国連気候変動枠組条約・バンコク会議閉幕―パリ協定実施指針交渉の行方は

Stack of booksタイ・バンコクで9月4日から9日まで開かれていた、国連気候変動交渉。主にはパリ協定を実際に実施していくための詳細なルールを定める国際交渉で、実施指針自体は12月ポーランドでの第24回締約国会合(COP24)で採択が目されています。

COP前の最後の公式会合であるこの会議では、各国の様々な主張は削らずに様々な選択肢の整理を行い、COPで本格的な交渉に映るためのたたき台を用意することが主な作業でした。その結果、306ページにわたる非公式文書が会合の終わりに準備されました。京都議定書の実施指針に相当する2001年のマラケシュ合意は240ページ以上の文書でしたが、ベージ数の多さはさておき、非公式文書に含まれている分野ごとの進捗のばらつきが今後の課題となってきます。先進国の望む緩和行動に関する部分だけが今度のCOPで採択され、途上国支援などが置き去りにされる懸念があります。会議閉会時に、議長たちに10月15日までにこの非公式文書をさらに整理し、COPでの交渉のたたき台の用意を託す旨が合意され、バンコク会合が終わりました。

これまで2年半の実施指針の交渉での大きな対立点は、差異化の部分です。言い換えると、先進国の義務をどのように実指指針に反映させるかという点が争点でした。気候変動枠組条約の文言に比べると表現は弱められましたが「共通かつ差異ある責任」の条約の原則はパリ協定にも引き継がれ、歴史的な責任に鑑み、先進国は途上国の対策を資金・技術面で支援することになっています。
ほぼすべての国が提出している2030年もしくは2025年までの国別行動計画(NDC)の定義について、今回も排出削減行動のみをNDCの中身とする先進国が、支援についてもNDCに入れるべきとする途上国提案を拒絶して紛糾するひと幕もあり、この部分は両論併記する形にとどまり、ほぼ進展がありませんでした。各国のNDCの進捗の報告義務を定める「透明性枠組み」の交渉でもやはり二分論が出ていますが、そこは議論が分かれる部分を分けることで非公式文書の一定の整理が進みました。

歴史的責任と公平性の問題は、単に原則論とするのではすまされない重要性を持っています。現在各国が提出しているNDCを積み上げるだけだと、世紀末までに3℃以上の気温上昇を招くとされていますが、これは途上国のNDCがきちんと実施されることを前提としています。多くの国のNDCには、外からの支援なしに実施不可能な部分があり、先進国が途上国への支援義務を果たさなければ、気温上昇の予測は3℃をさらに上回るでしょう。実施方針に支援の義務とその実施の方法を書き込むことはとても重要なのです。しかし先進国、とりわけ協定撤退を表明したアメリカが率い、日本もメンバーである「アンブレラグループ」は、先進国の義務を明示的に指針に表記することに強硬に反対しています。この溝は実施指針の交渉開始時点から深く、COP二週目の閣僚級の交渉まで持ち越されるでしょう。

NDCや透明性の議論のほか、バンコクで引き続き対立点となったのは、パリ協定作業計画にふくまれる途上国支援、とりわけ資金支援の報告に関するものでした。先進国は事後報告だけでなく、2年ごとに今後の支援規模を国連に提出することが協定文にありますが(9.5条)、先進国は提出の仕方は任意に留めたく、また協定前に約束した年間1000億ドルの途上国への資金目標が終わる2020-2025年以降の次の資金目標の定め方の議論にも反対しています。途上国の間で広がる被害や自国のNDC実施の計画立案には海外からの公的資金の見通しの情報が不可欠であることが途上国の要求の背景にあります。ここでもスイスやアメリカといった先進国が共同歩調で途上国の要求を突っぱねている状況が続いています。

途上国支援の要として設けられた緑気候基金(GCF)の資金は年内にも底を尽きる見通しです。7月のGCFの理事会では、やはりアメリカが追加増資の議論をとめてしまいました。資金支援でのトランプ政権の強硬姿勢に屈さず、実施指針の内容をさらに弱めることにならないようにしなければなりません。

COP24の直前から期間中、気候資金の隔年閣僚級対話、資金委員会の包括的気候資金の隔年評価報告、2020年までの先進国義務進捗に関する議題など協定実施指針だけでなく、重要な途上国支援の議論が並行して行われることになります。先進国は気候資金を2020年までに年1000億ドルに引き上げる目標の進捗を示す独自の報告を用意しているとも言われ、資金問題はポーランドでの議論の台風の目となります。

一方で途上国支援に民間資金の活用が叫ばれています。しかし、同時に貧しい国民を支える公共サービスの市場開放を求められる途上国にはもろ刃の剣です。先の見通しが立てにくい民間投資、さらには先進国にとって実施指針の目玉の一つであり4月以降議論に弾みがついている途上国での事業で得た削減量を自国のNDCに編入できるグローバル炭素市場が来年以降始動すれば、外からの市場の動向の影響で、途上国が政府主体で国内の長期的なエネルギー開発政策を定めることをますます難しくします。

公平性・先進国の歴史的責任を、途上国支援の面で実施指針に反映させることは協定全体の効果を左右する重要なことです。しかし、FoEグループは実施指針がさらに弱められた抜け道だらけの内容となると危惧しています。今年のポーランドでのCOPは、COP参加者とくに市民団体の活動を制限するような立法措置が取られていますが、引き続き、日本を含む先進国の歴史的責任と義務、原発に頼らない急速な化石燃料からの脱却/脱石炭、食糧主権、コミュニティーの権利とエネルギー民主主義、企業支配からの民主的スペースの奪回などをテーマに、働きかけやメディアアクションなどを行なっていきます。

(文:小野寺ゆうり 編:深草亜悠美)

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国連気候変動会議 ー今すぐの脱石炭を、気候正義を

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国連気候変動交渉が行われているバンコクにおいて、市民社会によるアクションが開催されました。現在の気候変動による被害は、これまでに先進国が大量の化石エネルギーを利用し発展してきたことに要因がある一方、ほとんど温室効果ガスを排出していない途上国の貧しい人々が特に深刻な被害を受けているという不正義を是正するよう訴え、特に日本や韓国などのアジアの先進国に対して、インドネシアやベトナムに依然石炭火力発電所を輸出していることを批判が繰り広げられました。

パリ協定の目標を達成し、気候変動の影響を特に受けやすい人々を守っていくためには、日本は劇的な温室効果ガス排出の削減、パリ協定に矛盾せず人権を尊重した途上国支援、適応に対する支援や、すでに生じている気候変動被害に対応する支援などが必要です。しかし、2016年以降、日本は少なくとも海外において7つの石炭火力発電事業への支援を決めています。

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そのうちの一つはインドネシア・チレボン石炭火力発電所事業です。日本の国際協力銀行が融資を行っています。このプロジェクトは、深刻な人権侵害や生計手段の喪失などが起きています(詳しくはこちら)。

FoE Japanも参加する国際的な気候正義の「Demand Climate Justice」ネットワークでは、各国政府に対し、8つのことを求めています。

1. 100パーセント再生可能エネルギーへのコミットメント(先進国は2030年までに、途上国は2050年までに)
2. 民主的で持続可能なエネルギーを達成するために必要な資金
3. 新規石炭プロジェクトへの国際的なモラトリアム
4. フラッキングの禁止と、新規化石燃料探査・採掘の禁止
5. 大規模で危険なエネルギープロジェクトの中止
6. 化石燃料への補助金の停止(先進国は2020年までに)
7. 大規模バイオマスや巨大ダムから公的資金の撤退
8. 国際気候変動交渉における利益相反ポリシーの制定

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日本は国外への石炭火力輸出だけでなく、国内でも石炭火力発電所の拡大を続けていますが、これはパリ協定やそれを受けて脱炭素化を目指す世界の潮流に逆行しています。
日本は今すぐ石炭火力発電や原発などの環境汚染を生み、人権や生命を脅かすプロジェクトへの支援をやめ、再エネや人々を中心とした支援に切り替えて行くべきです。

(深草亜悠美)

パリ協定実施指針採択に向けて—クライメートジャスティス(Climate Justice)への道のり

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今日9月4日から9日までタイ・バンコクにて、12月に開かれる気候変動枠組条約締約国会合(COP24/ポーランド開催)で採択される予定のパリ協定の実施指針(ルールブックまたはPAWP)を交渉するための追加会合が開催されています。COP24前最後となる公式の政府間交渉で、交渉のたたき台となる決定文書案を準備することが望まれています。パリ協定は世界の気候変動対策の枠組みであり、その効果的な実施が世界の将来を左右するため、COP24での実施指針採択はパリ協定が採択されたCOP21パリ会議以来、最も重要な会議と見られています。

これまでにすでに世界平均で1℃前後の気温上昇が記録され、日本だけではなく、世界各地で記録的な猛暑を記録し、集中豪雨などが発生しています。記録的な飢饉、水不足、農業生産の減少・食糧危機、洪水や海面上昇による避難民(気候難民)がアフリカ、南アジアや中南米の各地で増加しています。それにより多数の犠牲者が出ています。
特に、近年被害が急速に拡大している途上国の市民はCOP24を強い関心を持って見守っています。インフラが脆弱で、十分な資金のない途上国にとって、追加的な資金支援や技術支援、公平性を反映した実施指針の策定が重要です。COP24の開催国であるポーランドが、COP24に参加予定の市民団体を弾圧する立法を行ったこともあり、このバンコクでの会合の機会を最大限に活かそうと、アジアの市民社会を中心に、会議場周辺で連日さまざまな抗議行動や集会が開催される予定です。

これまでに各国が提出した2025/2030年までの協定の下での気候変動に関する行動計画(NDC)を積み上げた結果では、3℃以上の気温上昇が予想されます。21世紀末までの気温上昇を1.5℃までに留めるよう努力するというパリ協定の目標とは程遠いのが現実です。 10月には1.5℃の気温目標に関し世界の科学者の知見を集めた特別報告(IPCC特別報告書)が出されますが、その中でももう時間の猶予がほとんどなく、被害規模の予測とともに、今すぐの脱化石燃料の必要性が明らかにされるとみられます。最近発表された研究では、平均気温が1.5〜2℃以上上昇すると、森林火災、アマゾン森林の枯渇、局地に存在する大量のメタンガスの放出などが引き金となって、もはや人間では止めようのない温暖化が発生する可能性があると報告されています。

バンコクに集う市民やFoEのメンバーは、政府による行動の不十分さ、とくに歴史的な温室効果ガス排出の半分を占め、化石燃料で発展を遂げた先進国の責任を追及しています。パリ協定の実施指針だけでなく協定の内容を超えた速やかな脱石炭、脱化石燃料と自然エネルギーへの移行、大規模被害への支援や気候避難民の保護、更にこれらを達成するために必要となる社会経済システムの変革を問い、先進国がその責任を果たすことを求めています。

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(C) Chidambaram SP

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(C) APMDD

実際の交渉では、先進国(特に米国をリーダーとする日本を含む環太平洋の先進国)は協定下で途上国や新興国との差異化を認めず、様々な局面において同等の扱いを要求しています。また、化石燃料や産業型農業などの多国籍資本が主要な交渉内容に大きな影響力を持ち、協定の実施指針を弱めようとする状況が続いています。

世界の市民はパリ以来、今また改めてCOP24に向けて大きな声を上げようとしており、その国際的な組織化がこのバンコクで弾みをつけることになります。

(小野寺ゆうり)

COP22閉幕 交渉は進むも、「アクション」にはほど遠く

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アクションのCOPになるといわれたマラケシュ会議
交渉は進むも、「アクション」にはほど遠く

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11月7日から18日までマラケシュで行われていた国連気候変動会議が閉幕しました。昨年パリ協定が採択され、今年のCOPはそれを実施につなげるCOPとして「アクション」のCOPと言われていました。また、気温上昇を1.5℃におさえるためには今すぐの行動が不可欠である事から市民社会から「アクション」の必要性が主張されてきました。

削減目標が適応されるのは2020年から。しかし約束されている削減目標を積み上げても、3℃上昇は免れません。FoEグループは、気候変動の被害を食い止め気温上昇を1.5℃におさえるには、今すぐ、とくに2020年までの行動が大事で、このままではパリ協定は不十分と訴えてきました。

今回、残念ながらアクションのCOPからはほど遠い結果となりました。

気候変動の責任がより大きい先進国は、野心を先駆けて引き上げていくべきでした。議論は適応に偏り、すでに影響を受けている脆弱な国への支援や損失と被害に関する議論は十分に行われませんでした。2020年前の行動の強化という議論が十分に成されなかったことは、1.5℃目標から遠ざかる事を意味し、そして既に気候変動の影響を受ける人々や、気候変動の影響に対し、脆弱な人々が、さらに貧困や危機に陥るという事を意味します。

一方で、パリ協定が正式に発効し、交渉ではパリ協定を実施するために必要なルール作りのワークプラン(今後のスケジュール)が合意された事は確かに前進です。また、適応資金の交渉や気候変動の損失と被害に関するワルシャワ国際メカニズムの交渉でも進展が見られました。

会議の最終日、気候変動脆弱国フォーラムの加盟国が、なるべく早い段階で再生可能エネルギー100%を達成する目標を含むマラケシュ・ヴィジョンを発表しました。

またアフリカ大陸全体で固定価格取引制度やコミュニティーベースの再エネを組み合わせて2020年までに10GW、2030年までに必要となる需要の半分の300GWを賄う野心的な計画が本格化しました。

FoEはこれからも先進国の温暖化への歴史的責任と公平な負担(フェアシェア)の観点から今すぐの行動を求めていきます。

★詳しい交渉の内容は、セミナーで報告します!(詳細は後日FoEのウェブサイトに掲載予定)
2016年12月14日14:30~16:00
Tフロントビル会議室(溜池山王駅すぐ)
http://www.kaigishitu.com/detail/00200895001/001/
内容(予定)
マラケシュ会議の成果(報告者:小野寺ゆうり)
– 気候資金の行方
– 損失と被害 など

★これまでのCOP報告はこちら
https://foejapan.wordpress.com/tag/cop22/

‘行動’を求める世界の動きはとまらない

プレスリリース
2016年11月18日(金)
FoE International (原文下記)

‘行動’を求める世界の動きはとまらない – しかし私たちは未だに危険な温暖化の道を進んでいる

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マラケシュ、モロッコ – 国連気候変動会議の最終日の今日、FoEインターナショナルは、気候変動へのグローバルな行動を求める市民社会の声は、気候変動懐疑論者を選出したアメリカ大統領選の話題によってかき消されてしまったと話した。

FoEアメリカのベンジャミン・シュリバーは「気候変動はアメリカの行動を待ちはしない。アメリカ以外の国は明らかに前に進んでいる。トランプの選出はアメリカ以外の世界がアメリカを気候変動対策におけるならず者国家として扱い、野心を引き上げる事で、団結するきっかけになる。」と話し、さらに「以前にもアメリカは国連気候変動交渉の外にいた。その他の国は、我々が変革を再びアメリカで起こすまで、前進してほしい」と話した。

また、世界中で起きている再生可能エネルギーを中心としたエネルギー革命は、希望を生んでいる。

FoEアフリカのクワミ・クポンドゥゾは「COP22はアフリカのCOPと言われていた。良いニュースは、アフリカ再生可能エネルギーイニシアティブ(AREI)がマラケシュで本格始動したことだ。これはアフリカによるアフリカのためのイニシアチブで、化石燃料からコミュニティ主導のクリーンエネルギーへの蛙飛びをすることになる。FoEグループはこのイニシアチブを形にするため、長年はたらきかけていた。エネルギー貧困と闘うアフリカの市民社会の成し遂げてきた功績の証明だ」と話した。一方「しかし、支援を必要としているアフリカの人々のための資金という重要な問題に関して、今回のCOPであまり動きが見られなかった。先進国により報告された(気候資金の)信用に欠けるアカウンティング方法を利用した資金レポートは、すでにアフリカの各地で洪水や干ばつに見舞われている何百万人もの人々を取り残す事になる。アクションがなければ、この危機の中で、それもアフリカの人にはほとんど責任のない気候変動の危機の中で、生き残る事ができない」と話した。

FoEマレーシアのミーナ・ラーマンは「科学は明らかで、今机上にある約束はこの世界を3℃の気温上昇まで許してしまう。この地球上の何百万人もの人々が安全に暮らしていけなくなる。裕福な国は2020年より前の行動をさらに強化する義務がある。1.5℃上昇に抑える必要があるからだ。しかしそういった行動はまだ見られない。今行動しないのは公平ではない。行動を先延ばしにしても、もっと物事が難しくなるだけで、コストもより大きくなるだろう」と話した。

FoEドイツのアンキャサリン・シュナイダーは「次のCOPは我々の国、ドイツのボンになる。次のG20の議長国でもあるドイツにとって、市民が立ち上がって声を伝えるための重要なタイミングとなるだろう。気候変動という地球規模の課題を解決するために世界のリーダー達は真に野心的な政治的意思をもって、ボンに集まってほしい。それにはすでに災害の被害を受けている人々を救済するということも含まれていなくてはいけない。私たちも何千人もの市民と一緒に、政治家達が行動をとる事をためらわないようにするし、世界中の人々のために、説明責任を果たすよう求めていく」と話した。

FoEインターナショナルは気候変動を解決するためには、人々の力強いムーブメントが重要であると主張している。

PRESS RELEASE
Friday 18 November 2016

Global momentum for action unstoppable – but we are still on track for dangerous levels of warming

MARRAKECH, Morocco – Today at the conclusion of the UN climate conference, Friends of the Earth International said that the momentum for global action on climate change refused to be overshadowed by the election of a climate denier to the US Presidency.

“Climate change is not going to wait for US action and the rest of the world is clear it is moving forward,” said Benjamin Schreiber of Friends of the Earth US.

“Trump’s election must unify the world in treating the US as a climate pariah, and respond to his Presidency by redoubling ambition,” Schreiber continued. “The US has been outside the UN climate process before and other countries must ensure that progress is made while we work to create change back home.”

Hope continues to rest on the renewable energy transformation that is taking place globally, and must be led by people.

“COP22 was billed to be an African COP,” said Kwami Kpondzo of Friends of the Earth Africa. “The good news is that the African Renewable Energy Initiative took off here in Marrakech; an initiative by Africans for Africans, to leapfrog the dirty fossil fuel development and bring clean community-based energy instead. Friends of the Earth groups have fought long and hard to make this initiative a reality and it’s a testimony to the work done by African civil society in the fight against energy poverty.

“However, in this COP we saw very little movement on the crucial issue of finance needed for the people of Africa, Kpondzo continued. “Dodgy accounting and fishy finance reporting by rich countries means that the millions already experiencing floods and droughts in every corner of Africa will be left to help themselves. Broken promises will not help us survive a crisis we did not create,” he continued.

“The science is clear and the current pledges on the table take us to a world of over 3ºC warming, which is incompatible with a safe existence for millions on this planet.” said Meena Raman of Friends of the Earth Malaysia. “Rich countries had an obligation to bring stronger pre-2020 ambition to the table because we must stay under 1.5ºC, but this has not happened. Not acting now is not fair. It will only make action later that much harder, and the cost in human suffering even greater”, she continued.

“Next year the COP goes to our country, to Bonn,” said Ann-Kathrin Schneider of Friends of the Earth Germany. “With Germany also hosting the G-20, this will be an important time for citizens to come together to make their voices heard. Leaders must come to Bonn with a genuine and ambitious political will to meet the global challenge of climate change, including helping those already being displaced by this crisis. We will be there in our thousands to make sure they don’t falter and we will hold our leaders accountable on behalf of people all over the world,” Schneider continued.

Friends of the Earth International asserts that this powerful movement of people is key to solving the climate crisis.

– ENDS –

SPOKESPERSONS:

Meena Raman, Friends of the Earth Malaysia. Email: meena@twnetwork.org, Malaysian mobile: 0060 12 430 0042
Ann-Kathrin Schneider, Friends of the Earth Germany. Mail: annkathrin.schneider@bund.net. German mobile: 0049 151 240 87 297.
Kwami Kpondzo, Friends of the Earth Africa. Email: kwadodzi@yahoo.fr. Morrocan mobile: 00 212 65 35 01 69.
Dipti Bhatnagar, Friends of the Earth International. E-mail: dipti@foei.org. Moroccan mobile: 00212 6 95 54 61 07.

石炭投資にNO!日本とJBICは地元住民と国際社会の声を聞いて(石炭その2)

COP22マラケシュ会議、いよいよ会期最終日に迫りました。
議論が特に紛糾しなければ予定通り終わります。このままだと予定通り終わりそうです。

実は17日、世界で2番目に多く石炭火力に投資していることなどで、日本が化石賞(1位も2位も日本)を受賞しました。
また、国内外で問題視されている、日本のインドネシア・チレボンの石炭火力案件への融資に関して記者会見を行い、COP22の地で同案件の問題点を伝えました。

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会見では、FoEインターナショナルの気候正義・エネルギープログラムコーディネーター、ディプティ・バータナガーが問題の全体像を説明。グリーンピース・インドネシアのアリフ・フィアントから現地の様子や住民が石炭火力に反対していること、そしてFoE Japanの深草とオックスファム・フランスのアーメル・ル・コントから、石炭火力の融資を検討している日・フランスの銀行について説明しました。

現在、インドネシアではチレボン石炭火力発電とタンジュンジャティB石炭火力発電の拡張プロジェクトが進行しており、日本の国際協力銀行(JBIC)はその両方への融資を検討しています。
先日ブログで紹介したように、チレボンの既存の石炭火力ではすでに健康被害や、生計手段への被害が出ており、住民が異議申し立てを行っています。

この二つのプロジェクトに融資を検討しているのはJBICだけではありません。フランスのクレディ・アグリコルなども融資を検討しているのです。

クレディ・アグリコルは最近、新規石炭火力発電への融資を行わないと発表しました。しかし、クレディアグリコルはチレボンとタンジュンジャティBの拡張案件については未だに融資検討を続けています。オックスファム・フランスはこのダブルスタンダードを批判、この二つのプロジェクトについても融資すべきでないと訴えました。

グリーンピース・インドネシアは現地でほぼ毎日のように行われている抗議について映像も使いながら紹介。先週は日本大使館の前でも日本の石炭火力投資中止を求めて、抗議が行われました。

グリーンピース・インドネシアのアリフ・フィアントは「現在計画されている石炭火力はインドネシアの貧しい人々の生活を助けるものではなく、企業に利するものでしかありません。」と指摘。JBICと日本に対して、これ以上石炭火力発電に投資しないよう求めました。

日本語のプレスリリースはこちら
>http://www.foejapan.org/aid/jbic02/cirebon/161117.html

会見はこちら(録画・英語)
>http://unfccc.cloud.streamworld.de/webcast/stopping-coal-finance-for-indonesia-foei-and-allie

参考ページ
>http://www.foejapan.org/en/aid/160606.html
>http://www.foejapan.org/en/aid/161110.html

COP22マラケシュ会議が人々と地球のためにすべきこと

COP22マラケシュ会議が人々と地球のためにすべきこと
FoEインターナショナルによるプレスリリース
2016年11月14日 (注:原文下記)

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FoEインターナショナルは、COP22マラケシュ会議第二週目に際し、世界のリーダー達がマラケシュ会議において、人々と地球の為に明確なアクションを行うよう声明を発表しました。

昨日、FoEインターナショナルは、モロッコ国内や世界各国の市民とともに、マラケシュの街を行進しました。私たちは影響を受ける人々、モロッコで汚染や弾圧に苦しむイミデール(注:銀鉱山開発の影響を受けるコミュニティー)やサフィ(注:石炭火力発電所立地)の人々、ニジェールデルタや、先住民族の水源を守るためにたたかっているスタンディングロックの人々への連帯を示します。

今週、COP22の会場に世界の首脳や大臣らがパリ合意を記念して訪れ、また閣僚級会合が開かれます。
FoEマレーシア/サードワールドネットワークのミーナ・ラーマンは、「COP22の第一週目は、先進国は、去年パリで合意された事に対して敬意をはらっていなかった。先進国はパリ協定の緩和中心の結果ばかり強調し、適応や資金といった課題を優先課題だと見なしていない」と指摘。また「資金とともに重要な2020年前の温室効果ガス削減のためのアクションの緊急性を無視している」と話しました。

FoEインターナショナルのアサド・レーマンは「特に先進国の2020年までの温室効果ガスの削減の取り組み強化が強く必要とされている。途上国の低い排出目標は、3.5℃上昇を引き起こすだろう。これはとくにアフリカや島国に対して死の落とし穴である。我々は、閣僚級会合において、気候資金の大きなギャップを埋めるよう求める。資金は途上国のエネルギー革命にとって重要だからだ」と述べました。

FoEアフリカのクワミ・クポンデゾは「マラケシュは、エネルギーのCOP、アクションのCOPだ。マラケシュ会議のアフリカへのレガシーは、この大陸におけるエネルギー改革の火付け役である必要がある。非常にショッキングなデータがある。世界で12億人がエネルギーへのアクセスなく暮らしている。その半分の6億人はここ、アフリカで暮らしている。」と指摘。また「アフリカ主導のアフリカ再生可能エネルギーイニシアチブ(AREI)のような取り組みは期待できるし、汚くて被害をうむエネルギーではなく、コミュニティがコントロールする再生可能エネルギーがこの大陸と世界の将来であるべきだ。」

FRIENDS OF THE EARTH INTERNATIONAL

PRESS RELEASE

FOR IMMEDIATE USE: 14 NOVEMBER 2016

What Marrakech Must Deliver For People And The Planet

As we go into the second week of COP22, Friends of the Earth International asserts that Marrakech must deliver concrete actions for the sake of people and the planet.

Yesterday, Friends of the Earth International marched on the streets of Marrakech, with people from Morocco and all over the world. We stand in solidarity with impacted peoples, from the communities of Imider and Safi facing pollution and repression here in Morocco, to those in the Niger Delta and indigenous water defenders at Standing Rock.

This week, at the COP22, world leaders and Ministers will arrive to mark the Paris Agreement and a series of High Level Ministerials will be held.

“The first week of COP22 saw developed countries not honouring what they agreed to in Paris last year, says Meena Raman of Friends of the Earth Malaysia and Third World Network. “We saw developed countries trying to push mitigation-centric outcomes under the Paris Agreement and not even recognising adaptation or finance with high priority”, she added. “They are also ignoring the urgent need of pre-2020 action on emissions reductions as well as finance.”

“There is a critical need to ramp up pre-2020 emissions reductions especially by developed countries, whose low Paris pledges will lead us to a 3.5°C world which is a death trap for Africa and island nations among others, said Asad Rehman from Friends of the Earth International. “We also demand that the High Level Ministerial address the huge climate finance gap because finance needs to be the key to energy transformation in developing countries, he added.

“Marrakech is an energy COP, an action COP. Marrakech’s legacy for Africa must be that it sparks the energy transformation in this continent, said Kwami Kpondzo of Friends of the Earth Africa. “The numbers are shocking. Out of the 1.2 billion people in the world without access to electricity, half of them, 620 million people live right here in Africa, he added. “Initiatives like the African-led African Renewable Energy Initiative (AREI) are promising, and socially-controlled renewable energy must be the future of this continent and of the world, not dirty and harmful energy, he added.”

環境問題と社会正義を考えるユースキャンプ

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7月にYonug Friends of the Eearth Europe(FoEヨーロッパのユース。FoEヨーロッパから独立して活動しているユース団体)のサマーキャンプがあり、FoEJapanから深草が参加しました。

YFoEEは、イギリス、ノルウェー、キプロス、ドイツ、スイスなど様々な国から参加者が集う若者ネットワーク団体です。参加者は10代後半から20代後半にかけての若者で、目安としては27歳頃までがユースと呼ばれるようです。学生はすべてボランティアで参加しています。

基本的な活動として、決まったテーマ(食料問題、気候の公平性、生物多様性)でワーキンググループを作り、キャンペーンやイベントなどを行なっています。普段の会議は基本的にスカイプ(ネットを使った通話サービス)で行なっていますが、今回の夏のキャンプなど、年に2・3回はヨーロッパのどこかに集まり、対面の会議、アクション、イベント等を行っています。

余談ですが、EUの組織やヨーロッパの国の多くは若者の総合的な支援を担う省庁があり、中でもドイツの省庁は、インターンやボランティアをする学生にお金が入る仕組みを設けています。今回のキャンプもEUなどの資金援助を受けて開催されており、学生個人の金銭的負担はとても小さくなっていました。

私が参加したのは、近年毎年行われている、若者向けのスキルアップのためのキャンプです。今年はスコットランドで行われました。
私は、ひとりのユースとしてスキルアップを図ること、そしてFoE JAPANの一員として日本でもFoEの活動に若者をもっと巻き込むためにどうしたらいいのか学ぶことを目的に1週間のキャンプに臨みました。

ワークショップの始まりはジェンダーやレイシズムを学ぶこと
最初のセッションのテーマはDiversityとEquity(多様性と公平性)でした。
このワークショップには2つの側面があると感じました。

①環境問題への取組は一部のエリートが行なっている社会運動にすぎないという批判や、生活に余裕がある人がボランティアや社会活動を行なっているのではないかという意見が聞かれます。これらはほぼ誤解だと思いますが、一方で、今回のようなワークショップへの参加を検討する際に、ある程度の英語能力や経済的基盤がないことを理由に参加を見送る若者が多いことも事実だと思います。
このことを踏まえ、1つ目の側面として挙げられるのは、既に存在する社会構造のなかで、自覚の有無に関わらず自分がどれだけの特権を待っているのか、自分やその仲間が起こそうとしている環境のムーブメントを「自分たち」だけのものにしないためにはどうしたらいいのかを常に考えることが重要であるということです。これらを考えるためには、社会的構造の中から生まれてくる差別の問題、ジェンダー、レイシズムの問題に目を向けなければならないという意識から、多様性と公平性のワークショップが行われていました。

②2つ目の側面は、環境問題が単なる自然環境上の問題のみに留まらなくなっており、社会が抱える様々な問題と作用し合い、負の効果を増幅させ合っていることです。
気候変動が難民を生んだり、経済的・社会的基盤が弱い地域に廃棄物集積所建設や放射性廃棄物投棄が行われたり、貧困層が十分な食料や農地を確保できなかったりすることは、差別構造や貧富の格差がより一層拡大することにつながります。

少ない資源を巡って部族同士の争いがおきたり、本来は異なった責任を持つはずの先進国と途上国の両方に同じ価値を押し付けたりすることも、時に乱暴で正義に反します。
どのような気候変動や環境問題のムーブメントを作り上げていくかを考えるためには、この2つの側面を踏まえ、公平性や正義、ジェンダーなどの視点を取り入れ、学び、活動することが大切だというのが最初のセッションのメッセージだったように思います。

特権と責任
前述の①のトピックに重なりますが、特権(恵まれた立場)についての意識も重要です。
privilage(特権)のアクティビティでは、様々なバックグラウンドを持つ参加者が、ある部分では特権を持ち、ある部分では持たないという事を可視化していきました。

例のひとつに、ムスリムの人の食事が挙げられました。ムスリムの参加者は、自分の国では特権を持っているといえます。自分の国ではムスリムは多数派で、それゆえ社会の様々なデザインがムスリムの教えや生活に合わせてできているからです。食事に関しても不自由なくハラールの食事を選ぶことができます。一方で、スコットランドのようなムスリムが主流派でない国では、ハラールの食事を入手しにくいのが実情です。これは、ムスリムでない人が自分の心情や好みに合った食事を手に入れる事が容易であることとは対照的です。このことから、スコットランドではイスラム教徒は特権を持っていないと言えます。
また、ジェンダーに関しての例も挙げられました。ほとんどの場合、トランスジェンダーの参加者は、自認するジェンダーに合致した公衆トイレが見つかりません。私の場合は、自分を女性であると感じ、生物学的にも女性であるので、安心して使えるトイレがたくさんありますが、そうではない人は不自由を感じているということを考えさせられました。

参加者は、アクティビティの中で沢山の質問と向き合うことで、自分が持つ特権がなにかに気付いていきました。今まで目に見えていなかったけれど、自分が自然と享受していた特権を意識するようになったのです。
こうした意識は自然と、自分に課せられた責任を考えることへとつながっていきました。それは、自分たちが活動するときに使う「私たち」と言う言葉に、一体誰が含まれているのだろうか、と言う問題意識にも発展していきました。

学びを実践に活かす

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スコットランドの脱化石燃料キャンペーンについて話すリチャードさん

これまでのアクティビティでは、社会構造や目に見えない差別などに目を向けてきました。こうしたことを意識しながら、いよいよ、気候変動問題にどう取り組んでいくべきか、気候変動や環境破壊がどのような社会問題を引き起こしているのかを考えていきました。
今回のワークショップでは、実際に地元の問題について学び、アクションを起こすところまで行いました。取り上げられたのは石油産業を中心として発展してきた、エディンバラ、グラスゴーに次ぐスコットランド第三の都市・アバディーンです。まずは、FoEスコットランドから地元の状況についてレクチャーを受けました。

アバディーンは私たちがキャンプを行った場所から車で1時間程度のところにあります。アバディーンは北海油田に由来する石油産業が盛んで、過去40年間、街の経済や生活のすべてが石油で回ってきたと言っても過言ではありませんでした。
しかし、この状況は近年になり一変しました。石油価格の下落などにより、2014年以降に6万5千人の雇用がイギリスの石油・ガス業界から失われたのです(https://www.theguardian.com/uk-news/2016/jan/23/aberdeen-once-rich-oil-city-now-relying-on-food-banks)。当然、石油産業に依存するアバディーンの人々も無関係ではありませんでした。街の基幹産業が弱体化しても、生活コストは減少するわけではありません。従前と変わらない生活コストを強いられた結果、今まで石油産業で生計を立ててきた労働者が貧困に陥っているケースもあります。

キャンプに参加しているメンバーの立場では、気候変動の観点を踏まえ、石油燃料からの脱却が必要であると言う見方は変わりません。ですが、アバディーンの実情と未来の方向性を捉えるとき、アクティビティで身につけた視点は今までの自分たちにはなかった新しい着想をもたらしました。その上で、コミュニティと環境にとってどのような変革が必要なのか、どのようなメッセージを伝えていけばアバディーンの人々とともに社会を変えていくことができるのかをディスカッションを通して考えました。そして実際に、「(コミュニティための)持続可能な雇用と(環境のための)持続可能なエネルギー」を達成するため、「JustTransition(公平な変革)」を求めて、アバディーンの石油ロビー会社の目の前でデモも行いました。

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警察の人もなんだか楽しんでいる@デモ

★まとめ:多様性と正義 〜「何を」ではなく「どうやって」〜
世の中には様々な問題がありますが、すべてを同時に取り組むことはできません。何か1つの問題に取り組むときに、その背景にある様々な力の問題、特権の問題、歴史、格差や貧困などを理解せずしては問題の本質を見失うのではないかと感じることがあります。原発の問題や、気候変動の問題、辺野古の問題もそうではないでしょうか。
問題を問題として取り扱うとき、「何を」という視点にばかり気を取られがちですが、「どうやって」その問題を取り上げるか、ということが重要です。それが「どうやって」その問題を解決に導くかの重要な糸口となります。
社会問題への取り組み方も、さまざまに変わりつつあります。差別やジェンダー、格差の問題に取り組むことが、環境問題への取り組みの成果となっているかどうか、定量的に判断する事は難しいかもしれません。しかし、問題の背景を的確に掴み、解決を図るには、異なる背景を持つ様々な人々が手を携えることが不可欠です。
社会運動が社会の様々な人々すべてを内包するものにしていくためには、苦しんでいる人や立ち上がろうとしている人々、セーフティネットからこぼれ落ちたり、人権侵害に苦しむ人々と共に活動していくことが重要だと思います。そして、社会全体が多様性と正義、何より民主主義に対してより繊細になっていくことがいつでも大切ではないかなと思います。

こうした気づきと学びを得られたこと、
そして何より、少しでも自分の責任を果たし、目の前の問題に対して取り込んでいこうという若者たちと1週間過ごし、刺激を得られたことは貴重な体験でした。

スタッフ・ふかくさ

COP21報告会 Climte Justice Now!

スタッフの深草です。先週2月18日に Climate Justice Now! パリ合意で気候と人々の生活は守られるのか?を東京で開催しました。ウェブサイトに資料も掲載しています。

昨年2015年12月にパリ協定が合意され、ポスト京都の新しい法的枠組みが生まれました。
このパリ協定や気候変動を巡る動きなどについて、東北大学の明日香寿川先生とFoE小野寺ゆうりから気候の公平性や気候の正義という観点から報告がありました。私からはフィリピンで調査した気候変動影響による損失と被害の様子を報告しました。動く→動かすの稲場雅紀さんからはSDGsとCOPの関わりや、SDGsの最新情報について報告がありました。

Climate Justice (気候の公平性)とは、先進国に暮らす人々が化石燃料を大量消費してきたことで引き起こした気候変動への責任を果たし、すべての人々の暮らしと生態系の尊さを重視した取り組みを行う事によって、化石燃料をこれまであまり使ってこなかった途上国の方が被害を被っている不公平さを正していこうという考え方です。

気候の公平性の観点から、今回のパリ合意が人々や気候を守る事ができるのか?
今回パリ協定において、気候変動の影響、いわゆる「損失と被害(loss and damage)」については、独立した条項が設けられました。気候変動による損失や被害そのものは認められたものの、その損失や被害に対する’補償’に関しては、協定内には盛り込まれませんでした。その背景にはアメリカの強固な反対があり、決定文(合意文の方とはちがい法的拘束力はない)の中では「この協定が損失と被害に対し、補償の根拠になるものではない」と付け加えられました。ただし決定文の中の話なので、今後の交渉によってはかわっていく可能性があります。

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明日香先生は、パリ合意は残念ながら「自主的」な取り組みにまかされた部分が多いが、ビジネスや司法へのインパクトは大きいと評価されていました。
興味深かったのは、気候変動による被害によって生じている人権侵害が訴訟に発展し、実際に勝訴しているケースもあるという事です(例えばオランダの市民団体が温室効果ガスの削減目標が低すぎるということでオランダ政府を訴えたケース。一審で市民側が勝訴し、政府は上告しているそう)。こういったケースが増えてくると、今後気候変動と訴訟リスクといった観点の補償の議論もすすむかもしれません。
ビジネスにおいては、ここ数年化石燃料関連に投資されていたお金からを撤退させる(ダイベストメント)が進んでいます。たとえば、ノルウェーやオランダの政府年金基金はダイベストメントに賛同して化石燃料セクターへの投資からの撤退を表明しています。年金基金だけでなく、大学や保険会社、銀行もダイベストメントに賛同するところが増えています。

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FoE小野寺から、パリ合意にいたるプロセスにおいてもアメリカの意向が大きく反映されたものであったと報告がありました。アメリカの合意は不可欠ですが、米国議会で拒否されてはアメリカの参加がなくなってしまいます。ということで、議会に否決裁決させないような合意内容にするため、という名目で駆け引きがあったようです。
二国間クレジットや炭素取引のスキームがパリにも引き継がれていることに注意が必要だという指摘もありました。このままでは、日本の原発や高効率石炭火力が’温室効果ガス削減に役立つ’として、クレジットのために輸出されてしまう可能性がありますので、要注意です。
さらに過去には、バイオエネルギーのために穀物用農地をエネルギー用に転換したことから、穀物価格が高騰し、食糧安全保障が脅かされるという事態にも発展しています。

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私からは昨年行ったフィリピン調査の報告を行いました。
フィリピンではカテゴリー4や5(5はスーパー台風とも呼ばれ、家屋が倒壊したり甚大な被害がでるレベル。4も浸水や家屋被害などがでる威力の強い台風です)の台風が増えており、繰り返し被害を受けるので、なかなか回復できず貧困の連鎖から抜け出せない人も多くいます。
たとえば、2013年にフィリピンを襲った台風ハイヤンですが、その時に家を失った人がいまだに仮住まいにすんでいたり、住宅補償や生活手段再建の支援がない状態にあります。(詳しくはこちらで報告しています)

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動く→動かすの稲場さんからはSDGs(持続可能な開発目標)の話がありました。
SDGsもパリ協定と同じ2015年に国連で採択されました。これまでのMDGs(ミレニアム開発目標)にかわる新たな枠組みです。持続可能な社会にむけて17の大きなゴールを定めています。
17の目標のうち、目標13が「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策をとる」です。基本的に気候変動問題はUNFCCC-COP(国連気候変動枠組条約締約国会議。所謂COP21パリ会議など。)の場で決められるので、SDGsにおいて気候変動に対して何か具体的に決まったりする事はありません。
SDGsの主題は「我々の世界を変革する Transforming our world」でした。
印象的だったのは、SDGsでスローガンであった’leave no one behind(誰も取り残さない)’が裏を返せば自分が取り残されないために、このままじゃ自分が取り残されるという方向で推進力にもなっているという話でした。これでは自国中心・競争原理から抜け出せていない、変革にはつながりません。稲場さんのまとめの中で「SDGsをオルタナティブとして、国レベルでの格差と貧困の解消、誰も取り残さない原則にこだわる」必要性と、オルタナティブ思考の市民社会を構築する必要性があげられました。市民社会の重要性は確かですが、強固な市民社会を構築するためにはNGOの役割が重要になってくるのではないでしょうか。

会場の方に回答していただいたアンケートをみると「FoEの見方は悲観的すぎる」「代替案の提示にかけるのでは」といった意見を頂きました。確かにそうかもしれません…COP21やパリ合意に対しFoEグループは厳しい見方をしています。ただ、合意が結ばれたことで完全に満足している環境団体や活動家はいないのではないかというのも私の実感です。協定の細部を検証し、評価出来る点はのばし、不十分な点は変えていく必要があります。気候変動の被害を被って来た人々が補償されるような仕組みづくりの為には政策提言や、被害の可視化といった活動を続ける必要があると感じます。

ただし、明日香さんのお話にもあったように、ビジネスや金融セクターの中で、気候変動をリスクとして捕らえる動きは確実にあるように思います。
パリ協定は始まりにすぎません。

(文責:スタッフ深草)