長野県 9つの市町村議会から放射性廃棄物・除染土の拡散防止を求めて国に意見書

原発事故後、政府は従来基準の80倍にあたる8000bq/kg以下の放射能汚染された廃棄物を地方自治体や事業者に普通のゴミとして処理させると定め、同じく8000bq/kg以下の除染土を全国の公共事業に使うという方針を出しました。
昨年12月、長野県上伊那郡全域と下伊那郡の一部の9つの市町村(辰野町、箕輪町、南箕輪村、伊那市、宮田村、駒ケ根市、中川村、高森町、豊丘村)から、国に対し、放射性廃棄物を全国に拡散させないことを求める意見書が採択されました。(2つの町議会では否決)また、辰野町、伊那市、宮田村、高森町、豊丘村では、放射能汚染された廃棄物・除染土の受け入れを拒否する決議も採択されました。

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同地域に民間事業者により8000bq/kg以下の放射性廃棄物を含む最終処分場計画が持ち込まれていることから、住民や議員の懸念も大きく、今回の住民有志による陳情・請願アクションが実施されました。しかし、現状の政策の下では、全国の自治体にいつ放射性廃棄物が持ち込まれてもおかしくありません。今後は、周辺地域、また全国に運動を広げていき、地方自治体から政策を変えさせることを目指します。
※本運動にはFoE Japanスタッフの柳井が一住民として関わっています。
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放射性廃棄物を全国に拡散させないよう求める意見書 (※一部自治体では若干内容が異なります)

低線量の放射線被ばくの影響は、これ以下で安全であるという「閾値」がないこと、被ばく量の強さとともに健康リスクが増大することを前提に被ばく防護を行うことが、国際的合意となっている。そのため、従来100ベクレル/kgを超える放射性廃棄物はドラム缶につめ、原発敷地内で厳重管理されていた。
ところが2011年の福島原発事故を受け、政府は「放射性物質汚染対処特措法」を定め事故で生じた放射性廃棄物の処理を大幅に緩和して8,000ベクレル/kg以下であれば、通常の廃棄物として処分できるとした。さらに環境省は今年、8,000ベクレル/kg以下の除染土を全国自治体の公共事業で使えるとする方針を決定した。

その結果、従来の基準の80倍以上の放射性廃棄物が全国の廃棄物処分場に持ち込まれ、あるいは道路の盛り土の下に埋められることになる。政府のこのような方針は、放射性廃棄物を全国に拡散させ、国土と国民の命を世界に前例の無い危険にさらすものであると同時に、原発事故の完全終息に向けた政府責任を薄めることにもつながる。

よって下記事項を強く要請する。

1.「放射性物質汚染対処特措法」を見直し、8,000ベクレル/kg以下の放射性廃棄物を通常の廃棄物と同様に処分できるという方針を撤回すること。
2.8,000ベクレル/kg以下の放射性廃棄物を公共事業で使用する方針を撤回すること。
3.政府は8,000ベクレル/kg以下の放射能汚染された廃棄物に関しても、汚染のない地域への拡散を防ぎ、廃棄物処理の全工程に直接責任を持って厳重に集中管理すること。

以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
衆議院議長  大島理森 様
参議院議長  伊達忠一 様
内閣総理大臣  安倍晋三 様
経済産業大臣  世耕弘成 様
環境大臣   山本公一 様
復興大臣   今村雅弘 様


◎ 議員と市民の報告会 『放射能のない環境を守ろう!』

長野県上伊那では飯島町議会を除く全議会が、そして下伊那でも高森町と豊丘村議会が採択し、意見書を政府に上げました。3月定例会でも、塩尻市議会に請願すべく現在準備を進めております。
南信から始まったこの活動を県内はもちろん県外にも広げることで、全国への放射能拡散を防いでいきたいと願っています。
そのためにこの陳情請願を審査し賛同してくださった各議会の議員の方々に各議会での審査経過を報告していただき、市民の皆様と意見交換する集会を企画しました。

内 容:
長野県上下伊那市町村議会議員による「放射性廃棄物を全国に拡散させないよう求める陳情請」の審査報告と今後の活動についての意見交換。

日 時: 2017年3月12日(日)14:00~17:00
会 場: 飯島町文化センター視聴覚室(仮) 飯島町飯島2489番地
資料代:¥500
参加申し込み: kmgnkankyo@gmail.com
主 催 放射能拡散No!ネットワーク(旧 放射能拡散のない環境を守るネットワーク)
協 賛:上下伊那連絡会 駒ヶ根の環境を守る会 竜援塾 伊那谷未来会議

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(柳井 真結子)

インドネシア 海に沈む農村

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ショートムービー『浸水する生活-インドネシア、プカロンガンの気候変動影響』(約5分・英語)

 

インドネシア、ジャワ海に面するプカロンガン市のバンドゥンガン村。
市街地から沿岸の方に進むと、屋根も窓もやけに低い家々が目立ち始めます。

村は稲作とジャスミン栽培を中心にした小さな農村でした。
2006年頃から徐々に海水が内陸に向けて侵入しはじめ、現在では100ヘクタールほどあった稲作地はすべて100cm~150cmもの深さの海水の下にあります。農民の中には行政の勧めもあり、魚やエビの養殖業へと転換した人もいますが、網を使った養殖場でも海面上昇に対応できず、全く収獲できない年も出てきています。
300戸以上の家屋と生活道路にも浸水し、井戸やトイレ、お風呂も使えません。浸水が始まった当初、住民の避難場所となっていた学校やモスクも今では冠水しています。
水の侵入を防ぐため、毎年のように50cmほど床を高くせざるを得ない家も少なくありません。冒頭の屋根や窓が低い家々は、床を何度も高くしていった結果です。
収入減を失っている住民たちには、このような家屋の改築等も大きな負担となっています。行政からは、一部の限定的な支援が突発的にあるだけで、住民は水の来ない場所に移住することもできず、悪化し続ける環境に耐え続けています。

FoE Japanは、プカロンガン市を含むジャワ海沿岸のコミュニティで2008年からマングローブの浸食防止作用を活用した適応対策を導入してきています。
しかし、バンドゥンガン村の状況には、マングローブだけでは対応しきれません。2015年よりプカロンガン市及び隣接するプカロンガン県の沿岸コミュニティの被害状況と行政プログラムの調査を行っています。現在、急速な環境変化によって住民が直面している様々な生活環境の問題と、地方行政の既存のプログラムを整理して結びつけることで、すぐにでも改善・支援を開始できる部分を明らかにしていってます。将来的には、住民ニーズに沿った新たな支援プログラム及び、効果的な支援メカニズムを地方行政の下に構築することを目指しています。

この度、FoE Japanの現地のパートナー団体であるBINTARI財団からスタッフ2名が来日し、2/23(木)、2/24(金)に、活動報告会とシンポジウムで、それぞれこれまでFoEとBINTARIが実施してきた適応対策の成果、そしてプカロンガン市等の被害の現状を報告します。ぜひ、ご参加ください。

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2/23(木)活動報告会「気候変動影響の中で生きる~インドネシア 海面上昇の村、水不足の農村の人々の挑戦」
 
インドネシアでは、気候変動が人々の暮らしに大きな影響を及ぼしています。農村では、降雨パターンが変化し、伝統的な農法や特産物の栽培ができなくなり、また深刻な水不足が生じています。一方で沿岸部では、海面上昇により広大な農地や養殖場が失われ、家屋や道路への浸水が慢性化しています。 FoE Japanは、現地NGOや大学と連携し、2008年からスマラン市、ウンガラン郡、プカロンガン市の農村や漁村にて、コミュニティ主体で気候変動影響に適応していくためのサポートを続けてきました。 本報告会では、住民理解の促進から、適応対策導入のための組織化、行政の能力強化、そして気候変動により収入減を失ったコミュニティの自立化までの経験、成果をご報告します。さらに、適応対策の可能性と限界について考えます。
日時: 2017年 2月23日(木)18:30~20:30
場所東京ウィメンズプラザ 第一会議室
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-67
参加費: 500円 (FoE Japanサポーター・学生無料)
申込み: http://www.foejapan.org/aid/community/mangrove/170223.html
主催・問合せ: FoE Japan 担当:柳井
プログラム
1.イントロダクション インドネシアの気候変動影響
2.農村の気候変動影響とアグロフォレストリーを通じた適応対策
スピーカー:Amalia Wulansari氏(BINTARI財団)
3.海面上昇の被害を受ける沿岸コミュニティのマングローブ保全を通じた適応対策
スピーカー:Arief Khristanto氏 (BINTARI財団ディレクター)
4.ディスカッション コミュニティの適応対策の可能性と限界
※逐次通訳あり
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2月24日開催「シンポジウム:アジアの気候変動の現実とClimate Justice(気候正義)」

http://www.foejapan.org/climate/lad/170224.html

洪水、熱波、渇水などの異常気象や海面上昇、農作物への被害…気候変動による被害は各地で見られています。アジアの途上国の貧困層は特に、農業や漁業に頼って生活していたり、住居が脆弱であることから気候変動の影響は特に甚大です。
2016 年、パリ協定が発効し、気温上昇を1.5 度までに抑える努力が書き込まれました。 その目標を達成するためにも、すでに被害を受けている人々を救うためにも、持続可能で公正な解決策をいますぐ実施していかなくてはいけません。歴史的に温室効果ガスを大量排出して発展を遂げてきた日本の責任は重大です。
同シンポジウムでは、国立環境研究所地球環境研究センターの江守正多氏を迎えて国際交渉や科学の動向を、実際に現地で影響を受けながらも対策に取り組むインドネシアの方々をお招きしてアジアで広がる気候変動の被害についてお聞きします。ぜひ、ご参加ください。

プログラム(予定)
【基調講演】
「気候変動の科学とClimate Justice」
…江守正多/国立環境研究所地球環境研究センター気候変動リスク評価研究室室長
▼COP22交渉のポイントと、COP23に向けて
…小野寺ゆうり/FoE Japan
▼COP22と気候正義を求める市民社会の声
…深草亜悠美/FoE Japan
▼インドネシアにおける被害の現状と取り組み
…Arief Khristanto 氏/BINTARI 代表
柳井真結子/FoE Japan
◆言語:日本語日 時 2017年2月24日(金)14:00~16:30(開場13:30)
場 所 文京シビック スカイホール(26階)(東京都文京区春日1‐16‐21)
参加費 1000円(FoEサポーター・学生500円)
定 員 80名
申 込 http://www.foejapan.org/climate/lad/170224.html
問合せ FoE Japan 担当:深草 (info@foejapan.org
★★こちらも御覧ください
動画「気候変動 スリランカの声」
動画「気候変動 フィリピン〜巨大台風の傷跡〜」

(柳井 真結子)