられるのか、残留する放射性核種や微生物などはどの程度になるのかについては、示していません。

東電処理水200324_ページ_10

(東電、3月24日発表のALPS処理水処分素案 p.9)

また、東電が3月24日に公開した、仮に海洋放出を行った場合の拡散シミュレーションについても議論となりました。

東電処理水200324_ページ_21

(東電、3月24日発表のALPS処理水処分素案 p.20)

このシミュレーション、いろいろと問題が多いと思いますが、最も問題なのは放出の前提が示されていないことでしょう。
季節、干潮時・満潮時、水温、水量などが示されていません。

また、東電は、1Bq/L以上の部分を示していますが、なぜ1Bq/Lなのでしょうか。
東電が発表している以下のグラフを見る限り、福島第一原発近くにおいても、核実験や原発事故の影響を受けていない時期の値は0.5Bq/L程度に見えます。

東電処理水200324_ページ_23

(東電、3月24日発表のALPS処理水処分素案 p.23)

さらに、水深ごとの鉛直方向の結果を出してほしいと言っても、「表層から放出されたトリチウムは、海洋の混合の影響によって、鉛直方向に均一に分布する」という回答でした。

「ALPS(多核種除去設備)で処理されたがトリチウムなど放射性物質を含む水」(以下、ALPS処理汚染水)について、現在、経済産業省が一般からの意見を募集しています(5月15日まで)。

多くのみなさまにパブコメを書いていただくことを目的として、以下のオンラインでのパブコメセミナーを開催します。ぜひご参加ください。

〇第1回 ALPS処理汚染水パブコメ・セミナー:4月17日(金)12:00~13:30
(講師:満田夏花/FoE Japan)
〇第2回 ALPS処理汚染水パブコメ・セミナー:4月26日(日)14:00~15:30
〇第3回 ALPS処理汚染水パブコメ・セミナー:5月 2日(土)14:00~15:30
内容:ALPS処理汚染水を議論のポイント
実際にパブコメを書いてみよう

ご参加の方は以下からお申込みください。
https://pro.form-mailer.jp/fms/27c1d91b193245
お申込者に後ほど、メールにて、オンラインでの会議システムzoomの使い方と
参加可能なリンクをお送りします。

▼以下ご一読ください。
【ALPS処理汚染水、大気・海洋放出で本当にいいの? パブコメを出そう!(〆切5月15日)】
http://www.foejapan.org/energy/fukushima/200407.html

★東電福島第一原発で増え続ける、放射能を含んだ「処理水」Q&A
Q:そもそも「処理水」って何?
Q:「処理水」には何が含まれているの?
Q:トリチウムは安全?
Q:海洋放出しか現実的な手段はないの?
Q:敷地は本当に足りないの?
Q:漁業者は何と言っているの? など

http://www.foejapan.org/energy/fukushima/200324.html
http://www.foejapan.org/energy/fukushima/200324.html

日本にもあった違法伐採!! 波紋拡がる宮崎県の盗伐事件(8)

第四回 宮崎市田野町字荷物取地乙

これまでも紹介してきました「黒木林産」社長の黒木達也被告の裁判ですが、控訴審が2020年4月16日に福岡高等裁判所宮崎支部にて開かれます。一審で森林法違反(森林窃盗)の罪に問われ、懲役1年、執行猶予4年の有罪判決(求刑懲役1年6か月)を受け、即日控訴した黒木達也被告。二審はどんな公判になるのでしょうか?注目していきたいと思います。

今回は宮崎県盗伐被害者の会会員の橘美代子さんの事件を紹介します。
※今回も被害当事者の橘美代子さんのご了承を得て、実名で記述しております。

被害林地の概要
 宮崎市内在住の橘美代子さんの被害林地は、現住所でいうと宮崎市田野町乙、宮崎地方法務局で入手可能な地籍図上では宮崎市田野町字荷物取地。隣接する都城市との境に近いところで、県道269号線沿いの青井岳自然公園や青井岳荘の付近ゆえ、宮崎市内からはだいぶ距離があります。
林地の地番は乙356-35(1,917 m2)、乙356-36(902 m2)、乙363(3,609 m2)、乙364-1(117 m2)です。合計面積は0.6545(ha)で、林齢は60年超で80年くらいのものもあり、被害本数は1,000本くらいとのことです。

被害の概要
 橘さんの林地管理については義弟が林業に詳しく、彼の意見を参考にしていたそうです。その義弟が亡くなった後、2009(H21)年頃に被害に遭いました。最初、Nという林業仲介業者から「山を売らないか」という打診があったのですが彼女は断りました。すると次にIという別の林業仲介業者が訪れ、「土場(伐採した丸太の置き場)用に場所を借りたい」という理由で20万円を置いていったそうです。
その後、橘さんは友人から「お宅の山、伐られているよ!」という知らせを受けて、被害に気付きました。「土場用に」として認めた伐採でしたが、まさか林地丸ごと伐られてしまうとは思いもよらなかったそうです。

写真や地籍図から、被害林地のうち地番363と364-1は道路に近く、その奥まで伐り進んでいくためには必要な林地だったものと考えられます。

後日判明したことですが、橘さんの林地を含め伐採したのはY林業でした。このY林業は前回紹介した川越員さんと矢野育教さんの盗伐事件において、林業仲介業で有罪判決を受けた松本喜代美が手配した最初の、そして宮崎市に受理された伐採届に記載されていた伐採業者です。

現場検証で容疑者の林業仲介業者と遭遇
 盗伐被害の後、橘さんは宮崎市の担当者と二度、現場で会いました。初回は被害直後で、橘さんご夫妻と市職員とで国道沿いの林地入り口付近から被害地を見て「伐採されていること」を確認した程度でした。二度目は市職員から連絡があり、現場に呼び出された形でした。そこには市職員2名と3人の被害者の方々、そしてなんと林業仲介業のIもいました。このとき橘さんはIが自身の林地の盗伐に関与していたことを認識していませんでしたが、市職員に対して「誰が犯人ですか?」と質問を投げかけたものの回答はなかったそうです。今になって思い起こせば、市職員らがIの関与について知らなかったとは考えにくく、「なぜ知らせてくれなかったのか」と市の対応に怒りを覚えています。

警察に相談、「名誉棄損で訴えられるよ」
 被害についての相談や被害届を出すべく、橘さんは、はじめご自身のお住まいの近くの宮崎北警察署に行きましたが、「管轄が違う」として断られ、林地周辺を管轄する宮崎南警察署へ改めて相談に行きました。窓口にて「山が伐られている」と伝え、一通り話を聞いてもらったそうです。この時、橘さんは地籍図など関連資料を持参しました。このとき応対してくれた警官からは「(民事で)裁判しますか?」と聞かれたそうです。
二度目に宮崎南警察署を訪問した際は、刑事第一課のMが10分程度応対してくれました。このとき橘さんは林業仲介業者のIの名刺を持参し、Mに見せ「Iを調べてくれ」とお願いをしました。
宮崎南警察署、3度目の訪問時、再び応対者はMだったのですが、Mからは「Iに名誉棄損で訴えられるよ」と言われたそうです。この対応を受けて以来、橘さんは宮崎南警察署へ相談するのを断念しました。

とはいえ、盗伐被害に泣き寝入りするわけにはいきません。橘さんは宮崎市森林水産課へ幾度か相談に行きました。しかし宮崎市森林水産課では何も教えてはくれませんでした。被害地から最寄りの宮崎市田野総合支所にも相談してみましたが、得るものはありませんでした。その他近隣の農協などにも行ってみましたが、徒労に終わりました。

それでもあきらめず、橘さんは高岡町にある宮崎中央森林組合にも足を運び、「山が伐られた」と伝え、助言を求めたのでした。窓口の応対は不親切で十分に取り合ってもらえなかったそうですが、橘さんがあきらめて駐車場へ戻る際、職員の一人が駆け寄ってきて「誰にも言わないでくれ」と言い含めた上で、Iの連絡先を渡されたそうです。

宮崎県盗伐被害者の会の活動に合流、容疑者と無届伐採が判明
 その後、橘さんとしては打つ手がなく、目立った動きは取れませんでしたが、「泣き寝入りはしない」という強い気持ちが引き寄せたのでしょうか、2017(H29)年夏、宮崎県盗伐被害者の会の海老原さんに出会い、活動を共にするようになりました。
そして2018(H30)年2月15日、盗伐被害者の会会員7名で宮崎県警察本部生活安全課生活環境課のK理事官・警部を訪問した際、やりとりの中で橘さんは「盗伐業者はわかりませんか?」と質問しました。その場での回答はなかったのですが、翌日の2月16日、宮崎市森林水産課のI係長から橘さんに電話が入り、「盗伐業者はY林業、林業仲介業者はI」という知らせを受けました。2009年に被害を受けて以来、ようやく容疑者が明確になったのでした。
さらに、被害者の会の支援を受け、橘さんも伐採届に関する情報開示請求を宮崎市に申請し、2018(H30)年7月4日、無届伐採が判明しました。

最後に
 本ブログにおいてこれまで4つの盗伐被害事例を紹介してきましたが、この4つを紹介する上で入手した情報だけでも同一容疑者が複数の盗伐事件へ関与していることが確認できます(下表)。

表 これまで紹介した盗伐被害事例における林業仲介業者と伐採業者

tachibana03

注:表中、色付けした行の2件は本ブログ未紹介事件。また伐採業者の欄で*は山林転売前に受理された伐採届に記載された業者。最終的に伐採したのは*のない業者。
(出所)宮崎県盗伐被害者の会会員への聞き取り、および会の見解に基づきFoE Japanが作成

2018年3月に有罪判決を受けた岩村進、松本喜代美は4つの事件のうち3つに関与しています。今回紹介した橘さんの事件の伐採業者Y林業は、前回紹介した事件において、松本喜代美の有印私文書偽造に関与しています。また第一回で紹介した事件に関与したものの起訴は免れたY産業は約2年後、今度は自身で伐採届を手配する立場で事件に関与しています。
これらのことから、彼らは常習的に犯行に及んでいることは明らかで、「誤伐」ではなくて「悪質な盗伐(窃盗)」であることは間違いありません。またY産業が関与した事件は2018年9月で、岩村、松本が有罪判決を受けた後に発生していることから、「知り合いが有罪判決を受けたとしてもお構いなし」、もしくは「どうせ捕まらないし、捕まったとしても執行猶予付きゆえへっちゃらさ」ということなのでしょうか、抑止効果はまったく見られず、森林行政のガバナンスが機能していない、と言わざるを得ません。
これまでも繰り返し述べていることですが、違法伐採は「汚職・腐敗が蔓延し、ガバナンスが脆弱な途上国」に多いとされていますが、宮崎県、ひいては日本は本当に先進国なのでしょうか?

次回は、被害者の事件から少し離れて、国、県レベルでどんな「対策」が取られているのか、見てみたいと思います。(三柴淳一)

過去の記事
> 第一回 宮崎市瓜生野ツブロケ谷(その1)
> 第一回 宮崎市瓜生野ツブロケ谷(その2)
> 第二回 宮崎市高岡町花見字山口(その1)
> 第二回 宮崎市高岡町花見字山口(その2)
> 第三回 宮崎市大字吉野字深坪(その1)
> 第三回 宮崎市大字吉野字深坪(その2)
> 第三回 宮崎市大字吉野字深坪(その3)
> 第四回 宮崎市田野町字荷物取地乙

未来のために、今できること!

初めまして、FoE Japanでインターンをしている文京学院大学の松田です。

2か月間の活動を通して学んだことを紹介します。

インターンを始めるまでは環境問題に関してはあまり詳しくなかったのですが今回の活動の中でたくさんの事を学びました。

 

まずは原発事故について、現在では毎年3月に数回テレビで特集をやるくらいで自分の中では原発事故の被害はもうないと勝手に思い込んでいました。しかし、実際にはまだ何も解決しておらず中には住宅支援を打ち切られた地域もあります。被災地の現状は自分が思っていた以上に深刻であると思いました。

 

このような現状をどうすればいいのかを考えた時に、こういったことを自分の事のように考える「自分ごと化」をしていくことが重要であると学ばせていただきました。

 

2月12日に議員会館で原子力市民員会の「自分ごと化会議in松江」から学ぶ経験と課題に参加させていただきました。これは過去に島根県松江市で行われた原発の問題について議論した会議で無作為抽出で選ばれた市民21人と学生5人が参加しました。この会議の狙いは市民が原発を自分の事として考えることが狙いであってここでは「自分ごと化会議in松江」の仕掛け人である中央学院大学教授の福嶋さんと市民エネルギーとっとり代表の手塚さんに話をしていただきました。個人的には原発事故を自分の事として考えるという事はとても斬新だと思いました。まずは原発事故への関心を持ってもらうためには自分のことのように考えて想定してくことが大事だと学びました。

 

2月11日に参加したパワーシフトシンポジウム「自然エネルギーで社会をゆたかに」では石油ガスやバイオマスが環境に及ぼす影響について学びました。TERA Enargy、みんな電力などの今まで聞いたことのない企業があり、その企業の方々の話を聞くことができました。エネルギー問題は私達一人ひとりの課題であってをこれを解決するためには再生可能なエネルギー(太陽光など)を選択する必要があります。一人でもできることは十分にあるのでしっかりと電気を選んで環境に負担をかけないようにしたいです。

 

八王子市の宇津木の森での里山プロジェクトに2月と3月に1回ずつ参加しました。

ここでの作業は薪割りやキノコ(しいたけとなめこ)のコマ打ちでした。

001.JPG

きのこのコマ打ちは特に大変な作業でドリルで直径1センチほどの穴をあけてからその穴にきのこの種をハンマーで叩いて植えました。(白い部分がきのこの種です。)

002

 

上の画像のようにスギの葉を丸太の上に全体に覆い被せます。

スギの葉をかぶせる理由はきのこに他の細菌が入らないようにするためだという事です。

 

004

最終的には上の画像のように丸太が全く見えなくなるまでスギの葉を覆い被せます。

周りの方と協力しながらの作業で終わった後の達成感を味わうことができました。

ちなみに、しいたけとなめこの収穫時期は今から2年後の秋だそうです。

どちらも大変な作業でしたが人の手によって自然と手入れして保全することがどれだけ大切なのかを学びました。ライフスタイルが変わった今では自然とのつながりは薄れかけているのでそのつながりを作るために、実際に自然と触れ合うことができることは非常にいい経験になりました。

 

全体を通して、今までは環境問題を解決するためには具体的にはどうすればいいのかよく分かりませんでした。今回のインターンで各種イベントや保全活動に参加をして自分にもできることがあるということを学びました。まだ分からないこともありますが、自分なりに勉強をして知識を身につけたいです。またそれを私の周りの人に共有することを目標にしてこれからも自分なりに環境問題の解決策を見つけていきたいと思います。

 

 

(松田)

日本にもあった違法伐採!! 波紋拡がる宮崎県の盗伐事件(7)

第三回 宮崎市大字吉野字深坪(その3)

2020年1月27日、宮崎県の盗伐問題に関して3件目となる裁判の判決が出ました。森林法違反(森林窃盗)の罪に問われた伐採業者「黒木林産」社長の黒木達也被告に、懲役1年、執行猶予4年の有罪判決(求刑懲役1年6か月)が言い渡されました。弁護側は「伐採は故意ではなかった」と無罪主張していましたが、今澤俊樹裁判官は「主張は不自然不合理で故意があったと認められる」と述べたそうです。なお黒木達也被告は即日控訴しました*1
また4件目となる宮崎市加江田の山林で所有者に無断でスギを業者に伐採させ盗んだとして、森林法違反(森林窃盗)などの罪に問われている林業仲介業の富永悟被告の判決公判が、2020年3月4日宮崎地裁(下山洋司裁判官)で開かれ、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役3年6か月)が言い渡されました。下山洋司裁判官は「狡猾で手慣れた犯行で常習性もうかがわれる。立木取引に対する社会的な信用を害した程度は大きく、犯行結果は重大」と指摘。一方「事実を認め、山林所有者に損害弁償の申し出をしている」などと量刑理由を述べたそうです*2

今回は宮崎県盗伐被害者の会会員の矢野育教さんの事件を紹介します。矢野さんの被害林地は、前回、前々回で紹介した川越員さんの被害林地の隣で、同じ事件の被害者です。
※今回も被害当事者の川越員さん、矢野育教さんのご了承を得て、実名で記述しております。

被害林地概要
矢野育教さんの被害林地は宮崎市大字吉野字深坪135、136番地です。この林地は矢野さんご自身で植林をされ、植林後15年くらいは下刈り、間伐の手間をかけてきたそうです。林地面積は1反(約0.1ha)で林齢は約50年。
そして矢野さんは被害に遭う半年くらい前に、この林地の立木売買契約について照葉林業に相談をしており、その際に隣接地との境界に白いテープを巻いていました。つまり所有者のみならず、外部者からも境界は明確であったと考えられ、ましてや伐採業者のK林業が気付かなかったはずがない状態だったと矢野さんは言います。

0703_fig

図 盗伐被害地の様子
注:Y氏名義の伐採届には128-1, 129, 141(Y氏所有地), 130-1(川越員さん所有)が記載されていた

2014(H26)年11月~12月に被害に遭った矢野さんの林地は、現在、降雨などの影響もあり陥没してしまいました。昔はすり鉢状のきれいな林地だったそうですが、大型重機による乱暴な伐採施業の跡ゆえ、「元のまともな状態には戻らないだろう。竹も侵入してしまっているため、自分で再び植えるということもできない」と矢野さんは無念さを噛みしめます。

友人の知らせで盗伐被害を認識
矢野さんが盗伐被害を知ったのは、友人が自宅を訪れたときでした。「お前は木を売ったのか?お前の林地、えらい明るいぞ」。それを聞き、すぐに林地を見に行ってみるともう一本もなかったそうです。林地の近隣の人に聞いてみると「数日前にはまだ何本か残っていたよ」。川越員さん同様、矢野さんも伐採後間もなく盗伐被害に気付いたのでした。

2014(H26)年11月、川越員さんご夫妻が岩村、松本らと伐採現場にて対峙した際、矢野さんもその場にいました。矢野さんは岩村・松本に対して「I氏と話をした際、私の名前は出なかったのか?私の林地がここにあることをなぜ認識できなかったのか?」と質問したところ、岩村・松本はI氏から「西のほうのこのくらいがうちの山だろう」という説明を受けたのみで矢野さんの林地のことは「わからなかった」。矢野さんによれば、矢野さんの林地とI氏の林地との真ん中に旗が立っていたのですが、I氏はそもそも林地の境界を全然把握していなかったため、「その旗の西側がこっち(I氏の林地)だろう」とあいまいな感じで岩村・松本に伝えたのであろうと推測しています。
一方、川越員さんによれば、員さんはK林業(児玉林業)に名前入りの地籍図を渡しているので、「伐採時にK林業がわからないはずはない」と言っています。さらに伐採時にK林業が、矢野さんの林地の境界に巻いてあった白テープに気付かないはずがありません。明らかな故意の盗伐行為だったと考えられます。

難航した情報開示請求
矢野さんの被害林地の伐採届出書等に関する情報開示請求に関しても、結果の通知書が手元に届くまで長い道のりでした。2017(H29)年夏に、矢野さんが所定の手続きにより開示請求を宮崎市に提出しました。しかし待てど暮らせど通知書が届かないため、市役所に何度も電話や直接足を運んで確認をしたのですが、宮崎市や市民情報センターは「発送した」と回答するのみでした。結局、請求から約1年が経過した2018(H30)年7月19日、ようやく個人情報不開示決定通知書が届いたのでした。不開示の理由は「開示請求のあった矢野育教に係る宮崎市大字吉野深坪135、136の伐採及び伐採後の造林の届出の事実がないため」、いわゆる無届伐採でした。

まとめ
矢野さんは2014(H16)年11月頃に無届による盗伐の被害に遭いました。この盗伐には少なくとも岩村・松本ら仲介業者とK林業が関与していることは判明しており、有印私文書偽造や無届伐採であったことも確認されています。しかし森林法違反(森林窃盗)の時効は3年ゆえ、今となっては現行法体制において、彼らの刑事罰を追求することが困難な状態です。
被害に遭った林地は、植林から下刈り、間伐などの手入れ期間を経て50余年が経ち、ようやく収穫期を迎えていました。それが白昼堂々、林地丸ごと窃盗被害に遭い、上物の立木のみならず林地内を大型重機でめちゃくちゃにされ、警察に被害届を出したにも関わらず、ほぼ門前払いを食らい、挙句の果てに関与した伐採業者は「俺が盗伐した」と被害者に対して公言すらしている始末。被害者の矢野さんでなくても納得いく話ではありません。
盗伐被害者の会会長の海老原さんは「行政側は時効を待っているのではないか」とも考えています。「たとえ被害者が相談に来ても時間稼ぎのために門前払いによって対応を拒否し、社会的弱者の部類に入る高齢者に対しても特別な配慮はしないことを徹底。普通なら“かわいそう”、“ 気の毒”といった感情を期待したいところながら、それらは県、市、警察の対応に微塵も感じられない」と語気を強めます。

本稿の冒頭で触れましたが、有罪判決まで到達した4件は極めて稀な事例で、それ以外に捜査の手が及んでいない無数の盗伐事例があります。被害者の方々は行政、警察、検察などの公的機関からぞんざいな対応を受け、ほとんどの被害者は泣き寝入りをしてきました。しかし民法724条で不法行為による損害賠償請求の期限は20年とされており、刑事罰は問えないものの、盗伐犯を法的に追及する機会は残されています。現在、宮崎県盗伐被害者の会会員数は103家族。声をあげる被害者は増えています。彼らの声を国政にまで届けられるよう、今後も盗伐事件の全容解明に向けて取り組んでいきます。(三柴淳一)

*1 毎日新聞2020年1月28日, 地域面(宮崎), p21.
*2 宮崎日日新聞2020年3月5日紙面
過去の記事
> 第一回 宮崎市瓜生野ツブロケ谷(その1)
> 第一回 宮崎市瓜生野ツブロケ谷(その2)
> 第二回 宮崎市高岡町花見字山口(その1)
> 第二回 宮崎市高岡町花見字山口(その2)
> 第三回 宮崎市大字吉野字深坪(その1)
> 第三回 宮崎市大字吉野字深坪(その2)
> 第三回 宮崎市大字吉野字深坪(その3)

「自然を元に戻してほしい」横須賀の漁業者を取材して

1月21日、横須賀石炭火力訴訟の原告団長と弁護士とともに、裁判への意見陳述の準備のため、横須賀で漁業を営む方を訪問しました。

その漁師さんは視突漁(箱メガネで海の中を覗きながら、銛や網を用いて魚介を獲る漁法)を営んでおり、今回、その漁場の一部を案内くださいました。

船で漁場に向かい、海底を箱メガネで覗いたところ、海底の砂がよく見え、ところどころにウニが見られるような状況。

海底の皆で交互に見ている中、「何も見えないでしょ?」と漁師さん。

彼の言葉に戸惑う私達に、漁師の方はこう続けました。

「昔は、この時期になるとカジメやアラメとか、海藻の芽がこの辺り一帯に芽吹いていたんです。でも、10年くらい前から少なくなって、この2年で激減。今年なんか、このように、もう100%なくなってしまった。」

アラメやカジメなどの海藻の芽吹いていた時は、岩場が真っ黒になっていたそうです。しかし、現在は、海藻のようなものは一切見当たらず、岩肌が見え、ウニしか生息しないような状態に。地上で例えると、土地が砂漠化し、木が生えてこなくなってしまう状態と一緒だとおっしゃっていました。つまり、東京湾では既に、”海の干ばつ”が起きているともいえます。

海藻がなくなることは、貝や魚の住む所が失われることと同じです。

また、そのような環境で生息しているウニにとっても十分な食糧が無いため身は無く、商品にできないとのこと。ウニもギリギリで生きているので、海藻の種を植えても、ウニに食べられてしまうそうです。

天気の変化においても、この地域では今まで冬になると西風が吹き、それによって岩場が洗われ、海藻が芽吹く土壌が形成されるとのこと。しかし、風が吹かず、そのサイクルがなくなってしまったのではと漁師さんは言います。

「海が死んでいる」

漁師さんはそうおっしゃっていました。

東京に住んでいると、気候変動や環境汚染の影響は分かりにくいと思います。

しかし、自然を相手にする漁師さん。天候や海の状況、すべてが昔と同じ感覚では考えられないとのこと。

このような変化の原因が気候変動によるものかはまだ解明されていません。しかし、海の環境が年々悪化しており、そのせいで、江戸時代から受け継がれてきた方法で海藻をとり、生活をしてきた漁師さんの生きる術が失われつつあることは確かです。

「自然を元に戻してほしい」

それが彼の願いでした。

横須賀石炭火力新設を問う行政訴訟は2019年5月に提訴。2019年10月2日2019年12月23日と裁判が行われました。

次回期日は3月23日(月)14:00~、場所は東京地方裁判所(東京・霞ヶ関)です。裁判後、同裁判の報告会を会場近くの日比谷図書館にて開催します。

法廷に入廷できなかった場合も、裁判の様子はこちらの会にて裁判の報告をさせていただきますので、ぜひご参加ください。

報告会の申込みは、下記webサイトに掲載の予定です。
https://yokosukaclimatecase.jp/

FoE Japanは、引き続き、原告および訴訟サポーターのみなさまとともに、石炭火力の新設計画中止を求めて活動してまいります。

   (鷹啄りな・高橋英恵)