未来のために、今できること!

初めまして、FoE Japanでインターンをしている文京学院大学の松田です。

2か月間の活動を通して学んだことを紹介します。

インターンを始めるまでは環境問題に関してはあまり詳しくなかったのですが今回の活動の中でたくさんの事を学びました。

 

まずは原発事故について、現在では毎年3月に数回テレビで特集をやるくらいで自分の中では原発事故の被害はもうないと勝手に思い込んでいました。しかし、実際にはまだ何も解決しておらず中には住宅支援を打ち切られた地域もあります。被災地の現状は自分が思っていた以上に深刻であると思いました。

 

このような現状をどうすればいいのかを考えた時に、こういったことを自分の事のように考える「自分ごと化」をしていくことが重要であると学ばせていただきました。

 

2月12日に議員会館で原子力市民員会の「自分ごと化会議in松江」から学ぶ経験と課題に参加させていただきました。これは過去に島根県松江市で行われた原発の問題について議論した会議で無作為抽出で選ばれた市民21人と学生5人が参加しました。この会議の狙いは市民が原発を自分の事として考えることが狙いであってここでは「自分ごと化会議in松江」の仕掛け人である中央学院大学教授の福嶋さんと市民エネルギーとっとり代表の手塚さんに話をしていただきました。個人的には原発事故を自分の事として考えるという事はとても斬新だと思いました。まずは原発事故への関心を持ってもらうためには自分のことのように考えて想定してくことが大事だと学びました。

 

2月11日に参加したパワーシフトシンポジウム「自然エネルギーで社会をゆたかに」では石油ガスやバイオマスが環境に及ぼす影響について学びました。TERA Enargy、みんな電力などの今まで聞いたことのない企業があり、その企業の方々の話を聞くことができました。エネルギー問題は私達一人ひとりの課題であってをこれを解決するためには再生可能なエネルギー(太陽光など)を選択する必要があります。一人でもできることは十分にあるのでしっかりと電気を選んで環境に負担をかけないようにしたいです。

 

八王子市の宇津木の森での里山プロジェクトに2月と3月に1回ずつ参加しました。

ここでの作業は薪割りやキノコ(しいたけとなめこ)のコマ打ちでした。

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きのこのコマ打ちは特に大変な作業でドリルで直径1センチほどの穴をあけてからその穴にきのこの種をハンマーで叩いて植えました。(白い部分がきのこの種です。)

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上の画像のようにスギの葉を丸太の上に全体に覆い被せます。

スギの葉をかぶせる理由はきのこに他の細菌が入らないようにするためだという事です。

 

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最終的には上の画像のように丸太が全く見えなくなるまでスギの葉を覆い被せます。

周りの方と協力しながらの作業で終わった後の達成感を味わうことができました。

ちなみに、しいたけとなめこの収穫時期は今から2年後の秋だそうです。

どちらも大変な作業でしたが人の手によって自然と手入れして保全することがどれだけ大切なのかを学びました。ライフスタイルが変わった今では自然とのつながりは薄れかけているのでそのつながりを作るために、実際に自然と触れ合うことができることは非常にいい経験になりました。

 

全体を通して、今までは環境問題を解決するためには具体的にはどうすればいいのかよく分かりませんでした。今回のインターンで各種イベントや保全活動に参加をして自分にもできることがあるということを学びました。まだ分からないこともありますが、自分なりに勉強をして知識を身につけたいです。またそれを私の周りの人に共有することを目標にしてこれからも自分なりに環境問題の解決策を見つけていきたいと思います。

 

 

(松田)

日本にもあった違法伐採!! 波紋拡がる宮崎県の盗伐事件(7)

第三回 宮崎市大字吉野字深坪(その3)

2020年1月27日、宮崎県の盗伐問題に関して3件目となる裁判の判決が出ました。森林法違反(森林窃盗)の罪に問われた伐採業者「黒木林産」社長の黒木達也被告に、懲役1年、執行猶予4年の有罪判決(求刑懲役1年6か月)が言い渡されました。弁護側は「伐採は故意ではなかった」と無罪主張していましたが、今澤俊樹裁判官は「主張は不自然不合理で故意があったと認められる」と述べたそうです。なお黒木達也被告は即日控訴しました*1
また4件目となる宮崎市加江田の山林で所有者に無断でスギを業者に伐採させ盗んだとして、森林法違反(森林窃盗)などの罪に問われている林業仲介業の富永悟被告の判決公判が、2020年3月4日宮崎地裁(下山洋司裁判官)で開かれ、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役3年6か月)が言い渡されました。下山洋司裁判官は「狡猾で手慣れた犯行で常習性もうかがわれる。立木取引に対する社会的な信用を害した程度は大きく、犯行結果は重大」と指摘。一方「事実を認め、山林所有者に損害弁償の申し出をしている」などと量刑理由を述べたそうです*2

今回は宮崎県盗伐被害者の会会員の矢野育教さんの事件を紹介します。矢野さんの被害林地は、前回、前々回で紹介した川越員さんの被害林地の隣で、同じ事件の被害者です。
※今回も被害当事者の川越員さん、矢野育教さんのご了承を得て、実名で記述しております。

被害林地概要
矢野育教さんの被害林地は宮崎市大字吉野字深坪135、136番地です。この林地は矢野さんご自身で植林をされ、植林後15年くらいは下刈り、間伐の手間をかけてきたそうです。林地面積は1反(約0.1ha)で林齢は約50年。
そして矢野さんは被害に遭う半年くらい前に、この林地の立木売買契約について照葉林業に相談をしており、その際に隣接地との境界に白いテープを巻いていました。つまり所有者のみならず、外部者からも境界は明確であったと考えられ、ましてや伐採業者のK林業が気付かなかったはずがない状態だったと矢野さんは言います。

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図 盗伐被害地の様子
注:Y氏名義の伐採届には128-1, 129, 141(Y氏所有地), 130-1(川越員さん所有)が記載されていた

2014(H26)年11月~12月に被害に遭った矢野さんの林地は、現在、降雨などの影響もあり陥没してしまいました。昔はすり鉢状のきれいな林地だったそうですが、大型重機による乱暴な伐採施業の跡ゆえ、「元のまともな状態には戻らないだろう。竹も侵入してしまっているため、自分で再び植えるということもできない」と矢野さんは無念さを噛みしめます。

友人の知らせで盗伐被害を認識
矢野さんが盗伐被害を知ったのは、友人が自宅を訪れたときでした。「お前は木を売ったのか?お前の林地、えらい明るいぞ」。それを聞き、すぐに林地を見に行ってみるともう一本もなかったそうです。林地の近隣の人に聞いてみると「数日前にはまだ何本か残っていたよ」。川越員さん同様、矢野さんも伐採後間もなく盗伐被害に気付いたのでした。

2014(H26)年11月、川越員さんご夫妻が岩村、松本らと伐採現場にて対峙した際、矢野さんもその場にいました。矢野さんは岩村・松本に対して「I氏と話をした際、私の名前は出なかったのか?私の林地がここにあることをなぜ認識できなかったのか?」と質問したところ、岩村・松本はI氏から「西のほうのこのくらいがうちの山だろう」という説明を受けたのみで矢野さんの林地のことは「わからなかった」。矢野さんによれば、矢野さんの林地とI氏の林地との真ん中に旗が立っていたのですが、I氏はそもそも林地の境界を全然把握していなかったため、「その旗の西側がこっち(I氏の林地)だろう」とあいまいな感じで岩村・松本に伝えたのであろうと推測しています。
一方、川越員さんによれば、員さんはK林業(児玉林業)に名前入りの地籍図を渡しているので、「伐採時にK林業がわからないはずはない」と言っています。さらに伐採時にK林業が、矢野さんの林地の境界に巻いてあった白テープに気付かないはずがありません。明らかな故意の盗伐行為だったと考えられます。

難航した情報開示請求
矢野さんの被害林地の伐採届出書等に関する情報開示請求に関しても、結果の通知書が手元に届くまで長い道のりでした。2017(H29)年夏に、矢野さんが所定の手続きにより開示請求を宮崎市に提出しました。しかし待てど暮らせど通知書が届かないため、市役所に何度も電話や直接足を運んで確認をしたのですが、宮崎市や市民情報センターは「発送した」と回答するのみでした。結局、請求から約1年が経過した2018(H30)年7月19日、ようやく個人情報不開示決定通知書が届いたのでした。不開示の理由は「開示請求のあった矢野育教に係る宮崎市大字吉野深坪135、136の伐採及び伐採後の造林の届出の事実がないため」、いわゆる無届伐採でした。

まとめ
矢野さんは2014(H16)年11月頃に無届による盗伐の被害に遭いました。この盗伐には少なくとも岩村・松本ら仲介業者とK林業が関与していることは判明しており、有印私文書偽造や無届伐採であったことも確認されています。しかし森林法違反(森林窃盗)の時効は3年ゆえ、今となっては現行法体制において、彼らの刑事罰を追求することが困難な状態です。
被害に遭った林地は、植林から下刈り、間伐などの手入れ期間を経て50余年が経ち、ようやく収穫期を迎えていました。それが白昼堂々、林地丸ごと窃盗被害に遭い、上物の立木のみならず林地内を大型重機でめちゃくちゃにされ、警察に被害届を出したにも関わらず、ほぼ門前払いを食らい、挙句の果てに関与した伐採業者は「俺が盗伐した」と被害者に対して公言すらしている始末。被害者の矢野さんでなくても納得いく話ではありません。
盗伐被害者の会会長の海老原さんは「行政側は時効を待っているのではないか」とも考えています。「たとえ被害者が相談に来ても時間稼ぎのために門前払いによって対応を拒否し、社会的弱者の部類に入る高齢者に対しても特別な配慮はしないことを徹底。普通なら“かわいそう”、“ 気の毒”といった感情を期待したいところながら、それらは県、市、警察の対応に微塵も感じられない」と語気を強めます。

本稿の冒頭で触れましたが、有罪判決まで到達した4件は極めて稀な事例で、それ以外に捜査の手が及んでいない無数の盗伐事例があります。被害者の方々は行政、警察、検察などの公的機関からぞんざいな対応を受け、ほとんどの被害者は泣き寝入りをしてきました。しかし民法724条で不法行為による損害賠償請求の期限は20年とされており、刑事罰は問えないものの、盗伐犯を法的に追及する機会は残されています。現在、宮崎県盗伐被害者の会会員数は103家族。声をあげる被害者は増えています。彼らの声を国政にまで届けられるよう、今後も盗伐事件の全容解明に向けて取り組んでいきます。(三柴淳一)

*1 毎日新聞2020年1月28日, 地域面(宮崎), p21.
*2 宮崎日日新聞2020年3月5日紙面
過去の記事
> 第一回 宮崎市瓜生野ツブロケ谷(その1)
> 第一回 宮崎市瓜生野ツブロケ谷(その2)
> 第二回 宮崎市高岡町花見字山口(その1)
> 第二回 宮崎市高岡町花見字山口(その2)
> 第三回 宮崎市大字吉野字深坪(その1)
> 第三回 宮崎市大字吉野字深坪(その2)
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