COP23はじまる~ポイントはパリ協定の具体化 ドイツでは史上最大の気候マーチも

気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)が、今日からドイツ・ボンで始まります。
開催国はドイツですが、会議の議長国はフィジー。初めて島嶼国が議長国ということでも注目されています。

フィジーなどの島嶼国は、海面上昇や巨大台風など様々な異常気象の影響を特に大きく受けるため、気候変動のフロントラインとも言われています。今回のCOPは、気候変動の緩和や適応だけでなく、気候変動による「損失と被害(ロス&ダメージ)」にもしっかりと焦点をあてた「ロスダメCOP」になるかどうかも注目されています。

さらに、注目ポイントは、主に二つ。
まず一つは2015年に採択されたパリ協定の具体的なルール作りです。パリ協定は2015年に採択され、2016年には発効が決まりましたが、パリ協定をどのように2020年から施行していくかについての詳細ルール作りは現在進行しているところです。このパリ協定の「ルールブック」は2018年までに完成させることになっており、今回の交渉でこのルールブック作りがどれだけ進むかが一つのポイントです。

もう一つは、促進的対話と言われるものです。パリ協定では、各国がおこなう気候変動への国別目標を定め、5年ごとに報告と目標の引き上げを行います。これまで各国が出している国別目標を積み上げてもパリ協定が掲げている気温上昇を1.5度に抑える目標には到底到達しません。2018年に予定されている促進的対話を通じ、各国がどれだけ目標を引き上げることができるかがキーとなり、今回のCOPではその促進的対話をどのように行うかが話し合われる予定で、こちらも注目されます。

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FoEグループ、すでに気候変動の影響を受けている人々への支援や人権の尊重、化石燃料や原発、大型ダムなど”汚いエネルギー”から民主的で分散型エネルギーへの一刻も早い転換、大量消費を促し、人権や人々への利益ではなく企業の利益を優先するような社会システムの変革などを求めています。

今回のCOPの場でもサイドイベントやアクション、アドボカシー活動を通して、「気候正義」や「システムチェンジ」を訴えていきます。

会議に先立ち、土曜日には気候マーチが開催されました。
世界中からあつまっている市民社会のメンバー地元の人々が、ボンの街を行進し、気候正義(クライメートジャスティス)や、「脱石炭」を訴えました。FoE Japanも、スリランカ、ウルグアイ、イギリス、コスタリカなど世界中のFoEの仲間とともに行進しました。
マーチには約2万5千人、気候変動に関するマーチとしてはドイツでは過去最大の参加人数でした。

翌日日曜日にはボン近郊にある炭鉱(Hambach 炭鉱)をアクティビストらが占拠。数千人の非暴力不服従アクションによって、炭鉱の操業を部分的に停止させました。

 

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石炭投資にNO!日本とJBICは地元住民と国際社会の声を聞いて(石炭その2)

COP22マラケシュ会議、いよいよ会期最終日に迫りました。
議論が特に紛糾しなければ予定通り終わります。このままだと予定通り終わりそうです。

実は17日、世界で2番目に多く石炭火力に投資していることなどで、日本が化石賞(1位も2位も日本)を受賞しました。
また、国内外で問題視されている、日本のインドネシア・チレボンの石炭火力案件への融資に関して記者会見を行い、COP22の地で同案件の問題点を伝えました。

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会見では、FoEインターナショナルの気候正義・エネルギープログラムコーディネーター、ディプティ・バータナガーが問題の全体像を説明。グリーンピース・インドネシアのアリフ・フィアントから現地の様子や住民が石炭火力に反対していること、そしてFoE Japanの深草とオックスファム・フランスのアーメル・ル・コントから、石炭火力の融資を検討している日・フランスの銀行について説明しました。

現在、インドネシアではチレボン石炭火力発電とタンジュンジャティB石炭火力発電の拡張プロジェクトが進行しており、日本の国際協力銀行(JBIC)はその両方への融資を検討しています。
先日ブログで紹介したように、チレボンの既存の石炭火力ではすでに健康被害や、生計手段への被害が出ており、住民が異議申し立てを行っています。

この二つのプロジェクトに融資を検討しているのはJBICだけではありません。フランスのクレディ・アグリコルなども融資を検討しているのです。

クレディ・アグリコルは最近、新規石炭火力発電への融資を行わないと発表しました。しかし、クレディアグリコルはチレボンとタンジュンジャティBの拡張案件については未だに融資検討を続けています。オックスファム・フランスはこのダブルスタンダードを批判、この二つのプロジェクトについても融資すべきでないと訴えました。

グリーンピース・インドネシアは現地でほぼ毎日のように行われている抗議について映像も使いながら紹介。先週は日本大使館の前でも日本の石炭火力投資中止を求めて、抗議が行われました。

グリーンピース・インドネシアのアリフ・フィアントは「現在計画されている石炭火力はインドネシアの貧しい人々の生活を助けるものではなく、企業に利するものでしかありません。」と指摘。JBICと日本に対して、これ以上石炭火力発電に投資しないよう求めました。

日本語のプレスリリースはこちら
>http://www.foejapan.org/aid/jbic02/cirebon/161117.html

会見はこちら(録画・英語)
>http://unfccc.cloud.streamworld.de/webcast/stopping-coal-finance-for-indonesia-foei-and-allie

参考ページ
>http://www.foejapan.org/en/aid/160606.html
>http://www.foejapan.org/en/aid/161110.html

石炭火力発電は誰のため?(その1)

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火曜日にCMA(パリ協定締約国会議)が始まり、各国首脳級や大臣が訪れて全体会合が続いています。2週目の後半になると全体会合(Plenary)以外に傍聴できる会議が少なくなります。

各国の発言を聞いていると、一番排出削減や支援をがんばらないといけない先進国からは、2020年の行動について具体的な話が全然でてきません。その中でも日本は、気候変動への歴史的責任を直視せず、むしろ石炭火力発電の国内外での増設を進めており、国際的な市民社会からも批判を浴びています。(所でCOP会場では、その日の交渉でもっとも不名誉な発言をした国に対し、NGOが化石賞を送るのが慣例となっています。化石賞の常連だった日本は、近年では化石賞すら貰えません。)

さらに先週11月10日、日本の国際協力銀行(JBIC)が融資するインドネシア・西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業に関して、地元住民3名がJBICジャカルタ事務所で『異議申立書』を提出しました。

住民らはこれまでに、JBICの融資が投じられて建設された第1発電所(660 MW)の影響で、小規模漁業や塩田など地元住民の生計手段に深刻な被害が出ている旨を繰り返し訴えてきましたが、JBICは「同事業に問題は見られない」との姿勢を示してきました。さらに、JBICは同事業の拡張(第2発電所、1000MW)についても融資を検討中で、既存の発電所による被害を見過ごしたままの新たな融資はとうてい認められるものではありません。

パリ協定が発効し、今世紀末までの温室効果ガス排出ゼロを目指す中で、企業や投資家までもが脱化石燃料に向けて動き出しているのが世界の潮流です。一方のJBICは今年6月にも地元住民と国際社会からの批判を浴びた中ジャワ州バタン石炭火力発電事業(2000MW)への融資を決定したばかり。同事業は土地収用の際の違法性や人権侵害がインドネシアの独立した政府機関である国家人権委員会からも指摘されていました。

JBICは現在、チレボン拡張案件の他にも中ジャワ州タンジュンジャティB 拡張案件、また、インドで2件、ベトナムで1件、ボツワナで1件の高効率石炭火力発電への融資を検討しています。高効率とはいえ、もっともCO2を排出するエネルギー源には変わりはなく、パリ協定との整合性はありません。

気候変動の影響は、これまで温室効果ガスを大量排出してきた先進国よりも、途上国、とくに脆弱な立場に置かれている貧困層に大きく表れます。日本は先進国としての歴史的責任を看過しているだけなく、地元が望んでいない発電事業を押し付けて将来の温室効果ガス排出量を増やし、さらには「インフラ戦略輸出」と銘打って日本企業の利益を優先しているのが実態です。 日本政府・JBICは、チレボン石炭火力発電事業の影響を受ける住民の異議申立てを真摯に受け止め、これまでに起きている問題の解決を図るとともに、地元住民の懸念や国際社会からの指摘を軽視することなく、新規の石炭火力発電所への融資の検討を早急に取り止めるべきです。(パート2に続く)

フタッフ・深草@マラケシュ