蘇我にもう発電所はいらない—「公害」の歴史ある土地で進むあらたな建設計画

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Day of Action!

10月14日、FoE Japanは「蘇我⽯炭⽕⼒発電所計画を考える会」とともに、蘇我石炭火力発電所の建設予定地をめぐり、建設に反対をするアクションを行いました。
千葉市は川崎製鉄所(現JFEスチール)の工場が原因の大気汚染で健康被害に苦しみ、公害裁判がたたかわれた街でもあります。今でも工場から排出される排気ガスや煙が周辺の住民に影響を及ぼしており、そんな中での石炭火力発電所の新規建設は住民の反対や懸念を生んでいます。

また10月13,14日は、石炭火力や原発など環境や社会に大きな悪影響を及ぼすエネルギーに対してノーと言い、地方分散型でより持続可能なエネルギーを求める市民が世界中でアクションを起こす「Day of Action(デイ・オブ・アクション)」でもありました。
日本だけでなく、インドネシア、バングラデシュ、ネパール、オーストラリアなどでFoEの仲間や市民が声をあげました。

公害の歴史

千葉県千葉市の住民は1951年にできた川崎製鉄所(現JFEスチール)の工場からの煙による深刻な公害被害に苦しんできました。

1972年、公害対策を求める保護者、行政職員、学校の先生やお医者さんなど幅広い市民があつまり「千葉市から公害をなくす会」が結成されまました。千葉県千葉市の当時の市民の2割に当たる7万5千人もの人々が賛同し「公害防止基本条例制定」の直接請求がなされましたが、却下され、1975年「子どもたちに青空を」という願いのもと住民らが提訴。「あおぞら裁判」が始まりました。

1988年、千葉地裁は川崎製鉄の排出する大気汚染と住民らの健康被害との法的因果関係を明確に認め、川崎製鉄に対しては損害賠償を命じ、原告勝訴の判決を言い渡しました。大気汚染と公害患者の病気との法的因果関係が認められたこの裁判の結果は、後に続く各地の大気汚染公害裁判の励みとなりました(1)

そんな、公害とたたかってきた市民の歴史あるまちで、新たな石炭火力発電所の建設が進もうとしているのです。

あらたな石炭火力発電所計画

現在、千葉市中央区で設備容量107万kWの⽯炭⽕⼒発電設備の建設計画が進んでいます(「蘇我⽕⼒発電所(仮称)」)。同発電所計画は、JFEスチール(旧川崎製鉄)と中国電力が出資している千葉パワー株式会社が事業主体です。現在、環境影響評価法等に基づく環境アセスメントの⼿続きが進められています。

今でも、近隣住⺠はJFE スチール東⽇本製鉄所が原因と考えられる⼤気汚染に悩まされており、汚染物質の排出がさらに増えることに強い懸念を⽰しています。

「蘇我石炭火力発電所計画を考える会」の調査によると、現在も「網戸や物干し竿が、毎日ぞうきんでふいても真っ黒でベタベタしている」などといった黒い粉塵への苦情が役所に寄せられているとのこと。また同会が実施した市民アンケートでは、アンケートに回答した市民の9割が発電所建設に反対しているそうです(10月16日現在、1万枚配布中331名が回答)(2)

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ポートタワーからの景色。石炭やスラグが野積みになっている。

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コンビナートから約1キロのところにあるマンションの壁

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ベランダに一週間放置したシャーレにたまる粉塵

事業者に出資しているのは、これまで公害を引き起こしてきたJFEスチールと、地元からは遠く離れた中国電力で、発電所はJFEスチールの敷地を使います。住民らは、石炭やスラグが野ざらしになり、粉塵がまっている現状の改善をまず、と訴えています。
発電所の建設予定地の半径5km圏内には、学校やスポーツ場などの公共施設が立地しています。もし石炭火力発電所が建設され、稼働を始めたら、排出する大気汚染物質による地域住民への追加的な影響が懸念されます。建設予定地は公害裁判を経て、環境が改善されてきた地域です。新たな石炭火力発電所建設により、せっかく改善を試みられてきた土地が、再度汚染されてしまう可能性があります。

また、石炭火力発電は、いくら効率が良いといわれる技術を使ったとしても、化石燃料の中でも一番多くのCO2を排出し、その排出量はLNGの約2倍になります。地球温暖化の原因となり、異常気象や集中豪雨・干ばつなど気候変動を加速させます。

国際的な脱石炭が進み、日本国内の電力需要も今後減少していくとみられる中で、本当に石炭火力発電所が必要なのでしょうか。

蘇我火力発電の問題点がまとまったパンフレットはこちら

東京湾の会の蘇我に関するページ

【事業概要】
発電所名:(仮)蘇我火力発電所
事業者:千葉パワー株式会社(出資者:中国電力・JFEスチール)
住所:千葉県千葉市中央区 (JFEスチール東日本製鉄所 千葉地区東工場内)
設備容量(最大発電能力):107.0 万kW
建設開始予定:平成32年
運転開始予定:平成36年
発電技術:超々臨界 (USC)

参考
千葉市の意
経産省の意見
石炭発電所ウォッチ

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