米・カリフォルニアの森が、日本の発電のために燃やされる? 英・ドラックス社、カリフォルニア州の木質ペレット工場建設計画に参画。主要輸出予定先に日本。

米カリフォルニア州で進められる、米国最大の木質ペレット生産事業に英国エネルギー大手(バイオマス発電、木質ペレット生産・供給)ドラックス社が参画したことが分かりました。同事業は、非営利公益法人ゴールデンステート・ナチュラル・リソーシズ(GSNR)が、ゴールデントゥオルミ郡とラッセン郡に木質ペレット工場の建設を予定しているものです。アメリカにおける木質ペレット生産は、これまで南東部に集中しており、同地域から年間800万トンの木質ペレットが輸出されていましたが、本事業が実現すれば、カリフォルニアの森林から年間100万トンの木質ペレットが生産され、主に日本や韓国に輸出されると見られています。

同事業が計画する伐採エリアは、各工場の半径100マイル(160km)圏内で、8つの国有林が含まれることから生態系への影響が懸念されています。また、アメリカ国内の他の木質ペレット工場と同様に、騒音や粉じんによる住民の日常生活への影響が懸念されます。建設予定地のゴールデントゥオルミ郡とラッセン郡は貧困率が高く、社会的に弱い立場の人たちに公害が押し付けられる懸念があります。こうした懸念から、2023年6月には、米国内外の109団体が事業に反対する声明をGSNRに提出しています。私たちFoE Japanも署名しました。

GNSRは既にゴールデントゥオルミ郡とラッセン郡の建設予定地を購入済みですが、同事業はカリフォルニア州の環境品質法に基づく環境影響評価を終えておらず、今春が期限の環境影響報告書の提出が待たれています。環境影響評価が終わらない中で、GSNRとドラックス社は2024年2月に本事業における協業に合意をしました。ドラックス社は、北米に17の木質ペレット工場を有し、年間400万トンの木質ペレットを生産していますが、2030年までに生産能力を800万トンに増やす計画です。カナダでは同社の施業が原生林に与える影響が問題になっています。本事業におけるドラックス社の具体的な役割は明らかにされていませんが、世界有数のペレット生産会社であるドラックス社が参画したことによって、本事業にかねてより反対している地域住民や環境団体の懸念は高まるばかりです。


参考

関連情報

  • 米カリフォルニア州当局に木質ペレット工場新設事業に反対するコメントを提出、FoE Japan含む米国内外の109団体が署名 (2023.06.30)
    https://foejapan.org/issue/20230707/13412/