三菱商事の株主の皆様へ

三菱商事が脱炭素の流れから
取り残されないために

ご存知ですか?

三菱商事は環境保全や気候変動対策に取り組んでいますが、その内容は、発電事業における再生可能エネルギー比率30%、2050年までの脱石炭、アンモニアやCCUS・水素関連事業の推進など「2050年までの社会の脱炭素化」を求めるパリ協定からは程遠い内容です。国際エネルギー機関(IEA)が最近発表したレポート(「Net Zero by 2050」)では、2050年温室効果ガス排出ネットゼロのためには2021年以降新規の化石燃料開発への投資をゼロにすべきと示しました。今後石炭だけでなく、ガスも「座礁資産」化する恐れがあります。三菱商事は脱石炭の加速だけでなく、その他の新規化石燃料事業からも撤退すべき時に来ています。

カナダで先住民族が反対の声をあげています

三菱商事はカナダ・ブリティッシュコロンビア州でシェールガス開発やターミナル建設(LNGカナダ事業)を行なっています。これらの開発やガスを運ぶためのパイプライン開発は先住民族の土地を脅かし、気候変動を加速させる懸念があり、先住民族や現地NGOが反対の声をあげています。しかし、こうした先住民族等の抗議を武装した警官が暴力的に弾圧しています。警察による過度の弾圧に対し、カナダの市民も怒りの声をあげました。先住民族に連帯して行われたストライキはカナダ全土に広がりました。このことから一部の投資家は投資撤退したと言われています。

Photo: Michael Toledano

国連もこのガス開発事業を注視しています

三菱商事のLNGカナダ事業にガスを運ぶために建設が進められているコースタル・ガスリンク・パイプラインは、特に先住民族の反対が大きく、先住民族の同意を得ずに建設が進められていることから、国連人種差別撤廃委員会が「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(free, prior and informed consent)」が得られるまで、コースタル・ガスリンク・パイプライン事業、トランス・マウンテン・パイプライン事業、サイトCダムの建設を即時中止するよう連邦政府に求める決議を行いました。また三菱商事自身も「人権尊重のコミットメントの一環として、先住⺠がいる地域での事業活動においては、先住⺠が固有の文化や歴史 を持つことを認識し、事業活動を行う国・地域の法律や国際的な取り決めに定められた先住⺠の権利への配慮を行います。」としています。このまま事業を継続することは、三菱商事に評判リスクももたらします。

株主の皆さんも一緒に声をあげてください

ぜひ三菱商事に対し、LNGカナダ事業からの撤退、より強力な環境方針の設定を求めてください。

LNGカナダ事業に関する情報はこちら→https://www.foejapan.org/aid/jbic02/lngcanada/index.html

先住民族の権利や豊かな自然を破壊するガス開発 – 日本の官民は撤退を

スタッフの深草です。日本の官民が関わるガス開発に反対し、弾圧されている先住民族がカナダにいることをご存知ですか?

温室効果ガスの排出が石炭と比べ少なく、再生可能エネルギーが普及するまでの「つなぎ」とみなされることが多いガス。しかし、ガスも化石燃料であることから、気候変動対策にはなり得ません。それ以外にも、たくさんの課題があります。

カナダのブリティッシュ・コロンビア(BC)州で進められている大規模な新規ガス開発現地には、人権や環境を脅かすこの開発に長年反対してきた先住民族がいます。「太古の昔から、私たちは大地と調和のとれた関係を保ってきました。私たちは大地に生かされており、大地を守る責任があるのです。…彼らは私たちを私たちの土地から抹消しようとしています。」2019年4月、国連先住民族問題に関する常設フォーラムで先住民族のフレダ・ヒューソンさんはそう演説しました。現地で何が起きているのでしょうか。

カナダ最大規模の大型LNG事業

カナダはこれまで、採掘したガスの多くをアメリカに輸出してきました。しかし、アメリカ国内でガス生産が増加していることに加えアジアでのガス需要の増大を見越して、液化天然ガス(LNG)をアジアに輸出するカナダ初の大型LNG事業が進んでいます。この事業は主に3つの部分で構成されています。

(地図出典:Coastal Link Gas Pipeline)

1)ガスを採掘するためのモントニー・シェールガス開発事業(地図右上部、Dawson Creekあたり。)

2)採掘場から輸出ターミナルにガスを運ぶためのコースタル・ガスリンク・パイプライン事業(CGL事業)

3)ガスを液化、貯蔵、そして輸出するためのLNGカナダプロジェクト(地図左側、Kitimatエリア)

三菱商事、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、国際協力銀行(JBIC)がモントニーでシェールガス開発事業に関与し、同じく三菱商事が出資するLNGカナダプロジェクトに対してもJBICが融資の検討を行っています。また、BC州で新規の大型ダム(サイトCダム)の建設も進んでおり、この事業はガス開発に電力を供給するために進められているとも言われています。

先住民族の権利を無視した開発

この大型ガス開発では、特に670キロメートルのパイプライン敷設事業に関して強い反対の声が上げられてきました。パイプライン事業は、先住民族Wet’suwet’enの土地を通過する計画ですが、Wet’suwet’enの伝統的酋長らは同パイプライン事業に合意してません。

2019年1月7日、BC州最高裁判所が先住民族の反対運動を違法とみなし、パイプライン建設を認める判決を下しました。この判決は、先住民族の土地に関する決定権は先住民族にあるという過去の判例をそもそも無視しているとの指摘もありました。しかし、この判決を根拠に建設を進めようと、数十名の武装した警官が反対運動を続ける先住民族に弾圧行為を加えたのです。警官はチェーンソーで障害物を破壊して強制的に土地に侵入し、14名を逮捕しました。

先住民族の権利が侵されている事態に対し、国連人種差別撤廃委員会(Committee on the Elimination of Racial Discrimination)は2019年12月13日付けで、「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(free, prior and informed consent)」が得られるまで、コースタル・ガスリンク・パイプライン事業、トランス・マウンテン・パイプライン事業、サイトCダムの建設を即時中止するようカナダ連邦政府に求める決議を発表しました。

しかし、翌年の2020年2月6日現地時間朝3時すぎ、再び数十名の武装した警官が非暴力行動を続ける先住民族を強制退去させようとし、28人を逮捕しました。この件はカナダ全土で大きく報じられ、カナダ国内外70都市以上で先住民族の人々への連帯を示すアクションが行われました。こうした状況をうけ、連邦政府・BC州・先住民族(Wet’ensuwet’en)の間で、「Wet’ensuwet’enの土地に係る権利を認める」とする覚書が結ばれました。それにもかかわらず、この覚書には一連のガス事業についての言及はなく、その後も、パイプライン建設は継続されてしまっています。

カナダ連邦政府は「先住民族の権利に関する国際連合宣言(United Nations Declaration on the Rights of Indigenous Peoples, UNDRIP)」を2016年に採択しており、BC州も同宣言を実施する決議を行っています。先住民族の土地への権利はカナダの最高裁で認められているにもかかわらず、その反対の声や平和的な抗議活動が武装した警官によって抑圧されているのが現状なのです。

環境負荷の高いシェール開発

フラッキングという手法を使って採掘されるシェールガスには多大な環境影響が伴うことも問題です。シェールガスは地下数百から数千メートルに存在する頁岩(けつがん)層に含まれます。その採掘のために頁岩層まで掘削を行い、岩に割れ目(フラック)を作り高圧で水を注入し破砕する(水圧破砕法またはフラッキング)必要があり、高い環境負荷が生じます。地震誘発、フラッキングのために注入する水による水質汚染、大気汚染、メタン排出による地球温暖化などのリスクが指摘されています。このような問題のため、フラッキングは2011年にフランスで禁止され、2012年にはブルガリア、その後ドイツやアイルランドでも禁止されています。モントニーでも過去にフラッキングが誘発したと見られる地震が発生し、一部で操業の一時的停止措置がとられています。

ガスはつなぎのエネルギー?

ガスは、石炭火力よりもCO2排出が少ないことから、再エネに転換されるまでの「つなぎのエネルギー」と言われることがありますが、大きな間違いです。

気候変動に関する国際条約であるパリ協定は、地球の平均気温の上昇を1.5℃までに抑える努力目標を掲げており、これを達成するためには2050年までに世界の温室効果ガスの排出を実質ゼロにする必要があります。つまり新たなガス田の開発や採掘、ガス関連施設を建設することは、新たな温室効果ガスの排出を長期にわたり固定(「ロックイン」)することに繋がり、パリ協定の目標とも合致しないのです。LNGカナダプロジェクトは2024年度中から40年稼働が計画されており、計画通り進めば2050年を超えて運転することになり、パリ協定と整合しません。

さらに最近国際エネルギー機関(IEA)が発表したレポート(「Net Zero by 2050 A roadmap for the global energy sector」)は、パリ協定の達成のために新規のガス開発投資もやめるべきであると示し、大きな注目を集めました。

三菱商事を含む企業、そして融資に参加する銀行は、今すぐ先住民族の権利侵害への加担をやめ、事業から撤退すべきです。

★事業の詳細はこちら
★先住民族グループからJBICに対して送付された書簡はこちら

(深草亜悠美)

「処理水」?「汚染水」? どっち? そして、何をどれくらい放出するの?

FoE Japanの満田です。この記事を図でざっくりまとめるとこんな感じです。

もう少し詳しく解説します。

政府は、福島第一原発の敷地でタンク保管されている処理汚染水について、今年4月13日海洋放出を決定しました。

また、同日、経済産業省は「トリチウム以外の核種について、環境放出の際の規制基準を満たす水』のみを『ALPS処理水』と呼称する」という、少し不思議なプレスリリースを出しました。

さて、この水をめぐっては、政府は従来「ALPS処理水」と呼び、海洋放出に反対する人たちは「汚染水」と呼んでいます。まあ、処理しているのを強調したいのか、まだ汚染されているのを強調したいのかの違いでしょうか…。ただ、政府は、「汚染水」という報道を見かけると、結構しつこく、いや失礼、こまめに、「いや処理水です」と訂正に努めていたようです。

FoE Japanでは、間をとって、というわけではありませんが、「処理されているが放射性物質は残留している水」ということから、「処理汚染水」と呼んでいます。

ところが、タンクの水の7割において、どうしても取り除けないとされていたトリチウム以外の放射性物質について全体として基準を超えているのです。

この水は、事故で溶け落ちた燃料デブリを冷却する水と、建屋内に流入した水が混じった正真正銘のこ~い「汚染水」をALPS(多核種除去装置)など何段階にわたって処理しています(下図)。

残留しているのは、ヨウ素129、ルテニウム106、ストロンチウム90、セシウム137など…。ストロンチウム90というのは、骨にたまる怖い放射性物質。ヨウ素129は、半減期は1570万年で気が遠くなるほど長いのが特徴です。最近では炭素14なんてものが残留していることが明らかになりました。ここらへんの顛末は以下の記事もご覧ください。

ALPS処理水、ヨウ素129などトリチウム以外核種の残留~「説明・公聴会」の前提は崩れた | FoE Japan

東電は、トリチウム以外の放射性物質が基準内におさまるように、二次処理をする、としています。

さて、ここで問題です。

最初の政府による「処理水」の定義(「トリチウム以外の核種について、環境放出の際の規制基準を満たす水』のみを『ALPS処理水』と呼称する」)からすると、

いま現在、タンクにたまっている水はなんと呼べばよいのでしょうか?

実は、私も気になっていたこの点に関して、質問を出してくれた議員さんが…!

立憲民主党の阿部知子議員です。

そうしたら、回答が出ました。(答弁書といいます)

「政府としてその呼称を定めていない」。

ガクッ。

まあ、呼びたいように呼んでください、ということなのでしょうか。

ということで、私は、引き続き、「処理汚染水」と呼ぶことといたします。悪しからず…。

ちなみに、この質問主意書、もっと重要なことも聞いていますので、ご紹介します。

いまタンクに溜まっている水に含まれいている放射性物質の種類ごとの総量、および放出するであろう水に含まれる放射性物質の核種ごとの総量の推定値についてです。

つまり濃度ではなくて、どれくらいの量が含まれているの? もしくは、どれくらいの量を海に出しちゃうの? ということです。

これ、知りたかった! 実は、私も何度も何度も、東電や経産省に聞き続けてきたのです…。

で、その答えは…

「東電に公表を求める予定はない」

ガクッ。

濃度がわかっているんだからいいでしょ? ということ? でも総量が、総量が、重要なんです~。

おいおいおいおい。

何をどのくらい放出するつもりか、教えてくださいよ~。基本情報でしょ~。

ということで、質問主意書、答弁書のオリジナル、以下に貼り付けます。

阿部知子議員、ありがとうございました。 

(なお、この「水」をめぐっては、東電は、放出前に濃度を測定せず、計算だけで基準を満たしているか判断する方針であることが報じられています。こちらもまた、びっくりです。>東電、放出処理水の濃度測定せず 規制委で妥当性議論へ(2021年6月10日付東京新聞のサイトですが、共同通信の配信です。))

(満田夏花)

東京電力福島第一原子力発電所敷地内タンクの放射性物質の総量の公表に関する質問主意書

>答弁書

2030年エネルギーミックスから持続可能な太陽光発電を考える

パワーシフト・キャンペーンの田渕です。FoE Japanは、森林破壊を伴ったり、住民の生活を脅かしたりするような再エネには反対しています。くわしくは、以下の「見解」をご参照いただければと思います。
https://www.foejapan.org/energy/library/180413.html

2030年電力用エネルギーミックスの試算が各団体から出されています、目標値として有用であるため紹介をします。 森林に設置される太陽光発電がどれほど含まれているかを試算をした結果、全体に占める割合は少なく、他の発電方式に変えることで森林破壊を伴ったり、住民の生活を脅かしたりすることのない良いエネルギー社会を目指せるのではないかと思います。

1.2050年温室効果ガスゼロに向けた2030年のエネルギーミックス

2050年温室効果ガスの排出実質ゼロに向け、通過点である2030年の電力に関するエネルギーミックスの試算が各団体から出されている。WWF*1、自然エネルギー財団(以下自然エネ財団)*2、未来のためのエネルギー転換グループ(以下未来エネグループ)*3のレポートから数値を抜粋した電力用2030年発電量予測をグラフ1に示す。

グラフ1.各団体による2030年電力用エネルギーミックス試算

(各レポート内数値を元に筆者作成)

グラフ棒の高さ(電力量総量)は積み上げた数値が大きく異なるのは発電量と需給量の違いなので比較するものではない。

グラフ1に示されているように各団体が試算した2030年電力用エネルギーミックスは基本的に原発、石炭火力はゼロであり、省エネをした上で、総電力量の約半分を再エネで賄う計画となっている。2030年は近い将来でありこれらのエネルギーミックスの実現に向けて最大限努力していかなくてはならない。これらの数値の根拠や条件などの詳細については各レポートを参照されたい。

自然エネ財団と未来エネグループに関しては、太陽光、風力、バイオマスについてレポート内の数値を利用して筆者がさらに細分化した。細分化方法を以下に示す。

<自然エネ財団のデータ細分化>

国土交通省(2013)他の文献を元に表1のように太陽光発電の細分化をしている。

表1 利用可能な土地の推計及び設置可能設備容量*4

(自然エネルギー財団*2の表3-2データを転載,「太陽光発電合計に対する割合[%]は筆者記入)

種類設備容量[GW]太陽光発電合計に対する割合[%]
森林(既存+2019年までの見通し)*下記に詳細記載あり6.76.0%
空き地・原野(民有地)12.911.5%
資材置き場1.00.9%
駐車場2.11.9%
ゴルフ場からの転用12.310.9%
その他・不詳1.51.3%
耕作放棄地52.947.1%
追加転用+追加荒廃農地10.08.9%
湖沼水面2.01.8%
ダム水面8.87.8%
空き家の転用1.91.7%
利用できない建物(廃屋等)-法人所有0.20.2%
合計112.4100.0%

環境へ悪影響を及ぼすかどうかは個々の事案を考慮する必要がある。

建物の上や人工物に設置するものは環境影響が低いと思われるが、既存分を含むものの新たに林地を伐採する可能性がある「森林」を分けてグラフ化した。

森林については自然エネ財団も「森林伐採や造成のコスト、系統連系上の問題が生じやすいこと、環境影響が懸念されることから、2017年までに林地開発許可を得ているもの(約1万ha)に、2018年及び19年の見通し(約0.4万ha)を加えた値とし、それ以上の導入可能性が低い」 *2-P30 としており、見通し分を限定しており電力量全体に占める割合は1%以下で低い。

この設備容量の割合を発電量の割合と同じと仮定し、太陽光(森林)と太陽光(耕作放棄地、追加転用、水面、空き家、人工物、空き地原野、ゴルフ場)に分けた。

<未来エネグループデータ細分化>

太陽光は「屋根置き」「ソーラーシェアリング」「野立て」の3つに分けており、さらに「野立て」については前述した自然エネ財団の設備容量予測の割合(表1)により「森林」とそれ以外に分けた。

未来エネグループのレポートの主題はグリーンリカバリーであり、森林に設置する太陽光発電のようなものは他の手段に置き換えるという考えに基づいている。

この結果、2030年総電力量のうち「森林」は0.7%を占める。(自然エネ財団、未来エネグループ)

<森林と耕作放棄地の定義>

詳細は各団体のレポートを参照いただきたいが、森林と耕作放棄地の定義を転載して示す。

・森林(既存+2019年までの見通し)の定義

森林については、森林伐採や造成のコスト、系統連系上の問題が発生しやすいこと、環境影響が懸念されることから、2017年までに林地開発許可を得ているもの(約1万ha)に、2018年及び19年の見通し(約0.4万ha)を加えた値とし、それ以上の導入可能性は低いとした。(自然エネ財団レポート*2より)

ちなみに自然エネ財団の新しいレポート(脱炭素の日本への自然エネルギー100%戦略 https://www.renewable-ei.org/activities/reports/20210309_1.php)における太陽光発電量の予測では、森林他の細かい分類の記載はなく太陽光全体のポテンシャルは環境省のデータを根拠に十分にあるとしている。一方で*2の文献が引用されている。つまり自然エネルギー財団の最新のレポートとしては表2にあるように森林等も試算に入っていると考えた。(森林の扱いについて慎重な姿勢が見える)

・耕作放棄地の定義

過去1年以上作物を作付けしておらず、今後も作付けする意思のない土地であり、全国で42.3万haに上る。そのうち、果樹園等の傾斜がある耕作放棄地は、太陽光発電の設置に適さない場合が多いなど、全ての耕作放棄地が利用可能なわけではない。今回は、太陽光発電事業者へのヒアリングから、利用可能な土地を15%とした。(自然エネ財団レポート*2より)

また、同様に風力については陸上風力と洋上風力に分けた。バイオマスについては自然エネ財団は「未利用木質、一般木質、農業残渣」と「メタン発酵ガス、建築廃材、一般廃棄物、RPS等」に分け、未来エネグループは「木質バイオマス」と「メタン発酵バイオマス、廃棄物」に分けている。今回は風力発電とバイオマス発電に関しては環境への悪影響については考察しないが、今後活用できるデータとして示しておく。

2.持続可能ではない太陽光発電について

メガソーラーの中には森林を伐採して作られるもの、草原などの貴重な緑地を利用するもの、環境懸念を抱えた住民の反対があるものについては持続可能ではない再エネとして環境団体などでも懸念を示してきた*5-1,5-2

前項で示したように既存分を含むものの新たに林地を伐採する可能性がある「森林」は総電力量の0.7%であった。

 これ以外にも、耕作放棄地、原野やゴルフ場跡地、他の中には環境維持することが重要であったり住民の意思を尊重すべきものがあり、個々の事業を考慮する必要があるものが含まれる。

これら環境への懸念があるものではなく、持続可能な太陽光発電を増やすためにソーラーシェアリングを試算より増やすことはできないか検討した。

試算するにあたって採用した文献は「制約条件を考慮したソーラージェアリングの導入ポテンシャル評価 2018土木学会論文 東大 室城ほか」*6で、関東地域のソーラーシェアリングの導入可能性を作物ごと、日照条件や電源系統への接続条件などを考慮して試算している。これによると関東地域でのソーラーシェアリング導入試算量は69,118[GWh/年]であり、文献内条件case1(地理的な制約考慮、電源系統への接続課題は考慮しないなど)を採用すると63,110[GWh/年]となる。

上記文献は関東地域の試算なので、全国の耕作面積比率データ*7から単純比率で計算すると全国のソーラーシェアリング導入試算量は394,438[GWh/年]となる。地域の条件等はさまざまなのでそれを考慮してそのうち10%が導入できたとすると、39,444[GWh/年]になる。この量は2030年総電力需給量(未来エネグループ試算値)の約5.3%にあたる。

これらの数値を表2に示す。

表2 ソーラーシェアリング導入量試算(文献*5,6から筆者試算)

 ソーラーシェアリング導入量試算 [GWh/年]
関東69,118
文献case163,110
関東→全国換算*7394,438
内10%導入の場合39,444
未来エネグループの2030年総電力需給量を100%とした場合の割合5.3%

この試算によるソーラーシェアリング導入量は、未来エネグループのソーラーシェアリング試算量2.2%の2倍以上である(グラフ2)。

もちろんソーラーシェアリングにはさまざまな課題があるため普及は容易ではないが森林破壊や住民の反対のある発電方式の代替手段としてひとつの可能性を示した。

従って、環境への悪影響があって持続可能ではない太陽光発電ではなく例えばソーラーシェアリングの導入拡大を図ることによって、エネルギーミックスは良い方向へ向かうものと思う。

 グラフ2. 2030年電力用需給見通し割合(未来エネグループ)

(未来エネルギーグループのデータから筆者推定を含め作成)

また今回は考察しなかったが、再生可能エネルギーであってもパーム油やPKSを利用したバイオマス、燃料を輸入して燃やす木質バイオマス系*8、環境懸念を持つ住民の反対がある風力発電など、持続可能ではないと思われる再エネは他にもある。

気候危機を緩和させるためには地域の合意が大前提であり、再エネ発電が増えたとしても緑地が減ったり地域を重視しない方法ではかえって危機を悪化させるのではないだろうか。

気候危機対策として実施されようとしているものの中には逆効果であるものもあるのではないか、引き続き持続可能な再エネとはなにか?について考え活動をしていきたい。

(田渕 透)

<参考文献>

*1 脱炭素に向けた2050年ゼロシナリオ(WWF)
https://www.wwf.or.jp/activities/data/20201215climate01.pdf

*2 2030 年エネルギーミックスへの提案(自然エネルギー財団)
https://www.renewable-ei.org/pdfdownload/activities/REI_2030Proposal.pdf

*3 レポート2030(未来のためのエネルギー転換研究グループ)
https://green-recovery-japan.org/pdf/japanese_gr.pdf

*4 国土交通省(2013)『平成 25 年 世帯・法人土地・建物基本調査』、農水省(2017)「荒廃農地の現状と対策」、太陽光発電に係る林地開発許可基準の在り方に関する検討会(2019)「太陽光発電に係る林地開発許可基準の在り方に関する検討会報告書」、総務省(2019)「平成 30 年住宅・土地統計調査」、一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会(2019)「利用税の課税状況からみたゴルフ場数、延利用者数、利用税額等の推移」より自然エネルギー財団作成。

*5-1 「持続可能な再エネ」電力会社を選ぶことで「よい社会」を選べる(パワーシフトキャンペーン)https://power-shift.org/downloads/15258/

*5-2 鴨川市田原地区メガソーラー計画を取材しました(FoE Japan)
https://power-shift.org/kamogawa_megasolar190302/

*6 制約条件を考慮したソーラージェアリングの導入ポテンシャル評価 2018土木学会論文 東大 室城ほかhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejer/74/6/74_II_221/_pdf/-char/ja

*7 令和2年耕地及び作付面積統計(併載 平成28年~令和元年累年統計)e-Stat 政府統計の総合窓口
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00500215&tstat=000001013427&cycle=7&year=20200&month=0&tclass1=000001032270&tclass2=000001032271&tclass3=000001150346

*8 レポート「バイオマス発電は環境にやさしいか? “カーボン・ニュートラルのまやかし”」 FoE Japan
Click to access 210514.pdf

日本にもあった違法伐採!! 波紋拡がる宮崎県の盗伐事件(14)

第六回 えびの市大字西長江浦(その2)

 林野庁は2021年3月30日の宮崎県盗伐被害者の会からの要請を受け、5月中旬に盗伐被害地視察を予定していましたが、緊急事態宣言の延長を受け、延期となりました。

 今回は、前回に引き続き、志水惠子さんの事件を紹介します。
 ※今回も被害当事者の志水惠子さんのご了承を得て、実名で記述しております。

宮崎県盗伐被害者の会を伴い再び現場検証
 残念な結果に終わった2020(R2)年4月27日のえびの警察署による被害地の現場検証。志水さんはこれに納得できず、宮崎県盗伐被害者の会の海老原会長に相談し、現場を見てもらうことになりました。5月5日、志水さん、ご友人ご夫妻、そして海老原会長とで再び現場検証を実施。この検証で海老原会長によって志水さんの林地の境界杭が確認されたのでした。多くの被害地を見てきた海老原会長は「志水さんの山は境界が公有地(日本道路公団、宮崎県、えびの市)に隣接しているため、被害者の中でも一番わかりやすい」。

えびの市役所との折衝、広範な「無届伐採」が判明
 5月8日に申請した情報開示請求の結果が5月18日に得られました。入手できたのは「公文書非公開決定通知書」で「公文書不存在」との記載のみでした。3筆(1195-1、1195-20、1216-2)とも同じ結果でした。いわゆる「無届伐採」であることが判明しました。
 志水さんらは、本件についてはすでに「無届伐採」であることが判明し、容疑者も明らかであり、市の責任が問われる問題であることや、海老原会長の被害事件「ツブロケ谷」のときのように宮崎市から刑事告発すべき案件なのではないか、伐採業者名を明らかにしてくれ、といった対応を求めました。しかしそれでも煮え切らない態度に対して、「市の責任を問うべく、志水さんからえびの市を訴えてもよい」と被害者側の強い意志を示すと、S氏が10分ほど席を外し、「立木所有者」と「造林者」の欄が黒塗りされた、伐採業者名のみわかる「伐採届」を持ってきました。黒塗りの理由は「伐採業者名を教えてくれとの依頼でしたゆえ」。その伐採届の写しを入手すべく、5月27日、再びえびの市役所を訪れ、二度目の情報開示請求を行いました。
 またこの新たな情報を逐一伝えるべく、5月28日、志水さん、海老原会長とでえびの警察署を訪問しました。対応者は前回同様、警部補M氏と現場検証で「伐った人に残りの木を売ったらどうですか?」と三度打診してきたS氏。この訪問は盗伐被害者の会としては初訪問だったゆえ、挨拶代わりでもありました。

 6月4日、志水さんの手元に「公文書一部公開決定通知書」が届きました(図1)。図2には志水さんの被害林地周辺の概略図を示します。開示された伐採届は2017(H29)年2月15日付けで申請され、3月23日付のえびの市農林整備課印が押されたものでした。これから幾つか重要なことが明らかになりました。(1)地番1195-21を伐採した業者名、(2)志水さんの林地3筆に隣接するその他の地番(1216-1、1195-9)の伐採届が出されていない、つまり「無届伐採」であること、そして(3)伐採期間です。
 まず(1)からこの伐採届が容疑者Iに関連していることがわかります。立木所有者欄は黒塗りですが、志水さんが入手している字図や土地登記簿から地番1195-21の所有者はIで、Mから2017(H29)年3月23日に購入したものであることは確認できています。(2)はIがMから購入した3筆のうち2筆が無届伐採だったことを意味し、志水さんの3筆を加えれば5筆の林地が無届伐採でした。1筆のみ伐採届を出して「合法化」し、広範に盗伐する行為の典型です。(3)は2017(H29)年3月30日~12月20日と記載されていました。志水さんが気付いたのは2020(R2)年1月29日でしたので、森林窃盗(盗伐)罪の時効3年の関係で実際に伐採されたのがいつだったのかがとても重要になります。

土地家屋調査士から有益な情報
 志水さんとT氏は商工会の会員で顔見知りでしたので、すぐに足を運ぶことにしました。志水さんが「市役所から言われたので」と切り出すと、T氏は繰り返し何度も「Iは悪いことばかりやっているのであいつは逮捕してもらわなければならない」、「木があっちこっちで伐られている。志水さんのすぐ近くのすごく大きな山も伐られている。その山主も相当怒っている」という情報を得ました。
 6月25日、今度はえびの警察署警部補M氏より電話がありました。M氏は「山を売ったMに話を聞きに行き、『何十年も山には行っておらず、境界が分からず、山には行かずIに売った』とのことゆえ、境界が分からない以上、事件として成り立たない」との見解でした。志水さんが「時効は2020年12月20日までですか」と問うと「時効は警察では調べようがない、分からない」。「伐採業者S社を調べれば分かりませんか?」と質問すると「S社はまだ調べていない」との回答でした。

警察の執拗な確認行為
 この頃からえびの警察署は志水さんに対して執拗に質問を繰り返すようになりました。それまで窓口になっていたのは警部補M氏とS氏でしたが、2020年8月から警部(課長)A氏から志水さんに連絡がくるようになりました。A氏は何やら2017年2月と4月に強いこだわりを示していました。なぜえびの警察署は急に動き出したのか、なぜ2017年2月と4月にこだわるのか、A氏から明確な説明もなく、その真意ははかりかねますが、森林窃盗(盗伐)罪の時効期限と関連があるであろうことは容易に推測されるところです。
 本来であれば法に基づき捜査権が与えられている警察が入手すべきと考えられる情報について、その情報を知りようもない被害者の志水さんに一度ならず何度も問う行為は、被害当事者からすれば「嫌がらせ」でしかありません。実際、警察からの執拗な問い合わせや、呼び出しを受け、警察の行為は「志水さんを犯人扱い」しているように感じました。これによって志水さんは心身のバランスを崩し、体調不良に見舞われました。

 ここで簡単に整理しておきます。志水さんが盗伐被害に気付いたのは2020年1月29日。えびの警察署にはじめて相談に行ったのは2020年2月のことで6日から14日の間に1回、その後2月中にもう1回、計2回訪問しています。そして3回目の訪問が4月21日。容疑者Iが1筆だけ「合法化」した伐採届が受理されたのは2017(H29)年3月23日で、記載されていた伐採時期は2017(H29)年3月30日~12月20日。伐採届が正式に受理された日付から法的に伐採が認められるとすれば、その日付から3年後の2020年3月23日までが森林窃盗(盗伐)罪の時効期限と考えられます。
 現在えびの警察署は、志水さんの初回の訪問、つまりS氏が対応し、志水さんをほぼ門前払い扱いをした2020年2月中の2回の訪問のことを完全に無視し、3回目の訪問で警部補M氏とS氏の両名が対応した2020年4月21日を「志水さんが初めて警察に相談にきた日」という事実無根の主張を繰り返し、志水さんにそれを認めるよう強要しています。これについては次回、詳細について説明します。

打開策として告訴状を送付
 体調の優れないなかでも、志水さんの盗伐被害事件解明に向けた確固たる信念は揺らぎませんでした。事態の打開策の一つとして被害者の会の海老原会長の支援を得ながら8月24日、告訴状を作成し、宮崎地検検事正、宮崎地裁所長判事、宮崎県警本部長、えびの市長、宮崎日日新聞本社に宛て送付しました。その「告訴状」は「告発状」に修正されて9月14日に正式にえびの警察署に受理されたのですが、紆余曲折あったその経緯を説明します。
 告訴状送付の翌8月25日、宮崎地検M氏から告訴状受領の電話がありました。「えびの警察署に捜査をして貰えていますか?」と問われ、志水さんは「被害当初は捜査してもらえなかったが、最近は電話連絡がくるようになりました」と回答しました。
 8月27日にはえびの警察署警部(課長)A氏から連絡があったため、同署へ出向いて宮崎地検検事正、宮崎地裁所長判事、宮崎県警本部長、えびの市長宛てに告訴状を送付したことを伝えました。その足でえびの市役所農林整備課主任主事S氏も訪ね、同様の報告をしました。
 8月29日、再び、えびの警察署警部(課長)A氏より来署依頼があり、「提出されたのは“告訴状”だが、地権者は志水さんの母親であり地権者本人でないと“告訴”はできず、娘の惠子さんによるものであれば“告発状”であるべき」という説明を受けました。そこでA氏の指示に従い、「告訴状」を「告発状」に修正し、再びA氏に提出すると「新たな“告発状”の内容を再度検討し、受理の可否については追って返事する」との対応でした。これを受け9月2日、志水さんは念のために「告発状」を再び宮崎地検検事正、宮崎地裁所長判事、宮崎県警本部長、宮崎日日新聞本社に宛てて送付。さらに各所を訪問し「告発状」としての再送付したことを伝え、適切に受理してもらえるよう依頼をしました。その結果、えびの警察署A氏から「告発状を受理させて貰います」との電話連絡を受けました。このことは宮崎地検M氏にも報告しました。
 9月4日、その日体調を崩していた志水さんに、えびの警察署から電話があり「ご自宅にお伺いしてもよいですか?」。えびの警察署警部(課長)A氏、F氏が志水さん宅を訪れ、“告発状”は受理、“告訴状”は不受理とする旨、説明を受け告訴状が返却されました。その後9月14日、告発状に不備があったため、えびの警察署へ出向き、その修正後、差し替えたものが受理されたのでした。

 志水さんは「しばらく続いたえびの警察署の執拗な確認行為は9月4日を境に“ピタッと”止まり、態度も急変した」と精神的に厳しかったこの時期を振り返ります。

 告発状が受理され、ようやくえびの警察署が本格的に動き出しました。9月28日、えびの警察署警部(課長)A氏より実況見分実施の知らせがあったのです。次回は実況見分の様子とそれ以降も続く志水さんにとって不本意なえびの警察署のとのやりとりを紹介します。(三柴淳一)

第一回 宮崎市瓜生野ツブロケ谷(その1)
第一回 宮崎市瓜生野ツブロケ谷(その2)
第二回 宮崎市高岡町花見字山口(その1)
第二回 宮崎市高岡町花見字山口(その2)
第三回 宮崎市大字吉野字深坪(その1)
第三回 宮崎市大字吉野字深坪(その2)
第三回 宮崎市大字吉野字深坪(その3)
第四回 宮崎市田野町字荷物取地乙
第五回 国富町大字木脇(その1)
第五回 国富町大字木脇(その2)
第五回 国富町大字木脇(その3)
第五回 国富町大字木脇(その4)
第六回  えびの市大字西長江浦(その1)
第六回  えびの市大字西長江浦(その2)

歴史的勝利!市民がシェルに勝訴

歴史的な勝利です!
FoEオランダと市民が気候変動対策の強化を求めてシェルを訴えていた裁判で、市民側の訴えが認められました。裁判は17,000人以上のオランダ市民が原告として参加し、6つの環境団体も原告として名前を連ねました。裁判所は、シェルに対して、CO2排出量を2019年比45%削減しなければならないことなどを命じました。
多国籍石油企業シェルの気候変動に対する責任が裁判で認められ、具体的な数値まで出してCO2の削減が命じられたことは画期的です。詳しくは以下のFoEインターナショナルによるプレスリリースをご覧ください。


歴史的勝利:シェルに対し、裁判所がCO2排出大幅削減を命じる。-FoEオランダが気候変動訴訟でシェルに勝訴
(英語原文はこちら

2021年5月26日ハーグ – 史上初めて、危険な気候変動を引き起こしたとして企業の責任を認める判決が下されました。本日、FoEオランダ (Milieudefensie) が17,000人の共同原告および他の6団体と共同で起こした訴訟1の判決が言い渡され、ハーグの裁判所はシェルが10年以内にCO2排出を45%削減しなければならないと命じました。この歴史的な判決は、シェルをはじめとする世界中の環境汚染を引き起こしてきた企業に多大な影響を与えるでしょう。

FoEオランダの事務局長であるドナルド・ポルスは、「これは、私たちの地球、私たちの子どもたちのための非常に大きな勝利であり、すべての人のための住みよい未来へのステップです。シェルは危険な気候変動を引き起こしており、今こそ彼らの破壊的な行為を止めなければならないという判決の内容に、疑いの余地はありません。」とコメントしました。

FoEオランダの弁護士ロジャー・コックスは喜びをあらわにし「これは歴史の転換点です。裁判所が環境汚染を引き起こしている大企業にパリ協定の遵守を命じたのは初めてで、他に例を見ない裁判といえるでしょう。この判決は、大規模な環境汚染をもたらしている他の大企業にも大きな影響を与える可能性があります。」とコメントしました。

ハーグの裁判所の判決は国際的に大きな影響を与えるでしょう。FoEインターナショナルのサラ・ショーは 「これは気候正義のための画期的な勝利です。私たちの願いは、この判決が大規模汚染者に対する気候訴訟の波を引き起こし、彼らに化石燃料の採掘と燃焼を止めるよう強く求めることです。この結果は、現在壊滅的な気候変動の影響に直面しているグローバル・サウスの住民等にとっても勝利です。」とコメントしました。

判決の主なポイント:

  1. シェルは、2030年末までに排出量を実質45%削減しなければならない。
  2. シェルは、顧客(スコープ32)およびサプライヤーからの排出についても責任を負う。
  3. 「生きる権利」 と 「平穏な家庭生活」 に対する人権侵害の脅威がある。
  4. シェルの現在の気候政策は十分に具体的ではないため、シェルは直ちにこの判断に従わなければならない。

ドナルド・ポルズは「この判決は、国際的な気候変動ムーブメントにとって大きな前進です。世界最大の汚染者がついに責任をとらされたわけです。今私は未来への希望に満ちています。気候危機は私たちの国境で待ったり止まったりしないとみんなが知っています。だからこそ、判事がシェルに自らの行動に対する責任を負わせることは非常に重要です。これは、他の大規模な汚染者に対する、今行動を起こさなければならないという明確なシグナルでもあります。」と締めくくりました。

補足
1: 共同原告は以下: Action Aid Netherlands, Both ENDS, Fossil Free Netherlands, Greenpeace Netherlands, Young Friends of The Earth Netherlands, the Wadden Sea Association (Waddenvereniging), および17,000人を超えるオランダ市民
2:スコープ3の排出は、スコープ1(直接排出)およびスコープ2(間接排出)以外の、取引先や顧客、従業員の移動手段や、事業からでる廃棄物など、事業にかかわるすべての過程で排出される温室効果ガスを指す。

FoE Japanによる補足:
シェルは、三菱商事他とともにカナダ・ブリティッシュコロンビア州でLNG開発も行なっており、現地先住民族等が反対の声をあげています。なお、本開発で得られる天然ガスについて、現在横須賀市で石炭火力発電所建設事業を行っている株式会社JERAは、2024年度から15年間の購買に基本合意しており(最大約120万㌧/年)、袖ヶ浦ガス火力発電所の新設を計画している東京ガスも2026年度から13年間のLNG購入(最大約60万トン/年)に基本合意しています。詳細はこちら:https://www.foejapan.org/aid/jbic02/lngcanada/index.html

プレスキットはこちら:
オランダ語: https://milieudefensie.nl/actueel/persmap-klimaatzaak-shell
英語: https://en.milieudefensie.nl/news/press-kit-climate-case-against-shell

代表への取材連絡先:
写真やビデオ、FoEオランダ事務局長(ドナルド・ポルズ)および担当弁護士(ロジャー・コックス)へのインタビューリクエストは以下の連絡先にお願いします。

persvoorlichting@milieudefensie.nl 
+31 (0)20 5507 333 / (0)6-46851137

その他の連絡先:
FoEオランダ(Milieudefensie
Arjan de Boer: +31 (0)6 22398887
Jasperine Schupp: +31 (0)6 29593873
Benjamin van Sterkenburg: +31 (0)6 52682416

FoEインターナショナル
Sara Shaw, +44 (0)7974 008 270 (5月27日中)
Sam Cossar +61 413 496 570 / Sam.cossargilbert@foe.org.au (5月28日以降)
Email: press[at]foei.org

イスラエルによるパレスチナへの残虐な攻撃の停止をーFoEIによる声明

原文はこちら:https://www.foei.org/features/internationalist-solidarity-with-palestine

Friends of the Earth Internationalは、女性や子どもたち、民間の建物を標的とした残酷な攻撃、そして人口密集地域をターゲットとした爆撃、また情報の自由に対する国際的権利を脅かすメディアの建物への攻撃など、イスラエルによるパレスチナへの攻撃が続いていることを非難します。

何十年もの間、イスラエルによる占領政策が、パレスチナ人による土地、境界、天然資源へのアクセスや管理を阻害してきました。イスラエルによる占領は、環境汚染・生計手段の破壊・土地や水の収奪・差別的な法律・強制的な立退きや避難など、パレスチナ人に対する深刻な人権・環境侵害の源になっています。エルサレム旧市街のアルアクサ・モスクに対する最近の攻撃と、包囲されたガザ地区へのイスラエルの空爆は、占領下の東エルサレムで進行中の組織的な弾圧と抑圧の一部です。シェイク・ジャラー地区からパレスチナ人を強制的に追放するというイスラエルの計画は、生命、人権、国際法をあからさまに軽視しています。

アルジャジーラは、2021年5月18日、包囲されたガザ地区へのイスラエルの爆撃が2週目に入り、ガザの保健当局の情報によると58人の子どもと35人の女性を含む、少なくとも201人のパレスチナ人が死亡したと伝えました。1,300人以上が負傷しています。イスラエルは、ハマスによって行われたロケット攻撃で、子ども2人を含む少なくとも10人が死亡したと報告しています。

私たちは、民間人及び民間人の命を危険にさらすような標的に対する武器の使用を非難します。

さらに国連によると、ガザの38,000人以上のパレスチナ人が国内避難民となり、沿岸部にある48のUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の学校に避難所を求めています。この数字には、イスラエルの爆撃で家が完全に破壊された少なくとも2,500人の人々が含まれています。食料や水へのアクセスも問題になっています。

これらの攻撃は、世界中でパンデミックが起きている最中に起きています。ガザの医療システムはCOVID-19の感染者数増加に苦しんでいます。包囲されたガザ地区への攻撃により、医療従事者はCOVID-19感染者の治療を減らしたり中断したりすることを余儀なくされています。攻撃による負傷者に病院のベッドを割り当てたり、被害を受けた施設の対処を行なっているからです。

私たちは、国際社会に対し、これらの攻撃を非難すべきと求めます。

  • みなさんの政府に、これらの暴力に反対の声を上げ、イスラエルによる甚だしい不正義を終わらせるよう要求してください。
  • 今も続いているナクバ(注:イスラエル建国に伴って起きた戦争により多くのパレスチナ人が難民となった事態を指す「ナクバ=大惨事」)を、ガザで起きている大量殺戮を止めるため行動を起こしてください。パレスチナ人や連帯運動によって呼びかけられた抗議行動に参加してください。もしまだ何も計画されていないのであれば、抗議活動を企画してください。ガザとシェイク・ジャラーに対する現在の攻撃を非難する横断幕やプラカードを持っていきましょう。
  • SNS上で、連帯のメッセージをシェアし、政府にも連帯を求めましょう。

Friends of the Earth Internationalは、すべての世界の指導者たちに、イスラエルによるパレスチナ人の土地の占領に恒久的な終止符を打つために、外交手段を用いるよう緊急に要請します。イスラエルは、いかなる説明責任も果たさないまま、日常的に国際法に違反しています。私たちは国際社会に対し、イスラエルの犯罪を停止するために直ちに介入するよう求めるとともに, 1949年のジュネーブ第4条約の締約国に対し、その義務を履行するよう改めて求めます。

私たちは、PENGON/FoEパレスチナ及びパレスチナの人々に対し、国際的な連帯を示し、パレスチナの土地の占領の永続的な終結及びこの理不尽な暴力の終結を求めます。

#GazaUnderAttack#SaveSheikhJarrah

【横須賀石炭訴訟報告 vol.7】被告の不誠実な対応を問う

本日、横須賀石炭火力行政訴訟の第7回期日が開催されました。

被告からの反論陳述が予定されていた今回、被告の反論書面があることを最初に確認しました。原告と被告の双方の提出書類等の確認後の意見陳述は、原告からの陳述から始まりました。

今までの裁判では、原告適格温暖化による漁業への影響環境アセスメントの簡略化の非整合性などが原告の主張の主な内容でしたが、今回は少し角度が変わり、被告の裁判に対する姿勢を問う陳述がなされました。

一般的に裁判では、双方の弁護人や裁判長ともに「事実」と「主張」をしっかり峻別し、「事実」を否定する場合は、その具体的理由を持って否定することが民事訴訟規則で定められています。

民事訴訟法規則79条3項「準備書面において相手方の主張する事実を否認する場合には、その理由を記載しなければならない。」

(経済産業省による横須賀火力発電所の環境影響評価の確定通知取り消しを求める本裁判は、被告が行政機関である行政訴訟ですが、行政訴訟であっても、規定上、民事訴訟規則を参照する場合があるとのことです。)

しかし、過去6回の弁論を含む本訴訟において、被告は原告の主張を「事実」や「主張」の峻別を行わずかつ具体的根拠なしに否定しています。この対応について、裁判に臨む基本的姿勢として不誠実であると主張されました。また、被告である経済産業省は国の行政機関の一つです。しかし、他の行政機関が認識していることを否定するのは、行政としての一貫性がなく問題でありあることを指摘しました。

具体的に、陳述を行った半田弁護士は、上記の根拠として2つ例を挙げられました。

一つ目の例は、「石炭火力発電の温室効果ガス排出量は、天然ガス火力の温室効果ガス排出量のおよそ2倍である」という原告側主張の事実について、資源エネルギー庁による平成27年11月の資料では、この事実について掲載されています。

二つ目の例として、原告が主張する「エネルギー転換部門における温室効果ガス排出量は増加傾向にある」という事実について、総合エネルギー統計によれば、エネルギー転換部門の温室効果ガス排出量は1990年比増加傾向にあることが読み取れます。

*いずれもFoE Japan作成。本画像は法廷で示された資料のイメージを促すイメージであり、法廷で提示された資料とは異なります。

このように、客観的事実も否認するような態度は裁判の運営を妨げるものであること、そして先に紹介した民事訴訟規則79条3項を無視する対応であることも指摘しました。

噛み合わない被告の回答

また、事前に提出されていた原告の主張に対する被告の反論書面について、小島弁護士から、

「原告の『事実』に関する主張資料は、国の公式な報告書に基づいて具体的な例を出している。それにも関わらず、今回被告が提出した反論書類には、その事実についての認否がなされていない。それは、原告の事実に関する主張については争わないとの理解で良いか?」

との指摘がありました。

この指摘について、被告側代理人は

「『争わない』という趣旨ではない」と返答しましたが、

「『争わない』ということは、政府が出している報告書を否定するということか。日本政府も気候危機に関する資料などを出しているが、それを否定しているということか」

小島弁護士が問い直したところ、

「今後の対応について検討させていただく」との回答でした。

このやりとりを聞いていた裁判官は、

「裁判の目的は真相究明。出された証拠をから判断していくしかなく、(反論)の主張がない場合はそういうことだと理解する。なお、(原告の主張以前としての)『事実』の認否の仕方について議論するのはいささか不毛である。とはいえ原告の指摘する『事実』と『主張』の峻別は大事で、事実を否定する場合は具体例をもって反論すること」

とのコメントがあり、閉廷しました。

今回の裁判の傍聴の参加者には、建設地の様子がよく見える団地に住んでおられる方もいらっしゃいました。日々クレーンが忙しく稼働し建設が着々とすすむ様子にも、今回のようになかなか終わりの見えづらい裁判にも、焦りを感じられていました。

次回の裁判は9月3日(金)14:00〜、東京地方裁判所の予定です。

また、今回(第7回期日)に関する報告会は、5/28(金)17:00〜18:00、オンラインで予定しております。ぜひご参加ください。

オンライン報告会の詳細については後日こちらに掲載されます。

https://yokosukaclimatecase.jp/news/20210517-7th-court-date/

先進国として、着実な気候変動対策の強化を

世界の流れとしては、先月のバイデン米国大統領主催の気候リーダーズサミットで多くの国が気候変動対策目標の引き上げを宣言し、ドイツでも「現状の気候変動目標は違憲である」との判決が出されるなど、気候変動対策の強化が急速に進んでいます。また、来月のG7に向けて、主催国の英国がG7各国に「石炭火力全廃」を提案する動きが出ています。このような中、石炭火力や、未だ実用化されていないアンモニア混焼や水素混焼にしがみつく日本は、時代に取り残されているどころか、先進国としての無責任と言えます。

新型コロナウイルス禍にも関わらず、地元横須賀では裁判に並行し、横須賀火力発電を考える会や有志市民による石炭火力発電所建設についての住民アンケートの実施や、Fridays For Future Yokosukaによるアクションなどが弛むことなく行われています。FoE Japanは、横須賀石炭火力発電所の建設中止に向け、地域の方々や若い世代とともに活動していきます。

*FoE Japanの国内石炭火力問題に関する活動はこちら

(高橋英恵)

「流れを変える大きな勝利!」気候変動対策の先送りは将来世代のくらしの自由を奪う

FoEドイツ(BUND)「流れを変える大きな勝利!」
気候変動対策の先送りは将来世代のくらしの自由を奪うードイツは削減目標引き上げへ

ドイツ連邦憲法裁判所は2021年4月29日、2019年11月に制定された連邦気候変動法が「憲法に抵触する」という訴訟を部分的に認める判決を下しました。

裁判所は現行の気候変動法の内容について、2030年の削減目標が不十分でありドイツの炭素予算をほとんど使い果たしてしまう、また2031年以降の具体的な対策が定められていないことは、若い世代を含む原告の基本的人権を侵すものであるとして見直しを求めました。

世界の気温上昇を1.5℃までに抑えるためには、これまで以上に緊急で早急な対策が不可欠です。くらしのあらゆる側面は温室効果ガス排出を伴うものであり、対策の先送りで2030年以降の過大な「削減義務」のしわ寄せが来るとすれば、それは将来のくらしの中の「自由」を脅かすものである、というのです。裁判所は、2022年末までの気候変動法改訂を命じました。

これによって、ドイツ政府は気候変動法を早急に見直すこととなり、新たな削減目標は2030年に65%削減、2040年に88%削減、2045年にカーボンニュートラルという方向だと報道されています。

この訴訟は、若い世代を含む11人の個人と2つの団体、ドイツソーラーエネルギー促進協会Solarenergie-FördervereinDeutschland(SFV)とFoEドイツFederation for Environment and Nature Conservation Germany(BUND)が提訴、またFridays For Futureドイツやグリーンピースドイツなども支援していました。

FoEドイツ代表のオラフ・バント(Olaf Bandt)は、次のようにコメントしています。
「憲法は実効性のある気候変動対策を求めています。将来世代の自由の権利は、公正な気候政策によってのみ保証されます。連邦憲法裁判所によるこれらの重要な発表は、すべての原告、特に若い世代にとって大きな成功です。現在の連邦政府は、気候変動目標を2030年までに少なくとも70%の温室効果ガス削減とするよう調整しなければなりません。連邦議会選挙ではすべての政党が1.5℃目標の達成につながる政策を提示することを求めていきます。」

・連邦憲法裁判所による判決文(英)
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Pressemitteilungen/EN/2021/bvg21-031.html   
・FoEドイツ(BUND)のプレスリリースhttps://www.bund.net/service/presse/pressemitteilungen/detail/news/bahnbrechendes-klima-urteil-des-bundesverfassungsgerichts/
・ソーラーエネルギー促進協会(SFV)の気候訴訟に関するページ
Klimaklage (sfv.de)

 日本でも、削減目標およびその具体的な内容の見直しは急務です。4月22日、米バイデン大統領が呼びかけた気候サミットにあわせて、日本の新たな温室効果ガス削減目標が発表されました。その内容は「2030年までに2013年度比で46%削減、さらに50%の高みに向けて挑戦を続ける」というものです。

 FoE Japanは、22日に「新たな削減目標も気候正義の観点から不十分」とする声明を、また20日にはその削減の内容について誤った対策を用いるべきでないとする声明を出しました。様々な団体と取り組む「あと4年、未来を守れるのは今」では、20日に168,157筆の署名を提出、22日には「緊急気候マーチ」を呼びかけました。FoE Japanも、横須賀JERA前や経済産業省前などでアクションに参加しています。

 ドイツでのこの判決はこれからの世界の気候変動対策を揺るがしうるものです。先進国で大量排出国である日本にこそ、本気で、早急な、そして気候正義にもとづく対策の必要性がつきつけられています。6月のG7会合やCOP26に向けて、そして大詰めを迎えるエネルギー基本計画見直しに向けて、引き続き声を上げていきましょう。 (吉田明子)


・日本語の報道記事
気候保護法、一部に違憲判断 憲法裁「将来の対策不十分」 – NNA EUROPE・ドイツ・マクロ・統計・その他経済

気候保護法は「一部違憲」ドイツ議会に温暖化対策求める:朝日新聞デジタル (asahi.com)

温暖化ガス削減、さらに厳格に ドイツ憲法裁が命令: 日本経済新聞 (nikkei.com)

気候変動対策と生態系保全に向け、早急なFITガイドラインの改善を

 こんにちは。バイオマス担当の小松原です。新年度を迎え、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(通称FIT)の「事業計画策定ガイドライン(バイオマス発電)」(以下、ガイドライン)が改訂されました。私たちFoE Japanは、気候変動対策や生態系保全の観点から不十分であるとし、政府への提言やパブリックコメントなどを通して問題点を指摘してきましたが、今回の改訂でも多くの問題は残されたままです。そこで、国内外の環境NGO25団体と一緒に、改訂に対する共同コメントを4月13日に発表しました。今日は、その内容をご紹介します。

温室効果ガス排出量の評価も制限もない                                  木質ペレットやパーム椰子殻(PKS)などの生物由来の燃料を燃やすバイオマス発電は、火力発電であり、燃料を燃やせば当然CO2を排出します。発生したCO2は、植物が成長する過程で吸収して相殺するとし、バイオマス発電はカーボンニュートラルと言われますが、森林が再び成長するまでには長い年月を要します。さらに、輸入バイオマス燃料を利用する発電所は、輸送でも多くのCO2を排出します。排出量を早急かつ大幅に削減できなければ、気候危機を止めることができなくなる瀬戸際に立たされている今、CO2の排出源となるようなバイオマス発電は再生可能エネルギーにそぐわないと、私たちは考えます。ガイドラインは、再エネにそぐわない事業を排除できるように、ライフサイクル全体における温室効果ガス排出量を評価し、厳しい排出量制限を課すものでなければなりませんが、FITが導入してから9年経った今でも、GHG排出量の上限や評価の義務もありません。

パーム油はFITの対象から除外すべき                                     バイオマス発電の燃料の種類の一つに、「農産物の収穫に伴って生じるバイオマス」というものがあり、主産物と副産物に分けられます。農産物を利用するため、食料との競合やバイオマス燃料生産のための農地拡大による森林破壊などが懸念されます。現在は、主産物はパーム油、副産物はパーム椰子殻(PKS)とパームトランクに限って利用が認められていますが、それ以外の新規燃料に関して、今回の改訂で「非可食かつ副産物のバイオマス種を食料競合の懸念がないものとする」ことが明記されました。このこと自体は歓迎すべきことですが、パーム油は可食かつ主産物にもかかわらず、認められてしまっています。ご存知のとおり、パーム油の生産は、最大の熱帯林破壊と称されるほど気候危機を加速させ、生物多様性を脅かすリスクを抱えており、また第三者認証を取得すれば解決できるという単純なものではありません。「非可食かつ副産物」をすでにFITの対象として認められていることを理由にパーム油に適用しないことは、問題です。また、「環境負荷を減少させる」という再エネの目的と相反するものです。これらの理由から、私たちは、ガイドラインは新規・既存問わずに全てのバイオマス燃料を非可食に限定すること、つまりパーム油をFITの対象から除外すべき、と考えます。

持続可能性の確認期限が1年延長された                                     農産物の収穫に伴って生じるバイオマスのうち、主産物は2021年3月末まで、副産物は2022年3月末までに第三者認証(RSPO2013、RSPO2018、RSB、GGL)によって持続可能性を証明することが定められていましたが、新型コロナウイルスの影響や想定より認証取得に時間を要することを理由に、確認の猶予期間がそれぞれ1年延長されました。いかなる理由があっても、持続可能性が担保されていない燃料を使うことは、そもそも再生可能エネルギーに資さないため、制度がそれを容認することはあってはならないことです。また、この猶予は、持続可能性の確保に関する「自主的取組」を行い、かつ取組の内容及び農園等の情報を自社のホームページ等で公開した事業者にのみ許されるはずですが、FoE Japanの調べでは、事業者の多くが情報を開示していません。ガイドラインを守らない事業者がFITの支援を受け続けていることや、こうした事業者を是正する体制がないことも非常に問題です。

木質バイオマスにも厳格な持続可能性基準を                                 FITの認定を受けた多くのバイオマス発電所が、木質ペレットや木質チップを燃料としていますが、ガイドラインには非持続可能な森林伐採や生物多様性への脅威を確実に排除するための厳しい基準がありません。ガイドラインでは、輸入木質バイオマスを利用する際には、「森林認証制度や CoC認証等における認証が必要」と記載するのみで、「詳細は林野庁の「木材・木材製品の合法性、持続可能性の照明のためのガイドライン」を参照すること」としています。林野庁のガイドラインでは、森林認証制度及びCoC認証制度制度のほかに、関係団体による認定と企業による独自の取り組みの3つの方法が認められているため、実質なんでもありの状態です。森林認証は、認証ラベルを貼った木材製品を流通する際の持続可能性を保証するものであり、木質ペレット等の燃料としての利用を想定していないため、それだけでは持続可能性や合法性を担保できない可能性があります。また、関係団体や企業による独自の取り組みでは、第三者性の確保ができません。さらに、2021年2月にFoE Japanが実施したアンケート調査では、CoC認証しか確認していない事業者がいることもわかっており、ガイドラインで定められた方法によって持続可能性を確認したバイオマス燃料のみが発電に使われているかも疑わしいのです。

 このように、FIT導入から9年経った今も、ガイドラインでは気候危機や生物多様性保全に関するリスクを排除できないままです。私たちは、上記の問題を含むガイドラインの改善を訴えるとともに、バイオマス発電が抱える環境・社会影響について情報発信と問題提起を続けていきます。誰もが使う電気は、一番身近な環境問題のひとつ。次回の改訂でもパブリックコメントがあると思いますので、皆さんも一緒に参加してみませんか?

<参考>                                                             ・国内外26の環境NGOによる共同声明 https://www.foejapan.org/forest/biofuel/210413.html                                         ・経産省 事業計画策定ガイドライン(バイオマス発電)https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fit_2017/legal/guideline_biomass.pdf