BUND/FoEドイツ 脱原発の歴史と最終処分場問題(報告その1)

323日から27日まで、BUND(ドイツ環境自然保護連盟:FoEドイツ)から代表のフーベルト・ヴァイガー氏ら3名が来日しました。

今回の彼らの来日の目的は、一つは、福島原発事故から7年後の現状を見聞きすること(2425日に飯舘村等訪問)、原発・エネルギー政策について東京で意見交換すること、そしてBUNDとしても注目している日欧貿易協定問題について日本の団体と意見交換することでした。 

327日(火)には、エネルギー政策について議員会館でセミナーを開催しました。
BUNDFoEドイツ)来日セミナー:脱原発・脱石炭・エネルギーシフトと市民参加」
▼詳細・資料はこちら http://foejapan.org/energy/evt/180327.html

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●ドイツの脱原発の歴史とBUND

2007年からBUND代表をつとめるフーベルト・ヴァイガー氏は1972年、自身が良心的兵役拒否(兵役義務の代わりに、福祉団体や環境団体での研修を選択することができます)の研修先として、初めて環境団体を選んだパイオニアだったとのこと。それが当時バイエルンで最大の環境保護団体だったBUND Naturschutz(自然保護連盟)だったそうです。

その後1975年、このバイエルンの団体が母体となって全国の環境団体への働きかけが行われてドイツ全国規模のネットワークBUND(ドイツ環境自然保護連盟)が設立されたそうです。ヴァイガーさんはこの時一番若い設立メンバーだったとのこと。森林学や農学が専門ですが、BUNDのメンバーとして反原発運動や気候変動問題、生態系保全など、精力的に活動を続けてきています。

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ちなみにドイツでは現在、グリーンピースやWWFBUNDFoEドイツ)、NABU(自然保護連盟ドイツ)の4大環境NGOやその他の環境団体にメンバーなどの形で参加する人が約1000万人(!)いると推定されているとのこと。この市民のちからが、政治に対するプレッシャーにもなっているとのことでした。BUNDは約54万人の会員・支持者を抱え、ドイツ各州の本部、さらに各町に支部があり、会員の地道なネットワークと活動によりささえられています。

ドイツの脱原発運動が大きな転機を迎えたのは1986年のチェルノブイリ原発事故でした。

2000キロ離れたドイツ、特にミュンヘンを含む南ドイツにも放射能は降り注ぎ、ドイツの市民は「庭で育てた野菜を食べられない」「子どもを外で遊ばせられない」ことを身をもって体験しました。市民による放射線測定所も各地に設けられました。ちょうどその年に南ドイツで建設中だったヴァッカースドルフ再処理工場の建設反対デモには約12万人が集い、ヴァイガーさんもその一人だったと言います。

2009年、社民党・緑の党連立政権から、自由保守主義政権(メルケル政権、CSU/SPD連立)に交代した後、2002年に決められた脱原発が覆され、原発の運転期間延長が決められましたが、これには多くの市民が反発し、2009年から2011年にかけて大規模な脱原発デモが各地で開催されました。ちょうどそのときに、福島第一原発事故が起こったのです。

20113月にも各地で大規模なデモが企画されていましたが、そこに「福島が警告する」というメッセージが加えられました。ご存じのとおり、メルケル首相はその後方針転換し、老朽原発8基を即時停止、「倫理委員会」を設置して議論したのち、2011年夏には改めて、2022年までの原発全廃を決めています。BUNDでは「即時原発廃止」を求めてその後も様々な発信や働きかけ、集会等の企画を行っています。

現在残る原発は7基ですが、これから順に閉鎖されていきます。

参考(FoE ドイツ資料)

●ドイツの核廃棄物最終処分場問題(フーベルト・ヴァイガー氏より)

参考(FoE Japan吉田資料)

もうひとつ、今まさに進行中の議論が「最終処分場の候補地選定」です。

ドイツでは脱原発を決めたのち、避けて通れない最終処分場問題に関する議論がスタートしました。2013年に「サイト選定法」が制定され、大まかなプロセスと市民参加の方法について大枠が示されました。その後20142016年には「最終処分場委員会」が設置されました。

最終処分場委員会には3つのワーキンググループがありました。

WG1:ダイアローグ・市民参加・透明性確保
WG2:サイト選定法の改訂に向けた評価
WG3:社会的技術的学術的評価指標づくり

中でも、最終処分場候補地としてすでに検討が進んでいた「ゴアレーベン」を完全に白紙撤回するかどうかが、BUNDを含む市民団体の間で大きな争点だったとのことです。(結果、白紙撤回はされず選択肢としてまだ残っています。)

 多くの反原発団体は、最終処分場委員会も含めプロセス全体を批判しています。BUNDの内部でも大きな議論がありましたが、結果、内部から圧力をかけることも必要であると、副代表のクラウス・ブルンスマイヤー氏が最終処分場委員会の委員として参加することを決めています。

20166月には、同委員会の「最終報告書」がまとめられていますが、BUNDはこの最終報告の採択には反対しました。その理由は、
・ゴアレーベンの白紙撤回がなされなかったこと
・どのような放射性廃棄物がこの最終処分場選定の対象になるのか明確にされなかったこと
・立地周辺地域の住民の参画が十分と言えなかったこと
などがありました。
(詳細はBUNDウェブサイト:https://www.bund.net/atomkraft/atommuell/kommission/

現在は、今後の科学的候補地探査、社会的候補地探査から処分場決定までのプロセスを独立して監視し、透明性・中立性・市民参加を促していくための機関として、2017年に「社会諮問委員会(Nationales Begleit Gremium)が発足しました。こちらにもブルンスマイヤー氏が引き続き参加し、圧力をかけながら監視していきたいとのことでした。

脱原発は必ずできる、引き続きぜひ日独で連携していきたいと、ヴァイガー氏は再度強調しました

(吉田 明子)

エネルギーシフト・気候変動政策と若者の動きについて、「報告その2」に続く

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イギリスへの原発輸出ー現地住民の声

イギリス・ウェールズ地方の北西部に位置するアングルシー島で、日立の完全子会社であるホライズンニュークリアパワーが新規原発建設計画を進めています。

この原発事業をめぐって、地元では、もともとの計画が浮上した80年代から、市民による原発反対運動が続いています。FoE Japanは2017年11月現地を訪問。事業の問題点を調査し、地元の声を聞きました。

アングルシー島は人口7万人ほどの小さな島で、18世紀には銅採掘が盛んでした。主な産業として、アルミ加工工場が操業していましたが、2009年に閉鎖し、現在は観光業や農業、そして地元の小さな企業が島の経済を支えています。

また、2015年までマグノックスの原発が稼働していましたが、2012年に2号基が、2015年に1号基が閉鎖。写真の中央に見える建屋が現在解体作業中のマグノックスの原発です。

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中央に見える灰色の建物がマグノックスの原発(ウィルヴァA)

ホライズンが計画しているウィルヴァニューイッド原発の建設は、80年代にウィルヴァB原発計画として浮上しました。しかし「新規原発はいらない」と声を上げた地元市民が現在も活動を続けています(注:ホライズンはもともとドイツの企業、EONとRWEのジョイントベンチャーであったが、2012年に日立に売却した)。

地元の脱原発団体「ウィルヴァBに反対する人々(People Against Wylfa B、PAWB)」の創立メンバーの一人であるディラン・モーガンさんは、ウェールズ語の書籍を扱う書店を経営する傍ら地元大学でウェールズ語を教えています。1988年にPAWBを設立し、以来ウィルヴァ原発反対活動を続けています。

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PAWBのメンバーらと

「88年に始めた活動は成功しました。中央政府は当時、ウィルヴァ原発の計画を凍結させたのです。しかし2006年、労働党のブレア政権で原発推進政策が復活し、それから10年以上に渡りウィルヴァ計画に再び反対の声を上げてきました。」

ディランさんが話すように、イギリスでは1950年代から継続して原発推進政策が進められ、アングルシー島での新規原発建設計画も80年代に持ち上がりました。しかし、90年代はじめに電力部門の民営化やエネルギー政策の見直しで、新規原発建設がストップされて以降、イギリス国内では1995年を最後に原発の新規建設はありませんでした。2006年、ブレア政権のもとエネルギー政策が見直され、原発推進の新たなエネルギー計画(エネルギー白書2007年、原子力白書2008年)が発表されます。

ディランさんは「原発は危険で、健康や環境を脅かすものだと思っています。また建設には莫大なコストがかかることから公的資金の投入なしにはプロジェクトは進まないでしょう。日本の公的資金が投入される可能性が報道されていますが、20世紀の時代遅れのテクノロジーに日本の公的資金を無駄遣いしてほしくないと思っています。」と話します。

ウェールズ訪問中、2度、住民の方と意見交換する場を設けてもらいました。集まったのは地元の脱原発団体(PAWB)のメンバーだけでなく、地元の緑の党のサポーター、FoEのローカルグループ、アングルシー島で働いている人々、また事業に関心はあるけど事業について特に立場が明確なわけではないという住民の方などです。

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アングルシー島に住むある夫婦の方は、「島の若い人は(仕事がないから島を)出て行く。若い人は雇用創出に期待している。個人的には賛成でも反対でもないけれど、福島の事故の話を聞いていると、心配」との意見でした。

地元のアングルシー議会は、原発計画に賛成しています。賛成の最も大きな理由が原発事業による雇用創出です。ホライズン社は建設時に多い時で9000千人の雇用、そして長期的には800名分の雇用を生み出すとしています。この「雇用創出」をめぐっては、様々な観点から懸念の声が上がっています。

アングルシー島に住むという高齢の女性の方は「建設現場では多くの低賃金外国人労働者が働いているのが実態。ウィルヴァ原発の建設にも外部から労働者がやってくるだろう。ただでさえ病院などのインフラが足りていないと感じるのに、九千人もの雇用を受け入れられるとは思わない。」と話します。

また「本土と島をつなぐ橋は2つしかなく、事故の時に避難ができるのか心配」とも指摘。

地元で行政職員をしていたグウィン・エドワーズさんは、PAWBのメンバーの一人。原発建設は長期的な雇用問題解決に貢献しないと警鐘を鳴らします。

「1960年代、最初のウィルヴァ原発建設のときにも雇用創出につながるといわれた。しかしアングルシー島はウェールズの中でも失業率の高い地域。原発に雇用を奪われた地元企業は倒産していき、地元企業が崩壊してしまった」

PAWBメンバーで医者のカールさんも原発産業が雇用を生み出すという論理について、否定しています。来日経験もあり南相馬も訪問したことがあるというカールさんは「日本でもイギリスでも共通に感じたのは、貧しい地域に原発を押し付け、結局なにも起こらなかった(=雇用問題は解決しなかった)ということ。雇用を生み出すというが、原発政策と地元での雇用創出はそもそも関係ない。」

PAWBのメンバーは、原発が雇用をうむという言説に対抗するために、地元経済や雇用に関する代替策の提言も行っています。

他にも、アングルシー島の美しい自然への影響や、長年続く農業への影響も挙げられました。アングルシー島の沿岸部は、ヘリテージコーストと呼ばれ、自然保護区域になっています。

PAWBの創設者の一人でもあるロバート・エリスさんは、地元の元獣医師です。「美しい海岸線をこれ以上壊されたくない」と話します。

新たな原発の建設にはさらに広大な用地を必要とします。用地取得は完了していますが、2011年には300年続いた農業を守る為、農家の方が土地を売るのを拒否し、地元の人々や環境団体もサポートしました

【農地売却に抵抗した農家のインタビュー(ウェールズ語のみ)】

抗議の結果、2012年、ホライズンは土地を買収するのを諦め、運動に勝利した農家により今でも農業が続けられているそうです。

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ロバートさん(中央)と土地買収に抵抗した農家の夫婦(写真:ロバート・エリスさん提供)

ホライズンは、機材納入や運搬のために新たに桟橋を設け、また建設作業者のために新たに合計4000人を収容できる住居施設を建設するとしています。また、新たな送電線の建設、アクセスロードの建設も今後行われる予定で、送電線の建設に反対する市民グループもあります(注:送電線を建設するのは、送電部門を管轄するNational Grid)。

アングルシー島出身で、長年平和活動を続けているシオネッドさんは、核兵器開発の観点から原発に反対しています。

「広島、長崎の悲劇をしり、原子力兵器のために開発されたこの技術に反対することを決めました。また、放射性廃棄物の問題も解決していません。将来世代にこのような遺産をのこすべきではありません。」

続く…

プロジェクト概要

ウィルファB原子力発電プロジェクト(ウィルヴァニューイッド原発、Wylfa Newydd)は、イギリス・ウェールズ地方北部、アングルシー島で二基のABWR(改良型沸騰水型軽水炉)を建設するもの。発電設備容量は合計で2,700MW。ホライズンニュークリアパワー(日立の子会社)が事業主体。

事業名:ウィルヴァニューイッド
事業内容:二基のABWR(改良型沸騰水型軽水炉)の建設(発電設備容量合計2,700MW)
事業主体:ホライズンニュークリアパワー(日立が100%株式所有)
総事業費:不明(約1.5兆〜3兆円と報道あり)
建設開始予定:2019年
運転開始予定:2025年

原発を退けた人々の力(2)韓国慶尚北道ヨンドク郡~地域民主主義そのものを問いかけ、やりとげた


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韓国の東海岸に位置する盈徳(ヨンドク)郡(慶尚北道)。人口4万5,000人ほど。美しい海とズワイガニの産地として知られ、カニが郡のシンボルマークとしてあちらこちらに目につく。

ここでは、3回にわたり放射性廃棄物の処分場の候補地となり、さらに原発建設の計画がもちあがった。ふるさとを守るために歯を食いしばって前に進み、地域の分断を乗り切り、「地域の運命は、住民自らが決める」ことを重視し、最後には住民投票で原発反対の住民の意思を示すことに成功した人々のたたかいについて話をきいた。以下、聴き取りの内容をまとめた。

処分場反対で、つまはじきに

「最初の2回の処分場建設計画のときには、地域全体がまとまって反対しました。しかし、2005年の3回目の処分場計画の時は、そうではありませんでした」と、元ヨンドク核発電所誘致住民投票推進委員会のキム・オクナムさん。行政が「ヨンドクの発展のきっかけのため」と誘致に積極的になり、反対運動は行政と対立したのだ。「地域の発展を邪魔するのか」と白い目でみられた。反対をした人たちは地域の親睦団体からもつまはじきにされ、仕事もこなくなり、生活すら厳しくなった。精神的にもぼろぼろになってしまった。組織も崩れ去ってしまった。
このときは、キョンジュ、ポハン、ヨンドク、グンサンの4つの候補地で住民投票を行い、最終的には最も誘致賛成が多かったキョンジュに決まった。反対派が勝ったともいえる。しかし、それはあまりに苦いものだった。

今度は原発建設構想がやってきた

写真 2017-11-25 16 21 48そして、2011年、今度は原発建設の構想が持ち上がった。この計画は、予定地の敷地の399人の同意だけで決めてしまったため、「郡民全体の意見をきくべきではないか?」と郡議会に陳情を行った。これには保守派・原発推進派が圧倒的多数を占める議会も、「民主主義の手続きが足りなかった」ということで、特別委員会を設置し、全体の意見を調べる必要があるということになった。地域全体でも8割が朴槿恵(パク・クネ)大統領支持ということで、住民投票にかけたとしても賛成派がかつのではないかと思われた。
キム・オクナムさんたちには迷いがあった。前回の処分場誘致のとき反対した人たちは、生活が崩壊し、組織も崩壊し、深い傷を負っていた。果たして住民投票をする実務、力量があるのか。資金があるのか。
それでも、結論としては、外からの力を借りながら、なんとかやりとげるしかないということになった。全国の脱原発運動に取り組む団体の力をかりることになった。

地域民主主義そのものを問いかける

しかし、いざ、住民投票をやるとなると、国も道も郡も、この住民投票は「違法」だと言い出した。「原発建設は国家事務であり、住民投票の対象ではない」というのだ。住民が自ら、自分たちの意思を示すことを、政府は恐れたのだろう。

住民投票の実施は、「中央が決めることに地域は従うのか? 地域の重要なことは地域住民自身が参加して決めるべきではないか?」という地域の民主主義そのものの問いかけとなっていった。キムさんたちは、「地域の重要なことを地域の住民自身が決めていく。そのための意見表明の場である」ことを強調し、賛成・反対の違いによって後で感情的な対立を生むことがないよう、投票のプロセスが公平であるよう、細心の注意を払った。これは切実な問題だった。
政府や韓水原の宣伝はものすごかったという。「ヨンドク史上、ここまで全国に報道されたことは初めてでした」とキムさん。地域全体が、原発賛否をめぐる、双方のプラカードで埋め尽くされた。韓水原などは投票不参加の勧誘に取り組んだ。

1万人が原発誘致に反対票を投じた

選挙人名簿もなく、資金もなく、媒体もなく、反対運動はボロボロだったし、さまざまな葛藤があったが、キムさんたちは、やりとげた。とにかく住民たちは自分たちの意思をあらわしたかったのだ。
2015年11月13日住民投票の結果が出た。1万1201人が投票。うち原発誘致反対が91.7%。誘致賛成は7.7%。
政府側は投票率は32.5%とした。今回の住民投票は、住民投票法に基づくものではなかったが、住民投票法上、有権者数の3分の1以上が投票しなければ、無効となり、開票もされないため、投票率が3分の1を超えるかどうかが注目された。選挙管理委員会の協力が得られなかったキムさんたちには選挙人名簿がなかったため、有権者数の正確な数はだれもわからなかったが、前回の住民投票の有権者から不在者を除いた数を母数とすると、投票率は33%をはるかに超えるとした。

とにかく彼らはやりとげた

住民が自らの地域の運命を自分たちで決める。私たちがやった住民投票の本質はそこだ。もう一度、同じことをしろと言われてもできないだろう」とキム・オクナムさんは言う。

「私は、自分のふるさとが100年後も続くことを願っている。ムン・ジェイン政権になって、脱原発方針に舵を切ったことは歓迎したい。地方自治のあり方もよい方向に変わるだろう。私たちの住民投票が、ムン・ジェインを生み出した民主主義の力に貢献したと思っている。もう一度、同じような住民投票がすぐに必要になるとは思わないが、そのときは、その時代の人たちががんばることになるだろう」
「一方で、原発に反対するのならば、それでは地域のどういう未来を描くのか、それを具体的に示していかなければならないだろう。それがまだできていないことには忸怩たるものを感じている」

牧師さんで、先立つ処分場計画には賛成だったペク・ウンヘさん。福島原発事故を契機に考え方を変え、住民投票推進委員会の共同委員長となった。

福島原発事故は、原発の危険性、核の恐ろしさを考えさせるきっかけとなった。私は考えを変えた。反対運動をすることは、国家と対決することでもあり、自分の人生を厳しいところにおく選択になる。キムさんとは友達だが考え方は違う。しかし大同小異で、大きい目的を達成するために、手を携えていくことは重要だった」。

この住民投票では、本当にいろいろな葛藤もあった。この保守の地域で、政府に反旗を翻すことは人生をかけることでもあった。

しかし、分断を乗り越え、前をむき、希望と民主主義の力を信じて、彼らはやりとげたのだった。その勇気と意思の力に、心から敬意を表したい。(満田夏花)

《関連記事》原発を退けた人々の力 :韓国江原道・三陟(サムチョク)~「普通の女性たち」が立ち上がったわけとは
韓国ムン・ジェイン大統領のもとでの脱原発の道のり~新古里5・6号機の公論化プロセスで問われたものは?~

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▲ヨンドクの市場

原発を退けた人々の力(1):韓国江原道・三陟(サムチョク)~「普通の女性たち」が立ち上がったわけとは

IMG_0908三陟(サムチョク)市は韓国江原道南部に位置する。人口は約7万人。美しい海水浴場と石灰岩の洞窟が有名な観光地でもある。

サムチョク市では、前市長が強引にすすめようとした原発誘致に、市民が粘り強い反対運動を展開した。ついには反原発で住民投票を公約にかかげた新しい市長を当選させるに至ったが、この市長が住民投票をやろうとしたが中央の意を受けた選挙管理委員会にはばまれた。それならばと市民が主導して住民投票を実施し、ついには誘致反対を勝ち取った。11月24日、サムチョク市を訪問。この驚異の運動を成功させたコアメンバーの人たちに話をきくことができた。(写真:サムチョク核発電所反対闘争委員会およびサムチョク女子高同窓会のメンバーからの聴き取り風景)

サムチョク市は30年間で核に関するたたかいが3回あったという。
1992年から99年にかけての原発誘致に対する反対運動、2003年から2005年にかけての核廃棄物処分場への反対運動、そして2010年からはじまった再度の原発誘致への反対運動。
「私たちは最初の2回のたたかいに勝利しました」とサムチョク核発電所反対闘争委員会のメンバーで市議でもあるイ・グァンウさんは胸をはる。「そして3回目についても、苦しい局面を乗り越えながらほとんど勝利しました。来月発表される第8次電力基本計画では、サムチョクは原発候補地からはずれるでしょう。それが最終的な勝利です」。

以下3度目の原発誘致への反対運動の概要を、イ・グァンウさんからの聴き取りおよび各種資料をもとにまとめる。

強引に原発誘致を進めた前市長

サムチョク市では、李明博(イ・ミョンバク)政権によるバックアップのもと、2010年からキム・デス前市長が強引に原発誘致を進めようとした。市議会とは「住民投票にかける」という約束をしたが、これは無視。

誘致賛成派は「空がみえないほど」のプラカードを設置し、誘致賛成の署名を集め、2011年3月9日に発表。なんと市の96.6%もの人たちが誘致に賛成しているとしたが、これは信ぴょう性に乏しいものであったという。そしてその2日後に福島第一原発事故が起こった。

サムチョク市の市民やカトリック関係者、教職員組合などが中心となり、「サムチョク核発電所反対闘争委員会」が結成された。キャンドル集会など、さまざまなアクションを展開。一貫して建設に反対。市長に対して、原発の是非を問う住民投票を要求し続けた。原発建設予定地となったサムチョク市クンドク面の住民たちも立ち上がり、「クンドク核発電反対闘争委員会」を組織。2012年1月には、地元の名門校のサムチョク女子高の同窓会も、原発建設反対を決議。運動に合流した。

市長リコール運動に失敗。が、2年後の市長選で圧勝

彼らは一度は韓水原による住民説明会の阻止に成功。さらに市長が住民投票要求を無視し続けると、2012年6月から市長のリコール運動に取り組むこととした。1,500人ものボランティアが参加し、リコールの住民投票に必要な署名は1か月という短期間で集めることができた。この勢いに乗って、勝つと思いきや、10月31日の投票日当日、自治体の末端職員やチンピラたちが投票所の前で投票にきた市民を威嚇。所定の投票率である34%を達成することができず、開票に至らなかった。こうして市長のリコールは失敗した。

しかし、これにもめげずに、彼らは2年後の市長選挙にかけた。水曜日にはミサ、キャンドル集会を継続。一人デモやスタンディング、人々に伝える運動に取り組んだ。そして2014年、「原発の賛否を問う住民投票の実施」を公約をかかげたキム・ヤンホ市長が圧勝。

原発は国家が決めるものなのか?

キム市長は公約通り、議会に住民投票を提案。8月末に住民投票議案が通過した。ところが、中央の意をうけた選挙管理委員会が「原発は国家事務だから、住民投票の対象ではない」と拒否。

ならば、住民がやるしかないと、住民投票管理委員会が組織された。2014年10月9日、有権者の68%が投票し、うち85%もの人たちが原発誘致に反対の意思表示を行った。

一方、市長は、住民投票を行おうとしたことが職権濫用にあたるとして起訴された。しかし、のちに無罪とされる。「投票による意見集約は住民意思の確認手段」とされたのだ。

普通の女性たちが立ち上がったわけ
「地域の未来の問題だと思っていましたが、国家とのたたかいでもありました」

この驚異的な運動の中で、何度も何度もつらい局面があった。リーダーたちの中にはいやがらせや脅迫によって、病気になってしまった人もいたという。

「涙がでるほどうれしかっこと」の一つが、地元の名門校のサムチョク女子高同窓会が、「原発反対に力を注ぎます」と決定し、いままで運動に縁のなかったきわめて普通の女性たちが運動に合流した。のちに「核アングリー・マム」と呼ばれ、脱原発派のキム・ヤンホ市長の誕生にも大きな力となる。

当時、この決定を行ったのが同窓会の第10期会長キム・スクチャさん。

「高校の同窓会で、よく原発反対という政治的な問題に踏み込めましたね」ときいてみた。

「私は、これを政治的な問題とは思わなかったんです。私たち自身の問題、地域の問題だと。じっとしていたら原発が入ってきてしまう。となりのウルチンでは原発が導入されても、地域はさびれるし、農産物も売れなくなった。地域の豊かな富がなくなってしまった。おまけに放射能の問題もある。地域のため、子どもたちのために、反対を決めました」とスクチャさん。

「ところが、反対運動をやってから知りました。これは国家との闘いなのだと」。

「“笑いながらやっていこう。しぶといやつが最後に勝つんだ”。つらくなるたびに、私たちはこのように励ましあいました」と、サムチョク核発電所反対闘争委員会の共同代表のキム・オクリンさん。「そしてこの言葉は本当のことでした」

「核アングリー・マム」たちは、笑顔が素敵な、世話好きのおばさまがただった。

(満田夏花)

関連記事:原発を退けた人々の力(2)韓国慶尚北道ヨンドク郡~地域民主主義そのものを問いかけ、やりとげた

韓国ムン・ジェイン大統領のもとでの脱原発の道のり~新古里5・6号機の公論化プロセスで問われたものは?~

👉 報告会「脱原発する国、原発にしがみつく国~韓国、イギリス現地調査報告会(1月9日@表参道)」

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▲サムチョク女性髙の同窓会のみなさまとともに

「原発反対決起大会24周年」と書かれたバナー

▲原発予定地となっていたサムチョク市のクンドク面河川敷にかかげられた原発反対のバナー

サムチョク市クンドク面「原発白紙記念碑」の前で

▲原発白紙記念碑の前で、クンドク原発反対闘争委員会のジュ・ヘスクさんとともに。記念碑自体は、第一回目の原発誘致を退けたときのもの。ジュ・ヘスクさんは、クンドクの美しい自然を愛し、一貫して原発に反対してきた。

 

 

 

 

韓国ムン・ジェイン大統領のもとでの脱原発の道のり~新古里5・6号機の公論化プロセスで問われたものは?~

IMG_0857韓国環境運動連合(KFEM、FoE韓国)の事務所を訪問。ムン・ジェイン大統領のもとでの脱原発政策、特に新古里5・6号機の公論化プロセスについてお話しをうかがった。KFEMは公害被害者救済運動からはじまった韓国を代表する環境団体であり、各地に52か所の地域事務所をもつ。お話ししてくれたのは、メディアに脱原発の論客としてよく登場するというヤンイ・ウォニョンさん(エネルギー部門長)とアン・ジェフンさん(脱原発チーム長)。国際担当のキム・ヘリンさんも同席し、脱原発や反戦をテーマに活動されているキン・ポンニョさんが通訳をしてくださった。(写真上:KFEMの事務所の入っている建物の外観。)

ムン・ジェイン大統領の脱原発公約の内容

韓国には稼働中の原発が24基、建設中のものが4基、計画中のものが6基あり、全発電量の30%を原発が占める。こんな原発大国韓国において、ムン・ジェイン大統領は選挙公約として、脱原発を進めるため、①建設中の原発の建設中断、②計画中の原発の白紙撤回、③設計寿命の延長はしない、④脱原発ロードマップを作成する--などの公約を掲げた。これに従えば、現在建設中の新古里5・6号機は建設中断となるはずであった。

国民の圧倒的な支持で当選したムン・ジェイン大統領は、2017年6月19日、寿命を迎えた古里1号機の停止式典で、脱原発宣言を行ったが、建設中の新古里5・6号機については、「公論化プロセスにより、結論を出す」と公約よりも後退したものであった。

建設30%の新古里5・6号機が公論化プロセスへ

新古里5・6号機は、すでに建設が30%進んでおり、建設を中止するにはもっとも議論をよぶものであった。事実、地元の住民も、建設作業で雇用されていたり、補償金が支払われたりしており、今から中止することに関して抵抗が強かった。地元の造船所も不況であったため、建設中断は、雇用の問題と絡め認識されてしまったという。

IMG_0862「ムン・ジェイン大統領が、住民への補償問題を先に解決してから、公論化プロセスに進んでいたら、話は違っていたかもしれません」とアン・ジェフンさん。

公論化プロセスが発表されたとき、脱原発運動をしている人たちの中でも意見が分かれた。「建設中の原発の建設中断という約束を守るべき」という意見もあったが、「市民たちが参加するプロセスを否定することは難しい」とほとんどの団体は公論化プロセスを尊重するという態度をとった。高い支持率をほこるムン・ジェイン大統領に反対することは分裂を生む、という考えもあった。

建設再開が過半数、しかし原発縮小も過半数

公論化プロセスは、今年7月から3カ月行われた。日本でも2012月夏にエネルギーをめぐる「国民的議論」で行われた討論型世論調査と類似の形式をとった。公論化委員会が形成され、建設の賛否の双方の意見を資料集に記述。2万人の一次世論調査が行われ、回答者の中から、地域・性別・年齢などを考慮されて471人の市民参加団が選出された。(しかし、あとからの発表では、建設賛成派の方が多かったという。)この人たちが、事前学習を行い、総合討論会に参加し、最終アンケート調査に回答した。

結果は、建設中止が40.5%、建設再開が59.5%。(女性では建設中止が52.7%、再開が47.3%、男性では中止が33.7%、再開が66.3%)。

一方、原発を縮小すべきという意見は53.2%を占め、拡大すべき9.7%、維持すべき35.5%を大きく上回った。

建設が再開されることにより、古里5・6号機が運転を開始し廃炉になるまで、最長で2080年代までかかることになるという。

合意された「原発をやめていく」というという方向性

「あまりに長すぎます」とアン・ジェフンさん。

「これで脱原発と言えるのか…。公論化プロセスでは、原発の安全性や事故が起こった時の住民被害よりも、仕事がなくなる、とか、電力需給の問題に焦点があたってしまいました。住民にとっては直接的な雇用の問題と原発建設の問題を切り離すことができなかったのは残念です」

「原発に利害をもつ勢力の力がつよく、マスコミへの影響も強かったのが現実でした」とKFEMのエネルギー部門長のヤンイ・ウォニョンさん。

「原発をやめていくという方向性については多くの人たちが合意したものの、急激な変化については不安があったのでしょう。エネルギー供給を現在数パーセントにすぎない再生可能エネルギーで代替していくことも“現実的でない”と思われてしまった感があります。」

30km圏内に380万人~安全性は論点にならなかったのか?

実は、韓国の原発は人口密集地の近くに立地する。原発30km内の人口は世界1位。なかでも古里原発は30km圏内の人口が380万人にのぼる。釜山、ウルサン、キョンジュなど原発が集中する東南地域には、およそ60の活断層があるという指摘もある。こうした危険性は、公論化プロセスに影響を与えなかったのだろうか?

「もちろん、大きな論点でした。しかし、北朝鮮の核ミサイルや戦争の脅威に比べると、小さく感じられてしまったのかもしれません。原発事故が現実に起こるという実感が薄いのかもしれません」とヤンイ・ウォニョンさん。

「地震が起こるたびに、世論はダイナミックに変化します。キョンジュでの地震のあとには、原発反対が70~80%にまで跳ね上がりました。今は建設再開が強い状況です。

私たちとしては、これからは、原発の危険性に関する問題を提起するだけでなく、原発をやめても十分に電力はまかなえること、そうした代替案への希望を提起していくことが必要とされています」

一方で、ムン・ジェイン大統領は、「原発輸出については継続する」とも発言している。韓国の原発企業は、UAEでの原発事業の受注に加え、英国やサウジアラビアなどへの原発輸出を模索している。「当然反対です。国内での脱原発を目指すのに、原発輸出を継続するのは矛盾しています」とヤンイ・ウォニョンさん。東芝の失敗は、原発ビジネスのリスクを認識させなかったのか?という筆者の問いに対して、アン・ジェフンさんは、「むしろ、東芝が競争力を失ったことで、自分たちが競争力をもつ、と言っている」と苦笑した。

脱原発をいかに進めるか、廃炉をいかに早めるか、再生可能エネルギーをどのように促進していくか、日本の原子力規制委員会にあたる原子力安全委員会をどのように機能させるか、原発輸出に関する議論をどう進めるのか…。悩みはつきないが、それでも脱原発に舵をきったムン・ジェイン大統領の政策を、しっかりと支え、公約を守らせ、後戻りさせないという決意が感じられるお話しだった。

(満田夏花)

原発を退けた人々の力(2)韓国慶尚北道ヨンドク郡~地域民主主義そのものを問いかけ、やりとげた

原発を退けた人々の力(1):韓国江原道・三陟(サムチョク)~「普通の女性たち」が立ち上がったわけとは

  • ヤンイ・ウォニョンさん(KFEMエネルギー部門長)

IMG_0890新古里原発5・6号機の公論化の議論を通じて、原発を減らすべきだというのが大多数の総意であることは確認できた。

しかし、建設中である原発を続けようというのは、現実的な電力供給に関して懸念があったせいだと思う。私たちは原発の危険性に関して提起を行うのみならず、原発を減らしても十分に電力の需給バランスをとることが可能だという希望と対案を積極的に提起していくことが大事だと考えている。

  • アン・ジェフンさん(KFEM 脱原発チーム長)

Image-1ムンジェイン政府が脱原発政策を推進してエネルギー転換のきっかけをつくったことは画期的だ。

しかし、脱原発が実現するのは(このままでは)あまりにも遠い先であるので、心配であることも事実だ。

脱原発へ向かうスピードを速めて、24基の原発をどれほど早く閉鎖できるかが、われわれに問われている。たとえば、再生可能エネルギーを増やしたり、エネルギー効率を高めたり、省エネを実現したりして、脱原発を早期に実現できることを示していく必要がある。

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山形県雇用促進住宅の8人の自主避難者が訴えられる!

山形県の雇用促進住宅の運営法人である高齢・障害・求職者雇用支援機構が、住宅の無償提供が終了した4月以降も住み続けている8人の区域外避難者(自主避難者)に対して、退去と家賃の支払いを求める訴えを起こしました(注1)。

「家賃を払わないのなら、退去するのが当たり前」--。そう思う人もいるかもしれません。しかし、ちょっと待ってください。8人の方々が、なぜ退去を拒まれているのか、その背景を知っていただきたいのです。

この背景には、原発事故による自主避難者が正当に扱われてこなかったこと、「子ども・被災者支援法」が制定されたのにもかかわらず、十分実施されてこなかったこと、結果として避難者の声が政策に反映されることなく、一方的に住宅提供が打ち切られ、避難者の窮乏を招いたことなどがあるのです。☞ 表 原発事故による区域外避難者をめぐる経緯

国と福島県は、今年3月に災害救助法に基づく住宅提供を終了。12,239世帯への住宅提供を打ち切りました(福島県資料による)。
代替として、福島県による家賃補助がはじまり、自治体によっては公営住宅への専用枠などを設定したところもありましたが、十分なものではなかった上に、対象が限定的で、多くの人たちがこうした支援からすらこぼれ落ちてしまいました。

多くの避難者は避難継続を選択し、多くの人たちが引っ越しを迫られました。
中には生活が立ちいかず、家賃負担が重くのしかかり、困窮してしまった避難者もいます。FoE Japanが事務局を務める「避難の協同センター」のもとには、いまもたくさんの方々から、多くの痛切なSOSがよせられています。

「原発事故子ども・被災者支援法」は2012年に制定されました。避難した人もとどまった人も帰還する人も、自らの意思で選択できるように、国が住宅の確保や生活再建も含めて、支援を行うように定めた法律です。被災者の意見を政策に取り入れることも定めています。

国と福島県が、この法律を適切に運用し、避難者や支援者の声に耳を傾け、避難者の生活再建のための具体的な施策を打ち出し、住宅提供を延長していれば、現在のような事態を回避できたはずです。

しかし、残念ながら、国は、帰還促進、復興の名のもとに、次々と避難指示を解除し、避難者への支援を打ち切りました。

福島県の発表によれば、県内外の避難者数は54,579人(今年9月時点)。しかし、引っ越しを機に自治体が把握をしなくなるケースも多く、この数に含まれていない人たちもたくさんいるとみられ、避難者の数すら把握できていない状況です。ましてや、避難者がおかれている状況については、定量的な把握ができていませんが、母子避難や高齢者の一人暮らし、生活困窮者などが少なからずいる模様です。

たとえば10月11日に公表された東京都のアンケート調査では、月収10万円未満の人が回答者の2割を占める、誰にも相談できない人が15%以上いるなど、深刻な状況をうかがわせます。

今年4月4日、「避難は自己責任」という趣旨の発言で問題となった、今村復興大臣(当時)は、4月14日の東日本大震災復興特別委員会において、山本太郎議員の質問に答え、「意に反する追い出しはさせない」と答弁しています。しかし、そうであるのであれば、国として避難者の現状把握と、追い出しを防ぐための具体的な措置を講ずるべきだったのではないでしょうか?

8人(世帯)の方々は、原発事故さえなければ、ふるさとを後にすることはありませんでした。ある方は「数万円の家賃負担が発生すれば、母子避難者の生活は成り立たない。経済的窮状は深刻だ」としています(注2)。この方々は、引っ越しをせざるをえなかった人々の分も含めて、理不尽な政策への抗議と自分たちの権利を主張し、避難者の置かれている深刻な現状を訴えるために退去をしなかったのではないでしょうか。なお、この8世帯には母子避難をしている方々も含まれています。(注3)。

私たちは、避難者のみなさまとともに、何度も、国や福島県に対して、「子ども・被災者支援法」に基づく抜本的な住宅保障や生活再建策を講じること、それまでは避難者に対する住宅提供を打ち切らないように求めてきました。また、住宅提供が打ち切られた後も、避難者の現状把握と対策を求めてきました。しかし、残念ながら、これらは実現されるには至りませんでした。

国は、原発事故子ども・被災者支援法に基づき、原発事故避難者の「住まい」「暮らし」を保障すること、またそのための現状把握と抜本的な法制度の整備を急ぐべきです。(満田夏花)

注1)自主避難8人の退去求める=住宅の運営法人が提訴-山形(時事通信 2017年10月25日)

注2)避難者住宅、退去拒否 山形の8世帯(毎日新聞)2017年6月3日

注3)同上

原発事故避難者の強制立ち退きに反対する署名サイトが立ち上がりました!

強制立ち退き反対バナー2


<原発事故による区域外避難者をめぐる経緯>
住宅打ち切り_主な出来事

▼原発事故避難者への住宅提供の延長を求める避難当事者と支援者たち(2015年6月)

150610


福島県からの避難者に対するアンケート調査の結果について(東京都)

以下、概要版より。

東京都アンケート1

東京都アンケート2

東京都アンケート3

北杜市・ソーラー乱開発で、こわされる自然と暮らし ~「これでも、環境にやさしい?」憤る住民

北杜市ソーラー(増冨)山梨県北杜市で太陽光発電事業の乱開発が問題になっている。中には、山林を伐採した急斜面にソーラーパネルを設置するケースや、水源地の元牧草地を開発するケース、住民の何の説明もなく、周りの森林が切られてパネルが設置するようなケースもある。
「豊かな自然を子孫に残したいと思っています。それなのに山を崩し、水を汚して、ソーラーパネルだらけにして、“環境にやさしい”なんて言えますか」と住民たちは憤る。

FoE Japanは、2017年9月13日、北杜市のいくつかの太陽光発電事業の事業地を訪問し、住民のみなさんと意見交換を行った。以下にその概要をまとめた。

山腹が一面ソーラーに?

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写真左:県下最大のソーラー事業が計画されている大平牧場跡地(写真提供/ころぼっくる会議)

県下最大の太陽光発電事業が計画されているのが増冨地区の大平牧場は、山梨県の百名山の横尾山の山腹に位置する。広い地域の水がめとなっているみずがき湖(塩川ダム)の集水域でもある。1969年に開墾され、牛や馬の牧草地として使われていた。周辺は保安林にもなっていて、山菜とりでも親しまれてきた。この牧草跡地で計画されている事業は、29ヘクタール、太陽光パネル6万枚、14.7MWという大規模なものだ。景観・生態系、水源・水質への影響などが懸念されている。

また、増冨地区の別の事業では、道に面した山腹の裸地にソーラーパネルを設置している。周辺には山林も隣接するが、そこも伐採してソーラーパネルを設置する計画となっている。

「太陽光発電事業とは知らずに売った」と元地権者。地元の不動産業者から土地の売却を持ち掛けられたという。山を持っていても高齢化で山林の管理ができずに持て余し、不動産業者からの話にとびつく人もいる。

「道をはさんで下には別荘もある。山林の伐採による土砂崩れが心配。地区全体の問題として話あう必要がある」と住民は語る。

「眺望権」「平穏生活権」求め、提訴

写真下:人家に迫る太陽光パネルと反対の看板 (写真提供:ころぼっくる会議)

コロボックル_ソーラーに反対看板小淵沢町に住むWさんは、南アルプスと八ヶ岳の素晴らしい眺望と緑豊かな土地が気に入り、10年前に移住した。しかし、一昨年、隣地での太陽光発電の事業が持ち上がった。庭の境界のぎりぎりまで高さ2.8mにも達するソーラーパネルが並べられ、楽しみにしていた眺望も遮られた上、通風や日照の阻害、パネルによる熱輻射などの被害を受けているという。Wさんは、眺望権と財産権、平穏生活権が侵害されたとして、昨年1月、事業者を訴えた。

乱開発規制できるか?「条例案」は審議未了

北杜市ソーラー(道端) 山梨県北杜市は八ヶ岳と南アルプス、瑞牆山や金峰山などの秩父山地に囲まれた風光明媚な土地。76%が森林だ。豊かな自然にあこがれた移住者も多い。国内有数の日照時間の長さもあり、太陽光発電事業が乱立するようになった。

現在稼働中の太陽光事業が1,468件、認定済みで今後稼働が予定されている事業が3,529件ある。ソーラーの乱開発に憤る市民たちが議員を動かし、今年6月、議員有志が「太陽光発電設備に関する条例案」を発議。しかし、審議未了になった。市も放置できず、事業者、市民も参加した検討会を立ち上げようとしている。

「これは原発と同じ」

「このままでは、豊かな自然が破壊され、北杜市はソーラーパネルの海になってしまう」

北杜市ソーラー(意見交換)と懸念する住民は多い。

「都市の電気を賄うために、立場が弱い地方でソーラー事業をやる。これは原発と同じ」と指摘する声もある。

「森を切っていたり、整地していたりするのを見るたびに、ああ、またソーラーかと胸が痛くなる。北杜市では市に届けられた事業で、すでに100万枚以上のパネルがあるとの試算がある。事業が終わったらあとのパネルの処理はどうするのかも解決していない。これでは環境にやさしい、とはとても言えない」と地元住民団体「北杜市の自然を未来(あした)につなぐ~ころぼっくる会議」のメンバーは憤る。「太陽光は決して原発の代替にはならない」。

3・11後、FoE Japanは、他の環境団体とともに、脱原発およびエネルギーの需要削減や再生可能エネルギーへのシフトを提唱してきた。しかし、「再生可能エネルギー」であっても、このような自然や住民の暮らしを破壊するような事業は容認できないだろう。

現在のところ、安易な答えは存在しない。乱開発の規制とともに、現に被害を受けている人たちの声に耳を傾け、状況を知り、住民や事業者も交えた場で議論を行うことが必要とされている。

(満田夏花)

※本視察には、「北杜市の自然を未来(あした)につなぐ~ころぼっくる会議」のみなさんにお世話になりました。厚く御礼申し上げます。

NEXIが日立・英国原発を全額補償!?~貸し倒れリスクを国が肩代わり

9月2日付の日経新聞(注1)で、日立製作所が英国英中部ウィルファに建設を予定している原子力発電所(注2)の建設資金への融資を、国が日本貿易保険(NEXI)を通じて全額補償する方針である旨が報じられました。
地図_イギリスにおける既存および計画中の原発
これにより三菱東京UFJ銀行やみずほ銀行の融資の貸し倒れリスクを、全て国が引き受けることになります。

また、日本政策投資銀行や国際協力銀行(JBIC)が投融資を行う見込みと報じられています。NEXIも、日本政策銀行も、JBICも、政府100%出資の政府系金融機関。
これが事実だとすると大問題です。

1.判断をゆがめる

記事では、「三菱東京UFJ銀行やみずほ銀行も貸し倒れリスクが大きいと判断しNEXIの全額補償を条件にしていた」とされています。

福島第一原発事故の膨れ上がる事故処理費用や被害者への賠償は、東電が払いきれず公的資金を注入している状況で、さらに託送料金を通じて、将来世代も原発事故被害者も、原発からの電気を使わないことにした消費者も含めて、広く徴収される仕組みがつくられようとしています。東芝も原発ビジネスにのめりこんだがゆえに解体し、優良分野であった半導体を切り売りせざるをえない状況に追い込まれました。

原子力事業が経済的にきわめてリスクが高いことはもはや誰の目からも明らかです。
「貸し倒れリスクが大きい」というメガバンクの判断はもっともなのです。
であるのであれば、貸さないという判断となるはずでしょう。

しかし、ここで国の機関であるNEXIが全額補償することにより、たとえ事故や建設費用の高騰や、反対運動などで事業が破たんしても、三菱東京UFJやみずほはそのリスクを負わず、全額公的資金によってカバーされるということになります。通常であれば融資判断がなされず、淘汰されていくはずのリスクの高い事業を、公的支援によって無理やり支える、いわば公的介入によって金融市場の判断をゆがめるものと言ってよいでしょう。

2.公的資金を使う正当性なし

実際には、日本企業が関与する海外インフラ事業などについては、現在までも「日本の国益」にかなうという理由で、JBIC/NEXIによる公的資金を使った投融資や保険の付与、保証が行われてきました。これらの中には、環境破壊や人権侵害を伴うものもあり、私たちは個別具体的に警鐘を鳴らしてきました。

しかし、今回の日立の英国原発への「全額補償」が事実とすれば、いままでにも増して、桁外れの問題を含んでいます。

イギリスにおける原発建設は、本当に「日本の国益」にかなうのでしょうか?

イギリスに原発を建設することに、あるいは事業が破たんしたときのカバーに、日本の公的資金が使われることに関して、国民は納得しているのでしょうか?

日立製作所など限られた企業を、公的資金で支える正当性はあるのでしょう?

いずれも答えは「ノー」でしょう。

3.JBIC/NEXIの審査を蔑ろに

JBIC/NEXIは、その融資・付保に関して、公的金融機関として独自の審査を行います。審査の内容は、財務リスクを含めた事業全体のリスク、環境・社会配慮なども含みます。

さらに、現在、JBIC,NEXIは、原発輸出関連事業に対する支援を行う際の「情報公開指針」を策定中です。私たちNGOは、両機関に対して、そもそも、原発事業を支援すべきではないこと、指針をつくるのであれば、情報公開のみならず実質的に事業の安全性を確認する内容を明記すべきであること、情報公開は原発事業に関して具体的で詳細な情報を含めることなど、さまざまな提言を行ってきているところです(注3)。

国が先走って、JBIC、NEXIなどによる支援を約束することは、こうした機関が行う審査を蔑ろにすることになります。


注1)政府、原発融資を全額補償~まず英の2基 貿易保険で邦銀に(2017/9/2付日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGKKASFS01H5T_R00C17A9MM8000/


注2)イギリス・ウェールズの沿岸地域のウィルファに日立の子会社であるホライズンニュークリアパワーが建設する。プロジェクト総額は2兆7千億円。
本事業の概要は、FoE Japan作成の「ファクトシート:イギリス・ウィルファにおける新規原発計画について」を参照のこと。
http://www.foejapan.org/energy/export/pdf/161222.pdf


注3)【プレスリリース】JBIC/NEXIの「原発指針」に対してNGO4団体が共同提言を提出
http://www.foejapan.org/energy/news/160128.html

原発輸出案件への公的信用付与の際の情報開示についてJBIC/NEXIに要請 ~少なくとも日本なみの情報開示を
http://www.foejapan.org/energy/export/170816.html

【パブコメ書こう】電気事業法施行規則令案の改正で、「原発事故費用・廃炉費用を託送料金に」が実現!?― 東京電力が責任を取らないまま、国民負担でい いの??

pabukome170826

今回の電気事業法施行規則の改正案は、東京電力福島第一発電所事故の賠償費用の一部および玄海原発1号機、美浜原発1・2号機、敦賀原発1号機、島根原発1号機など、原子力事業者がかかえる老朽原発の廃炉費用を、託送料金を通じて、徴収することができるようにしようというものです。福島第一原発事故の責任をあいまいにし、原発事業者を不当に保護するものです。

パブコメのポイントはこちら   これまでの経緯はこちら
8月18日に学習会を開催! わかりやすく解説してもらいます。13:00から参議院議員会館にて 詳しくはこちら

パブコメ提出方法 (締め切り:2017年8月26日夜12時まで!)1)オンラインフォーム(e-Gov)>http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620117032&Mode=0

意見提出用紙に氏名、連絡先及び本件への御意見を御記入の上、メール、郵送、ファックスで提出することもできます。郵送の場合は、8/26当日必着となりますのでご注意ください。

2)メールアドレス:denryokusangyo-pub@meti.go.jp

3)郵送:〒100-8931 東京都千代田区霞が関1-3-1
経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力産業・市場室 パブリックコメント(「電気事業法施行規則」等の一部改正)担当 宛

4)ファックス::03-3580-8485


★パブコメのポイント

1.東京電力の経営陣、株主、債権者の責任が問われていない

東電救済のために、すでに「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が設立され、交付金などの形で多くの公的資金が東京電力に流し込まれています。今回の制度改革で、さらに託送料金を通じて、賠償費用を 広く電力利用者に担わせることが可能になります。

福島第一原発事故の賠償・事故処理は、東京電力が一義的に責任を負うべきであり、その結果、債務超過に陥るのであれば、破たん処理を行うのが順当です。いままで株主・債権者が利益のみを享受し、経済的な責任から免れるのは、資本主義のルールに反するばかりか、事故を引き起こした東電の責任を国民が広く肩代わりすることは、「汚染者負担の法則」にも反します。東電の法的処理の上で、はじめて不足分を税金等から補てんするべきでしょう。

2.経済産業省令だけで決めるのではなく、国会で議論すべき問題です。

今回の省令の改正は、すべての国民から電気料金の形で、賠償と廃炉費用を徴収できるようにするものです。省令で決められる問題ではありません。国会でしっかりと議論すべき問題です。

3.「事故に備えて積み立てておくべきだった過去分」という考え方は非合理であり、常識的には考えられません。

今回、原発事故の賠償費用として、「過去にさかのぼって積み立てておくべきだった」という、商取引上、通常考えられない論理により、「過去分負担金(3.8兆円)」の回収が提案されました。しかし、事故のリスクを過小評価し、積み立てておかなかったのは東電であり、それを許したのは経済産業省です。一般の電力消費者が、経営判断・政策判断の誤りのツケを負わされるのは非合理です。

5.廃炉費用をも託送料金を通じて徴収できるようにすることは、原子力事業者を不当に優遇するものです。

廃炉費用は、原子力事業者が当然に負うべきコストであり、託送料金を通じてすべての電力利用者が広く負担するしくみを作ることは、原子力を不当に保護することになります。電力自由化の趣旨に反しています。発電事業者が費用を負担しきれないような発電方法は、当然排除されるべきです。

6.「原子力はコストが低廉」は撤回すべき

今回の議論は、原発の事故処理・廃炉費用が莫大であることを、国も認めざるを得ないくなった事態であると言うことができます。「原子力はコストが低廉」とし、原発を保護し温存していく政策の撤回・変更なくして制度改革のみを議論することは許されません。

7.今後の原発事故についても、同様に国民負担にすることができてしまいます

今回の制度変更を「前例」として、今後事故が起こった際にも同様に託送料金での回収が可能となってしまいます。



★これまでの経緯

2016年の9月から年末にかけて、原発事故の賠償費用の一部、廃炉費用の一部を「託送料金で負担」という議論があり、大きな論戦となりました。
年末のパブリックコメントに取り組んだかたも多いかと思います。
FoE Japanも、パワーシフト・キャンペーンやeシフトと連携し、新電力の声を伝える署名提出パブリックコメントの呼びかけなど活動しました。

その後、2月9日に開催された「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」でこのパブコメを受けて「中間とりまとめ」が出されました。(託送料金への上乗せに反対する意見はまったく反映されていません。)

▼「電力システム改革貫徹のための政策小委員会 中間とりまとめ」
http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/20170209002.html

これをもとに、具体的な経済産業省令案となったのが、今回のパブコメ対象です。

▼「電気事業法施行規則」等の一部改正に対する意見の募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620117032&Mode=0

資料は、省令案のため67ページ、読みにくいものですが、ポイントは以前と変わりません。

―――――――――――――

締め切りは8月26日(土)!ぜひ一言でも出してみましょう。

*「パブコメくん」ウェブページ。(今回も内容は同様なのでご覧ください。)
https://publiccomment.wordpress.com/2016/12/20/baisyohairo/

*FFTV218 許すな東電救済~託送料金で全ユーザーに負担/ゲスト:堀江鉄雄さん 20170803
https://www.youtube.com/watch?v=0w1F0ESxNx0

* 議論の経緯(2017年5月時点)についてはこちら
https://foejapan.wordpress.com/2017/05/15/hairobaisyo/

FoE韓国(KFEM)声明:韓国の脱原発社会への第一歩を歓迎する

韓国環境運動連盟(KFEM、FoE韓国)は、文大統領の脱原発方針をうけ、以下の声明を発表しました。(翻訳 FoE Japan)

——————–

韓国の脱原発社会への第一歩を歓迎する

KFEM(Korea Federation for Environmental Movements)

KFEM_2

写真提供:KFEM

・文大統領の脱原発方針を具体化する迅速な施策実行が伴われることを期待する
・円満な社会的合意形成に向け、コリ原発5号機、6号機の新規建設は直ちに中止すべき
・犠牲を強いられてきた原発周辺地域の住民に配慮する対策づくりを行なうべき

6月19日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、韓国国内初の原発である古里(コリ)原発1号機の永久運転停止の記念式典で演説し、原子力中心の発電政策を廃止し、脱原子力社会への転換を図るとの考え方を示した。それに必要な対策として、
(1)進行中の新規原子力発電所建設計画の全面的な白紙化
(2)原発の稼働年数の延長禁止及び月城(ウォルソン)原発1号機の廃止
(3)古里原発の5号機と6号機新設に関し、安全性・工程率・投入コスト・補償コスト・電力設備の供給予備率などを考慮した社会的合意形成
(4)原子力安全委員会の大統領直属委員会への昇格及び同機関の多様性・代表性・独立性の強化
(5)脱原発ロードマップの迅速な策定
(6)再生可能エネルギー関連税制の整備
(7)エネルギー消費構造の効率化及び産業用電気料金の見直し
などを示した。

本日の文大統領の演説内容は、これまで40年間に渡り進められてきた原子力中心のエネルギー政策からの脱却を示し、脱原発エネルギー社会へ第一歩を踏み出した点で、心を躍らせるようなものである。安全かつ持続可能なエネルギー社会を念願してきた民意を大統領がしっかりと受け止めたことを心から支持し、歓迎の意を表したい。

ただ、文大統領が選挙期間の間公約として掲げていた古里原発5号機と6号機の新規建設の中止に直接触れていない点は残念に思う。しかし、演説全体を通し、脱原発・エネルギーシフトの意志が強く流れていたことははっきりと読み取れた。社会的合意形成に向け、産業通商資源部と韓国水力・原子力発電会社は、古里原発5号機と6号機の新規建設を中止に向かわせるべきである。古里原発5号機・6号機を手始めに原発建設の新規案件も中止手続きを踏むことになれば、新たなエネルギー時代が切り開かれるだろう。

今日は、大韓民国が古里原発1号機の廃炉を機に脱原発社会へ第一歩を踏み出した記念すべき日である。文大統領の音頭取りで提示された脱原発・エネルギーシフト政策について、これから政府が具体的な施策を打ち出すことを期待したい。原発建設や稼働によりこれまで被害を被ってきた原発周辺地域の住民を支援する対策についても丁寧な気配りが必要になる。

KFEMは、これからも韓国が脱原発・エネルギー改革を達成するために、尽力する。

2017年 6月 19日
Korea Federation for Environmental Movements(KFEM/FoE韓国)
共同代表 권태선 박재묵 장재연
事務総長 염형철

参考リンク
http://kfem.or.kr/?p=167530

 

KFEM

写真提供:KFEM