石炭火力発電は誰のため?(その1)

161110_2

火曜日にCMA(パリ協定締約国会議)が始まり、各国首脳級や大臣が訪れて全体会合が続いています。2週目の後半になると全体会合(Plenary)以外に傍聴できる会議が少なくなります。

各国の発言を聞いていると、一番排出削減や支援をがんばらないといけない先進国からは、2020年の行動について具体的な話が全然でてきません。その中でも日本は、気候変動への歴史的責任を直視せず、むしろ石炭火力発電の国内外での増設を進めており、国際的な市民社会からも批判を浴びています。(所でCOP会場では、その日の交渉でもっとも不名誉な発言をした国に対し、NGOが化石賞を送るのが慣例となっています。化石賞の常連だった日本は、近年では化石賞すら貰えません。)

さらに先週11月10日、日本の国際協力銀行(JBIC)が融資するインドネシア・西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業に関して、地元住民3名がJBICジャカルタ事務所で『異議申立書』を提出しました。

住民らはこれまでに、JBICの融資が投じられて建設された第1発電所(660 MW)の影響で、小規模漁業や塩田など地元住民の生計手段に深刻な被害が出ている旨を繰り返し訴えてきましたが、JBICは「同事業に問題は見られない」との姿勢を示してきました。さらに、JBICは同事業の拡張(第2発電所、1000MW)についても融資を検討中で、既存の発電所による被害を見過ごしたままの新たな融資はとうてい認められるものではありません。

パリ協定が発効し、今世紀末までの温室効果ガス排出ゼロを目指す中で、企業や投資家までもが脱化石燃料に向けて動き出しているのが世界の潮流です。一方のJBICは今年6月にも地元住民と国際社会からの批判を浴びた中ジャワ州バタン石炭火力発電事業(2000MW)への融資を決定したばかり。同事業は土地収用の際の違法性や人権侵害がインドネシアの独立した政府機関である国家人権委員会からも指摘されていました。

JBICは現在、チレボン拡張案件の他にも中ジャワ州タンジュンジャティB 拡張案件、また、インドで2件、ベトナムで1件、ボツワナで1件の高効率石炭火力発電への融資を検討しています。高効率とはいえ、もっともCO2を排出するエネルギー源には変わりはなく、パリ協定との整合性はありません。

気候変動の影響は、これまで温室効果ガスを大量排出してきた先進国よりも、途上国、とくに脆弱な立場に置かれている貧困層に大きく表れます。日本は先進国としての歴史的責任を看過しているだけなく、地元が望んでいない発電事業を押し付けて将来の温室効果ガス排出量を増やし、さらには「インフラ戦略輸出」と銘打って日本企業の利益を優先しているのが実態です。 日本政府・JBICは、チレボン石炭火力発電事業の影響を受ける住民の異議申立てを真摯に受け止め、これまでに起きている問題の解決を図るとともに、地元住民の懸念や国際社会からの指摘を軽視することなく、新規の石炭火力発電所への融資の検討を早急に取り止めるべきです。(パート2に続く)

フタッフ・深草@マラケシュ

広告