3.11を忘れない~福島第一原発事故から6年

311日、東京電力福島第一原発事故から丸6年を迎えました。3月末には、帰宅困難区域を除き、飯舘村や浪江町、富岡町などの避難指示が解除されました。

また、災害救助法に基づいて各都道府県が自主避難者に提供していた住宅支援も3月末で打ち切られました。

FoE Japanでは310日、福島原発事故から6年の節目にシンポジウムを開催し、福島にくらす方々の声や、「復興」の名のもとに進められる帰還政策の課題を共有しました。

福島原発告訴団の武藤類子さんからは、困難を極める福島第一原発の廃炉作業や除染の実態について、また福島県内の複雑な状況を共有いただきました。自治体などの帰還圧力の中、県や市町村の職員の自死が20164月からの1年で9人となったという悲痛な状況が伝えられました。

被ばく労働を考えるネットワークのなすびさんからは、過酷な廃炉作業労働者の実態が伝えられました。重層下請けによりわずかな危険手当で、健康管理手帳の対象外で、がんなどにかかった際にも健康診断の無料受診さえ対象外です。

事故直後関西に母子避難し、2016年春に福島に戻ったお母さんは、差別やいじめも受けた避難先での生活は限界を超えていたといいます。

福島市に住み、2016年から家族が避難生活をはじめたお父さんは、自ら向き合って選択することの重要性、そして家族と離れてくらす寂しさを語りました。

小学生のときから保養に参加し、今ではスタッフとしても保養プロジェクトに参加している高校生は、ドイツでの経験交流で原発事故の怖さや被ばく労働する作業員の現状を目の当たりにし、日本でも現状を正確に学ぶべきだと訴えました。

 

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200名以上の参加者が耳を傾けました。

 

FoE Japanが主催している福島ぽかぽかプロジェクトは、福島に住む親子が週末に滞在し、自然の中で思い切り遊び、普段話せない思いを語り合う貴重な場となっています。

「お母さんたちが安心して思いを吐き出せる場でありたい」ぽかぽかプロジェクト担当の矢野は語ります。

 後半には、立命館大学(当時)の大島堅一さんから、増大し続ける原発事故のコストと、東京電力が責任を負わないまま国民負担とされようとしている現状を共有しました。原子力発電については、国による保護策が次々とつくられています。

FoE Japan吉田からは、電力システム改革と電力小売全面自由化の中、誰でもができる意思表示としてパワーシフト・キャンペーンを紹介しました。

4月、住宅支援の打ち切りで帰還や引っ越し、やむを得ず経済的負担を負わざるを得なくなった方々がいます。自主避難を自己責任と切り捨てる復興大臣の発言が問題となりましたが、現状は「自己責任」の避難ではありません。
生の声を聞くこと。福島原発事故を忘れないために、そして行動するために、貴重な機会となりました。

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                                                                                                                           (吉田 明子)

 ▼シンポジウム「3・11を忘れない〜福島から未来へ」3/10http://www.foejapan.org/energy/evt/170310.html

▼声明:福島原発事故から6年~国策が被害者を追いつめる
http://www.foejapan.org/energy/library/170310.html

 

「3・11甲状腺がん子ども基金」による患者アンケート~結婚や治療費、就職に悩み

3・11甲状腺がん子ども基金」(※)では、昨年12月から今年3月まで、原発事故当時4~18歳の81人の青少年に対して療養費の支援を行い、4月11日に療養費給付のまとめおよびアンケート調査結果を発表しました。

療養費支援を行った81人の県別の内訳は、福島県58人、神奈川県4人、宮城県・埼玉県・東京都が各3人、長野県が2人、秋田県・岩手県・群馬県・茨城県・千葉県・新潟県・山梨県・静岡県が各1人となっています。男女比は、男35人、女46人。事故当時4歳が2人、5歳が1人。

81人のうち10名が肺転移などにより、アイソトープ治療を行っていました(福島県内2名、県外8名)。また、5名の再発例がありました(いずれも福島県内)。

県民健康調査を介して、がん が見つかり手術を受けた 4 歳児は、「県民健康調査」検討委員会が発表している合計数には 含まれていないことが明らかになりました。県民健康調査で「経過観察」となった子どもたちは、その後甲状腺がんと診断されても、県が公表している数値には含まれておらず、実情を反映していないことが問題となっています。

「基金」では、療養費を給付した子どもたちの治療環境や生活の質の改善につなげるため、アンケートを実施しています。このたび公表されたアンケートからは、結婚や治療費、就職などへの悩み、周囲の人たちに病気について打ち明けていない状況などが明らかになってきています。また、4人に1人が予定していた計画(進学・就職など)を変更・断念したと回答しています。

以下、「3・11甲状腺がん子ども基金」が集計したアンケート結果の抜粋です。

【回収期間】2017年1月〜4月1日
【対象者】「手のひらサポート」受給者72家族
【回答数】68人(回答率95・4%)

甲状腺がんと診断されて悩んだことを尋ねたところ、「結婚」と答えた人が35人と最も多く、全体の51.4%を占めた。次いで「学業」と「治療費」が33人(48.5%)、「就職」が30人(44.1%)となった。その他、「甲状腺癌の再発」「将来の自分の健康」「がんに伴う健康不安」「他の臓器への転移」「手術への不安」「手術後の傷跡」といった病気や手術に伴うもののほか、「精神的な影響」「母親の健康不調で、子どもの癌を手術直前まで告知できなかった」「いつ死ぬのか」「自分だけがなぜと悩んだ」といったがん特有の不安、「仕事を続けられるかどうか」「対人関係において理解が得られないことがあるかもしれない事」といった社会的な不安も挙げられた。

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甲状腺がんと診断された後、進学や就職など予定していた計画を変更したり、断念した経験があるかとの質問については、約25%にあたる17人が「ある」と回答した。

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診断結果を誰に伝えているかという設問には、子どもが甲状腺がんとなっている事実を多くの人に話していないことが見て取れた。家族内では共有していない家庭が1家族あり、また半数の家族が「親戚」にも話していなかった。

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医師や医療機関へ対する要望については、予約が取れない、手術までの待機時間が長い、診察待ち時間が長い、説明が不足しているといった声が多数あった。

<以下意見の抜粋>

・ 見逃しのないよう検査レベルを上げてほしい。事故から30年は検査を勧めてほしい
・ 福島県外で県民健康検査を受けてがんの疑いと思われる場合、早めに検査結果を確認して次へ進めるようにしてほしい。県外で検査した場合すぐに治療に進むのではなく、福島からの判断待ちで先に進めない。もっと早く治療できたはずなのに、とても残念。・ 癌と診断されてから手術までがとても長くつらかったので、早く手術できるようにしてほしい
・ 近くの病院に手術担当医が来てくれるが、月1回なのでなかなか予定が合わない。
・ 診察日等、医療側に合わせて通院のために仕事を休まなければならない点で苦労している。
・ 定期検査が半年に1回あるが、病院がとても混んでおり、ほぼ1日近くかかってしまう。
・ 予約で行ってもいつも混んでいて1日がかりになってしまう。
・ RI治療を行っている医療機関が少ないのでもっと増えるといいと思う

転院やセカンドオピニオンについての設問では、半数の患者が、転院やセカンドオピニオンを検討したり、実際に行ったと回答した。転院した理由は、通院の利便性のほか、治療や診療に対する課題から転院を選んだ人がいた。 転院やセカンドオピニオンを検討しながらも、経済面や医師への遠慮、時間的な問題などから、実施できずにいた患者も一定数存在していた。

通常のがんであれば、ここまで秘匿されなかったかもしれませんが、甲状腺がんが原発事故による被曝により引き起こされたかもしれないこと、福島県内で被ばくに関して語ることが困難な「もの言えぬ」空気が、より一層、患者たちをおいつめ、甲状腺がんであることを周囲に打ち明けられない状況にしたと考えられます。

※FoE Japanは「3・11甲状腺がん子ども基金」の設立準備を支援しました。現在はFoE Japanの満田が理事に加わっています。