ベトナムで原発に関し国会議員やNGOらと意見交換を行い、福島原発事故の被害について訴えました

10月4日から7日まで、原発に関する国際ワークショップに参加するため、ベトナムに行って来ました。現地のNGOおよび財団が主催しました。

1日目のワークショップでは、ベトナムの国会議員や専門家があつまる審議会において、日本、ドイツ、南アフリカから参加した三人のパネリストがそれぞれのテーマで原発に関する発表をしました。ドイツの元SPD(ドイツ社会民主党)議員で、ゴアレーベン出身のピータークラウス・ダダ氏は、ドイツが脱原発を達成した経緯など報告。また、原発における数多くの事故や廃棄物の処理で、原発の費用が莫大にふくれあがっているなど指摘がありました。

また原子力発電所を有する南アフリカからの参加として、研究者でNGO代表、デイビッド・フィグさんが原発のライフサイクルコストについて説明。現在、南アフリカは原発の拡大を政策として掲げていますが、新たに建設する原発の調達に関して、政府は決定を先延ばしにしている事をあげ、原子力政策は様々な理由遅れたり、そのために費用がかさんだりすることも指摘。さらに南アフリカでは、放射性廃棄物の投棄サイトの近くに沢山人が住んでいるという問題や、南アフリカは経済成長しているがエネルギー需要が減っているなどの話がありました。また、会場からあがった「原発が世の中を豊かにするために電気を供給できるのではないか」との質問に対し、「原発があっても南アフリカの貧困の問題は解決していないし、むしろ多くの負の影響を与えている」と回答しました。

FoEの満田からは、福島の事故による被害の大きさについて発表。広範囲にわたる放射能汚染の状況、山菜やきのこ、魚を分かち合う喜びや、それも含めたふるさとが失われたこと、農林水産業が大きな打撃をうけたこと、事故がまだ収束していないこと、除染や賠償費用がふくれあがり、現在の納税者や未来の世代がになわされていること、一度事故がおきれば取り返しがつかないこと、周辺の環境や社会だけでなく、国として大きな損失が免れないということなどを報告しました。

また、ベトナムのNGO・Green IDから、ベトナムの再エネについて、さらにVUSTA(Vietnam Union of Science and Technology Associations)から、原発建設予定地のニントュアンの村での聞き取り調査についての報告がありました。

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フロアからは特にコストについてと再エネの可能性についての質問が相次ぎました。
原子力関係の機関から参加した人もあり、再エネ懐疑論や、原発はクリーンなエネルギーではないかなどの発言もありましたが、中には原発に対して慎重になるべきではとの声もありました。

ベトナムは現在「中所得国」。電気の普及率も全土で平均して9割を越えています。
街中はバイクや車であふれかえっておりとても活気があります。一方で大気汚染の状況はひどく、街の大気汚染は北京やニューデリー並みの日もあるそうです。工業廃水や生活廃水により、とくに最近では外国企業の排水が原因の魚の大量死も報告されています。

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ハノイの風景

ベトナムは原子力の導入を検討しており、ベトナム第6次電源開発プラン(PDP 6)において初めて原発について触れられています。
また、ニントュアン省に建設される原子力発電所2基について、2010年に日本が協力することが合意され、その後2011年に日ベトナム原子力協定が調印されました。日本政府は、国税合計25億円を費やして日本原電に実施可能性調査を委託。このうち5億円は復興予算が流用されました。
また、日本とのパートナーシップのもとですすめられているニントュアン第二原子力発電所以外に、ロシアとともに第一発電所の建設計画が進められています。ですが、原発の建設に関しては何度も延期がされてるのが実情です。

ベトナムは電力の大半をを大型水力と化石燃料で賄っていますが、風力や太陽光などの再生可能エネルギーのポテンシャルについても報告されています。
風の強いBac Lieu(バクリュウ)では、メガ風力の導入も決定しており、改訂された第7次国家電源開発プランでも再エネが強調されています。

ベトナムが原発や化石燃料などの持続可能でない「汚いエネルギー(dirty energy)」から、再生可能エネルギーにシフトするには、この機会を逃さない手はありません。
原発はコストも高く、安全ではなく、気候変動の解決にならない事はすでに歴史が証明しており、とくにそれは日本が一番経験しているはずです。

私たちがベトナムの人々に伝えたい事がどれくらい受け止められたかわかりませんが、今後も原発輸出に反対する立場から活動していきます。

ベトナムへの原発輸出に関する過去の活動
>http://www.foejapan.org/energy/news/111121.html

(スタッフ 深草)

Sayonara- Genpatsu! rally on 22 September 2016

On the 22 of September 2016 a rally ‘Sayounara Genpatsu’(Bye nuclear power) was held in Tokyo, Yoyogi Park.

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Many different organizations presented their concern for several topics linked to nuclear power next to the Yoyogi Park, for example contaminated soil testing results in Japan, the stop of the governmental financial support for the Fukushima refugees, the protest against the restart of the existing nuclear power plants as well as the plans for new nuclear power plants.

Friends of the Earth Japan was present with their campaign ’Power Shift’. This campaign is about the switch from nuclear and coal energy providing companies to renewable energy companies to support the development and the use of renewable energies throughout Japan.

Even though it rained heavily, 9500 people joined the protest to share their opinion regarding actions of the government concerning Fukushima and the plans for nuclear power plants.

From 12pm to 2pm speeches were held. Unfortunately the last action ‘the walk to the Jingudori Park’ was cancelled due to the heavy rain. Therefore the event ended early at around 2.30pm.

(Nadine Holldorf, Internship student from Germany)

原発輸出>JBIC/NEXIによるコンサルテーション会合報告…内閣府による「要綱」のズサンさが明らかに

9月21日、国際協力銀行(JBIC)と日本貿易保険(NEXI)の原子力関連プロジェクトにかかる情報公開指針(仮称)作成に関する第3回のコンサルテーション会合が開催されました。

これは、JBIC/NEXIが、原発輸出に対して公的信用を付与(つまり、融資や保険をつける)際の情報公開に関しての指針をつくるため、広く関心を有する人たちの意見を聞くため開催しているものです。JBIC/NEXIが、合意形成や透明性を重んじてこのようなプロセスをもつこと自体は高く評価したいと思います。

NGO4団体は、JBIC/NEXIに対して、原発輸出を支援すべきでないという前提にたちつつも、指針に関しては、情報公開にとどまらず、プロジェクトごとに立地特性などに即した実質的な安全確認をするべきだとして、今年1月、以下の提言書を提出していました。
http://www.foejapan.org/energy/news/160128.html

JBIC/NEXI側は、指針の内容を情報公開に限る理由として、「安全配慮確認は国が行う」としていました。
しかし国(内閣府)が実施する安全配慮確認は、原子力安全条約などの加入や加入意思、IAEAの総合規制評価サービス(IRRS)の受け入れを確認するだけであり、極めて形式的なものにすぎません。
詳しくは以下の要綱をご覧ください。http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_kakuryo_kaigi/pdf/1006siryou3.pdf

本日の会合では、NGO側がかねてから求めていた国による「安全配慮確認」に関して、内閣府からの説明が実現しました。説明は概ね、上記の要綱の内容をなぞっただけですが、とりわけ、印象に残ったのは、「安全配慮確認」を以下のようにきわめて限定的に定義しているということです。

1) 相手国又は地域における原子力安全の確保、放射性廃棄物対策及び原子力事故時の対応に関する国際的取決めの遵守及び国内制度の整備
2) 当該原子力施設主要資機材の供給事業者による国際標準に適合した品質の確保に係る契約の締結及び安全関連サービス提供態勢の整備
3) 発電用原子炉施設の設置の場合における IAEA(国際原子力機関)の実施する主要な評価サービスの受入れ及び関連する許認可の取得

その後の質疑で、以下のようなやりとりがありました。(そのうちJBICのサイトに議事録が公開される予定です)。総じて、現在の内閣府による確認体制が、「形だけ」であることが明らかになったと思います。

・立地や耐震性などプロジェクトに即した実質的な安全確認はしないのか
→一義的には、安全確認は相手国が行うもの。日本としては、相手国が条約に加入していること、または加入の意思があること、IAEAのレビューを受けていること、または同等の措置を行っていることを確認する。

・原子力安全条約・IAEAレビューだけでは実質的な安全は担保できない。現に同条約に加入し、IAEAレビューを受けている日本でも事故が起こった。福島原発事故を繰り返さないというのが国是ではないのか
→明確な答えなし。

・内閣府に置かれた「審議官級」の会議では、実質的な安全確認はできない。根本的に見直すべき
→組織的に対応するという意味。見直すつもりはない。

・議事要旨を事後に公開するだけでは不十分。議事録を公開し、傍聴・中継を認めるなど、原子力規制委員会が行っているような対応をすべき
→自由な議論をさまたげないように、議事要旨のみの公開としている。

・パブリック・コメントを行うなど国民の意見の収集・反映に努めたのか。
→国民の権利・義務にかかわることではないので、パブコメは不要。

・実際に調査票を埋める外部専門家とはだれか?
→IAEAにつとめた経験のある専門家など。

・外部専門家の氏名・レポートは公開されるのか。
→まだきまっていない。

・15億円以下は安全配慮確認の対象としないのは問題ではないのか?
→行政コストの合理化という観点から。ネジ一本に至るまで確認することはできない。OECDのコモンアプローチも考慮した。

・被ばく労働など社会的な配慮に関する評価は行わないのか
→相手国が行うことである。

福島原発事故を繰り返さない、そのことさえ、蔑ろにされています。少なくとも内閣府の参事官は一度もそれを口にしませんでした。

また、「事業の安全配慮確認の責任は一義的には相手国が担うこと」…総じて、この内閣府によるやる気のない「要綱」はそこから出発しているようです。

しかし、日本が総力をあげて、国として、事前調査から多額の税金を投入し、オールジャパンで海外の原子力事業をすすめようとしている中、それは無責任きわまりない論でしょう。

数十年前、日本のODAを含む投融資が海外で甚大な人権侵害・環境破壊を引き起こしていたとき(そしてその状況はまだ続いているのですが)、ともかくも「いや、実施国だけではなく、資金を提供する日本にも相応の責任がある」とコンセンサスがえられた時代に逆もどりしたような状況です。

みなさん、今後もこのプロセスに注目してください。

(満田)

気候変動とたたかうアジアの人々

8月1日、アジア各国のFoE(Friends of the Earth)メンバー団体が東京に集い、各国で起きている深刻な気候変動影響や、大規模開発の影響をうったえました。

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アジア太平洋地域は、世界人口の55%にあたる40億人がくらしています。その中には世界有数の経済大国もあれば、最貧国もあり、そして生物多様性の宝庫でもある熱帯雨林もあれば、絶滅の危機に瀕している生物種も存在します。そして、アジア太平洋地域が抱える気候変動と、格差の問題。アジア各国のFoEメンバーがどのような課題と向き合っているのか、どのように取り組んでいるのか報告しました。

●ネパール(プラカシュ・ブサルさん)
ネパールの温室効果ガス排出は、全世界の排出量合計の0.027%だが、深刻な影響を受けている。特に、ヒマラヤの氷河融解による氷河湖決壊洪水のリスクが大きい。すでに12回(の洪水が)報告されており、人命も失われ、甚大な被害を受けている。また、ネパールだけでなく下流域の国々にも洪水影響は広がる。

●スリランカ(ヘマンサ・ウィサネージさん)
2016年5月、インドのラジャスターン州では、気温51℃が記録された。スリランカの首都コロンボでは、ケラニ川流域で洪水が発生し、30万人以上が家屋を奪われ、上流の地滑りでは150人以上が死亡した。世界各地のこのような災害は、気候変動を原因とする難民を日々増加させている。人口密集地域であるアジアは、今後の鍵を握っている。

●インドネシア(カリサ・カリッドさん)
インドネシア政府は、温室効果ガスを大量に排出するにもかかわらず、石炭を安い燃料として依存し続けており、35,000MWもの発電容量増大計画のうち65%が石炭である。石炭火力発電所の付近では、漁獲量の減少や生態系への影響もみられる。また、バタン、チレボン、インドラマユなどの石炭火力への日本の金融機関も融資しようとしている。現地では人権侵害も起きている。日本のみなさんとこれを止めたい。

●パレスチナ(マルワン・ガーネムさん)
ヨルダン川西岸のすべての水資源と、ガザ地区の重要な水資源は、イスラエルによって支配されており、イスラエルとパレスチナとの間で水資源の配分に大きな差異・不公平がある。パレスチナ人は、イスラエル国営水道会社(メコロット)から高い値段で水を買わねばならない。ガザ地区では特に、安全な上水へのアクセスが脅かされている。

●ピーター・ボシップさん(パプア・ニューギニア)
550万ヘクタールもの原生林がアブラヤシ農園に転換されたり、皆伐されたりしている。農民の土地収奪と森林破壊が深刻である。住民の慣習的土地所有の権利を守ることが急務である。原生林の破壊は、水質汚染と環境破壊、さらに気候変動による太平洋の海面上昇にもつながっている。

▼ユープランさんによる動画はこちら
前半 https://www.youtube.com/watch?v=CoZy93w-a40
後半 https://www.youtube.com/watch?v=PNvPwX1l3eo

▼資料はこちら(掲載予定)
http://www.foejapan.org/climate/lad/160801.html

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脱原発活動の新たな歴史

先日お伝えした、アメリカ・カリフォルニア州脱原発のニュース。経済規模も大きく、人口も多いカリフォルニアが脱原発するというのは、世界にも、そして日本にもとても意味がある事だと思います。
脱原発を勝ち取るに至った経緯をFoE USのスタッフ、ミシェルが語っています。

新たな歴史:ディアブロ原発閉鎖の道のり

By ミシェル・チャン

昨日(注:2016年6月21日)、PG&Eはディアブロキャニオン原発を閉鎖する計画であると発表しました。まさに歴史的でした。私はことの「重要さ」を示すだけに 「歴史的」という言葉を使っているのではありません。もちろん、本日発表された合意はとても重要です。

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ディアブロキャニオン前での反原発デモ、1979年6月30日(写真:Jessica Collett)

反対運動の歴史

本日発表された合意は、何十年もディアブロキャニオン原発に反対し続けた人々の声の上に成り立っているという意味で、とても歴史です。
ここ数ヶ月、PG&E(注:ディアブロキャニオンを有する事業者)との交渉が進む中、私は1985年に解散したカリフォルニアの主要な反原発グループ、アバロンアライアンスの膨大なオンラインアーカイブを読み込んでいました。
過去の新聞記事や、写真、個人の証言などを見返しながら、特に70年代や80年代に活動した何千人もの活動家達が成し遂げた事に私は感動し、そして謙虚な気持ちにもなりました。

1979年6月29日、どうやって5万人もサンルイスオビスポのデモに集めたのか、1981年、1960人の活動家が逮捕されながらも、どうやって建設予定地を何週間も封鎖したのか。

最近のキーストーン反対運動(注:アメリカとカナダを結ぶパイプライン建設計画反対運動。環境団体等の強い反対により中止となった。)と当時の反原発活動を比べると、キーストーンの活動が控えめにも見えてきました。

カリフォルニアでの反原発活動が、確固たる勝利を得て、今日の合意を可能にしたということは火を見るよりあきらかです。1976年からの新規原発建設モラトリアム(注:1976年にカリフォルニア州が定めたモラトリアム。連邦政府が最終処分場を決定しない・再処理施設を稼動させない限りは新規原発を建設しないとした。)、1989年のランチョセコ原発に市民達が反対の票を投じたサクラメントでの住民投票、そういった活動が今日の合意を可能にしたのです。2030年までに原発を含まない再生可能エネルギーからの調達の割合を50%にするという、2015年に可決されたカリフォルニアの法律まで、その歴史は続いています。

今日の合意は、これらの長年の、そして懸命な脱原発活動がなければ不可能だったでしょう。

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ブレーキングスルーパワー(注:アメリカで行われたイベント)で発言するデイヴ・フリーマン。2016年5月26日 写真:Slowking4

歴史との対話

このキャンペーンを通し、別の形で歴史を感じたのは、ディアブロ原発交渉で(また、2013年のサンオノフレ原発のキャンペーンでも)一緒に活動したキーパーソン、デイヴ・フリーマンの存在です。

未だに精力的で頭の切れる頑固者、そしてチャーミングな90歳のデイヴは、サクラメント都市工学適用地域、TVA(テネシー川流域開発公社)、ニューヨークパワーオーソリティ(注:ニューヨーク州の公共電力)、そしてロサンゼルス水・電力局の職を歴任。

彼は、我々のシニア戦略アドバイザー、デイモン・モグレンと二人三脚で働いた、チームの一員でした。

カリフォルニア大学バークレー校で行われたConversations with History(注:アメリカのテレビ番組。カリフォルニア大学が制作している。)のインタビューで、デイヴは「TVAで働いていたとき、彼らはさらに原発を建てようとしていた。彼らはすべての電力を原発でまかなうつもりだった」と話しました。

TVAでは、デイヴは‘実用的環境主義者’としての評判を高め、エネルギー効率化プロジェクトに投資する一方、8基の原発を停止、もしくは中止させました。

デイヴは、原発を停止する事は可能であると、様々な方法で、何十年も前から示していたのです。

彼はサクラメントにいた頃、1989年に住民投票で脱原発側が勝利したランチョセコ原発の閉鎖も監督しました。なので、PG&Eとの交渉の間、「この部屋にいる人間の中で、原発を停止・解体した経験がある唯一の人間が自分だ」と、デイヴは述べる事ができました。
我々が今関心を持っている原発で、デイヴがかつて監督したニューヨーク州のインディアンポイント原発という原発があります。デイヴは、そのアメリカの中でも最も危険な原発の一つを閉鎖するために働き続けるでしょう。

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Friends of the Earth創設者 デイヴィッド・ブラウアー

歴史は巡る

今日という日は、フレンドオブジアース(FoE)にとっても歴史的な日です。なぜなら、ディアブロキャニオン原発こそ、約50年前にFoEが出来たきっかけになったからです。
デイヴィッド・ヴラウアーが1969年にFoEを創設したとき、ディアブロキャオン原発はFoEの最初の取り組むべき課題であり、そして我々はそれ以来、ずっとたたかい続けてきました。
トーマス・レイモンド・ウィロックは彼の著書(『クリティカルマス:カリフォルニアにおける原発反対、1958-1978』)の中で、組織の創設期や反原発活動についてこう説明しています:

ブラウアーは、アメリカのエネルギーへの執着は、人間性の否定につながっていると考えた。そこで彼はFoEという組織に倫理性の側面をもたせようと決心した。

ブラウアーの何にも妥協しないというヴィジョンと、我々は環境問題に対して倫理的な立場を取らなくてはいけないという信条(例えば、ビジネス的に合理的だから、というような理由だけで環境活動をするのではない、ということ)は、今でもFoEのアプローチの中に根付いています。ブラウアーはこう言いました;

皆が違った考え方を持つ多元的な社会では、妥協して生きていかなくてはいけません。なので我々は妥協が出来る人を選んで、議会に送り込んでいます。ですが、環境の運動の中では妥協をすることは間違いです。我々が立ち上がっている物のために、発言していくべきなのです。—Living on Earth broadcast

私の20年のFoEでの活動の中で、何が政治的に合理的かよりも、正しい事の為に、立場を譲らずに戦って来た事は何度もありました。こういったアプローチをとる事で、ワシントンの政治的な動きの中では、孤立を感じることも多いです。

我々はよく、化石燃料、クリーンコール、原発、バイオ燃料、廃棄物エネルギー等、そういたすべての物に反対する団体だと批判されてきました。
では、我々は何のためにあるのか?そしてもし、私たちがこういった産業すべてに反対するのだとしたら、雇用はどうなるのか?実際に解決方法を推進していくために私たちは活動できるのか?もしかしたら、私たちは現実の世界で働くにはナイーヴすぎるのだろうか?

だからこそ、妥協せず、むしろさらに志を高めつつ、実際の世界(それも経済規模世界第6位のカリフォルニアで)で、取り組めた事はとても嬉しいことでした。

原発を閉鎖させるだけでなく、私たちは再生可能エネルギーや、エネルギー効率化、エネルギー貯蓄によって代替させるという約束をとりつけました。それはコミュニティーや労働者にとっても公平な変革や転換をもたらす事、Just Transition (公平な変革)を達成する手助けをする事もできたのです。

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サンオノフレ原発(写真:Shutter stock)

私たちの過去と未来

トーマス・ジェファソンは「過去の歴史より、未来の夢の方が好きだ」と述べています。
私は、カリフォルニアにおける反原発活動の歴史から多くの事学びました。同時に、今日の合意は、これから訪れる未来に対して、沢山の希望をもたらしてくれました。
私がそう感じる理由は、再生可能エネルギーと‘just transition’(公平な変革)です。

2013年にサンオノフレ原発閉鎖を達成したときに学んだ事の一つは、原発の閉鎖が順序だって達成されなかったために、その穴を埋めるために「汚い天然ガス」が導入されたことです。
私たちはディアブロキャニオン原発を閉鎖するための効果的なキャンペーンを始めるため、ディアブロキャニオン原発で発電されている電力が、再生可能エネルギーや、電力効率の改善、蓄電によって、(さらにそれらは経済的で温室効果ガスを出さないエネルギーでもあります)まかなう事ができるという事を示した、プランBを作成しました。

そのレポートを、2015年12月のPG&Eとの交渉に場に持っていきました。
さらにこの計画は、3億5千万ドルの保証金と、原発作業員のための再雇用教育がパッケージとなっていたことで、それによってこの共同合意に、国際電気工組合と、カリフォルニア公共事業労働者連合の参加を得る事ができました。
さらに、5千万ドル程の資金が、(つまり、原発が停止することによって失われる税収をやわらげることが可能になる)地元の政府に支払われることになり、地域が経済的に適合していく事を手助けしました。
公平な変革を確実にすることは、政治的に重要だけでなく、また倫理的にも必要不可欠です。

この合意は、原発だけでなく化石燃料から変革する時の青写真を、他の国々にも示したのです。
今日の声明は、一つの原発の終わりを意味するだけでなく、カリフォルニア全体の原子力エネルギーの終わりを示しています。

サンフランシスコクロニクル(注:地元の新聞)は‘原発時代の終わり’と報道しました。
労働者や地域が一緒になって、再生可能エネルギーとエネルギー効率が原発と石炭火力を代替する新しい日を描きました。
これはとても歴史的なことです。

著:ミシェル・チャン(プログラム部長)、翻訳:深草亜悠美

原文はこちら→
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カリフォルニア州が脱原発州に!

今月21日、FoE USはアメリカ・カリフォルニア州が原発ゼロになると発表しました。

カリフォルニア州最後の原発・ディアブロキャニオン原発を有するパシフィックガス&エレクトロニック(PG&E)社は、同原発の運転許可期間が終わる2025年までに原発をやめ、再生可能エネルギーを導入すると決定。

世界で6番目の経済規模を誇るカリフォルニア州が、再生可能エネルギーを導入しながら原発ゼロになるというのは、歴史的なニュースです。

原発をやめ再生可能エネルギーを導入するというのは、FoE USをはじめとする様々な環境団体が、長年提案して来たものです。こうした経緯をふまえ、PG&E社および環境団体、労働者の団体、による合同声明の形で、発表されたことも注目されます。

さらに共同声明のなかで、PG&Eは、2031年までに同社の供給するエネルギーの55%以上を再生可能エネルギーにすることを約束しています。

なお、ディアブロキャニオン原発の反対運動こそ、1969年にFoE USが出来たきっかけとのことです。

FoE USのプレスリリースはこちら (英語)

参考
California’s Last Nuclear Power Plant
米加州最後の原発閉鎖へ、再生エネに置き換え 2025年までに閉鎖、コスト増分の電気料金上乗せが条件

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Photo courtesy:FoE US
(写真はFoE USのツイッターより転載)

(スタッフ 深草亜悠美)

「100ベクレル/kg以上を原子力施設から持ち出さないよう厳重チェック」のはずが…「8000ベクレル/kg以下の除染土の公共事業への再利用」方針をめぐる第2回政府交渉報告

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6月8日、放射性セシウム濃度8000ベクレル/kg以下の除染土を公共事業に再利用する環境省方針の撤回を求める第2回目の政府交渉を行いました。>資料

交渉に先立ち、みなさまにご協力いただいた反対署名5,429筆を二次提出しました。一次提出分10,305筆をあわせると15,734筆となりましたことご報告します。署名は引き続き継続しておりますので、ご協力ください。
http://www.foejapan.org/energy/fukushima/160416.html

さて、交渉には、環境省に加え、電事連、原子力規制庁も出席。
原子炉施設のクリアランス制度に基づく規制除外(

の廃棄物についても、敷地外に出す際には、国が定めた測定方法によって、国および事業者により厳しく測定が行われ、間違っても100ベクレル/kg以上の低レベル放射性廃棄物が持ち出されないようにチェックされていたことが明らかになりました。電事連によれば、100ベクレル/kg以下のものも、限られた場での展示にとどまり、一般には流通していないとのこと(原子炉等規制法の規則の改定の際の付帯決議によるものとのこと)。

今回の8,000ベクレル/kg以下であれば、再利用してしまえという方針の異常性が、ますます明らかになりました。

この前日の6月7日、環境省「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会」が開催され、同検討会のもとに置かれたワーキンググループの被ばく評価の結果が報告されました。同ワーキンググループでは、
1)工事中に、一般公衆及び工事従事者に対する追加被ばく線量が1mSv/年を超えないこと
2)供用時(工事のあと)の一般公衆に対する追加的な被ばく線量が10μSv/年を超えないこと
を前提とし、いくつかのケースで、土砂濃度や被覆の厚さの検討行い、上記の1)2)をクリアできる土壌汚染濃度と覆土の厚さを算出しています。

8000ベクレル管理シミュレーション結果
詳しくは以下のページの資料3p.6および資料4をご覧ください。
http://josen.env.go.jp/chukanchozou/facility/effort/investigative_commission/proceedings_160607.html

「クリアランスレベルの100Bq/kgとのダブルスタンダード」との批判に対して、環境省は「これらの除染土は管理された環境に置かれる」と繰り返していました。しかし、そもそも公共事業で使用するということは、「管理された環境下」の外に出すということでしょう。
遮水構造になっている管理型の処分場ですら、周辺に汚染が浸出することはよくあることです。ましてや、河川の氾濫、地震や津波などの災害時には、崩落や流出などが生じるでしょう。

道路作業を行っている作業者や住民への影響も、しきりと「追加被ばく量年1mSv以下になるよう」と繰り返していますが、道路作業を行っている人たちや住民・通行人が、放射線管理区域での作業のように積算被ばくが管理される状況でもなく、あちらでもこちらでも被ばくさせられる状況を強いられることになります。

さらに、2013年10月の内閣府原子力被災者生活支援チームの決定により、福島県で3,000ベクレル/kg以下の除染土を土木事業に使っていたのですが、現在までに海岸防災林などに23万トンの資材を使っているそうです。
近隣住民には説明しているのか?」という問いに対して、「市町村の同意はとっている。住民には市町村が適切と判断すれば、説明しているはず」との回答でした。つまり、環境省は、住民に説明されているかどうか把握しておらず、市町村の判断如何では、住民に知らされていないこともあるわけです。このこと自体ひどいことですし、今回の決定に基づき、8000ベクレル/kg以下の除染土が公共事業に使われることになったとして、住民がそれを知ることができるかどうか疑念が生じます。

質問と回答
Q:商業用原子炉の運転や廃炉にともなって発生した廃棄物のうち、クリアランスレベル(例:Cs137の場合100Bq/kg)を超えるものはどのような処理を行っているか。また、100ベクレル/kg以下の取り扱い、再利用実績については?

低レベル放射性廃棄物(固体)の管理・処分は、電事連のウェブサイトによれば、以下のようなことになっています。
• 使用済みのペーパータオルや作業衣など放射能濃度の低い雑固体廃棄物は、焼却、圧縮などによって容積を減らしてからドラム缶に詰め、原子力発電所敷地内の固体廃棄物貯蔵庫に安全に保管されます。
• フィルター・スラッジ、使用済みイオン交換樹脂は貯蔵タンクに貯蔵し、放射性物質の濃度を減衰させてから、ドラム缶に詰め、原子力発電所敷地内の貯蔵庫に保管します。
• ドラム缶に詰められた廃棄物は、その後、青森県六ヶ所村にある日本原燃の「低レベル放射性廃棄物埋設センター」に運ばれ、コンクリートピットに埋設処分されます。
(電気事業連合会)

100ベクレル/kg以下のものも管理区域内に保管し、国による測定を経たのちに外に運びだされ、事業者により管理されます。現在までに170トンの金属が再利用されましたが、一般の流通はさせておらず、ベンチ等の再利用品に加工され、展示されたりしているとのこと。

Q:「放射性物質汚染対処特措法」において、指定廃棄物の基準として8,000ベクレル/kgが採用された検討過程についてご教示いただきたい。

A:平成23年8月、「放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」が成立。その後、9~12月、有識者による検討が行われ、平成23年6月3日付け原子力安全委員会「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響を受けた廃棄物の処理処分等に関する安全確保の当面の考え方について」を踏まえ、JAEAによる評価や放射線審議会による検討などを経て決めた。2011年12月に省令として決定。

Q:「福島県内における公共工事における建設副産物の再利用等に関する当面の取扱いに関する基本的考え方」(平成25年10月25日内閣府原子力災害対策本部原子力被災者生活支援チーム)には以下のように記されている。

「利用者・周辺居住者の追加被ばく線量が 10 マイクロシーベルト毎年以下になるように管理された状態で屋外において遮蔽効果を有する資材等を用いて利用する場合は使用可能である。例えば下層路盤材として利用する際には、30センチメートル以上の覆土等を行う場合は、3000 ベクレル毎キログラム以下の再資源化資材の使用が可能である。」

1)「30センチメートル以上の覆土を行う場合は、3,000ベクレル/kg」という数値の根拠についてご教示いただきたい。
2)「30センチメートル以上の覆土を行う場合は、3,000ベクレル/kg」が採用された経緯についてご教示いただきたい。
3)実際の再利用実績についてご教示いただきたい。
4)再利用について、近隣住民には説明されているのか。

A:1)2)→平成23年6月3日付け原子力安全委員会「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響を受けた廃棄物の処理処分等に関する安全確保の当面の考え方について」を踏まえ、利用者・周辺住民の追加被ばく線量が10マイクロシーベルト/年以下になるように検討を行った。

3)→海岸b防災林に23万トンの盛土材として使用。どこかについては言えない。
4)→地元の市町村が適切と認めれば住民に説明しているはず。(環境省としては市町村の同意をとっているだけで、市町村が住民に説明しているかどうかは把握していない)

Q:環境省が、東京電力福島第一原発事故の除染で出た汚染土を再生利用する初の試験事業を今夏にも福島県南相馬市小高区で始めることが報道されている。
1)同試験事業の詳細についてご教示いただきたい。
2)同試験事業を請け負うのはどこか。金額はいくらか。
3)「道路の基盤材などへの利用を試し、使った土は試験終了後に回収する。」とされているか、これは事実か。
4)周辺住民は同意したのか。

A:
1)→現在、南相馬市と相談中。小高地区の仮置き場の中に、除染土を使って盛り土をつくって、空間線量などのデータをとることになる。
2)→今後、公募をかけることになる。
3)→あくまで実証試験。
4)区長に説明して同意を得た。これから地権者の同意をとる。周辺住民の方々にも説明会、測定会を行い、理解を得るつもり。

関連記事)【8000Bq/kg以下は公共工事へ】被曝強いられる土木作業員~除染土壌の再利用へ突き進む環境省。南相馬市で実証実験も(民の声新聞)

遠のく「核なき世界」 インドの原子力供給グループ(NSG)入りの動きを後押しするアメリカ

先日オバマ大統領が現職のアメリカ大統領として広島を訪問し、話題になりました。
ですが、私たちは核の脅威なき世界に近づいているのでしょうか?

今週、アメリカを訪れていたインド・モディ首相とアメリカ・オバマ大統領の間で、米・ウエスティングハウスがインドで6基の原発を建てる事を確認。早期の建設開始に向け合意しました。ホワイトハウス発表の共同声明によると、原発の建設にあたってはアメリカの公的な輸出銀行である米輸出入銀行(US EX-IM)が融資協力等を行うことも示しています。

FoE Japanがかねてより反対している日インド原子力協定ですが、インドの原子力を巡ってはアメリカとインドの動きはとても重要です。

実は、インドの原子力供給国グループ(以下NSG)入りをめぐって、アメリカとインドの間で様々な動きが見られます。インドは核不拡散条約に入らず核実験を行った国で、核実験のために使われた機材や技術はもともと民生利用として支援を受けたものでした。
これをうけて、原発輸出を行う限られた国同士でNSGをつくり、民生利用の為に輸出された原子力技術が軍事転用されないためのルールを定めました。
インドは原子力技術に関して経済制裁を受けており、原発の技術や資材を輸出する事も輸入する事も出来ない状態でした。
ですが、インドの大きな原子力市場を狙って、また様々な政治的思惑により、インドへの経済制裁が一部解除され、インドへの原発輸出が可能となりました。本来、核不拡散条約に加盟していない国に原発輸出しないというNSGのルールがあったのですが、インドは例外扱いとなりました。
これを受け、アメリカやフランス、オーストラリア等の国が次々とインドと原子力協定をむすんでいったのです。
*インドの原子力協定について詳しくはこちら>日インド原子力協定

アメリカもインドとは原子力協定を締結しており、ウェスティングハウスによる原発計画がかねてより進行中で、モディ首相のふるさとでもあるグジャラート州に6つの原発を建設予定でした。しかし現地の果物農家の反対により移転を余儀なくされました。さらにインドには原発が事故等を起こしたときに、メーカーに責任を定める原子力賠償法(Nuclear Liability Law)があり、それがインドへの原子力輸出のハードルを上げていたとされています。

今回の共同声明の中では、インドのCSC条約(事故の際、メーカーではなく事業者が責任を負う)批准を含むいくつかのステップで、関係が強化されたとも触れられています。

現在、アメリカのオバマ大統領はインドのNSG入りを後押ししており、日本もNSGのメンバー国の1つとして安倍首相は前回の日インド首脳宣言で、インドのNSG入りを支持しています。ですが、核不拡散条約にも包括的核実験禁止条約にも入らず、IAEAの査察も完全には受け入れていないインドをNSGのフルメンバーとして認める事は、核不拡散体制の形骸化に他なりません。

日本もアメリカも、インドのNSG入りを反対すべきです。さらに、インドがNSGのメンバーとなれば。パキスタンとの対立や緊張関係がさらに悪化する事も予想されます。

ウエスティングハウスを有するのは日本の東芝ですが、日本とインドはまだ原子力協定を結んでいません。
今後、日本とインドの原子力協定締結に向けて加速していくでしょう。(forbes紙は、アメリカの技術を使うので、日インド原子力協定は障害にならないとのコメントもありますが、原子力資料情報室の方によると多くの原発関係機材を最早アメリカではつくらず日本などから輸入しているとの事。)

そもそもインドの原発を巡っては土地収奪、人権侵害、非民主的弾圧、核開発など様々な問題があります。インドでは太陽光の伸びが大きく、また巨大な国土でエネルギーアクセスを確保するために原発が向いているとは言えません。
現地の反対運動も活発です。

核なき世界を目指すオバマ大統領は、原発も核拡散の脅威であるという事を強く認識するべきです。

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日インド原子力協定反対官邸前アクションの様子(2015.12)

(スタッフ:深草)

参考:
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/71167174-2acb-11e6-a18d-a96ab29e3c95.html#axzz4Asi1Xu00
http://timesofindia.indiatimes.com/india/US-based-Westinghouse-to-build-6-nuclear-power-plants-in-India/articleshow/52644065.cms
http://www.armscontrol.org/ACT/2016_06/Focus/Obamas-India-Nuclear-Blind-Spot
http://in.reuters.com/article/india-usa-nuclearpower-modi-idINKCN0YU07U?feedType=RSS&feedName=topNews

「8000ベクレル除染土を再利用」方針の撤回を求めて…署名提出と政府交渉報告

8000Bq_No_署名提出8000ベクレル/kg以下の汚染土を公共事業で再利用する方針の撤回を求める署名にご協力いただきまして、ありがとうございました。
5月2日に、一次集約分の10,305筆と、団体賛同いただいた92団体のお名前とともに、環境省に提出しました。引き続き、署名を呼びかけておりますので、ご協力をお願いいたします。>オンライン署名はこちらから
※なお、この問題が「わかりづらい」というご意見をいただいたので、署名用紙とともに配布できるように、簡単なQ&Aを作成しました。署名用紙とPDFファイルをダウンロードできます。Q&Aは2頁目です。
http://www.foejapan.org/energy/fukushima/160416_petition.pdf

5月2日の集会および政府交渉では100人を超えるみなさんにご参加いただきました。
事前集会ではおしどりマコさん、高木学校の瀬川嘉之さんに解説いただきました。
福島のみなさんにもかけつけていただき、政府交渉には、全員参加型で臨みました。
おかげさまで、多くの重要な問題が、明らかになってきました。
以下政府交渉の際の簡単なやりとりです。資料はこちら(PDF

質問1:原子炉等規制法第61条の2第4項に規定する規則(※)では、再生利用の基準は放射性セシウムについて100ベクレル/kg以下となっている。今回の環境省方針(8,000ベクレル/kg以下は再利用可能)は、同法に矛盾するのではないか。
※製錬事業者等における工場等において用いた資材その他の物に含まれる放射性物質の放射能濃度についての確認等に関する規則(平成17年11月22日経済産業省令第112号)

回答:100ベクレル/kgは、廃棄物をどのような用途で再利用もいいという基準である。8,000ベクレル/kgは、責任主体が明確な公共事業において、管理を行い、覆土などの遮蔽の措置を設けた上での再利用。なお、8,000ベクレル/kgというのは上限の値で、今後用途別に被ばく評価や手法を検討した上で、年1mSvを上回る場合には、より低い上限を設けていく。

関連質問)原発の敷地内においては、低レベル放射性廃棄物として浅層処分を行うものを、敷地外においては、公共事業に再利用するというのはおかしいではないか。
→明確な回答はなし。

関連質問)8,000ベクレル/kgは、よく使われる係数(65倍)でキログラム換算すれば、52万ベクレル/m2。電離則によれば、放射性管理区域から持ち出し不可のもの(4ベクレル/cm2=4万ベクレル/m2 )よりずっと高い。それを認識されているか。
→明確な回答はなし。

質問2:「8,000ベクレル/kg以下の除染土を公共事業での再利用可能」とする根拠は何か。

回答:確実に電離則及び除染電離則の適用対象外となる濃度として、放射性物質汚染対処特措法における規制体系との整合も考慮して、8,000Bq/kg以下を原則とした。

関連質問:セシウム以外の核種をなぜ考慮しないのか。ストロンチウムなどは計測できるのか。

→明確な回答はなし。セシウムが一番、重要と考えられるからというような趣旨。

質問3:当該方針を実施するための法的手段はどのようなものか(改正する法律名・規則名など)

回答:放射性物質汚染対処特措法に関連すると考えるが、具体的には、次回の検討会で議論される。スケジュールは決まっていない。

質問4:建設作業員、周辺住民の被ばく限度は、年間何マイクロシーベルトを想定しているか。

回答:追加被ばく線量として、年1ミリシーベルト。覆土等により、10マイクロシーベルト/年を実現する。

関連質問)
・「追加」被ばく量であり、年20ミリシーベルト基準で帰還させられた地域では、年21ミリシーベルトになってしまうが、どうするのか?
・「年20ミリシーベルト以下で帰還」基準との整合性は?
・他の化学物質等で、実際の濃度ではなく、住民等への暴露量として基準が決まっているものはあるか?
→いずれも明確な回答なし。

質問5:「4」の計算根拠を示されたい。ほこりの吸い込みによる内部被ばくを考慮するか。

回答:用途ごとの被ばく量を計算中である。次回の検討会で示し、議論される。内部被ばくも評価する。次回の検討会の日程はまだ決まっていないが、事前に環境省のウェブサイトに掲載される。

質問6.大雨、地震や津波などにより崩壊・流出は考慮されているか。

回答:今後、評価する。

質問7.検討会のもとにおかれた「放射線影響に関する安全性評価ワーキンググループ」のメンバー、議事録は非開示とされている。
環境省は、非開示の理由について、「ワーキンググループ関連資料は、ワーキンググループ委員による率直な意見交換を確保・促進するため、また、検討段階の未成熟な情報・内容を含んだ資料を公にすることにより、不当に国民の誤解や混乱を生む可能性があるため」としているが、非公開では、どのようなプロセスや根拠で本方針が導かれたのかガわからない。
匿名をいいことに、無責任な発言や決定が行われる可能性もある。
1)改めて、ワーキンググループのメンバー、資料、議事録の開示を求める。
2)ワーキングメンバーの選定はどのように行ったのか。
3)今後は、本件に関する国民の強い関心にかんがみて、当該ワーキンググループは、公開の場で開催すべきであると考えるがいかがか。

回答:ワーキンググループのメンバー、資料、議事録は開示できない。その理由はすでにお示ししたとおりである。なお、検討会の場で、ワーキンググループの結果が議論されるので、透明性は確保できる。

質問8:工程表に、「低濃度土壌の先行的活用」とあるが、具体的にはどのようなことか。

回答:分級処理、過熱処理などを行ったうえでの低濃度土壌を活用するというもの。場所や具体的な内容、どのくらい「低濃度」なのかについては、まだ決まっていない。

質問9「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略」の2016年度予算額およびその内訳を示されたい。

回答:
技術開発戦略策定調査(1億円)
専門家による委員会を設置し、①減容技術の現状及び課題とその対 応案、②再生利用に関する課題の検討、③減容・再生利用等技術開発 戦略の検討等を行う
直轄研究開発・実証 (10億円)
除去土壌等の減容・再生利用の早期実現に向け、ベンチスケールの 分級プラント等により、①機器の性能評価、②処理後の土壌性状や濃 縮残渣の各種試験、③土木資材等へのモデル的活用等を行う。
→具体的な場所はまだ決まっていない。
再生利用の促進に関する調査研究(1億円)
除去土壌等の再生利用に向け、関係省庁の研究機関や学会等とも連 携し、①再生利用先の用途、②再生資材の品質、③放射線安全に関す る評価項目の考え方等の検討を行う。
減容・除染等技術実証事業(2.3億円)
将来活用可能性のある技術の小規模実証・評価を行う。

予算

予算

質問10:本方針は、そもそも大量の除染土(最大約2,200万m3)の存在が前提となっている。住民の意向に沿っていない無理な帰還政策や、それに伴う無理な除染のあり方そのものを見直すべきではないか。

回答:除染土を減らすための努力は行っていく。

その他の質疑。

質問:福島県に住んでいるが、減容化施設が住民に説明もなく、いきなりつくられることに懸念している。
→きちんと住民の方々に説明を行っていく。

指摘:福島県の避難指示区域からの避難者だが、「帰らない」人が圧倒的に多く、それでも、「帰る」人のために除染に同意している。

質問:いったい誰がこのような方針を検討しろと言ったのか?
→とくに「誰が」というわけではない。

質問:建設業界団体か?
→いや、建設業界からは、むしろこのような資材は、「使いづらい」という意見もある。

指摘:コストをかけた高い建設資材を、ただでばらまく気なのか。

質問:自治体から、再生資材を使いたいという要望があるのか?
→ない。

質問:国が利用してもらうために「インセンティブ」をつけるということだが、具体的には?
→お金になるのか制度的なインセンティブになるのか分からないが、国としては利用を促していく

質問:まず、「再生利用」ありきではなく、再生利用するのかどうかということについて、広く意見を求めるべきではないのか。
→国民の理解を得るためのさまざまな施策をおこなっていく。

質問:撤回すべき、という意見が多い場合は、撤回されるのか。
→国民の理解を得ていくための取り組みを行っていく。賛否両論あると思う。必要に応じて、撤回ということもありうるだろう。

質問:管理型の処分場ですら、汚染物質がもれでることは枚挙にいとまがない。公共事業に使うということは、環境中に拡散されてしまうことになる。
→そのようなことがないように、今後、しっかりと管理手法を検討していきたい。

関連記事)

「8,000Bq/kg以下の除染土を公共事業で再利用」方針の矛盾と危険性

「8,000Bq/kg以下の除染土を公共事業で再利用」方針の矛盾と危険性(解説と資料を掲載しました)

FoE Japanの満田です。「8,000Bq/kg以下の除染土を公共事業で再利用」方針の問題点について、解説します。

5月2日政府交渉資料>PDF  >署名はこちら  説明用パワポ資料

環境省「中間貯蔵除染土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会」は、3月30日、東京電力福島第1原発事故後の除染で出た汚染土に関し、8,000ベクレル/kg以下の汚染土を、「遮蔽および飛散・流出の防止」を行った上で、全国の公共事業で利用できる方針を決定した。「周辺住民などの追加被ばく量は、工事中は年間1ミリシーベルト、工事終了後は年間10マイクロシーベルトに押さえられる」としている。

しかし、そもそも3・11以前から今に至るまで、原発施設などから発生する100ベクレル/kg以上のものは、「低レベル放射性廃棄物」として、厳重に管理・処分されてきた。今回の「8,000ベクレル/kg以下、再利用しちゃえ」基準は、2011年時に、「非常時だから8,000Bq/kgを通常のゴミと同様に処分してしまえ」という環境省の方針を、さらに。緩めたものだ。

環境省は、8,000ベクレル/kgの除染土再利用したときに、「工事中年1ミリシーベルト、工事後、年10マイクロシーベルト」を確保するとしている。以下が環境省が示しているの放射線防護のイメージ図だ。

放射線防護のための管理のイメージ

放射線防護のための管理のイメージ2

が、驚くべきことに、どうやら、環境省は「8,000ベクレル/kg」の除染土を公共事業に再利用したときの被ばく評価はしていない。以下の資料からすれば、8,000ベクレル以下でも容易に、1mSv/年、10μSv/年を超える。

環境省)下層路盤材への再生利用における放射性セシウム濃度

(出典:環境省「安全性確保を前提とした 再生利用の考え方等について」平成27年12月21日 p.7)

環境省の資料からも、周辺の住民の被ばくのリスクや、環境汚染のリスクは十分うかがえる。

被ばく線量評価について

原子炉等規制法第61条の2第4項に規定する規則では、再生利用の基準は放射性セシウムについて100ベクレル/kg以下となっている。これは、原子炉施設のクリアランス・レベル(これ以下は放射性廃棄物として扱わなくてもよいというレベル)については、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会廃棄物安全小委員会において、2004年(平成16年)に報告書を取りまとめ、2005年(平成17年)に原子炉等規制法を改正し、クリアランス制度を導入した。これだって、相当「甘い!」という批判があった。
このクリアランスレベルを算出するための線量の目安は、10μSv/年とされた。さらに33種の放射性核種を想定。複数の核種の場合は、それぞれの濃度に応じた評価を行うこと、国の「検認」を2段階で行うこととしている。

(以下は原子炉施設のクリアランスレベルだが、単位がBq/gとなっているので、Bq/kgに換算するためには千倍となる。複数の核種が混じっているときは、その分量に応じて、トータルとして基準濃度を超えないようにすることになっている。)

クリアランス

クリアランス実施の手順

出典:原子力安全・保安院「原子炉等規制法におけるクリアランス制度について

今回の8,000ベクレル/kg再利用基準に関しては、上記のクリアランス基準が無視されたあげく、少なくとも、以下が説明されていない。

1)吸い込みによる内部被ばくは?…放射性物質が付着したほこりや浮遊粒子状物質が空気中に舞い上がり、相当程度、「吸い込み」により内部被ばくが懸念される。
2)累積被ばくは?
ただでさえ被ばくが懸念されるような地域の場合、さらに追い討ちをかけることに?
3)他の核種は?
放射性セシウムだけの評価でよいのか?

根本的には、本方針は、そもそも大量の除染土(最大約2,200万m3との存在が前提となっている。住民の意向に沿っていない無理な帰還政策や、それに伴う無理な除染のあり方そのものを見直すべきではないか

本戦略の対象は、福島県内における除染等の措置により生じた除去土壌等及び事故由来放射性セシウムにより汚染された廃棄物(放射能濃度が10万ベクレル/㎏を超えるものに限る)であり、その総発生見込み量(平成27年度1月時点における推計値)は、最大で約2,200万m3である。

除去土壌等の放射性セシウム濃度(平成27年度1月時点における推計値)

放射性セシウム濃度 除去土壌 内訳
8,000Bq/㎏以下 約1,000万m3 砂質土約600万m3、粘性土約400万m3
8,000Bq/㎏超10万Bq/㎏以下 約1,000万m3 砂質土約300万m3、粘性土約700万m3
10万Bq/㎏超 1万m3 主として粘性土

除染進ちょく

田村市、楢葉町、川内村、大熊町、葛尾村、川俣町、双葉町は面的除染が終了。

しかし、この除染は、早期帰還方針が前提であり、明確な線量低減の目標値もないままに進められている。

住民の多くは、「まだ帰還できない」と感じているのにもかかわらず、避難者の支援を打ち切り、半ば強制的に帰還を進めようとしている。
除染のあり方また、除染土の処理については、総合的で幅広い議論が必要だ。

住民の帰還に関する意向

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