原発事故避難者の住宅支援の継続を求め、19万筆の署名を提出

「原発事故被害者の救済を求める全国運動」(事務局:FoE Japan)は、10月26日、国会に原発事故避難者の住宅支援の継続などを求める請願署名193,197筆を提出しました。昨年までに提出した署名とあわせると522,819筆となります。

署名提出集会には、北海道、新潟県、福島県、東京都、千葉県、神奈川県、静岡県、兵庫県、大阪府、京都府など、全国から180名が参加。各地の避難者が、実情を訴えました。

 

このうち北海道に避難している宍戸隆子さんは、雇用促進住宅に避難した低所得者におもくのしかかる支援打ち切りの現状を指摘しました。宍戸さんはまた、北海道議会で住宅支援の継続を求める請願書が全会一致で採択されたことを紹介。「避難先の自治体には感謝している。肝心の国はどうして動かないのか…」と、国の支援打ち切りを批判しました。
東京都に避難している熊本美弥子さんは、東京都が都営住宅の優先入居枠を設けたものの、条件が厳しく、応募すらできない人たちがいること、引っ越しの関係から3月の期限前に出てくれといわれた避難者がいることなどを紹介。大阪に避難した森松明希子さんは、避難者自身が読んだ5・7・5の句を紹介しながら、「全国でこれほどたくさんの母親が、子どもたちを守るために避難し続けたいと願っている。自分のことと置き換えてほしい」と訴えました。

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福島県からの県内・県外の避難者数は2011年5月段階の約16万5千人から、2016年3月には、9万7千人、7月には89,319人と減少しています。
しかし、これは国や県による政策提起な帰還促進が大きく、支援の打ち切りなどから、経済的・精神的に追い詰められての帰還も多いとみられます。
福島県は、避難者の減少を復興の指標とし、2020年までに県内外の避難者をゼロにする目標をたてています。
福島県は、政府指示区域以外の避難者に対して、災害救助法に基づく無償住宅供与を2017年3月で終了させる方針を打ち出しました。その後、「新支援策」を発表。2017年4月以降、民間賃貸を利用している低所得者世帯への家賃補助を2年間限定で行うというもので、初年度は月最大3万円、次年度は月最大2万円です。
政府は福島復興加速化指針(改訂版)を発表し、帰還困難区域を除く避難指示区域を、遅くとも2017年3月までに解除する方針を決定し、これに従い、いま続々と避難指示が打ち切られている状況です。これにともない、2018年3月には、いま多くの避難者が生活費として使っている精神的賠償も打ち切られます。なお、自主的避難者には、賠償はほとんど支払われていない状況です。
避難先の自治体で、避難者支援のための独自の方針をたてる自治体もでてきています。たとえば、鳥取県は平成31年3月まで県営住宅等の提供を延長。埼玉県は県営住宅に関して自主避難者枠(100戸)を設け、現在の県営住宅の避難者がそのまま住み続けられるようにしました。新潟県は公営住宅への引越し代支援および民間住宅の家賃補助の上乗せを打ち出しました。東京都は、都営住宅の専用枠を300戸設けました。しかし、これらの支援策からもれてしまう避難者も少なくありません。
原発事故さえなければ、ふるさとで暮らしてきた人たちが避難せざるをえない状況に追い込まれたうえ、避難先の住まいすら脅かされている状況なのです。
「原発事故被害者の救済を求める全国運動」は、今後、国会議員に対して、請願署名の審議および採択を呼びかけていきます。(満田夏花)

ベトナムで原発に関し国会議員やNGOらと意見交換を行い、福島原発事故の被害について訴えました

10月4日から7日まで、原発に関する国際ワークショップに参加するため、ベトナムに行って来ました。現地のNGOおよび財団が主催しました。

1日目のワークショップでは、ベトナムの国会議員や専門家があつまる審議会において、日本、ドイツ、南アフリカから参加した三人のパネリストがそれぞれのテーマで原発に関する発表をしました。ドイツの元SPD(ドイツ社会民主党)議員で、ゴアレーベン出身のピータークラウス・ダダ氏は、ドイツが脱原発を達成した経緯など報告。また、原発における数多くの事故や廃棄物の処理で、原発の費用が莫大にふくれあがっているなど指摘がありました。

また原子力発電所を有する南アフリカからの参加として、研究者でNGO代表、デイビッド・フィグさんが原発のライフサイクルコストについて説明。現在、南アフリカは原発の拡大を政策として掲げていますが、新たに建設する原発の調達に関して、政府は決定を先延ばしにしている事をあげ、原子力政策は様々な理由遅れたり、そのために費用がかさんだりすることも指摘。さらに南アフリカでは、放射性廃棄物の投棄サイトの近くに沢山人が住んでいるという問題や、南アフリカは経済成長しているがエネルギー需要が減っているなどの話がありました。また、会場からあがった「原発が世の中を豊かにするために電気を供給できるのではないか」との質問に対し、「原発があっても南アフリカの貧困の問題は解決していないし、むしろ多くの負の影響を与えている」と回答しました。

FoEの満田からは、福島の事故による被害の大きさについて発表。広範囲にわたる放射能汚染の状況、山菜やきのこ、魚を分かち合う喜びや、それも含めたふるさとが失われたこと、農林水産業が大きな打撃をうけたこと、事故がまだ収束していないこと、除染や賠償費用がふくれあがり、現在の納税者や未来の世代がになわされていること、一度事故がおきれば取り返しがつかないこと、周辺の環境や社会だけでなく、国として大きな損失が免れないということなどを報告しました。

また、ベトナムのNGO・Green IDから、ベトナムの再エネについて、さらにVUSTA(Vietnam Union of Science and Technology Associations)から、原発建設予定地のニントュアンの村での聞き取り調査についての報告がありました。

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フロアからは特にコストについてと再エネの可能性についての質問が相次ぎました。
原子力関係の機関から参加した人もあり、再エネ懐疑論や、原発はクリーンなエネルギーではないかなどの発言もありましたが、中には原発に対して慎重になるべきではとの声もありました。

ベトナムは現在「中所得国」。電気の普及率も全土で平均して9割を越えています。
街中はバイクや車であふれかえっておりとても活気があります。一方で大気汚染の状況はひどく、街の大気汚染は北京やニューデリー並みの日もあるそうです。工業廃水や生活廃水により、とくに最近では外国企業の排水が原因の魚の大量死も報告されています。

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ハノイの風景

ベトナムは原子力の導入を検討しており、ベトナム第6次電源開発プラン(PDP 6)において初めて原発について触れられています。
また、ニントュアン省に建設される原子力発電所2基について、2010年に日本が協力することが合意され、その後2011年に日ベトナム原子力協定が調印されました。日本政府は、国税合計25億円を費やして日本原電に実施可能性調査を委託。このうち5億円は復興予算が流用されました。
また、日本とのパートナーシップのもとですすめられているニントュアン第二原子力発電所以外に、ロシアとともに第一発電所の建設計画が進められています。ですが、原発の建設に関しては何度も延期がされてるのが実情です。

ベトナムは電力の大半をを大型水力と化石燃料で賄っていますが、風力や太陽光などの再生可能エネルギーのポテンシャルについても報告されています。
風の強いBac Lieu(バクリュウ)では、メガ風力の導入も決定しており、改訂された第7次国家電源開発プランでも再エネが強調されています。

ベトナムが原発や化石燃料などの持続可能でない「汚いエネルギー(dirty energy)」から、再生可能エネルギーにシフトするには、この機会を逃さない手はありません。
原発はコストも高く、安全ではなく、気候変動の解決にならない事はすでに歴史が証明しており、とくにそれは日本が一番経験しているはずです。

私たちがベトナムの人々に伝えたい事がどれくらい受け止められたかわかりませんが、今後も原発輸出に反対する立場から活動していきます。

ベトナムへの原発輸出に関する過去の活動
>http://www.foejapan.org/energy/news/111121.html

(スタッフ 深草)

高江ヘリパッド建設をめぐる防衛省・警察庁交渉報告(9/29)

9月29日に、高江ヘリパッド建設をめぐり、防衛省と警察庁との交渉を開催しました。沖縄から、沖縄平和市民連絡会の北上田毅さん、抗議運動の見守りを続けている小口幸人弁護士が駆けつけました。

市民らをロープで縛って拘束

前日の9月28日、市民らが訓練場内の斜面で抗議行動していた際、警察機動隊員らが工事用ロープで市民らの胴体を縛って拘束し、引き上げ、この際、一人が足をひねり、腰をうって救急搬送されるという許しがたい事件が発生しました。

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/64204

これは、身体の自由を奪うというもっとも深刻な人権侵害であり、特別公務員職権濫用罪に該当するかもしれない行為です。交渉の冒頭に、主催者からこの事件について厳重抗議。

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>IWJによる記事および動画はこちら

小口弁護士が警察がこのような行為ができる根拠法は何かと追及すると、警察庁側は「沖縄県警察に確認したところ、北部訓練場のヘリパッドが建設される地区の斜面において、抗議市民が座り込んでいるという状況の中で、ロープは命綱として使ったとのこと。必要な警備措置、現場の安全確保という形で行ったと聞いている」と回答。

警察によるこの行為により、あざがついたり、けが人がでているのに、「安全確保」とは詭弁もはなはだしいものがあります。

小口弁護士からは、特別公務員職権濫用罪として捜査をしないのか、また、北部訓練場の区域内で、警察が警察権を発動するために、米軍との間でどのような合意がなされたのかと問いただしました。警察庁側は「沖縄県警が適切に対応する」「把握していない」とのみ回答しました。

自衛隊ヘリ出動~許可証なし「後日郵送」

防衛省との交渉では、再び9月13日の自衛隊ヘリによる工事用資機材の輸送の違法性が問題となりました。この自衛隊ヘリが自衛隊法に基づかないことは、前回の9月15日の交渉ですでに確認ずみですが、今回の交渉では、それでは航空法に基づく許認可を得ていたのか、ということが問題になりました。

交渉では、実際にヘリが飛んだ9月13日の時点では、電話による口頭伝達のみで許可証がでていなかったことが明らかになりました。

また、福島みずほ参議院議員事務所が確認したところによると、奇妙なことに、許可証は申請書が出される前に交付されたようです。

A:許可証の流れ
①9月14日(水)大阪航空局が近畿中部防衛局に許可証を交付
②同日近畿中部防衛局が防衛省本省に郵送(投函)
③9月15日(木)防衛省本省に配達される
B:申請書の流れ
④9月16日(金)防衛省本省が近畿中部防衛局に申請書を郵送
⑤9月20日(月)近畿中部防衛局が届いていることを確認(土日をはさんだため)
⑥同日中に近畿中部防衛局が大阪航空局に持参

高江では、「工事を年内に終わらせる」という至上命題に向け、防衛局や警察により数々の違法行為・脱法行為が行われていますが、今回の自衛隊ヘリ出動は、自衛隊法にも航空法にも反しており、事後的に、つじつま合わせの申請と許可が行われたものと考えられます。

やんばるの森破壊する工事用道路

防衛省との交渉では、そのほか、以下の点について、北上田毅さんが問いただしました。

・防衛局は9月1日、沖縄森林管理署に国有林野の現状変更、立木伐採の協議書を提出し、同森林管理署は同月12日同意。しかしこれらの文書では、道路延長:1,409m、道路幅員:3.0m、伐採幅:4.0mとされているにもかかわらず、現地の道路幅はほぼ4m前後あり、伐採幅も5.0m~6.0mほどに及んでいる。

・沖縄防衛局が本年7月11日、沖縄県に提出した「環境影響評価検討図書」では、工事用モノレールについて、「下草刈りを行う程度で、地表面の直接改変はない」「撤去後は支柱痕は埋め戻す」など、「自然環境への影響は最小限となるよう配慮する」としていた。しかし、防衛局は工事用モノレールを止め、森林を大きく伐採して工事用道路を造成しています。

防衛省は、「環境への影響は評価している」としましたが、工法の変更により修正した「環境影響評価検討図書」は、いまだに公開されていません。

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やんばるの森を破壊する工事用道路(北上田毅さん資料より)

警察法は形骸化

警察庁との交渉は、高江で行われている機動隊の行動が、警察法第二条第二項に反している問題になりました。

 「不偏不党かつ公正中立を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利および自由の干渉にわたる等その権限を乱用することがあってはならない」

小口弁護士が、警察が工事用の車両を通すために、一般車両を通行止めにしている実態を、実際に映像をみせながら問いただしました。小口弁護士は、工事を進めたい防衛局と工事を止めようとする市民の衝突をさえるためには、市民を排除するという手段と、防衛局側を止めるという手段が二つあるのに、警察が常に市民を排除することをしていないのは、「不偏不党」でも「公正中立」でもないことを指摘。しかし、警察庁側は、「実際に工事用車両が通るときに、衝突が起きないように、市民側の車両を規制した」というような説明を繰り返すだけで、「沖縄県警が適切に対処していることを確認している」と述べました。

FoE Japanは、今後とも、現地の住民たちとも協力しながら、やんばるの森と住民のくらしを守るために、高江におけるヘリパッド建設に反対していきます。

高江ヘリパッド建設をめぐる防衛省・環境省・警察庁交渉(2016/8/22)
高江ヘリパッド建設における自衛隊ヘリ使用をめぐる防衛省交渉(2016/9/15)