環境と社会ー構造的問題に対するオルタナティブを模索すること

ニュースレターやブログなどを通じFoEの活動は見えてきても、スタッフの姿は見えないことが多いと思います。どんな人がFoE Japanで働いているのでしょうか?なぜFOEに?
インターンスタッフに3名の職員をインタビューをしてもらいました。

第三弾は気候変動・開発金融と環境・福島支援と脱原発チームの深草亜悠美です。

FoE Japan では何をされていますか?

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一番右が深草

最初は、原発問題を中心に活動していて、原発輸出や国内の再稼働を止める為のキャンペーンに携わっていました。現在もこれらのキャンペーンにも関わっていますが、石炭を含むエネルギー問題と気候変動に関するキャンペーンも行なっています。
エネルギー分野では、石炭火力発電所の海外輸出を止めるキャンペーンを行っています。石炭火力には、持続可能なエネルギーではなく大気汚染や気候変動を加速させているという点の他に、開発が行われる現地では社会影響や人権侵害が起きているという問題もあります。
気候変動に関しては、単なる温度上昇だけではないと思っています。近頃、気候変動による影響が大きくなって来ているのが日本でも実感されますが、歴史を振り返れば、日本を含む先進国が温室効果ガスを大量に排出して発展して来たという背景があり、今なお多くの温室効果ガスを排出しています。その一方で、途上国や貧困層の人々の受ける被害の方が大きいのが現状です。気候変動は、途上国と先進国の格差や人権問題など『社会正義』にも関わる問題であると思います。そういった観点から気候変動問題の重要性や緊急性、そして対策の必要性等を日本国内に発信するキャンペーンをやっています。

FoE Japan に入るきっかけは?
昔から漠然と「環境」には興味がありましたが、大学の授業でたまたま FoE のことを知り、FoEの理念に「環境」だけでなく「社会」という価値観が含まれているところがしっくりときたので、大学2年生の終わり頃からインターンを始めました。当時は震災が起きてから一年も経たない頃だったのですが、エネルギー問題に興味を持ち、大学のサークルなどで取り組んではいたものの、その時はまだ原発事故の実感が薄かったです。しかし、スタッフの皆さんは原発事故の対応の真っ只中で、政府交渉や避難している人々の話を聞いていく中で、全然物事が見えていなかったことや自分がいかに知らなかったかということにショックを受け、危機感を覚えました。また、FoEのスタッフの人と真剣に原発の問題や環境問題について話すことができ、インターン生であっても対等に扱ってくれるような環境に居心地の良さを感じていました。FoE Japan は、自分に刺激をくれた場所であり、自分を受けてくれる団体だったのです。

入ってから今日まで続ける上でのモチベーションは何ですか?
「社会が変わるところや、変わるためにNGOとしてどんな新しい価値観を提供出来るのかという部分を見てみたい。」FoE Japan で活動していく中で、環境問題にしろ、原発にしろ、社会構造に根本的な問題があるのではないかと考えるようになりました。二酸化炭素削減や原発の稼働停止などは数ある多くの問題の中の一つで、今あるシステムを変えたり、新しいアイディアを考えていかなければいけないと感じるようになったのです。そして、そういった新しい価値観や物の見方を世の中にに発信することはNGOに出来ることの一つであり、そこに携わっていきたいと思っています。

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インターン生の頃にドイツ・ベラルーシ・日本の若者交流プロジェクトに参加。日本開催の時にはインターン生として主体的に企画に参画させてもらいました。

今までやってきた活動の中で最も印象に残っていることは?
今、世界中で環境や人権を守る活動家が危機にさらされています。FoEグループでは、環境や人権のために戦う活動家やコミュニティを守るための制度構築のための国際アドボカシー活動や、緊急支援の活動もしていて、そこに少しだけ関わっています。危険にさらされている人々は、代々守ってきた川や森、それと一体となっている伝統的な暮らしなどを守るために立ち上がっている。生活そのものである自然や文化を守ろうとたたかっています。都会に暮らしていると、自然と人間がとても断絶しているように感じます。しかし私たちは自然なしには生きられないし、そもそも自分たち人間も自然の一部なんだと思います。けれど資源収奪や利益のために、一番最前線で自然とともに生き、守ってくれている人たちが危機にさらされている。非常に重要で深刻な問題だし、私たち日本に生きる人も無関係ではありません。
あともう一つ、学生インターンの頃に現事務局長の満田さんに出会ったことも大きいですね。いつも誰のために・なんのために活動をしているのか、という軸がブレない。今でもとても学ばせていただいています。

FoEでボランティアやインターンがしたいへのメッセージ
世の中にはたくさん環境問題があります。その中でも、人や社会・人権といったところに注目して活動している FoE が好きなので、そういうところに共感してくれると嬉しいです。

最後に、FoE Japan は一言で言うとどのような場所ですか?
日々の生活の中でモヤモヤしていることや解答が見つからないことというのは多々あると思いますが、FoE Japan は、そういった物事について一緒に議論したり、行動を起こしてみたりして、「考えながら、やりながら考える」ことが共に出来る場だと感じます。また、周りの人を見て「ここで自分だけ立ち止まっていられない」と感じる、そんな刺激を受けられる場所です。

(聞き手:インターン杉浦)