【蘇我】千葉市長にむけて計画中止を求める署名を集めます

(こちらの記事は石炭火力を考える東京湾の会のブログからの転載です。)
(仮称)蘇我火力発電所建設予定地についてはこちら

IMG_3213 (1)蘇我石炭火力発電所計画を考える会は、千葉市長宛に、(仮称)蘇我火力発電所建設計画の中止を事業者に働き掛けることを求める署名を開始しました。提出締め切りは3月31日(土)、千葉県以外の方も署名ができます。所定の用紙をプリントアウトして署名していただき、期日までに以下の住所にお送りください。

署名用紙のPDFはこちら

提出先:蘇我石炭火力発電所計画を考える会
〒260-0013 千葉市中央区中央3-13-17

☎℡ 090-7941-7655(小西)

提出締め切り:2018年3月31日(土)


署名文

千葉市長 熊谷俊人様

(仮称)蘇我火力発電所建設計画の中止を事業者に働き掛けることを求める署名

千葉市中央区川崎町1番町(JFEスチール(株)東日本製鉄所(千葉地区)構内)に石炭火力発電所(出力107万kW、事業主体は千葉パワー株式会社)の建設が計画されています。石炭火力発電所は、多量の二酸化炭素を排出するだけでなく、窒素酸化物や硫黄酸化物、さらには水銀等重金属などの大気汚染物質が排出され、海域や河川には温排水による影響も懸念されます。

建設予定地の千葉市中央区蘇我地区では、長い間製鉄所からの大気汚染物質により喘息(ぜんそく)などの健康被害で多くの市民が苦しんできており、1975年、「子どもたちに青空を」求めて地域住民と市民が提訴した「あおぞら裁判」は、いまだ市民の記憶にも鮮明に残っています。

現在でもばいじんや粉じんによる被害が千葉市役所や事業者への苦情となっており、郊外は解決されておりません。さらに環境負荷の大きい石炭火力発電所が建設されることは地域住民にとって到底受け入れられるものではありません。

地球温暖化防止の視点からも、また市民の健康を守るためにも、石炭火力発電所の建設計画の中止を事業者に働きかけるよう強く求めます。

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気候資金や拡大する損失や被害への対策で進展みられず(COP閉幕レポート2)

ボンで開催されフィジーが議長国を務めた国連気候変動枠組条約会合は、残念ながら期待された成果を出すことなく閉幕しました。

cropped-38181814401_69c43ccd05_oCOP23は、気候変動の影響を受けている島嶼国フィジーが議長国を務めるということで、気候変動の影響をすでに大きく受けている途上国や貧困層の人々への支援(「損失と被害」)や気候資金について、進展があることが期待されていました。

今年、巨大ハリケーンにより人道的危機に直面したバハマやキューバなどから会議冒頭、支援の強化を求める強い声が相次ぎましたが、この会議で損失と被害を議論することに反対する米国を中心に、先進国の反対によって今会議での大きな進展は見られず、リスク移転のための保険制度整備情報サイト立ち上げと来年春の専門家フォーラムの開催を決定するに留まりました。

2018年に合意される予定のパリ協定のルールブック交渉(パリ協定を実施するためのルールブック)については、成果の鍵とみられた来年に向けた交渉文書の要素書き出しで進展がみられ、今後の交渉の基礎となる最初の一連の文書が出されました。国別貢献(NDC)の定義や透明性枠組みでの報告の範囲、先進国途上国の差異化など根本的な論点について歩み寄りはなく、見出しと小見出しに全ての国の交渉上の立場が反映されています。

COP17以降の6年間の停滞の時期を経て、このCOP中に、国際(炭素)市場メカニズムについての交渉が予想以上のスピードで進み、次回4・5月に開催される補助機関会合までに交渉文書のたたき台が用意されることが見込まれています。この交渉はロシアや東欧圏に大量に蓄えられている京都議定書下の過去の排出量枠、CDMのオフセットルールの移植、熱帯雨林/REDD+(途上国の森林減少・劣化に由来する排出の削減)、国際民間空港機関(ICAO)のもとでの新しいグローバルオフセットスキームとの連携可能性など、かなり懸念の大きい要素が含まれています。

COP22と23の議長国であるモロッコとフィジーは、促進的対話(タラノア対話と改称)のデザインを作成。この促進的対話のデザインは最終日に承認され、2018年を通じ実施され、COP24での対話を経て2020年以降の各国の野心の引き上げを促進することが意図されています。しかし承認されたデザインでは、2020年以降のアクション、それも緩和のみに焦点がおかれ、途上国への資金支援や、公平性については含まれていません。

一方で途上国は初日に、タラノア対話とは別に2020年までの行動の検証を議題として提案していました。これは京都議定書第二約束期間に関するドーハ合意の批准、2020年までの先進国の排出目標含む野心の引き上げ(カンクン目標)、先進国による2020年までに年間1000億円の気候資金目標の進捗などを交渉内で検証していくことを提案したもので、決定文書に採択されました。背景には、先進国の過去のコミットメントや2020年以降のパリ協定下での責任に不信を持つ途上国の強い結束があり、この議論を受け、EUは来年末までに京都議定書の第二約束期間(ドーハ合意)を批准すると表明しています。

今回の会議では、農業に関する交渉でひとつ前向きな結果が出ました。農民が適応やレジリエンス(強靭性)を高めるための具体的な行動や支援事業について議論する場が設けられることが決まり、さらにローカルコミュニティと先住民族プラットフォーム、ジェンダーアクションについても市民社会含め一定の成果と見られています。

アメリカの交渉団は、あきらかに交渉を妨害する形で存在感を発揮していました。オーストラリアの支持のもと、とくに資金のスケールアップ、損失と被害についての交渉をブロックし、パリ会議前同様、パリルールブックの交渉のもとで歴史的責任をないがしろにし、事実上途上国への責任転嫁となる発言を繰り返し行っています。多くの先進国はアメリカの陰に隠れつつも先進国として交渉をブロックしていました。また、アメリカは化石燃料と原発を推進するサイドイベントを開催。市民団体やユースが非暴力で阻止する様子(歌を歌ってサイドイベントを妨害)がソーシャルメディアを通じて世界に流れました。

気候資金についても大きな進展は見られませんでした。パリ協定9条5項のもとでの先進国による気候資金に関する事前の情報提供に関しては、途上国が事前に気候変動対策を計画する上で重要な要素となってきます。現在京都議定書下にある適応基金の将来についても、解決を来年度に先送りを狙う先進国の思惑により2018年に交渉が持ち越され、パリ協定のもとに引き継がれることが京都議定書締約国会議(CMP)決定に盛り込まれましたが、パリ協定締約国会議(CMA)のもとでの決定がこれから必要になってきます。先進国、とくにEUは、国際炭素市場メカニズムを推進し、適応基金と引き換えに市場メカニズムの交渉を進展させるよう求めていると言われています(適応基金の原資がクリーン開発メカニズムの一部収益を基にしているため)。

次回、COP24は2018年12月にポーランドで開催され、来秋のIPCCによる1.5℃目標シナリオの特別報告を受けての2020年、2030年の野心引き上げ(つまりタラノア対話と2020年までのアクション検証)、パリルールブックの採択、そして気候資金が注目されます。気候資金に関する閣僚級対話および国連事務局による公式の隔年評価報告も2018年に行われます。損失と被害に関してはCOP25で報告がまとめられ、現状のサポートメカニズムが評価・見直しされる予定です。なお、COP25はブラジルが開催国として名乗りを上げましたが、ラテンアメリカ諸国のコンセンサスが得られるまで決定は持ち越しとなっています。

また、パリ協定のルールブック作りに関する追加会合が2018年10月に行われる可能性が高いものの、開催の最終的な有無は来年5月の補助機関会合で正式に決定されることになっています。

(小野寺・深草)

気候変動影響を受ける人々の声は国際社会に届いたか(COP閉幕レポート1)

11月6日から18日まで、ドイツ・ボンにて気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)が開催されました。

気候変動の影響を受けやすい島嶼国・フィジーが今回の議長国であったこともあり、FoE Japanは気候変動による損失と被害に対する支援がどれくらい議論されるかなどについて注目してきましたが、残念ながら気候変動による損失と被害についての交渉には、あまり大きな成果が出ませんでした。

FoEグループはこれまでも、先進国や一部の裕福な人々による気候変動への歴史的責任と、一方で多くの被害は貧しい人々や途上国に集中している不公正さを訴え、気候正義を求めてきました。またCOP期間中にもかかわらず、日本の国際協力銀行は住民から強い反対の声も上がっていたインドネシア・チレボン石炭火力発電所への貸付を実行。これについては、アジア諸国の市民社会からも大きな非難の声が上がり、ボンでは緊急アクションが行われました。

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また、FoE JapanはアジアのFoEグループなどと協力して、COP一週目にアジアの気候変動影響に関するレポートの発表や関連するイベントを行いました。

太平洋諸島では海面が上昇し、多くの人々が移住を迫られている。フラッキングを行う企業が干ばつの影響を受ける地域に入り込んでいる。ハリケーンは国全体を機能不全に陥らせ、そして気候変動移民を含む人々の自由な移動を阻止するための壁やフェンスが建てられている—

これらはFoEインターナショナルの「気候変動の影響を受ける人々」のワークショップで聞いた、話の一部です。

世界の人口の60%が集中するアジア太平洋地域は、気候変動の影響を最も影響を受けやすい人々の地域でもあり、ワークショップの初めには、FoEアジア太平洋による新たなレポートの発表も行いました。このレポートは、スリランカ、フィリピン、パプアニューギニアの3つの国のケーススタディを取り上げ、気候変動が引き起こす移住への懸念が高まる中、政府や政府機関がこの問題に早急に対応するよう訴える内容になっています。

ワークショップには、四人のスピーカーが登壇。

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左からステラ-マリア、マリナ、ヘマンサ(ファシリテーター)、カティア、ジョイ

FoEオーストラリア/ブリスベンの気候最前線グループ(Climate Frontlines Collective)のメンバーでパプアニューギニア出身のステラ-マリア・ロビンソンは、「ママの骨」と題した演劇のビデオの一部を上映。海面上昇が原因で母国を離れて新しい国へと移動する人々の現実を扱った演劇です。母国に根付いた文化や伝統、スピリチュアリティは移動のプロセスの中で失われていきます。

ロビンソンは、「オーストラリアは良い隣人ではない。彼らは移民の面倒を見ないし、自国の富の蓄積のためにしか行動しない。この状況を変えるために私たちは共に行動しなければならない。今、行動しなければならない。すぐに手遅れになり、地球という家がなくなるだろう。」と話を締めくくりました。

南アフリカのカルー地域のコイサン族の族長、ジョイ・ダーリングは、コミュニティーの「雨乞い人」。カルーは干ばつの土地という意味だそう。2017年6月、彼は部族を率いて、伝統的な雨の踊りのセレモニーに参加したましたが「雨は降らず、私たちは全ての家畜を失い、植物を植えることもできなくなった。これは、私がコミュニティーを破壊させてしまったことを意味する」と話しました。

コイサン族の干ばつで破壊されたエリアでは、現在、企業がフラッキングを行おうとしています。カルー環境正義運動にも参加しているダーリングは、「私たちは、フラッキングに反対し、私たちの大切な土地を破壊する活動にお金を与えないよう、世界銀行に求めている。お金はコミュニティーを分断し、人々の要求を満たすことはない。」と訴えます。

プエルトリコは、9月の2週間の間にイルマとマリアという2つのハリケーンに襲われ、深刻な状況が続いています。ハリケーン・イルマは電力供給を破壊し、ハリケーン・マリアは水インフラに影響を及ぼしました。「私たちのコミュニティーでは電気も水もなくなり、食料も不足してから60日間が経過した。」カティア・アヴィレス・ヴァスケスは、プエルトリコの小さなコミュニティーとともに25年間活動している彼女が話す姿は、多くの人の感情に訴えました。

ハリケーンによりプエルトリコのインフラ設備の多くが失われ、プエルトリコ政府は深刻な状況にある人々を支援せず、自分たちのために使っていると彼女は指摘します。16人しか死者が出ていないというのは政府のプロパガンダであると指摘し、「私たちの政府は実際には900以上の死体を燃やし、さらに100以上が死体安置所で燃やされるのを待っている。」と話しました。

マリナ・ソフィア・フレヴォトマスは、難民が壁に直面しており、食糧危機、戦争、海面上昇などの自国の過酷な現実から逃げるための自由な移動ができなくなっているという状況を指摘。

「壁を築いているのは、まさしくその移住の原因をつくっている人々である」彼女は、先進国が利益を求めて起こす行動こそが、移住の原因をつくっており、その不正義を訴えました。彼女は、「難民」はいつかは自国に帰るという希望をもって新しい場所に移動している一方で、気候変動移民は、精神面でも自らの場所を追い出され、もう自国には戻れない状況になります。多くの人々が、多くの人が想像できないような状況に置かれています。多くはヨーロッパに向かう途中で命を落とし、中にはヨーロッパとの境界に到達することすらできない人々もいます。この境界の警備には莫大な費用がかけられ、移民たちが到達した時には彼らは歓迎されない状態にあります。

「移民とは恐れるべき存在で、彼らの入国は止めなければいけないという恐れの物語を作り上げた。先進国にはこの不当な行為をやめるという責任がある」「壁は解決策ではない。気候正義は、壁がないという意味である。」

世界中で特に貧しい国や地域の人々が、気候変動の影響を受けています。国連気候変動交渉のもとでは、ワルシャワ国際メカニズムという気候変動の損失と被害を扱う会議の下に、「人々の移動」に関する特別委員会が設けられました。

しかしこのメカニズムには、十分な資源が与えられていません。気候変動による損害を認めてしまうと、気候危機をおこした過失と責任の追及につながる可能性があるために、汚染の原因をつくっている先進国が強い反対をしているからです。

これらの国々は、排出を迅速に削減したり、実際に被害を受けている人々を助けるために必要な資源を供給したりするなどの、歴史的な責任を負うための取り組みを、ほとんどしていないのが現状です。

気候変動の影響を受ける人々の人権、安全と尊厳は、保障され、尊重されなければなりません。
豊かな国々の政府は、一刻も早く排出を削減し、再生可能エネルギー中心で民主的なシステムに移行し、これまで気候変動を起こしてきた任をとらなくてはいけません。

ワークショップのレポートの詳細はこちら(英語)ワークショップのレポートの詳細はこちら(英語)

COP23はじまる~ポイントはパリ協定の具体化 ドイツでは史上最大の気候マーチも

気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)が、今日からドイツ・ボンで始まります。
開催国はドイツですが、会議の議長国はフィジー。初めて島嶼国が議長国ということでも注目されています。

フィジーなどの島嶼国は、海面上昇や巨大台風など様々な異常気象の影響を特に大きく受けるため、気候変動のフロントラインとも言われています。今回のCOPは、気候変動の緩和や適応だけでなく、気候変動による「損失と被害(ロス&ダメージ)」にもしっかりと焦点をあてた「ロスダメCOP」になるかどうかも注目されています。

さらに、注目ポイントは、主に二つ。
まず一つは2015年に採択されたパリ協定の具体的なルール作りです。パリ協定は2015年に採択され、2016年には発効が決まりましたが、パリ協定をどのように2020年から施行していくかについての詳細ルール作りは現在進行しているところです。このパリ協定の「ルールブック」は2018年までに完成させることになっており、今回の交渉でこのルールブック作りがどれだけ進むかが一つのポイントです。

もう一つは、促進的対話と言われるものです。パリ協定では、各国がおこなう気候変動への国別目標を定め、5年ごとに報告と目標の引き上げを行います。これまで各国が出している国別目標を積み上げてもパリ協定が掲げている気温上昇を1.5度に抑える目標には到底到達しません。2018年に予定されている促進的対話を通じ、各国がどれだけ目標を引き上げることができるかがキーとなり、今回のCOPではその促進的対話をどのように行うかが話し合われる予定で、こちらも注目されます。

COP23直前セミナーの資料はこちら

FoEグループ、すでに気候変動の影響を受けている人々への支援や人権の尊重、化石燃料や原発、大型ダムなど”汚いエネルギー”から民主的で分散型エネルギーへの一刻も早い転換、大量消費を促し、人権や人々への利益ではなく企業の利益を優先するような社会システムの変革などを求めています。

今回のCOPの場でもサイドイベントやアクション、アドボカシー活動を通して、「気候正義」や「システムチェンジ」を訴えていきます。

会議に先立ち、土曜日には気候マーチが開催されました。
世界中からあつまっている市民社会のメンバー地元の人々が、ボンの街を行進し、気候正義(クライメートジャスティス)や、「脱石炭」を訴えました。FoE Japanも、スリランカ、ウルグアイ、イギリス、コスタリカなど世界中のFoEの仲間とともに行進しました。
マーチには約2万5千人、気候変動に関するマーチとしてはドイツでは過去最大の参加人数でした。

翌日日曜日にはボン近郊にある炭鉱(Hambach 炭鉱)をアクティビストらが占拠。数千人の非暴力不服従アクションによって、炭鉱の操業を部分的に停止させました。

 

北杜市・ソーラー乱開発で、こわされる自然と暮らし ~「これでも、環境にやさしい?」憤る住民

北杜市ソーラー(増冨)山梨県北杜市で太陽光発電事業の乱開発が問題になっている。中には、山林を伐採した急斜面にソーラーパネルを設置するケースや、水源地の元牧草地を開発するケース、住民の何の説明もなく、周りの森林が切られてパネルが設置するようなケースもある。
「豊かな自然を子孫に残したいと思っています。それなのに山を崩し、水を汚して、ソーラーパネルだらけにして、“環境にやさしい”なんて言えますか」と住民たちは憤る。

FoE Japanは、2017年9月13日、北杜市のいくつかの太陽光発電事業の事業地を訪問し、住民のみなさんと意見交換を行った。以下にその概要をまとめた。

山腹が一面ソーラーに?

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写真左:県下最大のソーラー事業が計画されている大平牧場跡地(写真提供/ころぼっくる会議)

県下最大の太陽光発電事業が計画されているのが増冨地区の大平牧場は、山梨県の百名山の横尾山の山腹に位置する。広い地域の水がめとなっているみずがき湖(塩川ダム)の集水域でもある。1969年に開墾され、牛や馬の牧草地として使われていた。周辺は保安林にもなっていて、山菜とりでも親しまれてきた。この牧草跡地で計画されている事業は、29ヘクタール、太陽光パネル6万枚、14.7MWという大規模なものだ。景観・生態系、水源・水質への影響などが懸念されている。

また、増冨地区の別の事業では、道に面した山腹の裸地にソーラーパネルを設置している。周辺には山林も隣接するが、そこも伐採してソーラーパネルを設置する計画となっている。

「太陽光発電事業とは知らずに売った」と元地権者。地元の不動産業者から土地の売却を持ち掛けられたという。山を持っていても高齢化で山林の管理ができずに持て余し、不動産業者からの話にとびつく人もいる。

「道をはさんで下には別荘もある。山林の伐採による土砂崩れが心配。地区全体の問題として話あう必要がある」と住民は語る。

「眺望権」「平穏生活権」求め、提訴

写真下:人家に迫る太陽光パネルと反対の看板 (写真提供:ころぼっくる会議)

コロボックル_ソーラーに反対看板小淵沢町に住むWさんは、南アルプスと八ヶ岳の素晴らしい眺望と緑豊かな土地が気に入り、10年前に移住した。しかし、一昨年、隣地での太陽光発電の事業が持ち上がった。庭の境界のぎりぎりまで高さ2.8mにも達するソーラーパネルが並べられ、楽しみにしていた眺望も遮られた上、通風や日照の阻害、パネルによる熱輻射などの被害を受けているという。Wさんは、眺望権と財産権、平穏生活権が侵害されたとして、昨年1月、事業者を訴えた。

乱開発規制できるか?「条例案」は審議未了

北杜市ソーラー(道端) 山梨県北杜市は八ヶ岳と南アルプス、瑞牆山や金峰山などの秩父山地に囲まれた風光明媚な土地。76%が森林だ。豊かな自然にあこがれた移住者も多い。国内有数の日照時間の長さもあり、太陽光発電事業が乱立するようになった。

現在稼働中の太陽光事業が1,468件、認定済みで今後稼働が予定されている事業が3,529件ある。ソーラーの乱開発に憤る市民たちが議員を動かし、今年6月、議員有志が「太陽光発電設備に関する条例案」を発議。しかし、審議未了になった。市も放置できず、事業者、市民も参加した検討会を立ち上げようとしている。

「これは原発と同じ」

「このままでは、豊かな自然が破壊され、北杜市はソーラーパネルの海になってしまう」

北杜市ソーラー(意見交換)と懸念する住民は多い。

「都市の電気を賄うために、立場が弱い地方でソーラー事業をやる。これは原発と同じ」と指摘する声もある。

「森を切っていたり、整地していたりするのを見るたびに、ああ、またソーラーかと胸が痛くなる。北杜市では市に届けられた事業で、すでに100万枚以上のパネルがあるとの試算がある。事業が終わったらあとのパネルの処理はどうするのかも解決していない。これでは環境にやさしい、とはとても言えない」と地元住民団体「北杜市の自然を未来(あした)につなぐ~ころぼっくる会議」のメンバーは憤る。「太陽光は決して原発の代替にはならない」。

3・11後、FoE Japanは、他の環境団体とともに、脱原発およびエネルギーの需要削減や再生可能エネルギーへのシフトを提唱してきた。しかし、「再生可能エネルギー」であっても、このような自然や住民の暮らしを破壊するような事業は容認できないだろう。

現在のところ、安易な答えは存在しない。乱開発の規制とともに、現に被害を受けている人たちの声に耳を傾け、状況を知り、住民や事業者も交えた場で議論を行うことが必要とされている。

(満田夏花)

※本視察には、「北杜市の自然を未来(あした)につなぐ~ころぼっくる会議」のみなさんにお世話になりました。厚く御礼申し上げます。

台湾・エネルギーシフトの現場を訪ねて(その3)

台湾報告 その1 その2

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原発・石炭火力に反対する市民の声をお伝えしてきましたが、台湾はどのようにエネルギーシフトをしようとしているのでしょうか。

今回はエネルギーシフトのキーとなる、再生可能エネルギーの拡大とエネルギーシフトへの道筋についてまとめたいと思います。

台湾の再エネ

2016年10月、蔡英文政権は「2025年までに再生可能エネルギー発電量を20%とする目標」を閣議決定しました。

台湾が2025年までに脱原発する根拠となっている改正電業法(2017年)は、再エネ市場の開放(注:発電部門はすでに民間参入可能)と送配電網へのオープンアクセスを促進することが目的の一つに掲げられています。これには将来的には一般の電力自由化、地元レベルやコミュニティベースの発電会社の設立も可能することが含まれています。

現在、台湾で再エネが発電に占める割合は5パーセント(2015年)ですが、注目される太陽光と風力についてそれぞれ見ていきます。

★太陽光
太陽光に関しては2025年までに20GW(うち3GWがルーフトップ)に増やす計画ですが、直近の2カ年計画では、2018年までに1.52GW(プラスして)増やす計画になっています。

しかし、限られた領土と山勝ちな地形、そして台風が多いことなどから地滑りのリスクもあり、太陽光パネルの設置場所の確保が課題となっています。

そのため前政権下ではMillion Solar Rooftop プロジェクト(2012~)を通じ、補助金の導入や技術支援などで、屋根への太陽光パネル設置を促しました。

現政権は新しく10000ヘクタールの農地を太陽光発電用にすると発表しています(6GW分に相当)。

台湾は太陽電池の生産量が世界で2番目に多い国ですが、国内の太陽光設備はこれからで、ソーラーシェアリングの取り組みや、引き続き屋根のポテンシャルマッピングなども行われています。

★風力
実は台湾滞在中、タイミングよくEUと台湾の合同で開催された風力開発のシンポジウムに参加することができました。現在台湾政府は洋上発電開発に積極的に乗り出しています。

シンポジウムでは台湾の風力開発計画の進捗や、ヨーロッパの経験共有、大手グローバル銀行などが台湾で風力開発に投資する際のポイントなどについて解説。多くのグローバル企業が台湾でのビジネスチャンスを狙っていること、そして台湾政府も積極的に投資を呼び込もうとしている姿勢が見て取れました。

現状では、陸上風力は国営が294MW、民営が388MWで、全再エネ発電の14.4%を占めています。
洋上風力のポテンシャルが望まれている台湾海峡では、開発のためのゾーニングが行われ、2025年までに3GWを目標にしています。しかし様々な課題もあります。

そのうちの一つは、漁業者に対する補償です。洋上風力を建設することにより、操業に影響を受ける漁業者やコミュニティに対しての補償金については今も一部で話し合いが続いているそうです。

他にも台湾海峡には白イルカの生息地があり保護団体が風力開発に反対していることです。シンポジウムの最中にも、反対派の団体がイルカ保護を呼びかけ風力に反対するリーフレットを会場内で配布していました。

課題を乗り越え、エネルギーシフトの達成を

持続可能でないエネルギーに頼らない世界に向かっていくために、どのような変革をえがくのか?台湾で様々な方とお話をしましたが、その中の多くの方が言っていたのは「原発・石炭に頼らないという共通認識(consensus)があり、台湾はそれに向かう途中(in transition)だ」という言葉です。

国立台湾大学の林子倫教授は、政治学の教授ですが、温暖化対策の専門家として委員会にも参加されています。

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中央が林教授。台湾国立大学にて

台湾は国連に正式に加盟しておらず、日本とも国交はありません。そのため、国際的な気候変動の会議においてはオブザーバーとしての参加しか認められていませんが、政府は温室効果ガスの削減目標も定めており(数値目標は、2050年に2005年比50パーセント削減)、台湾でもすでに11の都市が、気候変動に対してコミットすることを宣言し、グローバルなネットワークに参加しています。

林教授は、現状の台湾のシナリオだと2020年までは排出量が増え続け、2025年には減少に転じるだろうと話します。またエネルギーシフトを達成するためには、まだまだ議論や技術が必要で、今後、台湾政府は市民も巻き込んで「エネルギー変革白書」を作成する予定とのことです。これは、新しい民主的で政治的な取り組みでもあり、林教授が中心となって進めています。2017年7月から議論が始められるとのことです。

また、脱原発に関しても2025年というゴールが定められましたが、詳細なプランができているわけではないので、政府の高いレベルで脱原発特別タスクフォースが立ち上げられるとのことでした。

林教授は政治や公共政策の専門家で、エネルギーの問題を市民の政治参加の問題としても捉え、いかに市民がエネルギー政策への意思決定に参加できるか研究と実践を行っているそうです。(上記の委員会や市民を巻き込んでの白書作りも林教授が大きな役割を果たしています)

林教授はエネルギーシフトの一つの課題として「public acceptance(市民による同意、理解)」の問題を挙げます。

林教授曰く、過去4050年、台湾の人々はほとんど政府を信用していませんでした。その国民感情は今も根強く残っていて、政策決定プロセスへの参加を促すためにも丁寧な信頼回復が必要で、そのためにどう対話の場をデザインしていくか、政府と共に取り組んでいるとのことでした。

前回のブログで登場した、リャオさんは、政府の政策が本当に市民の利益になっているのか、そして本当に必要な電力量がどれくらいなのか、その議論が必要だといいます。「政府の風力開発計画は、海外企業や大手企業しか参入できず、コミュニティに資するものになっていない。電力開発の補助金は企業には資するかもしれないが、もっと包括的で透明性の高い再エネのポテンシャルのマッピングが必要。」

また、Air Clean Taiwanのリーダーの楊さんは「(風力開発の影響を受ける)漁業者が補助金をもらっても持続可能でなく、もし風力発電をそこでやるなら、その地域の人がシェアホルダー(本来は株主という意味ですが、ここでは利益を共有する人々)になるような仕組みにするべきだ。今後はコミュニティ発電にも取り組みたい。」と話していました。

もちろん、エネルギーシフトを達成する道のりは短くはなく、課題も山積しています。しかし、脱原発を達成するという政治的な意思と、市民による継続した取り組み、若者もたくさん巻き込んでの活動、草の根の活動から政策決定プロセスに積極的に参加していく市民の存在、「どうやって脱原発・脱石炭への道筋をデザインしていくか」という問いに課題を理解しつつも前向きに取り組む台湾の市民社会の一面が見られた気がします。

他にもお話を伺った方や団体がたくさんありますが、詳しくはセミナーで報告したいと思います。→報告会:台湾エネルギー革命~脱原発方針をかちとった人々の力(7/6)

台湾・エネルギーシフトの現場をたずねて(その2)

台湾報告その1はこちら

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台湾中西部に位置する台中市。台中でもっとも大きな産業は農業だそうですが、工業地区も存在します。脱原発を決めた台湾ですが、台湾の発電量の15%程度を原発が占める一方、8割程度を化石燃料(石炭・天然ガス・石油など)で賄っています。大気汚染の問題も非常に深刻で、石炭火力発電所に反対する市民運動も起きています。

台湾エネルギー

IEAのデータを元に作成

石炭火力をめぐる市民運動を視察するため、雲林と台中の市民団体を訪ねました。

雲林で迎えてくれたのは、この地域で活動している現地の方です。
雲林では2015年に(低品質)石炭の使用を制限する決定がされたにもかかわらず2017年に環境当局がこの方向性に反する(石炭の燃焼可能量の引き上げ)決定を行いました。大気汚染の改善を求めている市民らは、これに抗議しており、雲林の庁舎の前での座り込み、情報発信、デモなどの活動を行っているそうです。

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雲林役所前での座り込み

抗議活動に参加している王さんは、自ら立ち上げているSitster Radioというインターネットラジオを活用し、工場による汚染や石炭火力の問題点について情報発信をしています。
王さんらによると、未だに地元の関心はまだ低く、戸別訪問をして問題を訴えたり、学校を訪問して健康問題などについて情報共有を行っているそうです。

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王さん。女性の権利の活動家でもある

具体的に彼らが問題視しているのは、フォルモサペトロケミカルの工場と隣接する麥寮(Mai Liao)発電所です。工場から発生する排気により、周辺のPMの値が高く、近隣の幼稚園は2度の移転を余儀なくされました。

 

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フォルモサの工場

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新しい小学校。しかしこちらもすでに閉鎖された。工場地帯から車で2、3分のところにある

脱原発・脱石炭運動に関わるLiao(リャオ)さんは、廃棄物の問題も独自に調査しています。
石炭灰の処理に関する明確なルールがなく、クロムなどとても毒性の高い物質を含んだ廃棄物が投棄されているとのこと。しかし違法とはいえず、法の抜け穴になっているそうで、規制の必要性を話していました。

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不法投棄の問題について説明するリャオさん

 

次に訪れたのは台中。台中ではAir Clean Taiwan(ACT)の皆さんと意見交換を行いました。ACTは幾つかの団体があつまってできた大気汚染の改善と脱石炭を訴えるネットワーク組織で、もともと脱原発団体や環境団体、青年団体のあつまりだったものが、最近一つ組織として独立したそうです。

この2月、ACTはその他のNGOや市民団体とともに大規模なデモを計画。
数万人がデモに参加し、脱石炭やパワーシフトを訴えました。

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デモの様子写真:350.org Taiwanウェブサイトより

ACTの特徴は多くのお医者さんが参加している点です。ACTの代表も医者で、大気汚染が原因とみられる疾病を多く診てきたそうです。また、台湾ではお医者さんが社会的にとても尊重されるので、市民運動を盛り上げる上で、たくさんの医者が関わったことは重要だったと話していました。

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ACTや主婦連の方と意見交換

台中には台中石炭火力発電所という台湾で一番大きな発電所があります。
1986年に建設が開始され、1991年から稼働しています。

実は、ちょうど台中を訪れた日に環境当局(EPA)が大気汚染対策に関する公聴会を開催しており、傍聴することができました。大気汚染は台湾全土で大きな問題となっており、政府も対応を迫られています。

会場からは、EPAの用意したデータではPMの3割ほどが中国から来ているとしているがそれの裏付けはなにかといった質問や、透明性が不十分、これまでの市民からの要望に答えていない、詳細な政策施工のタイムラインがない、移動汚染源(車など)への比重が大きく発電所などの固定汚染源への対策に欠けるなど、さまざまな意見が飛び交いました。
(公聴会はこちらで視聴できます→https://www.youtube.com/watch?v=28gCT_IvlCQ

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公聴会の資料

台湾は、大気汚染対策のための14(+N)の政策を今年発表しています。

その3に続く…

G7閉幕、先進国の足並み揃わず

イタリア・タオルミーナで開かれていたG7サミット(主要7カ国首脳会議)が、先週5月27日に首脳宣言(コミュニケ)を採択して終わりました。

もはやG7そのものが矛盾に満ちた現在の国際経済体制を体現する会合になっていますが、トランプ氏の参加により、これまで世界のリーダーが集まる場と繕われていたその体裁に大きな穴があいたようです。
科学を否定し気候変動問題は存在しないと主張するトランプにより、パリ協定の実施へのコミットメントはアメリカをのぞく6カ国のみが表明する形にとどまりました。

主催国イタリアは市民の安全をテーマに、アフリカや中東から危険な地中海を横断してイタリア、ヨーロッパに押し寄せている難民と移民の問題を取り上げようとしました。しかしとりわけアメリカの反対で、G7諸国の国境を守る権利や非合法移民の抑止など、難・移民の基本的人権よりも国家主権と安全保障を優先する短い段落が宣言に盛り込まれるという結果になりました。

G7会合直前に、紛争や機能不全におちいっている政府、気候変動の影響により深刻化している干ばつや食糧危機により、現在660万人が中東やアフリカ北部沿岸からヨーロッパを目指しているというドイツ政府の内部分析が報道されました。

G7の結果は、危機に直面している人々への本格的な救済や、背景にある貧困・経済格差の問題に目をつむり、一部受け入れすら拒否しつつある先進国の姿勢が大きく現れています。

今年1月からだけでも、アジア、中東、アフリカからヨーロッパへ越境を計る人々の数はすでに65万人にのぼっています。

先進国はリーダーシップを発揮するどころか、足並みを揃えることもできず終わりました。

(小野寺)

インターンレポート:2/23気候変動影響の中で生きる

インターン生の池上です。
2/23に東京ウィメンズプラザにて「気候変動影響の中で生きる〜インドネシア 海面上昇の村、水不足の農村の人々の挑戦〜」というシンポジウムが開催されました。インドネシア・BINTARI財団のAmalia Wulansari氏からは、農村における気候変動による影響とその気候変動に対する適応対策、Arief Khristanto氏からは、海面上昇による被害を受ける沿岸コミュニティにおける適応対策についてのスピーチでした。

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浸水の被害を受ける地域(インドネシア)

気候変動によって特に南の発展途上国では大変な被害を被っているということは、皆さんもメディアなどによって聞いたことがあるかもしれません。でも、現地の方の話を聞くと本当に大変なことが起きているのだな、と身にしみて感じてきます。例えば、インドネシアの農村では作物を時期によって(主に乾季か雨季)植えています。気候変動によって極端に雨が降り続けたり、止んだと思ったらカラッとした日が何日も続いて季節がわからなくなってしまう。また、気候変動の適応の仕方もわからないのでどうしようもない。これらとその他の要因もあって稲作地の収穫量が減少してしまい、農家は土地を売却したり、生計手段を変えなければならなくなってしまうといった影響が出てしまうのです。また、沿岸部では海面上昇によって多くの家が冠水し、別の家に住まざるを得ない状況にもなってしまいました。
これらの例を解決するために、「適応対策」がなされました。気候変動というのはどういうものなのか理解し、その次にどのように適応するか計画し、実践するというものです。コミュニティレベルから広がってゆき、成果は本当に目を見張るものでした。しかし、適応対策するにはいろいろ課題があります。適応対策を知らない政府の職員に入れ替わると活動が難しくなってしまうことや、気候変動のスパンは長いようで短く、適応しているのに追いつかなくなってしまうことなどです。
最後に私が思ったことなのですが、気候変動を起こしてしまっているのはほぼ大部分が先進国なのです。それが最も影響してしまうのは発展途上国なのです。気候変動によってその気候に適応せざるを得ない途上国の人々の活動をみて、私たちは気づき、危機感を持たねばならないのです。

▼当日の資料はこちら
http://www.foejapan.org/aid/community/mangrove/170223.html

インターンレポート:(2/24)Climate Justice Now!気候正義のアジアでの被害

インターンの近藤です。
2月24日、文京シビックセンターにおいて、アジアの気候変動の現実とClimate Justice(気候正義)との題目でシンポジウムが行われました。今回は、はじめに科学的な視点から見た気候変動の現状について地球環境研究センターの江守氏から基調講演をいただきました。それから、FoEスタッフの小野寺と深草からそれぞれCOP22交渉のポイントとCOP23に向けて、COP22と気候正義を求める市民社会の声という題で国際交渉の観点からの話があり、さらにArief Khristanto氏とAmalia Wulansari氏からインドネシアにおける被害の現状と彼らの取組についてのプレゼンテーションが行われました。

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今回の講演での大きな収穫は、やはりインドネシア現地で働く方の声を生で聞けたということです。途上国では、インフラの整備が十分ではない上に自然環境の影響を受けやすい農業や漁業に従事している人が多く、気候変動は彼らにとって生活に関わる重大な問題となっています。家屋や畑が浸水しトイレやお風呂も使えなくなるなど、まともに生活を営むことができなくなっている映像はわたしにとって大きな衝撃でした。今まで海面上昇で影響を受けているのは、ツバルのようなオセアニアの島国だけかと思っていたからです。同じアジアでもこのような状況に陥っているということに、同じアジアの島国に住む人間として危機感を覚えました。

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気候変動の影響に対して脆弱なのは、これまで温室効果ガスをほとんど出してこなかった途上国の人々です。しかしながら、途上国の住民も行政も気候変動によって引き起こされた問題について解決する能力をもっておらずなすがままにしてきたため、被害は深刻になる一方でした。インドネシアでも、浸水の影響を緩和するための政府の計画はインフラのみで、未だに以前のような暮らしに戻ることができていない人々もいます。わたしたち先進国の人間は今まで多量の温室効果ガスを排出してきた現実を受け止め、パリ協定での気温上昇を1.5℃に抑える目標に向けて自国の対策を進めるとともに、途上国に資金と技術の供給を行うことで責任を取ることが早急に求められているのです。

Climate Justiceという単語は、FoE Japanでインターンをして初めて耳にしました。わたしが理解するに、「気候正義」とは今まで化石燃料などを大量に消費してきた一握りの先進国が気候変動の現状を真摯に受け止め行動することでその責任を果たし、今までさほど化石燃料などのエネルギーを使ってこなかったにも関わらず気候変動の被害をもろに受けている途上国の不公平性を正そうというムーブメントのことです。気候変動の影響はよくマスメディアでも取り上げられますが、だれがこの変化の影響を最も被るのか、という点は見落とされがちです。まずは、「Climate Justice」についての先進国の人々のいち早い理解・協力が必要であると考えます。

(インターンスタッフ 近藤)