日本原電に東海第二原発を動かす「経理的基礎」はあるの?

東海第二原発の審査書案が8月3日までパブリック・コメント(一般からの意見公募)にかけられています!
まず第一弾として、以下のパブコメを提出しました。
ちょっと、募集されているパブコメの対象範囲をはみだしてしまっていますが…。
みなさまもぜひ! パブコメの提出の仕方やポイントは、こちらをご覧ください。

【日本原電の経理的基礎について】

日本原電の経理的基礎については、審査において大きな争点になったのにもかかわらず、また、多くの国民の関心であるのにもかかわらず、パブリック・コメントの対象とはされていない。パブコメの対象とするべきであろう。

結論からいって、日本原電に経理的基礎はなく、原子力規制委員会の「経理的基礎がある」という判断には以下の理由から根拠がないと考える。

発電ゼロにもかかわらず、巨額の電気料金収入

日本原電は2012年以降、発電量はゼロであるが、東京電力、関西電力、中部電力、北陸電力、東北電力から、毎年1,000億円以上の電気料金収入を得て、延命している。その額は、総額7,350億円にものぼる(2012~2017年度)。
逆に言えば、電力各社は、すでに6年もの間、日本原電に対して巨額の電気料金を払い続けている。これは多かれ少なかれ、電気料金に上乗せされている。すなわち、日本原電の延命のための資金を、全国の電力ユーザーが少しずつ負担していることとなる。なかでも最も高額の基本料金を支払っているのは東電であり、その金額は2017年度で520億円にのぼる(2011年度~2017年度は累計3,228億円)。

電気会社各社からの日本原電の電気料金の支払い

純利益の推移

敦賀原発1・2、東海第二原発が動いていた2003~2010年の純利益の平均は17億円。2011年~2017年の平均は25億円の赤字である。
東海第二原発を仮に再稼働できたとしても、敦賀1号機、東海原発の2つの廃炉費用を捻出しつつ、2010年以前のレベルに戻すことは難しい。
一方、安全対策費1740億円を、20年で回収するためには、年間87億円の収益を上げる必要がある。別の言い方では、2010年以前の利益のレベルに戻り、これを安全対策費の返済にあてたとして、返済には100年かかる。

日本原電_純利益の推移

巨額の建設仮勘定の資産性に疑問

日本原電の有価証券報告書では、建設仮勘定として、2017年度1,732億円が計上されている。この内容は不明であるが、仮に建設途上の敦賀3・4号機であるとするならば、新規原発を稼働できるかどうかは可能性が少なく、その資産性には疑問がある。仮に資産性がないと判断されれば、日本原電の純資産は1,649億円であるため、債務超過におちいる恐れがある。

銀行が融資保証を要求

銀行はこれ以上融資ができたいと日本原電への貸し付けに融資保証を要求した。2017年11月14日の審査会合で、原子力規制委員会は、日本原電に対して、債務保証の枠組みとして、だれが債務保証を行うのか、その意思はどうかについて、書面で示すことを要求した。しかし、銀行が債務保証を要求している時点で、日本原電の経理的基礎は怪しいとみるべきではないか。

東電・東北電からの書面は根拠にならない

日本原電は、2018年3月14日付で、東京電力と東北電力の二社に対して、「電気料金前払、債務保証等によって弊社に支援資金する意向を有している旨、書面をもってご説明いただきたく何卒よろしくお願いいたします」と要請を出した(2018年3月14日付)。ここで、債務保証のみならず、「電気料金前払」という言葉を入れていることに注意が必要である。
東電と東北電の二社は3月30日付で「工事計画認可取得後に資金支援を行う意向があることを表明いたします」と文書で回答。しかし、両者とも「なお、本文書は、…何ら法的拘束力ある約諾を行うものではないことを申し添えます」とも書いてあり、資金支援を確約したものではない。
この文書は、原発をめぐる電力会社のもたれあいの構造を示すだけであり、日本原電の経理的基礎を何ら示すものではない。

東電の日本原電支援意向表明

東電による日本原電支援は説明がつかない

融資保証であれ、電気料金の前払いであれ、巨額の公的資金が注入されている東電が、日本原電の支援を行うことは、まったく説明がつかい。実質的には、国の資金の迂回融資にあたるのではないか。

電気料金の前払いだとすると、再稼働できるかどうかもわからず、いつから、いくらとなるかもわからない。また、再稼働できたとして、日本原電は東京電力から得る電気料金から、前払いした分を減じた額の収入しか得られないこととなる。実際に発電をはじめたときに発生した諸コストは本来電気料金に含められるべきものであるがわからず、電気料金をさらに値上げしなければ経営を維持することはできない。

東京電力は、「良質な電源を安価で調達することは経営上のメリットがある」としているが、東海第二原発の電気は、決して安価ではない。東電による日本原電支援は、経営的な側面から行っても説明がつかない。(満田夏花)

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要支援者などの屋内退避用施設の3割が土砂災害警戒区域などに~「原発ゼロの会」調査を要請

共同通信が、原発から主に10キロ圏に整備されている17都道府県の257の放射線防護施設のうち、3割近くの69施設が土砂災害警戒区域や浸水想定区域など危険な場所にあることを報じました。各紙に掲載されました。

(東京新聞)原発避難先3割 危険区域 69施設 土砂災害・浸水の恐れ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201807/CK2018072102000274.html

放射線防護施設…原発事故時に避難が難しい高齢者や障害者らが、被ばくのリスクを下げるため一時的に屋内退避する施設。原発から主に10キロ圏にある学校や病院、特別養護老人ホームなどに放射性物質の流入を防ぐフィルター付きの換気設備などを設置する。内閣府の補助金交付は、耐震性があり、津波などの浸水被害を受ける可能性が低いことなどが条件。2016年12月、原則として生命に危険が及ぶ恐れがない地域に立地することが条件に加わった。

この記事の発端は、この記事にもでてくる、超党派の国会議員で構成される「原発ゼロの会」が、今回の豪雨被害を受け、内閣府を呼んで放射線防護施設の安全性についての説明を求めたところ、以下のような一覧表を内閣府が提出したとのことです。同会事務局長の阿部知子衆議院議員の事務所のご了承を得て、シェアさせていただきます。

>放射線防護施設の危険区域の状況(PDFファイル)

原発ゼロの会として、内閣府に以下を要請したそうです。

1.今回の7月豪雨において、放射線防護施設が立地する危険区域で土砂災害や浸水被害を受けたり孤立したりしたケースはないか、また、放射線モニタリングポストの流出や、放射線防護施設へ通ずる避難路や物流経路が被災したケースがないかを詳細に調査し、国民に公開することを求める。

2.豪雨、津波、地震などと複合的に原発事故が起きた場合、土砂災害や浸水からの避難と屋内退避は全く矛盾している。その矛盾した行動を避難弱者やその介助者等に求めるべきではない。従って、放射線防護施設の基準が満たされない限りは、政府として原発の再稼働を認めない制度を確立することを早急に求める。

3.放射線防護施設が危険区域(例えば伊方町では10施設中9施設が危険区域)にある場合、原子力事業者の責任と費用で放射線防護施設が危険区域外に移転が行われるよう義務を付し、移転の協力が放射線防護施設や在所者から得られない場合は、原子力防災の観点から原発再稼働を認めない制度を確立することを求める。

放射線防護施設は、移動が難しい要支援者などが避難させることができないことを前提に屋内退避を行うというものです。しかし、原発災害のときに、屋内退避をしても、救援は何日後になるかわからず、また、介護する人もとどまらざるをえません。そういうことを考えれば、そもそもつじつまあわせの非人道的な想定なのではないかと思います。さらに、土砂災害や浸水被害を受けるような場所に設定すべきではなく、そういう意味で、今回の「ゼロの会」の要請は、とても重要です。

自然災害が激甚化している中、原子力防災も複合災害を前提に考えなければならないのですが、現状はそうはなっていません。というか、複合災害を前提にした実効性ある原子力防災や避難計画は、不可能なのでしょう。であるならば、やはり原発は動かすべきではないという結論になるのではないでしょうか。(満田夏花)

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内閣府のページより【放射線防護対策工事の概要】

放射性物質除去フィルターの設置、窓枠部分の強化等の対策を講じます。

 

緊急声明:原子力規制委員会による東海第二原発の審査書案了承に抗議~スケジュールありきのアリバイ審査

国際環境NGO FoE Japan
原子力規制を監視する市民の会

本日(7月4日)、原子力規制委員会が日本原電・東海第二原発の設置変更許可にかかる審査書案を了承しました。今後、パブリック・コメントにかけられます。

今回の審査書案の了承は、多くの問題や危険性、実験で発覚したブローアウトパネルの閉鎖装置のトラブルにも目をつぶり、運転開始40年までに設置変更許可・工事計画・運転延長の認可を間に合わせるため日本原電を急がせた「スケジュールありき」のものです。私たちはこれに強く抗議します。

東海第二原発は、首都圏唯一の原発で、福島第一原発と同様の沸騰水型の原発。30km圏内には約96万人が居住します。まもなく40年の老朽原発でもあり、東日本大震災のときに津波をかぶり、つなわたり運転を3日半続けてようやく冷温停止にいたった被災原発です。周辺の少なくとも18市町村が運転延長もしくは再稼働に反対する意見書を可決しています。

審査では、日本原電の経理的基礎、防潮堤、ケーブルの防火対策、重大事故時における格納容器破損防止などが問題となりました。

とりわけ、経理的基礎については、大きな議論となりました。原発しか持たず、所有する4つの原発のうち2つは廃炉が決まり、現在発電を行っていない日本原電が破たんを免れているのは、東電、関電などがあわせて年間1,000億円の「電気料金」を支払っているからにすぎません。日本原電は1,760億円もの安全対策費を銀行から借りることができず、東京電力と東北電力が日本原電の求めに応じ経済的支援の「意向」を表明する文書を提出。しかし、これらの文書は実際には、資金支援を約束するものではありません。

東京電力は、福島第一原発事故の賠償・廃炉などの費用が払いきれず、巨額の公的資金や各地の電力消費者から徴収された電気料金が注入され、形だけ破綻を免れているのが実態です。さらには、被害者への賠償を値切り、ADRの和解案を拒否し続けているのです。そんな中、他社の原発の再稼働への財政支援をすることなど許されません。それなのに、原子力規制委員会は、東電・東北電の「支援」を前提に、審査書案を了承しました。

また、原子炉建屋の圧力を逃がすブローアウトパネル閉止装置の機能確認試験では、ブローアウトパネルが5cm空いてしまったのにもかかわらず、その改善案の検討は工事計画認可に先送りされました。これは、「通すことありき」の原子力規制委員会の姿勢を如実に示すものではないでしょうか。

私たちはこれに断固として反対し、審査書案の撤回と、審査のやり直しを求めます。

以 上

★こちらもよろしくお願いいたします。
【署名】東京電力さん、私たちのお金を日本原電・東海第二原発の再稼働のために使わないでください

個人署名(Change.org)>https://goo.gl/PjKJEB
署名用紙>PDF
団体署名>こちら
第三次締め切り:2018 年7月末日

180704

声明:第5次エネルギー基本計画の閣議決定に抗議する

2018年7月3日
国際環境NGO FoE Japan

本日(7月3日)、第5次エネルギー基本計画が閣議決定されました。私たちは、民意からも、現実からも乖離した今回の決定に強く抗議します。

1.非民主的な決定プロセス

エネルギー政策の立案に関しては、多くの市民団体が繰り返し要請したのにもかかわらず、公聴会などは開かれず、パブリック・コメントについても「集めた」だけであり、締め切りから2週間あまりで閣議決定してしまいました。パブリック・コメントを踏まえた公開の場での議論や、多少の文言の追加はあるにしろ、内容への反映は行われませんでした。 パブリック・コメントの対応表を見る限り、論拠を上げて脱原発の必要性を指摘する意見が多かったのに対して、それに対するまともな回答はありません。

策定のプロセスにおいて、審議会メンバーのほとんどは、脱原発を願う一般市民の声をほとんど考慮することなく、世論から乖離した発言を繰り返しました。「ご意見箱」によせられた意見についても分析や検討等はされませんでした。

このようなプロセスは、我が国のエネルギー政策の非民主的性格をあらわすものです。エネルギー基本計画の中では、繰り返し「国民の信頼の回復」という言葉が使われ、また、「一方的に情報を伝えるだけでなく、丁寧な対話や双方向型のコミュニケーションを充実することにより、一層の理解促進を図る」としていますが、まったくの空文です。これが是正されない限り、エネルギー政策に対して、国民の信頼を得ることはできません。

2.「ファクト」のねじまげと、
無視された重要な「ファクト」

本計画では、原発は「運転コストが廉価」である、原発は「安定供給に優れている」、原発は「準国産」、再生可能エネルギーは「火力に依存している」、「世界で最も厳しい水準の規制基準」など、明らかに誤りが繰り返し記述され、原発維持を正当化するような誘導が行われています。一方で、以下のような重要なファクトは無視されてしまっています。

  • 東京電力福島第一原発事故はいまだ継続中で、甚大で回復不可能な被害が広範囲にわたり生じている。ふるさとや文化、自然や人々のつながりが失われた。いままでの暮らしが失われた。各地で住宅の提供を打ち切られた避難者が困窮し、貧困化している。人々は分断されてしまっている。被ばくによる健康リスクと不安が生じているが、それを口にすることすらだきない空気となっている。事故原因の究明は終わっていない。廃炉・除染・賠償等の費用が膨れ上がり、政府試算でさえ5兆円、さらに上振れするといわれている。大量の除染土は行きどころがなく、公共事業で使うというような方針が出されている。
  • 原発をめぐる根本的な問題:解決できない核のゴミ問題、事故リスク、コスト、被ばく労働、大規模集中型の電源ゆえの脆弱性…
  • 国民の多くが原発ゼロを望んでいる。2012年に行われたエネルギーの未来に関する「国民的議論」においては、検証委員会は、「少なくとも過半の国民は原発に依存しない社会にしたいという方向性を共有している」と結論づけ、政府は、原発ゼロの方向性を盛り込んだ革新的エネルギー・環境戦略を策定した。世論の傾向はその後も大きな変化は見られない。
  • 原発の建設費用が激増している。たとえばトルコで三菱重工などが計画しているシノップ原発(2基)当初2兆円が4兆円に。イギリスで日立が計画するウィルヴァ原発(2基)は3兆円に倍増。
  • 東芝が、原発事業が原因で、経営破綻しかけた。
  • 東京電力は、福島第一原発事故により実質破たんしたが、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」を経由した公的資金や各地の電力会社からの資金により、延命している。それにもかかわらず、東電は原発事故被害者への賠償を値切り、ADRの和解勧告を拒否し続けている。
  • 現行の原子力規制基準やその運用は原発の安全を保障するものではない。
  • 核燃料サイクルは破たんしており、まったく実現のめどがたっていない。

3.再処理の放棄を

プルトニウムの削減をプルサーマルの推進に求めることは、まったく本末転倒です。これ以上、プルトニウムを増やさないためにも、再処理・核燃料サイクルの破たんをみとめ、撤退すべきです。

4.抜本的なエネルギー政策の見直しを

私たちは、東電福島第一原発事故への深い反省や解決不可能な核のゴミ問題など、原発をとりまく厳しい情勢、気候変動はまったなしの課題であること、また近年のエネルギー情勢の変化を踏まえ、抜本的で民主的なエネルギー政策の見直しを行うべきだと考えています。

1)早期の脱原発を明記すべき
2)すでに破たんしている核燃料サイクルを中止すべき
3)原発輸出は撤回・中止すべき
4)石炭火力推進はパリ協定に逆行、新増設・輸出は中止すべき
5)持続可能な再生可能エネルギーの推進と、エネルギー需要削減を
6)地産地消で小規模分散型のエネルギー構造を

以 上

※第5次エネルギー基本計画はこちら
※パブリック・コメントの結果はこちら

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