気候マーチ、デビューしました!

こんにちは。インターンの鷹啄です。

私は、9月20日「グローバル気候マーチ」に初めて参加しました。

グローバル気候マーチは、国会前で気候変動対策を求める抗議をたった1人で始めたスウェーデンの高校生グレタ・トゥーンベリさんに共感し、彼女のようにストライキを始めた人が、世界中に広まったことがきっかけに開催されました。

特に今回のマーチは、国連気候サミットに向けて、世界150カ国以上で気候危機への緊急対策を求めるために行われたもので、日本では5000人、世界では400万人が参加しました。

当日、国連大学前には各々の想いを載せたバナーを持った人達が集まりました。マーチ開始後、“What do you want?”“Climate Justice!” などと訴えながら表参道・渋谷を歩きました。

9月20日集合場所の国連前広場にて。バナーを持って集まってきました。
出発!
マーチ終盤。

この時私が感じたのは、マーチを行った私たちと、通行人の温度差です。私は昔から環境問題に興味があり、周りの友達もそういう人が多いので、世の中の人達は気候変動に対して興味関心があるのだと思っていました。しかし、実際マーチをしている時、私たちに見向きもせず通り過ぎて行く人達のほうが多かったです。気候変動は私たち全員が関わる問題で、持続可能な社会のために、みんなで対策をするべきものです。でも、そう考えない人のほうが沢山いる。そう気づいた時、とても悲しい気持ちになりました。

ただ、そんな中、一緒に声をあげはじめた人、何をしているのかを尋ねている人もいました。

後日、グローバル気候マーチは色んなメディアに取り上げられました。

マーチは気候変動サミットに向けて行われましたが、それ以外にも今まで関心のなかった人などにも訴えることができたと思います。

世界中の人が早急に気候変動への対策をするべきだと考え、その取り組みを実行する社会となるよう、これからも活動を続けていきます。

★参考文献 グローバル気候マーチ

https://ja.globalclimatestrike.net/#faq

【横須賀石炭火力訴訟報告 vol.1】傍聴者超満員!定員96名を超える120人以上の市民が集結。

今年5月27日に提訴した横須賀石炭火力訴訟。本日、第1回目の裁判が開廷されました。
東京地方裁判所で最も大きい法廷での裁判でしたが、定員96名を超える120名以上の市民が、同裁判の傍聴のために東京地方裁判所に駆けつけました。

裁判での意見陳述にて原告代表の鈴木氏は

「日本は世界の脱石炭の流れに逆行している。日本や世界の将来のために、この裁判で、気候変動を緩和する日本の転換点となったと評価される歴史的な判断を下されるよう切にお願い申し上げる」

と述べました。

その後、同訴訟の小島弁護団長が同訴訟の主要争点を説明。今回の小島弁護団長の指摘は下記の通りです。

・環境影響評価の際、事業者は複数案を検討しなければならず、また、できうる限り影響を最も低減できる対策をしなければいけない。にも関わらず、事業者は複数案の検討はおろか、最も環境負荷の低い方法も検討していない。

・横須賀石炭火力発電所建設「改善リプレース」であるとして環境影響評価の一部を省略したが、5年近く稼働停止していた旧横須賀火力発電所は「改善リプレース」案件ではない。

・2015年に採択されたパリ協定の下で進んでいる脱石炭の潮流を考えると、30年近くに渡って大量のCO2を排出する同計画は、国際条約であるパリ協定の目標達成を大きく後退させ、また日本のエネルギー基本計画にもそぐわない。事業者JERAにとっても採算性は取れない事業と言える。

裁判後、東京地方裁判所前にて。120人以上の市民が駆けつけました。


裁判後、会場を衆議院第一議員会館多目的ホールへ会場を移し、初回期日の報告会を開催しました。
小島弁護団長より改めて今回の裁判の論点をご説明いただいたほか、原告の鈴木陸郎さんより挨拶、また、同じく原告であり、今なお台風被害からの復旧作業に取り組む富樫孝夫さんより、巨大台風という気候変動の影響による被害の実体験や、自分が使う電気を東電から持続可能な新電力への切り替えよう(パワーシフト・キャンペーン)、また、電気の自給自足を進めていこうとのお話をいただきました。その後、浅岡美恵弁護士より世界の気候訴訟の概要、千葉恒久弁護士よりドイツでの脱石炭の情報についてお話しいただきました。

報告会の資料は下記よりご覧になれます。
https://yokosukaclimatecase.jp/document/

裁判後の報告会。会場はほぼ満員に。

次回期日は12月23日(月)14:00~、場所は東京地方裁判所(東京・霞ヶ関)です。
今回同様、裁判後は同裁判に係る報告会を、日比谷図書館にて開催します。
法廷に入廷できなかった場合も、裁判の様子はこちらの会にて裁判の報告をさせていただきますので、ぜひご参加ください。
申し込みフォームは後日、下記webサイトに掲載の予定です。
https://yokosukaclimatecase.jp/

FoE Japanは、引き続き、原告および訴訟サポーターのみなさまとともに、石炭火力の新設計画中止を求めて活動してまいります。

(高橋 英恵)

*今回の横須賀石炭火力訴訟では、同裁判を支援するサポーターを募集しています。サポーターに登録いただいた方には次回期日の詳細、また、関連情報をお届けしています。ぜひ、皆様の知人、ご家族もお誘いの上、横須賀訴訟サポーターにご登録ください!

登録はこちらから↓

https://yokosukaclimatecase.jp/support_us/

台風被害のボランティア@君津市の報告

9月16日(月)FoE Japanスタッフ篠原、矢野とサポーターの土川さん3人で、千葉県君津市のボランティア作業に参加してきました。前日から大雨予報からボランティア活動の中止を告知する地方公共団体が多く、当日もボランティアに行くかどうかギリギリまで躊躇しました。かろうじて、君津市は午前中だけ受付けと記載があり、もしボランティアが無理でも支援物資だけ届けようと、君津市に向かいました。

君津市ボランティアセンターに事務所に保管していたmobiyaランプ(太陽光パネル付きランタン:携帯充電機能あり)を10台もっていったところ、支援物資として喜んで受け取っていただきました。  

ボランティアセンターで手続きをすると、神奈川、埼玉から来た事に驚かれ、感謝されました。でも、車でアクアラインを渡れば僅か1時間半、時間、距離以上に普段の生活の場と被災地との意識の違いがある事を感じました。

君津市は、海岸近い町の中心地は、電気も水道も復旧し、コンビニやスーパー、レストランが普段通りに営業しています。ところが、君津市の4分の3を占める地域には、被災から8日たった今も通電はなく、水道も止まっている地域もあり、5キロほど山に向かうと信号も動いていません。

君津市の全体図

ミッションは市の中心部から離れた地域の集落の各戸をまわり、「ボランティアセンターの開設」の案内チラシを配り、話を聞いてくる役目でした。今日の溢れる情報社会において、電気を失う事で普段簡単に出来る事が全く出来なくてしまう現実がありました。昔ならば口伝て拡散する情報も希薄な人間関係からなかなか伝わらず、逆の情報収集も出来ない事から打開するお手伝いでした。

私たち3名は、君津市の女性1名とチームを組み、清和地区を担当しました。まず避難所になっている清和公民館で情報をもらいました。避難しているのは1家族だけですが、自衛隊のお風呂提供、支援物資(ブルーシート・食料・水など)、保健師の常駐など、清和地区の拠点となっています。清和地区は2つのエリアに分かれており、公民館に遠い三島エリアが、支援場所まで来られていない可能性があり、心配であるとの情報をもらいました。

君津市の南端にある集落から順番に一軒一軒家を訪ねていき、3時間ほどかけて4人で60軒を訪ねることができました。

道沿いには、倒木や折れた枝があちこちにあり、看板が折れ曲がっているところ、電線に飛来物や倒木がひっかかっているところ、電柱が傾いているところ、家の屋根やビニールハウスの破損など、被害の復旧作業はまだまだこれから、と感じました。

訪ねた集落は、ほとんどが農家。水道も電気もまだ復旧していないところがほとんどで、それ以外にも大きな被害受けていて、すごく困っていらっしゃるのですが、それでも、発電機を借りてきて井戸水をくみ上げていたり、ソーラーパネルで電気を自給していたり、屋根は雨が降る前に自分で直したという人がいたり、近所で助け合っている様子もうかがえました。そこに住む方たちの逞しさと昔ながらの近所付き合いの確かさ、それと、道中にすれ違った全国から応援に来ている電気工事関係のたくさんの車に救われた気持ちになりました。

今回訪れた君津市はボランティアセンターが立ち上がったばかりのところでした。必ずしも日頃からボランティアに接しているわけではない方たちがボランティアセンターを運営するのは大変そうです。こういうときに、大勢のボランティアを仕切ることのできる人材が必要だと感じました。平時に、マニュアルに沿った訓練をするだけでなく、仕切り屋さんを養成することも訓練の一つ、と感じました。

(土川、矢野、篠原)

台風15号の被災地 千葉県鋸南町を訪問しました

 

旧佐久間小学校の被害

*台風15号の被害に会われた方々にお見舞い申し上げます。

9/15に事務局長満田とともに千葉県鋸南町に災害支援に行ってまいりました。

昔、祖父母が鴨川市に住んでいたこともあり房総は馴染みの深いところ、お世話になったところであり、なにかできることをしたいと行ってきました。支援になっているかわかりませんが自分のためにやらせていただきました。ネットでは知ることのできない現地の人の心の一端を知り、インフラの様子を知り、今後の意識の向け方に役立てればと思います。

○町の様子
鋸南町役場は通電しておりdocomo系は通信ができました。ここにくることができれば充電や通信はできそうです。地元の方によるとここまで充電をしにくるのは面倒なので停電はとても不便とおっしゃってました。 家屋の半分くらいは瓦が飛ぶなどなんらかの被害を受けていた印象です。ブルーシートでカバーしていた家屋は約10~20%くらいの印象。いかに強風であったかが想像できました。 ビニールハウスはほぼ全滅ではないでしょうか。ガラスのハウスは一見大丈夫そうに見えるので被害はわかりませんが、知り合いの案内で訪問したカーネーションを栽培しているところでは天井のガラスが半分以上落ちて、中のカーネーションにばらまかれていた状態でした。我々も含めて10人くらいで破片をひとつひとつ拾う作業をしました。200坪以上あったと思うので、大変な規模で、あと何週間かかるのでしょうか。

ハウスで割れたガラスを拾う

道の電柱は傾いているものが多数あり、電線で引っ張られて傾くのか、電柱が強風で傾くのかよくわかりませんでしたが、補修する必要がありそうです。看板も半分から折れてそのままになっていたりして、2次災害のための安全確保は自分でやる必要があります。

○物資
事前に情報を集めて物資を用意し、屋根や壁の補修用にブルーシート、ロープ、土嚢袋、ガムテと防災食をお渡ししました。水は受入れされず持ち帰りしました。

物資置き場のスタッフによると、現時点では物資は足りているとのこと。あえて言えば食品と言っていましたが、カップめんのような即席食品は十分ですとのこと。

鋸南小学校の物資置き場

ボランティアでご一緒させていただいた方は野菜類はあるので肉を親戚に届けたとのこと。 必要な物資は刻々と変わると思うので、行かれる方は最新情報を入手する必要があります。 シュナイダーエレクトリック社より支給いただいたバッテリーと太陽光パネル付きランプを持ってきました。太陽光で充電でき、スマホを充電したり夜はランプとして使用できます。物資スタッフの方にお見せして、ニーズがあるか聞きましたが、停電のところは良いと思うがわからないとのこと。スタッフの方が使ってみるとのことでお渡ししてきました。

○労働活動
1箇所目、ボランティアセンターで受付をして、近くの廃校になっていた旧佐久間小学校でごみ拾いや災害ごみの分別をしました。木造三角屋根の素敵な校舎であったと想像できましたが、屋根の大半は飛ばされており、内部もガラスや破片でいっぱいでした。廃校ですが自衛隊の訓練の宿泊にも活用できていたのに、地元の方は、良い校舎なのにお金がないから解体しかないだろうとおっしゃっていました。  校舎からの破片を拾ったり受け入れた災害ごみのうち、分け切れていないものを分別する活動をしてきました。腰を痛めていたので今回の活動では重いものを運ぶ活動はできませんでした。 佐久間小学校の校庭は、災害がれきの集積場になっていて、軽トラなどでひっきりなしに捨てに来る方がいます。瓦、壁板、木、鉄トタン板、プラその他に分かれていて、きっちり分別していました。がれきが少なく、校庭の広さに余裕があるので混乱もありませんでした。津波や浸水被害であったり、首都圏や地方の大都市クラスではこんな秩序だった片付けはできそうにありません。

旧佐久間小学校のがれき置き場

2箇所目、上で書いたように同僚の知り合いのつてで、カーネーション栽培ハウスで割れたガラスの片付けをしました。まだ中途半端に引っかかっているハウスのガラスを全部落として片付けしないと次の収穫ができないようでした。それだけの深刻な被害でも、明るく我々に接してくださった農家さんにたいした言葉をかけられませんでした。

○災害/支援情報
自治体だけでこの状況を乗り切るのは厳しいでしょう。今回は特に初動の遅さが指摘されました。やはり、国が「災害対応省」とかつくって、情報発信とか災害対応のシステムづくりとか、サポートすべきではないかと感じました。刻々と変わる中人や物のニーズ把握やマッチングなどの重要性を感じました。情報収集がもっと早ければ状況は変わっていたかもしれません。

練馬の保養団体の方、辺野古問題に取り組んでいる方など、市民運動やっている方々もいらしていました。心強かったです!

被害に会われた方々が早く普段の生活にもどれますよう願っています。

(田渕透)

8月23日フェアウッド研究部会セミナー報告

初めまして、インターンの國兼です。

 

23日に行われた、フェアウッド研究部会のマルミミゾウについての講演会に参加してきました。

講師はWCS・自然環境保全研究員、NPO法人アフリカ日本協議会・理事の西原智昭さん。西原さんは、コンゴ共和国などアフリカ中央部の熱帯林地域で野生生物の研究調査や熱帯林保全に携わってこられた方で、今回は、マルミミゾウの棲む森で起こっている熱帯林や野生生物の保全の実態および先住民族の現状とその課題、エボラ出血熱の状況、そして日本との関わりについて講演をしていただきました。メインのテーマであったマルミミゾウは、ここ10年で62%も減少していて、その一番の原因となっているのは、象牙目的の密猟だそうです。

unnamed

この問題には日本も関わっていて、マルミミゾウの象牙というのは、印鑑、三味線などの日本の伝統工芸品に使われている素材で、高度経済成長期時代にコンゴ共和国からマルミミゾウの象牙を一番多く輸入していたのは日本であったそうです。現在でも日本の象牙管理制度は不十分で、マルミミゾウの保全と日本の文化(伝統芸能)。この二つをどちらも守るためには早急に対応をする必要があると感じました。

また、マルミミゾウは多種の果物を食べ、大量の糞を森の広範囲でします。つまり、さまざまな種子を森中に運ぶ役割を担っており、マルミミゾウの減少は森林の減少に直結するのです。

さらにコンゴ共和国では、木材資源確保のための森林伐採も行われ、森林の減少が進んでいます。そしてこの森林の減少が、間接的にエボラウイルスの感染に繋がっているそうです。エボラウイルスの感染経路としていま挙げられているのは、フルーツバットという現地では食用として食べられているコウモリによる感染です。フルーツバットはエボラウイルスの抗体をもっていて、このウイルスに感染している個体を人間が食べてしまうと、人間はウイルスに対する抗体をもっていないため、症状がでてしまうのです。

なぜフルーツバットによるウイルス感染の増加と森林減少が関係しているのか、それはまだ仮説の段階ではあるそうですが、森林の減少に伴い、それまで森の全域に生息していたフルーツバットは残された森に集中し、逆に現地住民の生活区域が広がったことで、フルーツバットと遭遇する確率が高くなってしまったことが原因であると述べられていました。

現在これらの地域では、マルミミゾウや森林だけではなく、現地に住む先住民族も存続の危機に晒されているそうです。このピグミーと呼ばれるアフリカ熱帯林地域の狩猟採集民族は、狩猟能力、危険な毒ヘビ、ハチ、アリなどを遠くからでも一瞬で見つける能力、また森を歩く能力が非常に長けていて、私たち現代人が持っていない、あるいは失ってしまった能力をもった、貴重な民族であるとおっしゃっていました。ですが、森林の消失、政府による定住化政策、貨幣経済の浸透、先進国型教育の導入と強制、主にこの四つの要因により、民族の存続危機に陥ってしまっているそうです。このままこの要因を解消できず、ピグミーが持っている能力、知識、伝統を失い、継承されることがなくなってしまえば、環境の保全や研究どころではなくなると西原さんは強く訴えていました。

この講演会は、いままで自分が知らなかった多くの知識を得ることができる機会になりました。全体を通して自分が特に重要であると考えたのは、環境を保全するということはただ単に森林だけ、生物だけを保全すればいいということではなく、一つの問題はそれ以外の他の要素とも深く関わっているという考え方でした。この考え方を、さまざまな活動で役立てていきたいと感じました。

 

ICRP「大規模原子力事故後の放射線防護」勧告草案に意見を出そう!(締め切り:10/25)

>締め切りが10月25日に延期になりました!
>FoE Japanでもコメントを出しました!

ICRPの「大規模原子力事故における人々および環境の放射線防護」草案が公開され、ウェブ上でパブコメにかかっています。
草案全文およびパブコメはこちらから(英語)>http://www.icrp.org/consultations.asp

上記のサイトを開き、「submit comment」という緑のボタンを押し、名前、E-mail、団体名およびコメントを書いて、「Submit」ボタンを押してください。コメントはあらかじめ下書きを書き、コピーペーストするのがおすすめです。PDFファイルも添付できます。日本語でも出せます。

ICRP勧告案の主要部分の日本語訳
>その他の部分の日本語訳(市民団体による仮訳)は、市民科学研のページからダウンロードできます。
今回のとりまとめにあたったICRPタスクグループの甲斐座長による説明資料
ICRP勧告は人々を被ばくから守ったか?~東電福島原発事故の経験から~

ICRPが新しい勧告を出すと、日本を含め多くの国で放射線防護関係の法令の見直しが行われます。しかし、多くの人がパブコメを行われていることすら知らないのではないでしょうか? 

FoE Japanも参加する原子力市民委員会が、①日本語版を作成すること②日本において公聴会を開催すること③締め切りを延長することーを要請したところ、8/20付で回答がきました。①については主要部分を翻訳する、②についてはすでに類似のもの(福島ダイアログなど)を開催しちるという回答でした。③については、その後、締め切りが10/25まで延長されました。

さて、ICRPの勧告草案の中では、「参考レベル」という言葉が何度もでてきます。これはとてもわかりづらい言葉ですが、「暫定的な目標値」という言い換えが最も近いでしょう。この「参考レベル」以上の被ばくをしているの人たち(図のグレーの部分)を対象に、放射線防護の対策をとっていき、参考レベル以下にしていく。ある程度その対策が進んで、参考レベル以上の人たちの人数がすくなくなれば、参考レベルもまた下げていくというものです。(下図)。

ICRP Pub.111 「原子力事故または放射線緊急事態後の長期汚染地域に居住する人々の防護に対する委員会勧告の適用」
http://www.icrp.org/publication.asp?id=ICRP+Publication+111

現行のICRPのPub111は「(現存被ばく状況の)参考レベルは、1~20mSvの下方部分から選択すべきである。過去の経験は、長期の事故後の状況における最適化プロセスを拘束するために用いられる代表的な値は1mSv/年であることを示している」としています。
「現存被ばく状況」とは、原発事故直後の混乱がおさまったあとの、回復期を意味します

今回の改定草案では、以下のようにしています(パラ80)。

「緊急対応時の後の長期汚染地域に居住する人々については、委員会は、長期に続く現存被ばく状況では、実際に人々がうける被ばくの状況やリスクへの耐久性(tolerability)を考慮して、1-20 mSvのバンドまたはそれ以下で参照レベルを選択することを推奨する。一般に、年間1 mSvのオーダーまで被ばくを段階的に被ばくを減らすため、年間10 mSvを超える必要はないであろう。
Publication 111(ICRP、2009b)で、委員会は1–20-mSv帯域の下部の参照レベルの選択を推奨した。選択された参照レベルが一般に10 mSvを超える必要がないであろうという今回の推奨事項は、この立場を明確にするものである。」

つまり、参考レベルの記述のみをみると、現行の勧告と同じことを言っていると解釈できます。

「参考レベル」というわかりづらい概念を設定し、被ばくの「上限」や「基準」を定めず、結果的に高い被ばくでも許容してしまうの? ということ自体も問われるべきでしょう。「上限」とか「基準」を定めても、事故が起こればそれを簡単に超えてしまう。対策もそうそうとれない。とろうとしても膨大な社会的なコスト、影響が発生する。そうすれば、原子力産業が存続できない、ということなのではないでしょうか。

しかし、日本政府はこのICRPの勧告すら守りませんでした。2011年4月に年20mSvを基準に計画的避難区域などを設定しましたが、その後、避難区域解除のいくつかの条件のうち、放射線に関するものは年20mSvを下回ることとしました。つまり、避難・帰還の基準を20mSvで高止まりさせてしまい、「1~20mSvの下方から参考レベルを選び、それを順次下げていく」というICRPの勧告は採用されなかったのです。

一方で、今回の改定草案では、現行の勧告の「緊急時被ばく状況」と「現存被ばく状況」を、「緊急時対応(早期/中間期)」、「回復プロセス」(長期)に分けなおしていることにも注意が必要です(下図)。

ICRP緊急時、回復期

(出典:ICRP「大規模原子力事故における人々および環境の放射線防護」草案 p.10)

「緊急時」を長くとれば、より長い期間、緊急時を理由にして、より高い参考レベルを採用し、政府が、避難などの防護策をとらずにすませることを可能としているのではないか、気になるところです。

いずれにしても、ICRPの勧告はとても抽象的であり、政府には都合のよい解釈を許すものとなっています。

その他、以下のような問題点もあります。

  • 被ばくを、個人のライフスタイル、個人の行動によるものとし、結果的に「被ばく」を個人の責任に帰しているのではないか。
  • 避難区域や避難勧告の設定や土地利用のゾーニングなど、「場の管理」の重要性を軽視している。
  • 避難による健康被害や死亡については触れているが、避難できないことによる葛藤や被ばくリスク、避難者に対する賠償や支援が適切に行われないことによる避難者の窮乏についてはふれられていない。避難の有用性を、「緊急時」の早期に限っているようにも読める。
  • 住民が被ばくを避ける選択を行う権利についてふれていない。

東電福島原発事故を描写している付属書Bについても、多くの問題があります。たとえば、以下のような重要な事実がふれられていません。

  • 避難区域外からも多くの人たちが避難を強いられたのにもかかわらず、2011年12月までは区域外からの避難者に対する賠償はなく、2011年11月に決まった中間指針でも、とても少額であった。その後、避難者に対する住宅提供も次々に落ち切りになり、区域外避難者の困窮、社会的・経済的な圧迫につながった。
  • 避難・被ばく防護の政策、避難区域の再編、避難解除の基準に関して、人々の意見が反映されなかった。例えば、避難解除について、説明会は開かれ、多くの住民が「解除は時期尚早」と意見をいっても、これらの声は無視されてしまった。
  • 避難者・居住者・帰還者を等しく支援するという「子ども・被災者支援法」が満足に実施されなかったが、それについても記載がない。
  • 福島県県民健康調査において、見出された甲状腺がんについて、「事故後の放射線被曝の結果である可能性は低い」とのみ記載し、「甲状腺がんが多く発生している」こと(検討委員会も認めている)、多くのもれがあることなど、重要な事実を記載していない。

みなさまも、ぜひチェックしてみてください。

▼改定の中心となったICRP TG93座長甲斐倫明氏によるプレゼン資料
https://drive.google.com/file/d/12k7NDfkE47iKHGy8XXYyl_G-4O2ctvf_/view

▼満田プレゼン資料

本件に関して、ぜひ日本からも声をあげていきましょう。
FoE Japanでも引き続き発信をしていきます。     (満田 夏花)

「オリンピック、どう思う?」 避難者の声をききました。~優先すべきことは何?

東京オリンピックまであと1年となりました。「復興五輪」とも呼ばれていますが、原発事故の避難者の方々はどのように感じているのでしょうか? これについて、海外のメディアから問い合わせがあり、福島から東京に避難している方々の「声」を集めました。いろいろ考えさせられる内容であったため、ご本人たちの了解を得られたものについて、FoE Japanのブログでも紹介させていただきます。
避難者の方からすると、「もっと優先すべきことがあるのではないか」というご意見が多かったようです。福島県在住の方、近隣の方、避難された方のご意見を今後集めていきたいと思います。
———
オリンピックについては私個人としては実は複雑です(^_^;)
オリンピック自体にはなんの偏見も無いのですが東京に誘致する際の安倍総理の発言やオリンピック開催が決まってから避難している事自体が変!って感じになり地元へ帰れるのに帰らない!って目で見られるように持って行かれた感が半端ない気がしました。
避難者を切り捨て嘘で塗り固めたオリンピックには正直怒りさえ覚えます。復興オリンピックみたいなイメージですが全くその復興のふの字もない空っぽのオリンピックにしか見えていません。
無理矢理住宅を追い出して全世界に日本の再生をアピールするよりも避難者や弱者にも優しいオリンピックであって欲しかったかな
———
わたしの人生においてオリンピックには、そもそも興味がありませんでした。 応援したい人はいつも身近な存在の人です。
一時の為に莫大な予算を掛けて、会場や宿泊施設を作り終わったら破壊するというのは無駄でしかないと思います。
そんなことをするならば、福島の子供達の為に国が保養施設を作って、クラス単位で毎年決まった日数を過ごすようにして欲しいです。
家族でいつでも使える保養施設を作って欲しいと思います。
原発は国策で作られたのですから、安全神話を信じてそれを容認していた私達にも問題はあったと思いますが、個人では経済的にも時間的にも精神的にも負担がありすぎるので、国の援助がほしいです。
民間でもやっていますが、それは抽選であり行きたくても行けない人がたくさんいると思います。
そして年々保養をやってくれている団体が減ってきていると聞いています。
福島はアンダーコントロールと総理大臣がいいましたが、まだ福島は汚染されていますし、福島第一原発は事故当時のままに何も解決してないでしょう。今も放射能を撒き散らしているでしょう。汚染マップにある通り放射能汚染は福島だけにとどまってないでしょう。
(それでもできるだけ遠くホットスポットを避けて今よりも汚染されてない場所へ大切な人と離れることなく、多くの人が避難してほしいと願っています。)
国に放射能汚染を認めてほしいです。 今も危ないのだと。 みんな気をつけて生活してほしいと。 絶えず真実を公表して国も出来ることをすると。
そして、避難したい人には避難するためのバックアップをするシステムを作ってほしいです。
できたら、コミニュティを壊すことなく地区ごとに避難できたらいいです。 新しい町をどこかに作ってほしいです。
過疎化が進んだ地域はいたるところにあるのですから、不可能な事ではないと思います。
たった数日の熱狂のためより、たくさんの人が安心して幸せに暮らせるような、そういうことに税金を使ってほしいと思います。
しかし、もうオリンピックの予算はつけられて、箱物も作られてもう完成したのでしょうか。 オリンピックはどうして既存の施設を使わないのでしょうか?
あるものを使えばいいだけではないですか? 日本は格差が広がり、また消費税の増税が決まっており、どんどん生きづらくなっていると思います。
弱者を作らない政策を、穏やかな日々を。 そう。ただ一時期の熱狂より、穏やかな日々を望んでいます。 子どもを社会全体が守るように。
子どもが世の中を冷めた目で見るようなことがないように。 子どもがこの世はいいところだと思い、未来を信じられるような世の中になってほしいです。
———
東京オリンピックの時は、まだ、3歳なので、東京オリンピックが、決まりますようにと、お祈りして、決まった時の感動🥺一人夜中に、拍手👏良かった!
でも、安倍晋三さんの原発は、コントロールされている発言は、無責任な言動!
それでも、オリンピックに向けて多くの人が、頑張ってあと一年になるのは、素晴らしいなぁと若い選挙を応援したいです📣。
———
日本全国的には勇気付けられると思うけど、新しく建てている国立競技場の姿を見ると、未だに仮設住宅暮らしの人とか自宅がないも同然の人にすべきことの方が重要性と早急性は高いんじゃないかな、とは思ってます。

オリンピック成功のため、都合の悪い避難者は排除されたと思っている、勇気付けられる事など一つもない。自主避難者現状を世界に知って欲しいし私達への仕打ちを非難して欲しい。
———
選挙応援のスピーチで、福島県にまで足を伸ばした安倍総理が言った。「福島県の復興がない限り、日本の明日はありません。」 本当か?
私はこう思います。その「復興」をかかげる陰に、どれだけの犠牲者が出たことか、悲惨な毎日を今も送っていることか、真実をよく見てほしい。全体主義のために、母子家庭の暮らしや社会的弱者を踏みつけながら、オリンピックに沸く国に、本当の復興はまだ訪れません。
——

福島県県民健康調査委員会 甲状腺がん多発と被ばくとの因果関係で紛糾

写真上:「県民健康調査」検討委員会開催風景

7月8日、福島県「県民健康調査」検討委員会が開催され、その中で、甲状腺検査2巡目の結果、甲状腺がんやその疑いとされた71人について、「被ばくとの関連は認められない」とする甲状腺検査評価部会(部会長は鈴木元氏)の「まとめ」が報告されました。
NHKなどの報道では、「概ね了承」とされていますが、これは事実ではありません。甲状腺がんの発生率が地域がん登録で把握されている甲状腺がんの有病率に比べて「数十倍高い」としているのにもかかわらず、また、明らかに地域差がみられるにもかかわらず、それに関する評価が行われていないことに、「納得できない」「腑に落ちない」とする成井委員・富田委員らの強い発言もあり、委員会は紛糾しました。

「数十倍高い」

甲状腺検査評価部会まとめは、こちらです。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/336455.pdf
「先行検査における甲状腺がん発見率は、わが国の地域がん登録で把握されている甲状腺がんの罹患統計などから推計される有病率に比べて、数十倍高かった。本格検査(検査 2回目)における甲状腺がん発見率は、先行検査よりもやや低いものの、依然として数十倍高かった」とし、甲状腺がんの多発については認めています。 (←報道には乗らないのですが、結構重要なポイントではないかと思います)

また、地域別の悪性ないし悪性疑いの発見率については、「単純に比較した場合に、避難区域等13市町村、中通り、浜通り、会津地方の順に高かった」としています。

しかし、性・検査時年齢、検査実施年などのさまざまな要因が上記の地域差に影響を及ぼしているとし、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)で公表された年齢別・市町村別の内部被ばくを考慮した推計甲状腺吸収線量を用いて試算した結果、「線量の増加に応じて発見率が上昇するといった一貫した関係は認められない」として、放射線被ばくとの間の関連は見られない、としています。ちなみにこの分析は、実数データが付されていないため、外部専門家が検証できない状況となっています。また、県民健康調査で集計からもれている11人については分析の対象とされていません。

「4地域の間で明らかな差」

これに対して、成井委員(ハートフルハート未来を育む会理事長、福島県臨床心理士会推薦)は以下のように反論。
・(実際に執刀した)鈴木眞一教授は、過剰診断ではないと言っている。
・避難区域等13市町村、中通り、浜通り、会津、という地域区分は、当初の線量からしても妥当ではないか。この4地域の間で甲状腺がんの発見率に相当の差が生じている。確かに検査間隔や検査年度などのいろいろな要因が入ってくるが、それを排除した分析をやるべき。それなくして「因果関係がない」とは言えない。
・先行検査(1巡目)では、地域ごとに明確に差がでなかったのに、本格調査(2巡目)では、明確な差がでた。それはなぜなのか、検討してくださいと鈴木元先生にはお願いしてきた。地域区分をやめてUNSCEARのデータを使ったということだが、先行検査の手法は地域差の分析であった。なぜ同じ手法を継続しないのか

以下委員の主たる発言です。
鈴木元部会長:4地域比較ができない理由は、同じ年度に測った年度で違う線量を比較して解析しているため
成井委員:UNSCEARだって同じ。自治体の中でも様々な線量が含まれている。推定値に過ぎない。
鈴木元部会長:UNSCEARの線量評価の一番の問題は食べ物からのものを一律にしている点。今回使っているのはそれを差し引いたもの。
高野委員:先ほどの成井委員の発言で、鈴木眞一先生は「過剰診断でない」とはおっしゃっているというが、過剰診断は病理で発見できるものではないので、鈴木眞一氏は過剰診断の定義をご存知ないということ。(満田注:その時点での甲状腺がんが一生涯どのような挙動をするのか、手術時点ではわからない、一生涯、健康に影響を及ぼさないがんである可能性もあるはず、という意味だとおもいます・・・)
富田委員:因果関係がないという結論になるのは、腑に落ちない。「(甲状腺がんが)数十倍高い」「避難区域13市町村、中通り、浜通り、会津地方の順に高い」ということからは、事故との関係があるという結論になりそうだ。他の要因があるにしろ、「事故との関係がない」と言い切ることは強引。
稲葉委員:たいへん低い被ばく線量の中で分析をしている(だから統計的に有意な結果を得られにくい)、ということを明確にすべき。
春日委員:低い被ばく線量の中で分析をしていること、あくまで第2回目の検査を対象としたものであることを明確にする文章とすべき。
清水一雄委員:「関連はみとめられない」と言い切るのは早い。

星座長は、「座長預かりにしてくれないか」とまとめようとしましたが、春日委員がそれに反対。結論としては、座長が修文案を示し、委員がそれを確認する、というようなことになりました。

そのあとの記者会見で、成井委員は「座長あずかりにしたつもりはない」、富田委員は、「少数意見として意見を併記させていただくことになるかもしれない」と述べました。
「なぜ、ここまで急ぐのか」という記者の質問に対して、星座長は、「自分の任期中に結論を出したい」との一点張りでした。

UNSCEARの線量との関係の分析などについては、以下の資料にあります。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/336454.pdf
FFTVでこれに関し、OurPlanet-TVの白石草さんに解説してもらいました。
https://www.youtube.com/watch?v=C0EuWCpHSUs

本件に関しては、「あじさいの会」のメンバーや当事者が、福島県庁に要望書を提出しています。
甲状腺がん患者が福島県へ要望書?県民の意見の反映求め
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2406

甲状腺がん・疑い、218人に

今回は3巡目検査、4巡目検査の状況について報告がありました。
<3巡目>
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/336451.pdf
2次検査対象者 1,490 人のうち 1,081 人(72.6%)が受診した段階です。
悪性・悪性うたがい:24人(うち、手術実施は18人。すべて乳頭がん)
男9:女15
腫瘍の大きさは 5.6mm から 33.0mm
24人の前回検査の結果は、A判定が16人、B判定が5人
<4巡目>
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/336452.pdf
一次検査は対象者の35.4%、二次検査は対象者の52.6%が受診した段階です。
悪性・悪性うたがい:5人(うち、手術実施は1人、乳頭がん)
男2、女2
前回A判定は4人、B判定が1人。

これにより、1~4巡目および25歳節目検診の検査の悪性・悪性疑いは218人(うち良性1人)となりました。
全体像をみる上で以下のまとめが便利です。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/336460.pdf

甲状腺検査のお知らせ文

甲状腺検査のお知らせに記載すべきメリット・デメリットに関しても議論となりました。 資料はこちら。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/336456.pdf
ご覧の通り、メリット、デメリットについてがっつりかかれ、デメリットについては、それに対する取り組みが書かれています。
それでも、前回の甲状腺評価部会のときの文案からは少しやわらげられているかもしれません。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/330654.pdf
このときは、デメリットの最初の項目に以下のように書かれていました。
「将来的に症状やがんによる死亡を引き起こさないがんを診断してしまう可能性があります。
若い方の甲状腺がんは、一般的に重症になることが少ないとされています。自覚症状等で発見される前に、超音波検査によって、甲状腺がんを発見することにより、がんによる死亡率を低減できるかどうかは、これまで科学的に明らかにされていません。」

この件についても、委員からさまざまな意見が出されました。たとえば、ある委員からは、国際的にも甲状腺の一斉検査を行うべきでないことになっていることを明記すべきと発言。星座長もそうすべきと言っていました。
以下の富田委員の意見が、ことの本質を表しているのではないかと思いました。

富田委員:このお知らせをみて、「(デメリットが大きいから)やはり検査を受けるのをやめておこう」となり、そのあとで甲状腺がんになり、「あのとき検査を受けておけば」ということになり、福島県が訴えられるような場合があるかもしれない。自己責任と言ってしまってよいのか。 もし自己責任ということであれば、その旨明記すべきではないか。

こころの健康度などについて

平成29年度の「こころの健康度・生活習慣に関する調査」の結果が報告されました。
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/336444.pdf
p.13にある、気分の落ち込みや不安に関して支援が必要な人の割合など、心の健康に関する状況は改善しているようですが、県内にくらべ県外の人たち(避難者など)の要支援割合が高いという結果になっています。
心の健康は、生活の基盤の安定性と密接な関係にあるでしょうから、避難者への相次ぐ支援の打ち切りをしておいて、心の健康だけを支援(?)しようというのは、問題だと思いました。
ちなみに、p.17の放射線の健康影響の認識については、放射線のもたらす長期的な影響(後年影響)に関する認識についてきいています。
「可能性は高い」「可能性は非常に高い」とする人の割合は事故当初の平成23年から減少しているものの、平成26年以降は一定割合(32~33%)を保っているとのこと。福島県や国による放射能安全PRは、それほど功をそうしていないのかもしれません。(満田夏花)

G20大阪サミット- 気候危機への緊急性に欠けた幕切れ

先週28、29日に大阪でG20サミットが開催されました。気候変動問題も主要議題の一つでしたが、残念ながら前進はなく、むしろ後退したと言っても過言ではありません。

FoE Japanを含む環境団体は、28日、議長国である日本の安倍首相に対し、脱石炭を求めるアクションを大阪市内で敢行。安倍首相に似せたマスクを被ったメンバーが、石炭に依存する姿を演じました。

またサミット開催を前にアジア各国でも日本に対し石炭火力や化石燃料プロジェクトからの撤退を求めるアクションが相次いで行われました。

日本国内でも、現在、石炭火力発電所の建設計画が進められている横須賀や神戸で住民と環境団体による脱石炭アクションが行われました。

フィリピンでのアクション

今回のG20首脳宣言では、アメリカを除く各国が国別貢献(NDCs、各国が定める気候変動対策)を維持またはアップデートすることが確認されました。しかし各国が定めるNDCではパリ協定の1.5℃目標どころか、2℃目標も達成できないことはすでに明白であり、各国のNDC強化に対するより強いコミットメントが求められていたなか、そこまで踏み込んだ文言が盛り込まれなかったことは非常に残念な結果と言わざるを得ません。

さらに米国のパリ協定離脱が、「米国の労働者と納税者に対し不利になる」という理由の下、首脳宣言の中で、改めて確認されました。温室効果ガスの大量排出国であり、歴史的責任の大きい米国がパリ協定から脱退し、気候変動政策を遅らせることは、すでに気候変動の影響を受ける多くの途上国にも大きな影響が生じかねません。

また再生可能エネルギーへの言及がほとんどなく、二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)などを強調している点も問題です。

さらにG20諸国は2009年から化石燃料補助金の撤廃をかかげてきましたが、今回の首脳宣言でも「化石燃料補助金を中期的に合理化し、段階的に廃止する共同のコミットメントを再確認する」という文言にとどまりました。

日々深刻になる気候変動の影響に立ち向かい、これ以上の危機を食い止めるためには、一刻もはやい脱炭素化が必要です。また日本の石炭火力発電所の輸出は気候変動を悪化させるだけでなく、発電所建設現場での人権侵害や土地収奪、住民の生計手段の喪失にも繋がっています

FoE Japanでは今後もアクションや提言を通じ、脱石炭や海外支援のあり方の改善を求めていきます。

(深草亜悠美)

危機に瀕す「環境と民主主義」にどう立ち向かう?~若者たちからのメッセージ

6月1日、文京区区民会議室にて、トークイベント「危機に瀕する『環境と民主主義』」~次世代の私たちがつくる未来」およびFoE Japan総会を開催しました。

トークイベントの登壇者は全員20代の若者。沖縄、フィリピン、インドネシアなど、各地で繰り広げられる環境や人権、民主主義を守るためのたたかいと自らの想いを語りました。

まず、「辺野古」県民投票の会の元山仁士郎さんが登壇。辺野古米軍基地建設を問う沖縄県民投票を呼びかけたいと思った目的や、いくつかの自治体で投票を行わないという方針を発表したとき、全県実施をハンガーストライキによって訴えた想い、圧倒的な「辺野古米軍基地建設ノー」の結果を受け、本土の私たちが問われていることについて、迫力のあるお話しをいただきました。「とにかく沖縄の基地のことを、話せる“空気”をつくりだしたかった」「自分も宜野湾市民で、投票できないかもしれなかった。“投票する権利”を守るため、自分ひとりでもできる行動をと思った。体をはって訴えることによって状況を打破したかった」という言葉が印象的でした。

続いて、FoE Japanの新スタッフ3人、松本光、杉浦成人、高橋英恵が、それぞれの活動を踏まえて報告。松本からは、日本に輸入されるバナナの一大拠点であるフィリピンの日系企業スミフルフィリピンが経営する農園・梱包工場で、労働者への深刻な人権侵害(殺傷を含む銃撃、放火等を含む)について報告しました。

杉浦からは、インドネシアで日本のODAにより進められているインドラマユ火力発電所で、土地やくらしを守るため、事業に反対を続けている農民が、「国旗侮辱罪」の冤罪をきせられ、投獄された状況を報告しました。高橋からは「クライメート・ジャスティス」という言葉にあらわされるように、気候変動の本質は格差であること、一部の先進国や富裕層の責任で、発展途上国や貧困層が最も被害をうけていること、世界中の若者たちが未来のためにたちあがったFridays for Futureやグローバル・マーチの取り組みなどについて報告しました。

4人の話はテーマこそ違え、国家や大企業といった強い「力」によって、人々が守ろうとしている土地や環境が奪われようとしている実態、それに立ち向かう人々の勇気と理不尽な弾圧など共通点がありました。

私たちにできることはある

「肝心なのは、あきらめないこと」

若者たちが発した力強いメッセージに心動かされた一日となりました。

FoE Japanは3人の新スタッフを迎え、環境や民主主義の危機を乗り越えるため、微力ですが、活動を継続していきたいと思います。(満田夏花)

FoE Japan総会後、参加者と。