【第4回スクール・オブ・サステナビリティ2】実際、他国のエネルギー政策は?再エネ先進国の共通点と、日本に足りないもの

こんにちは、インターンの杉本です!

第4回スクールオブサスティナビリティは、デンマーク大使館上席商務官の田中いずみさんと、コスタリカ政府公認ガイドの上田晋一郎さんをお招きしてお話を伺いました。

デンマークとコスタリカにおける政府の役割や政策、国民の自然環境に対する思いを教えていただきました!

SDGs達成度3位のデンマークの裏には政府の野心的環境政策!

田中さんには最初にデンマークについて少し教えていただきました。デンマークは日本の人口の1/20ほどで、面積は九州ほど。そしてなんと、デンマークは幸福度・働く人の幸福度1位なんだそうです!

デンマークはエネルギー政策として、2012年から2050年までに化石燃料に依存しない社会の構築を長期的に目指しています。この目標は、与野党の国会議員の約9割(170/179)から支持を得て、可能になりました。発端は1973年のオイルショックで、石油代替エネルギーとして原子力発電の建設という、日本と同じような議論になったそうです。しかし、1985年に国とし原子力発電をを使わないと決めました。この理由が個人的にとても驚きだったのですが、政府としては原発を導入したかったが、政府のアドバイザーが「国民に説明しなければいけない」と、国民に原発の利点と欠点をわかりやすく説明した冊子を配った結果、原子力発電所の建設計画は無くなりました。(詳細は「北欧のエネルギーデモクラシー」という本で説明されているそうです。)国民と政府の距離の近く、また国民に寄り添う政府だなと感じました。

また、2019年に新しい気候変動政策として、温室効果ガスの排出量を2030年までに1990年比で70%削減を目標としました。これは同年に行われた「グリーン選挙」で、各政党が環境に関しての目標を掲げ、選挙を制した新政府が定めました。以降、化石燃料に依存せずに温暖化ガス排出量を削減しながら経済成長すること(デカップリング)を、1990年からデンマークは証明しています。

そんな日本は電力生産の16.9%(2018)が再生可能エネルギーに対し、デンマークでは79%(2019)を再エネが占めています。ここに再エネである地熱や水力発電がないのは、デンマークには火山やマグマ活動がなく、また山がないので発電できるような川がないからだそうです。このように、地域の特性によって柔軟に対応していくことも大事だなと気づかされました。

また、地域熱供給状況ついても教えていただきました。私はこの地域熱供給を知りませんでした。というのも私のイメージでは、各自給湯器があり熱を作り使う方法しかないと思っていたからです。しかし、地域熱供給は限定された場所で熱を作り、それを施設や住宅に送り熱源として利用する仕組みになっていて、熱の生産効率をあげることができ、また再生可能エネルギーや廃熱を導入しやすいので省エネや環境保全に優れているそうです。この地域熱供給の熱源も再エネが半数以上占めており、一番使われる燃料がバイオマスで、農業大国デンマークでは、収穫した麦からできた麦わらがその大半を占めます。

そして最後には移動手段としての自転車の利用率や、その町づくりを紹介していただきました。自転車専用の道だったり、自転車を列車に乗せれる車両など、みんなが自転車に乗りやすい環境づくりができているなと感じました。

お金はないけど、再生可能エネルギーが主電力の国!?

続いて、23年コスタリカに在住の上田さんにお話を伺いました。「ジャングルの中を一緒に歩いているような気持ちでコスタリカのお話を聞いてほしい」と、コスタリカのジャングルの写真をzoomの背景にしながらお話くださいました。

コスタリカは北海道の6割程度の面積で、人口は500万人ほどの福岡より少し少な中進国です。先ほどのデンマークで幸福度が高かったことと同様、コスタリカの幸福度は日本が56位に対して16位だそうです。

コスタリカは参加者のイメージで多かったように、軍事を持たない国です。1948年に当時大統領だったホセ・フィゲーレス・フェレールはコスタリカの軍事放棄しました。そして、「兵士の数だけ教師を作ろう」というスピーチしました。軍事費がかからないので、浮いたお金を教育と福祉にあて、無料です。

そんなコスタリカで、平和の根源にあるのは「民主主義・人権・環境」なのだそうです。

民主主義についてコスタリカでは、選挙がお祭りで、自分が支持する政党の旗を振ったりと、とてもオープンな場になっている印象を受けました。日本ではなんだか考えにくいですが、、、。また、子供の時から政治について話し合ったり、子供選挙(模擬選挙)などが行われるそうです。

そして、人権が犯されていると憲法裁判所に各個人が訴えれます。憲法違反で訴訟と聞くと、たくさんのプロセスを通して、手間のかかる印象がありますよね。しかし、コスタリカでは、小学生でも大人もただの紙きれやメールに書いてもいいとのこと。直接国民の声が反映されていて、システム整備されていると感じました。

最後に環境について教えていただきました。

コスタリカのの電力は再生可能エネルギー(水力・風力・太陽光・地熱)が主電力だそうです。上田さん曰く、「お金はそんなにないが、地の利を生かしている」そうで、コスタリカの熱帯森林の雨、火山、貿易風による風、痛いほど強い太陽光によって可能になっているようです。原子力発電所や油田を作ったりしない理由として、万が一事故になった場合、人や環境を汚染してしまいうので開発しないという意志の強さも印象的でした。

また、コスタリカは自然環境を観光資源とするエコツーリズム発祥の地です。

ファストフードなどの普及で1980年代に、牧畜のため多くの国土が森林伐採され国土の森が30%ほどになったが、FONAFIFOという、使っていない私有地を国と契約するとお金がもらえる制度を通して今では森林起伏率が50%ほどだそうです。また、セテナと呼ばれる国家環境技術事務局があり、私有地でも森林伐採の際には木だけでなく、どのくらい周囲の生態系に影響するかなどを調査する機関があり、森林伐採すること自体難しいそうです。このことから言えるように、コスタリカ人は自然に生かされているという認識がとても強いと仰られていました。

終わりに、コスタリカの挨拶を教えていただきました。スペイン語が共通言語と聞いたので、「Hola」だと思いましたが違いました。コスタリカでは挨拶もありがとうも「Pura vida(プーラビーダ)」といい、「自然体で人生を楽しもう」という意味だそうです!日本にはなかなか無いのではないでしょうか。使う言葉で国民性が見えてきますね。

参加者の声

  • 国民と政府が互いに協力し合って国全体で環境問題に取り組む姿勢が素晴らしい一方で日本では二者の障壁を感じた。
  • 幸福度にあまりGDPは関係なく、日本も経済発展を目標にしているが、その目標を考え直すべきではないか

お二人からメッセージ

田中さんからは、「日本がデンマークの環境対策をそのままそっくり日本で実現できるわけではないが、デンマークの情報をデータベースにし、どのような対応をしているかを知ることで、これからの日本に繋げてほしい。そして自分ができる頃からやってみて、知識を蓄えてほしい!」とのことでした。上田さんも「できることから初めて、その活動を続けて成長してほしい。そしてこのコスタリカの話が少しでも刺激になったら」とお話ししてくださいました!

日本の良さを生かして環境保全

私はデンマークとコスタリカ、名前は知っているけど、どちらも小さな国というイメージだけ持っていました。この北欧と南米にある二カ国は一見重なる部分がなさそうに見えますが、実は教育や福祉が無料であったり、環境問題に取り組み、幸福度が高く民主主義が根付いている点で共通点だらけだと感じました。どちらも、国民だけでなく政府もが環境への意識が強い印象がを受けました。それとともに、政府が市民に寄り添う環境が整っており、国民が声をあげることで政府をも変えることできるという思いが作られ、より良い社会になっているんだなと感じました。山があったり島国などの日本の地理的条件を上手に使って水力や洋上風力などの再エネ資源も考えていけるのではないか、そして大都市がある一方素晴らしい自然環境を生かした日本が学べることは沢山あるのではないかと思いました。日本が遅れをとっていると感じる一方で、日本の良さを生かして他国の例から取り入れることはあるはずだと感じました。Pura vida!

(インターン 杉本奈帆子)

▼第4回のプログラム
・自然エネルギー100%の鍵をにぎるデンマークの地域熱供給(田中いずみさん、デンマーク大使館上席商務官)
・カーボン・フリーに一番近い国、コスタリカ(上田晋一郎さん、コスタリカ政府公認ガイド)
※ゲストスピーカーの講演のみ公開しています。


*過去のスクール・オブ・サステナビリティ2の報告ブログや動画はこちらからご覧いただけます。

https://www.foejapan.org/climate/event/school2021.html

台風19号被災地を脅かすメガソーラー計画

丸森町耕野地区の美しい里山

宮城県丸森町耕野地区(人口約600人)の山林に115.5ヘクタールのメガソーラー設置計画が進められています。

丸森町は2019年10月の台風19号により最も甚大な被害を受けた地域の一つです。大規模な土砂崩れ、道路崩落が発生しました。11名が犠牲(うち行方不明者を含む6名が土砂災害による)となり、現在でも多くの住民の方々が仮設住宅で生活されているとのことです。被災した住民にさらなる不安をもたらすのが、土砂崩れや洪水を防ぐ山林を広範囲に伐採し、切り土や盛り土により地形を大きく改変するメガソーラー計画です。

耕野地区に計画されているのは「丸森プロジェクト太陽光発電所」と「仙南プロジェクト太陽光発電所」の2つの太陽光発電所です。この二つは隣接していており、事業者は異なりますが事業統括、用地交渉業者、施工業者(EPC)、関係する業者はほぼ共通し、住民への交渉も説明会も一緒に実施されています。二ヶ所の面積を合わせると115.5ヘクタールで東京ドーム25個分に相当します。しかし、二つの事業を別事業とすると、環境アセスメントの対象外となっていまうのです。

※環境アセスメントの適用要件(2020年4月施行)・・・第1種事業:4万kW以上。第2種事業:3万kW以上

※宮城県条例による環境アセスメント適用要件・・・第1種事業:3万kW以上又は75ha 以上。第2種事業:50ha以上75ha未満(事業実施区域内に環境保全の観点から法令等により指定された地域があるものに限る。)

事業概要

事業地の大きさと位置関係

2020年6月、住民主体で住民アンケート調査を行ったところ、賛成28.2%、反対65%、無回答6.6%(回答9割)という結果となりました。半数を上回る住民が事業に反対していることになります。

本事業に多くの住民が反対する主な理由のひとつが、自然災害のリスクの増加です。台風19号でも地滑り、土砂崩れが多発し、道路の冠水、家屋の浸水被害も発生しました。耕野地区の地形、地質は脆い特性があり、大規模な土砂崩落の危険性が懸念されています。土壌流出を防ぐ森林を広範囲に伐採し、大規模に切り土と盛り土を行う土地改変は、ますます自然災害への脆弱性を高ることになります。

台風19号直後の耕野小学校校庭

また、森林の保水力の喪失も大きな心配となります。耕野地区には上水道設備がなく、全戸が井戸水を使って生活しています。実は、すでに稼働している別の太陽光発電所(4.6ヘクタール)が開発直後から、付近の住宅の井戸の水位に影響を与えてしまった事例があるといいます。メガソーラー計画を検証する!丸森町耕野の場合(その5) – YouTube 住民側は、5ヶ所設置される調整池の設計・運用計画に関しても、甚大な災害をもたらす可能性があると懸念しています。

本事業の不透明なプロセスや不明確な責任の所在にも住民は不信感を募らせています。

2018年頃から2つの事業の関係者は一緒に地権者に個別交渉を始め、当初、計画の全体像が地域に示されることはありませんでした。2020年2月に住民側からの要請により、ようやく説明会が開催されましたが、説明されたのは簡単な概要のみでした。2020年7月の住民説明会により事業内容が明らかになりましたが、事業者の実態についてはいまだ不明なままです。災害時等の管理方法、責任の所在も不明です。そのような中、2020年12月、本事業を担当する主要事業者が反対する区町への収賄を持ちかけたことで逮捕されました。

このように、地域住民の命にも関わる問題山積の事業ですが、現在も操業に向け手続きが継続されているということです。

FoE Japanは、本事業による生態系の破壊、災害リスクの増加、住民生活への影響に問題視すると同時に、再生可能エネルギーによる温室効果ガス吸収源の破壊、あからさまな環境アセスメント逃れ、林地開発許可法の許可条件に反することから、再生可能エネルギー事業として認められるべきでないと考えます。

オンライン署名はこちらから

現在、住民組織とFridays For Future Sendaiが事業の中止を求めて署名活動を行っています。ぜひご協力ください。

▼住民のみなさんのメッセージ

【緊急署名!!】宮城県丸森町に自然を破壊する大規模メガソーラーを建てないで – YouTube

▼耕野地区メガソーラー計画問題

(20+) 耕野地区メガソーラー計画問題 | Facebook

▼住民の方々による事業計画と問題点の説明

メガソーラー計画を検証する!丸森町耕野のケース(その2)。山奥の桃源郷に突如やってきた巨大な訪問者!!その計画の実態は?

※本ブログ記事に掲載する写真・図等は住民の方々からお借りしています。無断利用はご遠慮ください。

山林から恩恵を受けているということ~鴨川市田原地区メガソーラー計画を取材して

○再生可能エネルギーと開発

福島原発事故以来、原発への依存度を下げるべく、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の割合を増やすことが決定されました。固定価格買取制度もあいまって、国内では大規模な開発を必要とするメガソーラーの建設が多く計画されています。

再エネの普及は、気候変動の原因である温室効果ガスを減らすための有効な手段でもあります。しかし現在、再エネの名の下に森林を伐採し、環境を破壊するような開発事例(以下、乱開発)が見られるようになってきました。

FoE Japanは、再エネの普及の名の下で山林を破壊することは、生物多様性の保全の観点から、また、気候変動の観点からも、森林は温室効果ガスの吸収に重要な役割を果たすため看過できないものであると考え、再エネによる乱開発の現場の取材を始めています。(FoE Japanでは北杜市も訪問

その一つとして今回、千葉県鴨川市に計画されている、メガソーラーの建設予定地を訪問しました。 (取材日時:2019年2月15日)

○鴨川市、田原地区、メガソーラー計画の主な問題点

千葉県鴨川市におけるメガソーラーは、田原地区という、鴨川市の玄関と言えるような場所に計画されています。同計画は、千葉県による林地開発許可審査中で、まだ着工はされていません。詳細はこちら

同計画の問題点として挙げられているのは、大規模な土地改変です。東京ドーム32個分にもなる広大な山林を平坦にするため、1,300万立方メートルの山を削り、その土砂で谷を埋め立てる予定であると事業者は言います。10トンのダンプトラック約200万台にもなる土砂も移動するそうで、流れる川や沢も埋め立てられる予定となっています。流れる川や沢が埋め立てられた場合、その川や沢に流れていた水が行き場を無くし、地中に水分が含まれていくため、地盤の脆弱化の恐れが考えられています。また、建設予定地は林野庁により「山地災害危険地区」に指定されている急峻な土地で、開発自体も危険や困難が伴う可能性があります。さらに、10万本以上の木が伐採されるとの意見もあり、この開発による大規模な環境破壊は免れません。

削られる予定地の山なみ
事業計画地映像(鴨川の山と川と海を守る会より)

○山林は漁業にとって必須

「山の緑から海に流れる豊富な栄養分は魚にとって大切だ。それを知らない漁師はいない。生計に関わる問題であり、本事業は反対だ」

とてもシンプルなコメントを述べたのは、年間25億円の販売高、組合員数約1400人の鴨川市漁業協同組合を統括する松本ぬい子組合長(以下、松本さん)。「今回の事業は環境破壊である」とさらに付け加え、山と海の関係を強調する松本さんの言葉からは、鴨川で漁業を営む人々は人間が生きるために長年自然を大切にし、持続可能な環境を作り上げてきたことを感じます。

松本ぬい子組合長

○山林の開発は、地主さんだけの問題ではない、公益性がある

現場で説明をする今西さん

鴨川の海と川と山を守る会(以下「守る会」)代表の勝又さんは、メガソーラー開発に対して、地元民の動きに懸念を示しました。「建設予定地は5区の財産区だったのだが、40数年前にリゾート開発会社へ売却している。その後、転売を重ねてきた山なので愛着がわかないのではないか。これは地主さんだけの問題ではない。そこに暮らして田んぼを耕作する人、川の水を利用する人、魚を取る人、それらを利用し、山の恩恵に浴する鴨川市民全体の問題だ」

勝又さん

同じく守る会の今西さんは「市はほとんどなにもしていない。これだけの規模の山を削り、谷を埋めることは、エネルギー問題とは関係なく通常の人の感覚では実行できないはずだ」と憤ります。

「山に降った雨が山林で浄化され川に流れ、そこに住む動物、生命の多様性が維持されている。これらは公共性があるものであり、都市部の方々も関係している。地主さんの意向で開発を決める筋合いのものではない」と今西さんは言います。

守る会では「エネルギーの問題については多様な意見があるが『この場所とこの規模』はダメという言い方をしている」と、統一見解はあると勝又さんは言います。また、「ようやく2018年2月ころから市民や議員の意識が変わり始めたと感じる。市民の関心が少し出てきたからこそ、未だに林地開発許可の審査に時間がかかっていて下りていないのだと思う」と、市民活動の成果についても分析していました。

◯市議会の雰囲気は?

佐藤カズユキ議員

鴨川市議会の中で本事業に唯一反対表明している、佐藤カズユキ議員に話を伺いました。

佐藤議員が反対を表明する理由についてお聞きしたところ、

「漁師の家に生まれ、自然を守ることを公約に掲げている。今回の事業は環境破壊である」

と自然破壊の懸念に加え、

「農業、漁業、林業の1次産業、観光が特徴の当市であるが、本事業はいずれにも大打撃を与える可能性がある。一時的な税金収入よりも失うものの方が大きいと思う」

と、経済的な懸念も理由として挙げていました。

これだけの問題のある事業に他の議員はなぜ表立って反対しないのかについて質問したところ、「事業に賛成の議員もいるが、個人的には反対だと言う議員が多い。しかし、個人的には反対としながらも、あくまでこの問題は市に許可権限はなく、国や県の問題であって市の問題ではないと言う議員が多く、個人の事業であることから、市や市議会が賛否を示すものではないという意見も多い。これは鴨川だけの問題ではないが、地方議会の議員の多くは国の方針にそのまま従う傾向がある」

と、議会の中で自らの意見を発することが困難であることを憂慮の声を漏らしました。

鴨川の市議会の構成については、

「鴨川市議会は圧倒的に自民系が多い。どこの政党であっても、漁業、農業、林業の1次産業が基幹産業である鴨川市を守るのは当然であるが、外部からの投資を優先させるなど、地元産業を守る動きにはなっていない」

との回答。

さらに、「良い再エネ、悪い再エネがある。本事業のような悪い再エネが再エネ全体の評判を落とすことになるのを懸念している」と話し、再エネの固定価格買取制度についても「再エネの使い方をしっかり国が制度化すべきだったと思う。再エネは、再エネ賦課金など国民が負担している公共の事業である。民間の事業利益主義だけ考えると今回のようにおかしくなってしまう」と、懸念を示していました。

加えて、「個人の事業だから私たちは何も言えませんという態度を行政がとっているのが問題。議会内での勉強会も進んでいないし、国からの通達がないと動かない。トップの方の意見が大きく左右する」

と、トップダウンでの動きにしか対応しない鴨川市にも問題があるといいます。

○市長のやるべきことはなにか

鴨川市役所訪問
亀田鴨川市長(左)

今回の訪問では、市民団体や市議会議員の他、2017年3月から鴨川市長を務める、亀田郁夫市長(以下、市長)との会合も実施しました。

鴨川市議会が昨年12月20日、国に対して提出した意見書『大規模太陽光発電施設の開発に対する法整備等を求める』には「自然環境、景観への影響・・・土砂災害等自然災害発生の懸念・・・市民生活を脅かす事態となっている」と説明があり、鴨川市としても、市長としても本事業は「自然環境、景観・・・災害の観点から問題である」と考えるのかを問うたところ、市長は以下のように答えました。

「個人的にはいろいろな意見があるが、法令等の基準に則り対応していく」。加えて、「鴨川市の環境破壊は市への大きな打撃となるのでは」との質問に対しては、「制度の範囲内で対応していくしかない。事業者としても法令遵守を前提として申請している。市としては現行法令の中でできることとして、市民の皆様に対して説明会を開催することや、市民の皆様の疑問に文書で答えることを求めたり、事業終了後あるいは災害等に対応するための積立金をするよう事業者に要請してきたところである」と市民との対話を促しつつも、他の地方行政にあるような条例を市として制定するなどの対策をする構えではありませんでした。

本事業のメリットについて市長は、「市としてメリットの有無で判断するものではないが、地域には短い期間経済的メリットはあろう。市内には、太陽光発電事業者によりミニトマトの温室栽培が行われているところもある」とあくまで中立性を強調しました。

一方で、本事業は鴨川市にとって失われるものについては「地域が担保できる積立金をするように事業者と合意を得たい」と事業者との合意形成に関しては積極的な姿勢は示すものの、本事業のデメリットについての言及はしませんでした。

最後に、「市としてそれ以上対応しないのは他に課題があるからか?」と、鴨川市における福祉や経済など他の課題が優先されて、本事業に関連した対応ができないのかという問いに対して市長は、「他の案件によって今回の事業への対応ができないということではない。繰り返しとなるが、法令に則して中立に対応していく」と否定しました。

と、上記のような形で面談は終了しました。市民や事業者との対話は重要視をしつつも、乱開発の規制を求めるような条例の制定や法令以上の対応には否定的でした。本事業は、鴨川市の基幹産業を脅かす課題とは捉えていないようです。

○鴨川市の向かうべき方向

今回は鴨川市のメガソーラー建設計画についての視察でしたが、メガソーラーへの懸念だけではなく、鴨川市の前向きな側面も発見しました。

守る会の勝又さんは、「鴨川市は移住者が多く自分で得られるものを自分で得る暮らしがしたい、自然の中で暮らしたいという方が多い。ジビエ、サーフィンも魅力であり、半分第一次産業、半分他の仕事(半農半X)みたいな生活に興味がある方々に良いまちである」と自然と触れ合いながら、自分の興味のあることに取り組める受け皿が鴨川にはあると強調されていました。

また、漁業組合長の松本さんも、「他地区は苦戦している中で当漁協は13年間黒字、若い方も入れ替わり入ってくるし経験者がやりかたを教えるという雰囲気が次世代を育てているようだ」と、鴨川の漁師も外からの移住者への対応も積極的で、これがモデル化されはじめ、鴨川のように漁師が増えることを「鴨川方式」といわれることがあるといいます。新しい風が吹いている鴨川でメガソーラー開発に対して「次世代のために反対。若い人たちの姿があるからこそ、想像がつく」と松本さんは強調します。

○自然とともに生きるとはなにか

今回の訪問で多くの方にお話を伺い、鴨川市における本事業は、再エネへの悪い印象が市民の間で広まるのではないかという懸念を感じました。国際環境経済研究所前所長の澤昭裕氏によると、ドイツでは太陽光発電の「施設建設に当たって森林等の伐採を行えば、その6倍の植林を行わないといけない」そうです。大規模な開発を伴うメガソーラー建設に頼らずとも、植林など対応が難しい耕作放棄地や一般住宅、工場などに設置する再エネを普及させるなど、やるべきことは他にもあります。

大規模に土地を削り、埋めるような事業は、再エネ事業に関わらず根本的に問題です。今回の訪問で、鴨川の経済を支える漁業組合を始め、一部の議員にも大規模開発に対する問題意識があり、自然環境の大切さが共有されていること強く感じました。長年維持されてきた自然環境は失ってから気づくのでは遅いのです。さらに、これは地域の問題ではなく都市部に住む人々も自然の利益を受けており、責任があると感じます。固定価格買取制度や環境影響評価法などの制度は短い期間の利益や影響は考慮していますが、さらに30年50年以上先を見据えるような長期的な視点が必要です。漁業や農業を支える自然保護の大切さを改めて感じ、行動していく必要があるのではないかと感じた取材となりました。

「計画概要」(鴨川の山と川と海を守る会調べ

場所:千葉県鴨川市、鴨川有料道路西側、清澄山系の山林

面積:事業面積250ha, 伐採面積150ha

発電規模:130mw

事業者:AS鴨川ソーラーパワー合同会社

地権者:Aスタイル

造成:大蓉工業

設計:ユニ設計

発電設備:日立製作所

(2019年2月 高橋英恵、松本光、天野遼太郎、田渕透)

カリフォルニア州が脱原発州に!

今月21日、FoE USはアメリカ・カリフォルニア州が原発ゼロになると発表しました。

カリフォルニア州最後の原発・ディアブロキャニオン原発を有するパシフィックガス&エレクトロニック(PG&E)社は、同原発の運転許可期間が終わる2025年までに原発をやめ、再生可能エネルギーを導入すると決定。

世界で6番目の経済規模を誇るカリフォルニア州が、再生可能エネルギーを導入しながら原発ゼロになるというのは、歴史的なニュースです。

原発をやめ再生可能エネルギーを導入するというのは、FoE USをはじめとする様々な環境団体が、長年提案して来たものです。こうした経緯をふまえ、PG&E社および環境団体、労働者の団体、による合同声明の形で、発表されたことも注目されます。

さらに共同声明のなかで、PG&Eは、2031年までに同社の供給するエネルギーの55%以上を再生可能エネルギーにすることを約束しています。

なお、ディアブロキャニオン原発の反対運動こそ、1969年にFoE USが出来たきっかけとのことです。

FoE USのプレスリリースはこちら (英語)

参考
California’s Last Nuclear Power Plant
米加州最後の原発閉鎖へ、再生エネに置き換え 2025年までに閉鎖、コスト増分の電気料金上乗せが条件

FoEUS_photo

Photo courtesy:FoE US
(写真はFoE USのツイッターより転載)

(スタッフ 深草亜悠美)