4つのアクション)東京都に声を! 原発事故避難者の住宅支援を打ち切らないで!!

FoE Japanの満田です。東京都の5,000人以上の避難者が、立ち退きを迫られています。みなさんのお力を!
ツイッター用・東京都に声を(sienkizk-03)

福島第一原発事故で、避難を強いられた人たちの住宅支援の打ち切りが来年3月に迫っています。
東京都は、原発事故避難者の避難先としては最大。5,000人以上がくらしています。

いままで、原発事故避難者の住宅は、「災害救助法」に基づいた公営住宅の供与や民間住宅の借り上げによる支援が行われてきました。賠償金もろくにもらっていない避難者も多く、この住宅支援は避難者にとってはいのち綱。

現在、東京都の職員と福島県の職員が、避難者を個別に呼び出し、現在の都営住宅などからの事実上の退去を迫っています
場合によっては、「このまま済み続けるならば、違約金を支払うことになる」というような脅しもあるようです。

避難者は、経済的にも、精神的にも、追い詰められた状況となっています。
一方で、国が対応をとらなくても、自治体レベルでも避難者向け住宅支援の継続は可能です。 たとえば、鳥取県は平成31年3月まで県営住宅等の提供を延長する、埼玉県は県営住宅に関して自主避難者への優先枠を設定する、など独自の支援策を行っている自治体もあります。
新潟市、東京都千代田区・小金井市などでは避難者向け住宅支援の継続を求める意見書を採択しました。

アクション1)「原発事故避難者の住宅支援の継続を求める東京都民有志の会」による署名活動にご協力を
「避難者の住宅支援の継続を!」 とぜひあなたの声を届けてください。
オンライン署名は下記から。 https://goo.gl/p6wmBK

アクション2)FAXやメールで直接声を!

意見受付窓口  FAX 03-5388-1233  メール:koe@metro.tokyo.jp

例)「避難者の住宅支援の継続を!」「埼玉県は、避難者向けに都営住宅の優先枠を設けている。東京都でも同様の措置を!」「避難者を追い詰めるような個別面談ではなく、平場での説明会を!」

アクション3)東京都庁のお膝元の新宿駅西口にて、2016年5月25日(水)17:30~19:00を行います。ぜひご参加を!
http://www.act48.jp/index.php/petition-signed/2-uncategorized/43-2016-05-16-10-41-40.html

アクション4) 自治体議員に声を! 各地での意見書採択を! 呼びかけや雛形はこちらをご覧ください。
http://www.foejapan.org/energy/fukushima/160510.html

関連)6・4「守ろう、避難の権利  住宅支援打ち切りを許さない!」 原発事故被害者の救済を求める全国運動東京集会・板橋にご参加を!

避難当事者の方や、チェルノブイリ原発事故後の対応、私たちにできることなど、具体的な提起を行います。
http://www.foejapan.org/energy/fukushima/evt_160604.html

日 時 2016年6月4日(土)13:30~16:30
会 場 場所:板橋区立文化会館4F大会議室(板橋区大山東町51-1)  >地図
東武東上線「大山」駅 北口から徒歩約3分都営三田線「板橋区役所前」駅 A3出口から徒歩約7分
内 容 【特別報告】 尾松亮さん 「チェルノブイリ法」 ~原発事故後5年後の約束~

【住宅支援無償継続】  岡田めぐみさん(武蔵野スマイル)
東京に避難している当事者からの報告 避難者意向調査とこの間の政府交渉、自治体交渉での経過.避難当事者団体の動きと避難者の声

【助言と討論】 大西連さん(認定NPO法人自立生活センターもやい理事長)
住まいの権利獲得の為に活動している経験から区域外避難者の住宅支援打ち切り撤回に向けた取り組みに向けた提起

【避難指示区域解除と賠償/健診の拡大の必要性】 満田夏花(FoE Japan)

資料代 500円 (避難当事者は無料)
主 催 原発事故被害者の救済を求める全国運動実行委員会
申込み 不要 (会場に直接お越しください)
問合せ FoE Japan(エフ・オー・イー・ジャパン)
Tel:03-6909-5983, Fax:03-6909-5986,

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「8000ベクレル除染土を再利用」方針の撤回を求めて…署名提出と政府交渉報告

8000Bq_No_署名提出8000ベクレル/kg以下の汚染土を公共事業で再利用する方針の撤回を求める署名にご協力いただきまして、ありがとうございました。
5月2日に、一次集約分の10,305筆と、団体賛同いただいた92団体のお名前とともに、環境省に提出しました。引き続き、署名を呼びかけておりますので、ご協力をお願いいたします。>オンライン署名はこちらから
※なお、この問題が「わかりづらい」というご意見をいただいたので、署名用紙とともに配布できるように、簡単なQ&Aを作成しました。署名用紙とPDFファイルをダウンロードできます。Q&Aは2頁目です。
http://www.foejapan.org/energy/fukushima/160416_petition.pdf

5月2日の集会および政府交渉では100人を超えるみなさんにご参加いただきました。
事前集会ではおしどりマコさん、高木学校の瀬川嘉之さんに解説いただきました。
福島のみなさんにもかけつけていただき、政府交渉には、全員参加型で臨みました。
おかげさまで、多くの重要な問題が、明らかになってきました。
以下政府交渉の際の簡単なやりとりです。資料はこちら(PDF

質問1:原子炉等規制法第61条の2第4項に規定する規則(※)では、再生利用の基準は放射性セシウムについて100ベクレル/kg以下となっている。今回の環境省方針(8,000ベクレル/kg以下は再利用可能)は、同法に矛盾するのではないか。
※製錬事業者等における工場等において用いた資材その他の物に含まれる放射性物質の放射能濃度についての確認等に関する規則(平成17年11月22日経済産業省令第112号)

回答:100ベクレル/kgは、廃棄物をどのような用途で再利用もいいという基準である。8,000ベクレル/kgは、責任主体が明確な公共事業において、管理を行い、覆土などの遮蔽の措置を設けた上での再利用。なお、8,000ベクレル/kgというのは上限の値で、今後用途別に被ばく評価や手法を検討した上で、年1mSvを上回る場合には、より低い上限を設けていく。

関連質問)原発の敷地内においては、低レベル放射性廃棄物として浅層処分を行うものを、敷地外においては、公共事業に再利用するというのはおかしいではないか。
→明確な回答はなし。

関連質問)8,000ベクレル/kgは、よく使われる係数(65倍)でキログラム換算すれば、52万ベクレル/m2。電離則によれば、放射性管理区域から持ち出し不可のもの(4ベクレル/cm2=4万ベクレル/m2 )よりずっと高い。それを認識されているか。
→明確な回答はなし。

質問2:「8,000ベクレル/kg以下の除染土を公共事業での再利用可能」とする根拠は何か。

回答:確実に電離則及び除染電離則の適用対象外となる濃度として、放射性物質汚染対処特措法における規制体系との整合も考慮して、8,000Bq/kg以下を原則とした。

関連質問:セシウム以外の核種をなぜ考慮しないのか。ストロンチウムなどは計測できるのか。

→明確な回答はなし。セシウムが一番、重要と考えられるからというような趣旨。

質問3:当該方針を実施するための法的手段はどのようなものか(改正する法律名・規則名など)

回答:放射性物質汚染対処特措法に関連すると考えるが、具体的には、次回の検討会で議論される。スケジュールは決まっていない。

質問4:建設作業員、周辺住民の被ばく限度は、年間何マイクロシーベルトを想定しているか。

回答:追加被ばく線量として、年1ミリシーベルト。覆土等により、10マイクロシーベルト/年を実現する。

関連質問)
・「追加」被ばく量であり、年20ミリシーベルト基準で帰還させられた地域では、年21ミリシーベルトになってしまうが、どうするのか?
・「年20ミリシーベルト以下で帰還」基準との整合性は?
・他の化学物質等で、実際の濃度ではなく、住民等への暴露量として基準が決まっているものはあるか?
→いずれも明確な回答なし。

質問5:「4」の計算根拠を示されたい。ほこりの吸い込みによる内部被ばくを考慮するか。

回答:用途ごとの被ばく量を計算中である。次回の検討会で示し、議論される。内部被ばくも評価する。次回の検討会の日程はまだ決まっていないが、事前に環境省のウェブサイトに掲載される。

質問6.大雨、地震や津波などにより崩壊・流出は考慮されているか。

回答:今後、評価する。

質問7.検討会のもとにおかれた「放射線影響に関する安全性評価ワーキンググループ」のメンバー、議事録は非開示とされている。
環境省は、非開示の理由について、「ワーキンググループ関連資料は、ワーキンググループ委員による率直な意見交換を確保・促進するため、また、検討段階の未成熟な情報・内容を含んだ資料を公にすることにより、不当に国民の誤解や混乱を生む可能性があるため」としているが、非公開では、どのようなプロセスや根拠で本方針が導かれたのかガわからない。
匿名をいいことに、無責任な発言や決定が行われる可能性もある。
1)改めて、ワーキンググループのメンバー、資料、議事録の開示を求める。
2)ワーキングメンバーの選定はどのように行ったのか。
3)今後は、本件に関する国民の強い関心にかんがみて、当該ワーキンググループは、公開の場で開催すべきであると考えるがいかがか。

回答:ワーキンググループのメンバー、資料、議事録は開示できない。その理由はすでにお示ししたとおりである。なお、検討会の場で、ワーキンググループの結果が議論されるので、透明性は確保できる。

質問8:工程表に、「低濃度土壌の先行的活用」とあるが、具体的にはどのようなことか。

回答:分級処理、過熱処理などを行ったうえでの低濃度土壌を活用するというもの。場所や具体的な内容、どのくらい「低濃度」なのかについては、まだ決まっていない。

質問9「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略」の2016年度予算額およびその内訳を示されたい。

回答:
技術開発戦略策定調査(1億円)
専門家による委員会を設置し、①減容技術の現状及び課題とその対 応案、②再生利用に関する課題の検討、③減容・再生利用等技術開発 戦略の検討等を行う
直轄研究開発・実証 (10億円)
除去土壌等の減容・再生利用の早期実現に向け、ベンチスケールの 分級プラント等により、①機器の性能評価、②処理後の土壌性状や濃 縮残渣の各種試験、③土木資材等へのモデル的活用等を行う。
→具体的な場所はまだ決まっていない。
再生利用の促進に関する調査研究(1億円)
除去土壌等の再生利用に向け、関係省庁の研究機関や学会等とも連 携し、①再生利用先の用途、②再生資材の品質、③放射線安全に関す る評価項目の考え方等の検討を行う。
減容・除染等技術実証事業(2.3億円)
将来活用可能性のある技術の小規模実証・評価を行う。

予算

予算

質問10:本方針は、そもそも大量の除染土(最大約2,200万m3)の存在が前提となっている。住民の意向に沿っていない無理な帰還政策や、それに伴う無理な除染のあり方そのものを見直すべきではないか。

回答:除染土を減らすための努力は行っていく。

その他の質疑。

質問:福島県に住んでいるが、減容化施設が住民に説明もなく、いきなりつくられることに懸念している。
→きちんと住民の方々に説明を行っていく。

指摘:福島県の避難指示区域からの避難者だが、「帰らない」人が圧倒的に多く、それでも、「帰る」人のために除染に同意している。

質問:いったい誰がこのような方針を検討しろと言ったのか?
→とくに「誰が」というわけではない。

質問:建設業界団体か?
→いや、建設業界からは、むしろこのような資材は、「使いづらい」という意見もある。

指摘:コストをかけた高い建設資材を、ただでばらまく気なのか。

質問:自治体から、再生資材を使いたいという要望があるのか?
→ない。

質問:国が利用してもらうために「インセンティブ」をつけるということだが、具体的には?
→お金になるのか制度的なインセンティブになるのか分からないが、国としては利用を促していく

質問:まず、「再生利用」ありきではなく、再生利用するのかどうかということについて、広く意見を求めるべきではないのか。
→国民の理解を得るためのさまざまな施策をおこなっていく。

質問:撤回すべき、という意見が多い場合は、撤回されるのか。
→国民の理解を得ていくための取り組みを行っていく。賛否両論あると思う。必要に応じて、撤回ということもありうるだろう。

質問:管理型の処分場ですら、汚染物質がもれでることは枚挙にいとまがない。公共事業に使うということは、環境中に拡散されてしまうことになる。
→そのようなことがないように、今後、しっかりと管理手法を検討していきたい。

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「8,000Bq/kg以下の除染土を公共事業で再利用」方針の矛盾と危険性

「8,000Bq/kg以下の除染土を公共事業で再利用」方針の矛盾と危険性(解説と資料を掲載しました)

FoE Japanの満田です。「8,000Bq/kg以下の除染土を公共事業で再利用」方針の問題点について、解説します。

5月2日政府交渉資料>PDF  >署名はこちら  説明用パワポ資料

環境省「中間貯蔵除染土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会」は、3月30日、東京電力福島第1原発事故後の除染で出た汚染土に関し、8,000ベクレル/kg以下の汚染土を、「遮蔽および飛散・流出の防止」を行った上で、全国の公共事業で利用できる方針を決定した。「周辺住民などの追加被ばく量は、工事中は年間1ミリシーベルト、工事終了後は年間10マイクロシーベルトに押さえられる」としている。

しかし、そもそも3・11以前から今に至るまで、原発施設などから発生する100ベクレル/kg以上のものは、「低レベル放射性廃棄物」として、厳重に管理・処分されてきた。今回の「8,000ベクレル/kg以下、再利用しちゃえ」基準は、2011年時に、「非常時だから8,000Bq/kgを通常のゴミと同様に処分してしまえ」という環境省の方針を、さらに。緩めたものだ。

環境省は、8,000ベクレル/kgの除染土再利用したときに、「工事中年1ミリシーベルト、工事後、年10マイクロシーベルト」を確保するとしている。以下が環境省が示しているの放射線防護のイメージ図だ。

放射線防護のための管理のイメージ

放射線防護のための管理のイメージ2

が、驚くべきことに、どうやら、環境省は「8,000ベクレル/kg」の除染土を公共事業に再利用したときの被ばく評価はしていない。以下の資料からすれば、8,000ベクレル以下でも容易に、1mSv/年、10μSv/年を超える。

環境省)下層路盤材への再生利用における放射性セシウム濃度

(出典:環境省「安全性確保を前提とした 再生利用の考え方等について」平成27年12月21日 p.7)

環境省の資料からも、周辺の住民の被ばくのリスクや、環境汚染のリスクは十分うかがえる。

被ばく線量評価について

原子炉等規制法第61条の2第4項に規定する規則では、再生利用の基準は放射性セシウムについて100ベクレル/kg以下となっている。これは、原子炉施設のクリアランス・レベル(これ以下は放射性廃棄物として扱わなくてもよいというレベル)については、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会廃棄物安全小委員会において、2004年(平成16年)に報告書を取りまとめ、2005年(平成17年)に原子炉等規制法を改正し、クリアランス制度を導入した。これだって、相当「甘い!」という批判があった。
このクリアランスレベルを算出するための線量の目安は、10μSv/年とされた。さらに33種の放射性核種を想定。複数の核種の場合は、それぞれの濃度に応じた評価を行うこと、国の「検認」を2段階で行うこととしている。

(以下は原子炉施設のクリアランスレベルだが、単位がBq/gとなっているので、Bq/kgに換算するためには千倍となる。複数の核種が混じっているときは、その分量に応じて、トータルとして基準濃度を超えないようにすることになっている。)

クリアランス

クリアランス実施の手順

出典:原子力安全・保安院「原子炉等規制法におけるクリアランス制度について

今回の8,000ベクレル/kg再利用基準に関しては、上記のクリアランス基準が無視されたあげく、少なくとも、以下が説明されていない。

1)吸い込みによる内部被ばくは?…放射性物質が付着したほこりや浮遊粒子状物質が空気中に舞い上がり、相当程度、「吸い込み」により内部被ばくが懸念される。
2)累積被ばくは?
ただでさえ被ばくが懸念されるような地域の場合、さらに追い討ちをかけることに?
3)他の核種は?
放射性セシウムだけの評価でよいのか?

根本的には、本方針は、そもそも大量の除染土(最大約2,200万m3との存在が前提となっている。住民の意向に沿っていない無理な帰還政策や、それに伴う無理な除染のあり方そのものを見直すべきではないか

本戦略の対象は、福島県内における除染等の措置により生じた除去土壌等及び事故由来放射性セシウムにより汚染された廃棄物(放射能濃度が10万ベクレル/㎏を超えるものに限る)であり、その総発生見込み量(平成27年度1月時点における推計値)は、最大で約2,200万m3である。

除去土壌等の放射性セシウム濃度(平成27年度1月時点における推計値)

放射性セシウム濃度 除去土壌 内訳
8,000Bq/㎏以下 約1,000万m3 砂質土約600万m3、粘性土約400万m3
8,000Bq/㎏超10万Bq/㎏以下 約1,000万m3 砂質土約300万m3、粘性土約700万m3
10万Bq/㎏超 1万m3 主として粘性土

除染進ちょく

田村市、楢葉町、川内村、大熊町、葛尾村、川俣町、双葉町は面的除染が終了。

しかし、この除染は、早期帰還方針が前提であり、明確な線量低減の目標値もないままに進められている。

住民の多くは、「まだ帰還できない」と感じているのにもかかわらず、避難者の支援を打ち切り、半ば強制的に帰還を進めようとしている。
除染のあり方また、除染土の処理については、総合的で幅広い議論が必要だ。

住民の帰還に関する意向

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