FoE韓国(KFEM)声明:韓国の脱原発社会への第一歩を歓迎する

韓国環境運動連盟(KFEM、FoE韓国)は、文大統領の脱原発方針をうけ、以下の声明を発表しました。(翻訳 FoE Japan)

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韓国の脱原発社会への第一歩を歓迎する

KFEM(Korea Federation for Environmental Movements)

KFEM_2

写真提供:KFEM

・文大統領の脱原発方針を具体化する迅速な施策実行が伴われることを期待する
・円満な社会的合意形成に向け、コリ原発5号機、6号機の新規建設は直ちに中止すべき
・犠牲を強いられてきた原発周辺地域の住民に配慮する対策づくりを行なうべき

6月19日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、韓国国内初の原発である古里(コリ)原発1号機の永久運転停止の記念式典で演説し、原子力中心の発電政策を廃止し、脱原子力社会への転換を図るとの考え方を示した。それに必要な対策として、
(1)進行中の新規原子力発電所建設計画の全面的な白紙化
(2)原発の稼働年数の延長禁止及び月城(ウォルソン)原発1号機の廃止
(3)古里原発の5号機と6号機新設に関し、安全性・工程率・投入コスト・補償コスト・電力設備の供給予備率などを考慮した社会的合意形成
(4)原子力安全委員会の大統領直属委員会への昇格及び同機関の多様性・代表性・独立性の強化
(5)脱原発ロードマップの迅速な策定
(6)再生可能エネルギー関連税制の整備
(7)エネルギー消費構造の効率化及び産業用電気料金の見直し
などを示した。

本日の文大統領の演説内容は、これまで40年間に渡り進められてきた原子力中心のエネルギー政策からの脱却を示し、脱原発エネルギー社会へ第一歩を踏み出した点で、心を躍らせるようなものである。安全かつ持続可能なエネルギー社会を念願してきた民意を大統領がしっかりと受け止めたことを心から支持し、歓迎の意を表したい。

ただ、文大統領が選挙期間の間公約として掲げていた古里原発5号機と6号機の新規建設の中止に直接触れていない点は残念に思う。しかし、演説全体を通し、脱原発・エネルギーシフトの意志が強く流れていたことははっきりと読み取れた。社会的合意形成に向け、産業通商資源部と韓国水力・原子力発電会社は、古里原発5号機と6号機の新規建設を中止に向かわせるべきである。古里原発5号機・6号機を手始めに原発建設の新規案件も中止手続きを踏むことになれば、新たなエネルギー時代が切り開かれるだろう。

今日は、大韓民国が古里原発1号機の廃炉を機に脱原発社会へ第一歩を踏み出した記念すべき日である。文大統領の音頭取りで提示された脱原発・エネルギーシフト政策について、これから政府が具体的な施策を打ち出すことを期待したい。原発建設や稼働によりこれまで被害を被ってきた原発周辺地域の住民を支援する対策についても丁寧な気配りが必要になる。

KFEMは、これからも韓国が脱原発・エネルギー改革を達成するために、尽力する。

2017年 6月 19日
Korea Federation for Environmental Movements(KFEM/FoE韓国)
共同代表 권태선 박재묵 장재연
事務総長 염형철

参考リンク
http://kfem.or.kr/?p=167530

 

KFEM

写真提供:KFEM

台湾・エネルギーシフトの現場を訪ねて(その3)

台湾報告 その1 その2

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原発・石炭火力に反対する市民の声をお伝えしてきましたが、台湾はどのようにエネルギーシフトをしようとしているのでしょうか。

今回はエネルギーシフトのキーとなる、再生可能エネルギーの拡大とエネルギーシフトへの道筋についてまとめたいと思います。

台湾の再エネ

2016年10月、蔡英文政権は「2025年までに再生可能エネルギー発電量を20%とする目標」を閣議決定しました。

台湾が2025年までに脱原発する根拠となっている改正電業法(2017年)は、再エネ市場の開放(注:発電部門はすでに民間参入可能)と送配電網へのオープンアクセスを促進することが目的の一つに掲げられています。これには将来的には一般の電力自由化、地元レベルやコミュニティベースの発電会社の設立も可能することが含まれています。

現在、台湾で再エネが発電に占める割合は5パーセント(2015年)ですが、注目される太陽光と風力についてそれぞれ見ていきます。

★太陽光
太陽光に関しては2025年までに20GW(うち3GWがルーフトップ)に増やす計画ですが、直近の2カ年計画では、2018年までに1.52GW(プラスして)増やす計画になっています。

しかし、限られた領土と山勝ちな地形、そして台風が多いことなどから地滑りのリスクもあり、太陽光パネルの設置場所の確保が課題となっています。

そのため前政権下ではMillion Solar Rooftop プロジェクト(2012~)を通じ、補助金の導入や技術支援などで、屋根への太陽光パネル設置を促しました。

現政権は新しく10000ヘクタールの農地を太陽光発電用にすると発表しています(6GW分に相当)。

台湾は太陽電池の生産量が世界で2番目に多い国ですが、国内の太陽光設備はこれからで、ソーラーシェアリングの取り組みや、引き続き屋根のポテンシャルマッピングなども行われています。

★風力
実は台湾滞在中、タイミングよくEUと台湾の合同で開催された風力開発のシンポジウムに参加することができました。現在台湾政府は洋上発電開発に積極的に乗り出しています。

シンポジウムでは台湾の風力開発計画の進捗や、ヨーロッパの経験共有、大手グローバル銀行などが台湾で風力開発に投資する際のポイントなどについて解説。多くのグローバル企業が台湾でのビジネスチャンスを狙っていること、そして台湾政府も積極的に投資を呼び込もうとしている姿勢が見て取れました。

現状では、陸上風力は国営が294MW、民営が388MWで、全再エネ発電の14.4%を占めています。
洋上風力のポテンシャルが望まれている台湾海峡では、開発のためのゾーニングが行われ、2025年までに3GWを目標にしています。しかし様々な課題もあります。

そのうちの一つは、漁業者に対する補償です。洋上風力を建設することにより、操業に影響を受ける漁業者やコミュニティに対しての補償金については今も一部で話し合いが続いているそうです。

他にも台湾海峡には白イルカの生息地があり保護団体が風力開発に反対していることです。シンポジウムの最中にも、反対派の団体がイルカ保護を呼びかけ風力に反対するリーフレットを会場内で配布していました。

課題を乗り越え、エネルギーシフトの達成を

持続可能でないエネルギーに頼らない世界に向かっていくために、どのような変革をえがくのか?台湾で様々な方とお話をしましたが、その中の多くの方が言っていたのは「原発・石炭に頼らないという共通認識(consensus)があり、台湾はそれに向かう途中(in transition)だ」という言葉です。

国立台湾大学の林子倫教授は、政治学の教授ですが、温暖化対策の専門家として委員会にも参加されています。

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中央が林教授。台湾国立大学にて

台湾は国連に正式に加盟しておらず、日本とも国交はありません。そのため、国際的な気候変動の会議においてはオブザーバーとしての参加しか認められていませんが、政府は温室効果ガスの削減目標も定めており(数値目標は、2050年に2005年比50パーセント削減)、台湾でもすでに11の都市が、気候変動に対してコミットすることを宣言し、グローバルなネットワークに参加しています。

林教授は、現状の台湾のシナリオだと2020年までは排出量が増え続け、2025年には減少に転じるだろうと話します。またエネルギーシフトを達成するためには、まだまだ議論や技術が必要で、今後、台湾政府は市民も巻き込んで「エネルギー変革白書」を作成する予定とのことです。これは、新しい民主的で政治的な取り組みでもあり、林教授が中心となって進めています。2017年7月から議論が始められるとのことです。

また、脱原発に関しても2025年というゴールが定められましたが、詳細なプランができているわけではないので、政府の高いレベルで脱原発特別タスクフォースが立ち上げられるとのことでした。

林教授は政治や公共政策の専門家で、エネルギーの問題を市民の政治参加の問題としても捉え、いかに市民がエネルギー政策への意思決定に参加できるか研究と実践を行っているそうです。(上記の委員会や市民を巻き込んでの白書作りも林教授が大きな役割を果たしています)

林教授はエネルギーシフトの一つの課題として「public acceptance(市民による同意、理解)」の問題を挙げます。

林教授曰く、過去4050年、台湾の人々はほとんど政府を信用していませんでした。その国民感情は今も根強く残っていて、政策決定プロセスへの参加を促すためにも丁寧な信頼回復が必要で、そのためにどう対話の場をデザインしていくか、政府と共に取り組んでいるとのことでした。

前回のブログで登場した、リャオさんは、政府の政策が本当に市民の利益になっているのか、そして本当に必要な電力量がどれくらいなのか、その議論が必要だといいます。「政府の風力開発計画は、海外企業や大手企業しか参入できず、コミュニティに資するものになっていない。電力開発の補助金は企業には資するかもしれないが、もっと包括的で透明性の高い再エネのポテンシャルのマッピングが必要。」

また、Air Clean Taiwanのリーダーの楊さんは「(風力開発の影響を受ける)漁業者が補助金をもらっても持続可能でなく、もし風力発電をそこでやるなら、その地域の人がシェアホルダー(本来は株主という意味ですが、ここでは利益を共有する人々)になるような仕組みにするべきだ。今後はコミュニティ発電にも取り組みたい。」と話していました。

もちろん、エネルギーシフトを達成する道のりは短くはなく、課題も山積しています。しかし、脱原発を達成するという政治的な意思と、市民による継続した取り組み、若者もたくさん巻き込んでの活動、草の根の活動から政策決定プロセスに積極的に参加していく市民の存在、「どうやって脱原発・脱石炭への道筋をデザインしていくか」という問いに課題を理解しつつも前向きに取り組む台湾の市民社会の一面が見られた気がします。

他にもお話を伺った方や団体がたくさんありますが、詳しくはセミナーで報告したいと思います。→報告会:台湾エネルギー革命~脱原発方針をかちとった人々の力(7/6)

「共謀罪」142団体から「市民社会への脅威」と反対の声~NGO活動の現場からの警鐘

共謀罪記者会見

現在、参議院でいわゆる「共謀罪」法案(「テロ等準備罪」を新設する組織的犯罪処罰法の改正案)が審議中です。

同法案では、捜査・監視の対象が、恣意的に決められてしまうため、すべての市民運動にとっての脅威となりえます。

FoE Japanやメコン・ウォッチなどが、反対声明を発出。連名を呼びかけたところ、6月8日までに、環境・開発・人権・平和・国際協力などの分野で活動している142のNGOや市民団体からの賛同が集まっています。
http://www.foejapan.org/infomation/news/170529.html

国内だけではなく、バングラデシュ、フィリピン、ミャンマー、オランダ、ドイツ、イタリア、タイ、カンボジア、イギリス、インドネシア、マレーシア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ベトナムなど海外の14か国からも賛同が寄せられています。日本でいま生じていることは他人事ではない、そういった思いからの連帯の声だと思われます。

本日、FoE Japan、メコン・ウォッチ、日本国際ボランティアセンター(JVC)、グリーンピース・ジャパンの4団体による記者会見を行いました。
記者会見の模様は、グリーンピース・ジャパンのフェイスブックにアップされていますので、ぜひご覧ください。
https://www.facebook.com/GreenpeaceJapan/videos/1614446501921285/

JVC・人道支援/平和構築グループ マネージャーの今井高樹さんは、アフリカにおけるご自身の経験から、国家的な開発事業で土地収奪が生じ、それに反対する市民団体に対する脅迫や迫害が生じたり、人道支援を行っている団体が拘束されてしまったりした例などを紹介しました。

メコン・ウォッチの木口由香さんは、東南アジアにおいて国家による事業に反対する団体が、政府により、「反政府」「反社会」とレッテル貼りをされ、監視され、逮捕され、さまざまな抑圧が加えられている事例について紹介し、「共謀罪」成立によって、日本でもこのような状況が生じかねないことに対する懸念を表明しました。

グリーンピース・ジャパンの米田祐子さんは、よりよい社会を目指して健全な議論を行うことができる環境は、民主主義の基盤であること、共謀罪はそれを委縮させ、破壊してしまう恐れがあると発言。

FoE Japanの満田からは、「国家」の名のもとに、環境が破壊され、人権が侵害される事例もあること、それを批判する団体が、監視される可能性があること、法案が通れば、捜査そのもの、または捜査によって得られた情報の恣意的な切り
取りによって、対象者の社会的信用を落とすことが可能になることなどを指摘しました。

そもそもすでに多くの人が指摘している通り、政府は、国連越境組織犯罪防止条約を批准するためにテロ等準備罪が必要と説明していますが、この条約の対象はテロではない上、この法がないと条約に加盟できないわけではありません。テロ
防止関連条約は既に締結していますし、国内法でもすでに、殺人や強盗、爆発物使用などの着手以前の段階の行為を処罰するさまざまな法律が整備されています。

「共謀罪法案」反対声明については、6月15日まで賛同団体をつのっています。
ぜひ、国内外に広くご紹介ください。
賛同はこちらから。
https://pro.form-mailer.jp/fms/6ef8abac123124
英語版はこちらから。
http://www.foejapan.org/en/news/170529.html

6/5まで「原子力利用に関する基本的考え方(案)」パブリックコメント

直前になってしまいましたが・・・
6月5日まで、「原子力利用に関する基本的考え方(案)(原子力委員会)」に対するパブリックコメントが募集されています。

原子力委員会は、原子力基本法(1955年)にもとづいて1956年に設立され、国の原子力政策の長期計画を策定してきました。
しかし、東電福島第一原発事故後、原子力をめぐる環境が変わったことから、長期計画は策定しないこととされ、そのかわりにこの「基本的考え方(案)」が策定されることとなりました。

表面上は「東電福島第一原発事故をふまえて」などとしながらも、内容は
「運転コストが低廉」な原子力を、「ゼロリスクではない」としながらも、引き続き利用・推進し続ける、というものです。

ぜひ一言でも、意見を出しましょう・・・!

★「原子力利用に関する基本的考え方(案)」パブコメ募集:締め切り6月5日(月)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095170510&Mode=0

★原子力委員会の会議資料の中に3ページの「概要」もありますので、参考に。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2017/siryo18/siryo1-2.pdf

FoE Japanからも下記提出しました。

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「原子力利用に関する基本的考え方(案)」に対する意見

2017年6月2日
国際環境NGO FoE Japan

1.           <全体> 福島第一原発事故の甚大な被害、すでにほとんどの原発が停止しており事実的に原子力からの発電から脱している現実、ふくれあがる原発のコストに鑑みれば、完全な脱原発をできるだけ早期に具体化することこそ必要である。 発電という目的について考えれば、省エネルギー、エネルギー効率化、再生可能エネルギーなど、優先すべき具体的手段が多数ある。多大なコストをかけ、また多数の市民の生命ややくらしを脅かすリスクを負ってまで原子力を使い続ける理由はもはや存在しない。原子力の技術は、事故炉の廃炉や放射性廃棄物の管理・処分の目的に限り、継続すべきである。

 

2.           <東電福島原発事故に対する考え方について (p.3、6)>
「国民の原子力への不信・不安に真摯に向き合い、社会的信頼を回復していくことが必須」とされている。しかし、市民が脱原発を望む理由は、単なる「不信・不安」にとどまらない。東電福島第一原発事故では、今なお放射能被害の影響が続いている。故郷を失ったり避難を余儀なくされたりなど多くの人がいまだに精神的・経済的・社会的困難を強いられ、社会的な分断が生じている。 すでに起きている原発事故に対する賠償や対応、収束に向けた道筋も見えないことに対する失望や憤りに対しては、容易に理解を得たり対応をしたりできるものではない。

 

3.           <原子力利用をめぐる環境、コストについて(p.3、11)>
電力小売り全面自由化等により、原子力をめぐる競争環境が変化しているのは事実である。加えて、原子力のコストについて、事故費用や賠償費用、安全対策費用の増大などにより国際的にも上昇していることについても認識し、記載すべきである。 たとえば、東芝の危機は、米原子力企業WHが原因であるし、仏アレバも深刻な経営危機に陥っている。公的な支援なしには成り立たない産業となっている。 「運転コストが低廉」との表現があるが、事故のリスクがゼロでないことを考えればこれも適切ではない。

 

4.           <地球温暖化対策と原子力利用について(p.3、10-11)>
途上国を中心に、世界的に深刻な影響を及ぼしている地球温暖化問題に対し、日本は先進国として真摯に向き合い、現在の目標はさらに上方修正していかなければならない。しかし、その対策として原子力を利用すべきではない。 原子力は、出力調整をしやすい電源ではないため、オール電化や夜間電力利用という形で、節電よりもかえって電力消費を増やしてきた。 省エネルギーと熱・電気の利用形態の見直しも含めたエネルギー効率化、再生可能エネルギーの推進こそ、地球温暖化対策として進めるべきである。 「低炭素電源である原子力に一定の役割が期待されている」との記載は削除すべきである。

 

5.           <国民生活や産業との関係について(p.4、11)>
火力発電の焚き増しや、再エネ固定価格買取制度導入に伴う電気料金の上昇が強調されているが、その原因は、早期に運転コストのほとんどかからない国産エネルギーである再生可能エネルギーへの投資を行ってこなかったことにある。 日本の豊かな資源、また未利用の再生可能エネルギーを活用し、早期に「国産エネルギー(=再生可能エネルギー)」へシフトを進めるべきである。

 

6.           <原子力関連機関に内在する本質的な課題とその対応について(p.5、13-14)>
原子力関連機関に継続して内在している本質的な課題として、事故などの情報共有が遅れたり隠ぺいされたりしてきた問題について、明確に記載すべきである。また国民性や文化をその理由とすべきではない。 原子力事故への対応に対する批判、原子力を維持推進する大きな構造への疑問、原子力発電技術そのものに対する批判、経営体質への批判など、より深く広い社会的課題である。これに向き合うには、原発事故へ対応を抜本的に改革し、将来的な原子力利用について方針転換する必要がある。 インターネットやソーシャル・ネットワーク・サービスによる情報提供など、コミュニケーションの強化により解決できるものではない。

 

7.           <原子力利用の基本目標について(p.6)>
「原子力技術が環境や国民生活及び経済にもたらす便益の大きさを意識して進めることが大切である」とあるが、これは削除すべきである。原子力技術は、多くの課題を抱え、また既に深刻な被害をもたらしている。さらに、これまで「温室効果ガスを出さない」などこれまで便益とされてきたことも、十分に代替する技術やエネルギーがある。すでに発電に原子力を使う理由はない。今ある原子力発電所の廃炉や核廃棄物の管理・処分を安全に行うことのみを目標とすべきである。

 

8.           <ゼロリスクはないとの前提での対策について(p.8-10)>
原子力の被害の甚大さを考えたとき、ゼロリスクはないとの前提に立つのであれば、原子力発電を利用すべきではない。
9.           <原子力防災と自治体・住民の関与について(p.10)>
原子力防災に関しては、原子力規制委員会は、指針をつくっただけであり、審査・確認の対象にしていない。このため、第三者的な目でのチェックが行われていない。事故時の避難についても、現在は30km圏内でしか原子力防災計画が策定されていない。福島第一原発事故の被害状況をみれば、30km以遠の飯舘村も全村避難を強いられた。
その内容は、実効性と程遠く、住民などステークホルダー意見も反映されていない。要援護者など社会的弱者がとりのこされる恐れがあるなど多くの問題点を含んでいる。
また、30km圏内の自治体は、原子力防災計画の策定・実施主体であるのにもかかわらず、再稼働についての意見は考慮されない。
原子力防災の体制については、住民が参加できる枠組みをつくり、原子力規制委員会の審査の対象とし、原発運転の可否と関連づけるなど、抜本的な体制の見直しが必要である。

 

10.      <原子力損害賠償制度について(p.10)>
東電福島原発事故により、現在の原子力損害賠償制度では、過酷事故に対応できないことが明らかとなっている。事故後に原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づき、本来であれば責任を取るべき東電の経営陣および株主などが責任をとらず、国の支援で、賠償と廃炉が行われている。万が一次の事故が起こった際に対応できるよう、原子力事業者の負担金を引き上げる等の必要な措置を講じる必要がある。その際、原子力事業者の責任を明確にし、負担金が託送料金を通じた国民負担となることはあってはならない。

 

11.      <核燃料サイクル、核不拡散について(p.12、13)>
核燃料サイクルは多額の費用と年月をかけていまだ実現しておらず、今後の実現も全く見込むことができない。核兵器転用の可能性のあるプルトニウムを取り出す核燃料サイクルの中止・撤退を宣言し、使用済燃料の直接処分に転換すべきである。 日本は唯一の被爆国として、核軍縮・核不拡散の先頭に立って取り組むべきである。 原子力の「平和利用」が幻想にすぎず、原発は、被ばく労働や原発事故のリスクを伴い、十万年単位での管理を必要とする核のゴミを生み出し、軍事利用への転換の危険がつねにあることを念頭に置かなければならない。

 

12.      <原発輸出について(p.12)>
東電福島第一原発事故の原因究明もできておらず、また事故処理の道筋も見えないなかで、倫理的観点から、また核不拡散の観点から他国への原子力輸出は行うべきではない。事故の教訓そして脱原発への道筋を世界と共有していくことが必要であり、原発廃止や廃炉、再生可能エネルギーや省エネルギーの技術推進に向けた連携こそ行うべきである。

 

13.      <原子力発電所の廃止について(p.15)>
東電福島第一原発の廃炉については、その全体の工程も明確に提示されていないほど、膨大な年月と技術を必要とする作業である。廃炉作業や汚染水対策、放射性廃棄物の処理・処分について、作業員の安全と人権を最大限確保して行われなければならない。 既存の原発の廃炉については、原子力事業者の責任と費用負担で行われなければならない。

 

14.      <現世代の責任による放射性廃棄物の処分について(p.15)>
放射性廃棄物の処理・処分は、まだ方法もその処分地の選定についてもまったく見通せていない。非常に困難なプロセスが予想される。現世代の責任として行うためにも、まずはこれ以上放射性廃棄物を発生させないために、原発利用の停止を決めることが必要である。

原発事故避難者の住宅問題で復興庁と交渉~「国としての責任」を認めるも…

今年3月末に原発事故の区域外避難者(自主避難者)への住宅提供が打ち切られました。

福島県の資料によれば、打ち切り対象12,239世帯のうち、住居が確定した人は12,088世帯、未確定は119世帯。しかし、私たちはこれは過小評価ではないかと考えています。

FoE Japanも参加する「避難の協同センター」には、引っ越し先がみつからず、貯金もつきたなど、困窮した避難者からさまざまなSOSが多くよせられています。

4月に「避難は自己責任」などの発言を行った今村大臣が辞任し、新たに復興大臣に就任した吉野正芳氏は、「支援を求める人がいる限り、最後の一人まで支援する」と述べました。

これは果たして実現するのでしょうか?

5月15日、原発事故避難者の住宅問題に関して、復興庁と交渉を行いました。

復興庁の担当者は、「国としての責任を認識している」と明言。

しかし、相変わらず、避難者の状況把握を福島県に任せている復興庁の姿勢が浮き彫りになりました。私たちは、「最後の一人まで支援する、という吉野大臣の発言を具体化してほしい。大臣と避難者の面談、また復興庁による主体的な避難者の状況把握と対策をお願いしたい」と要請しました。

以下、概略を報告します。

170515_復興庁交渉2

避難者の住宅問題に関する復興庁・厚労省・国土交通省との交渉

日時:2017年5月15日16:00~17:30
場所:参議院議員会館102
主催:避難の協同センター
共催:「避難の権利」を求める全国避難者の会、原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)、原発被害者訴訟原告団全国連絡会

<復興庁への質問>

Q「避難の協同センター」が4月27日付で、復興大臣宛てに以下の要請を行っていますが、その回答をお願いいたします。

1)「原発事故子ども・被災者支援法」の理念を守り、その実現に力をつくすこと
2)避難者の実状把握を急ぐこと。
①現段階で住まいが確定できていない避難者の把握
②家賃支払いや転居費用などで経済的に困っている避難者の実態把握

3)上記の結果を踏まえて、緊急の避難者対策を行うこと。住宅無償提供打ち切りを撤回し、家賃支援を行うこと。
4)被害者の生活再建や被ばく防護策を含む、原発事故被害者救済のための立法を急ぐこと。
5)復興大臣が早急に避難当事者団体・支援団体からの意見聴取を公開の場で行い、施策に反映させること。

また、「復興庁が、福島県が把握している自主避難者の住居の状況や帰還できない理由などを来月の大型連休明けまでに集計、分析したうえで、対応策を検討する」(今村前大臣の4月18日付発言)ということになっていましたが、その結果についてご教示ください。

<回答>

●避難者の数および実情の把握について
・福島県が行っている調査結果を受けとっている。
・今村大臣4月18日発言「復興庁が、福島県が把握している自主避難者の住居の状況や帰還できない理由などを集計、分析したうえで、対応策を検討する」については、復興庁独自の調査などはやってない。
・福島県が、引っ越し先未確定としているのは119世帯(平成29年4月24日発表の数字)。
・この都道府県別/住宅種別データは復興庁としては把握していない。
(→「福島県はこのデータは持っていると言っていた。きいてほしい」と要請)
・転居先を教えたくない避難者もいるので、把握は困難。

●困窮する避難者への対応について
・全国26か所の生活再建支援拠点を設けており、困った避難者が相談できるようになっている。
・自治体やケアマネージャー、臨床心理士などにつなぐ。

●復興大臣と避難当事者との面談について
・復興庁全体として、避難者と会うなど対処する。
・(重ねて要請し、日程調整を求めると)ご意見として承った。復興大臣にご意見があった旨、報告する。

Q. 避難者のカウントについて:2月の交渉時に「避難者については、東日本大震災をきっかけに住居の移転を行い、避難元に戻る意思がある避難者を調査しており、引き続き同様に行う予定である。引っ越したからといって、避難者に含めないということはない。ただし、災害復興住宅に入居した避難者は除外している」と回答している。

1)区域内避難者も含め、災害(復興)住宅に入居し、結果として「避難者」から除外された人は何人か。

2)自治体によっては、当初の借り上げ住宅からの引っ越しを機に、避難者とカウントしなくなっている。結果、自治体によるばらつきが生じると思われるがいかがか。

3)避難元に戻る意思というのは、どのように把握されるのか。

回答:災害復興住宅に入居した世帯数は5325世帯。

引っ越す場合は、福島県に新たな住所を届けてもらうように自治体として言ってもらっている。社協と連携して避難者の情報の把握に努めている。

<厚生労働省への質問>

Q:雇用促進住宅については、所得要件が厳しく、事実上追い出され、行方がわからなくなっている人もでてきている。また、避難当時、雇用促進住宅に入居した人はその後、自治体の独自指針により、公営住宅の専用枠が作られても、応募ができなかった。こうした事実をまずは認識してほしい。雇用促進住宅を所管しているのはどこか?

回答:(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構。
状況については承った。
(生活保護の柔軟な運用を求めると)自分は担当ではないが、担当に確かに伝える。

<国土交通省への質問>

国が子ども・被災者支援法の基本方針にもりこんだ、「公営住宅の入居の円滑化」に ついて、以下について最新の情報を改めてご教示いただきたい。

①公営住宅の確保(県別、住宅種別) ②応募者数、入居決定者数(県別・住宅種別)

回答:公営住宅の入居の円滑化を、「専用枠」「倍率優遇」「その他」で分けている。
3月末時点で、専用枠については、設定1167世帯、応募348世帯、入居256世帯倍率優遇については、応募353世帯、入居28世帯
その他については応募97世帯、入居71世帯。
今後も、ひとりでも多くの避難者の人に利用していただけるため、努力していきたい。

最後に主催者側から、「この場に参加できない避難者の人たちも多くいる。吉野大臣は、最後の一人まで手を差し伸べると言った。これを実現してほしい。国の責任についても認めた。それであるならば、福島県まかせにせずに、国として取り組んでほしい。せめて実態把握を。私たち避難者に会ってほしい」と訴えました。

170515_復興庁交渉

原発の事故賠償・廃炉費用を託送料金で回収? ~議論のその後

2016年度後半、福島第一原発事故の事故処理費用や賠償費用、さらにその他の原発の廃炉費用の一部を、2020年以降託送料金で回収、つまり、すべての電力利用者が負担するという方針が経済産業省より示され、大きな議論が起こりました。

FoE Japanも、パワーシフト・キャンペーンやeシフトと連携し、新電力の声を伝える署名提出パブリックコメントの呼びかけなど活動しました。

その後の議論をお伝えします。

<パブリックコメントの結果は・・>

1月17日まで実施されていたパブリックコメントをへて、2月9日に開催された「貫徹委員会」で若干の修正を加えた「中間とりまとめ」が了承されました。中間、という名前ですが、今後さらに議論があるわけではなくひとまずの結論です。

▼「電力システム改革貫徹のための政策小委員会 中間とりまとめ」
http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/20170209002.html

パブリックコメントでは、1412件の意見のうち、託送料金への上乗せに反対する意見が相次いでおり、委員会の中でも大石美奈子委員から様々な意見を踏まえて継続審議すべきとの発言がありましたが、それ以上の議論はなく(市場整備、インバランス誤算定などの議題が議論の中心を占め)、「了承」されました。

▼パブリックコメント結果はこちら
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620216013&Mode=2

超党派議員が開催する国会エネルギー調査会(準備会)第62回(2月21日)でも、大島堅一氏、金子勝氏、飯田哲也氏から厳しいコメントがありましたが、十分な回答はありませんでした。
FoE Japanも参加し、
・本来は原子力事業者(電力会社)の責任である(このことは政府も認めている)
・電力システム改革の趣旨に反する
・国民の理解を得られていない
ことについて改めて確認・質問しました。170221_資料

▼国会エネルギー調査会(準備会)第62回(2/21)
http://blog.livedoor.jp/gempatsu0/archives/469245.html

<原賠・廃炉支援機構法の改正>

市場整備なども含み広範囲にわたる「中間とりまとめ」の中では、「福島第一原子力発電所の廃炉の資金管理・確保の在り方」として、廃炉に必要な資金を第三者機関に積み立て、その機関が廃炉の実施を管理・監督する新たな制度をつくることが書き込まれました。

このことから、「原子力損害賠償・廃炉など支援機構法の一部を改正する法律案」が国会に提出され、衆議院、参議院での審議を経て、2017年5月10日、参議院で可決されました。「改正原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」が成立し、福島第一原子力発電所の廃炉を実施するために、東京電力ホールディングスに対し、廃炉費用の積み立てが義務付けられました。

衆議院、参議院の経済産業委員会では、この法律案にともない、東京電力の廃炉作業の実態や、福島第一原発事故の現状や賠償について、また「過去分」の考え方、エネルギー政策など広く質疑が行われました。

衆議院経済産業委員会では、3月11日から4月12日まで4回の審査が行われ、4月14日に衆議院本会議可決(経過はこちら

参議院経済産業委員会では4月17日から5回の審査が行われ、5月10日に本会議で可決されました。 (経過はこちら

両院とも、採決の際には共産党議員の反対討論はあったものの「賛成多数」で採択されました。ただ、民進党・付帯決議は提案され、透明性の確保や説明責任、託送料金での回収は今回に限ることなどが書き込まれました。

衆議院 付帯決議   参議院 付帯決議

これを受けて、東京電力ホールディングスと原子力損害賠償・廃炉等支援機構は11日、福島第一原発事故の費用増大などを踏まえた再建計画「新々総合特別事業計画」の認定を国に申請しています。

<廃炉にかかる費用>

廃炉にかかる費用については、2016年後半に「東京電力改革・1F問題委員会」で議論され、現時点で見積もれる範囲の事故費用の総額が21.5兆円、そのうち廃炉費用は8兆円とされました。

しかしこれは、30~40年かかるとされる燃料デブリの取り出しまでのもので、その後の処理費用は見積もられていません。賠償費用や除染費用も、さらに膨らむでしょう。2017年3月7日には、日本経済研究センターから「事故処理費用は50~70兆円になる恐れ」というレポートも発表されました。
この点は、国会での審議でも繰り返し取り上げられ、世耕経済産業大臣も、デブリ取り出し以降の費用は未定であるため、これ以上になることを認めています。

<今回の提案の概要と問題点>

↓東京電力改革・1F問題委員会資料「福島事故及びこれに関連する確保すべき資金の全体像と東電と国の役割分担」をもとに作成

賠償廃炉費用

 

国会の中でも多くの疑問の声が上がったことを共有し、また福島第一原発事故の事故処理や廃炉費用の一部が、2020年以降託送料金で回収されるという事実を認識しながら、市民・消費者として引き続き、エネルギー政策のありかたに声をあげていく必要があります。

(吉田明子)

「日印原子力協定」ここが問題!

現在、日印原子力協定批准に関する審議が国会で行われています。
問題点を整理しました。見やすいパワーポイントでのまとめはこちら→日印原子力協定の問題点

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<現在の状況>
2016年11月に日印両政府が日印原子力協定に署名
2017年4月より国会にて批准可否の審議中

<論点>
二国間原子力協定は、「核物質,原子炉等の主要な原子力関連資機材及び技術を移転するに当たり,移転先の国からこれらの平和的利用等に関する法的な保証を取り付けるために締結するもの」とされています(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/atom/topics/jyoyaku.html)。つまり原発を輸出する際、日本には輸出国として、輸出した資機材が相手国によって軍事転用をされないようにする責任があると言えます。
さらに、現在の制度では、原発輸出にの際には「原子力施設主要資機材の輸出等に係る安全配慮等確認」を内閣府が実施することになっています(http://wwwa.cao.go.jp/oaep/)。つまり、相手国側が原発を運用する際、適切に安全配慮を行なっているかどうかを、確認する責任があるのです。

何世代にも及び核のゴミを残し、一度事故が起これば取り返しがつかない原発を利用することは、そもそも倫理的にも社会的にも問題です。それでなくても、現在議論されている日印協定及びそれを取り巻く状況は「インドが原発運用に関し安全に配慮し、かつ軍事転用しないことを保証する」ものではありません。簡単に解説していきます。

問題点その1:軍事転用を防げない
そもそも、インドは核兵器開発を行っており、核不拡散条約(NPT)にも加盟をしていません。日本はこれまで、中国を除き(現在は加盟国)、核不拡散条約に加盟していない国との原発協定を結んだことはありませんでした。核廃絶を国是とする日本が、事実上核兵器国のインドと原子力協定を結ぶことには被爆地からも強い反対の声がありました。
また、インドはもともとカナダの原子力協力より得た、技術や核物質を使って核開発を行ったという経緯があり、そこから原子力技術の輸出側は、軍事転用を防ぐためにの紳士協定を取り決め(原子力供給国グループ、NSG)、NPTに加盟していない国との協力は原則行わないというルールをもっていました。(この背景については→http://www.foejapan.org/energy/export/pdf/India_Nuclear_FS_Short_Revised.pdf

協定を結ぶ上で大きな論点となったのは「インドが核実験を行った場合、協定を停止する」ことを条文に盛り込むかどうか、そして再処理を認めるかどうかでした。後者の再処理については認めてしまいました。そして、そもそも、(核実験を行ったときに行動を起こすのではすでに遅いのですが…)現在議論されている原子力協定の14条(http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000202918.pdf)にはこう書いてあります。

14条「…協定の下での協力の停止をもたらし得る状況が、安全保障上の環境の変化についての一方の締約国政府の重大な懸念 から、又は国家安全保障に影響を及ぼすおそれのある他の国による同様の行為への対応として、生じたものであるか否かについて考慮を払うことを合意する。」

協定には「核実験したら停止」とは明確に書いていないばかりか、実験の理由によっては停止しないような含みさへ持っているのです。たとえば、インドとパキスタンは軍拡競争を行っており、二国間関係も良好ではありません。パキスタンが核実験を行った場合、インドがこれは重大な安全保障条の環境変化だと主張することは大いに考えられるのではないでしょうか。

さらに、協定の本文とは別の付属文書である「公文」
(i) 2008年9月5日のインド外務大臣の声明(「民生用原子力イニシアティブに関するプラナーブ・ムガジーインド外務大臣の声名」)が基礎
(ii) この基礎になんらかの変更があった場合停止手続き可能
(iii)この声名からの深刻な逸脱がみられる場合、再処理停止

としています。このiにある、インド外務大臣による声明には、核実験のモラトリアムだけでなく核軍備競争を含むいかなる軍備競争にも参加しないこと、核の先制不使用、なども含まれていますが、日本政府は「インドが核実験を行った場合には協定を終了する」と説明しており、非常に曖昧で不安定な協定であると言わざるをえません。

なお、いままでトルコ、ヨルダン、ベトナムなどとの原子力協定においては、日本が協力した施設等からの核廃棄物の再処理は、基本的には認めておらず、両国の合意が必要としており、トルコの原子力協定をめぐる国会での答弁では、日本は同意しないとしていました。これは再処理によって、軍事転用可能なプルトニウムが取り出されることによるものです。

しかしインドとの原子力協定においては、再処理を認めてしまっています。

問題点その2:インドの原子力安全体制は不十分 日本の安全確認の仕組み形式的
日本は、福島の原発事故を防げませんでした。インドはどうでしょうか。
インドでは現在20基ほどの原発が稼働していますが、1998~2010年の間に少なくとも年間21回から54回に及ぶ事故件数(Ramana 194)があると報告されています。

また、日本の原発事故の反省でも大きな焦点だった、原子力を規制する組織の独立性についてですが、インドの原子力規制委員会(AERB)は原子力省から独立していないと指摘されています。IAEAのレビューでも、AERBの独立性が問題視され、改善が促されています。

さらに、日本が原発を輸出する際に、3・11前から原子力安全保安院が「安全確認」を行っていました。3・11以降、原子力安全保安院がなくなりましたが、原子力規制委員会はこの業務を引き継ぐことを断り、結果的に内閣府に「「原子力施設主要資機材の輸出等に係る公的信用付与に伴う安全配 慮等確認に関する検討会議」が設けられました。
新たに設けられた検討会議は、以下の点を確認するとしています。(>要綱

1 相手国・地域が安全規制を適切に行える体制等を整備していること
2 国際取り決め等を受け入れ、遵守して いること
3 輸出する機器等の製造者が、品質確保や保守補修および関連研修サービスを適切に行っていくこと

しかしこの調査は、イエス・ノー方式で質問票を埋めるもので、主体的に安全性を確認するものになっておらず、質問票の内容も原子力安全条約やIAEAの総合規制評価サービスの受け入れなどをきくのみで、極めて表面的なものです。また核不拡散条約(NPT)や包括的核実験禁止条約(CTBT)など、核不拡散を担保するような条約が質問票の項目にはいっていません。
また、事業ごとの立地や事業特性などを確認するようなものにはなっていません。公開は、事後的に「議事要旨」のみで、透明性にも問題があります。さらに、インフラシステム輸出戦略を所管する、つまり原発を推進する主体である内閣府を中心とする体制では中立性は担保されません。

ちなみに、この確認内容は、3・11前に原子力安全保安院が行っていた内容とほぼ同等ですが、一定の専門性を有していた原子力安全保安院ではなく、内閣府が行うこと、15億円以上の事業は対象外にすることなど、実質は後退しています。

 

それ以外の重要な論点
FoE Japanでは2015年にインドを訪問し環境活動家や原発に反対する地域住民、ジャーナリストらと意見交換を行いました。インドでは情報公開も進んでおらず、原子力技術が核兵器技術と密接に関わっていることから、情報公開を要求してもほとんど情報が得られないそうです。

原発が立地する各地では、市民が命がけの反対運動を展開しています。私たちがあった人々も日本にはインドへの原発輸出をして欲しくないと話していました。

また、原子力などの大型インフラを輸出する際には、公的資金の動員も予想されます。国際協力銀行(JBIC)および日本貿易保険(NEXI)は現在、原発輸出にかかる指針を策定している最中ですが、その指針の内容は情報開示のみに限定され、事業における安全配慮確認については前述のように内閣府の確認は「ざる」であるのにもかかわらず、政府まかせになりそうです。

私たちの税金が、こういった持続可能でなく地元の人が反対しているようなプロジェクトに使われるのは問題ですし、なにより福島事故が収束していない中、日本が原発輸出を進めることは非倫理的であると言わざるをえません。

私たちは強くこの協定に反対していきます。

ジャイタプール

(ジャイタプールの女性らによる原発反対集会)

 

吉野新復興大臣に要請~避難者に向き合って!

記者会見_復興大臣交代に際して_2

復興大臣の交代を踏まえ、本日、避難者支援を行っている「避難の協同センター」は、以下の要請書を吉野正芳復興大臣宛てに提出しました。


2017年4月27日

復興大臣 吉野正芳 様

 

【要請書】避難者の実態に向き合い、「人」を大切にする政策への転換を

このたび今前村復興大臣が、東日本大震災に関連し、「東北で良かった」という趣旨の発言を行い、その後、被災者を傷つける発言をしたとして、復興大臣を辞任しました。

一連の今村前大臣の発言は、人に向き合っておらず、ハコモノ・インフラ建設にのみ注力する「人間なき復興政策」の表れではないかと考えます。また、今回の今村大臣の発言は地震・津波に関するものであるととれますが、原発被害に関しては、現在に至るまで、危険と被害が地方に押し付けられ、大都市圏が利益のみを享受するという歪んだ構造が存在していることを認識すべきだと考えています。

私たちは、今月4日の「自主避難者が福島に帰れないのは本人の責任である。基本は自己責任。裁判でも何でも,やれば良いではないか」という発言に抗議し、復興大臣の辞任を求めるとともに、避難者を切り捨ててきた政策の転換を求めて、復興庁に申し入れを行いました。

2012年6月に自民党・公明党も含む、全国会議員の賛成のもとに制定された「原発事故子ども・被災者支援法」は、「放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分解明されていない」(第一条)と明記しています。国の「これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任」(第三条)についても明記し、「居住」「避難」「帰還」の選択を被災者が自らの意思で行うことができるよう、医療、移動、移動先における住宅の確保、就業、保養などを国が支援するとしています。しかし、これらの理念は、ほとんど具体化されていません。

私たちは改めて吉野正芳新大臣および復興庁に対して、以下を求めます。

  1. 「原発事故子ども・被災者支援法」の理念を守り、その実現に力をつくすこと
  1. 避難者の実状把握を急ぐこと。
    ①現段階で住まいが確定できていない避難者の把握
    ②家賃支払いや転居費用などで経済的に困っている避難者の実態把握
  1. 上記の結果を踏まえて、緊急の避難者対策を行うこと。住宅無償提供打ち切りを撤回し、家賃支援を行うこと。
  1. 被害者の生活再建や被ばく防護策を含む、原発事故被害者救済のための立法を急ぐこと。
  1. 復興大臣が早急に避難当事者団体・支援団体からの意見聴取を公開の場で行い、施策に反映させること。

以上

避難の協同センター

3.11を忘れない~福島第一原発事故から6年

311日、東京電力福島第一原発事故から丸6年を迎えました。3月末には、帰宅困難区域を除き、飯舘村や浪江町、富岡町などの避難指示が解除されました。

また、災害救助法に基づいて各都道府県が自主避難者に提供していた住宅支援も3月末で打ち切られました。

FoE Japanでは310日、福島原発事故から6年の節目にシンポジウムを開催し、福島にくらす方々の声や、「復興」の名のもとに進められる帰還政策の課題を共有しました。

福島原発告訴団の武藤類子さんからは、困難を極める福島第一原発の廃炉作業や除染の実態について、また福島県内の複雑な状況を共有いただきました。自治体などの帰還圧力の中、県や市町村の職員の自死が20164月からの1年で9人となったという悲痛な状況が伝えられました。

被ばく労働を考えるネットワークのなすびさんからは、過酷な廃炉作業労働者の実態が伝えられました。重層下請けによりわずかな危険手当で、健康管理手帳の対象外で、がんなどにかかった際にも健康診断の無料受診さえ対象外です。

事故直後関西に母子避難し、2016年春に福島に戻ったお母さんは、差別やいじめも受けた避難先での生活は限界を超えていたといいます。

福島市に住み、2016年から家族が避難生活をはじめたお父さんは、自ら向き合って選択することの重要性、そして家族と離れてくらす寂しさを語りました。

小学生のときから保養に参加し、今ではスタッフとしても保養プロジェクトに参加している高校生は、ドイツでの経験交流で原発事故の怖さや被ばく労働する作業員の現状を目の当たりにし、日本でも現状を正確に学ぶべきだと訴えました。

 

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200名以上の参加者が耳を傾けました。

 

FoE Japanが主催している福島ぽかぽかプロジェクトは、福島に住む親子が週末に滞在し、自然の中で思い切り遊び、普段話せない思いを語り合う貴重な場となっています。

「お母さんたちが安心して思いを吐き出せる場でありたい」ぽかぽかプロジェクト担当の矢野は語ります。

 後半には、立命館大学(当時)の大島堅一さんから、増大し続ける原発事故のコストと、東京電力が責任を負わないまま国民負担とされようとしている現状を共有しました。原子力発電については、国による保護策が次々とつくられています。

FoE Japan吉田からは、電力システム改革と電力小売全面自由化の中、誰でもができる意思表示としてパワーシフト・キャンペーンを紹介しました。

4月、住宅支援の打ち切りで帰還や引っ越し、やむを得ず経済的負担を負わざるを得なくなった方々がいます。自主避難を自己責任と切り捨てる復興大臣の発言が問題となりましたが、現状は「自己責任」の避難ではありません。
生の声を聞くこと。福島原発事故を忘れないために、そして行動するために、貴重な機会となりました。

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                                                                                                                           (吉田 明子)

 ▼シンポジウム「3・11を忘れない〜福島から未来へ」3/10http://www.foejapan.org/energy/evt/170310.html

▼声明:福島原発事故から6年~国策が被害者を追いつめる
http://www.foejapan.org/energy/library/170310.html

 

「3・11甲状腺がん子ども基金」による患者アンケート~結婚や治療費、就職に悩み

3・11甲状腺がん子ども基金」(※)では、昨年12月から今年3月まで、原発事故当時4~18歳の81人の青少年に対して療養費の支援を行い、4月11日に療養費給付のまとめおよびアンケート調査結果を発表しました。

療養費支援を行った81人の県別の内訳は、福島県58人、神奈川県4人、宮城県・埼玉県・東京都が各3人、長野県が2人、秋田県・岩手県・群馬県・茨城県・千葉県・新潟県・山梨県・静岡県が各1人となっています。男女比は、男35人、女46人。事故当時4歳が2人、5歳が1人。

81人のうち10名が肺転移などにより、アイソトープ治療を行っていました(福島県内2名、県外8名)。また、5名の再発例がありました(いずれも福島県内)。

県民健康調査を介して、がん が見つかり手術を受けた 4 歳児は、「県民健康調査」検討委員会が発表している合計数には 含まれていないことが明らかになりました。県民健康調査で「経過観察」となった子どもたちは、その後甲状腺がんと診断されても、県が公表している数値には含まれておらず、実情を反映していないことが問題となっています。

「基金」では、療養費を給付した子どもたちの治療環境や生活の質の改善につなげるため、アンケートを実施しています。このたび公表されたアンケートからは、結婚や治療費、就職などへの悩み、周囲の人たちに病気について打ち明けていない状況などが明らかになってきています。また、4人に1人が予定していた計画(進学・就職など)を変更・断念したと回答しています。

以下、「3・11甲状腺がん子ども基金」が集計したアンケート結果の抜粋です。

【回収期間】2017年1月〜4月1日
【対象者】「手のひらサポート」受給者72家族
【回答数】68人(回答率95・4%)

甲状腺がんと診断されて悩んだことを尋ねたところ、「結婚」と答えた人が35人と最も多く、全体の51.4%を占めた。次いで「学業」と「治療費」が33人(48.5%)、「就職」が30人(44.1%)となった。その他、「甲状腺癌の再発」「将来の自分の健康」「がんに伴う健康不安」「他の臓器への転移」「手術への不安」「手術後の傷跡」といった病気や手術に伴うもののほか、「精神的な影響」「母親の健康不調で、子どもの癌を手術直前まで告知できなかった」「いつ死ぬのか」「自分だけがなぜと悩んだ」といったがん特有の不安、「仕事を続けられるかどうか」「対人関係において理解が得られないことがあるかもしれない事」といった社会的な不安も挙げられた。

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甲状腺がんと診断された後、進学や就職など予定していた計画を変更したり、断念した経験があるかとの質問については、約25%にあたる17人が「ある」と回答した。

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診断結果を誰に伝えているかという設問には、子どもが甲状腺がんとなっている事実を多くの人に話していないことが見て取れた。家族内では共有していない家庭が1家族あり、また半数の家族が「親戚」にも話していなかった。

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医師や医療機関へ対する要望については、予約が取れない、手術までの待機時間が長い、診察待ち時間が長い、説明が不足しているといった声が多数あった。

<以下意見の抜粋>

・ 見逃しのないよう検査レベルを上げてほしい。事故から30年は検査を勧めてほしい
・ 福島県外で県民健康検査を受けてがんの疑いと思われる場合、早めに検査結果を確認して次へ進めるようにしてほしい。県外で検査した場合すぐに治療に進むのではなく、福島からの判断待ちで先に進めない。もっと早く治療できたはずなのに、とても残念。・ 癌と診断されてから手術までがとても長くつらかったので、早く手術できるようにしてほしい
・ 近くの病院に手術担当医が来てくれるが、月1回なのでなかなか予定が合わない。
・ 診察日等、医療側に合わせて通院のために仕事を休まなければならない点で苦労している。
・ 定期検査が半年に1回あるが、病院がとても混んでおり、ほぼ1日近くかかってしまう。
・ 予約で行ってもいつも混んでいて1日がかりになってしまう。
・ RI治療を行っている医療機関が少ないのでもっと増えるといいと思う

転院やセカンドオピニオンについての設問では、半数の患者が、転院やセカンドオピニオンを検討したり、実際に行ったと回答した。転院した理由は、通院の利便性のほか、治療や診療に対する課題から転院を選んだ人がいた。 転院やセカンドオピニオンを検討しながらも、経済面や医師への遠慮、時間的な問題などから、実施できずにいた患者も一定数存在していた。

通常のがんであれば、ここまで秘匿されなかったかもしれませんが、甲状腺がんが原発事故による被曝により引き起こされたかもしれないこと、福島県内で被ばくに関して語ることが困難な「もの言えぬ」空気が、より一層、患者たちをおいつめ、甲状腺がんであることを周囲に打ち明けられない状況にしたと考えられます。

※FoE Japanは「3・11甲状腺がん子ども基金」の設立準備を支援しました。現在はFoE Japanの満田が理事に加わっています。