【COP26 vol.7】COP26-各国は口約束だけに終わらず脱化石燃料を加速させることができるか?

英国・グラスゴーで開催されているCOP26の5日目にあたる11月4日はエネルギーをテーマに議長国の主催イベントなどが多数開催されました。また、11月11日にはコスタリカとデンマークの主導で「Beyond Oil and Gas Alliance(BOGA)」という石油・ガスの新規開発許可の停止を求めるイニシアチブも発表されます。COP期間中の化石燃料をめぐる動きをまとめます。

「脱石炭」

英国とカナダ政府は2017年にPowering Past Coal Alliance(PPCA、脱石炭同盟)を立ち上げ、各国に脱石炭の加速を求めてきましたが、この日、新たに英国政府のイニシアチブにより「Global Coal To Clean Power Transition Statement」が発表され、これには40カ国以上が賛同しました(一部の国は部分的に賛同)。

この声明は、署名団体に対し

  1. クリーンエネルギー利用とエネルギー効率強化を加速させること
  2. 主要な経済大国は2030年代(のなるべく早い段階)に、それ以外の国についても2040年代(のなるべく早い段階)排出削減対策の講じられていない石炭火力発電(CCSのついていない石炭火力発電)を廃止していくこと
  3. 新規石炭火力の建設や、許可を止めること
  4. トランジションのための国内外での努力を強めること

などを求めています。

声明にはベトナムや韓国、インドネシア(条件付き)も賛同を示しています。ベトナムやインドネシアは日本が多くの石炭火力発電所の輸出をこれまで行ってきた国なので、今後どのように脱石炭に取り組むのか注目されます(注:インドネシアは移行に関する1、2、4に賛同したのみで、新設中止等には賛同していない。)。(声明全文と署名した国名のリストはこちら、Japan Beyond Coalによる日本語訳はこちら​​)

一方の日本政府は、国内の石炭火力発電を廃止する計画を持たず、かつ海外への輸出支援も止めていません。海外へ石炭火力発電事業を輸出する際の公的支援は2021年末までに止めるとしていますが、インドネシア・インドラマユ石炭火力発電事業とバングラデシュ・マタバリ2石炭火力発電事業はいまだに例外扱いし、国際協力機構(JICA)による支援の可能性を残しています。

国内外の環境団体の連合であるNo Coal Japanは、依然遅れを見せる日本政府の姿勢に抗議し、COP26の会場近くでアクションを行いました。

インドネシア環境フォーラム(WALHI)のメンバーでCOP26に参加しているアブドゥル・ゴファルは「インドネシア政府は供給過剰を理由に、インドラマユ石炭火力発電事業を電力供給事業計画(2021〜2030年)から除外しました。同発電所が2030年まで不要であると明確に認めているのです。日本政府は今すぐ決断し、インドラマユ石炭火力発電事業をもう支援しないとはっきり表明するべきです。」と指摘しています。また、「インドラマユでは事業に反対する人々が身に覚えのない罪で収監されるなど深刻な人権侵害が起きています。また火力発電所は大気汚染の主要な原因で、住民の健康や生活を脅かしています。インドラマユの人々に連帯を示したいと思います」と話しました。

イギリス議長国は、石炭からクリーンエネルギーへの転換を支援するための資金支援プログラムなども発表しました。つい先日もアジア開発銀行が、石炭からの転換を促進する新たなプログラム(ETM、Energy Transition Mechanisms)を発表し、これには日本政府が一番に支援を発表しています。

石炭から持続可能でクリーンなエネルギーへの転換はとても重要なことであり、石炭火力発電所の早期廃止などを支援することも重要です。しかし、誰をどのように支援するのかについて、十分かつ開かれた議論が必要です。これまで不必要な石炭火力発電所を建設し続けてきた大企業やそれを支援してきた金融機関は、現地の電力公社と長期の電力購入契約を結んだり、公的資金のバックアップを受けたりすることで、さまざまなリスクを軽減しながら石炭火力発電事業への投融資を続けてきました。エネルギーを転換していく中で、途上国の市民への影響やリスクの回避が必要なことはもちろんのことですが、クリーンエネルギーへの移行を支援するためのメカニズムが、石炭火力の早期廃止に伴う座礁資産化などのリスクを本来負うべき大企業や銀行の救済になってしまわないかという懸念も考慮されるべきです。

化石燃料事業への直接的な公的支援を停止

議長国によってエネルギー・デーに指定されたこの日、石炭以外のエネルギーに関しても新たなイニシアチブが発表されました。

英国政府は、2022年末までにエネルギーセクターにおける、排出対策が講じられていない(=”unabated”、通常はCCUSが設置されていないものを意味する)全ての化石燃料事業について直接の公的支援を止めること含むイニシアチブを発表し、これには化石燃料産業への依存の大きいカナダやアメリカも賛同しました。

(賛同リストはこちら

日本は、G20の中でも最も多くの公的資金を化石燃料開発に注いでいます。先日発表されたFoEUSとオイルチェンジインターナショナルの報告によれば、2012年以降、日本の支援実績はG20中2番目に大きいことが報告されました。

COP26直前にも、日本の公的機関である国際協力銀行(JBIC)がLNGカナダターミナル事業への融資を決定しましたが、気候危機に立ち向かう世界の「脱化石燃料」の取組みを無視し続けている日本の姿勢には国内外から抗議の声が上げられています。

海外における化石燃料事業への公的支援停止は必要なステップですが、声明に賛同を表明したカナダやアメリカは国内での化石燃料開発も大規模に行われています。国内における開発についても規制を強めて行くことが必要です。また声明には例外規定も設けてあり、これらの抜け穴を閉じる必要もあります。また議長国英国の足元でも、スコットランド・カンボオイルフィールドの開発が今まさに進められようとしており、現地のNGOや活動家、市民から英国政府の欺瞞を指摘する声があがっています。

そんな中、11日にはコスタリカとデンマークによるBeyond Oil & Gas Alliance (BOGA、国内における化石燃料開発許可の停止を求めるイニシアチブ。)が正式にローンチされる予定で、会場で記者会見が行われます。

今回のCOPではさまざまな「アナウンスメント」がありました。これらは全て国連の気候変動交渉の外で行われています。前向きな政治的決意と捉えられる一方で、こういった「声明」や「アナウンスメント」がただのアナウンスメントで終わってしまわないよう、各国がしっかりと約束を果たすよう、今後も監視し、行動を求めて行く必要があります。

(深草亜悠美)