住民無視 那須町の除染土埋め戻し実証事業~このまま全国展開?

【アップデート情報(2018.9.17)】

・浸出水は測定後、ゼオライトなどで処理し、側溝に流すことになっていることがわかりました。住民の方によると、側溝の水は住宅街を通り、三蔵川に流れるとのこと。心配する住民に対して、環境省は、「十分に対応しているから問題ない」と回答したとのことです。

・環境省は9月17日の週にも、実証事業のための準備作業を開始するとしています。9月16日、実証事業を行う旧テニスコートで行われた「作業説明会」で、環境省は「浸出水は濃度測定し、処理した上で放流する」としたそうです。環境省の管理を問われると「処理水が出なくなるまで。後は町に管理してもらう」と回答したとのことです。

・浸出水の放流問題もさることながら、豪雨の際のオーバーフローや決壊などが心配です。これらの点を断面図に書き込んでみました。

福島県外除染土処分のガイドライン策定へ

環境省は福島県外の汚染状況重点調査地域の除染土計33万m3を埋め立て処分するための施行規則・ガイドラインを策定しようとしており、現在、栃木県那須町、茨城県東海村で実証事業を進めている。しかし、この実証事業は、「安全を確認することありき」で、住民への説明がほとんどないままなし崩し的に進められようとしているようにみえる。

環境省は2箇所の実証事業で施行規則をつくり、全国展開するつもりだ。

「被ばくと健康研究プロジェクト」の田代真人さんに案内していただき、那須町の除染土の埋め戻し実証事業の現場を訪れた。また、住民の方にお話しをきいた。

埋め戻す除染土のセシウム量は不明

那須町伊王野除染土埋め戻し実証事業サイトこの実証事業は、那須町伊王野山村広場内旧テニスコート内に地下保管してある除染土壌350袋、約350m3を袋から取り出し、埋め直すもの。30cmの覆土を行う。(写真右:実証事業が行われようとしている旧テニスコート 7月21日、著者撮影)

除染土の埋め立ての下部には集水砂層とその下に遮水シートを設置(遮水シートの有無については住民への説明では明らかにされなかったが、その後付け加わった)。収集した浸透水の放射性セシウム濃度、周辺の空間線量率の測定、エアサンプリングを行う。

那須町除染土埋め戻し図(コメント入り)

平成 30 年度除去土壌埋立処分実証事業等業務に係る仕様書に加筆)

環境省は、福島県外の除染土壌の放射性セシウムの中央値は800Bq/kg、約95%は2,500Bq/kg以下としているが、実際に埋め戻す土に含まれているセシウム量は現段階では不明だ。

実証事業では、350袋について、重量及び表面線量率(上面1箇所及び側面4箇所)を測定。また、除去土壌計 350 袋中の 35 袋について、放射能濃度測定のための土壌サンプリングを実施する。サンプリングにあたっては、1袋から 10 サンプルを採取して混合し、1検体とする。実証事業の契約期間は、来年3月まで。これでは、長期にわたる影響については捕捉することができない。(くわしくは、環境省による仕様書を参照。)

「新聞報道後、回覧板がまわってきた」

以下、住民の受け止めについて、田代さんや住民たちのお話しをまとめた。

  • 住民がこの実証事業について知ったのは今年2月1日付の下野新聞。近隣住民には2月5日回覧板で「報道でご心配かと思いますが、こういうことやろうとしています…」というような2枚紙がまわってきた。
  • 那須町は、懸念する住民の問い合わせに対して「安全性は確認されている」と回答。いつからいつまでの事業で、そのあとどうするかについては国の事業なので不明。住民説明はやらないと回答。
  • 2017年9月にすでに環境省から那須町に打診があり、12月には議会の災害対策協議会で町から説明があった。反対意見がなかったということで、12月末に環境省にOKの返事を伝えた。こうしたことをあとから知った
  • 町からは、周辺に住む1人の住民に説明があった。そのあと、その人が13人に説明したというが、どういう基準で選ばれた13人であったかは不明
  • 環境省は、セシウムは土壌に吸着して、下方に移動しないというが、それは間違い。わずかではあるが下方に移動するという研究もある。
  • 那須町は基本的には火山灰の影響を受けている土壌で特殊。これをもって、安全性が確認されたとは言えないのではないか
  • 那須町住民申し入れ1805105月10日、住民が環境省に説明会の実施を申し入れた(写真右)。6月8日住民説明会が実現した。19:00~20:30のたった1時間半。住民からの質問が殺到し、15分だけ延長された。住民たちは、実証事業の内容を問うよりも、手続きがおかしいという怒りの表明が多かった。
  • 伊王野は高齢化が進む。ずっと住んでいる人たちは積極的に反対をいいづらい空気。
  • 住民たちとしては、庭先にうまっている除染土をなんとかしてほしい。この実証事業の受け止めは、「きちんとやってくれるなら容認してもよいのではないか」という人、「行政の言うことは信用できない」という人、さまざま。しかし、この実証事業で、結局、フレコンパックから出して埋め立てても安全とされ、庭先の除染土をそのままにする理由付けにつかわれるかも、と懸念している。
  • 町独自の予算で甲状腺がん検査を行うなど、被ばく問題に関してはしっかりとした考えをもっていた町長が脳梗塞で倒れているさなかにこの話しが進行した。
  • 実証事業がいつまでなのか、そのあとどうするのかは、説明されていない。
  • その後、8月7日、住民たちは環境省に対して、再度の説明会を行うことを要請したが、環境省はこれを拒否。環境省の資料によれば、9月にも実証事業が開始されようとしている。

何が問題なのか?

この実証事業の主な問題としては、以下があげられよう。

  • 住民への説明があまりに不十分で一方的。住民に事業の詳細が知らされず、意見もききいれてもらえていない。
  • 実際に埋め戻す除染土中のセシウムなどの放射性物質の濃度・総量が明らかになっていない。全袋調査を行うべきではないか。
  • 実証事業の契約期間は来年3月までであるが、長期のセシウムの動向や環境への影響を把握するには、モニタリング期間があまりに短い
  • 実質的に最終処分地となってしまいかねない。実証事業後、だれがどのような管理を行うか、モニタリング体制はどのようなものになるのか不明長期的な管理・監視体制をつくるべきではないか。
  • 豪雨対策など、放射性物質を含む土壌の拡散を防止するための措置をとっていない。
  • 除染土の再利用・処分については、フレコン入りの除染土の山を、埋めたり、公共事業につかったり、とりあえず「見えなく」するための場当たり的な方針のように思える。

県別除染土
確かに現在、除染土は庭先に埋められているものもあり、これをこのままにしてよいわけはない。しかし、このように、長期的な管理や豪雨対策もしないまま、除染土を埋設するのは、あまりに乱暴ではないか。

環境省は、除染土を長期的に安全に管理し、拡散を防ぐという視点から、広い層の専門家や市民の参加のもとで、検討を行い、全国レベルでの公聴会など、国民的な議論を行うべきだろう。(満田夏花)

参考:環境省「除去土壌の処分に関する検討チーム会合配布資料」

http://josen.env.go.jp/material/disposal_of_soil_removed/

広告

汚染水の公聴会大もめ~海洋放出に反対意見次々

経済産業省は、東電福島第一原発における多核種除去装置(いわゆるALPS)処理水の処分に関する説明・公聴会を8月30日、31日に富岡、郡山、東京で開催しました。
経産省の資料によれば、タンクにたまっているトリチウムの量は1,000兆ベクレル。
トリチウム以外の放射性物質はほとんど除去されていること、トリチウムは弱い放射線しか出さず、自然界にも存在し、生体濃縮はせず、世界中の原発から排出されているとし、海中放出を含む4案を提案しています。
しかし、放出されたトリチウムの一部は、光合成により有機結合型トリチウムに変化すること、有機結合型トリチウムは生物の体内に長くとどまり生体濃縮をおこすこと、細胞やDNAに取り込まれること、放射線による細胞やDNAの損傷のみならず、崩壊による損傷もおこすことなどが指摘されています。
さらに、今回、ALPS処理水の中に、基準を超えるヨウ素129、ストロンチウム90、ルテニウム106が残存していたことが明らかになりました。ヨウ素129に至っては、FoE Japanの確認では、2017年4月~2018年7月の間に143サンプル中65サンプルで告示濃度超を起こしていたことがわかりました。
しかし、説明・公聴会の資料では、基準を超えていない2014年9月20-28日のデータがつかわれていました。
3会場での「説明・公聴会」で意見をのべた人は、富岡1名、郡山1名で海中放出を容認する意見があったほかは、ほとんどが海中放出など環境への放出に反対しました。とりわけ、県漁連の野崎会長などは漁業への影響を訴えました。

180829

多くの人たちはトリチウムの危険性を指摘した上で、陸上でタンクで長期保管すべきと述べました。

私は東京会場の「説明・公聴会」に参加しました。経産省や委員が公述人の「意見をききおく」だけの公聴会だったはずが、それですまされず、公述人や傍聴者が、経産省の事務局や委員を問い詰める場面もあり、「大もめ」の公聴会となりました。

トリチウム水を海に流すな トリチウム水公聴会

公述人・傍聴者たちが問うたのは、主には以下のようなものでした。

  • なぜ、代替案にタンクでの保管案が入っていないのか
  • トリチウムの危険性についてきちんと検討されていないのはおかしいではないか。
  • なぜ、他核種の残存について資料には書かれておらず、古いデータが使われたのか
  • 現在の海洋放出の計画では、1,000兆ベクレルを52~88カ月かけて放出することになっている。これは年間の排出量が、福島第一原発が動いていたときの保安規定の年間排出の上限(22兆ベクレル)を上回る量となるのだが、よいのか。

>原子力市民委員会による大型タンクでの陸上保管案については、こちらをご覧ください。終了後、山本委員長は、タンク保管案も代替案に加えると発言したと報道されています。私が述べた主な意見は以下のとおりです。

  • 大量のトリチウムを希釈して環境中に放出することに反対。
  • 総量規制を行うべき。また、すでに海中に放射性物質が放出されている。累積的な影響についても考慮すべき。
  • トリチウム、とりわけ有機結合型のトリチウムのリスクについて、資料に掲載されていないのはなぜか。
  • ヨウ素129など他核種が慢性的に残留していたのにもかかわらず、古いデータが使われていたのはなぜか。委員たちは、このことを知らされていたのか。
  • トリチウムのみが残留しているとされていた。他核種については検討されていない。説明・公聴会の前提がくずれた。小委員会での検討をやりなおすべき。

なお、意見陳述時間は5分と限られていたので、全部は発言しきれませんでしたが、事前に提出した意見書を以下に掲載します。(満田夏花)


多核種除去装置(ALPS)処理水の処分に関する意見

<要点>

  • 既設・増設ALPS処理水でヨウ素129、ストロンチウム90の基準超えが明らかに。ヨウ素129は2017年4月~2018年7月まで60回以上基準超え。公聴会の前提は崩れた。
  • 経済産業省が示している処分方法以外にも有力な代替案がある
  • トリチウムのリスクに関して十分検討されていない
  • 放射性物質は、環境中に放出するのではなく、安全保管を行って減衰を待つという原則を守るべきである
  • 公聴会のやり方がおかしい。

1.既設・増設ALPSでヨウ素129、ストロンチウム90の基準超えが明らかに。ヨウ素129は60回以上基準超え。公聴会の前提は崩れた。 ヨウ素129、ストロンチウム90の告示濃度限度(基準)超えがあきらかになった。経済産業省のタスクフォースや多核種除去設備等処理水の小委員会では、「ALPS処理水はトリチウム以外は除去されている」という東電の説明の通りの前提で検討が行われており、他の核種については検討が行われていない。 しかし、今回問題になったのはヨウ素129については増設ALPSで2017年4月~2018年7月まで告示濃度(9Bq/Lを超えるものが60回以上計測されており、出口はA~C。最高は2017年9月18日の62.2Bq/Lであった。慢性的に基準超えしている状況である。180829_2ストロンチウム90に関しては、増設ALPSでは2017年11月30日に141Bq/Lと告示濃度30Bq/L)を超えていた(出口C)。

ヨウ素129は、半減期1,570万年。特に海藻に濃縮・蓄積される。体内にとりこまれるとほぼすべて甲状腺に集まり、とりわけ胎児や乳幼児への影響が懸念される。「薄めて出せばよい」とは思えない。 いずれにしても説明・公聴会の前提はくずれた。経済産業省は、改めて検討をやりなおすべきである。

2.経済産業省が示している処分方法以外にも有力な代替案がある 

経済産業省の5つの案以外にも有力な代替案がある。

研究者・技術者・NGOなどが参加する「原子力市民委員会」は、現在トリチウムのリスクに関してさまざまな説がある中で海洋放出を強行するのではなく、恒久的なタンクの中に保管することを提案している。国家石油備蓄基地で使用している10万トン級の大型タンクを10基建設して、その中に100年以上備蓄する案であり、減衰により、トリチウムの量が現在の1000分の1程度に減少する。大型タンクでの貯留は、すでに実績のある既存の手法であること、現在の1,000トン容量のタンクに比して面積効率がはるかに高いという利点がある。十分現実的な提案なのではないか。タンクの設置場所については、福島第一原発の敷地内にこだわらず、その周辺またはその他の東電所有地も考えられる。このような地上における保管案が十分に検討されているとは思えない。

3.トリチウムのリスクに関して十分検討されていない

経済産業省は「トリチウムは安全である」という前提で、放出に向けたステップを踏もうとしているように思われる。たとえ、経済産業省が言うようにトリチウムの人体への影響がセシウムの700分の1であったとしても、1,000兆Bqのトリチウムの放出は、膨大な放射性物質の放出である。

光合成により有機結合型トリチウムが生じれば、リスクはさらに高まる。決して過小評価すべきではない。作業員や公衆についての疫学調査は、影響をトリチウムに特化することができないため、なかなか有用な結果がでていないようである。しかし、トリチウムが人体に取り込まれた場合、その一部が細胞核の中にまで入り込んで、DNAを構成する水素と置き換わる可能性があること、その場合、エネルギーが低く飛ぶ距離が短いベータ線により遺伝子を損傷する危険性があると指摘する専門家もいる。また、有機結合型トリチウムは、生物濃縮されるのに加え、生体構成分子として体内に蓄積されるため、長期間影響を及ぼしうるという指摘もある。これらのトリチウムのリスクについて、経済産業省におけるトリチウム・タスクフォースで徹底的に議論すべきであろう。トリチウムが、世界中で運転中の原発から放出され続けているという事実は、安全性の証明とはならない。なお、トリチウムの摂取基準は世界的には国によって大きな幅があり、経済産業省が引用しているWHOは10,000Bq/Lであるが、アメリカでは740Bq/L、EUでは100Bq/Lである。このことは、トリチウムのリスクに関して国際的にも定説が得られていないことの表れではないか。

4.放射性物質は、環境中に放出するのではなく、安全保管を行って減衰を待つという原則を守るべきである

経済産業省は、トリチウムの人体への影響がセシウムの700分の1であるとするが、そうであったとしても、1,000兆ベクレルにも及ぶトリチウムの放出のリスクを否定することはできない。さらに他核種が残留していることもわかった。トリチウムを環境中に放出するのではなく、前述の原子力市民委員会の提案などにより、安全保管を行って減衰を待つべきである。

5.公聴会のやり方がおかしい

前述のように、トリチウム以外は除去されていたという公聴会の前提が崩れた。それ以外にも以下の点で公聴会のやり方がおかしい。

①代替案を検討する段階から、多くの意見をきくべき 環境中に放出することが前提となっている。代替案の検討の段階から広く意見をきくべきである。

②資料の作成段階から異なる意見を有する第三者からのインプットを得るべき 資料作成の段階で、経済産業省の「環境放出ありき」の結論に導くのではなく、第三者のインプットをえるか、または環境放出以外の意見をもつ団体等の資料も並列すべきである。

③開催場所が限定的すぎるなぜ、富岡、郡山、東京の3箇所なのかがわからない。福島県でも多くの漁業者がいるいわきで開催しなかったのはなぜか。漁業が影響を受ける太平洋側の主要都市で開催すべきではないか。

④異なる立場の専門家等からの重点的な意見聴取を トリチウムの放出のリスクに警鐘を鳴らしている専門家や漁業・流通関係者、過去の公害経験などに知見を有する人たち等からの重点的な意見聴取を行うべきである。

⑤自由な質疑および意見陳述の時間を ④に加え、参加者が説明に対して質問および意見陳述ができる時間帯を設けるべきである。

市民の力で、「汚染土再利用実証事業」を撃退!~二本松より

9月1日、二本松にて、「みんなでつくる二本松・市政の会(以下みんなの会)」「救援復興二本松市民共同センター」の主催で、環境省計画の「汚染土壌再利用実証事業」ストップの市民報告集会がありました。環境省が全国で展開しようとしている除染土の再利用の実証事業を、市民の力で撃退した、その経緯を総括した集会でした。この件をウォッチ・サポートし続けている政野淳子さんとともにお招きいただきました。

この事業は二本松市原セ才木地区で200メートルくらいの農道を掘削し、近くの仮置き場に積まれた除染土500袋を、袋から出して路床材として埋め、50cm程度の覆土を行うというものです。

二本松農道

(写真上、実証事業が行われようとしていた農道 2018年7月27日 撮影:満田)

計画が持ち上がったのは昨年末の12月。当初、ごくごく限られた範囲の住民にしか知らされていませんでした。あとから知った二本松の市民が説明会のやり直しを求め、環境省福島事務所に事業の白紙撤回を求める申し入れを行いました。これをNHK福島が大きく報道。市議会でも取り上げられました。
3月には、政野淳子さんを講師にした学習会と意見交換会が開かれました。
3月末には環境省が業者と契約しましたが、「みんなの会」は「ふるさとを汚すな!STOP!汚染土再利用」のノボリ旗を100本設置。
「白紙撤回を求めます」のチラシを市内全域各戸に配布。
4月18日には、環境省がより広い範囲の住民も参加できる説明会をやり直しました。ここで反対意見が相次ぎ、「地元は反対している」と認めざるをえない状況となりました。
4月26日には、福島農民連による環境省交渉が行われ、「みんなの会」も参加。
5月になり、近くの家畜用飼料を手掛ける生産組合への取引見直しの動きがでるという「実害」が発生していることが明らかに。
市民たちは、三保市長にも「環境省に全市民対象の説明会を実施ように要請すること」を求めました。
6月11日、FoE Japan主催の環境省交渉に「みんなの会」からも参加。
6月25日、ついに環境省は二本松市長に対して、「風評被害への懸念など多数のご意見をいただいたことを踏まえ、請負業者との契約解除に向け調整することとしたい」「事業計画を再検討することとした」と伝えました。実質撤回です。
三保市長はこの席で環境省に対して、「重ねて慎重な判断を求めるとともに、併せて中間貯蔵施設への早期輸送を」要請したといいます。

詳しくは、「市民の会」の報告データをご覧ください
汚染土壌実証事業ストップみんなの会の経過報告(2018年9月1日)

報告集会では、冒頭、みんなの会の佐藤代表が、「実証事業を止めた喜びをわかちあいたい」「放射性廃棄物は一か所にあつめて厳重管理すべき」と挨拶。
続けて、みんなの会事務局長の菅野さんが、経過報告をしました。

そのあと、住民のみなさんから、以下のような報告がありました。

  • 原発事故は止めることができなかったが、今回のことは止めなくてはならないこと。地元の人たちが声をあげたことによって止まったことに感謝したい。
  • 推進していた人に「あんたらが勝ったねー」と言われたが、勝ち負けではないと思う。1時間半かけて話をした。
  • 最初の説明会では、私ともう一人くらいが反対。あとの人は無言。小さくなっていた。そのあと、学習会に参加して、多くの人たちが同じことを考えていることを知った。「ああ、反対してもいいんだな」と思った。
  • ネット署名に取り組んだ。はじめての経験だった。多くの反響。コメント欄に「絶対に許してはいけない」「これはみんなの問題」と。その後、中止となったことを署名をしてくれた人たちに伝えた。「私たちのところは止められました。次はあなたのところに行くかもしれない」と。
  • 5月17日の説明会で、環境省に「(袋の中の土壌を)はかったんですか?」ときいたら「はかっていない」と。袋の上から空間線量をはかる測定器をあてて、推定しているだけだった。「ああ、これはだめだな」と思った。
  • 原セ才木地区の21戸の中で9戸しか参加していない中で、説明会が開催され、「地元了解」ということにされてしまった。これは問題だ。
  • いまある除染土の仮置き場は、地元住民のたいへんな葛藤の中で決まった。”中間貯蔵施設に運ぶ”という約束であった。実証事業は、その約束違反になる。
  • 実証事業は、800億円をかけて除染した土を、また3億5,000万円かけてもとに戻すもの。(同じ距離の農道を舗装するのならば)260万円ですむ。
  • このようなやり方は、地域住民を分断する。
  • NHKは報道したが、福島民友・福島民報はとりあげなかった。新たな風評被害が起こることを恐れた?
  • これは風評ではなく実害だ。

二本松報告集会_180901

(写真上:9月1日に二本松市で開かれた報告集会 撮影:満田)

続いて、政野淳子さんから、「環境省はまだあきらめていない」という報告がありました。なぜならば、2200万m3もの除染土を減らすことを至上命題にしているからであると。また、飯舘村長泥地区での実証事業や、栃木県那須町の状況について、および環境省が放射能汚染対処特別措置法の実施規則を策定しようとしていることを紹介。

満田からは、放射能汚染対処特別措置法により、8,000ベクレル/kg以下の放射能ごみが全国各地にばらまかれようとしている実態について、またそれに対抗しようとしている取り組みなどについて報告しました。また、ALPS処理水の海中放出の問題点についても言及し、全国レベルで公聴会を開くことを求めていくことが必要であると発言させていただきました。

環境省による除染土の再利用を正当化するための実証事業を、地域の住民が勇気をふるって声をあげ、結集し、知恵と行動力で退けました。二本松の市民のみなさんに、心から感謝します。

繰り返しになりますが、これは、全国の問題です。
除染土再利用に関しては、ALPS処理水放出と根っこは同じ問題です。環境中に放出するか、集中管理を行うか…。しかし、放射性物質は、他の有害物質と同様、集中管理することが大前提でしょう。

環境省は、再利用方針をこのまま進めるのであれば、全国で、「説明・公聴会」を開き、国民の声をきくべきでしょう。

近く、東京でもこの問題に関する報告集会を企画できればと考えています。(満田夏花)

(二本松)市民の声でストップに!(除染土)

(みんなの会ニュース No.6)

福島第一 増設ALPS(多核種除去装置)でヨウ素129の基準超え60回以上 除去水処分の説明・公聴会の前提は崩れた

トリチウムしか残留していないはずが…

経済産業省は、東電福島第一原発における多核種除去装置(いわゆるALPS)処理水の処分に関する説明・公聴会を8月30日、31日に富岡、郡山、東京で開催しようとしています。経産省は、処理水はトリチウム以外の放射性物質はほとんど除去されていること、トリチウムは弱い放射線しか出さず、自然界にも存在し、生物濃縮はせず、世界中の原発から排出されているとして、海中放出を行おうとし、原子力規制委員会もこれを後おししています。(ちなみにタンクにたまっているトリチウムの量は約1,000兆ベクレルです。)

ところが、このところ、ALPS処理水にヨウ素129、ストロンチウム90が告知濃度限度(基準値)を超えて残留していたことが明らかになりました。

経済産業省のトリチウム・タスクフォースや多核種除去設備等処理水の小委員会では、トリチウムしか残留していない前提で検討が行われており、他の核種については検討が行われていません。

東電の公表データによれば、ヨウ素129については既設ALPS以外に増設ALPSで、告示濃度を超える値が2017年4月~2018年7月まで60回以上計測されており、出口A~Cでまんべんなく見られます。最高は2017年9月18日の62.2Bq/Lでした(下図)。つまり、何かのはずみに1回高い値がでたのではなく、慢性的に発生しているのです。

増設ALPS出口グラフ

出典:東電公表データ(福島第一原子力発電所における日々の放射性物質の分析結果、「増設多核種」)より作成

ストロンチウム90に関しては、増設ALPSでは2017年11月30日に141Bq/Lと告示濃度(30Bq/L)を超えていました(出口C)。

8月22日の会見で、原子力規制委員会・更田委員長は「2015年くらいに告示濃度を超えるものがあると東電から報告があった」「告示濃度超えがあったのは、古い(既設)ALPSの出口Cでしょう」などと発言しています。更田委員長はかねてより、ALPS除去水に関しては、「海洋放出以外の選択肢はない」とし、今回のヨウ素129などについても、「薄めて告示濃度以下にすれば放出をとどめることはできない」という趣旨の発言をしています。

2015年に東電が告示濃度を超えたと報告し、その対策は取られていたはずです。しかし、2017年4月から現在にいたるまでヨウ素129が60回以上も告知濃度を超えているのはなぜなのでしょうか? 原子力規制委員会や、経済産業省は、こうした状況を把握していたのでしょうか。原子力規制委員長の発言をみる限り、正確に認識していたとは思えません。

ヨウ素129は、半減期1,570万年。特に海藻に濃縮・蓄積される。体内にとりこまれるとほぼすべて甲状腺に集まり、とりわけ胎児や乳幼児への影響が懸念されます。「薄めて出せばよい」とは思えません。なお、放射性ヨウ素については、「美浜の会」の以下の資料が、生物の進化の過程とヨウ素について、また放射性ヨウ素の危険性についてわかりやすく解説しておりたいへん興味深いです。>こちら

海洋放出以外にも有力な代替案がある

ちなみに、研究者・技術者・NGOなどが参加する「原子力市民委員会」は、トリチウムのリスクに関して諸説ある中で海洋放出を強行するのではなく、恒久的なタンクの中に保管することを提案しています。>詳しくはこちら

国家石油備蓄基地で使用している10万トン級の大型タンクを10基建設して、その中に100年以上備蓄する案です。トリチウムの半減期は12.3年。100年で減衰により、トリチウムの量が現在の約1000分の1に減少します。大型タンクでの貯留は、すでに十分実績のある手法であること、現在の1,000トン容量のタンクに比して面積効率がはるかに高いという利点があります。十分現実的な提案なのではないでしょうか。タンクの設置場所については、福島第一原発の敷地内にこだわらず、その周辺またはその他の東電所有地も考えられます。このような地上における保管案が十分に検討されているとは思えません。

また、予定されている説明・公聴会も、海洋など環境中への放出前提のものになっており、こうした代替案については、提示されていません。

いずれにしても説明・公聴会の前提はくずれました。経済産業省は、改めて検討をやりなおすべきでしょう。

(満田夏花)

「法的根拠」不明のまま進む除染土の再利用~撤回を求めて署名提出

みなさまにもご協力いただきました、「除染土の再利用方針の撤回を!」署名ですが、昨日6月11日、環境省宛てに15,374筆を提出しました。前回までの提出分27,246筆とあわせると、合計42,620筆となりました。厚く御礼を申し上げます。
署名では、除染土の再利用方針の撤回を求めるとともに、除染のあり方、除染土の処分のあり方に関しては、福島県内外の各地の幅広い人たちの参加のもとでの議論を求めるものになっています。

当日は、除染土の道路の路床材の実証事業が行われようとしている二本松市の「みんなでつくる二本松・市政の会」の菅野さん、鈴木さんにご参加いただき、また、除染土を埋める実証事業が行われようとしている栃木県那須町からも、田代さんが参加されました。まさのあつこさんに全体的な状況についてお話しいただきました。

環境省のこの除染土再利用方針については、以下の検討会の資料をご覧ください。
「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会」
この検討会の名称でもわかるように、環境省が除染土壌の「再利用」をする目的は、大量の除染土を減らすことにあります。

再利用の実証事業に関しては、その概要が直近の検討会資料に記されています。>資料

那須町・東海村での除染土の埋め立て処分の実証事業についての情報はこちらをご覧ください。>資料
政府交渉では、驚くべき事実が明らかになりました。

1.除染土の再利用についての法的根拠は不明

法的根拠を問われ、環境省は、「放射性物質対処特措法」41条を上げました。
しかし、環境省の除染土の再利用方針は、除染土の減容化を目的としたものであり、同法の目的に書かれている「事故由来放射性物質による環境の汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減する」という目的とは、本質的に異なるのではないかと思います。

第四十一条 除去土壌の収集、運搬、保管又は処分を行う者は、環境省令で定める基準に従い、当該除去土壌の収集、運搬、保管又は処分を行わなければならない。

ちなみに、この「処分」については施行規則はなく、環境省は、那須町・東海村における、埋め立て処分の実証事業や、一連の再利用の実証事業を踏まえて、作成するようです。

「実証事業の法的根拠は?」と問われると、同法の第54条(調査研究、技術開発等の推進)を上げました。
しかし、ここでも、「事故由来放射性物質による環境の汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響を低減するための方策等に関する調査研究、技術開発等」とされていますが、あくまで事業は、大量の除染土の減容化を目的とした、「再利用」であり、根本的に異なります。

2.飯舘村長泥地区の除染土再利用は、除染と「バーター」

長泥地区では、除染土の農地造成への再利用の実証実験が進められようとしています。
飯舘村から集められた除染土を運びこみ、農地をかさ上げし、上に覆土するというものです。

長泥地区実証実験イメージ
資料
環境省は、長泥の住民の理解を得られた、村からも事業を進めてほしいという要請がきたとしますが、飯舘村の支援を続けられている糸長先生から、長泥のみなさんは、この事業を受け入れなければ、復興拠点に指定されず、家のまわりを除染してもらえないという認識があったという指摘がありました。

環境省は、「条件というわけではない」「”バーター”と言ったかどうか確かではないが、バーターというわけではい」と言っていましたが、長泥地区を復興拠点(「特定復興再生拠点区域」)にする飯舘村の計画の中に、この除染土再利用という「環境再生事業」も記入されています。環境省としては村からの要望で進めていると言いますが、住民たちには、復興拠点事業と除染土再利用の農地造成実証事業が「セット」として説明されていたことが浮かび上がりました。

※たとえば、復興拠点計画の以下の文書の3ページ目に以下のように記されています。
「農の再生にあたっては、実証事業により安全性を確認したうえで、造成が可能な農用地等については、再生資材で盛土した上で覆土することで、農用地等の造成を行い、農用地等の利用促進を図る(環境省事業)。」

環境省は、「この除染土再利用実証事業がなければ、復興拠点に指定できないということではない」と言っていたため、「セット」ではない、ということをあらためて説明しなおすべきではないでしょうか?

3.実証事業で使われる土の詳細はわからない。

二本松でも那須町でも、実証事業で使われる土の汚染レベルなどについてはわかっていません。
「線量から推定するに、だいたい1,000ベクレル/kgくらいのレベルではないか」「実証実験については、決まっていないが1,000~2,000ベクレルくらいのレベルの土を使うのではないか」と言っていましたが、実際に使う土の汚染レベルという最も重要なことを決めずに、実証事業を行うということがありえるのでしょう
か?

4.本当に「実証事業」なのか?

長泥地区・二本松・那須町などで行われるのは、本当に「実証事業」なのでしょうか?
実証事業で、「安全性」を確認するのであれば、環境省が指針で示している上限の値(覆土にもよりますが、8,000Bq)でも大丈夫であるかどうかを示さなければなりません。
一連の「実証事業」は、実証というよりも、アリバイづくり、もしくは除染土を再利用することを、人々に「慣れさせる」ことが目的のように思えてなりません。

一方で、環境省は、「実証事業についてはさまざまな意見をいただき、検討している。白紙撤回も選択肢としてはある」というような趣旨のことも言っていました。

大量の除染土は確かに深刻な問題です。

だからといって、それを公共事業に利用することにより、環境中に拡散させてしまうことは許されるものではありません。環境省は、「管理主体が明確な公共事業で使う」としていますが、実際には、形上、管理主体が明確だったとしても、そこに埋められた放射性物質を「管理」できるわけではありません。

除染土をどうするのか。再利用ありきではなく、根本から議論を進める必要があるのではないでしょうか?

(満田夏花)

▼当日資料

まさのあつこさん資料

環境省からの資料(飯舘・二本松 実証事業資料)

環境省からの資料(5月17日、二本松実証事業説明r資料)

▼除染土再利用の反対を求め、署名を提出しました。

除染土再利用反対署名提出_180611