パリ協定締約国会議(CMA1)開始!

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昨年採択されたパリ協定に批准した国々と、オブザーバーが集まる初めての会議が現地時間15日午前10時からマラケシュで開かれています。気温の上昇を1.5℃におさえる努力を記したパリ協定ですが、問題はその目標と各国の行動に大きな開きがあることで、このままでは目標を達成できません。
日本やEUはすでに2020年までの削減目標を満たしており、今すぐに削減目標を引き上げるべきです。
これまでは主に2020年以降のパリ協定の実施に関する議論や緩和に関する議論が中心でした。
しかし気候変動の影響はすでに途上国や貧困層に著しく大きく、2020年までの行動を待ってはいられません。

今週の閣僚級会合では、とくに先進国に対して
– 2018年に行われる促進的対話では、緩和策だけでなく、適応や資金についての議論も含めること
– 削減目標を引き上げ、フェアシェア(公平な負担)をおうこと。
– 途上国に対して、とくに気候変動の影響に対して脆弱な国への支援の強化を行う事
を求めていかなくてはいけません。

以下はFoE Internationalによる声明です。(原文下記)

FoEインターナショナルによるプレスリリース
「第一回パリ協定締約国会議が直面する課題」
2016.11.15

本日11月15日、パリ協定締約国会議の正式な会合が開かれ、協定を批准した国々が初めて一堂に会します。

最近発表されたUNEP(国連環境計画)の「エミッションギャップレポート」[1]によると、世界はパリ協定に記されている1.5℃目標のための軌道に乗っていないと結論付けました。更なる過酷な気候変動の影響、殺人的な洪水、干ばつ、海面上昇などを防ぐため、気候の科学は、今すぐに温室効果ガスの排出量削減が必要であると示しています。

「2016年が観測史上最も平均気温が高かった年と確定した今、気温上昇を1.5に抑え、壊滅的な気候変動を防ぐため、何千万人もの人々の願いがパリ協定に託された。しかし、本当のアクションは今すぐスタートしなくてはいけない。2020年まで行動するのを待つことはできない。今すぐの行動がなければ、パリ協定発効のお祝いはむなしく響くだろう。我々は温暖化をおさえるために、すべての国に、フェアシェア(公平な負担)を果たすよう求めなくてはいけない。裕福な国は、2020年までの弱い削減目標を引き上げ、気候変動の影響に対応しなくてはいけない貧しい国々を助けるという義務を過小にせず、そして多くの人が尊厳ある暮らしへの権利を奪われているひどい格差社会の是正に取り組まなくては行けない。EUや日本等のいくつかの裕福な国は、すでに(2020年)目標を達成しており、行動の強化で真のリーダーシップを発揮すべきだ。また、化石燃料への執着を出来る限りすぐさまやめ、すでに進んでいる再生可能エネルギーによるエネルギー革命を加速させるサポートをすべきだ」
ーアサド・レーマン、FoEインターナショナル

また、ドナルド・トランプ氏のアメリカ大統領当選は、気候変動対策に乗り出そうとしている世界の国々にとって課題となるでしょう。

「気候変動はアメリカが行動するのを待ってはくれない。アメリカだけでなく世界の国々が行動を起こす事も待たず、気候変動は進行していく。だからこそ、世界は前に進み、弱いパリ協定を強化していく事で、大統領にえらばれたドナルド・トランプに対応していくべきだ。トランプの当選は、アメリカを気候変動対策における世界ののけ者として扱う事で、世界が団結する契機となるべきであり、行動できなかったことへの言い訳にしてはいけない。過去にもアメリカは国連の気候変動対策の外にいた。他の国は、気候変動対策がうまく進んでいくようにしなくてはいけないし、その間我々もアメリカに変革をもたらせるよう働きかけていく」
ーベン・シュリバー、気候変動・エネルギープログラムディレクター、FoE US

FoEインターナショナルは、世界の政府は、今週の閣僚級会合を使い、パリ協定のすべての分野、削減、資金、技術移転、適応などについて、どのようにパリ協定の約束を満たすのか、2018年への明確な計画を打ち立てるよう求めます。パリ協定を新たに解釈したり、弱体化させるようなことがあってはなりません。むしろ2020年までの行動を、CSO公平性レポート[2]に示されるような公平性と気候の科学に基づいて緊急に底上げすべきです。

FoE International, Press Release (2016.11.15 9:00 Marrakech time)
OPENING MEETING OF PARIS AGREEMENT FACES TOUGH CHALLENGES

Today, 15 November, will mark the formal opening of the Paris Agreement, the first time that all the parties that ratified the agreement will come together.

The recently-released UNEP Emissions Gap report [1] concludes that the world is not on track to meet the 1.5ºC stated goal of the Paris Agreement. To prevent even more severe climate impacts – killer floods, droughts and sea level rise – the climate science demands that emissions reductions must take place right away.

“As 2016 is confirmed as the hottest year on record, the hopes of millions of people are invested in the promise of the Paris Agreement to limit temperatures to well below 1.5ºC warming and prevent catastrophic climate disaster. But the real work must start now. No one can wait till 2020 to act, otherwise their own celebrations about Paris will ring hollow. We must push all countries to do their fair share of effort to limit warming. Rich countries must increase their weak targets in the crucial pre-2020 period and stop shirking their obligations to help poorer countries deal with climate impacts, grow cleanly and tackle the gross inequality that denies so many the right to a dignified life. Some rich countries, such as the EU and Japan, who have already met their weak targets must show real leadership by committing to increase action, ending their addiction to fossil fuels as quickly as possible and supporting the acceleration of the renewable energy revolution that is already underway,” says Asad Rehman, Friends of the Earth International.

The election of Donald Trump as US President is a challenge to the rest of the world to step up on climate change.

“Climate change is not going to wait for US action and neither should the rest of the world. That’s why the world should respond to Donald Trump’s Presidency by moving forward and strengthening the weak Paris Agreement pledges. Trump’s election must unify the world in treating the US as a climate pariah, not serve as an excuse for inaction. The US has been outside the UN climate process before and other countries must ensure that good progress continues to be made while we work to create change back home”, says Ben Schreiber, Climate and Energy Program Director of Friends of the Earth US.

Friends of the Earth International calls on governments to use this week’s High Level gathering to deliver a concrete plan for 2018 that includes how all parts of the Agreement are being met – the emissions cuts, the finance, technology transfers and the adaptation measures. They must not try to re-interpret or undermine the agreement signed in Paris. They must urgently ramp up pre-2020 action in line with fairness and climate science, as shown in the CSO Equity Review 2016 [2].

1. http://web.unep.org/emissionsgap/
2. http://civilsocietyreview.org/wp-content/uploads/2016/11/Setting-the-Path-Toward-1.5C.pdf

COP22マラケシュ会議が人々と地球のためにすべきこと

COP22マラケシュ会議が人々と地球のためにすべきこと
FoEインターナショナルによるプレスリリース
2016年11月14日 (注:原文下記)

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FoEインターナショナルは、COP22マラケシュ会議第二週目に際し、世界のリーダー達がマラケシュ会議において、人々と地球の為に明確なアクションを行うよう声明を発表しました。

昨日、FoEインターナショナルは、モロッコ国内や世界各国の市民とともに、マラケシュの街を行進しました。私たちは影響を受ける人々、モロッコで汚染や弾圧に苦しむイミデール(注:銀鉱山開発の影響を受けるコミュニティー)やサフィ(注:石炭火力発電所立地)の人々、ニジェールデルタや、先住民族の水源を守るためにたたかっているスタンディングロックの人々への連帯を示します。

今週、COP22の会場に世界の首脳や大臣らがパリ合意を記念して訪れ、また閣僚級会合が開かれます。
FoEマレーシア/サードワールドネットワークのミーナ・ラーマンは、「COP22の第一週目は、先進国は、去年パリで合意された事に対して敬意をはらっていなかった。先進国はパリ協定の緩和中心の結果ばかり強調し、適応や資金といった課題を優先課題だと見なしていない」と指摘。また「資金とともに重要な2020年前の温室効果ガス削減のためのアクションの緊急性を無視している」と話しました。

FoEインターナショナルのアサド・レーマンは「特に先進国の2020年までの温室効果ガスの削減の取り組み強化が強く必要とされている。途上国の低い排出目標は、3.5℃上昇を引き起こすだろう。これはとくにアフリカや島国に対して死の落とし穴である。我々は、閣僚級会合において、気候資金の大きなギャップを埋めるよう求める。資金は途上国のエネルギー革命にとって重要だからだ」と述べました。

FoEアフリカのクワミ・クポンデゾは「マラケシュは、エネルギーのCOP、アクションのCOPだ。マラケシュ会議のアフリカへのレガシーは、この大陸におけるエネルギー改革の火付け役である必要がある。非常にショッキングなデータがある。世界で12億人がエネルギーへのアクセスなく暮らしている。その半分の6億人はここ、アフリカで暮らしている。」と指摘。また「アフリカ主導のアフリカ再生可能エネルギーイニシアチブ(AREI)のような取り組みは期待できるし、汚くて被害をうむエネルギーではなく、コミュニティがコントロールする再生可能エネルギーがこの大陸と世界の将来であるべきだ。」

FRIENDS OF THE EARTH INTERNATIONAL

PRESS RELEASE

FOR IMMEDIATE USE: 14 NOVEMBER 2016

What Marrakech Must Deliver For People And The Planet

As we go into the second week of COP22, Friends of the Earth International asserts that Marrakech must deliver concrete actions for the sake of people and the planet.

Yesterday, Friends of the Earth International marched on the streets of Marrakech, with people from Morocco and all over the world. We stand in solidarity with impacted peoples, from the communities of Imider and Safi facing pollution and repression here in Morocco, to those in the Niger Delta and indigenous water defenders at Standing Rock.

This week, at the COP22, world leaders and Ministers will arrive to mark the Paris Agreement and a series of High Level Ministerials will be held.

“The first week of COP22 saw developed countries not honouring what they agreed to in Paris last year, says Meena Raman of Friends of the Earth Malaysia and Third World Network. “We saw developed countries trying to push mitigation-centric outcomes under the Paris Agreement and not even recognising adaptation or finance with high priority”, she added. “They are also ignoring the urgent need of pre-2020 action on emissions reductions as well as finance.”

“There is a critical need to ramp up pre-2020 emissions reductions especially by developed countries, whose low Paris pledges will lead us to a 3.5°C world which is a death trap for Africa and island nations among others, said Asad Rehman from Friends of the Earth International. “We also demand that the High Level Ministerial address the huge climate finance gap because finance needs to be the key to energy transformation in developing countries, he added.

“Marrakech is an energy COP, an action COP. Marrakech’s legacy for Africa must be that it sparks the energy transformation in this continent, said Kwami Kpondzo of Friends of the Earth Africa. “The numbers are shocking. Out of the 1.2 billion people in the world without access to electricity, half of them, 620 million people live right here in Africa, he added. “Initiatives like the African-led African Renewable Energy Initiative (AREI) are promising, and socially-controlled renewable energy must be the future of this continent and of the world, not dirty and harmful energy, he added.”

COP 会議場の様子

今回は、マラケシュの会議場の様子について報告したいと思います。

アフリカ大陸の北の端っこにあるモロッコ。アフリカと聞くと山岳でないところは暑いイメージや砂漠のイメージがありますが、11月のモロッコは寒いです。とくに朝と夕方は寒く、私はダウンジャケットを日中も着ています。

COPの会場は、マラケシュの空港にほど近いところにあり、街の中心も近いので交通の便は良いのですが、空港が近いのが災いして、飛行機の飛行音が会議場に鳴り響きます。それもかなりうるさいです。

会場からはアトラス山脈が見えます。雪がかかっていて、とても綺麗です。

会場は仮設建設の建物が建ち並んでおり、全体会合(Plenary)を行う大きな建物が二つ、レストランエリア、各国の代表が控え室をもったりパビリオンをもったりするスペース、サイドイベントやNGO、国際機関、ビジネスセクターがブースを出すスペース、お祈りをするスペース、インフォメーションデスクなどがあります。これらはすべて、バッヂを持っていないと入れないブルーゾーンの内容で、バッヂがなくても入れるグリーンゾーンはブルーゾーンの外にあります。

会場の中では、アクションも行われます。アクションを行う際には申請書を提出し、ルールに則って行う必要があります。

私たちNGOは会場の中で何をしているかというと、いくつかの活動があります。
まずは交渉をチェックすることです。いくつかの会議はクローズドでおこなわれますが、様々な会議がオブザーバーにも開かれています。議論を追い、各国がどのような提案をしているのか確かめます。

会議傍聴で得た情報をもとに、情報発信、ロビーなどを行います。いくつかのNGOが毎日通信を発信し、気候変動交渉を妨げるような発言をした国や、市民社会の意見も反映してもらえるように働きかけます。働きかけの方法は様々で、直接交渉官と話す事もあります。

また、会場ではサイドイベントが行われており、多くはNGOや研究機関によるイベントです。
ブース出展をしている団体もあります。

また記者会見も行います。たとえば、交渉の内容について記者にブリーフィングをしたり、市民社会側の見方を伝えたりします。アメリカ大統領選の翌日は多くの団体が、市民社会から見た大統領選のパリ協定への影響をテーマに記者会見を行っていました。

そしてアクションです。先に紹介したように、中でアクションを行い、市民の声をアクションを通じて伝えます。会議に特に目立った動きがないと、記者の人も注目して記事を書いたりしてくれます。

ざっくりと現場の様子をお伝えしました。

(ふかくさ)

ベトナム原発計画のゆくえ…「多くの国会議員が原発中止に賛成」

ベトナムが原発事業を白紙撤回する方針であることが報じられています。科学技術環境委員会の副委員長は、原発発電の単価が上昇していること、核廃棄物の解決、事故、債務問題などをあげ、「いまの時点でやめると判断するほうが、さらに投資を続けてからやめるよりもよい」と発言しています。ベトナム電力公社の社長すら「原発は経済面で競争力なし」と発言したそうです。VNEXPRESSが報じました。翻訳者の方のご厚意で転載させていただきます。

関連記事「ベトナム 原発計画を撤回!?-オールジャパンの売り込み攻勢の影で、翻弄される村人たちは」

多くの国会議員が原発計画中止に賛成

VnExpress logo VNEXPRESS 2016年11月10日(木) 11:18 GMT+7
科学技術環境委員会副主任は、現時点での原発計画中止の検討を「時機を得た必要なこと」と評した。
国会はニントゥアン原発計画を見直すことに。
ベトナム電力公社社長:「原発は経済面で競争力なし」

11月10日午後、国会は商工大臣チャン・トゥアン・アインとの特別会合を持ち、大臣はニントゥアン原発建設計画の中止に関する議案の説明を行った。それに続き、科学技術環境委員会主任ファン・スアン・ズンが、上述の議決草案の審査報告を行った。
国会の廊下でのマスコミ取材に対し、レ・ホン・ティン氏(科学技術環境委員会副主任)は、現時点での原発計画の見直しを「時機を得た必要なこと」と評した。

科学技術環境委員会副主任、レ・ホン・ティン氏。撮影:ヴォー・ハイ
ティン氏によると、原発計画の実現可能性は、現時点ですでにない。というのも、以前の建設計画では発電単価が約4.9セント/kWhとなっていたが、今ではこれが8セント/kWhにまで上昇している。計画の展開が遅れると資金も追加する必要がある。さらに重要なことに、計画を展開した後に出る核廃棄物の解決は議論が必要だ。特に、最近の環境事故の後ではその必要が高まっている。
わが国の債権はすでに許容範囲ぎりぎりに迫っている。さらに大きな計画に投資を続けるとなると、危険はさらに増す。この時点で中止することが、さらに展開を続けてからやめるよりもすぐれている。」 ティン氏はこのように見解を述べた。
計画準備のために派遣して養成した人材については、ティン氏は、高度人材はいつでも必要であるとする。「当面は発電総合会社や稼働中の発電所でこの人材を使用することができるだろうし、カネの無駄にはならない。」 ティン氏は、原発を始めようとして準備ができたところで中止した国々は南アフリカをはじめとして多いと言う。あるいは、ドイツのように、安全と使用済み核燃料の問題のため、多くの原発計画を撤回した国もあるとする。

ニントゥアン省副書記長グエン・バック・ヴィエット。撮影: Q.H
ニントゥアン省副書記長グエン・バック・ヴィエットは、もしも国会が原発計画の中止を議決するなら、ベトナム電力公社はすでに別の計画の実施を予定していて、それらは太陽光や風力発電の計画かもしれないと言う。省からはすでに中央に提案を出し、原発建設予定であった土地が「非常に美しい」ことを利用したいくつかの計画を考えている。そして、天災を避けるために新たな場所に定住した人々が、よりよい条件で暮らせるようにと考えている。

ヴィエット氏によると、原発計画の準備のため、国会と政府はすでにニントゥアン海岸道路に投資を決定している。さらにタンミー貯水池(貯水量2億立方メートル以上)の建設再開も決定した。「もし原発計画をやらないのなら、これらの計画がニントゥアンの発展につながるだろう。」とヴィエット氏は述べた。

原発技術を学びに派遣された留学生については、ヴィエット氏は、「彼らは勉学を終えれば、ベトナム電力公社の発電所、計画立案、プロジェクト管理などの職に配置する。学生らは安心して勉学を続ければよいのであって、先の心配はない。」

10月14日に閉会した党第12期中央委員会第4回総会において、中央委員会事務局はニントゥアン省の各原発の建設計画展開の実施方針にかかる問題に関し、技術面および全面での見直しを行った。政治部が国会党団に提出した意見書と完全に意見が一致し、政府の党職員が報告書を完成させ、国会がこれを検討して決定を行う手順になっている。

2009年11月25日に、382票の議員の賛成を得て(全議員の77.48%に相当)、国会はニントゥアン原発建設計画を議決した。計画では原発は2ヶ所、1ヶ所につき2基の原子炉が予定されていた。ニントゥアン第一原発はトゥアンナム県フォックジン郡に、ニントゥアン第二原発はニンハイ県ヴィンハイ郡に、それぞれ2,000MWの容量で建設が決まっていた。            ホアイ・トゥー、ヴォー・ハイ

Reference:
http://vnexpress.net/tin-tuc/thoi-su/nhieu-dai-bieu-quoc-hoi-ung-ho-dung-du-an-dien-hat-nhan-3496951.html
(10/11/2016)

▼ニントゥアン第二原発の看板 (c)FoE Japan

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▼建設予定地の風景と人々のくらし (c)FoE Japan

 

ベトナム 原発計画を撤回!?-オールジャパンの売り込み攻勢の影で

ベトナムにおけるニントゥアン原発建設計画の白紙撤回の方針が報道されています。今日から国会で審議されるとのこと(注1)。
FoE Japanは、2011年からベトナムに建設される原発について問題提起を行ってきました。その一環として、先月、ベトナムを訪問。福島原発事故の経験を伝えました。
オールジャパンが売り込み攻勢をかける中、ベトナムのリーダーたちは冷静で賢明な判断をしたと思います。一方、移転を迫られた現地の人たちは…。ブログ記事にまとめました。
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原発建設予定地のニントゥアン省タイアン村に建てられた看板は、年月を経て、はげかかっている…

共同通信の報道によれば、ベトナム政府は、日本などの受注が決まっていたニントゥアンの原発建設計画を白紙撤回すると明らかにしたそうです。今日、国会に上程され、決定されるとのこと(注1)。
理由としては、財政難であることが挙げられていますが、原発のリスクについても言及されていました。

実は、先月、国会議員などが参加する原発に関する国際ワークショップに招へいされ、ベトナムに行き、福島原発事故の被害について報告させていただきました。

多くの人たちがふるさとを失ったこと、「原発さえなければ」と書き残して自殺した酪農家、除染・賠償・廃炉の費用がどんどん膨れ上がり、13兆円を超えたこと、東電は払いきれず、納税者や次世代が払うことになることなどを写真をまじえて報告させてもらいました。

終了後、ワークショップの議長を務めた国会議員が、「報道されていない福島の痛ましい状況がよくわかった」と話しかけ、握手をしてくれました。

ニントゥアン省の原発予定地は、ハノイから飛行機で3時間、車で1時間ほどの静かで平和な村。美しい豊かな海とふしぎな形の石と乾燥地の特異な生態系に囲まれており、人々は農業と漁業、家畜などで生計をたてています。

近くには美しい海を活かした観光拠点も多い、本当に本当に美しい土地です。

事業により移転しなければならないとされたタイアン村の人たちは、「国家事業だからしかたない」といいますが、「せっかく耕した農地やいまの暮らしを失いたくない」「本当は移転したくない」というのが本音なのです。

しかし、中には、「宙ぶらりんの状況はもういやだ。将来設計もできない。移転をするのかしないのか、はっきりさせてほしい」という人もいました。もう10年も、原発建設の話があるそうです。

新たに入ってくる原発事業により、雇用の増大に期待を示す人もけっこうたくさんいるという調査もあります。しかし、原発のリスクについてはもちろん説明なし。

翻弄されるのはいつも地元の人たちなのです。

それでも、私自身は、ベトナムのリーダーたちの慎重で冷静な判断を歓迎したいと思います。

日本は、経済産業省の補助金(「低炭素発電産業国際展開調査事業」)や委託事業で、28億円を原電に流し込み、F/S(実施可能性調査)を実施しています。その中には、復興予算の流用も含まれていました。さらにそれ以前には、東電が、経産省の補助金をつかってカーボンオフセット・クレジットの可能性調査をしていました。
ニントゥアン原発は、日本側が官民で売り込み、税金を使い、トップセールスを繰り返し、おそらくこうした巨大事業によって利権をえる人たちにくいこんで、かちとったものなのです。

原発はある意味、抜け出せない麻薬のようなものです。一度、巨大な利権が形成されると、にっちもさっちもいかなくなるのは、日本の例をみても想像できます。
地方分散型のエネルギー供給の仕組みも阻害されてしまいます。
そんな、「シャブ漬けエネルギー・システム」を、相手の国に売り込む。そしてその過程で多くの税金が使われた、という意味では、私たちにも責任があるのです。

ちなみに、ベトナムへの原発輸出は、日本側が政府系資金を貸し付けることが前提となっていました。しかし、ベトナムの対外債務問題も深刻です。ベトナムにとって日本は長年、最大のODA供与国。その大部分は「円借款」。ただし、ODAは原発には直接は使えません。送電線や周辺のインフラ整備、揚水発電などには、使われる可能性は大いにあります。
現にJICAはニントゥアン省における揚水発電事業に対して、協力準備調査を実施中です。もちろん、私たちの税金を使って。
ODA以外の公的資金の貸し付けも半端ではないでしょう。このままニントゥアン原発建設が進んでいけば、さらに巨額の債務が上乗せされたでしょう。

報道によれば、今日以降、国会でニントゥアン原発事業について審議されるそうです。情勢を見守りたいと思います。

関連記事>ベトナム・原発からの「勇気ある撤退」の理由とは

(満田夏花)

注1)日本受注のベトナム原発計画白紙 財政難理由、政権輸出戦略に打撃
(共同通信 2016年11月9日)
http://this.kiji.is/168978958645937661

気候資金無くしてパリ協定の目標達成はあり得ない

 昨年までの国際交渉は2020年以降の国際枠組合意が最大の焦点でした。記録的なスピードで発効した協定ですが、その実施は2020年から。途上国が提出した国別削減目標(NDC)を実施するためには、70余国分の実施だけでも2020-2030年で4兆ドルかかるという最近の試算もあります。今のままで2020年から途上国がNDCを実施できるわけではなく、これから数年の間に大幅な能力強化育成(キャパシティビルディング)が必要です。また1.5℃目標を達成するには2020年以降の行動では遅過ぎ、7年前に各国が提出した2020年目標の強化を行い、2020年までの行動の強化が必要です。これが今回のマラケシュ会議が実施のCOPとも呼ばれれる理由です。

 先進国の技術と資金の支援により、今後数年にわたり途上国の能力と貢献を担保し更に強化することは、パリ協定が最終的に目標を達成できるかどうかを決定的に左右します。マラケシュ会議ではこの気候資金がパリ協定暫定作業部会(APA)の進捗と併せ最大の焦点になります。

 国連気候変動枠組条約下に設けられた資金常設委員会が、会議初日の特別イベントで第二回目の気候資金の全貌を評価した隔年評価を発表して口火を切りました。第2週目半ばには閣僚級の気候資金の対話が予定されています。

 国連気候変動枠組条約第4条では、先進国が途上国に対し資金面の支援を新規かつ追加的に行うものとしており、パリ協定第9条でこの義務は引き継がれています。先進国はコペンハーゲンでのCOP15で、2020年までに途上国への気候資金拠出を年間1000億ドルに引き上げると約束し、パリでの決定で2025年までにこれを上回る次の資金レベルに合意することになっています。
 
 気候資金の論点の一つが資金ロードマップです。2020年時点の支援額を示すだけでは途上国政府はこれから数年の国内計画の立てようがなく、このため昨年のパリ会議で先進国がこの1000億ドルをどうやって達成するのかを示すことがCOP決定に盛り込まれました。これを受け、イギリスとオーストラリアがとりまとめ役となり、先進国は今年10月に経済協力開発機構(OECD)を通じて1000億ドルに向けたロードマップを示しました。途上国のニーズに応えるべく先進国がロードマップを示したことは大きく評価できますが、一方でその中身を見ると、まだ求められるニーズに十分応えたとは言い難い面も多くあります。

 OECDのロードマップによると、2014年時点で気候資金はすでに年620億ドルのレベルになり、1000億ドル達成は可能としています。ですが既存の開発支援(ODA)案件を多く含んでおり、個別の案件をなぜ気候支援と判定したのかの基準が明確にされていません。海外への企業進出を助ける輸出信用や商業ベースでの融資が含まれているとみられますが、その根拠となるデータも公開されていません。正式な条約下の資金常設委員会の隔年評価では、先進国の公的支援は410億ドルにとどまっており、試算に大きなギャップがあります。気候変動対策と開発支援は必ずしも同じではありません。貧困撲滅や生活水準向上のための途上国向けの開発資金を、先進国が歴史的責任を負う気候変動対策に振り向けるのは許されるべきではありません。日本の開発プログラムにはむしろコミュニティを破壊したり人権侵害が発生したりと、環境・社会影響の面で、悪影響がみられるものもあります。

 この背景には、「気候資金」の国際的に合意された定義がないことが根本にあります。協定下の報告基準設定の交渉が、その定義につながることが望まれます。

 気候変動の影響への適応対策は企業収益につながらない事業がほとんどです。このため公的資金の支援が不可欠ですが、OECDロードマップでは1000億ドルのうち適応分は5分の1にとどまる点も問題です。また気候変動の被害はすでに世界中で発生しており、緩和の遅れにより将来巨額になる損失と被害への対策資金が評価されていないことも今回の論点です。気候資金は第2週の閣僚級COPで取り上げられ、最終日まで続く困難な交渉となるでしょう。

 日本は先進国最大の気候支援国であり、今後とも気候支援のリーダーシップを示してもらいたいと思います。その点で今回、他の先進国が日本が国をあげて推進する高効率石炭火力をOECDロードマップから排除したことは、世界に遅れをとった協定批准と並び現政府の地球環境問題への意識の遅れを示すものに他ならなりません。気候資金に石炭火力を含めないことは先進国の間ではすでに常識です。

(小野寺ゆうり@マラケシュ)

COP22の注目点は…

COP22が始まりまりました。あわせて京都議定書の締約国会議であるCMPや補助機関会合、そしてパリ特別作業部会(APA)も始まりました。様々な会議が同時並行で行われています。

日本ではようやく衆参両議院でパリ協定批准案が通過し、8日中にも政府は国連宛に受諾書を提出予定で、これで晴れてパリ協定締約国となります。

会場では、政府間の全体会議やミーティングとは別に、NGOなどによるサイドイベントや記者会見も催されており、初日はCOPに期待する事などを中心にそれぞれのNGOがイベントを行っていました。

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FoE Internationalの記者会見の様子(Photo by Cara FoE Ireland)

京都議定書の後の枠組みを決めるという事で、大変注目されたパリ協定。異例の早さで発効に至りましたが、本当に大事なのはパリ協定の実施について話し合う今回のCOPだと言えます。

Climate Justice(気候正義)を求める団体や市民団体の声で大きいのはやはり2020年までの行動強化です。パリ協定は発効しましたが、協定は2020年以降について取り決めています。ですが、1.5度目標を達成するには、今すぐ行動が必要です。マラケシュ会議で2020年までの行動強化がどのように話し合われるのか(もしくは話し合われないのか)が注目されます。

一つの指標となるのが、2018年に行われる促進的対話(facilitative dialogue)です。削減目標の見直し等のためにおこなわれるとされていますが、詳細がきまっていません。5年ごとの取り組みの進捗をチェックする「グローバルストックテーク」についてもルールはこれから決まって行きます。

そんな中行われている取り組みとして注目されているのがAfrica Renewable Energy Initiative (AREI、アフリカ再生可能エネルギーイニシアティブ)です。この取り組みは2020年までにアフリカで10GW、2030年までに300GWの電力を再生可能エネルギーで供給する試みで、アフリカ自身によるイニシアチブとして注目されています。この取り組みにはLDC(Least developed countries、後発開発途上国)のグループも注目しておりAREIをモデルとしたLDC版の再エネイニシアチブの準備が進められています。

注目されるのが気候資金です。COP16カンクン会議で、2020年までに途上国による1000億米ドルの気候資金の拠出が約束されました。それについて、何を気候資金としてカウントするのか、どのように1000億ドル拠出するのか、そのロードマップについて注目されます。
1000億ドルの気候資金以外にも、様々な資金に関する話し合いがあります。資金に関してUNFCCCのもとでThe Standing Committee of Finance (SCF) が設置され、資金に関する2回目の隔年レポートが出されており、2016年度版が発表されました。

最後は気候変動の影響を受ける人々、損失と被害について。
気候変動による損失と被害については、パリ協定の中で独立した条項として設けられました。COP19から設置されたワルシャワ国際メカニズム(WIM)の中で、損失と被害については話されていますが、その非公式会合がモロッコでも行われています。こちらの行方も注目されます。

その他にも沢山論点がありますが、おって報告したいと思います。

(ふかくさ)

日インド原子力協定にNO!

Amirtharaj Stephen (0)

Coast guard aero plane was flown too low over the protesting villagers who ventured into the sea as a part of their Jal Sathyagraha. (C) Amir Stephen

複数の報道によると、インドのモディ首相が来日中の11月に日本とインドが原子力協定に署名するのではと言われています。

FoE Japanはかねてより原発輸出に反対していますが、特にNPT(核不拡散条約)に加盟せず核実験も行っているインドとの協定締結は日本の核不拡散の姿勢とまったく矛盾し、核拡散のリスクを拡大させることから反対してきました。

今回は日インド原子力協定の問題点を改めて整理したいと思います。

【背景】
1975年、インドがカナダによる民生協力をもとに核実験を行った事からNSG(原子力供給国グループ)が設立され、NPTに加盟していない/IAEAの査察を受け入れない国との原子力貿易を制限(但し拘束力は無い)しました。これにより長らくインドは世界の核市場の外にありました。しかし、アメリカを含む様々な国がインドとの「例外的」な原子力協定を結びだし、日本も締結交渉を開始。

これには、広島・長崎市長をはじめ、多くの反対の声にもかかわらず昨年、覚書が取り交わされ、日インド共同声明の中で“両首脳は,日印民生用原子力協力協定に関し,両国政府間で合意に達したことを歓迎し,必要な国内手続に関するものを含む技術的な詳細が完成した後に署名されることを確認した”と記されました。

安倍総理は2016年1月7日の参議院本会議において
(以下要約)日印協定は、インドが核の平和利用に責任ある行動をとらせるものであり、実質的に核無き世界に向けた日本の姿勢に合致する。仮にインドが核実験を行った場合、日本からの協力は停止する。核実験モラトリアムが協定の前提になる事は、インド側も認識しており、そのうえで原則合意に至った。米仏がインドと締結したもの以上の協定を目指す。

と発言していますが、NPTやCTBTには触れていません。

【焦点】
協定締結交渉の焦点は
ーインドに日本が輸出した原発から発生する使用済み燃料の再処理を認めるかどうか
ーインドが核実験を行った場合に日本が原子力協力を停止する事を明記できるかどうか
と言われています。

しかし、日本はこれまで‘NPT’を中心とした不拡散レジームの維持を主張してきました。
日本政府側の言い訳としては
「インドはほかの非NPT国と違う…核実験をおこなうようなことがあれば、日本からの協力は停止」(12月14日内外情勢調査会)

としていますが、核実験をさせない枠組みや方法が明確でなく、またNPTに入らずとも原子力協定を結べるのなら、むしろNPT加盟へのインセンティブを損ないます。
また日印原子力協定によってインドが不拡散体制に組み込まれるとしていますが、どのように民生利用が転用されていないと確かめるのか、そのことをどのように担保するのかがまったく不明です。

その他、インドの原発事情や原発輸出が抱える問題点はこちらにまとめてありますのでご覧ください。
くわしくはこちら→
ファクトシート

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廃炉費用や事故処理費用― 拙速な議論による「託送料金」転嫁は電力システム改革の理念に反する

2016年9月、「原発の廃炉費用を新電力にも負担させる方向」とのニュースが、私たちを驚かせました。9月下旬の報道では、東電福島第一原発事故の廃炉・賠償費用と、既存の原発の廃炉費用と、あわせて8.3兆円にものぼる、とも伝えられました。

その後、9月27日より、経済産業省で「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」と「東電1F問題委員会」が設置され、議論が進むにつれ、話が具体的に見えてきつつあります。
1)福島第一原発事故の廃炉費用、賠償費用の件
(東京電力改革・1F問題委員会で議論)
2)廃炉会計制度と、解体引当金制度
(電力システム改革貫徹のための政策小委員会で議論)
と2つの議論があります。

これらを、「託送料金」のしくみなどを利用して回収できるようにしようという方向です。
その理由づけとして、
3)原発の電気を卸売り市場に流し、使いやすくする「市場整備」=ベースロード電源市場、非化石価値取引市場の創設など
(電力システム改革貫徹のための政策小委員会ー市場整備WGで議論)
の議論があり、
原発の電気を皆で使うのであれば、託送料金での回収は適当、という方向です。

 

「両WGにおける議論の関係性」
(総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 電力システム改革貫徹のための政策小委員会(第2回)資料5より)

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1)福島第一原発事故の廃炉・事故収束費用と賠償費用について
賠償費用もすでに5兆円の見通しから、除染・中間貯蔵の費用も含めて9兆円、それ以上にもっと大きく膨らむことが予想されています。
加えて、廃炉・汚染水対策の費用が2.2兆円もしくはそれ以上です。

・東電1F問題委員会資料:(10月25日 第2回会合開催)
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment.html

廃炉費用については、東京電力に責任を負わせる方向で議論されていますが、
巨額の費用の一部は、東京電力パワーグリッドの経営合理化によりまかなう案や、
託送料金への転嫁も提案されています。

また、原子力損害賠償支援機構への原子力事業者の支払い(一般負担金)についても、
「機構が発足する2011年以前にも、本来は積み立てるべきだった」
「過去に安価な電気をつかっていたが、事故賠償費用の積み立てがはいっていなかった」
として、「遡って負担を求めることが適当」と、事務局資料で提案されています。
今後も、「万が一」事故が起こった場合には・・・その賠償・収束費用の一部は託送料金で回収されるのでしょうか。

・電力システム改革貫徹のための政策小委員会 財務会計ワーキンググループ
11月16日開催の第4回会合資料
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/denryoku_system_kaikaku/zaimu/004_haifu.html

2)廃炉会計制度と、解体引当金制度について
これまで、原発の廃炉解体費用は、地域大手電力会社(旧一般電気事業者)が「解体引当金」として50年間で積み立てることになっていました。(今回の議論で40年に短縮する方向)
廃炉を決定した際に、規制料金の解体引当金の積み立ての一定額に達しないことで無理に延長することがないような制度が導入されていました。
・廃炉決定後にも、資産として計上し、減価償却をできるように(2013年の廃炉会計制度導入)
・その費用回収について、小売規制料金原価に算入できるようになる。(2015年の改正)
今回の議論で、これを託送料金に乗せられるように、という方向です。

対象はすでに廃炉が決まっている原発(6基:美浜1・2、島根1、玄海1、伊方1、敦賀1)で、
今のところ議論は6基についてのみですが、
今後、他の原発の廃炉についても同様の措置がとられる・・・という方向で議論が進んでいます。

さらに、引当金の総見積額について、「現行の算定式が想定しない個別事象を反映して柔軟性を確保」、つまり、廃炉総費用の上振れの可能性が示されています。

・電力システム改革貫徹のための政策小委員会 財務会計ワーキンググループ
11月2日開催の第3回会合資料
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/denryoku_system_kaikaku/zaimu/004_haifu.html

——
1)と2)の議論に共通して、
この「託送料金の仕組みを利用して費用回収」は、はたして適切なのでしょうか。
「新電力にも費用負担」「国民負担」と報道されていますが、
原子力の関連費用だけ「託送料金」の仕組みに入れられることは、
「公平な競争」という電力システム改革の理念にも逆行します。

いずれにしても、今回の議論で、
・福島第一原発事故の収束・賠償の費用は、現在の予定より大幅に膨張すること
・既存の原発の廃炉費用も、上振れの可能性あり
について、対策しなければならなくなったことが明らかとなりました。

事故の責任があいまいなまま、また原子力政策の見直しを伴わない国民への負担転嫁は、新電力事業者や国民を説得できるものではありません。福島第一原発事故の賠償・被害最小化を最優先として、東京電力の責任を明らかにし、莫大な費用がかかることが明白となった原子力発電については、これまで利益を得てきた事業者が責任を持って安全な廃炉に向けた対策を取るべきです。
またその費用は、第一に経営改善、その次に電気料金で回収すべきです。
経済合理性を欠く原発を、維持を前提として国民負担で支えることは、電力自由化の理念にも反し受け入れられるものではありません。

新電力各社からも、反対の声が上がっています。
FoE Japanも参加するパワーシフト・キャンペーンでは、「託送料金」への転嫁について適切と考えるかどうか、新電力各社にアンケートを実施しています。(11月末~12月上旬に取りまとめ予定)
また、下記の声明に賛同を募っています。ぜひご参加いただければ幸いです。
(吉田 明子)

【声明: 「原発コスト安」は嘘だった
-国民への8.3兆円負担転嫁ではなく、原発政策の転換を】
http://power-shift.org/info/160921/

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(参考)
・毎日新聞(10月25日)
「自主廃炉費 新電力負担 老朽化進み拡大も 経産省方針」
http://mainichi.jp/articles/20161025/ddm/001/010/152

COP22マラケシュ会議が始まる! パリ協定発効後初のCOPのゆくえは…

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雨のマラケシュで、COP22マラケシュ会議が始まりました。
昨年12月、国際的な気候変動対策としてパリ協定が成立しました。すべての国が参加する、法的拘束力のある協定です。11月4日に発効条件を満たし発効しましたが、日本ではまだ国会承認されていません。パリ協定には危険な気候変動を止めるため、気温上昇を1.5度までにおさえることが明記されており、今や各国、多くの企業も気候変動の危険性や緊急性を認識し、行動を起こそうとしています。

パリ協定の1.5度目標を達成するためには、野心と実際の行動のギャップを埋める必要があります。各国が表明している削減目標を足しても、3.5度の温度上昇はさけられない状況と言われていますが、最新のUNEPのレポート(Emission Gap Report 2016)によると、今世紀末までに2.9から3.4℃の気温上昇が予測されています。
すでに途上国を中心に気候変動の被害は広がっており、日本も例外ではありません。気候変動を止めるためには、より具体的でフェアな行動を今すぐ起こす必要があります。

日本は残念ながらパリ協定の承認には至っていません。歴史的にエネルギーを大量消費し、今も化石燃料の開発・利用を続ける日本には気候変動に対し非常に大きな責任があります。化石燃料、大型ダム、原発などの、中央集権的、企業利益優先の”dirty energy”(汚いエネルギー)に頼った経済構造からの変革が求められています。日本は、歴史的・倫理的な責任を認識し、また過去の反省をふまえて、率先して行動をする必要があります。

マラケシュ会議では、パリ協定の実施運用のためのさらなるルール作りが進められていきます。
これから2週間、COPの現場から、世界の市民社会の動き、若者の動き、気候変動による損失と被害の枠組みや、気候変動により移住をせまられている人々(気候難民)、などについて報告したいと思います。

>日本の長期低炭素戦略へのFoE Japanの提言書はこちら
http://www.foejapan.org/climate/policy/161101.html

>FoE International のプレスリリースはこちら
http://www.foei.org/press/paris-agreement-cop22-marrakech

(スタッフ・深草)