横須賀石炭火力訴訟控訴審、わずか2回で判決へ・・

10月20日(金)、横須賀石炭火力訴訟の控訴審2回目がありました。

★横須賀石炭火力訴訟とは?
→横須賀火力発電所の新1・2号機(石炭火力)の環境影響評価書確定通知の取り消しを求める行政訴訟です。2019年5月に提訴されましたが、2023年2月「原告らの訴えをいずれも棄却する」という判決が言い渡されました。原告はその後控訴しています。
https://yokosukaclimatecase.jp/

まず、原告の一人の岩澤由美子さんから、ここ数年の夏の暑さの厳しさを身に染みて実感、特に今年の夏が厳しかったことをお話しされました。高齢で生活保護を受けている友人がいて、エアコンを持っていないため熱中症にならないかいつも心配しているとのこと。気候変動が、いのちや暮らしを脅かしていると訴えました。

次に弁護団長の小島延夫さんから弁論。
気候変動影響の深刻化、熱中症の深刻な増加、日本近海の海水温の上昇と、それらとも関連する豪雨災害の激化などについて話しました。
さらに、環境アセスメントでは、CO2排出について評価項目に入っていないこと、取りうる他の選択肢(複数案)を検討していないことほか、漁業被害、解体工事の際のアスベスト飛散、PM2.5、光化学オキシデントについても調査をしていないことなどを挙げ、環境影響評価の確定通知の取り消しを再度訴えました。

>詳細・これまでの経緯はこちら
https://foejapan.wordpress.com/2022/06/06/yokosuka-file13/

その後、千葉恒久弁護士から、IPCCの評価報告書の作成メンバーにも入っている江守正多氏の尋問を求めました。

被控訴人(国)の代理人からは、必要ないとの意見。
裁判長と裁判官らで1-2分ほど裏で相談をしたのち、「必要なし」とし、次回判決の日程(2024年2月22日(木)11時~)が言い渡されて終わりました。

控訴審がわずか2回で打ち切られることに。横須賀からバスで来られた原告団のみなさん、そしてほぼ満席の傍聴席からため息がもれました。

アメリカ・モンタナ訴訟やオランダ・URGENDA訴訟など、世界で気候変動訴訟での勝訴が見られるなか、日本ではまだまだ、気候危機とCO2排出や石炭火力発電について、裁判所としての検討や判断は見られず、国の政策を追認しているようです。
(吉田明子)

FoE USを含む25のアメリカの環境団体、バイデン政権に木質ペレット工場への補助金取り止めを求める書簡を発出

9月27日、FoE USやレーチェル・カーソン協会を含むアメリカの環境団体(25団体)は、エンビバ社がアラバマ州とミシシッピ州に新設する木質ペレット工場に関してバイデン政権に書簡を送り、エンビバ社をはじめとする木質バイオマスの権益者が、アメリカの内国歳入法(Internal Revenue Code)に基づく「適格先端エネルギープロジェクト(48C)」による税控除を利用できないようにすることを求めました。

この48C税控除は、エネルギーと製造セクターをクリーンエネルギーに移行させるプロジェクトへの投資を加速させることを目的とし、インフレ抑制法(Inflation Recuction Act)により100億ドルの増額を受けています。書簡では、米国エネルギー省は、温室効果ガスや汚染の削減などに基づいて申請者を精査すべきであり、木質バイオマスを対象とすることは大きな過ちであると訴えています。

詳しくは、FoE USのウェブサイトをご覧ください(英語) https://foe.org/news/doe-48-tax-credit/


【関連ブログ】米レイチェル・カーソン協会、拡大する木質ペレット産業に関するレポート「グリーンウォッシング」を発行

レポート「グリーンウォッシング」では、上述のアメリカ内国際入法を含む木質産業ペレットに対するインセンティブや産業構造について詳報されています。ブログで概要を紹介していますのでご参考ください。https://foejapan.wordpress.com/2023/10/27/biomass_news1/

米レイチェル・カーソン協会、拡大する木質ペレット産業に関するレポート「グリーンウォッシング」を発行

アメリカの木質バイオマス産業の実体を詳報するレポート「グリーンウォッシング」がレイチェル・カーソン協会(Rachel Carson Council: RCC)から発行されました。本レポートは、アメリカの木質ペレット産業を支配する力について書かれた「Clear Cut(皆伐)」、木質ペレット産業を支えるカネについて書かれた「Bad Business(悪のビジネス)」に次ぐ3冊目です。

「グリーンウォッシング」は、木質ペレット製造の主要企業であるエンビバ社とドラックス社の慣行を中心に、アメリカの木質ペレット産業の全体像、木質ペレット生産の増加を可能にしている政策、そして木質ペレット生産による気候正義と地域コミュニティや環境への影響について、環境団体・大学・研究機関による調査結果をまとめたものです。

ここではレポートから、アメリカの木質ペレット産業に対するインセンティブについて書かれた一節から要点をご紹介します。


  • 米国エネルギー省(Department of Energy: DOE)と米国農務省(Department of Agriculture: USDA)をはじめとする様々な省庁や法令が、木質ペレット生産における減税や木質ペレットが持続可能であるというお墨付きを与えている。
  • DOEとUSDAは、木質ペレットに関する減税やプログラム実施に毎年130億ドルを投入している。米国財務省(Department of Treasury)を通じ、木質バイオマスは2つの減税プログラムの対象となっている。
    • 減税プログラムとは、米・内国歳入法(Internal Revenue Code)のセクション45に基づく再生可能エネルギー生産税控除(Production Tax Credit: PTC)とセクション48に基づく再生可能エネルギー導入投資税控除(Investment Tax Credit: ITC)のこと
  • 米下院で可決された「ビルド・バック・ベター法」(Build Back Bettter Act, より良い復興の意味)には、老齢林(old-growth forest)の保護に5,000万ドルの助成金があるが、バイオマスを持続可能と分類し、バイオマス燃料のための森林管理を認めている。
  • エンビバ社やドラックス社をはじめとする木質ペレット産業は、政府など様々な主体から補助金や助成金を得て、木質ペレットの生産を拡大している。たとえば、エンビバ社はペンシルバニア州ノーザンプトン郡の工場だけで、2011年以降に30億ドル(1ドル149円換算で4,470億円)もの大金を手にしている。

レイチェル・カーソン協会のレポートは、いずれも英語版のみですが、アメリカの木質ペレット産業の構造や実態が詳報されています。


【関連ブログ】FoE USを含む25のアメリカの環境団体、バイデン政権に木質ペレット工場への補助金取り止めを求める書簡を発出

レポート「グリーンウォッシング」で問題視されている木質ペレット産業に対する減税プログラムに関連して、レイチェル・カーソン協会やFoE USを含むアメリカの環境団体、25団体がバイデン政権に書簡を発出しました。ブログで概要を紹介していますのでご参考ください。

https://foejapan.wordpress.com/2023/10/27/biomass_news2/

インターン体験報告~気候変動を深く学ぶ

こんにちは!FoE Japanインターンの白山です!

この度は、8月から9月中旬にかけて活動させていただきました。その中でも、8月9〜14日に行われた福島ぽかぽかプロジェクトや9月上旬の里山活動、代々木で行われたイベント「ワタシのミライ」について報告させていただきます。

福島ぽかぽかプロジェクト

福島第一原発事故は今から12年前に起きた事故ですが、今もなお根強い影響が続いている深刻な問題です。原子力発電所が爆発したことによる放射能の拡散はその地域に住む人々、自然環境などに多大な影響を及ぼしました。そこで、長く続く原発の問題を身近に抱える方々に寄り添って共に生活し活動する取り組みとしてFoE Japanでは福島ぽかぽかプロジェクトが行われています。福島ぽかぽかプロジェクトでは、猪苗代にて、原発事故でさまざまな理由で避難できなかったり帰還を余儀なくされる事態が生じた現地の方々やその子どもたちが、心おきなく野外で活動したり、保護者のみなさんが不満や悩みを話したり、楽しく環境教育もかねて活動できる取り組みとして展開されています。

今回は私は8月9日〜11日の3日間参加しました。参加者はボランティア含め30名ほどの人数でした。すでに以前から参加していらっしゃる方々は初めて参加した僕にもへだたりなく明るく元気に接してくださりとても心地よい環境で活動することができました。

1日目は夜に合流し、2日目は猪苗代湖での湖水浴、3日目は、檜原湖で遊んだりカヌー体験をしました。子ども達や保護者の方々との仲を深める時間がたくさん設けられました。子どもたちはすごく元気で、湖水浴の後でもたくさん遊んでおり、体力の多さに驚きました。

この日程中の全ての食事についても環境や身体のことに配慮した食材を支援していただいていました。そこで、自分の私生活においてもさまざまな身体や環境への影響などについて考えていくべきだと改めて感じさせられました。

自分は全日程の前半3日間の参加でしたが、ぽかぽかを通して学べたことや気づいたことがたくさんありました。ぽかぽかで大切にしていることは、すべての人をあるがままを受け入れることと、ボランティアにとって大切なことは、子どもたちと同じ目線で対するということです。それを踏まえて、子どもたちと近い距離で寄り添うことの重要さ、だからと言って自分も楽しみすぎず、子ども達を見守ることを怠らないことが大切だと強く感じました。また、たくさんの子どもたちがいるため、個人個人を尊重し、普段の生活ではあまりしないような自由な環境で自由に過ごせるように接することもぽかぽかにおいて大切だと感じました。

最後に、普段できないような色々な人と関わって同じ作業を行うことや、生活するという貴重な体験をすることができとても良い経験になりました。それに加え、現在起こっている原発の問題含め多くの事柄についても考え直すことができました。また、自分を見直す良い機会になったと思います。福島に暮らす子どもたちやその親の苦労や大変さも知り、自分たちにできることを考え直し、福島の問題が少しでも良い方向へ向かっていけるようにできることをしていきたいと感じました。

宇津木の森里山再生活動

続いては9月10日の東京都八王子市での里山活動についてです。今回初めて八王子市に足を運びましたが、このような森林地帯を見て東京にもこのような自然豊かな空間があることに驚きました。

今回の里山の活動では、栗拾い、イガの掃除、薪割りなどを行いました。普段室内で活動していたので、暑い中体を動かして汗を流して活動できてとても気持ちよかったです。参加した方々はお子さん連れのファミリーから長く参加し続けている地域の年配の方まで様々でした。その年配の方々は近くにお住まいの方から他県や遠方から足を運んで参加していらっしゃると聞いて驚きました。このことからも、この里山、自然を守りたいと言う思いが強く感じられました。

里山と言う言葉は、大学の授業でも耳にする単語でしたが、実際どのようなものが里山でどうあるべきかなどは参加する前まではピンと来ていませんでした。しかし、活動を通して適切な手入れを加え里山のあるべき姿を守り、維持し続けることが里山において大切なのだと知りました。

自分も自然は好きなので、開発が進む東京都内にもこのような自然環境が守り続けられていることに感動しました。この空間が残っているのは、これまで自然を守り続けようと取り組んできた方々のお陰であることを活動を通して実感し、これからも守り続けて欲しいと強く思いました。そのために私たちに出来ることを親身に考えていくべきだと感じました。

ワタシのミライ 9.18イベント

最後に9月18日に東京都の代々木公園にて行われたイベントの「ワタシのミライ」についてです。このイベントは、再エネ100%と公平な社会を目指すために活動するたくさんの団体が参加し、それぞれのブースやステージなどで、楽しく盛り上がりながらも環境問題について考え発信していくイベントでした。このイベントの最後には原宿から渋谷にかけてパレードが行われ、再エネ100%や脱原発などを訴える行進が行われました。それにはのべ3,000人以上もの人が参加し、ものすごい規模でとても驚きました。

子ども連れのファミリーから年配の方々までたくさんの人がこのイベントを知って足を運んでくださいました。また、イベント最後のパレードでは、参加者だけでなくパレードを目にしたたくさんの人にも印象を残すことができたと思います。1日を通して、参加者、足を運んでくださった方々含め多くの人が楽しくイベントを進めることができて、とても充実した1日になりました。

今回のインターンでは、ボランティア参加の他に、気候変動かるたについてのInstagram投稿用のスライド作りをメインに活動しました。選んだトピックは5種類でしたが、色々な要因が気候変動につながっていることを改めて知る機会になり自分の勉強にもなり、この投稿を多くの人が見て気候変動について関心を持ってくれればいいなと思います。

最後になりますが、この約1ヶ月ものインターン活動の間FoEの皆さんにはたくさんお世話になりました!この期間を経て、気候変動や環境問題について知識や考えを深めることができました。学校の授業では体験できないことに参加させてもらい、いろいろな面で貴重で良い経験になりました。本当にありがとうございました! (インターン 白山祐)

インターン体験報告~「正しい支援」とは何か?

FoEインターンの栗原志歩です。

8月の初めから9月末の計16日間FoE Japanでインターンとして活動させていただきました。これは16日間の実習の活動報告ブログです!メインの作業は「世界の気候変動かるた」を使った調べ事でした。かるたからいくつか選んで問題の背景を調べ、最終的にはInstagramに投稿することを目標に作業をしました。私は以下の4つのかるたを調べました。

左上のカードから順に森林の減少・劣化について、鉱山開発による環境破壊・社会問題について、ファッション産業の環境・労働問題について、パーム油生産による環境・社会問題について調べました。

調べていくとこれらの4つの問題は、どれも私たちの理想の生活の追求によって起きているということが共通していました。また、ほとんどの人が今の便利な生活が成り立っている裏側で何が起きているのか知らないということもそうです。

この課題に取り組んだことで問題に対する意識がより一層強くなり、自分のすべきことは何かとても考えさせられました。最終日には調べたことの発表もしました。充実した内容で発表できたと思います。私自身も調べて初めて知ることが多く、とても勉強になりました。良い経験になりました!

その他にも、多くの活動に参加させていただきました!

福島ぽかぽかプロジェクト(6日間)

ぽかぽかプロジェクトは、線量を気にせずに子どもたちが野外で思い切り遊べる場、被ばくについて親たちが話せる場を設けて心身の健康や免疫力を高めるという週末保養です。6日間の活動やスケジュールの詳細は、福島ぽかぽかプロジェクトのブログに私が書いた記事が掲載されているので是非チェックしてみてください!

【開催報告】2023年8月第2弾ぽかぽかプロジェクト

今まで原発事故や放射性廃棄物などの問題について気にしてこなかったのですが、この保養活動に参加してから関連する問題のニュースや記事を見るようになりました。また、ぽかぽかの活動で子どもたちや親とボランティアのみなさんと6日間過ごしたことで、子どもとの接し方やボランティアの在り方など多くの学びがありました。

原発問題について興味を持つきっかけとなった活動になりました!また参加したいです!

猪苗代湖で湖水浴
世界の気候変動かるたで遊ぶ子どもたち
ボートで移動中
スイカ割り
花火

ALPS処理汚染水の海洋放出に関する政府交渉・署名提出の見学

実際に政府に交渉している様子を間近で見るというとても貴重な経験をさせていただきました。政府交渉が始まると一気に会場の雰囲気が変わり圧倒されました。政府と市民の処理汚染水に対する考え方や意見の違い、質問に対する回答の曖昧さなどにもどかしい気持ちになりましたが、良い経験になりました。

インターンレクチャー(気候正義、処理汚染水、パワーシフトについて)

気候正義、処理汚染水、パワーシフト…どれもFoEでインターンを始めてから知った言葉でした。

  • 気候正義

「気候変動を引き起こしている社会の仕組みを変えること」と「性別や人種、文化的・政治的な差別をなくすこと」を同時に目指すという意味が込められた言葉。

  • 処理汚染水

燃料デブリ(核燃料が溶け落ちたもの)の冷却水と原子炉建屋やタービン建屋内に流入した地下水や雨水が混ざり合うことで発生した汚染水を多核種除去装置(ALPS)で処理したもの。政府はこの処理汚染水の情報を明らかにしないまま、放出を反対している市民の声を押し切って8月24日に放出を開始した。

  • パワーシフト

持続可能なエネルギー社会の実現のために、再エネの電力会社に切り替えるなど電力のあり方を変えていくこと。

それぞれ上記のことを学びました。どれも重要な問題や考え方で自分自身がどの様に関わっていけばよいのかとても考えさせられました。

里山再生活動(栗拾い・イガの片づけ)

東京都・八王子「宇津木の森」で里山再生活動を行いました。9月の里山では、栗拾いを行いました🌰初めての栗拾いだったため、栗をイガから取り出す作業にとても苦労しました。イガの片づけは、意外にも力仕事で体力が奪われとても大変でした。疲れる作業でしたが、持続可能な森林・里山に貢献したいため今後も参加したいです!

大量に採れた栗

「ワタシのミライ」の記者会見

18日に行われるイベントに向けた記者会見のお手伝いをさせていただきました。記者会見ではワタシのミライとは何か、どのような思いをもって企画されているのかを知ることができました。私が思う理想の未来は何か考えさせられました。ワタシのミライへの思いをしっかり持って18日のイベントとパレードに挑みたいと思った時間でした。

「ワタシのミライ~No Nukes & No Fossil 再エネ100%と公正な社会を目指して~」のイベント&パレードへの参加

9月18日(月・祝)に代々木公園で行われた気候危機と脱原発へ声を上げるイベントとパレードに参加しました。気候危機や脱原発というと堅苦しいと思うかもしれませんが、ユニークな音楽ライブや個性あふれる楽しいブース出展、オーガニックやヴィーガンメニューが豊富なレストランカ―、カラフルで楽しいパレードなど参加しやすく楽しいイベントでした!

私はこのイベントで、インスタライブの配信やカンパ集め、パレードなど多くの初めてを経験しました。初めてのことにとても緊張しましたが、終わってみると達成感がすごくあります。良い経験になりました!

イベントとパレードの様子の詳細は、FoE Japanのブログに私が書いた記事が掲載されています。是非チェックしてみてください!

「自分も社会を変えるひとり~ワタシのミライに参加してきました!~」

イベントの様子
パレードの様子

最後に

私はこのインターンの目標として、「正しい支援」とは何かを学び、自らがアクションを起こせる人になるということを掲げました。

様々な活動を通して、スタッフのみなさんと働かせていただいて、NGOの仕事には問題に対する熱量や活動への積極性、諦めない姿勢や体力など多くのことが必要だということを学びました。また、正しい支援とはそれを必要としている人に寄り添い、彼らが何を求めているのかをよく考えて行動を起こすことだと知ることができました。

自らアクションを起こせるようになるという目標は、これからも意識して取り組みたいため、今後もFoEの活動やセミナーに積極的に参加し、目標を達成できるようになりたいと思っています。貴重な経験をたくさんさせていただきありがとうございました! (インターン 栗原志歩)