<参加報告>全国メガソーラ問題シンポジウム

「全国メガソーラ問題シンポジウム」に参加したので報告します。

日にち:2018年10月8日
場所:長野県茅野市茅野市民館
主催:全国メガソーラー問題シンポジウム実行委員会、NPO法人地球守

参加者(筆者推定):約500人
参加者層(筆者推定):地元市民、関係者

□講演内容

「FIT法の何が問題か?」佐久裕司さん

「現代土木の限界と災害、大地環境の仕組みから、メガソーラの何が問題を診る」高田宏臣さん

「メガソーラーをやっつけろ!闘う住民のための十訓」梶山正三さん

 

□各地報告とパネルディスカッション

①長野県諏訪市四賀ソーラー事業
②千葉県鴨川池田地区(田原地区)メガソーラー事業
③静岡県伊豆高原メガソーラーパーク発電所
④愛知県知多郡東浦町メガソーラー計画
⑤三重県四日市足見川メガソーラー計画

 

・伊豆高原案件では、林地開発許可の審議会を4回も実施したものの、許可されてしまった。現状では不許可となることはありえない許可制度である。その中で4回の審議回数になったのは活動の成果ではないか。

 

・太陽光発電事業に関わる規制、条例、法律は以下①~④である。

①環境アセスメント

・全国で太陽光を対象にしている県は長野県、山形県、大分県の3件のみ

・その他なんらかの対象としている都道府県は29ある

・事業者自らが実施するため、都合の悪いチェック等は実施しないという問題点がある。

②林地開発許可

・通常許可されてしまう制度となっている

③市条例(ある場合)

・伊東市の例では、市長の同意が必要としているが、罰則規定がないと無視されてしまうという問題がある

④改正FIT法

・2016年改正FIT法では接続契約をしていないと許可が降りなくなった

・28GWが失効し、22GWが残っている

・法令違反が見つかれば経産省が調査し、取り消しできることになった。伊豆では市長の不同意のままに実行することは違法である、とする活動を実施している

 

パネルディスカッションのまとめでは、このようなメガソーラ問題は原発と同じ構図であり、それは大手資本、海外資本によるものであること、地方にお金は落ちないこと、自然は破壊されること、土地問題があることとした。

 

□聴講した所感

このシンポジウムで報告された5つの事例は環境破壊型、地元非同意型ソーラ発電として許されるものではない。太陽光発電事業で問題を抱える事例はこの他に多数あるが、地元住民の同意が得られていない計画はなんらかの問題があると考える。まず真っ先に改善すべきところは事業者による正確な情報開示と丁寧な説明であり、その上で何が問題かを議論すべきである。しかし現状では情報がないのに問題点を指摘しなくてはならないという不条理を感じる。そんな中、各地の活動では地道に情報収集を行い、整理をしているのは大変なことである。

 

パネルディスカッションでは、現状の太陽光発電事業に関係する制度の整理をしていただき、「環境破壊型」ソーラー発電計画を止めるためのヒントや力の入れどころを示していただいたのが良かった。

 

FoE Japanとしては引き続き、持続可能なエネルギーとはなにかを考えて活動していきたい。

 

<プログラム:主催者HP>
https://megasolarsympo.wixsite.com/-solar-sympo/blank-2

 

(2018年10月 田渕)

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国連気候変動枠組条約・バンコク会議閉幕―パリ協定実施指針交渉の行方は

Stack of booksタイ・バンコクで9月4日から9日まで開かれていた、国連気候変動交渉。主にはパリ協定を実際に実施していくための詳細なルールを定める国際交渉で、実施指針自体は12月ポーランドでの第24回締約国会合(COP24)で採択が目されています。

COP前の最後の公式会合であるこの会議では、各国の様々な主張は削らずに様々な選択肢の整理を行い、COPで本格的な交渉に映るためのたたき台を用意することが主な作業でした。その結果、306ページにわたる非公式文書が会合の終わりに準備されました。京都議定書の実施指針に相当する2001年のマラケシュ合意は240ページ以上の文書でしたが、ベージ数の多さはさておき、非公式文書に含まれている分野ごとの進捗のばらつきが今後の課題となってきます。先進国の望む緩和行動に関する部分だけが今度のCOPで採択され、途上国支援などが置き去りにされる懸念があります。会議閉会時に、議長たちに10月15日までにこの非公式文書をさらに整理し、COPでの交渉のたたき台の用意を託す旨が合意され、バンコク会合が終わりました。

これまで2年半の実施指針の交渉での大きな対立点は、差異化の部分です。言い換えると、先進国の義務をどのように実指指針に反映させるかという点が争点でした。気候変動枠組条約の文言に比べると表現は弱められましたが「共通かつ差異ある責任」の条約の原則はパリ協定にも引き継がれ、歴史的な責任に鑑み、先進国は途上国の対策を資金・技術面で支援することになっています。
ほぼすべての国が提出している2030年もしくは2025年までの国別行動計画(NDC)の定義について、今回も排出削減行動のみをNDCの中身とする先進国が、支援についてもNDCに入れるべきとする途上国提案を拒絶して紛糾するひと幕もあり、この部分は両論併記する形にとどまり、ほぼ進展がありませんでした。各国のNDCの進捗の報告義務を定める「透明性枠組み」の交渉でもやはり二分論が出ていますが、そこは議論が分かれる部分を分けることで非公式文書の一定の整理が進みました。

歴史的責任と公平性の問題は、単に原則論とするのではすまされない重要性を持っています。現在各国が提出しているNDCを積み上げるだけだと、世紀末までに3℃以上の気温上昇を招くとされていますが、これは途上国のNDCがきちんと実施されることを前提としています。多くの国のNDCには、外からの支援なしに実施不可能な部分があり、先進国が途上国への支援義務を果たさなければ、気温上昇の予測は3℃をさらに上回るでしょう。実施方針に支援の義務とその実施の方法を書き込むことはとても重要なのです。しかし先進国、とりわけ協定撤退を表明したアメリカが率い、日本もメンバーである「アンブレラグループ」は、先進国の義務を明示的に指針に表記することに強硬に反対しています。この溝は実施指針の交渉開始時点から深く、COP二週目の閣僚級の交渉まで持ち越されるでしょう。

NDCや透明性の議論のほか、バンコクで引き続き対立点となったのは、パリ協定作業計画にふくまれる途上国支援、とりわけ資金支援の報告に関するものでした。先進国は事後報告だけでなく、2年ごとに今後の支援規模を国連に提出することが協定文にありますが(9.5条)、先進国は提出の仕方は任意に留めたく、また協定前に約束した年間1000億ドルの途上国への資金目標が終わる2020-2025年以降の次の資金目標の定め方の議論にも反対しています。途上国の間で広がる被害や自国のNDC実施の計画立案には海外からの公的資金の見通しの情報が不可欠であることが途上国の要求の背景にあります。ここでもスイスやアメリカといった先進国が共同歩調で途上国の要求を突っぱねている状況が続いています。

途上国支援の要として設けられた緑気候基金(GCF)の資金は年内にも底を尽きる見通しです。7月のGCFの理事会では、やはりアメリカが追加増資の議論をとめてしまいました。資金支援でのトランプ政権の強硬姿勢に屈さず、実施指針の内容をさらに弱めることにならないようにしなければなりません。

COP24の直前から期間中、気候資金の隔年閣僚級対話、資金委員会の包括的気候資金の隔年評価報告、2020年までの先進国義務進捗に関する議題など協定実施指針だけでなく、重要な途上国支援の議論が並行して行われることになります。先進国は気候資金を2020年までに年1000億ドルに引き上げる目標の進捗を示す独自の報告を用意しているとも言われ、資金問題はポーランドでの議論の台風の目となります。

一方で途上国支援に民間資金の活用が叫ばれています。しかし、同時に貧しい国民を支える公共サービスの市場開放を求められる途上国にはもろ刃の剣です。先の見通しが立てにくい民間投資、さらには先進国にとって実施指針の目玉の一つであり4月以降議論に弾みがついている途上国での事業で得た削減量を自国のNDCに編入できるグローバル炭素市場が来年以降始動すれば、外からの市場の動向の影響で、途上国が政府主体で国内の長期的なエネルギー開発政策を定めることをますます難しくします。

公平性・先進国の歴史的責任を、途上国支援の面で実施指針に反映させることは協定全体の効果を左右する重要なことです。しかし、FoEグループは実施指針がさらに弱められた抜け道だらけの内容となると危惧しています。今年のポーランドでのCOPは、COP参加者とくに市民団体の活動を制限するような立法措置が取られていますが、引き続き、日本を含む先進国の歴史的責任と義務、原発に頼らない急速な化石燃料からの脱却/脱石炭、食糧主権、コミュニティーの権利とエネルギー民主主義、企業支配からの民主的スペースの奪回などをテーマに、働きかけやメディアアクションなどを行なっていきます。

(文:小野寺ゆうり 編:深草亜悠美)

石炭推進の「クリーン・コール・デー」国際会議に、石炭NOのアクションをしました

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石炭推進の人たちによる「クリーン・コール・デー」国際シンポジウム(一般社団法人日本鉄鋼連盟、一般社団法人セメント協会、 日本製紙連合会、電源開発株式会社、一般財団法人石炭エネルギーセンターなど)が都内のホテルで開催されました。

これに対して9/10朝、会場前でアピールを行いました。「石炭火力問題を考える東京湾の会」のメンバーをはじめ、仙台や神戸の考える会からも参加がありました。国際シンポジウム参加者および一般市民向けに、LNG火力の2倍のCO2を出す石炭火力の問題点をアピールしました。チラシは受け取らなくても「千葉に青空を」などの横断幕はとても分かり易く効果的でした。FoE Japanからは3名(+赤ちゃん1名)が参加しました。(文責 鈴木国夫)

「石炭火力問題を考える東京湾の会」
http://nocoal-tokyobay.net/2018/09/10/no_more_coal_action/

国連気候変動会議 ー今すぐの脱石炭を、気候正義を

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国連気候変動交渉が行われているバンコクにおいて、市民社会によるアクションが開催されました。現在の気候変動による被害は、これまでに先進国が大量の化石エネルギーを利用し発展してきたことに要因がある一方、ほとんど温室効果ガスを排出していない途上国の貧しい人々が特に深刻な被害を受けているという不正義を是正するよう訴え、特に日本や韓国などのアジアの先進国に対して、インドネシアやベトナムに依然石炭火力発電所を輸出していることを批判が繰り広げられました。

パリ協定の目標を達成し、気候変動の影響を特に受けやすい人々を守っていくためには、日本は劇的な温室効果ガス排出の削減、パリ協定に矛盾せず人権を尊重した途上国支援、適応に対する支援や、すでに生じている気候変動被害に対応する支援などが必要です。しかし、2016年以降、日本は少なくとも海外において7つの石炭火力発電事業への支援を決めています。

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そのうちの一つはインドネシア・チレボン石炭火力発電所事業です。日本の国際協力銀行が融資を行っています。このプロジェクトは、深刻な人権侵害や生計手段の喪失などが起きています(詳しくはこちら)。

FoE Japanも参加する国際的な気候正義の「Demand Climate Justice」ネットワークでは、各国政府に対し、8つのことを求めています。

1. 100パーセント再生可能エネルギーへのコミットメント(先進国は2030年までに、途上国は2050年までに)
2. 民主的で持続可能なエネルギーを達成するために必要な資金
3. 新規石炭プロジェクトへの国際的なモラトリアム
4. フラッキングの禁止と、新規化石燃料探査・採掘の禁止
5. 大規模で危険なエネルギープロジェクトの中止
6. 化石燃料への補助金の停止(先進国は2020年までに)
7. 大規模バイオマスや巨大ダムから公的資金の撤退
8. 国際気候変動交渉における利益相反ポリシーの制定

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日本は国外への石炭火力輸出だけでなく、国内でも石炭火力発電所の拡大を続けていますが、これはパリ協定やそれを受けて脱炭素化を目指す世界の潮流に逆行しています。
日本は今すぐ石炭火力発電や原発などの環境汚染を生み、人権や生命を脅かすプロジェクトへの支援をやめ、再エネや人々を中心とした支援に切り替えて行くべきです。

(深草亜悠美)

パリ協定実施指針採択に向けて 〜主要論点〜

パリ協定実施の核である「国別貢献(各国が独自に定める気候変動対策に関する目標/NDC)」の定義に関しては、貢献は緩和だけでなく適応や途上国支援、発生した被害への対策などを含め包括的であるべきとする途上国と、緩和のみで適応や途上国支援は一切外したい米国主導の先進国グループとの間で交渉開始当初から大きく隔たったままの状況です。

・透明性枠組み
各国の進捗報告のシステム(「透明性枠組み」)の構築においては、途上国側は、先進国からの資金・技術移転なしには実施できない部分が多いため、報告すべき内容に先進国による案件レベルの支援に関する情報を含めるよう求めています。一方、米国主導の先進国側は、支援を受ける国が、受けた支援の報告も含め、先進国と同様の報告を求める主張が併記された形になっています。また先進国は発生している気候変動による被害の情報は含まれないと主張し、含まれるべきと主張する途上国と対立しています。

・グローバルストックテーク
パリ協定の下で2023年から5年ごとに行われる進捗状況の全体評価(グローバルストックテイク)の手続きの議論では、1.5/2℃目標に対する進捗評価だけでなく、適応の進捗や資金技術支援、発生被害の評価もすべきとする途上国に対し、先進国の間では、緩和以外に支援評価などを含めることに対して強い抵抗があります。また米国などの先進国はここでも発生する被害の評価を含めることに強く反対しています。

・途上国支援
現在、各国が発表しているNDCを積み上げると、将来の気温上昇は3℃以上になると予想されていますが、この数字はあくまでも途上国が十分自国の貢献を果たせたという仮定に基づいており、追加的な資金・技術の移転が先進国からなされなければ、気温は更に上昇します。そのため、途上国は、先進国による途上国支援の報告や、パリ協定下での次の途上国支援目標額の設置、適応資金の継続など、途上国への支援についての内容が先進国のNDCに含まれ、また透明性枠組みの下での報告や全体評価にきちんと含まれることを求めているわけですが、米国や一部の先進国は強硬な反対を続けています。

更には、COP16(2010年、メキシコ・カンクン)の決定で設置された途上国支援の要である緑気候基金(Green Climate Fund, GCF)は、初期資金の3/4がすでに拠出されており、このままだと来年で資金が底をつく状況です。先進国、特に米国は拠出を約束した額の一部しか拠出しておらず、7月の緑気候基金の理事会で先進国理事が追加拠出の手続き開始に合意しなかったことが途上国の危機感を煽っています。

・市場メカニズム
日本や欧州先進国及び一部途上国はパリ協定に盛り込まれた国際市場メカニズムのCOP24での国際ルール合意に強い意欲を見せています。化石燃料や農業に関わる国際資本は、途上国でのバイオマスやバイオ燃料を使った削減事業のクレジットでビジネスを継続できることから、交渉に深く関わっており、今回の会合でCOP決定文書案に整理されため市場メカニズムに関する交渉文書が作られる可能性があります。国際市場メカニズムが設けられることはパリ協定ですでに合意されているとはいえ、京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)と桁違いの大量のオフセットが取引されることになり、大口排出国の国内対策が更に遅れることになるため、これに懸念を持つ国々はオフセットではなく純削減とする原則や、取引できる量を制限する「補完性」と呼ばれる国際ルールを求めています。

・利益相反
これは大資本の利権がパリ協定の実施方針を弱める一例でもあります。先進国の大資本は、エネルギー政策に決定的影響を与えています。国連気候変動交渉において、多くの化石燃料企業が関与しており、気候正義を求めるFoEや国際的な市民のムーブメントは、気候変動による破滅的状況を避けるためにはエネルギーシステムの抜本的改革が必要であると訴えています。中でも今日の気候危機を生み出している、強い政治力を持つ企業資本が大きな影響力を持つ現在の状況から、市民が決定権を取り戻すことを呼びかけています(例えば、気候変動交渉には利益相反指針がなく、化石燃料企業も多く交渉に関与しているため、気候正義を求める市民グループは、利益相反指針(COI)を設けるよう提言している)。

(文:小野寺ゆうり、編:深草亜悠美)

パリ協定実施指針採択に向けて—クライメートジャスティス(Climate Justice)への道のり

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今日9月4日から9日までタイ・バンコクにて、12月に開かれる気候変動枠組条約締約国会合(COP24/ポーランド開催)で採択される予定のパリ協定の実施指針(ルールブックまたはPAWP)を交渉するための追加会合が開催されています。COP24前最後となる公式の政府間交渉で、交渉のたたき台となる決定文書案を準備することが望まれています。パリ協定は世界の気候変動対策の枠組みであり、その効果的な実施が世界の将来を左右するため、COP24での実施指針採択はパリ協定が採択されたCOP21パリ会議以来、最も重要な会議と見られています。

これまでにすでに世界平均で1℃前後の気温上昇が記録され、日本だけではなく、世界各地で記録的な猛暑を記録し、集中豪雨などが発生しています。記録的な飢饉、水不足、農業生産の減少・食糧危機、洪水や海面上昇による避難民(気候難民)がアフリカ、南アジアや中南米の各地で増加しています。それにより多数の犠牲者が出ています。
特に、近年被害が急速に拡大している途上国の市民はCOP24を強い関心を持って見守っています。インフラが脆弱で、十分な資金のない途上国にとって、追加的な資金支援や技術支援、公平性を反映した実施指針の策定が重要です。COP24の開催国であるポーランドが、COP24に参加予定の市民団体を弾圧する立法を行ったこともあり、このバンコクでの会合の機会を最大限に活かそうと、アジアの市民社会を中心に、会議場周辺で連日さまざまな抗議行動や集会が開催される予定です。

これまでに各国が提出した2025/2030年までの協定の下での気候変動に関する行動計画(NDC)を積み上げた結果では、3℃以上の気温上昇が予想されます。21世紀末までの気温上昇を1.5℃までに留めるよう努力するというパリ協定の目標とは程遠いのが現実です。 10月には1.5℃の気温目標に関し世界の科学者の知見を集めた特別報告(IPCC特別報告書)が出されますが、その中でももう時間の猶予がほとんどなく、被害規模の予測とともに、今すぐの脱化石燃料の必要性が明らかにされるとみられます。最近発表された研究では、平均気温が1.5〜2℃以上上昇すると、森林火災、アマゾン森林の枯渇、局地に存在する大量のメタンガスの放出などが引き金となって、もはや人間では止めようのない温暖化が発生する可能性があると報告されています。

バンコクに集う市民やFoEのメンバーは、政府による行動の不十分さ、とくに歴史的な温室効果ガス排出の半分を占め、化石燃料で発展を遂げた先進国の責任を追及しています。パリ協定の実施指針だけでなく協定の内容を超えた速やかな脱石炭、脱化石燃料と自然エネルギーへの移行、大規模被害への支援や気候避難民の保護、更にこれらを達成するために必要となる社会経済システムの変革を問い、先進国がその責任を果たすことを求めています。

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(C) Chidambaram SP

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(C) APMDD

実際の交渉では、先進国(特に米国をリーダーとする日本を含む環太平洋の先進国)は協定下で途上国や新興国との差異化を認めず、様々な局面において同等の扱いを要求しています。また、化石燃料や産業型農業などの多国籍資本が主要な交渉内容に大きな影響力を持ち、協定の実施指針を弱めようとする状況が続いています。

世界の市民はパリ以来、今また改めてCOP24に向けて大きな声を上げようとしており、その国際的な組織化がこのバンコクで弾みをつけることになります。

(小野寺ゆうり)

誰のための「開発」?破壊ではなく共存の社会実現のための開発を

こんにちは。FoE Japanで約2か月間インターンシップをさせて頂いた、河西です。

インターンシップに応募したきっかけは、実家周辺の再開発です。幼い頃から慣れ親しんだ自然がどんどん失われていくのを見て、環境保護に興味を持ちました。しかし、環境保護やその政策について詳しく専門的に勉強したことはなく、ネットで得られる程度の知識しか持っていませんでした。そこで、FoE Japanでインターンシップをすることで知識を深められるだけでなく、日本の置かれている現状を知り視野を広げることが出来ると思い応募しました。

私は気候変動・エネルギーチームに所属し、4月にはアースデイ2018に参加しました。季節外れの暑い日の中、学生から年配のご夫婦までチラシ片手にブースを回り、積極的に話を聞いている姿があちらこちらで見受けられました。今回がアースデイへの初参加でしたが、国籍を問わない老若男女が多く参加していることに大変驚き、環境保護は世界的にも注目度が高いテーマなのだと改めて感じました。

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アースデイでは去年に引き続きパワーシフトアンケートも実施しました。そこで感じたことは、依然としてパワーシフトの手続きが大変そう・どの会社を選択すれば良いのか分からないといった意見が多いことでした。この点については、作成しているリーフレットをより有効活用し広めていく必要があると考えます。しかしその一方で、広報でパワーシフト体験談やパワーシフト宣言を扱うことが多く、少しずつではありますが着実にこの活動が広まっていることも感じました。

6月2日にはFoE Japan主催のシンポジウム・総会「環境と民主主義」に参加しました。世界で活動家に対する圧力が強まっているとのことですが、突然逮捕され長期にわたり拘束されている人がいるということは、ショッキングなものでした。また、インドネシアやフィリピンで大規模開発が行われ、住民の生活基盤が奪われていく様子が映像の中から伝わり、何とも言い表せない気持ちになりました。豊かだった農地は埋め立てられ、これまで生活用水として利用していた川からは生き物が消えて、白濁した死の川へと変貌しています。そして、そうして建てられた施設から作られたものが日本にも入ってきている事実も、考えさせられるものがありました。

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秋からはドイツ・フライブルクへ留学します。フライブルクは環境都市として積極的に環境保護に取り組んでいることで知られています。ごみの分別や、市街地での自然との共存に注目している点に興味を抱きました。さらに、政策で取り締まる一方で環境保護に関する教育にも力を入れており、市民一人一人の意識改革をしている点も興味深いです。期間は長くはありませんが、ドイツの取り組みを体感し濃い留学にしたいと思います。

環境保護は経済・産業などと比べ、すぐに目に見える成果が得にくい分野かもしれません。しかし、自然は私達の生活の基盤であり、地球環境が守られてこそ私たちの活動があります。社会が100年後、200年後も持続可能であるために、開発=共存の社会へと解決に向けた取り組みが出来たらと思います。

(インターン 河西)

BUND/FoEドイツ 脱原発の歴史と最終処分場問題(報告その1)

323日から27日まで、BUND(ドイツ環境自然保護連盟:FoEドイツ)から代表のフーベルト・ヴァイガー氏ら3名が来日しました。

今回の彼らの来日の目的は、一つは、福島原発事故から7年後の現状を見聞きすること(2425日に飯舘村等訪問)、原発・エネルギー政策について東京で意見交換すること、そしてBUNDとしても注目している日欧貿易協定問題について日本の団体と意見交換することでした。 

327日(火)には、エネルギー政策について議員会館でセミナーを開催しました。
BUNDFoEドイツ)来日セミナー:脱原発・脱石炭・エネルギーシフトと市民参加」
▼詳細・資料はこちら http://foejapan.org/energy/evt/180327.html

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●ドイツの脱原発の歴史とBUND

2007年からBUND代表をつとめるフーベルト・ヴァイガー氏は1972年、自身が良心的兵役拒否(兵役義務の代わりに、福祉団体や環境団体での研修を選択することができます)の研修先として、初めて環境団体を選んだパイオニアだったとのこと。それが当時バイエルンで最大の環境保護団体だったBUND Naturschutz(自然保護連盟)だったそうです。

その後1975年、このバイエルンの団体が母体となって全国の環境団体への働きかけが行われてドイツ全国規模のネットワークBUND(ドイツ環境自然保護連盟)が設立されたそうです。ヴァイガーさんはこの時一番若い設立メンバーだったとのこと。森林学や農学が専門ですが、BUNDのメンバーとして反原発運動や気候変動問題、生態系保全など、精力的に活動を続けてきています。

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ちなみにドイツでは現在、グリーンピースやWWFBUNDFoEドイツ)、NABU(自然保護連盟ドイツ)の4大環境NGOやその他の環境団体にメンバーなどの形で参加する人が約1000万人(!)いると推定されているとのこと。この市民のちからが、政治に対するプレッシャーにもなっているとのことでした。BUNDは約54万人の会員・支持者を抱え、ドイツ各州の本部、さらに各町に支部があり、会員の地道なネットワークと活動によりささえられています。

ドイツの脱原発運動が大きな転機を迎えたのは1986年のチェルノブイリ原発事故でした。

2000キロ離れたドイツ、特にミュンヘンを含む南ドイツにも放射能は降り注ぎ、ドイツの市民は「庭で育てた野菜を食べられない」「子どもを外で遊ばせられない」ことを身をもって体験しました。市民による放射線測定所も各地に設けられました。ちょうどその年に南ドイツで建設中だったヴァッカースドルフ再処理工場の建設反対デモには約12万人が集い、ヴァイガーさんもその一人だったと言います。

2009年、社民党・緑の党連立政権から、自由保守主義政権(メルケル政権、CSU/SPD連立)に交代した後、2002年に決められた脱原発が覆され、原発の運転期間延長が決められましたが、これには多くの市民が反発し、2009年から2011年にかけて大規模な脱原発デモが各地で開催されました。ちょうどそのときに、福島第一原発事故が起こったのです。

20113月にも各地で大規模なデモが企画されていましたが、そこに「福島が警告する」というメッセージが加えられました。ご存じのとおり、メルケル首相はその後方針転換し、老朽原発8基を即時停止、「倫理委員会」を設置して議論したのち、2011年夏には改めて、2022年までの原発全廃を決めています。BUNDでは「即時原発廃止」を求めてその後も様々な発信や働きかけ、集会等の企画を行っています。

現在残る原発は7基ですが、これから順に閉鎖されていきます。

参考(FoE ドイツ資料)

●ドイツの核廃棄物最終処分場問題(フーベルト・ヴァイガー氏より)

参考(FoE Japan吉田資料)

もうひとつ、今まさに進行中の議論が「最終処分場の候補地選定」です。

ドイツでは脱原発を決めたのち、避けて通れない最終処分場問題に関する議論がスタートしました。2013年に「サイト選定法」が制定され、大まかなプロセスと市民参加の方法について大枠が示されました。その後20142016年には「最終処分場委員会」が設置されました。

最終処分場委員会には3つのワーキンググループがありました。

WG1:ダイアローグ・市民参加・透明性確保
WG2:サイト選定法の改訂に向けた評価
WG3:社会的技術的学術的評価指標づくり

中でも、最終処分場候補地としてすでに検討が進んでいた「ゴアレーベン」を完全に白紙撤回するかどうかが、BUNDを含む市民団体の間で大きな争点だったとのことです。(結果、白紙撤回はされず選択肢としてまだ残っています。)

 多くの反原発団体は、最終処分場委員会も含めプロセス全体を批判しています。BUNDの内部でも大きな議論がありましたが、結果、内部から圧力をかけることも必要であると、副代表のクラウス・ブルンスマイヤー氏が最終処分場委員会の委員として参加することを決めています。

20166月には、同委員会の「最終報告書」がまとめられていますが、BUNDはこの最終報告の採択には反対しました。その理由は、
・ゴアレーベンの白紙撤回がなされなかったこと
・どのような放射性廃棄物がこの最終処分場選定の対象になるのか明確にされなかったこと
・立地周辺地域の住民の参画が十分と言えなかったこと
などがありました。
(詳細はBUNDウェブサイト:https://www.bund.net/atomkraft/atommuell/kommission/

現在は、今後の科学的候補地探査、社会的候補地探査から処分場決定までのプロセスを独立して監視し、透明性・中立性・市民参加を促していくための機関として、2017年に「社会諮問委員会(Nationales Begleit Gremium)が発足しました。こちらにもブルンスマイヤー氏が引き続き参加し、圧力をかけながら監視していきたいとのことでした。

脱原発は必ずできる、引き続きぜひ日独で連携していきたいと、ヴァイガー氏は再度強調しました

(吉田 明子)

エネルギーシフト・気候変動政策と若者の動きについて、「報告その2」に続く

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【蘇我】千葉市長にむけて計画中止を求める署名を集めます

(こちらの記事は石炭火力を考える東京湾の会のブログからの転載です。)
(仮称)蘇我火力発電所建設予定地についてはこちら

IMG_3213 (1)蘇我石炭火力発電所計画を考える会は、千葉市長宛に、(仮称)蘇我火力発電所建設計画の中止を事業者に働き掛けることを求める署名を開始しました。提出締め切りは3月31日(土)、千葉県以外の方も署名ができます。所定の用紙をプリントアウトして署名していただき、期日までに以下の住所にお送りください。

署名用紙のPDFはこちら

提出先:蘇我石炭火力発電所計画を考える会
〒260-0013 千葉市中央区中央3-13-17

☎℡ 090-7941-7655(小西)

提出締め切り:2018年3月31日(土)


署名文

千葉市長 熊谷俊人様

(仮称)蘇我火力発電所建設計画の中止を事業者に働き掛けることを求める署名

千葉市中央区川崎町1番町(JFEスチール(株)東日本製鉄所(千葉地区)構内)に石炭火力発電所(出力107万kW、事業主体は千葉パワー株式会社)の建設が計画されています。石炭火力発電所は、多量の二酸化炭素を排出するだけでなく、窒素酸化物や硫黄酸化物、さらには水銀等重金属などの大気汚染物質が排出され、海域や河川には温排水による影響も懸念されます。

建設予定地の千葉市中央区蘇我地区では、長い間製鉄所からの大気汚染物質により喘息(ぜんそく)などの健康被害で多くの市民が苦しんできており、1975年、「子どもたちに青空を」求めて地域住民と市民が提訴した「あおぞら裁判」は、いまだ市民の記憶にも鮮明に残っています。

現在でもばいじんや粉じんによる被害が千葉市役所や事業者への苦情となっており、郊外は解決されておりません。さらに環境負荷の大きい石炭火力発電所が建設されることは地域住民にとって到底受け入れられるものではありません。

地球温暖化防止の視点からも、また市民の健康を守るためにも、石炭火力発電所の建設計画の中止を事業者に働きかけるよう強く求めます。

気候資金や拡大する損失や被害への対策で進展みられず(COP閉幕レポート2)

ボンで開催されフィジーが議長国を務めた国連気候変動枠組条約会合は、残念ながら期待された成果を出すことなく閉幕しました。

cropped-38181814401_69c43ccd05_oCOP23は、気候変動の影響を受けている島嶼国フィジーが議長国を務めるということで、気候変動の影響をすでに大きく受けている途上国や貧困層の人々への支援(「損失と被害」)や気候資金について、進展があることが期待されていました。

今年、巨大ハリケーンにより人道的危機に直面したバハマやキューバなどから会議冒頭、支援の強化を求める強い声が相次ぎましたが、この会議で損失と被害を議論することに反対する米国を中心に、先進国の反対によって今会議での大きな進展は見られず、リスク移転のための保険制度整備情報サイト立ち上げと来年春の専門家フォーラムの開催を決定するに留まりました。

2018年に合意される予定のパリ協定のルールブック交渉(パリ協定を実施するためのルールブック)については、成果の鍵とみられた来年に向けた交渉文書の要素書き出しで進展がみられ、今後の交渉の基礎となる最初の一連の文書が出されました。国別貢献(NDC)の定義や透明性枠組みでの報告の範囲、先進国途上国の差異化など根本的な論点について歩み寄りはなく、見出しと小見出しに全ての国の交渉上の立場が反映されています。

COP17以降の6年間の停滞の時期を経て、このCOP中に、国際(炭素)市場メカニズムについての交渉が予想以上のスピードで進み、次回4・5月に開催される補助機関会合までに交渉文書のたたき台が用意されることが見込まれています。この交渉はロシアや東欧圏に大量に蓄えられている京都議定書下の過去の排出量枠、CDMのオフセットルールの移植、熱帯雨林/REDD+(途上国の森林減少・劣化に由来する排出の削減)、国際民間空港機関(ICAO)のもとでの新しいグローバルオフセットスキームとの連携可能性など、かなり懸念の大きい要素が含まれています。

COP22と23の議長国であるモロッコとフィジーは、促進的対話(タラノア対話と改称)のデザインを作成。この促進的対話のデザインは最終日に承認され、2018年を通じ実施され、COP24での対話を経て2020年以降の各国の野心の引き上げを促進することが意図されています。しかし承認されたデザインでは、2020年以降のアクション、それも緩和のみに焦点がおかれ、途上国への資金支援や、公平性については含まれていません。

一方で途上国は初日に、タラノア対話とは別に2020年までの行動の検証を議題として提案していました。これは京都議定書第二約束期間に関するドーハ合意の批准、2020年までの先進国の排出目標含む野心の引き上げ(カンクン目標)、先進国による2020年までに年間1000億円の気候資金目標の進捗などを交渉内で検証していくことを提案したもので、決定文書に採択されました。背景には、先進国の過去のコミットメントや2020年以降のパリ協定下での責任に不信を持つ途上国の強い結束があり、この議論を受け、EUは来年末までに京都議定書の第二約束期間(ドーハ合意)を批准すると表明しています。

今回の会議では、農業に関する交渉でひとつ前向きな結果が出ました。農民が適応やレジリエンス(強靭性)を高めるための具体的な行動や支援事業について議論する場が設けられることが決まり、さらにローカルコミュニティと先住民族プラットフォーム、ジェンダーアクションについても市民社会含め一定の成果と見られています。

アメリカの交渉団は、あきらかに交渉を妨害する形で存在感を発揮していました。オーストラリアの支持のもと、とくに資金のスケールアップ、損失と被害についての交渉をブロックし、パリ会議前同様、パリルールブックの交渉のもとで歴史的責任をないがしろにし、事実上途上国への責任転嫁となる発言を繰り返し行っています。多くの先進国はアメリカの陰に隠れつつも先進国として交渉をブロックしていました。また、アメリカは化石燃料と原発を推進するサイドイベントを開催。市民団体やユースが非暴力で阻止する様子(歌を歌ってサイドイベントを妨害)がソーシャルメディアを通じて世界に流れました。

気候資金についても大きな進展は見られませんでした。パリ協定9条5項のもとでの先進国による気候資金に関する事前の情報提供に関しては、途上国が事前に気候変動対策を計画する上で重要な要素となってきます。現在京都議定書下にある適応基金の将来についても、解決を来年度に先送りを狙う先進国の思惑により2018年に交渉が持ち越され、パリ協定のもとに引き継がれることが京都議定書締約国会議(CMP)決定に盛り込まれましたが、パリ協定締約国会議(CMA)のもとでの決定がこれから必要になってきます。先進国、とくにEUは、国際炭素市場メカニズムを推進し、適応基金と引き換えに市場メカニズムの交渉を進展させるよう求めていると言われています(適応基金の原資がクリーン開発メカニズムの一部収益を基にしているため)。

次回、COP24は2018年12月にポーランドで開催され、来秋のIPCCによる1.5℃目標シナリオの特別報告を受けての2020年、2030年の野心引き上げ(つまりタラノア対話と2020年までのアクション検証)、パリルールブックの採択、そして気候資金が注目されます。気候資金に関する閣僚級対話および国連事務局による公式の隔年評価報告も2018年に行われます。損失と被害に関してはCOP25で報告がまとめられ、現状のサポートメカニズムが評価・見直しされる予定です。なお、COP25はブラジルが開催国として名乗りを上げましたが、ラテンアメリカ諸国のコンセンサスが得られるまで決定は持ち越しとなっています。

また、パリ協定のルールブック作りに関する追加会合が2018年10月に行われる可能性が高いものの、開催の最終的な有無は来年5月の補助機関会合で正式に決定されることになっています。

(小野寺・深草)