「法的根拠」不明のまま進む除染土の再利用~撤回を求めて署名提出

みなさまにもご協力いただきました、「除染土の再利用方針の撤回を!」署名ですが、昨日6月11日、環境省宛てに15,374筆を提出しました。前回までの提出分27,246筆とあわせると、合計42,620筆となりました。厚く御礼を申し上げます。
署名では、除染土の再利用方針の撤回を求めるとともに、除染のあり方、除染土の処分のあり方に関しては、福島県内外の各地の幅広い人たちの参加のもとでの議論を求めるものになっています。

当日は、除染土の道路の路床材の実証事業が行われようとしている二本松市の「みんなでつくる二本松・市政の会」の菅野さん、鈴木さんにご参加いただき、また、除染土を埋める実証事業が行われようとしている栃木県那須町からも、田代さんが参加されました。まさのあつこさんに全体的な状況についてお話しいただきました。

環境省のこの除染土再利用方針については、以下の検討会の資料をご覧ください。
「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会」
この検討会の名称でもわかるように、環境省が除染土壌の「再利用」をする目的は、大量の除染土を減らすことにあります。

再利用の実証事業に関しては、その概要が直近の検討会資料に記されています。>資料

那須町・東海村での除染土の埋め立て処分の実証事業についての情報はこちらをご覧ください。>資料
政府交渉では、驚くべき事実が明らかになりました。

1.除染土の再利用についての法的根拠は不明

法的根拠を問われ、環境省は、「放射性物質対処特措法」41条を上げました。
しかし、環境省の除染土の再利用方針は、除染土の減容化を目的としたものであり、同法の目的に書かれている「事故由来放射性物質による環境の汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減する」という目的とは、本質的に異なるのではないかと思います。

第四十一条 除去土壌の収集、運搬、保管又は処分を行う者は、環境省令で定める基準に従い、当該除去土壌の収集、運搬、保管又は処分を行わなければならない。

ちなみに、この「処分」については施行規則はなく、環境省は、那須町・東海村における、埋め立て処分の実証事業や、一連の再利用の実証事業を踏まえて、作成するようです。

「実証事業の法的根拠は?」と問われると、同法の第54条(調査研究、技術開発等の推進)を上げました。
しかし、ここでも、「事故由来放射性物質による環境の汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響を低減するための方策等に関する調査研究、技術開発等」とされていますが、あくまで事業は、大量の除染土の減容化を目的とした、「再利用」であり、根本的に異なります。

2.飯舘村長泥地区の除染土再利用は、除染と「バーター」

長泥地区では、除染土の農地造成への再利用の実証実験が進められようとしています。
飯舘村から集められた除染土を運びこみ、農地をかさ上げし、上に覆土するというものです。

長泥地区実証実験イメージ
資料
環境省は、長泥の住民の理解を得られた、村からも事業を進めてほしいという要請がきたとしますが、飯舘村の支援を続けられている糸長先生から、長泥のみなさんは、この事業を受け入れなければ、復興拠点に指定されず、家のまわりを除染してもらえないという認識があったという指摘がありました。

環境省は、「条件というわけではない」「”バーター”と言ったかどうか確かではないが、バーターというわけではい」と言っていましたが、長泥地区を復興拠点(「特定復興再生拠点区域」)にする飯舘村の計画の中に、この除染土再利用という「環境再生事業」も記入されています。環境省としては村からの要望で進めていると言いますが、住民たちには、復興拠点事業と除染土再利用の農地造成実証事業が「セット」として説明されていたことが浮かび上がりました。

※たとえば、復興拠点計画の以下の文書の3ページ目に以下のように記されています。
「農の再生にあたっては、実証事業により安全性を確認したうえで、造成が可能な農用地等については、再生資材で盛土した上で覆土することで、農用地等の造成を行い、農用地等の利用促進を図る(環境省事業)。」

環境省は、「この除染土再利用実証事業がなければ、復興拠点に指定できないということではない」と言っていたため、「セット」ではない、ということをあらためて説明しなおすべきではないでしょうか?

3.実証事業で使われる土の詳細はわからない。

二本松でも那須町でも、実証事業で使われる土の汚染レベルなどについてはわかっていません。
「線量から推定するに、だいたい1,000ベクレル/kgくらいのレベルではないか」「実証実験については、決まっていないが1,000~2,000ベクレルくらいのレベルの土を使うのではないか」と言っていましたが、実際に使う土の汚染レベルという最も重要なことを決めずに、実証事業を行うということがありえるのでしょう
か?

4.本当に「実証事業」なのか?

長泥地区・二本松・那須町などで行われるのは、本当に「実証事業」なのでしょうか?
実証事業で、「安全性」を確認するのであれば、環境省が指針で示している上限の値(覆土にもよりますが、8,000Bq)でも大丈夫であるかどうかを示さなければなりません。
一連の「実証事業」は、実証というよりも、アリバイづくり、もしくは除染土を再利用することを、人々に「慣れさせる」ことが目的のように思えてなりません。

一方で、環境省は、「実証事業についてはさまざまな意見をいただき、検討している。白紙撤回も選択肢としてはある」というような趣旨のことも言っていました。

大量の除染土は確かに深刻な問題です。

だからといって、それを公共事業に利用することにより、環境中に拡散させてしまうことは許されるものではありません。環境省は、「管理主体が明確な公共事業で使う」としていますが、実際には、形上、管理主体が明確だったとしても、そこに埋められた放射性物質を「管理」できるわけではありません。

除染土をどうするのか。再利用ありきではなく、根本から議論を進める必要があるのではないでしょうか?

(満田夏花)

▼当日資料

まさのあつこさん資料

環境省からの資料(飯舘・二本松 実証事業資料)

環境省からの資料(5月17日、二本松実証事業説明r資料)

▼除染土再利用の反対を求め、署名を提出しました。

除染土再利用反対署名提出_180611

 

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