辺野古のサンゴ ~残したまま工事強行 反故にされた約束

6月14日、衆議院第一議員会館にて集会と防衛省交渉「辺野古新基地建設の環境保全措置で希少サンゴは守れるのか?」が開催されました。ここで、サンゴ保全をめぐって衝撃的な事実が次々に明らかになりました。
 本当は、専門家の大久保奈弥先生も強調されていましたが、サンゴを真に保全するのであれば、移植ではなく、「埋立を行わないこと」により、生態系をそのまま保全する以外にないのです。しかし、ここでは、防衛省が辺野古新基地建設に当たっての「埋立承認願書」で約束してきた、事業実施前の「移植」ですら蔑ろにされてきている事実を強調したいと思います。

1.サンゴ移植は事業実施前のはずでは?

どんどん護岸工事が進み、辺野古側の埋立海域は、開口部50メートルを除き、ほぼとじられてしまっており、その中にサンゴが取り残されている状況です。
しかし、当初の約束では、工事の前にサンゴは移植されるはずでした。
「埋立承認願書」第7章 環境保全措置においては、以下のように記されています。

事業実施前に、移植・移築作業の手順、移植・移築先の環境条件やサンゴ類の種類による環境適応性、採捕したサンゴ類の仮置き・養生といった具体的な方策について、専門家等の指導・助言を得て、可能な限り工事施行区域外の同様な環境条件の場所に移植・移築して影響の低減を図り、その後、周囲のサンゴ類も含め生息状況について事後調査を実施します。」

これを普通に読めば、サンゴを移植するのは事業実施前、すなわち工事の前と解釈されます。
しかし、防衛省は、「事業実施前に、専門家等の指導助言を得る」という意味だと言い張っています。
沖縄県は、沖縄防衛局への5月23日付文書「土海第136号」において、「サンゴ類については明確に『事業実施前』に移植・移築して影響の提言を図ると明記されている」と指摘した上で、改めて工事を停止した上で変更する場合は承認を受けるよう求めていますが、無視されてしまっています。
ちなみに、埋め立て承認の際の留意事項の一つに、環境保全に関しては沖縄県と協議を行うことが記されていますが、これも無視されてしまっています。

2.とりのこされた護岸内のオキナワハマサンゴ(絶滅危惧2類)

辺野古側のK4護岸近くのオキナワハマサンゴは移植対象とされていますが、沖縄県は埋立予定地の食害などを理由に採捕許可を出していません。

産卵期を含む繁殖期や高水温期の移植については、サンゴが死ぬ可能性が高いとし、沖縄県のサンゴ移植マニュアルが参照した論文を執筆した大久保奈弥(おおくぼなみ)東京経済大学准教授(サンゴの生物学)をはじめ、専門家が反対しています。このことから、沖縄県のサンゴ移植マニュアルでは、「産卵期や高水温期となる5月以降10月頃までをできるだけ避けることが適切である」とされており、防衛省もこれを踏襲する方針でした。

しかし、報道によると、沖縄県防衛局は、5月~10月の高温期であっても移植を行う方針を明らかにし、防衛局が設置している「環境監視等委員会」もこれを了承したとされています。
同委員会の議事録では、委員の発言として以下のように記されており、必ずしも「了承」ではありません。

「サンゴの移植の時期について、高水温期をできるだけ避けるということでした。
これについては、ミドリイシ類のように高温に弱い種類についてはそうですが、ハマサンゴに関しては、案外夏場でも移植可能ではないかと思います。温度耐性はサンゴの種類によって違いますので、夏に移植することが問題のない種類がいるかどうかについても、今後、情報収集に努めていただければと思っています。」

交渉に参加したサンゴの移植に関する第一人者である東京経済大学・大久保奈弥准教授は、「案外夏場でも移植可能」という委員の発言は、「既存の研究論文に照らせば明らかに間違いである」と批判しています。

仮に移植をしないとすると、どうなるでしょう?

4月9日の環境監視等委員会(第14回)においては、開口部50メートルを残して護岸建設を進めた場合、流況シミュレーションにより0.1℃程度の水温上昇が予見されることが説明されていました。このときはまだ護岸工事が進んでいなかったが、沖縄防衛局は「若干の流速低下域や水温増加が生じるものと思われますが、当該サンゴのモニタリングを行いつつ工事を進めていくこととします」とし工事を強行。

その後、5月28日に開催された環境監視等委員会(第15回)において、護岸の開口部50メートルを残した状態での流況シミュレーションから、「今夏の高水温期には、当該護岸の存在により0.1℃程度の水温上昇が予見される」とし、上部を遮光ネットで囲む、遮蔽シートで防ぐ、海水導入などの対策を行うとしています。しかし、これらの対策が有効であることを裏付ける引用文献や予備実験の結果は示されていません。

流速低下や水温上昇の問題を認識しているのであれば、なぜ護岸建設をすすめたのか、いまからでも護岸をこわして原状復帰をすべきではないでしょうか?

3.市民の調査で、N3護岸付近でみつかった大型サンゴについて

現地で反対運動を続けている市民の調査により、N3護岸付近で長径1メートルを超えるハマサンゴ1群と長径2メートル超のトガリシコロサンゴ1群が市民側の調査で見つかっています。1メートルを超えて移植対象であるのに環境監視等委員会に報告されていません。

トビータさん提供写真2 トビータさん提供写真1

N3護岸付近でみつかったトガリシコロサンゴ1群(左)と1メートル超のハマサンゴ1群(右)(写真提供:辺野古ぶるー)

6月14日の交渉で、防衛省は、これらについては、「認識していない」と頑強に否定。
市民側は、市民による調査時の写真および動画を示し、防衛省の調査を求めましたが、防衛省は同じ答弁を繰り返すだけでした。
その後、朝日新聞が上空からの写真および専門家が確認した結果を報道しました。

朝日サンゴ

この件について、6月19日に開催された外交防衛委員会で、藤田幸久議員が質問しました。
防衛省の回答は、以下の通りです。

「今月にも潜水の目視調査を行っているところ、長径90センチ程度のハマサンゴ属の群体、あるいは複数のシコロサンゴ属の群体が集まって形成される小型サンゴ類の群落が存在することは確認をしてございますが、いずれも移植対象に該当するものではないということでございます。」

ハマサンゴについては、市民が撮影した映像を見る限り、1メートルは超えていると思われますが、防衛省は頑として移植対象だとは認めないつもりのようです。また、「複数のシコロサンゴ属の群体が集まって形成される小型サンゴ類の群落」については、大型サンゴだとは認められないと主張しています。

しかし、前述の朝日新聞の報道では、4人の専門家が、ハマサンゴとみられるサンゴについても、もう一つのサンゴについても「背後に写った1辺が2メートル級のブロックと比べた結果、長径1メートルを超す」と指摘しています。

また、専門家は、「複数の群体が集まって形成される群落かどうかは、専門家でないとわからないはず。専門家の参加の上で、再調査を行うべき」としています。

いずれにしても専門家の関与を得ずに、防衛省が独断できめてしまっていることは問題です。

さらに、そもそもこの「1メートル」という基準も問題です。
多くの専門家が「おかしい」と反論をとなえています。

普天間飛行場代替施設建設事業に係るサンゴ類の環境保全対策について(日本サンゴ礁学会サンゴ礁保全委員会)
http://www.jcrs.jp/wp/?p=4186

なお、当日はサンゴの生態が専門の大久保奈弥さん(東京経済大学准教授)および日本自然保護協会の安部真理子さんをお招きしてお話しをおききしました。サンゴの保全や、辺野古の埋立による生態系への影響に関する、たいへん貴重な講演でした。以下から動画をみることができます。
【集会 辺野古の新基地建設の環境保全で、希少サンゴは守れるのか?】

20180614 UPLAN【政府交渉】辺野古新基地建設の環境保全措置で希少サンゴは守れるのか?


(満田夏花)

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