カナダの23環境団体が英政府に書簡、英国は燃料のためにカナダの森林を燃やしている

2024年2月28日、カナダの23の環境団体は連名で英政府に書簡を発出し、カナダの森林を皆伐して作られた木質ペレットを大量に燃やすバイオマス産業への補助金を止め、バイオマスを燃やすことがクリーンエネルギーであると誤認させないよう求めました。

同書簡は、英政府のBECCS(バイオエネルギー炭素回収・貯蔵)を含む大規模バイオマス発電に対する移行支援政策案に対するものです。同政策案では、輸入木質ペレットを燃やす産業用発電所に数十億ポンドの補助金が費やされると推定されています。

また、世界第3位の木質ペレット生産国であるカナダでは、原生林(これまでに一度も商業伐採されていない森林)の産業伐採が進んでおり、実は「手つかずの森林景観 (Intact Forest Landscape)」の減少率が高く、世界第3位だそうです。さらに、英国はカナダの最大の木質ペレット消費国ですが、その木質ペレットを生産・調達するのは、補助金の主な受給者である英国電力大手のドラックス社であるため、カナダ産木質ペレットの実質的な生産者は英国であると指摘しています。同日に発表されたBBC(英国放送協会)の取材記事では、ドラックス社がカナダの老齢林由来の木質ペレットを利用していることが書かれています。

カナダの23環境団体は書簡を通じて、補助金によって木質ペレットの調達を支え続けるという英政府の政策案は、わずかに残った世界の原生林が失われていくことに貢献することになるとして、以下の4点を要求しています。

  • BECCSに対する将来的な補助金も含め、森林由来のバイオエネルギーに対する補助金(新規契約および現行政策の延長の両方)を廃止すること。
  • ネットゼロ目標を達成するために木質ペレット利用量を増加することを奨励する英政府の計画を撤回すること。
  • 発電に木質ペレットを燃やすことは気候の解決策であり、カーボンニュートラルであると公的に位置付けるのを止めること。これらは科学的根拠に反する主張である。
  • 英政府が、世界に残る原生林と老齢林を重要な炭素貯蔵庫として保護するために国際協力の推進者としての立場をとること。

詳細は、以下の書簡(英語)をご覧ください。

英政府への書簡 (2024年2月28日)

https://www.nrdc.org/sites/default/files/2024-02/rt-hon-claire-coutinho-forests-canada-20240228.pdf


【関連情報】

NRDC, Expert Blog, “The U.K. is Burning Canadian Forests for Fuel”

https://www.nrdc.org/bio/courtenay-lewis/uk-burning-canadian-forests-fuel

BBC, “Drax: UK power station still burning rare forest wood”

https://www.bbc.com/news/science-environment-68381160