アブラヤシ生産の現場では何が?ー現地調査報告

みなさん、こんにちは。FoE Japanスタッフの杉浦です。

コロナがまだまだ収束せず、ステイホームが余儀なくされる今ですが、いかがお過ごしでしょうか?

今回は、去年の12月に行ったインドネシアでの現地調査についての報告をしたいと思います。

今回の調査の目的は、パーム油の原材料であるアブラヤシの実がどのように生産されているのか、本当に環境・人に優しい環境で栽培されているのかという実態調査です。

みなさんは、パーム油ってご存知ですか?

パーム油は、様々な商品に使われており、カップラーメンやチョコレート、ファストフードのような食品から、石鹸や化粧品にも使われています。あまり、日本では親しみがないように思えますが、広くいろいろなところで私たちの生活に関わっています。実際に、日本の国内植物油消費量の中では菜種油に続く、第二位となっています。

主な生産地はマレーシアとインドネシアで、その使いやすさから、生産量は2018年には71,453,193トンと1961年の48倍にも増えています。(下の図参照)

さらに、日本では2012年に再生可能エネルギーの普及を推進する目的で、固定価格買取制度、通称FiT制度が制定され、太陽光、風力、水力、地熱と共に、パーム油を含めたバイオマス発電も対象とされています。このFiT制度は、再生可能エネルギーを利用した発電設備で発電された電気を、一定の期間・価格で、電力会社が買い取ることを国が保証する制度であり、私たちの払う電気料金からのお金で成り立っています。

このFiT制度が制定されて以来、日本でのバイオマス発電所は増え続けており、認定されているうちの4分の1ほどはパーム油を燃料とする発電所です。現在認定を受けている事業がすべて稼働すれば、急激に日本のパーム油の輸入量が増えると予想されます。

パーム油は植物由来の油ですが、果たして本当に環境にいいのでしょうか?再生可能エネルギーと呼べるのでしょうか?現地調査から学んだことをまとめました。

インドネシアは何度か訪れていますが、今回は初めてインドネシア本島ではなく、アブラヤシ生産が盛んな、カリマンタン島の中央カリマンタンに行ってきました!下のグーグルマップでみると、赤い線で囲まれたところが中央カリマンタンになります。さらに、その中の丸く囲まれたところが今回調査した地域になります。

自然な豊かな土地から、様々な開発が行われており、アブラヤシ農園開発を含めた土地造成が至る所で行われています。下の図は、1990年と2017年を比べたものになります。緑のところが手が付けられていない自然、そして黄色いところが開発されたところになります。ご覧いただける通り、2017年には中央カリマンタン全体がほぼ黄色くなっていることがわかります(WALHI – FoE インドネシアのデータ)。

今回訪れた2つの農園をご紹介します。

一つ目はGawi Bahandep Sawit Mekar社と呼ばれる会社の保有する農園。

Seruyan地区Jahitan村Seruyan Hilir郡に位置し、トリプトラグループが保有する子会社です。面積は19,594.22ha (約東京ドームの4169倍 )にもなります。

そして、この農園は、2014年からRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証を取得しています。

このRSPOというのは「持続可能なパーム油が標準となるよう市場を変革する」というビジョンを持っていて、現存するパームアブラのための認証制度としては、とてもしっかりしているものだと思います。たとえば、生産段階の認証では

原則1:透明性への誓約
原則2:適用される法令と規則の厳守
原則3:長期的な経済的及び財政的存続可能性への誓約
原則4:生産者と搾油工場による適切な最善の慣行の活用
原則5:環境に関する責任と自然資源及び生物多様性の保全
原則6:従業員及び生産者や搾油工場によって影響を受ける個人とコミュ ニティに関する責任ある配慮
原則7:新規作付けの責任ある開発

といった7つの原則を持っており、それぞれ厳しいチェックが行われます。

さらには、様々な7つのステークホルダーが意思決定に参加しており、アブラヤシ生産者、精油業、商社、消費者製品製造業、小売業、銀行、投資家の他に、環境・自然保護NGOや社会・開発NGOが含まれており、市民社会の声も反映された制度になっています。

そういった点から、冒頭に説明した、FiT制度はRSPO認証をうけたパーム油(RSB認証というも認められているが日本にはまだほとんど入ってきていない)をFiT制度の対象にしています。

しかし、RSPO認証を受けていても、現場では様々な問題が起きていました。

まず、農園の近隣に住む人から話を聞くと、農園開発のせいで、彼らの生活は一変したと言います。

企業は2006年ごろからこの土地を開拓しようとやってきて、住民とぶつかります。その理由は、企業が開発しようとした地域に住民の土地が含まれてしまっていたから。住民たちは、ここは自分たちの土地だと訴えましたが、企業側は一切引かず、実は今現在も解決していません。2016年ごろから、何度も市や警察が関わり仲裁が取られているにもかかわらず、話し合いは平行線をたどっているそうです。

しかし、そんな住民の反対にもかかわらず、事業は推し進められ、住民たちの生計手段は大きく変わります。彼らの農地は奪われ、川は汚れ、農業や漁業で前のように生計は立てられなくなりました。

さらに、森林火災も頻繁に起きています。現地NGO、研究者によると、所有する敷地内・外で火災が起きており、2019年には、毎年インドネシア政府から発表される森林火災の容疑者のリストにも上がっています。

下の写真は、今回僕が訪れた時に撮ったものです。去年の森林火災によって、あたり一面の木が燃え、このように燃えかすが残っていました。このように自然林を燃やすことによって、企業はアブラヤシ農園開拓の場所を広げたり、または自分の農園が燃えることによって、保険金を手に入れることができるそうです。

訪れたもう一つの農園は、Mustika Sanbulu社という企業の農園。Kotawaringin Timur地区Mentaya Hilir Utara郡・ Telawang郡, Pondok Damar村, Bangkal村, Tanah Putih 村 and Sei Babi村と多くの村にわたって位置し、日本にパーム油を輸出しているウィルマー社がもつ子会社の農園です。こちらも、2010年からRSPO認証を取得しています。こちらも、19,632,27haという広大な土地にアブラヤシが一面に広がっています。

この農園でも、1つ目の農園と似たような問題が起きていました。

まずは、土地紛争。1996年ごろから住民が強制的に移転させられ、現地住民の土地は奪われてしまいました。彼らの土地を奪っただけではなく、いまだに地域住民に対しては平等な権利が与えられていません。具体的には、企業は、企業が有する土地の20%を地域住民が主体となりアブラヤシを管理する小農農園(Plasma)として割り当てなければならない(2007年農業大臣令)のにもかかわらず、企業が拒んでいるそうです。

奪われた土地は、農業・漁業で使われていた土地で、現在は生活も厳しくなったと、現地の人たちはいいます。

さらにはこの近くにはサンピット川と呼ばれる川が流れていますが、農園からの汚染がひどく、現地の人々は

「事業が始まると川も汚れていった。」

「水の色はどす黒くなり、匂いがする。」

「魚が死に、生活用水(水浴び)として 利用もできない。」

と嘆いています。健康被害もあり、水に入ると体がかゆくなったり、発疹がでるそうです。

汚染の原因の一つとして、現地住民が見つけたのは、工業廃水の貯水タンクが破損しているということ。

現地保健局にも問い合わせ、そうすると貯水タンクの数が規定に合っていないことが判明しました。なのにもかかわらず、いまだに現状は変わっていないそうです。

さらに、森林火災にも関わっているようです。この企業は、1999年から森林火災に関与しているそうで、2019年も同じように森林火災が農園内・外で起きているということでした。

親会社のウィルマーグループは、パーム油生産で大変有名な企業で、しかし森林火災に関わっていることが多く、常に要チェック対象になっています。

現地でお話を聞いた住民の一人はこう述べています。

「アブラヤシ農園ができる前は、私たちの生活は豊かだった。農 業で野菜を取り、森に肉を取りにいって川や湖に魚を取りにいっ た。なのに今はなにもできない。私たちにはなにもない。誰だっ て、どこにいたってみんな生きる権利がある。みんなだ。もう私 たちは死んだも同然だ。」

以上、簡単でしたが2つの事例を今回の現地調査から紹介させていただきました。

今回の調査で、パーム油は植物由来の油であるが、大量生産・大量消費をすることによって、農地拡大が大規模におき、現地に住むひとびとの生活・暮らしを壊していること、さらに、RSPO認証といった認証制度があっても、様々な抜け穴や、管理がちゃんとされておらず、持続可能だということは言い切れないことが改めて認識できました。今後、FiT制度により、バイオマス発電が促進されると、さらにパーム油や木質由来の燃料を国外から輸入することになり、需要は急激に高まり、それに比例し現地での生産が拡大、そして森林破壊・人権侵害につながる恐れがあります。

特に、FiT制度は私たちのお金が使われている制度です。こういったパーム油のような燃料に、「再生可能エネルギー」だといって私たちのお金が使われていいのでしょうか?

私たちは今後も調査を進め、政府への提言を行なっていきます。

現在、旅行会社であるHISが進めるパーム油を燃料としたバイオマス発電事業に反対する署名活動も行っております。是非、署名にご協力ください!

署名サイトはこちらから👉http://chng.it/LLXWdXfF

FoE Japanスタッフ 杉浦

環境と人権のためにたたかったFoEインドネシアの活動家、命を落とす - 徹底的な調査と人権保護を

今月6日、インドネシア最大の環境団体、FoEインドネシア(WALHI:インドネシア環境フォーラム)北スマトラ支部のメンバーであったゴルフリッド・シレガール(Golfrid Siregar)が亡くなりました。34歳の若さでした。ゴルフリッドの冥福を祈るとともに、全ての環境・人権活動家の安全が確保されることを切に望みます。

 ゴルフリッドは、10月3日木曜日の早朝、重度の頭部外傷のため、非常に危険な状態で発見され、6日に搬送先の病院で息を引きとりました。現地警察は死因は事故であったとしていますが、損傷は頭部のみで身体は無傷であったこと、彼の所持品が消えていること、彼のバイクは損傷が少なかったことなど、不可解な点も多いため、活動家を狙った暗殺の可能性も非常に高く、WALHIを含む市民団体、およびFoEアジア太平洋グループは、インドネシア政府に対し、迅速かつ透明性の確保された形で彼の死因を調査するよう声明を発出しました。

 ゴルフリッドは様々な環境や人権の保護、特に北スマトラでの活動に人生を捧げました。プランテーション、違法伐採、水力発電ダム、砂採掘会社に対して提訴した漁民への支援など、企業により被害を受けたコミュニティ支援に精力的に取り組んでいました。


 インドネシアでは、環境や人権を守り活動する人々の命が常に危険にさらされています。FoE Japanがともに活動するインドネシア・インドラマユで石炭火力発電事業に反対する農民たちも、一時弾圧としか思えない理由で投獄されました(http://www.foejapan.org/aid/jbic02/indramayu/180924.html)。日本もまったく無関係ではないのです。また、インドネシアだけでなく、世界各地で活動家の人権侵害や生命への脅威が増しており、英国の人権監視団体グローバル・ウィットネスの今年の報告によると、2018年には週に3人のペースで活動家が殺害されています(https://www.globalwitness.org/en/campaigns/environmental-activists/enemies-state/)。

 今日、環境を守るために活動するということは旧来の自然保護の枠を超え、多くの国や地域で強権的な政府や大企業などの既得権益に対し土地や地域社会の権利、人権を守ろうと志す多くの人々の命を賭けた活動となっています。国連の人権擁護者に関する特別報告者のレポートは、問題の背景として、資本主義社会における資源収奪や、市民社会ではなく企業に多くの力が集中したり、本来規制導入を議論・実施すべきはずの政府が企業優遇の姿勢を見せているなどの要因をあげています(https://www.protecting-defenders.org/sites/protecting-defenders.org/files/environmentaldefenders_0.pdf)。

FoEアジア太平洋による声明はこちら(英語)
https://foeasiapacific.org/2019/10/11/friends-of-the-earth-asia-pacific-demands-a-thorough-investigation-into-the-death-of-activist-golfrid-siregar/

市民団体の連合による共同声明は下記(英語原文は翻訳版の下部に記載)

共同声明

ゴルフリッド・シレガールの死に関する徹底調査を

ジャカルタ:人権擁護活動家のための市民社会連合は、WALHI(FoE インドネシア)北スマトラの活動家でもあった環境保護活動家・人権擁護活動家のゴルフリッド・シレガールの死に関し、迅速で透明性の確保された、かつ、実効性のある独立調査を実施するようインドネシア政府に強く要請する。ゴルフリッドは2019年10月3日木曜日の未明、頭蓋の重度の頭部外傷のため、非常に危険な状態で発見された。ゴルフリッドは搬送先の病院で10月6日の日曜日に息を引き取った。

私たちは、警察が、ゴルフリッドの死因が交通事故によるものだと拙速に判断を下したことを遺憾に思っている。彼の死には、(交通事故が死因であると判断するには)多くの不審な点が残っていると考える。例えば、事故の発生現場が不明である。当初、彼の家族は、ジャミン・ギンティングの高架道路で事故が発生したという情報を治安部隊から入手していた。その後、故の発生現場はティティック・クニングの高架下であったと変更された。ゴルフリッドの死は、交通事故が原因ではなく、暴力が原因で死亡したのではないかと疑われる。さらに、マルク州の先住民族の活動家であるヨハネス・バルブンのケースでも、2016年に事故で死亡したと警察が主張した。一方、今年初めにWALHI西ヌサ・トゥンガラ支部の事務局長ムルダニが暗殺未遂事件にあったことも明らかにされていない。

インドネシアやその他の国で発生した、死亡や殺人未遂につながるあらゆる暴力事件と同様に、社会・環境に係る権利のために闘う環境・人権擁護活動家の活動と、住む場所・生計手段の喪失や環境被害といった企業による破壊行為の脅威とを切り離すことはできない。人権団体からの様々な報告によると、環境・人権擁護活動家は、人権侵害の事例や深刻な環境被害を明らかにするために活動している一方で、襲撃や脅威に対して非常に脆弱である。

ゴルフリッドは特に北スマトラにおいて、様々な環境保護活動や人道的活動に人生を捧げた。ゴルフリッドとWALHI北スマトラの仲間が行った様々なアドボカシー活動の中には、シアンタールにあるMitra Beton社の活動により被害を受けたコミュニティへの支援、リンガ・ムダでの森林への不法侵入や違法伐採問題におけるコミュニティへの支援、ラブビーチでの砂採掘会社に対する訴訟のための漁民への支援、そして、NSHE社に対する環境許認可を発行した北スマトラ州知事に対する訴訟のWALHI弁護団のリーダーとしての役割、また環境アセスメントにおける署名偽装に関する調査を中止した北スマトラ州警察の警察官をジャカルタの警察本部に報告したことなどが含まれている。

環境保護活動家や人権擁護活動家の殺害につながる暴挙はこれまでも発生しており、増加している。インドネシアでは、インドラ・プラニ、サリム・カンチル、ヨハネス・バルブン、ポロドゥカが殺害されてきたが、今、ゴルフリッド・シレガールがまた殺害された。同様に、西ヌサ・トゥンガラ州でムルダニが放火により暗殺未遂にあっている。

今回の事件を受けて、環境と人権の擁護者であるゴルフリッドの正義と家族のために、そしてすべての人々の正義のために、私たちは以下を強く要求する:

  1. 1998年12月9日に国連で採択された人権擁護活動家に関する宣言の第9条 (5)に述べられているように、国は、調査を迅速かつ公正に実施し、又はその管轄地域内で人権及び自由の侵害が生じたと信ずるに足りる合理的な根拠がある場合に確実に調査を実施しなくてはならない。
  2. 警察官は、法の執行プロセスの説明責任を果たすため、開かれた形で、ゴルフリッドの死を徹底的に調査すべき。また、北スマトラ州警察には利益相反が存在することから、この事件の処理は警察本部に引き継がれるべきである。
  3. 環境と人権の擁護者に関わる事件であるため、国家人権委員会は直ちに事実調査の独立チームを結成すべき
  4. その緊急性に鑑み、これ以上の冤罪や死につながる暴力が起きないよう、国に対し、環境及び人権の擁護者の保護を確保するための政策(大統領令)を直ちに発出することを求める。
  5. 政府は直ちに人々の命と生態系の持続可能性の保護を主要な前提条件とする開発プログラムを立案し、実施すべき。開発のために、人々の生命と生態系を危機に晒してはいけない。

また、私たちは一般の市民に対しても、ゴルフリッド・シレガールの死に関する法の執行プロセスが適切に実施されるよう、共に監視するよう求める。将来、人々の権利や環境のためにたたかう人々の命がこれ以上奪われないことを切に願う。

Joint Statement of Civil Society Coalition

Investigate Throroughly the Demise of Activist Golfrid Siregar

Present the State to Protect Human Rights Defenders

Jakarta—The Civil Society Coalition for Human Rights Defenders urges the state to conduct an immediate, open, effective and independent investigation related to the demise of environmental and human rights defenders, Golfrid Siregar, SH, who was also an activist from Wahana Lingkungan Hidup Indonesia in North Sumatra (WALHI Sumut). Golfrid was found early on Thursday October 3, 2019 in a very critical condition due to severe head injuries in his cranium. Golfrid was the brought to hospital, until he breathed his last on Sunday, October 6.

The Coalition regrets the Police’s attitude to hastily state the cause of late Golfrid’s demise was due to a traffic accident. The Coalition considers that there are a number of irregularities found from his death. For example, unclear location of the incident (TKP). Initially, the family obtained information from the security forces that the incident happened at Jamin Ginting flyover. Then, the TKP changed underpass Titik Kuning. We suspect that the late Golfid’s demise was not because of a traffic accident however caused by violence that resulted in death. Moreover, the case of Yohanes Balubun, an activist for Indigenous People in Maluku, whose death in 2016 was claimed by the police as a result of an accident. Meanwhile, in West Nusa Tenggara (NTB), an attempt to assassinate WALHI West Nusa Tenggara Executive Director Murdani earlier this year has also not been revealed.

As any other violence cases that lead in demise or attempted murder that happened in Indonesia and other countries, it cannot be separated from the activities of environmental and human rights defenders who fight for the rights of society and environment from threats of destructions by corporations, such as the loss of residential, livelihood, and environmental damage. Various reports from human rights organizations show that environmental and human rights defenders are very vulnerable to attacks/threats while working to expose human rights violations cases and serious environmental damage. 

In the spanning of his life, Golfrid dedicated his life for various environmental advocacy works and humanity, especially in North Sumatra. Various advocacy works carried out by Golfrid and friends in WALHI North Sumatra, amongst other are assisting impacted local community due to the activities of PT. Mitra Beton in Siantar, assisting local community in Lingga Muda from forest encroachment and illegal logging, assisting fishermen in Labu Beach for the lawsuit against sand mining company, and lastly serving as the lead of WALHI legal team of the lawsuit against  Governor of North Sumatra for issuing environmental permits with defendant of PT. NSHE, as well as reporting the police officers in North Sumatra Regional Police (POLDA Sumut) who stopped the investigation of forged signature case in AMDAL to Police Headquarters (Mabes POLRI) in Jakarta. 

The violence that lead to death experienced by environmental and Human Rights Defenders has long happened and been increasing, Indra Pelani, Salim Kancil, Yohanes Balubun, Poroduka, and now Golfrid Siregar, as well as the attempted murder of arson experienced by Murdani in West Nusa Tenggara. 

From the incident experienced by environmental and human rights defender, Golfrid Siregar, for the sake of Golfrid’s justice and his family, and for the sake of everyone’s justice, we urge:

  1. The State must conduct investigation immediately and impartial or ensure that an investigation is conducted in reasonable grounds to believe that violation of human rights and freedom has occurred in its jurisdiction. As stated in Article 9 (5) Declaration of Human Rights Defenders passed by the United Nation on December 9, 1998;
  2. Police officers to thoroughly investigate the demise of Golfrid Siregar, openly to the public to ensure the accountability of law enforcement process. Given the existence of conflict of conflict interest in North Sumatra Regional Office (POLDA Sumut), therefore we urge the handling of this case to be taken over by Police Headquarters (Mabes POLRI);
  3. The National Commission for Human Rights (Komnas HAM) to immediately form fact-finding independent team, because this case was experienced by environmental and human rights defender;
  4. Given its urgency, we also urge the state to immediately issue policies (Presidential Regulation) that ensure the protection for environmental and human rights defenders. Therefore, there won’t be any criminalization and violence act that lead to death;
  5. Government to immediately draft policies and carry the development programs that put protection towards people’s rights to life and ecological sustainability as the main prerequisites. Therefore, for the sake of development, it doesn’t put in line the people life threaten and ecological disaster.

We also invite public in general to jointly guard the law enforcement process towards the death of Golfrid Siregar. In hope in the future there won’t be any live taken for fighting the rights of the people and environment.  

For further information please reach: 

Jakarta, October 10 2019

Human Rights Defenders Coalition

Wahana Lingkungan Hidup Indonesia (WALHI) – KontraS – Amnesty International Indonesia – Human Rights Watch – Yayasan Perlindungan Insani, Greenpeace Indonesia –YLBHI – ELSAM – Kemitraan – Imparsial – KRuHA, LBH Pers – HuMa – JATAM – HRWG – Solidaritas Perempuan

  1. Zenzi Suhadi, Eksekutif Nasional WALHI

Email: zenzi.walhi@gmail.com

  • Papang Hidayat, Amnesty International Indonesia. 

Email: papang.hidayat@amnesty.id

  • Ainul Yaqin, Yayasan Perlindungan Insani

Email: ainulyaqin@protonmail.com

  • Asep Komarudin, Greenpeace Indonesia

Email: akomarud@greenpeace.org

  • Yati Andriyani, Komisi untuk Orang Hilang dan Korban Tindak Kekerasan (KontraS)

Email: yatiandriyani@kontras.org

ベルタの暗殺から1年~脅かされる活動家たちの生命

日本国内ではあまり取り上げられませんでしたが、非合法伐採や地元先住民を脅かすダム建設、国内米軍基地などに反対し闘ってきた中米ホンジュラスのベルタ・カセレスさんが自宅で暗殺されて、3月3日でちょうど1周年を迎えます。その場に居合わせたFoEメキシコ代表も重傷を負いました。同国では2010年以降120名以上の環境活動家・人権活動家が同様に命を落としています。

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実はホンジュラスに限ったことではなく、環境や人権を擁護する地域のリーダーや活動家への弾圧が世界的に急増しています。人権問題と環境に取り組む国際NGO グローバルウィットネスによれば、2012年に世界での犠牲者の数がそれまでの3倍に跳ね上がりその後も増え続けています。2015年には186名が殺害されましたが、これは同年命を落とした報道記者の倍にあたる数です。

globalwitness(図:www.globalwitness.org

今日、環境を守るために活動するということは旧来の自然保護の枠を超え、多くの国や地域で強圧的政権や大企業などの既得権益に対し土地や地域社会の権利、人権を守ろうと志す多くの人々の命を賭けた活動ともなっています。

こうした状況を受け、2012年にFoEインターナショナルはアムステルダム事務局内に人権擁護者(Human Rights Defenders – HRD)プログラムを設置し、脅迫、暴行、誘拐の危険や政府による活動の非合法化に晒されている現地FoEメンバーや協力団体、地域社会のリーダーや活動家へ法的資金的な緊急支援を行う体制を設けました。その後2年間で20カ国以上に緊急支援を行い [1]、昨年FoEナイジェリア代表の家族が誘拐された際は誘拐者との交渉し解放に至るなど実績を挙げています。この成果を受けて、昨年12月のインドネシアでの隔年総会で、政府の弾圧や活動者へのテロが再燃・拡大しているアジア7カ国(バングラディシュ、スリランカ、フィリピン、インドネシア、マレーシア、パレスチナ、(極東)ロシア)にこのプログラムを拡げることが決まりました。

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( 2016年FoEインターナショナル総会で、命を落とした環境・人権擁護者に黙祷を捧げる各国代表)

世界的な右翼国家主義者、民族主義、宗教原理主義の台頭はアジアでも顕著となっています。占領に苦しむパレスチナ、宗教・文化的弾圧が強まっているバングラデシュなどで環境保護や人権擁護を行うことはしばしば命を危険に晒すことになります。

フィリピンでは歴代の政権下でも、政治的殺害が頻繁に起きており、多くの人権・環境擁護者らが暗殺をされてきましたが、昨年6月末に大統領に就任したドゥテルテ政権の下でも、深刻な人権侵害が続いています。日本企業が関わるニッケル開発事業の問題をFoEJapanも調査してきた地域で、今年1月に先住民族ママヌワのリーダーであるヴェロニコ・デラメンテ氏(27歳)が暗殺されました。(FoE Japanでは共同声明を発表しました[2])。

FoEロシア(Russian Socio-Ecological Union)は200以上の団体からなるロシア最大の環境ネットワークですが、複数のメンバー団体が政権から「外国の手先(foreign agent)」の指定を受けました。この指定を受けると海外からの送金を禁止され、いつどこでも当局は令状なしに家宅捜索、押収、身柄拘束をすることができます。ターゲットにされれば事実上活動はできず閉鎖に追い込まれます。(同様の措置がインドでも取られており、ロシアを見習う形で事実上独裁のポーランド、ハンガリーなど東欧旧共産圏諸国にも広がっています。)

私たちは今、急速にそして大きく変わりつつある世界に生きています。米軍基地移転では辺野古の基地建設を強行し不当逮捕などで地元の反対運動を脅かしています。

FoE インターナショナルは、沖縄での基地建設反対運動に参加する市民への暴力的な抑圧についても懸念を示しており、先日も山城博治さんの不当勾留を非難する声明を発表しています。

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FFTVでもこの点について、放送しましたので是非ご覧ください。

人権や環境を守るために活動する人々を「Human rights defender(人権擁護者・人権活動家)」と呼び、国連でも「人権を擁護する活動に対する権利」が1999年に採択されています。

権力や暴力に抑圧されてしまいがちな、社会的に弱い立場に置かれているグループとともに、声を上げ続ける活動家の命や人権が脅かされることはあってはなりません。日本も例外ではありません。国内での活動家・市民による表現や行動の自由・権利を守るだけでなく、海外で横行する活動家の権利侵害には現地に進出する日本や、政府も無関係ではないことも鑑みながら、国際社会の一員としてこう言った状況を積極的に改善していくよう働きかけることも求められています。

(小野寺ゆうり)

[1] http://www.foei.org/resources/publications/publications-by-subject/human-rights-defenders-publications/we-defend-the-environment-we-defend-human-rights

[2] http://www.foejapan.org/aid/jbic02/rt/press/20170206.html