「100ベクレル/kg以上を原子力施設から持ち出さないよう厳重チェック」のはずが…「8000ベクレル/kg以下の除染土の公共事業への再利用」方針をめぐる第2回政府交渉報告

8000ベクレル交渉2

6月8日、放射性セシウム濃度8000ベクレル/kg以下の除染土を公共事業に再利用する環境省方針の撤回を求める第2回目の政府交渉を行いました。>資料

交渉に先立ち、みなさまにご協力いただいた反対署名5,429筆を二次提出しました。一次提出分10,305筆をあわせると15,734筆となりましたことご報告します。署名は引き続き継続しておりますので、ご協力ください。
http://www.foejapan.org/energy/fukushima/160416.html

さて、交渉には、環境省に加え、電事連、原子力規制庁も出席。
原子炉施設のクリアランス制度に基づく規制除外(

の廃棄物についても、敷地外に出す際には、国が定めた測定方法によって、国および事業者により厳しく測定が行われ、間違っても100ベクレル/kg以上の低レベル放射性廃棄物が持ち出されないようにチェックされていたことが明らかになりました。電事連によれば、100ベクレル/kg以下のものも、限られた場での展示にとどまり、一般には流通していないとのこと(原子炉等規制法の規則の改定の際の付帯決議によるものとのこと)。

今回の8,000ベクレル/kg以下であれば、再利用してしまえという方針の異常性が、ますます明らかになりました。

この前日の6月7日、環境省「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会」が開催され、同検討会のもとに置かれたワーキンググループの被ばく評価の結果が報告されました。同ワーキンググループでは、
1)工事中に、一般公衆及び工事従事者に対する追加被ばく線量が1mSv/年を超えないこと
2)供用時(工事のあと)の一般公衆に対する追加的な被ばく線量が10μSv/年を超えないこと
を前提とし、いくつかのケースで、土砂濃度や被覆の厚さの検討行い、上記の1)2)をクリアできる土壌汚染濃度と覆土の厚さを算出しています。

8000ベクレル管理シミュレーション結果
詳しくは以下のページの資料3p.6および資料4をご覧ください。
http://josen.env.go.jp/chukanchozou/facility/effort/investigative_commission/proceedings_160607.html

「クリアランスレベルの100Bq/kgとのダブルスタンダード」との批判に対して、環境省は「これらの除染土は管理された環境に置かれる」と繰り返していました。しかし、そもそも公共事業で使用するということは、「管理された環境下」の外に出すということでしょう。
遮水構造になっている管理型の処分場ですら、周辺に汚染が浸出することはよくあることです。ましてや、河川の氾濫、地震や津波などの災害時には、崩落や流出などが生じるでしょう。

道路作業を行っている作業者や住民への影響も、しきりと「追加被ばく量年1mSv以下になるよう」と繰り返していますが、道路作業を行っている人たちや住民・通行人が、放射線管理区域での作業のように積算被ばくが管理される状況でもなく、あちらでもこちらでも被ばくさせられる状況を強いられることになります。

さらに、2013年10月の内閣府原子力被災者生活支援チームの決定により、福島県で3,000ベクレル/kg以下の除染土を土木事業に使っていたのですが、現在までに海岸防災林などに23万トンの資材を使っているそうです。
近隣住民には説明しているのか?」という問いに対して、「市町村の同意はとっている。住民には市町村が適切と判断すれば、説明しているはず」との回答でした。つまり、環境省は、住民に説明されているかどうか把握しておらず、市町村の判断如何では、住民に知らされていないこともあるわけです。このこと自体ひどいことですし、今回の決定に基づき、8000ベクレル/kg以下の除染土が公共事業に使われることになったとして、住民がそれを知ることができるかどうか疑念が生じます。

質問と回答
Q:商業用原子炉の運転や廃炉にともなって発生した廃棄物のうち、クリアランスレベル(例:Cs137の場合100Bq/kg)を超えるものはどのような処理を行っているか。また、100ベクレル/kg以下の取り扱い、再利用実績については?

低レベル放射性廃棄物(固体)の管理・処分は、電事連のウェブサイトによれば、以下のようなことになっています。
• 使用済みのペーパータオルや作業衣など放射能濃度の低い雑固体廃棄物は、焼却、圧縮などによって容積を減らしてからドラム缶に詰め、原子力発電所敷地内の固体廃棄物貯蔵庫に安全に保管されます。
• フィルター・スラッジ、使用済みイオン交換樹脂は貯蔵タンクに貯蔵し、放射性物質の濃度を減衰させてから、ドラム缶に詰め、原子力発電所敷地内の貯蔵庫に保管します。
• ドラム缶に詰められた廃棄物は、その後、青森県六ヶ所村にある日本原燃の「低レベル放射性廃棄物埋設センター」に運ばれ、コンクリートピットに埋設処分されます。
(電気事業連合会)

100ベクレル/kg以下のものも管理区域内に保管し、国による測定を経たのちに外に運びだされ、事業者により管理されます。現在までに170トンの金属が再利用されましたが、一般の流通はさせておらず、ベンチ等の再利用品に加工され、展示されたりしているとのこと。

Q:「放射性物質汚染対処特措法」において、指定廃棄物の基準として8,000ベクレル/kgが採用された検討過程についてご教示いただきたい。

A:平成23年8月、「放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」が成立。その後、9~12月、有識者による検討が行われ、平成23年6月3日付け原子力安全委員会「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響を受けた廃棄物の処理処分等に関する安全確保の当面の考え方について」を踏まえ、JAEAによる評価や放射線審議会による検討などを経て決めた。2011年12月に省令として決定。

Q:「福島県内における公共工事における建設副産物の再利用等に関する当面の取扱いに関する基本的考え方」(平成25年10月25日内閣府原子力災害対策本部原子力被災者生活支援チーム)には以下のように記されている。

「利用者・周辺居住者の追加被ばく線量が 10 マイクロシーベルト毎年以下になるように管理された状態で屋外において遮蔽効果を有する資材等を用いて利用する場合は使用可能である。例えば下層路盤材として利用する際には、30センチメートル以上の覆土等を行う場合は、3000 ベクレル毎キログラム以下の再資源化資材の使用が可能である。」

1)「30センチメートル以上の覆土を行う場合は、3,000ベクレル/kg」という数値の根拠についてご教示いただきたい。
2)「30センチメートル以上の覆土を行う場合は、3,000ベクレル/kg」が採用された経緯についてご教示いただきたい。
3)実際の再利用実績についてご教示いただきたい。
4)再利用について、近隣住民には説明されているのか。

A:1)2)→平成23年6月3日付け原子力安全委員会「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響を受けた廃棄物の処理処分等に関する安全確保の当面の考え方について」を踏まえ、利用者・周辺住民の追加被ばく線量が10マイクロシーベルト/年以下になるように検討を行った。

3)→海岸b防災林に23万トンの盛土材として使用。どこかについては言えない。
4)→地元の市町村が適切と認めれば住民に説明しているはず。(環境省としては市町村の同意をとっているだけで、市町村が住民に説明しているかどうかは把握していない)

Q:環境省が、東京電力福島第一原発事故の除染で出た汚染土を再生利用する初の試験事業を今夏にも福島県南相馬市小高区で始めることが報道されている。
1)同試験事業の詳細についてご教示いただきたい。
2)同試験事業を請け負うのはどこか。金額はいくらか。
3)「道路の基盤材などへの利用を試し、使った土は試験終了後に回収する。」とされているか、これは事実か。
4)周辺住民は同意したのか。

A:
1)→現在、南相馬市と相談中。小高地区の仮置き場の中に、除染土を使って盛り土をつくって、空間線量などのデータをとることになる。
2)→今後、公募をかけることになる。
3)→あくまで実証試験。
4)区長に説明して同意を得た。これから地権者の同意をとる。周辺住民の方々にも説明会、測定会を行い、理解を得るつもり。

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