経済協力会議の影で進む、パプア・ ニューギニアの土地収奪

8月4日から10日までパプアニューギニアで開催されたFoEアジア太平洋グループの年次総会に参加しました。FoEのグループは、アジア太平洋(APAC)、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、アフリカの地域ごとに年に一度会合を開き、情報共有や来年度の戦略、地域ごとの課題や共同キャンペーンについて会議を行っています。地域会合の間に、パプアニューギニアでおきている土地収奪の現実についても、住民の方からお話を伺うことができました。

経済協力会議の影で進む、パプア・ ニューギニアの土地収奪

今回の会議のホスト国であるパプアニューギニアのFoE(CELCOR)には、法律家やキャンペーナーが所属しており、法廷で土地収奪の問題を直接争ったり、土地収奪の影響を受ける地域に法律教育を行うなど、「慣習的な土地に対する権利」の強化や保護に取り組んでいます。先住民族の国であるパプアニューギニアは、その国土の97%に当たる部分が、先住民族によって慣習的に所有されています。地域の人々は、自分たちの権利について知らないために、もしくは識字率が低く契約書が読めないままに契約させられるケースなども多く、多国籍企業によって土地を不当に奪われることがおこっています。

パプアニューギニアは2018年にAPEC(アジア太平洋経済協力)をホストすることになっていますが、そのための施設やホテルの開発で都市部でも深刻な土地収奪と人権侵害が発生しています。私たちの滞在中にもパガヒルという場所の土地収奪問題に取り組む地元グループのお話を聞くことができました。
首都・ポートモレズビーのパガヒルの人々はオーストラリア系企業などによる土地開発により、ほんの少しの土地と、わずかな保証金のみで土地をおわれ、中にはホームレスになった人もいます
また、パガヒルの土地収奪や不当な開発に抵抗する住民の動きは、ドキュメンタリー映画にもなっています。

パプアニューギニアの国土のうち、合計520万ヘクタールの土地が元の慣習的な所有者から奪われていると推定されています。これは、土地法で制定された特別農業ビジネスリース(SABL)という制度に基づき、収奪が行われています。違法な土地収奪はパプアニューギニアの大きな課題であり、地方の自作農に大きな影響を与えています。企業が地域住民がこれまで慣習的に所有していた土地の借地権を獲得すると、地域住民は強制移住を迫られます。結果として森や海に頼って生活している自作農、母親や子供たちは、企業に収奪された土地への立ち入りが制限されてしまうので、大きな影響をうけます。彼らはそれまで慣習的に所有していた土地で耕作したり、釣りをしたり、宗教的に重要な場所へ行ったりすることができなくなります。
地元のコミュニティーリーダーは、「”開発”そのものに反対しているわけではないが、企業の土地収奪によりコミュニティーが分断され、大切な土地が失われた」と話します。

FoEパプアニューギニアは、政府に対して土地所有者を支えるために適切な行動をとり、法律を改正することを求めるキャンペーンを行っています。

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CELCORのメンバー

今年のアジア太平洋年次総会

最初の2日間はテーマ別(気候変動と森林問題)に分かれて議論を行い、残りの日程で年次総会がありました。APACは現在12カ国(ロシア、韓国、日本、フィリピン、インドネシア、マレーシア、バングラディシュ、スリランカ、東ティモール、パプアニューギニア、オーストラリア、パレスチナ)で構成されており、年次総会の開催は持ち回りです。

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各地で深刻化する気候変動の影響について共有があり、ネパールの氷河融解による洪水で移住を余儀なくされているケースや、フィリピンでは海面上昇などによって経済活動に影響があり移住を迫られるケースなど、とくに国内で起きている「移民化」「難民化」について、国際的な認識とサポートが必要であるという議論がありました。

エネルギーについても議論がありました。気候変動対策のためには「脱炭素社会」への移行が必要ですが、ネパールやスリランカ、パプアニューギニアなどの国は、エネルギーにアクセスできない(エネルギー貧困)、適切な教育や社会インフラがないなどの開発問題としてのエネルギー問題を抱えています。もちろん日本でも環境アセスメントが行われていないままでのメガソーラー開発や、住民参加が不十分な再エネ開発も問題になっていますので、日本でもエネルギーは開発問題の側面を持っています。
アジア太平洋が望む「良いエネルギー」とはなにかなかなか答えは見つかりませんが、白熱した議論があり、「どんなエネルギーを使うか、ということも大事だが、大量消費する社会がある一方、十分なエネルギーなく暮らしている人々もおり、システムそのものの変革が必要だ」との意見がありました。

FoEグループは、基本的には草の根レベルで自国の問題に取り組み社会運動を作っていくというのが活動のスタイルですが、国を超え地域で協力することで解決する・より大きな運動にすることを目的に、地域の協働に力も入れています。6日間の会議のなかでは、具体的にどのように取り組んでいくのか、戦略やリソースについても議論がありました。(スタッフ 深草)

Photo courtesy of Choony K and Theiva L.

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