FoE韓国(KFEM)声明:韓国の脱原発社会への第一歩を歓迎する

韓国環境運動連盟(KFEM、FoE韓国)は、文大統領の脱原発方針をうけ、以下の声明を発表しました。(翻訳 FoE Japan)

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韓国の脱原発社会への第一歩を歓迎する

KFEM(Korea Federation for Environmental Movements)

KFEM_2

写真提供:KFEM

・文大統領の脱原発方針を具体化する迅速な施策実行が伴われることを期待する
・円満な社会的合意形成に向け、コリ原発5号機、6号機の新規建設は直ちに中止すべき
・犠牲を強いられてきた原発周辺地域の住民に配慮する対策づくりを行なうべき

6月19日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、韓国国内初の原発である古里(コリ)原発1号機の永久運転停止の記念式典で演説し、原子力中心の発電政策を廃止し、脱原子力社会への転換を図るとの考え方を示した。それに必要な対策として、
(1)進行中の新規原子力発電所建設計画の全面的な白紙化
(2)原発の稼働年数の延長禁止及び月超(ウォルソン)原発1号機の廃止
(3)古里原発の5号機と6号機新設に関し、安全性・工程率・投入コスト・補償コスト・電力設備の供給予備率などを考慮した社会的合意形成
(4)原子力安全委員会の大統領直属委員会への昇格及び同機関の多様性・代表性・独立性の強化
(5)脱原発ロードマップの迅速な策定
(6)再生可能エネルギー関連税制の整備
(7)エネルギー消費構造の効率化及び産業用電気料金の見直し
などを示した。

本日の文大統領の演説内容は、これまで40年間に渡り進められてきた原子力中心のエネルギー政策からの脱却を示し、脱原発エネルギー社会へ第一歩を踏み出した点で、心を躍らせるようなものである。安全かつ持続可能なエネルギー社会を念願してきた民意を大統領がしっかりと受け止めたことを心から支持し、歓迎の意を表したい。

ただ、文大統領が選挙期間の間公約として掲げていた古里原発5号機と6号機の新規建設の中止に直接触れていない点は残念に思う。しかし、演説全体を通し、脱原発・エネルギーシフトの意志が強く流れていたことははっきりと読み取れた。社会的合意形成に向け、産業通商資源部と韓国水力・原子力発電会社は、古里原発5号機と6号機の新規建設を中止に向かわせるべきである。古里原発5号機・6号機を手始めに原発建設の新規案件も中止手続きを踏むことになれば、新たなエネルギー時代が切り開かれるだろう。

今日は、大韓民国が古里原発1号機の廃炉を機に脱原発社会へ第一歩を踏み出した記念すべき日である。文大統領の音頭取りで提示された脱原発・エネルギーシフト政策について、これから政府が具体的な施策を打ち出すことを期待したい。原発建設や稼働によりこれまで被害を被ってきた原発周辺地域の住民を支援する対策についても丁寧な気配りが必要になる。

KFEMは、これからも韓国が脱原発・エネルギー改革を達成するために、尽力する。

2017年 6月 19日
Korea Federation for Environmental Movements(KFEM/FoE韓国)
共同代表 권태선 박재묵 장재연
事務総長 염형철

参考リンク
http://kfem.or.kr/?p=167530

 

KFEM

写真提供:KFEM

台湾・エネルギーシフトの現場を訪ねて(その3)

台湾報告 その1 その2

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原発・石炭火力に反対する市民の声をお伝えしてきましたが、台湾はどのようにエネルギーシフトをしようとしているのでしょうか。

今回はエネルギーシフトのキーとなる、再生可能エネルギーの拡大とエネルギーシフトへの道筋についてまとめたいと思います。

台湾の再エネ

2016年10月、蔡英文政権は「2025年までに再生可能エネルギー発電量を20%とする目標」を閣議決定しました。

台湾が2025年までに脱原発する根拠となっている改正電業法(2017年)は、再エネ市場の開放(注:発電部門はすでに民間参入可能)と送配電網へのオープンアクセスを促進することが目的の一つに掲げられています。これには将来的には一般の電力自由化、地元レベルやコミュニティベースの発電会社の設立も可能することが含まれています。

現在、台湾で再エネが発電に占める割合は5パーセント(2015年)ですが、注目される太陽光と風力についてそれぞれ見ていきます。

★太陽光
太陽光に関しては2025年までに20GW(うち3GWがルーフトップ)に増やす計画ですが、直近の2カ年計画では、2018年までに1.52GW(プラスして)増やす計画になっています。

しかし、限られた領土と山勝ちな地形、そして台風が多いことなどから地滑りのリスクもあり、太陽光パネルの設置場所の確保が課題となっています。

そのため前政権下ではMillion Solar Rooftop プロジェクト(2012~)を通じ、補助金の導入や技術支援などで、屋根への太陽光パネル設置を促しました。

現政権は新しく10000ヘクタールの農地を太陽光発電用にすると発表しています(6GW分に相当)。

台湾は太陽電池の生産量が世界で2番目に多い国ですが、国内の太陽光設備はこれからで、ソーラーシェアリングの取り組みや、引き続き屋根のポテンシャルマッピングなども行われています。

★風力
実は台湾滞在中、タイミングよくEUと台湾の合同で開催された風力開発のシンポジウムに参加することができました。現在台湾政府は洋上発電開発に積極的に乗り出しています。

シンポジウムでは台湾の風力開発計画の進捗や、ヨーロッパの経験共有、大手グローバル銀行などが台湾で風力開発に投資する際のポイントなどについて解説。多くのグローバル企業が台湾でのビジネスチャンスを狙っていること、そして台湾政府も積極的に投資を呼び込もうとしている姿勢が見て取れました。

現状では、陸上風力は国営が294MW、民営が388MWで、全再エネ発電の14.4%を占めています。
洋上風力のポテンシャルが望まれている台湾海峡では、開発のためのゾーニングが行われ、2025年までに3GWを目標にしています。しかし様々な課題もあります。

そのうちの一つは、漁業者に対する補償です。洋上風力を建設することにより、操業に影響を受ける漁業者やコミュニティに対しての補償金については今も一部で話し合いが続いているそうです。

他にも台湾海峡には白イルカの生息地があり保護団体が風力開発に反対していることです。シンポジウムの最中にも、反対派の団体がイルカ保護を呼びかけ風力に反対するリーフレットを会場内で配布していました。

課題を乗り越え、エネルギーシフトの達成を

持続可能でないエネルギーに頼らない世界に向かっていくために、どのような変革をえがくのか?台湾で様々な方とお話をしましたが、その中の多くの方が言っていたのは「原発・石炭に頼らないという共通認識(consensus)があり、台湾はそれに向かう途中(in transition)だ」という言葉です。

国立台湾大学の林子倫教授は、政治学の教授ですが、温暖化対策の専門家として委員会にも参加されています。

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中央が林教授。台湾国立大学にて

台湾は国連に正式に加盟しておらず、日本とも国交はありません。そのため、国際的な気候変動の会議においてはオブザーバーとしての参加しか認められていませんが、政府は温室効果ガスの削減目標も定めており(数値目標は、2050年に2005年比50パーセント削減)、台湾でもすでに11の都市が、気候変動に対してコミットすることを宣言し、グローバルなネットワークに参加しています。

林教授は、現状の台湾のシナリオだと2020年までは排出量が増え続け、2025年には減少に転じるだろうと話します。またエネルギーシフトを達成するためには、まだまだ議論や技術が必要で、今後、台湾政府は市民も巻き込んで「エネルギー変革白書」を作成する予定とのことです。これは、新しい民主的で政治的な取り組みでもあり、林教授が中心となって進めています。2017年7月から議論が始められるとのことです。

また、脱原発に関しても2025年というゴールが定められましたが、詳細なプランができているわけではないので、政府の高いレベルで脱原発特別タスクフォースが立ち上げられるとのことでした。

林教授は政治や公共政策の専門家で、エネルギーの問題を市民の政治参加の問題としても捉え、いかに市民がエネルギー政策への意思決定に参加できるか研究と実践を行っているそうです。(上記の委員会や市民を巻き込んでの白書作りも林教授が大きな役割を果たしています)

林教授はエネルギーシフトの一つの課題として「public acceptance(市民による同意、理解)」の問題を挙げます。

林教授曰く、過去4050年、台湾の人々はほとんど政府を信用していませんでした。その国民感情は今も根強く残っていて、政策決定プロセスへの参加を促すためにも丁寧な信頼回復が必要で、そのためにどう対話の場をデザインしていくか、政府と共に取り組んでいるとのことでした。

前回のブログで登場した、リャオさんは、政府の政策が本当に市民の利益になっているのか、そして本当に必要な電力量がどれくらいなのか、その議論が必要だといいます。「政府の風力開発計画は、海外企業や大手企業しか参入できず、コミュニティに資するものになっていない。電力開発の補助金は企業には資するかもしれないが、もっと包括的で透明性の高い再エネのポテンシャルのマッピングが必要。」

また、Air Clean Taiwanのリーダーの楊さんは「(風力開発の影響を受ける)漁業者が補助金をもらっても持続可能でなく、もし風力発電をそこでやるなら、その地域の人がシェアホルダー(本来は株主という意味ですが、ここでは利益を共有する人々)になるような仕組みにするべきだ。今後はコミュニティ発電にも取り組みたい。」と話していました。

もちろん、エネルギーシフトを達成する道のりは短くはなく、課題も山積しています。しかし、脱原発を達成するという政治的な意思と、市民による継続した取り組み、若者もたくさん巻き込んでの活動、草の根の活動から政策決定プロセスに積極的に参加していく市民の存在、「どうやって脱原発・脱石炭への道筋をデザインしていくか」という問いに課題を理解しつつも前向きに取り組む台湾の市民社会の一面が見られた気がします。

他にもお話を伺った方や団体がたくさんありますが、詳しくはセミナーで報告したいと思います。→報告会:台湾エネルギー革命~脱原発方針をかちとった人々の力(7/6)

「共謀罪」142団体から「市民社会への脅威」と反対の声~NGO活動の現場からの警鐘

共謀罪記者会見

現在、参議院でいわゆる「共謀罪」法案(「テロ等準備罪」を新設する組織的犯罪処罰法の改正案)が審議中です。

同法案では、捜査・監視の対象が、恣意的に決められてしまうため、すべての市民運動にとっての脅威となりえます。

FoE Japanやメコン・ウォッチなどが、反対声明を発出。連名を呼びかけたところ、6月8日までに、環境・開発・人権・平和・国際協力などの分野で活動している142のNGOや市民団体からの賛同が集まっています。
http://www.foejapan.org/infomation/news/170529.html

国内だけではなく、バングラデシュ、フィリピン、ミャンマー、オランダ、ドイツ、イタリア、タイ、カンボジア、イギリス、インドネシア、マレーシア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ベトナムなど海外の14か国からも賛同が寄せられています。日本でいま生じていることは他人事ではない、そういった思いからの連帯の声だと思われます。

本日、FoE Japan、メコン・ウォッチ、日本国際ボランティアセンター(JVC)、グリーンピース・ジャパンの4団体による記者会見を行いました。
記者会見の模様は、グリーンピース・ジャパンのフェイスブックにアップされていますので、ぜひご覧ください。
https://www.facebook.com/GreenpeaceJapan/videos/1614446501921285/

JVC・人道支援/平和構築グループ マネージャーの今井高樹さんは、アフリカにおけるご自身の経験から、国家的な開発事業で土地収奪が生じ、それに反対する市民団体に対する脅迫や迫害が生じたり、人道支援を行っている団体が拘束されてしまったりした例などを紹介しました。

メコン・ウォッチの木口由香さんは、東南アジアにおいて国家による事業に反対する団体が、政府により、「反政府」「反社会」とレッテル貼りをされ、監視され、逮捕され、さまざまな抑圧が加えられている事例について紹介し、「共謀罪」成立によって、日本でもこのような状況が生じかねないことに対する懸念を表明しました。

グリーンピース・ジャパンの米田祐子さんは、よりよい社会を目指して健全な議論を行うことができる環境は、民主主義の基盤であること、共謀罪はそれを委縮させ、破壊してしまう恐れがあると発言。

FoE Japanの満田からは、「国家」の名のもとに、環境が破壊され、人権が侵害される事例もあること、それを批判する団体が、監視される可能性があること、法案が通れば、捜査そのもの、または捜査によって得られた情報の恣意的な切り
取りによって、対象者の社会的信用を落とすことが可能になることなどを指摘しました。

そもそもすでに多くの人が指摘している通り、政府は、国連越境組織犯罪防止条約を批准するためにテロ等準備罪が必要と説明していますが、この条約の対象はテロではない上、この法がないと条約に加盟できないわけではありません。テロ
防止関連条約は既に締結していますし、国内法でもすでに、殺人や強盗、爆発物使用などの着手以前の段階の行為を処罰するさまざまな法律が整備されています。

「共謀罪法案」反対声明については、6月15日まで賛同団体をつのっています。
ぜひ、国内外に広くご紹介ください。
賛同はこちらから。
https://pro.form-mailer.jp/fms/6ef8abac123124
英語版はこちらから。
http://www.foejapan.org/en/news/170529.html

台湾・エネルギーシフトの現場をたずねて(その2)

台湾報告その1はこちら

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台湾中西部に位置する台中市。台中でもっとも大きな産業は農業だそうですが、工業地区も存在します。脱原発を決めた台湾ですが、台湾の発電量の15%程度を原発が占める一方、8割程度を化石燃料(石炭・天然ガス・石油など)で賄っています。大気汚染の問題も非常に深刻で、石炭火力発電所に反対する市民運動も起きています。

台湾エネルギー

IEAのデータを元に作成

石炭火力をめぐる市民運動を視察するため、雲林と台中の市民団体を訪ねました。

雲林で迎えてくれたのは、この地域で活動している現地の方です。
雲林では2015年に(低品質)石炭の使用を制限する決定がされたにもかかわらず2017年に環境当局がこの方向性に反する(石炭の燃焼可能量の引き上げ)決定を行いました。大気汚染の改善を求めている市民らは、これに抗議しており、雲林の庁舎の前での座り込み、情報発信、デモなどの活動を行っているそうです。

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雲林役所前での座り込み

抗議活動に参加している王さんは、自ら立ち上げているSitster Radioというインターネットラジオを活用し、工場による汚染や石炭火力の問題点について情報発信をしています。
王さんらによると、未だに地元の関心はまだ低く、戸別訪問をして問題を訴えたり、学校を訪問して健康問題などについて情報共有を行っているそうです。

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王さん。女性の権利の活動家でもある

具体的に彼らが問題視しているのは、フォルモサペトロケミカルの工場と隣接する麥寮(Mai Liao)発電所です。工場から発生する排気により、周辺のPMの値が高く、近隣の幼稚園は2度の移転を余儀なくされました。

 

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フォルモサの工場

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新しい小学校。しかしこちらもすでに閉鎖された。工場地帯から車で2、3分のところにある

脱原発・脱石炭運動に関わるLiao(リャオ)さんは、廃棄物の問題も独自に調査しています。
石炭灰の処理に関する明確なルールがなく、とても毒性の高い物質を含んだ廃棄物が投棄されているとのこと。しかし違法とはいえず、法の抜け穴になっているそうで、規制の必要性を話していました。

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不法投棄の問題について説明するリャオさん

 

次に訪れたのは台中。台中ではAir Clean Taiwan(ACT)の皆さんと意見交換を行いました。ACTは幾つかの団体があつまってできた大気汚染の改善と脱石炭を訴えるネットワーク組織で、もともと脱原発団体や環境団体、青年団体のあつまりだったものが、最近一つ組織として独立したそうです。

この2月、ACTはその他のNGOや市民団体とともに大規模なデモを計画。
数万人がデモに参加し、脱石炭やパワーシフトを訴えました。

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デモの様子写真:350.org Taiwanウェブサイトより

ACTの特徴は多くのお医者さんが参加している点です。ACTの代表も医者で、大気汚染が原因とみられる疾病を多く診てきたそうです。また、台湾ではお医者さんが社会的にとても尊重されるので、市民運動を盛り上げる上で、たくさんの医者が関わったことは重要だったと話していました。

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ACTや主婦連の方と意見交換

台中には台中石炭火力発電所という台湾で一番大きな発電所があります。
1986年に建設が開始され、1991年から稼働しています。

実は、ちょうど台中を訪れた日に環境当局(EPA)が大気汚染対策に関する公聴会を開催しており、傍聴することができました。大気汚染は台湾全土で大きな問題となっており、政府も対応を迫られています。

会場からは、EPAの用意したデータではPMの3割ほどが中国から来ているとしているがそれの裏付けはなにかといった質問や、透明性が不十分、これまでの市民からの要望に答えていない、詳細な政策施工のタイムラインがない、移動汚染源(車など)への比重が大きく発電所などの固定汚染源への対策に欠けるなど、さまざまな意見が飛び交いました。
(公聴会はこちらで視聴できます→https://www.youtube.com/watch?v=28gCT_IvlCQ

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公聴会の資料

台湾は、大気汚染対策のための14(+N)の政策を今年発表しています。

その3に続く…

6/5まで「原子力利用に関する基本的考え方(案)」パブリックコメント

直前になってしまいましたが・・・
6月5日まで、「原子力利用に関する基本的考え方(案)(原子力委員会)」に対するパブリックコメントが募集されています。

原子力委員会は、原子力基本法(1955年)にもとづいて1956年に設立され、国の原子力政策の長期計画を策定してきました。
しかし、東電福島第一原発事故後、原子力をめぐる環境が変わったことから、長期計画は策定しないこととされ、そのかわりにこの「基本的考え方(案)」が策定されることとなりました。

表面上は「東電福島第一原発事故をふまえて」などとしながらも、内容は
「運転コストが低廉」な原子力を、「ゼロリスクではない」としながらも、引き続き利用・推進し続ける、というものです。

ぜひ一言でも、意見を出しましょう・・・!

★「原子力利用に関する基本的考え方(案)」パブコメ募集:締め切り6月5日(月)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095170510&Mode=0

★原子力委員会の会議資料の中に3ページの「概要」もありますので、参考に。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2017/siryo18/siryo1-2.pdf

FoE Japanからも下記提出しました。

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「原子力利用に関する基本的考え方(案)」に対する意見

2017年6月2日
国際環境NGO FoE Japan

1.           <全体> 福島第一原発事故の甚大な被害、すでにほとんどの原発が停止しており事実的に原子力からの発電から脱している現実、ふくれあがる原発のコストに鑑みれば、完全な脱原発をできるだけ早期に具体化することこそ必要である。 発電という目的について考えれば、省エネルギー、エネルギー効率化、再生可能エネルギーなど、優先すべき具体的手段が多数ある。多大なコストをかけ、また多数の市民の生命ややくらしを脅かすリスクを負ってまで原子力を使い続ける理由はもはや存在しない。原子力の技術は、事故炉の廃炉や放射性廃棄物の管理・処分の目的に限り、継続すべきである。

 

2.           <東電福島原発事故に対する考え方について (p.3、6)>
「国民の原子力への不信・不安に真摯に向き合い、社会的信頼を回復していくことが必須」とされている。しかし、市民が脱原発を望む理由は、単なる「不信・不安」にとどまらない。東電福島第一原発事故では、今なお放射能被害の影響が続いている。故郷を失ったり避難を余儀なくされたりなど多くの人がいまだに精神的・経済的・社会的困難を強いられ、社会的な分断が生じている。 すでに起きている原発事故に対する賠償や対応、収束に向けた道筋も見えないことに対する失望や憤りに対しては、容易に理解を得たり対応をしたりできるものではない。

 

3.           <原子力利用をめぐる環境、コストについて(p.3、11)>
電力小売り全面自由化等により、原子力をめぐる競争環境が変化しているのは事実である。加えて、原子力のコストについて、事故費用や賠償費用、安全対策費用の増大などにより国際的にも上昇していることについても認識し、記載すべきである。 たとえば、東芝の危機は、米原子力企業WHが原因であるし、仏アレバも深刻な経営危機に陥っている。公的な支援なしには成り立たない産業となっている。 「運転コストが低廉」との表現があるが、事故のリスクがゼロでないことを考えればこれも適切ではない。

 

4.           <地球温暖化対策と原子力利用について(p.3、10-11)>
途上国を中心に、世界的に深刻な影響を及ぼしている地球温暖化問題に対し、日本は先進国として真摯に向き合い、現在の目標はさらに上方修正していかなければならない。しかし、その対策として原子力を利用すべきではない。 原子力は、出力調整をしやすい電源ではないため、オール電化や夜間電力利用という形で、節電よりもかえって電力消費を増やしてきた。 省エネルギーと熱・電気の利用形態の見直しも含めたエネルギー効率化、再生可能エネルギーの推進こそ、地球温暖化対策として進めるべきである。 「低炭素電源である原子力に一定の役割が期待されている」との記載は削除すべきである。

 

5.           <国民生活や産業との関係について(p.4、11)>
火力発電の焚き増しや、再エネ固定価格買取制度導入に伴う電気料金の上昇が強調されているが、その原因は、早期に運転コストのほとんどかからない国産エネルギーである再生可能エネルギーへの投資を行ってこなかったことにある。 日本の豊かな資源、また未利用の再生可能エネルギーを活用し、早期に「国産エネルギー(=再生可能エネルギー)」へシフトを進めるべきである。

 

6.           <原子力関連機関に内在する本質的な課題とその対応について(p.5、13-14)>
原子力関連機関に継続して内在している本質的な課題として、事故などの情報共有が遅れたり隠ぺいされたりしてきた問題について、明確に記載すべきである。また国民性や文化をその理由とすべきではない。 原子力事故への対応に対する批判、原子力を維持推進する大きな構造への疑問、原子力発電技術そのものに対する批判、経営体質への批判など、より深く広い社会的課題である。これに向き合うには、原発事故へ対応を抜本的に改革し、将来的な原子力利用について方針転換する必要がある。 インターネットやソーシャル・ネットワーク・サービスによる情報提供など、コミュニケーションの強化により解決できるものではない。

 

7.           <原子力利用の基本目標について(p.6)>
「原子力技術が環境や国民生活及び経済にもたらす便益の大きさを意識して進めることが大切である」とあるが、これは削除すべきである。原子力技術は、多くの課題を抱え、また既に深刻な被害をもたらしている。さらに、これまで「温室効果ガスを出さない」などこれまで便益とされてきたことも、十分に代替する技術やエネルギーがある。すでに発電に原子力を使う理由はない。今ある原子力発電所の廃炉や核廃棄物の管理・処分を安全に行うことのみを目標とすべきである。

 

8.           <ゼロリスクはないとの前提での対策について(p.8-10)>
原子力の被害の甚大さを考えたとき、ゼロリスクはないとの前提に立つのであれば、原子力発電を利用すべきではない。
9.           <原子力防災と自治体・住民の関与について(p.10)>
原子力防災に関しては、原子力規制委員会は、指針をつくっただけであり、審査・確認の対象にしていない。このため、第三者的な目でのチェックが行われていない。事故時の避難についても、現在は30km圏内でしか原子力防災計画が策定されていない。福島第一原発事故の被害状況をみれば、30km以遠の飯舘村も全村避難を強いられた。
その内容は、実効性と程遠く、住民などステークホルダー意見も反映されていない。要援護者など社会的弱者がとりのこされる恐れがあるなど多くの問題点を含んでいる。
また、30km圏内の自治体は、原子力防災計画の策定・実施主体であるのにもかかわらず、再稼働についての意見は考慮されない。
原子力防災の体制については、住民が参加できる枠組みをつくり、原子力規制委員会の審査の対象とし、原発運転の可否と関連づけるなど、抜本的な体制の見直しが必要である。

 

10.      <原子力損害賠償制度について(p.10)>
東電福島原発事故により、現在の原子力損害賠償制度では、過酷事故に対応できないことが明らかとなっている。事故後に原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づき、本来であれば責任を取るべき東電の経営陣および株主などが責任をとらず、国の支援で、賠償と廃炉が行われている。万が一次の事故が起こった際に対応できるよう、原子力事業者の負担金を引き上げる等の必要な措置を講じる必要がある。その際、原子力事業者の責任を明確にし、負担金が託送料金を通じた国民負担となることはあってはならない。

 

11.      <核燃料サイクル、核不拡散について(p.12、13)>
核燃料サイクルは多額の費用と年月をかけていまだ実現しておらず、今後の実現も全く見込むことができない。核兵器転用の可能性のあるプルトニウムを取り出す核燃料サイクルの中止・撤退を宣言し、使用済燃料の直接処分に転換すべきである。 日本は唯一の被爆国として、核軍縮・核不拡散の先頭に立って取り組むべきである。 原子力の「平和利用」が幻想にすぎず、原発は、被ばく労働や原発事故のリスクを伴い、十万年単位での管理を必要とする核のゴミを生み出し、軍事利用への転換の危険がつねにあることを念頭に置かなければならない。

 

12.      <原発輸出について(p.12)>
東電福島第一原発事故の原因究明もできておらず、また事故処理の道筋も見えないなかで、倫理的観点から、また核不拡散の観点から他国への原子力輸出は行うべきではない。事故の教訓そして脱原発への道筋を世界と共有していくことが必要であり、原発廃止や廃炉、再生可能エネルギーや省エネルギーの技術推進に向けた連携こそ行うべきである。

 

13.      <原子力発電所の廃止について(p.15)>
東電福島第一原発の廃炉については、その全体の工程も明確に提示されていないほど、膨大な年月と技術を必要とする作業である。廃炉作業や汚染水対策、放射性廃棄物の処理・処分について、作業員の安全と人権を最大限確保して行われなければならない。 既存の原発の廃炉については、原子力事業者の責任と費用負担で行われなければならない。

 

14.      <現世代の責任による放射性廃棄物の処分について(p.15)>
放射性廃棄物の処理・処分は、まだ方法もその処分地の選定についてもまったく見通せていない。非常に困難なプロセスが予想される。現世代の責任として行うためにも、まずはこれ以上放射性廃棄物を発生させないために、原発利用の停止を決めることが必要である。

G7閉幕、先進国の足並み揃わず

イタリア・タオルミーナで開かれていたG7サミット(主要7カ国首脳会議)が、先週5月27日に首脳宣言(コミュニケ)を採択して終わりました。

もはやG7そのものが矛盾に満ちた現在の国際経済体制を体現する会合になっていますが、トランプ氏の参加により、これまで世界のリーダーが集まる場と繕われていたその体裁に大きな穴があいたようです。
科学を否定し気候変動問題は存在しないと主張するトランプにより、パリ協定の実施へのコミットメントはアメリカをのぞく6カ国のみが表明する形にとどまりました。

主催国イタリアは市民の安全をテーマに、アフリカや中東から危険な地中海を横断してイタリア、ヨーロッパに押し寄せている難民と移民の問題を取り上げようとしました。しかしとりわけアメリカの反対で、G7諸国の国境を守る権利や非合法移民の抑止など、難・移民の基本的人権よりも国家主権と安全保障を優先する短い段落が宣言に盛り込まれるという結果になりました。

G7会合直前に、紛争や機能不全におちいっている政府、気候変動の影響により深刻化している干ばつや食糧危機により、現在660万人が中東やアフリカ北部沿岸からヨーロッパを目指しているというドイツ政府の内部分析が報道されました。

G7の結果は、危機に直面している人々への本格的な救済や、背景にある貧困・経済格差の問題に目をつむり、一部受け入れすら拒否しつつある先進国の姿勢が大きく現れています。

今年1月からだけでも、アジア、中東、アフリカからヨーロッパへ越境を計る人々の数はすでに65万人にのぼっています。

先進国はリーダーシップを発揮するどころか、足並みを揃えることもできず終わりました。

(小野寺)

台湾・エネルギーシフトの現場をたずねて(その1)

2017年1月、台湾は脱原発を政策的に決定しました。アジアにはもともと原発のエネルギーを使っていない国も、使おうとしていたけれど導入を見送った国もありますが、台湾のようにこれまで原発を利用していて、今後使用を止めると政策的に決めたのは、アジアでは台湾が初めてではないでしょうか。

FoE Japanは2017年4月に、脱原発をきめた台湾を訪問し、脱原発を求めていた市民や、今も活動している環境団体にヒアリングを行いました。幾つかに分けてブログで報告します。

台湾では、これまで保守派の国民党が原発を推進し、最大野党の民進党(民主進歩党)が原発に反対してきました。2016年、政権交代がおきて民進党政権になり、政策的に原発が廃止されることが決まりました。ただし2016年の選挙では、与野党両候補ともが原発廃止を公約に掲げていたそうです(第4原発の凍結も2014年で前政権の時です)。脱原発が政策として決定的になったのは、2017年1月の電業法の改正案の可決です。この改正は2025年までに原発を廃止することだけでなく、これまで台湾電力公社が独占していた電力市場を自由化させる内容も含んでいます。

まずはじめにお話を聞いたのは、台湾北部で活動をしている郭さんです。
郭さんは北部最大の環境連合の一つ「北海岸反核行動聯盟」のリーダーで、芸術家でもあります。

郭さんは小さい頃遊んでいた場所が第2原発のために接収され、思い出の場所が失われた経験から、地元に戻ったときに地域の歴史や文化を学び直して将来世代に残そうと思ったとのこと。その過程で、原発に関する多くの問題点を発見したそうです。

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プレゼン中の郭さん(右)

第2原発の計画が始まったのは郭さんが7歳だった1962年(注:着工開始は1975年)。父親は炭鉱労働者で、季節によっては農業も行っていたそうです。第2原発がある場所の近くで休みの時は友達と遊んでいた、と郭さんは回想します。そのあたりには3、400名ほどが住むコミュニティがありましたが原発建設に伴い、みな移転をしたそうです。この地域のお茶産業は完全になくなり、漁業も大きな影響を受けました。

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第一原発の目の前で解説してくれる郭さん

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第一原発からの温排水

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第一核能発電蔽とかいてあるのが見える

台湾の大学による周辺の海洋生態系を調査では、生物種の減少や貝のサイズの減少なども報告されています。この地域には国立公園が隣接しているのですが、原発計画のために、国立公園の範囲を狭くしたそうです。

当時は政府による原発計画に対する反対運動はほとんどなかったと郭さんはいいます。というのも台湾では戒厳令が1987年まで続いていており、市民活動に大きな制限があったからです。1993年、第二原発の汚染水が原因でとみられる奇形魚が大量に発見されました。それ以外にも資材を運ぶトラックの事故など「公式に記録されている原発施設・周辺の事故」が複数報告されています。しかし人々は原発についてほとんど情報を持たず、政府のプロパガンダを信じていたとのことでした。

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第2原発の排水口ちかくの看板。危険と書いてありましたが、釣りをしている人が何組かいました

戒厳令が解消された後、1989年から大きな脱原発運動が起こり始めたと郭さんは言います。よく第4原発に関する市民の行動が報道されるが、脱原発運動はこの北部と、蘭嶼島(先住民族の島で、放射性廃棄物の貯蔵施設がつくられ健康被害などが発生している)の二箇所が国内でもっとも大きいと思う、と話していました。

現地で活動している他の方々にもお話を聞きましたが、やはり東京電力福島第一原子力発電所の事故がお呼びした影響は大きかったとのことで、文化的にも地理的にも近い日本での事故は他人事には感じられなかったそうです。台湾の大きさはだいたい九州と同じくらい。二つの原発を抱える北部の人々は逃げる場所がないと感じ、311のあとに大きな反原発デモが起きました。第1・第2原発から台北までは車で1時間、距離にして40キロほど。台北の人口だけでも200万人です。

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気候変動に取り組む台湾ユースと一緒にヒアリングを行いました。筆者中央。

 

郭さんに台湾の脱原発政策について尋ねてみました。郭さんは、「喜ばしいことではあるが、台湾が脱原発をするといったのは初めてではない。2000年も2008年もそういった動きがあったが、実現しなかった。」他に話をきいた現地の方(写真のピンクのシャツの方と青いシャツの方は現地で脱原発活動に参加している方)も「政治家は野心的な目標(脱原発)を掲げているのに、行動が謙虚すぎる。政策は正しいが、もっと積極的に行動してほしい」と話していました。

さらに郭さんは「台湾には将来的に脱原発・脱石炭という同意(コンセンサス)があり、原発に関わっている市民・石炭に関わっている市民はその目標を共有している。」と話します。

脱原発と脱石炭一緒に掲げるのは現実的でないと批判があるのでは?との質問に対し、「どちらかをやめたらどちらかが必要なのではないかという意見や、批判をいうのは、運動の外にいる人たちが言っていることだ。今必要なのは、このエネルギーの未来にむけてどのような変革をするか考えていくことだ。そのためには対話が一番大事だ。そして今政策に働きかける形で活動している」と話していました。

郭さんは、現在政府のエネルギーや持続可能な開発を考える委員会の委員に市民として就任しています。

実は脱原発を決めた台湾には、石炭火力に反対する市民運動も存在します。それについては次回報告します。

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みなさんありがとうございました!

(続く)

自主避難者に対する住宅支援継続を求め、80の自治体が意見書!

福島第一原発事故による政府指示区域外避難者に対する住宅支援等を求め、少なくとも16都道府県の80地方議会が国などへ支援継続を求める意見書を可決していました。共同通信が報じました。>自主避難支援継続、80議会要請(共同通信、2017年5月23日)

自主費意見書を採択した自治体の一覧はこちらです。>自主避難者に対する住宅支援等を求める意見書一覧(PDF3頁)

自主避難者に対する住宅支援等を求める意見書一覧(凡例つき)

 

住宅支援を求める自治体1

住宅支援を求める自治体2

住宅支援を求める自治体3

 

原発事故避難者の住宅問題で復興庁と交渉~「国としての責任」を認めるも…

今年3月末に原発事故の区域外避難者(自主避難者)への住宅提供が打ち切られました。

福島県の資料によれば、打ち切り対象12,239世帯のうち、住居が確定した人は12,088世帯、未確定は119世帯。しかし、私たちはこれは過小評価ではないかと考えています。

FoE Japanも参加する「避難の協同センター」には、引っ越し先がみつからず、貯金もつきたなど、困窮した避難者からさまざまなSOSが多くよせられています。

4月に「避難は自己責任」などの発言を行った今村大臣が辞任し、新たに復興大臣に就任した吉野正芳氏は、「支援を求める人がいる限り、最後の一人まで支援する」と述べました。

これは果たして実現するのでしょうか?

5月15日、原発事故避難者の住宅問題に関して、復興庁と交渉を行いました。

復興庁の担当者は、「国としての責任を認識している」と明言。

しかし、相変わらず、避難者の状況把握を福島県に任せている復興庁の姿勢が浮き彫りになりました。私たちは、「最後の一人まで支援する、という吉野大臣の発言を具体化してほしい。大臣と避難者の面談、また復興庁による主体的な避難者の状況把握と対策をお願いしたい」と要請しました。

以下、概略を報告します。

170515_復興庁交渉2

避難者の住宅問題に関する復興庁・厚労省・国土交通省との交渉

日時:2017年5月15日16:00~17:30
場所:参議院議員会館102
主催:避難の協同センター
共催:「避難の権利」を求める全国避難者の会、原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)、原発被害者訴訟原告団全国連絡会

<復興庁への質問>

Q「避難の協同センター」が4月27日付で、復興大臣宛てに以下の要請を行っていますが、その回答をお願いいたします。

1)「原発事故子ども・被災者支援法」の理念を守り、その実現に力をつくすこと
2)避難者の実状把握を急ぐこと。
①現段階で住まいが確定できていない避難者の把握
②家賃支払いや転居費用などで経済的に困っている避難者の実態把握

3)上記の結果を踏まえて、緊急の避難者対策を行うこと。住宅無償提供打ち切りを撤回し、家賃支援を行うこと。
4)被害者の生活再建や被ばく防護策を含む、原発事故被害者救済のための立法を急ぐこと。
5)復興大臣が早急に避難当事者団体・支援団体からの意見聴取を公開の場で行い、施策に反映させること。

また、「復興庁が、福島県が把握している自主避難者の住居の状況や帰還できない理由などを来月の大型連休明けまでに集計、分析したうえで、対応策を検討する」(今村前大臣の4月18日付発言)ということになっていましたが、その結果についてご教示ください。

<回答>

●避難者の数および実情の把握について
・福島県が行っている調査結果を受けとっている。
・今村大臣4月18日発言「復興庁が、福島県が把握している自主避難者の住居の状況や帰還できない理由などを集計、分析したうえで、対応策を検討する」については、復興庁独自の調査などはやってない。
・福島県が、引っ越し先未確定としているのは119世帯(平成29年4月24日発表の数字)。
・この都道府県別/住宅種別データは復興庁としては把握していない。
(→「福島県はこのデータは持っていると言っていた。きいてほしい」と要請)
・転居先を教えたくない避難者もいるので、把握は困難。

●困窮する避難者への対応について
・全国26か所の生活再建支援拠点を設けており、困った避難者が相談できるようになっている。
・自治体やケアマネージャー、臨床心理士などにつなぐ。

●復興大臣と避難当事者との面談について
・復興庁全体として、避難者と会うなど対処する。
・(重ねて要請し、日程調整を求めると)ご意見として承った。復興大臣にご意見があった旨、報告する。

Q. 避難者のカウントについて:2月の交渉時に「避難者については、東日本大震災をきっかけに住居の移転を行い、避難元に戻る意思がある避難者を調査しており、引き続き同様に行う予定である。引っ越したからといって、避難者に含めないということはない。ただし、災害復興住宅に入居した避難者は除外している」と回答している。

1)区域内避難者も含め、災害(復興)住宅に入居し、結果として「避難者」から除外された人は何人か。

2)自治体によっては、当初の借り上げ住宅からの引っ越しを機に、避難者とカウントしなくなっている。結果、自治体によるばらつきが生じると思われるがいかがか。

3)避難元に戻る意思というのは、どのように把握されるのか。

回答:災害復興住宅に入居した世帯数は5325世帯。

引っ越す場合は、福島県に新たな住所を届けてもらうように自治体として言ってもらっている。社協と連携して避難者の情報の把握に努めている。

<厚生労働省への質問>

Q:雇用促進住宅については、所得要件が厳しく、事実上追い出され、行方がわからなくなっている人もでてきている。また、避難当時、雇用促進住宅に入居した人はその後、自治体の独自指針により、公営住宅の専用枠が作られても、応募ができなかった。こうした事実をまずは認識してほしい。雇用促進住宅を所管しているのはどこか?

回答:(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構。
状況については承った。
(生活保護の柔軟な運用を求めると)自分は担当ではないが、担当に確かに伝える。

<国土交通省への質問>

国が子ども・被災者支援法の基本方針にもりこんだ、「公営住宅の入居の円滑化」に ついて、以下について最新の情報を改めてご教示いただきたい。

①公営住宅の確保(県別、住宅種別) ②応募者数、入居決定者数(県別・住宅種別)

回答:公営住宅の入居の円滑化を、「専用枠」「倍率優遇」「その他」で分けている。
3月末時点で、専用枠については、設定1167世帯、応募348世帯、入居256世帯倍率優遇については、応募353世帯、入居28世帯
その他については応募97世帯、入居71世帯。
今後も、ひとりでも多くの避難者の人に利用していただけるため、努力していきたい。

最後に主催者側から、「この場に参加できない避難者の人たちも多くいる。吉野大臣は、最後の一人まで手を差し伸べると言った。これを実現してほしい。国の責任についても認めた。それであるならば、福島県まかせにせずに、国として取り組んでほしい。せめて実態把握を。私たち避難者に会ってほしい」と訴えました。

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原発の事故賠償・廃炉費用を託送料金で回収? ~議論のその後

2016年度後半、福島第一原発事故の事故処理費用や賠償費用、さらにその他の原発の廃炉費用の一部を、2020年以降託送料金で回収、つまり、すべての電力利用者が負担するという方針が経済産業省より示され、大きな議論が起こりました。

FoE Japanも、パワーシフト・キャンペーンやeシフトと連携し、新電力の声を伝える署名提出パブリックコメントの呼びかけなど活動しました。

その後の議論をお伝えします。

<パブリックコメントの結果は・・>

1月17日まで実施されていたパブリックコメントをへて、2月9日に開催された「貫徹委員会」で若干の修正を加えた「中間とりまとめ」が了承されました。中間、という名前ですが、今後さらに議論があるわけではなくひとまずの結論です。

▼「電力システム改革貫徹のための政策小委員会 中間とりまとめ」
http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/20170209002.html

パブリックコメントでは、1412件の意見のうち、託送料金への上乗せに反対する意見が相次いでおり、委員会の中でも大石美奈子委員から様々な意見を踏まえて継続審議すべきとの発言がありましたが、それ以上の議論はなく(市場整備、インバランス誤算定などの議題が議論の中心を占め)、「了承」されました。

▼パブリックコメント結果はこちら
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620216013&Mode=2

超党派議員が開催する国会エネルギー調査会(準備会)第62回(2月21日)でも、大島堅一氏、金子勝氏、飯田哲也氏から厳しいコメントがありましたが、十分な回答はありませんでした。
FoE Japanも参加し、
・本来は原子力事業者(電力会社)の責任である(このことは政府も認めている)
・電力システム改革の趣旨に反する
・国民の理解を得られていない
ことについて改めて確認・質問しました。170221_資料

▼国会エネルギー調査会(準備会)第62回(2/21)
http://blog.livedoor.jp/gempatsu0/archives/469245.html

<原賠・廃炉支援機構法の改正>

市場整備なども含み広範囲にわたる「中間とりまとめ」の中では、「福島第一原子力発電所の廃炉の資金管理・確保の在り方」として、廃炉に必要な資金を第三者機関に積み立て、その機関が廃炉の実施を管理・監督する新たな制度をつくることが書き込まれました。

このことから、「原子力損害賠償・廃炉など支援機構法の一部を改正する法律案」が国会に提出され、衆議院、参議院での審議を経て、2017年5月10日、参議院で可決されました。「改正原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」が成立し、福島第一原子力発電所の廃炉を実施するために、東京電力ホールディングスに対し、廃炉費用の積み立てが義務付けられました。

衆議院、参議院の経済産業委員会では、この法律案にともない、東京電力の廃炉作業の実態や、福島第一原発事故の現状や賠償について、また「過去分」の考え方、エネルギー政策など広く質疑が行われました。

衆議院経済産業委員会では、3月11日から4月12日まで4回の審査が行われ、4月14日に衆議院本会議可決(経過はこちら

参議院経済産業委員会では4月17日から5回の審査が行われ、5月10日に本会議で可決されました。 (経過はこちら

両院とも、採決の際には共産党議員の反対討論はあったものの「賛成多数」で採択されました。ただ、民進党・付帯決議は提案され、透明性の確保や説明責任、託送料金での回収は今回に限ることなどが書き込まれました。

衆議院 付帯決議   参議院 付帯決議

これを受けて、東京電力ホールディングスと原子力損害賠償・廃炉等支援機構は11日、福島第一原発事故の費用増大などを踏まえた再建計画「新々総合特別事業計画」の認定を国に申請しています。

<廃炉にかかる費用>

廃炉にかかる費用については、2016年後半に「東京電力改革・1F問題委員会」で議論され、現時点で見積もれる範囲の事故費用の総額が21.5兆円、そのうち廃炉費用は8兆円とされました。

しかしこれは、30~40年かかるとされる燃料デブリの取り出しまでのもので、その後の処理費用は見積もられていません。賠償費用や除染費用も、さらに膨らむでしょう。2017年3月7日には、日本経済研究センターから「事故処理費用は50~70兆円になる恐れ」というレポートも発表されました。
この点は、国会での審議でも繰り返し取り上げられ、世耕経済産業大臣も、デブリ取り出し以降の費用は未定であるため、これ以上になることを認めています。

<今回の提案の概要と問題点>

↓東京電力改革・1F問題委員会資料「福島事故及びこれに関連する確保すべき資金の全体像と東電と国の役割分担」をもとに作成

賠償廃炉費用

 

国会の中でも多くの疑問の声が上がったことを共有し、また福島第一原発事故の事故処理や廃炉費用の一部が、2020年以降託送料金で回収されるという事実を認識しながら、市民・消費者として引き続き、エネルギー政策のありかたに声をあげていく必要があります。

(吉田明子)