コロナ危機をどう乗り越えるか 〜システムチェンジに向けた連帯を〜

先月末、FoE ドイツの呼びかけで、このコロナ危機について意見交換や情報交換をする機会がありました。

ヨーロッパだけでなく、アフリカやラテンアメリカ、米国、アジアから40人近くのFoEのメンバーが集まって、「このコロナ危機をどう捉えるか」という話から始まり、途上国や先進国で起きていることの共有、そして、私たち市民が持続可能な社会のために目指すべき経済復興対策はどのようなものかという問題提起がありました。

話の中で出たのは、

・コロナ危機は、今まで見えないふりをしてきた気候変動による甚大な被害、生物多様性の損失、所得格差の拡大などの延長線上にあるもの。コロナ危機は、これらの社会問題・環境問題の原因である今の社会の仕組みが、限界であることを教えてくれている。

・コロナ危機の中で、不安定な雇用や家庭内暴力等に苦しむ人々、社会のセーフティーネットから溢れてしまう人々の存在など、社会の脆弱性が顕在化し、人々がこれらに気がつくようになった。その中で、お互いを気遣いあう人々が増えてきていたり、人間活動の低下による自然の回復を目にして自然との関係を見直そうという議論が盛んになってきたりしていることも事実である。

・南アフリカ(途上国で起きていること):多くの人々が電気など、基本的なニーズへのアクセスが困難な状況。すでに気候変動等の影響を被っている人ほどコロナ危機対策の網の目からこぼれ落ちている。今の状況は、もはや気候危機が起きたようなもの。

・米国(先進国で起きていること):政府から化石燃料産業や航空産業など、気候変動を加速させるような産業へ多くの補助金が渡されている。

 

会の後半は、今後、この危機を乗り越え、私たち市民で持続可能な社会をつくるための経済復興対策はどのようなものであるべきかという話になりました。話の中で出てきたのは、まずは経済の目的を考え直すこと、つまり人々や地球の健康の価値を見直すことが必要であるという話になりました。

そして、人々や地球の健康を大切にする経済の条件として、税の公平性の実現、公共サービスの提供、地産地消とフェアトレードの推奨、協同組合などを中心とした経済活動の拡大、利益追求の名の下に自然や人権を搾取するような企業に対する、拘束力のあるルールの確保、といった案が出ました。

 

また、全体を通してのキーワードは、”Just Recovery”という言葉。

”Just Recovery”とは、この危機による経済的打撃から回復する方法として、環境破壊や所得の格差を広げてしまうような過去の社会・経済の仕組みを繰り返すのではなく、社会的公正・環境に配慮しながら、回復しようという考え方です。

具体的には、気候変動の原因となる化石燃料ではなく、再生可能エネルギー普及をはじめとした脱炭素社会構築のための補助金や仕組みづくり、また、脱炭素社会に向けた仕事を増やし、すべての人々が人間らしい仕事と生活ができるような雇用支援をしていくことで、これ以上の自然破壊を止め、人々の公平性を実現していこうという考え方です。

例えば、政府からのお金が化石燃料産業などを維持するために使われてしまったら、短期的に求められる必要な緊急対策や、長期的な視野が求められる脱炭素社会のための技術や雇用の保護に十分なお金が行き届来ません。

 

繰り返しになりますが、私たちは今、気候変動、生物多様性の損失、所得格差の拡大、ジェンダーの不平等など、社会的問題と環境問題が複雑に絡み合った世界にいます。これらの問題を後回しにし、その悪影響が顕在化したのが、今回の危機と言えます。

だからこそ、私たちは個々の問題に個別に対処するのではなく、コロナ危機の影響を最も受けている人々の声を聞きながら今まで複数の危機に立ち向かってきた人同士で連帯し、すべての人が尊厳を持って生きることができる経済・社会を目指す必要があります。

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持続可能な社会とはどのような社会なのか、そして政府の打ち出す政策が持続可能な社会につながるものなのかを私たち市民がしっかり確認し、政府に訴えていくことが求められているように感じます。

(高橋英恵)

 

参考:

Friends of the Earth international, 2020/5/6 “Solidarity with peoples affected by coronavirus crisis – Friends of the Earth International”

https://youtu.be/DDrGl1rxtzg

 

Friends of the Earth international, 2020/4/15 ”COVID-19 crisis is a wake up call for system change”

https://www.foei.org/news/covid-19-coronavirus-crisis-system-change

 

Friends of the Earth Europe 2020/4/20 “Coronavirus: Choices lie ahead for how we build back our broken economies”

http://foeeurope.org/coronavirus-choices-lie-ahead-070420

 

Friends of the Earth APAC, 2020/4/26 “COVID-19: An Opportunity for System Change”

https://foeasiapacific.org/2020/04/26/covid-19-an-opportunity-for-system-change/

 

Friends of the Earth US, 2020/4/15 “New Report: Big Oil’s Money Pit to Reap Stimulus Billions”

https://foe.org/news/new-report-big-oils-money-pit-to-reap-stimulus-billions/

地球環境と社会のために私たちにできること…代表理事ランダル・ヘルテン インタビュー(その2)

2020年、FoE Japanは設立40年目を迎えます。人生で言えば40歳は不惑と言いますが、日々目まぐるしく変化する社会や環境の中で、私たちがすべきことや考えることも変化し、目の前の課題や目指す社会を達成する取り組みについて、私たちは常に模索しているとも言えます。

 一方で、FoE Japanが40年かけて蓄積してきた知恵や活動実績、市民の皆さまからのサポートも、今のFoE Japanの礎となっていることは確かです。

 これまでの数十年、そしてこの先10年、そのまた先を見据え、私たちに何ができるか。2020年は、少し立ち止まって考えながらも、着実に前に進む一年にしたいと思います。

 さて、40周年の最初に、FoE Japanの代表理事であり、長くFoE Japanを知るランダル・ヘルテンに、これまでのFoEの歩みや、ここ数年の環境問題を取り巻く社会情勢、海外から見た日本の状況についてインタビューしました。

パート1はこちら

――

深草)環境・社会問題の構造的な原因を解決しない限り、課題は生成され続けるのかもしれないですね。でも、継続もいつまで…?と考えてしまいます。私はスタッフになって4年です。これまでも市民の力の勝利といえることもたくさんあり、FoEもそれに貢献したといえることはあると思いますが、根本的なシステム・チェンジにどれくらいFoEが貢献できているのか…。個人的には、既存のシステムの前に大きな壁を感じています。

ランディ)環境問題は基本的に人間活動が起こしていると思います。社会全体を見れば、産業、政府、市民社会、様々なステークホルダーがいます。NGOは社会の中の一つの存在で、草の根の声として、FoEが社会で果たしている役割は大きいと思います。カナダに帰国して20年くらい経ちましたが、2〜3年に一度日本にきて、FoEのみんなに会うと、組織として確実に成長していると思います。

 日本の場合、今の政権の中で変化を起こすのが難しいというのはわかります。80年代〜90年代は日本にあまり環境NGOが存在せず、市民の声もなかなか政府にとどかなかった時代だったと思います。北米では、リベラルデモクラシーが成長して、オバマ前大統領の時代は市民社会といい関係があった。日本にも90年代後半に、いい空気が醸成されていた。今は壁がある。だからこそ、どのように影響を与えるか、40周年の今、戦略を考える時期かもしれません。

(写真)COP25でのアクションの様子。2010年代の後半は特に気候危機の激化を体感した時期でもあった。

 私も、FoE Japanで5年以上、南極海洋保全の活動していますが、日本政府の担当者はほとんどASOC(注:南極・南極海連合)とFoEの声を無視していますね。漁業関係者と水産庁が世界の会議にでて、日本を代表しています。日本政府は市民のための組織なのに、なぜ漁業セクターだけが国際会議で日本を代表しているのか。社会の中で一緒に行動できる仲間をもっと探さないといけないです。

 個人的に、過去経験の30年を振り返ると、最初のインスピレーションー地球環境を守る、地球と人類を守っていく、という動機は正しいと思います。NGOとして、お金も人材も限られているけれど、やろうとしていることは正しい。

 一方、例えば化石燃料企業はお金も政治的影響力もあるけれど、これまでわかっていることとして、化石燃料企業は60年代からすでに気候変動について知っていたにも関わらず、利益のために間違った情報を流していました。これに立ち向かうには市民としてやはり活動を継続するしかない。

深草)これまで、システムに問題があり根本的な部分を解決しないといけないという話がありましたが、システムは変わりつつあると思いますか?

ランディ)日本の場合、残念ながら今の政権では難しいだろうと思います。世界の政治でも、ナショナリズムが台頭し、排他的な考え方が増え、富と力がより一握りの人間に集中するようになってきました。それを考えると暗い気持ちになります。

一方で、FoE Japanの仲間たち、人権・環境を保護しようとしている人たち、持続可能な社会を実現しようとする価値観を持っている人たち・組織・企業・政治家が前より確かに増えています。そう考えると、いろんな新しい可能性も出てきていると思います。それをプラスと考えて、チャンスを掴むべきですね。

また、環境運動や気候変動の活動の黎明期と比べると、現在は科学的な根拠がたくさん見出されてきています。それも追い風であると思います。

深草)最後に、40周年を迎えるFoE Japanとそれを支えて下さっているみなさまへメッセージをお願いします。

(写真)私たちに必要なのは現在のシステムの抜本的変革だ。COP24にて。

ランディ)2020年の新年、2020代の新年代、FoE Japanの40周年のタイミングで、今からの10年はまたとても大事な10年ですよね。IPCCは今から10年が勝負と言っています(注:パリ協定の1.5℃目標達成のためには、2030年までに2010年比で温室効果ガス45%排出削減が必要)。SDGs(持続可能な開発目標)も2030年までの目標です。気候変動目標、そして持続可能な開発目標の達成のためにFoE Japanに何ができるのか今考えなくてはいけませんね。化石燃料企業や原発推進企業など産業界はお金もパワーを持っています。彼らは解決を遅らせようとしています。しかし地球は希望もあります。Fridays for Futureにはとてもパワーを感じます。市民もパワーと希望を持って進んでいきましょう。

(写真)気候マーチに参加する日本の若者

地球環境と社会のために私たちにできること…代表理事ランダル・ヘルテン インタビュー(その1)

 2020年、FoE Japanは設立40年目を迎えます。人生で言えば40歳は不惑と言いますが、日々目まぐるしく変化する社会や環境の中で、私たちがすべきことや考えることも変化し、目の前の課題や目指す社会を達成する取り組みについて、私たちは常に模索しているとも言えます。

 一方で、FoE Japanが40年かけて蓄積してきた知恵や活動実績、市民の皆さまからのサポートも、今のFoE Japanの礎となっていることは確かです。

 これまでの数十年、そしてこの先10年、そのまた先を見据え、私たちに何ができるか。2020年は、少し立ち止まって考えながらも、着実に前に進む一年にしたいと思います。

(聞き手:スタッフ深草)

深草)最初に自己紹介をお願いします。

ランディ)ランダル・ヘルテンと言います。カナダで生まれ、若い頃はキャンプやハイキングなど、自然の中で過ごすのが好きでした。親が航空会社に勤めていたこともあり、若い頃にいろんな国を見ることができました。高校を卒業し、日本から電気製品を輸入しアメリカで販売する仕事につきました。その後、大学でマーケティングを勉強して、卒業後の1988年秋に来日しました。最初はビジネスコンサルティングの会社にいたのですが、環境問題について大変な危機感も抱いていて、ボランティアできる団体を探したところ、FoE Japanを見つけました。最初はハイキングプログラムに参加し、その後オフィスでのボランティアもしました。その時は「地球の友」という名前で活動していました。1989年からなので、もう30年の付き合いになりますね。

(写真)ランダル・ヘルテン

深草)当時はどのような課題に取り組んでいたのでしょうか?

ランディ)まずは設立経緯について。1980年当時はもちろん自分はいませんでしたが、FoE Japanの創設者の一人である田中幸夫さんが、アメリカでFoEの創設者であるデイビッド・ブラウアーに会ったところ、日本にもFoEを作ってはどうかと提案されたことがきっかけで、FoE Japanが創設されたそうです。FoE Japanとしての一番最初の活動は、エイモリー・ロビンスを日本に招いて、スピーキングツアーをすることでした。彼の1978年の著作である”Soft Energy Paths: Toward a Durable Peace”を読むと、彼の話は今も重要であることがわかります。彼は、原発は危険であり、再生可能エネルギーこそ私たちが選ぶべき道であると述べています。また、エネルギーと平和のつながりを語っています。

 1990年代のFoE Japanも、今と同じく森林の問題や、エネルギー問題、気候変動、開発金融の問題に取り組んでいました。そういう意味では一貫性がありますね。特に、90年ごろに大きかったのは「金融と環境」と熱帯林保護です。当時のFoE Japanのやり方として、海外のFoEとの繋がりを生かしつつ、日本国内でキャンペーンやネットワークを作って活動するパターンが大きかった。熱帯林行動ネットワーク(JATAN)がFoE Japanの中にできて、その後はサラワク・キャンペーン委員会ができました。また、90年代半ば、日本湿地ネットワークの創設に貢献しました。90年代は、ロシアの森林に関するキャンペーンも規模が大きかったですね。シベリアトラの保護活動などもしていました。80年代には国内の環境団体がとても数少なく、海外のマスコミは(日本の環境活動に関する)情報が得がたかったと聞いています。そのため、海外からの問い合わせがたくさんきました。当時、日本の情報を海外に流す、そして海外の情報を国内に流す、というのはFoE Japanの大きな役割だったと思います。

深草)90年代に、開発金融や森林問題についての活動が大きかったとのことですが、その当時社会的にも大きく認知された問題だったのでしょうか?当時のFoE Japanがそれに注力した背景には何があったのでしょうか?

ランディ)1989年に500人くらいのアマゾン地域先住民族等が、ブラジルで大規模ダムの反対キャンペーンのための集会を行いました。アルタミラ集会(The Altamira Gathering)と呼ばれています。日本からは、田中幸夫さんがこの会議に参加し、インスピレーションを受けたのではないかと思います。

 その後、90年代に今も協力関係が続くPARCなど他団体と協力してインドのナルマダダム建設に反対するキャンペーンを行いました。ナルマダダムは世界銀行の融資によるプロジェクトで、世界銀行が環境破壊や人権侵害しているとして国際的な反対キャンペーンがあり、日本の窓口がFoE Japanでした。FoEのスタッフもインドに行って調査を行い、91年ごろに日本で大きな会議もやりました。その時、OECF(注:注:海外経済協力基金。国際協力銀行(JBIC)を経て、現在は国際協力機構(JICA)の円借款部門)の関与するプロジェクトでの環境人権問題に関する問題提起をかなりやりました。日本政府はびっくりしたと思います。FoE Japanの活動のインパクトはあったのではないでしょうか。その流れが2000年代初めにJBIC環境社会配慮ガイドラインを作成させるという活動につながりました。

(写真)奇跡的に残っていた1997年のニュースレターより。2001年以前のニュースレターをお持ちの方ぜひFoEにコピーを送っていただけると嬉しいです!

深草)今も日本の公的資金や開発金融が引き起こす問題は解決していませんし、むしろ金融機関による人権侵害や環境破壊の状況は悪くなっている気がします…。

ランディ)20代のころから、人口が増え環境破壊がどんどん進み、人類が危機にあるという感覚がありました。80年代後半に日本に来て、これからの人生を考えた時に、人類に貢献したいという気持ちがありました。FoE Japanを見つけて、魅力を感じたのは、国際的なネットワークを持っているけれども、草の根の活動をしていること。それは今も変わってないですよね。もう30年関わっていますが、今も毎日ニュースを見て、気候変動やマイクロプラスチック、海面上昇、生物多様性の問題など、すべて悪い方向に向かっている…。だらこそ、FoEのネットワークの効果を期待しています。こういう仕事は終わりがないと思います。継続することがとても大事。一つの成功があっても、「システム」に問題があるので、それを変えるためには、活動を継続しないといけないと思います。

(写真)2001年のニュースレター。坂本龍一さんの寄稿が!

次へ続く


環境と人権のためにたたかったFoEインドネシアの活動家、命を落とす - 徹底的な調査と人権保護を

今月6日、インドネシア最大の環境団体、FoEインドネシア(WALHI:インドネシア環境フォーラム)北スマトラ支部のメンバーであったゴルフリッド・シレガール(Golfrid Siregar)が亡くなりました。34歳の若さでした。ゴルフリッドの冥福を祈るとともに、全ての環境・人権活動家の安全が確保されることを切に望みます。

 ゴルフリッドは、10月3日木曜日の早朝、重度の頭部外傷のため、非常に危険な状態で発見され、6日に搬送先の病院で息を引きとりました。現地警察は死因は事故であったとしていますが、損傷は頭部のみで身体は無傷であったこと、彼の所持品が消えていること、彼のバイクは損傷が少なかったことなど、不可解な点も多いため、活動家を狙った暗殺の可能性も非常に高く、WALHIを含む市民団体、およびFoEアジア太平洋グループは、インドネシア政府に対し、迅速かつ透明性の確保された形で彼の死因を調査するよう声明を発出しました。

 ゴルフリッドは様々な環境や人権の保護、特に北スマトラでの活動に人生を捧げました。プランテーション、違法伐採、水力発電ダム、砂採掘会社に対して提訴した漁民への支援など、企業により被害を受けたコミュニティ支援に精力的に取り組んでいました。


 インドネシアでは、環境や人権を守り活動する人々の命が常に危険にさらされています。FoE Japanがともに活動するインドネシア・インドラマユで石炭火力発電事業に反対する農民たちも、一時弾圧としか思えない理由で投獄されました(http://www.foejapan.org/aid/jbic02/indramayu/180924.html)。日本もまったく無関係ではないのです。また、インドネシアだけでなく、世界各地で活動家の人権侵害や生命への脅威が増しており、英国の人権監視団体グローバル・ウィットネスの今年の報告によると、2018年には週に3人のペースで活動家が殺害されています(https://www.globalwitness.org/en/campaigns/environmental-activists/enemies-state/)。

 今日、環境を守るために活動するということは旧来の自然保護の枠を超え、多くの国や地域で強権的な政府や大企業などの既得権益に対し土地や地域社会の権利、人権を守ろうと志す多くの人々の命を賭けた活動となっています。国連の人権擁護者に関する特別報告者のレポートは、問題の背景として、資本主義社会における資源収奪や、市民社会ではなく企業に多くの力が集中したり、本来規制導入を議論・実施すべきはずの政府が企業優遇の姿勢を見せているなどの要因をあげています(https://www.protecting-defenders.org/sites/protecting-defenders.org/files/environmentaldefenders_0.pdf)。

FoEアジア太平洋による声明はこちら(英語)
https://foeasiapacific.org/2019/10/11/friends-of-the-earth-asia-pacific-demands-a-thorough-investigation-into-the-death-of-activist-golfrid-siregar/

市民団体の連合による共同声明は下記(英語原文は翻訳版の下部に記載)

共同声明

ゴルフリッド・シレガールの死に関する徹底調査を

ジャカルタ:人権擁護活動家のための市民社会連合は、WALHI(FoE インドネシア)北スマトラの活動家でもあった環境保護活動家・人権擁護活動家のゴルフリッド・シレガールの死に関し、迅速で透明性の確保された、かつ、実効性のある独立調査を実施するようインドネシア政府に強く要請する。ゴルフリッドは2019年10月3日木曜日の未明、頭蓋の重度の頭部外傷のため、非常に危険な状態で発見された。ゴルフリッドは搬送先の病院で10月6日の日曜日に息を引き取った。

私たちは、警察が、ゴルフリッドの死因が交通事故によるものだと拙速に判断を下したことを遺憾に思っている。彼の死には、(交通事故が死因であると判断するには)多くの不審な点が残っていると考える。例えば、事故の発生現場が不明である。当初、彼の家族は、ジャミン・ギンティングの高架道路で事故が発生したという情報を治安部隊から入手していた。その後、故の発生現場はティティック・クニングの高架下であったと変更された。ゴルフリッドの死は、交通事故が原因ではなく、暴力が原因で死亡したのではないかと疑われる。さらに、マルク州の先住民族の活動家であるヨハネス・バルブンのケースでも、2016年に事故で死亡したと警察が主張した。一方、今年初めにWALHI西ヌサ・トゥンガラ支部の事務局長ムルダニが暗殺未遂事件にあったことも明らかにされていない。

インドネシアやその他の国で発生した、死亡や殺人未遂につながるあらゆる暴力事件と同様に、社会・環境に係る権利のために闘う環境・人権擁護活動家の活動と、住む場所・生計手段の喪失や環境被害といった企業による破壊行為の脅威とを切り離すことはできない。人権団体からの様々な報告によると、環境・人権擁護活動家は、人権侵害の事例や深刻な環境被害を明らかにするために活動している一方で、襲撃や脅威に対して非常に脆弱である。

ゴルフリッドは特に北スマトラにおいて、様々な環境保護活動や人道的活動に人生を捧げた。ゴルフリッドとWALHI北スマトラの仲間が行った様々なアドボカシー活動の中には、シアンタールにあるMitra Beton社の活動により被害を受けたコミュニティへの支援、リンガ・ムダでの森林への不法侵入や違法伐採問題におけるコミュニティへの支援、ラブビーチでの砂採掘会社に対する訴訟のための漁民への支援、そして、NSHE社に対する環境許認可を発行した北スマトラ州知事に対する訴訟のWALHI弁護団のリーダーとしての役割、また環境アセスメントにおける署名偽装に関する調査を中止した北スマトラ州警察の警察官をジャカルタの警察本部に報告したことなどが含まれている。

環境保護活動家や人権擁護活動家の殺害につながる暴挙はこれまでも発生しており、増加している。インドネシアでは、インドラ・プラニ、サリム・カンチル、ヨハネス・バルブン、ポロドゥカが殺害されてきたが、今、ゴルフリッド・シレガールがまた殺害された。同様に、西ヌサ・トゥンガラ州でムルダニが放火により暗殺未遂にあっている。

今回の事件を受けて、環境と人権の擁護者であるゴルフリッドの正義と家族のために、そしてすべての人々の正義のために、私たちは以下を強く要求する:

  1. 1998年12月9日に国連で採択された人権擁護活動家に関する宣言の第9条 (5)に述べられているように、国は、調査を迅速かつ公正に実施し、又はその管轄地域内で人権及び自由の侵害が生じたと信ずるに足りる合理的な根拠がある場合に確実に調査を実施しなくてはならない。
  2. 警察官は、法の執行プロセスの説明責任を果たすため、開かれた形で、ゴルフリッドの死を徹底的に調査すべき。また、北スマトラ州警察には利益相反が存在することから、この事件の処理は警察本部に引き継がれるべきである。
  3. 環境と人権の擁護者に関わる事件であるため、国家人権委員会は直ちに事実調査の独立チームを結成すべき
  4. その緊急性に鑑み、これ以上の冤罪や死につながる暴力が起きないよう、国に対し、環境及び人権の擁護者の保護を確保するための政策(大統領令)を直ちに発出することを求める。
  5. 政府は直ちに人々の命と生態系の持続可能性の保護を主要な前提条件とする開発プログラムを立案し、実施すべき。開発のために、人々の生命と生態系を危機に晒してはいけない。

また、私たちは一般の市民に対しても、ゴルフリッド・シレガールの死に関する法の執行プロセスが適切に実施されるよう、共に監視するよう求める。将来、人々の権利や環境のためにたたかう人々の命がこれ以上奪われないことを切に願う。

Joint Statement of Civil Society Coalition

Investigate Throroughly the Demise of Activist Golfrid Siregar

Present the State to Protect Human Rights Defenders

Jakarta—The Civil Society Coalition for Human Rights Defenders urges the state to conduct an immediate, open, effective and independent investigation related to the demise of environmental and human rights defenders, Golfrid Siregar, SH, who was also an activist from Wahana Lingkungan Hidup Indonesia in North Sumatra (WALHI Sumut). Golfrid was found early on Thursday October 3, 2019 in a very critical condition due to severe head injuries in his cranium. Golfrid was the brought to hospital, until he breathed his last on Sunday, October 6.

The Coalition regrets the Police’s attitude to hastily state the cause of late Golfrid’s demise was due to a traffic accident. The Coalition considers that there are a number of irregularities found from his death. For example, unclear location of the incident (TKP). Initially, the family obtained information from the security forces that the incident happened at Jamin Ginting flyover. Then, the TKP changed underpass Titik Kuning. We suspect that the late Golfid’s demise was not because of a traffic accident however caused by violence that resulted in death. Moreover, the case of Yohanes Balubun, an activist for Indigenous People in Maluku, whose death in 2016 was claimed by the police as a result of an accident. Meanwhile, in West Nusa Tenggara (NTB), an attempt to assassinate WALHI West Nusa Tenggara Executive Director Murdani earlier this year has also not been revealed.

As any other violence cases that lead in demise or attempted murder that happened in Indonesia and other countries, it cannot be separated from the activities of environmental and human rights defenders who fight for the rights of society and environment from threats of destructions by corporations, such as the loss of residential, livelihood, and environmental damage. Various reports from human rights organizations show that environmental and human rights defenders are very vulnerable to attacks/threats while working to expose human rights violations cases and serious environmental damage. 

In the spanning of his life, Golfrid dedicated his life for various environmental advocacy works and humanity, especially in North Sumatra. Various advocacy works carried out by Golfrid and friends in WALHI North Sumatra, amongst other are assisting impacted local community due to the activities of PT. Mitra Beton in Siantar, assisting local community in Lingga Muda from forest encroachment and illegal logging, assisting fishermen in Labu Beach for the lawsuit against sand mining company, and lastly serving as the lead of WALHI legal team of the lawsuit against  Governor of North Sumatra for issuing environmental permits with defendant of PT. NSHE, as well as reporting the police officers in North Sumatra Regional Police (POLDA Sumut) who stopped the investigation of forged signature case in AMDAL to Police Headquarters (Mabes POLRI) in Jakarta. 

The violence that lead to death experienced by environmental and Human Rights Defenders has long happened and been increasing, Indra Pelani, Salim Kancil, Yohanes Balubun, Poroduka, and now Golfrid Siregar, as well as the attempted murder of arson experienced by Murdani in West Nusa Tenggara. 

From the incident experienced by environmental and human rights defender, Golfrid Siregar, for the sake of Golfrid’s justice and his family, and for the sake of everyone’s justice, we urge:

  1. The State must conduct investigation immediately and impartial or ensure that an investigation is conducted in reasonable grounds to believe that violation of human rights and freedom has occurred in its jurisdiction. As stated in Article 9 (5) Declaration of Human Rights Defenders passed by the United Nation on December 9, 1998;
  2. Police officers to thoroughly investigate the demise of Golfrid Siregar, openly to the public to ensure the accountability of law enforcement process. Given the existence of conflict of conflict interest in North Sumatra Regional Office (POLDA Sumut), therefore we urge the handling of this case to be taken over by Police Headquarters (Mabes POLRI);
  3. The National Commission for Human Rights (Komnas HAM) to immediately form fact-finding independent team, because this case was experienced by environmental and human rights defender;
  4. Given its urgency, we also urge the state to immediately issue policies (Presidential Regulation) that ensure the protection for environmental and human rights defenders. Therefore, there won’t be any criminalization and violence act that lead to death;
  5. Government to immediately draft policies and carry the development programs that put protection towards people’s rights to life and ecological sustainability as the main prerequisites. Therefore, for the sake of development, it doesn’t put in line the people life threaten and ecological disaster.

We also invite public in general to jointly guard the law enforcement process towards the death of Golfrid Siregar. In hope in the future there won’t be any live taken for fighting the rights of the people and environment.  

For further information please reach: 

Jakarta, October 10 2019

Human Rights Defenders Coalition

Wahana Lingkungan Hidup Indonesia (WALHI) – KontraS – Amnesty International Indonesia – Human Rights Watch – Yayasan Perlindungan Insani, Greenpeace Indonesia –YLBHI – ELSAM – Kemitraan – Imparsial – KRuHA, LBH Pers – HuMa – JATAM – HRWG – Solidaritas Perempuan

  1. Zenzi Suhadi, Eksekutif Nasional WALHI

Email: zenzi.walhi@gmail.com

  • Papang Hidayat, Amnesty International Indonesia. 

Email: papang.hidayat@amnesty.id

  • Ainul Yaqin, Yayasan Perlindungan Insani

Email: ainulyaqin@protonmail.com

  • Asep Komarudin, Greenpeace Indonesia

Email: akomarud@greenpeace.org

  • Yati Andriyani, Komisi untuk Orang Hilang dan Korban Tindak Kekerasan (KontraS)

Email: yatiandriyani@kontras.org

環境と社会ー構造的問題に対するオルタナティブを模索すること

ニュースレターやブログなどを通じFoEの活動は見えてきても、スタッフの姿は見えないことが多いと思います。どんな人がFoE Japanで働いているのでしょうか?なぜFOEに?
インターンスタッフに3名の職員をインタビューをしてもらいました。

第三弾は気候変動・開発金融と環境・福島支援と脱原発チームの深草亜悠美です。

FoE Japan では何をされていますか?

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一番右が深草

最初は、原発問題を中心に活動していて、原発輸出や国内の再稼働を止める為のキャンペーンに携わっていました。現在もこれらのキャンペーンにも関わっていますが、石炭を含むエネルギー問題と気候変動に関するキャンペーンも行なっています。
エネルギー分野では、石炭火力発電所の海外輸出を止めるキャンペーンを行っています。石炭火力には、持続可能なエネルギーではなく大気汚染や気候変動を加速させているという点の他に、開発が行われる現地では社会影響や人権侵害が起きているという問題もあります。
気候変動に関しては、単なる温度上昇だけではないと思っています。近頃、気候変動による影響が大きくなって来ているのが日本でも実感されますが、歴史を振り返れば、日本を含む先進国が温室効果ガスを大量に排出して発展して来たという背景があり、今なお多くの温室効果ガスを排出しています。その一方で、途上国や貧困層の人々の受ける被害の方が大きいのが現状です。気候変動は、途上国と先進国の格差や人権問題など『社会正義』にも関わる問題であると思います。そういった観点から気候変動問題の重要性や緊急性、そして対策の必要性等を日本国内に発信するキャンペーンをやっています。

FoE Japan に入るきっかけは?
昔から漠然と「環境」には興味がありましたが、大学の授業でたまたま FoE のことを知り、FoEの理念に「環境」だけでなく「社会」という価値観が含まれているところがしっくりときたので、大学2年生の終わり頃からインターンを始めました。当時は震災が起きてから一年も経たない頃だったのですが、エネルギー問題に興味を持ち、大学のサークルなどで取り組んではいたものの、その時はまだ原発事故の実感が薄かったです。しかし、スタッフの皆さんは原発事故の対応の真っ只中で、政府交渉や避難している人々の話を聞いていく中で、全然物事が見えていなかったことや自分がいかに知らなかったかということにショックを受け、危機感を覚えました。また、FoEのスタッフの人と真剣に原発の問題や環境問題について話すことができ、インターン生であっても対等に扱ってくれるような環境に居心地の良さを感じていました。FoE Japan は、自分に刺激をくれた場所であり、自分を受けてくれる団体だったのです。

入ってから今日まで続ける上でのモチベーションは何ですか?
「社会が変わるところや、変わるためにNGOとしてどんな新しい価値観を提供出来るのかという部分を見てみたい。」FoE Japan で活動していく中で、環境問題にしろ、原発にしろ、社会構造に根本的な問題があるのではないかと考えるようになりました。二酸化炭素削減や原発の稼働停止などは数ある多くの問題の中の一つで、今あるシステムを変えたり、新しいアイディアを考えていかなければいけないと感じるようになったのです。そして、そういった新しい価値観や物の見方を世の中にに発信することはNGOに出来ることの一つであり、そこに携わっていきたいと思っています。

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インターン生の頃にドイツ・ベラルーシ・日本の若者交流プロジェクトに参加。日本開催の時にはインターン生として主体的に企画に参画させてもらいました。

今までやってきた活動の中で最も印象に残っていることは?
今、世界中で環境や人権を守る活動家が危機にさらされています。FoEグループでは、環境や人権のために戦う活動家やコミュニティを守るための制度構築のための国際アドボカシー活動や、緊急支援の活動もしていて、そこに少しだけ関わっています。危険にさらされている人々は、代々守ってきた川や森、それと一体となっている伝統的な暮らしなどを守るために立ち上がっている。生活そのものである自然や文化を守ろうとたたかっています。都会に暮らしていると、自然と人間がとても断絶しているように感じます。しかし私たちは自然なしには生きられないし、そもそも自分たち人間も自然の一部なんだと思います。けれど資源収奪や利益のために、一番最前線で自然とともに生き、守ってくれている人たちが危機にさらされている。非常に重要で深刻な問題だし、私たち日本に生きる人も無関係ではありません。
あともう一つ、学生インターンの頃に現事務局長の満田さんに出会ったことも大きいですね。いつも誰のために・なんのために活動をしているのか、という軸がブレない。今でもとても学ばせていただいています。

FoEでボランティアやインターンがしたいへのメッセージ
世の中にはたくさん環境問題があります。その中でも、人や社会・人権といったところに注目して活動している FoE が好きなので、そういうところに共感してくれると嬉しいです。

最後に、FoE Japan は一言で言うとどのような場所ですか?
日々の生活の中でモヤモヤしていることや解答が見つからないことというのは多々あると思いますが、FoE Japan は、そういった物事について一緒に議論したり、行動を起こしてみたりして、「考えながら、やりながら考える」ことが共に出来る場だと感じます。また、周りの人を見て「ここで自分だけ立ち止まっていられない」と感じる、そんな刺激を受けられる場所です。

(聞き手:インターン杉浦)