台湾・エネルギーシフトの現場をたずねて(その2)

台湾報告その1はこちら

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台湾中西部に位置する台中市。台中でもっとも大きな産業は農業だそうですが、工業地区も存在します。脱原発を決めた台湾ですが、台湾の発電量の15%程度を原発が占める一方、8割程度を化石燃料(石炭・天然ガス・石油など)で賄っています。大気汚染の問題も非常に深刻で、石炭火力発電所に反対する市民運動も起きています。

台湾エネルギー

IEAのデータを元に作成

石炭火力をめぐる市民運動を視察するため、雲林と台中の市民団体を訪ねました。

雲林で迎えてくれたのは、この地域で活動している現地の方です。
雲林では2015年に(低品質)石炭の使用を制限する決定がされたにもかかわらず2017年に環境当局がこの方向性に反する(石炭の燃焼可能量の引き上げ)決定を行いました。大気汚染の改善を求めている市民らは、これに抗議しており、雲林の庁舎の前での座り込み、情報発信、デモなどの活動を行っているそうです。

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雲林役所前での座り込み

抗議活動に参加している王さんは、自ら立ち上げているSitster Radioというインターネットラジオを活用し、工場による汚染や石炭火力の問題点について情報発信をしています。
王さんらによると、未だに地元の関心はまだ低く、戸別訪問をして問題を訴えたり、学校を訪問して健康問題などについて情報共有を行っているそうです。

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王さん。女性の権利の活動家でもある

具体的に彼らが問題視しているのは、フォルモサペトロケミカルの工場と隣接する麥寮(Mai Liao)発電所です。工場から発生する排気により、周辺のPMの値が高く、近隣の幼稚園は2度の移転を余儀なくされました。

 

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フォルモサの工場

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新しい小学校。しかしこちらもすでに閉鎖された。工場地帯から車で2、3分のところにある

脱原発・脱石炭運動に関わるLiao(リャオ)さんは、廃棄物の問題も独自に調査しています。
石炭灰の処理に関する明確なルールがなく、クロムなどとても毒性の高い物質を含んだ廃棄物が投棄されているとのこと。しかし違法とはいえず、法の抜け穴になっているそうで、規制の必要性を話していました。

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不法投棄の問題について説明するリャオさん

 

次に訪れたのは台中。台中ではAir Clean Taiwan(ACT)の皆さんと意見交換を行いました。ACTは幾つかの団体があつまってできた大気汚染の改善と脱石炭を訴えるネットワーク組織で、もともと脱原発団体や環境団体、青年団体のあつまりだったものが、最近一つ組織として独立したそうです。

この2月、ACTはその他のNGOや市民団体とともに大規模なデモを計画。
数万人がデモに参加し、脱石炭やパワーシフトを訴えました。

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デモの様子写真:350.org Taiwanウェブサイトより

ACTの特徴は多くのお医者さんが参加している点です。ACTの代表も医者で、大気汚染が原因とみられる疾病を多く診てきたそうです。また、台湾ではお医者さんが社会的にとても尊重されるので、市民運動を盛り上げる上で、たくさんの医者が関わったことは重要だったと話していました。

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ACTや主婦連の方と意見交換

台中には台中石炭火力発電所という台湾で一番大きな発電所があります。
1986年に建設が開始され、1991年から稼働しています。

実は、ちょうど台中を訪れた日に環境当局(EPA)が大気汚染対策に関する公聴会を開催しており、傍聴することができました。大気汚染は台湾全土で大きな問題となっており、政府も対応を迫られています。

会場からは、EPAの用意したデータではPMの3割ほどが中国から来ているとしているがそれの裏付けはなにかといった質問や、透明性が不十分、これまでの市民からの要望に答えていない、詳細な政策施工のタイムラインがない、移動汚染源(車など)への比重が大きく発電所などの固定汚染源への対策に欠けるなど、さまざまな意見が飛び交いました。
(公聴会はこちらで視聴できます→https://www.youtube.com/watch?v=28gCT_IvlCQ

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公聴会の資料

台湾は、大気汚染対策のための14(+N)の政策を今年発表しています。

その3に続く…

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